JP3819790B2 - エンジンのバランサー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オイルパンに臨むバランサーハウジングをクランクシャフトの下方に配置し、バランサーハウジングの上面に、その内部のオイルを外部に排出する開口部を形成したエンジンのバランサー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるエンジンのバランサー装置は、実開昭58−140346号公報により公知である。このものは、上面が開放したバランサーハウジングにカバーを取り付けることにより、バランサーハウジングとカバーとの間にオイルを排出するための開口部が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンのシリンダブロックにはシリンダヘッド内の動弁機構等を潤滑したオイルをオイルパンに戻すためのオイルリターン通路が形成されており、このオイルリターン通路の下端のオイル出口がバランサーハウジングの開口部に臨んでいると、オイル出口から排出されたオイルが開口部を通してバランサーハウジングの内部に流入してしまう可能性がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、オイルリターン通路から戻されたオイルがバランサーハウジングの開口部に浸入するのを抑制することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、オイルパンに臨むバランサーハウジングをクランクシャフトの下方に配置し、バランサーハウジングの上面に、その内部のオイルを外部に排出する開口部を形成したエンジンのバランサー装置において、エンジンブロックに形成したオイルリターン通路の下端のオイル出口の位置と、バランサーハウジングの開口部の位置とをずらすと共に、そのバランサーハウジングの開口部をバッフルプレートで覆い、そのバッフルプレートに、オイルリターン通路下端のオイル 出口から排出されたオイルを逃がす逃げ部を形成したことを特徴とするエンジンのバランサー装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、オイルリターン通路の下端のオイル出口の位置とバランサーハウジングの開口部の位置とがずれているので、オイルリターン通路のオイル出口から排出されたオイルがバランサーハウジングの開口部を通して該バランサーハウジングの内部に流入するのを抑制することができる。またバッフルプレートでバランサーハウジングの開口部を覆ったので、オイルが開口部を通してバランサーハウジングの内部に流入するのを防止することができる。しかもオイルリターン通路下端のオイル出口から排出されたオイルを逃がす逃げ部がバッフルプレートに形成されていて、該オイル出口がバッフルプレートを避けた位置にあるので、オイル出口から排出されたオイルを、バッフルプレートと干渉することなくオイルパンにスムーズに戻すことができると共に、オイル出口をバッフルプレート側に接近させてエンジンの大型化を抑制することができる。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記逃げ部を、バッフルプレートの締結部間に形成したことを特徴とするエンジンのバランサー装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、バッフルプレートの逃げ部を該バッフルプレートの締結部間に形成したので、締結部の剛性の低下を抑制することができる。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記バッフルプレートの逃げ部の縁部を下向きに湾曲させたことを特徴とするエンジンのバランサー装置が提案される。
【0010】
上記構成によれば、バッフルプレートの逃げ部の縁部が下向きに湾曲しているので、オイルリターン通路のオイル出口から排出されたオイルをオイルパンにスムーズに案内することができ、しかもバッフルプレートの剛性が向上する。
【0011】
尚、実施例のロアブロック14は本発明のエンジンブロックに対応し、実施例のボルト32,50は本発明の締結部に対応し、実施例のオイル排出孔45a〜45dは本発明の開口部に対応し、実施例の第1、第3バッフルプレート47,49は本発明のバッフルプレートに対応する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図12は本発明の第1実施例を示すもので、図1はエンジンの正面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図2の6−6線矢視図、図7は図2の7−7線矢視図、図8は図6の8−8線断面図、図9は図6の9−9線断面図、図10は図6の10−10線断面図、図11は図6の11−11線断面図、図12は図2の12−12線断面図である。
