JPH05296019A - バランサシャフト付内燃機関のバッフルプレート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブローバイガス中にオイル飛沫が混入するこ
とを極力抑えるとともに、バランサシャフト周りの空間
を有効に活用する。 【構成】 バッフルプレート１は帯状板で形成され、一
端にブロック２への固定部３が、他端にゴム体４を配設
したシール部５が設けられている。固定部３とシール部
５の間は、垂直面６、斜面６、底面８の３面で、略Ｖ字
型に形成され、全体としてばね体を構成している。バッ
フルプレート１の側面には開口部１４が設けられてお
り、上方の開放面の上にはブローバイガス通路の孔１０
が設けられている。そして、クランク軸１１からの飛沫
は垂直面６に、バランサシャフト１３からの飛沫は斜面
７によりはね返され、ブローバイガスは、側面の開口部
１４より流入する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バランサシャフト付内
燃機関の、ブローバイガスとブローバイガスに含まれる
オイル飛沫とを分離するバッフルプレートに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、図９に示すようにピストン部１
０１からクランク室１０２へ流れ込んだブローバイガス
は、オイルセパレータ１０３を介して再び吸気側にもど
される。しかし、クランク室１０２にはクランク軸１０
４が回転しているため、多量のオイルが飛散しており、
ブローバイガスにそのオイル飛沫が混入している。

【０００３】もし、オイルセパレータ１０３でオイル飛
沫分離できないと、排気及び性能上好ましくないのでク
ランク室からのブローバイガス通路１０５にオイルが流
れ込まないように、バッフルプレート１０６が設けられ
ている。

【０００４】このような従来のバッフルプレートとして
は、例えば図１０〜図１１に示すようなものがある。バ
ッフルプレート１０６は、箱型の本体１０７にシリンダ
ブロック１１０の固定部１０８と、ゴム体からなるシー
ル部１０９が取り付けられており、シリンダブロック１
１０にボルト１１１で取り付けられ、シール部１０９が
ブローバイガス通路１０５の内壁１１２をシールしてい
る。

【０００５】そして、図１１に示すようにこのバッフル
プレート１０６により、クランク軸１０４から飛散する
オイルは黒矢印のようにはね返され、ブローバイガス
（白矢印）のみが通過するようになっていた、（従来技
術としては、例えば、ＮＩＳＳＡＮプリメーラ 新型車
解説書 １９９０年２月 日産自動車株式会社発行参
照）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
音及び振動の性能向上を狙って、図１２に示すように、
バランサシャフト１１３を装着したエンジンが市販され
ている。この型式のエンジンでは、クランク室にクラン
ク軸の他に、その２倍の回転数で回転するバランサシャ
フトが２本存在し、しかも、バランサシャフト自体の慣
性力発生をキャンセルするため、バランサシャフトの回
転は互いに逆方向となっているので、図１０に図示した
ような、一方向のみを遮閉するバッフルプレートでは、
オイルの混入を防止することは難しいという問題点があ
った。そのため、従来は、図１３に示すように、バラン
サシャフト１１３の全長が、エンジンの全長より短いこ
とを利用して、図１４に示すようにブローバイ通路をエ
ンジンの後部に配設していた。

【０００７】しかしながら、この方式では、エンジンの
コンパクト化や補機レイアウトの自由度拡大に対して、
阻害要因となるという問題点があった。

【０００８】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたものであり、ブローバイガス中にオイル飛
沫が混入することを極力抑えるとともにバランサシャフ
ト回りの空間を有効に活用したバランサシャフト付内燃
機関のバッフルプレートを提供することを目的としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、バラ
ンサシャフトをもつ内燃機関において、ブローバイガス
とブローバイガスに含まれるオイル飛沫とを分離するバ
ッフルプレートの形状を、一端をシリンダブロックへの
固定部とし、他端を耐油耐温性弾性体を設けたシリンダ
ブロックとのシール部とし、その両者間をほぼＶ字型を
なす多面形で構成したばね体構造とすると共にＶ字型ば
ね体構造の側面に開口部を設けた。

【００１０】

【作用】固定部とシール部との間を、ほぼＶ字型をなす
多面形で構成してばね体構造とするとともにＶ字型ばね
体縁の側面に開口部を設けたので、クランク軸及びバラ
ンサシャフトから飛散するオイル飛沫は、Ｖ字型ばね体
ではね返され、ブローバイガスは側面の開口部から流入
する。従って、ブローバイガスに飛沫が混入するのを抑
制することができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図
１〜図３は本発明の第１実施例を示す図で、図１は全体
構成を示す図、図２は、図１のバッフルプレートのみを
見た矢視Ａ図、図３はバッフルプレート単体の斜視図で
ある。

【００１２】まず構成を説明する。バッフルプレート１
は帯状板で製作されている。バッフルプレート１は、一
端にブロック２への固定部３が、他端にゴム体４を配設
したシール部５が設けられている。固定部３とシール部
５の間は、垂直面６、斜面７、底面８の３面でほぼＶ字
型に形成され、全体としてばね体を構成している。

【００１３】バッフルプレート１は、ボルト９でブロッ
ク２に固定され、バッフルプレート１のもつ、ばね作用
でシール部５のゴム体４がブロック２の対向面に押し付
けられてシールしている。また、バッフルプレート１は
側面に開口部１４が設けられ、上方の開放面の上にはブ
ローバイガス通路の孔１０が設けられている。

【００１４】そして、クランク軸１１からの遠心力によ
る飛沫１２は主として垂直面６に、バランサシャフト１
３からの遠心力による飛沫１２′は主として斜面７に掛
かり、はね返され、ブローバイガスは側面の開口部１４
より流入するようになっている。