【0014】
図1に示すように、車両用の直列4気筒エンジンEの外郭は、上方から下方にヘッドカバー11、シリンダヘッド12、シリンダブロック13、ロアブロック14およびオイルパン15を積層して構成されており、シリンダ軸線Lは鉛直方向に対して排気側(図中左側)に傾斜している。ロアブロック14の下面に固定されてオイルパン15の内部に収納された二次バランサー装置16は、バランサーハウジング17に支持された駆動側バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19を備えており、シリンダブロック13およびロアブロック14間に支持されたクランクシャフト20の軸端に設けたスプロケット21と駆動側バランサーシャフト18の軸端に設けたスプロケット22とが無端チェーン23で接続される。
【0015】
図2〜図5に示すように、シリンダブロック13に設けた4個のシリンダボア24…に摺動自在に嵌合する4個のピストン25…は、クランクシャフト20の4個のピン20a…にそれぞれコネクティングロッド26…を介して接続される。ロアブロック14の内部に嵌合する5個のベアリングキャップ27…が各々2本のボルト28,28でシリンダブロック13の下面に締結されており、シリンダブロック13と5個のベアリングキャップ27…との間にクランクシャフト20の5個のジャーナル20b…が回転自在に支持される。
【0016】
二次バランサー装置16のバランサーハウジング17はアッパーハウジング29およびロアハウジング30を11本のボルト31…;32,32;33,33;34a,34a,34b,34bで結合し、更にアッパーハウジング29およびロアハウジング30の一端部にポンプハウジング35を複数本のボルト36…で結合してなる。ロアハウジング30のポンプハウジング35側の端部にはバランサーハウジング17の上面側に回り込む上壁部30bが形成されており、この上壁部30bがアッパーハウジング29およびポンプハウジング35に挟まれている。このとき、アッパーハウジング29とロアハウジング30の上壁部30bとの間にスリット状の開口α(図6、図8および図9)が形成される。
【0017】
駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19を挟むように配置された3本のボルト31…は、アッパーハウジング29側から挿入されてロアハウジング30に締結される。駆動バランサーシャフト18の外側に配置された2本のボルト32,32と、従動バランサーシャフト19の外側に配置された2本のボルト33,33とは、アッパーハウジング29側から挿入されてロアハウジング30に締結される。またバランサーハウジング17の一端側においてポンプハウジング35に挿入された2本のボルト34a,34aがベアリングキャップ27を貫通してシリンダブロック13の下面に締結されるとともに、バランサーハウジング17の他端側においてロアハウジング30側から挿入された2本のボルト34b,34bが、アッパーハウジング29およびベアリングキャップ27を貫通してシリンダブロック13の下面に締結される。
【0018】
アッパーハウジング29は前記4本のボルト34a,34a,34b,34bが貫通する4個の取付座29aでベアリングキャップ27,27に支持されており、従ってアッパーハウジング29の上面とベアリングキャップ27,27の下面との間に隙間β(図4参照)が形成される。
【0019】
次に、図6〜図12に基づいて二次バランサー装置16の構造を更に説明する。
【0020】
図8から明らかなように、二次バランサー装置16の駆動バランサーシャフト18には、その一端側から他端側に向けて前記スプロケット22、第1ジャーナル18a、駆動ギヤ18b、第1バランサーウエイト18c、第2ジャーナル18dおよび第2バランサーウエイト18eが設けられており、第1、第2ジャーナル18a,18dがアッパーハウジング29およびロアハウジング30に挟まれるように支持される。図9から明らかなように、二次バランサー装置16の従動バランサーシャフト19には、その一端側から他端側に向けて第1ジャーナル19a、従動ギヤ19b、第1バランサーウエイト19c、第2ジャーナル19dおよび第2バランサーウエイト19eが設けられており、第1、第2ジャーナル19a,19dがアッパーハウジング29およびロアハウジング30に挟まれるように支持される。
【0021】
ポンプハウジング35の内部に突出する従動バランサーシャフト19の一端にオイルポンプ41(図9参照)が設けられる。オイルポンプ41は周知のトロコイドポンプから構成されるもので、従動バランサーシャフト19に固定されたインナーロータ42と、ポンプハウジング35に回転自在に支持されてインナーロータ42に噛み合うアウターロータ43とを備える。ロアハウジング30の下面にはオイルパン15に貯留したオイルの油面O下に位置するストレーナ44が設けられており、ストレーナ44とオイルポンプ41の吸入ポート41aとがロアハウジング30の下面に一体に形成したオイル通路30a(図12参照)で接続される。ストレーナ44は、オイル中の異物を濾過するストレーナエレメント44aと、ストレーナエレメント44aを覆うストレーナカバー44bとで構成される。オイルポンプ41の吐出ポート41bは、図示せぬオイル通路を介してシリンダブロック13のメインギャラリ13a(図3および図4参照)に接続される。
【0022】
アッパーハウジング29には、駆動ギヤ18bおよび従動ギヤ19bが臨む一対の開口29b,29bと、第1バランサーウエイト18c,19cが臨む一対の開口29c,29cと、第2バランサーウエイト18e,19eが臨む一対の開口29d,29dとが形成される。これらの開口29b,29b;29c,29c;29d,29dを設けることで、コネクティングロッド26…の下端の軌跡T(図3参照)がアッパーハウジング29の上面と干渉するのを防止しているので、エンジンEの小型化が可能である。またバランサーハウジング17のポンプハウジング35と反対側の端面には、駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19の軸端に臨む開口17a,17b(図10参照)が、アッパーハウジング29およびロアハウジング30に跨がって形成される。この開口17a,17bは、バランサーハウジング17の内部に駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19の第1、第2ジャーナル18a,19a;18d,19dの支持部を機械加工するためのもので、その開口17a,17bの内径は前記第1、第2ジャーナル18a,19a;18d,19dの外径よりも若干大きくなっている。
【0023】
アッパーハウジング29の駆動バランサーシャフト18側の端部に、その上面に開口する4個のオイル排出孔45a〜45dが形成される。各々のオイル排出孔45a〜45dはクランクシャフト20の軸線方向に延びる長孔状に形成される。バランサーハウジング17の従動バランサーシャフト19側の端部に、アッパーハウジング29およびロアハウジング30の合わせ面に沿って延びる1本(または複数本)のスリット状のオイル排出孔46が形成される。オイル排出孔45a〜45dはシリンダ軸線Lの方向に開口し、オイル排出孔46はシリンダ軸線Lに直交する方向に開口する。シリンダ軸線Lの傾斜により、バランサーハウジング17は駆動バランサーシャフト18側が低くなり、従動バランサーシャフト19側が高くなるように傾斜しているが、駆動バランサーシャフト18側のオイル排出孔45a〜45dおよび従動バランサーシャフト19側のオイル排出孔46はオイルパン15に貯留したオイルの油面O(図3参照)よりも高い位置に配置される。
【0024】
アッパーハウジング29の駆動バランサーシャフト18側の端部上面に、概略長方形の第1バッフルプレート47が、アッパーハウジング29およびロアハウジング30を結合する前記2本のボルト32,32によって共締めされ、またアッパーハウジング29の従動バランサーシャフト19側の端部上面に、概略長方形の第2バッフルプレート48が、アッパーハウジング29およびロアハウジング30を結合する前記2本のボルト33,33によって共締めされているので、部品点数および締結スペースの削減が可能である。更に、ロアブロック14の下面にコ字状の第3バッフルプレート49が4本のボルト50…で固定される。
【0025】