【００１５】次に作用を説明する。バッフルプレート１
は、クランク軸１１およびバランサシャフト１３から遠
心力により飛散して来る飛沫を各々垂直面６及び斜面７
ではね返し、ブローバイガスから分離する。

【００１６】一方ブローバイガスは、側面の開口部１４
からブローバイ通路孔１０に流れ込み、飛散オイルがブ
ローバイガス通路に直接流入することを防止でき、ブロ
ーバイガス中にオイル飛沫が混入するのを抑制すること
ができる。

【００１７】また、本実施例によれば、ブローバイ通路
を、バランサシャフト１３の近くに設置することができ
るので、エンジン周りの空間を有効に使用することがで
きる。

【００１８】図４には、本発明の第２実施例を示す。こ
の実施例は、バッフルプレート１の両側面に補強板１５
を取り付けて、バッフルプレート１自体の剛性を向上さ
せたものである。なお、補強板1５とバッフルプレート
１の斜面７との固定部分を小さくしてバッフルプレート
１のばね体としての機能を確保するとともに、側面に逆
三角形状の開口部１４を設けブローバイガスの流路を確
保している。なお、補強板１３と底面８との間の隙間１
６は、バッフルプレート１内に側面開口部１４から入り
込んでしまったオイルの排出口となっている。

【００１９】本実施例によれば、前記実施例と同様の効
果が得られ、しかも、補強板１５が側面に飛来する飛沫
を、はね返す作用を有するので、オイル飛沫の分離をよ
り確実に行うことができ、かつブローバイガス通路が確
保されているので、ブローバイガスの流入を妨げること
はない。

【００２０】図５には、本発明の第３実施例を示す。こ
の実施例は、バッフルプレート１の底面部を、底板１
７，１８によって逆三角形に形成したものである。

【００２１】本実施例によれば、前記第２実施例と同様
の効果が得られ、しかも、開口部１４よりバッフルプレ
ート内に入り込んだオイルの落下位置を特定位置１ａに
することができる。

【００２２】図６には、本発明の第４実施例を示す。こ
の実施例は、３面２０，２１，２２を曲面で構成し、補
強板２３で下半分をふさぎ、かつ複数の排出孔２４を下
面２２の最も低い位置に設け、開口部１４を側面の上部
に設けたものである。

【００２３】本実施例によれば、前記第３実施例と同様
の効果を得ることが出来、しかも補強板２３が側面下部
を覆っているのでオイル飛沫をより確実に分離すること
ができ、開口部１４が上方に開くように設けられている
のでブローバイガスが流入し易い効果がある。

【００２４】図７には、本発明の第４実施例を示す。こ
の実施例は、両側面に開口部２５，２６を有する側板２
７及び２８を設け、さらに内部にセパレータ２９及び３
０を設けたものである。

【００２５】本実施例によれば、セパレータ２９，３０
によりバッフルプレート１の剛性を確保すると同時に、
オイルとブローバイガスの分離を行う１次セパレータの
作用を持たせたので、オイル分離をより確実に行うこと
ができる。

【００２６】図８に本発明の第５実施例を示す。この実
施例は、前記第４実施例において、側板２７とセパレー
タ２９の上側及び側板２８とセパレータ３０の上側に各
々上蓋３１及び３２を設けたものである。

【００２７】本実施例によれば、オイル分離作用は更に
向上されるとともに、ブローバイガスのブローバイガス
通路孔１０へのガス通路が改良される。

【００２８】

【発明の効果】以上説明してきたように構成されている
ので、本発明によれば、ブローバイガス中にオイル飛沫
が混入することを極力抑制することができる。

【００２９】また、バランサシャフト付エンジンのバラ
ンサシャフト付近の空間を有効に活用でき、エンジン及
びエンジンルームをコンパクトにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の全体構成を示す断面図。

【図２】図１のバッフルプレートのみを見た矢視Ａ図。

【図３】本発明の第１実施例のバッフルプレートを示す
斜視図。

【図４】本発明の第２実施例を示す側面図。

【図５】本発明の第３実施例を示す側面図。

【図６】本発明の第４実施例を示す側面図。

【図７】本発明の第５実施例を示す斜視図。

【図８】本発明の第６実施例を示す斜視図。

【図９】従来のブローバイガスシステムを説明する断面
図。

【図１０】従来のバッフルプレートを示す斜視図。

【図１１】従来のバッフルプレートの作用を説明する側
断面図。

【図１２】バランサシャフトを説明する断面図。

【図１３】同じくバランサシャフトを説明する断面図。

【図１４】従来のブローバイガスの流れを説明する側断
面図。

【符号の説明】

１…バッフルプレート ３…固定部 ４…ゴム体 ５…シール部 ６…垂直面 ７…斜面 ８…底面 １１…クランク軸 １３…バランサシャフト １５，２３…補強板 ２７，２８…側板 ２９，３０…セパレータ ３１，３２…上蓋

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バランスシャフトを備えた内燃機関にお
   いて、ブローバイガスとブローバイガスに含まれるオイ
   ル飛沫とを分離するバッフルプレートを、一端をシリン
   ダブロックへの固定部とし、他端を耐油耐温性弾性体を
   設けたシリンダブロックとのシール部とし、両者間をほ
   ぼＶ字型をなす多面形で構成したばね体構造とすると共
   に、Ｖ字型ばね体構造の側面に開口部を設けたことを特
   徴とするバランサシャフト付内燃機関のバッフルプレー
   ト。