しかして、エンジンEの運転によりクランクシャフト20の回転がスプロケット21、無端チェーン23およびスプロケット22を介して駆動バランサーシャフト18に伝達され、駆動バランサーシャフト18の回転は駆動ギヤ18bおよび従動ギヤ19bを介して従動バランサーシャフト19に伝達される。このとき、クランクシャフト20のスプロケット21の歯数は駆動バランサーシャフト18のスプロケット22の歯数の2倍に設定され、かつ駆動ギヤ18bの歯数は従動ギヤ19bの歯数に等しく設定されているため、駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19はクランクシャフト20の回転数の2倍の回転数で相互に逆方向に回転し(図11および図12の矢印A,B参照)、駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19に設けた第1、第2バランサーウエイト18c,19c;18e,19eによりエンジンEの二次振動が低減される。
【0026】
エンジンEの運転中にクランクシャフト20がクランクケース内のオイルをはね上げるため、そのオイルが開口29b,29b;29c,29c;29d,29d;17a,17bを通してバランサーハウジング17の内部に浸入しようとする。バランサーハウジング17の内部にオイルが浸入すると、そのオイルを駆動ギヤ18b、従動ギヤ19b、第1、第2バランサーウエイト18c,19c;18e,19e等が攪拌して攪拌抵抗が増加する問題がある。そこで、図11の矢印A,B方向に回転する駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19の駆動ギヤ18b、従動ギヤ19b、第1、第2バランサーウエイト18c,19c;18e,19e等で掻き上げたオイルを、バランサーハウジング17のオイル排出孔45a〜45d,46から外部に排出してオイルパン15に戻すことで、前記攪拌抵抗の増加を防止するようになっている。
【0027】
このとき、図10〜図12に示すように、第1、第2バッフルプレート47,48の外端縁および第3バッフルプレート49のカバー部49a,49bの外端縁は下向きに折れ曲がっているため、オイル排出孔45a〜45d,46から排出されたオイルを下向きに方向変換してオイルパン15にスムーズに戻すことができる。特に、第1、第3バッフルプレート47,49の逃げ部47a,49dの縁部を下向きに湾曲させると、後述するオイル出口14b,14bから排出されたオイルをオイルパン15にスムーズに案内することができる。
【0028】
バランサーハウジング17に固定した第1バッフルプレート47および第2バッフルプレート48と、ロアブロック14に固定した第3バッフルプレート49とにより、オイルパン15の内部に貯留されたオイルの油面Oの暴れが防止される。またクランクシャフト20の回転に伴ってはね上がられたオイルの飛沫がクランクケースの内部に飛び散ったとき、第1〜第3バッフルプレート47〜49の少なくとも一部がバランサーハウジング17のオイル排出孔45a〜45d,46を覆う位置まで延出しているため、前記オイルの飛沫を第1〜第3バッフルプレート47〜49で遮ってオイル排出孔45a〜45d,46からバランサーハウジング17の内部に浸入するのを抑制することができる。このように、既存の第1〜第3バッフルプレート47,48,49を利用してオイル排出孔45a〜45d,46を覆うので、それらオイル排出孔45a〜45d,46を覆うための特別のカバー部材が不要になり、部品点数の削減および組付工数の削減が可能になる。
【0029】
特に、コ字状に形成された第3バッフルプレート49は複数のオイル排出孔45d,46を覆う複数のカバー部49a,49bを備えており、かつ前記カバー部49a,49b間に切欠部49cを備えているため、カバー部49a,49bでオイル排出孔45d,46の一部を覆いながら、切欠部49cによって第3バッフルプレート49の重量増加を最小限に抑えることができる。しかも第3バッフルプレート49をロアブロック14に固定する4本のボルト50…のうちの2本が切欠部49cよりもカバー部49a,49bに近い位置に配置されているので、カバー部49a,49bの剛性を高めて振動を抑制することができる。また前記切欠部49cは駆動バランサーシャフト18および従動バランサーシャフト19の第2ジャーナル18d,19dよりも大径の第2バランサーウエイト18e,19eに対向する位置に設けられているので、エンジンEの上下方向の寸法増加を最小限に抑えることができる。
【0030】
カバー部材としての第1バッフルプレート47は複数の開口としてのオイル排出孔45a〜45cを覆い、またカバー部材としての第3バッフルプレート49は複数の開口としてのオイル排出孔45d,46を覆っているので、即ち、単一のカバー部材でそれぞれ複数の開口を覆っているので、カバー部材の数を削減することができる。
【0031】
第2ジャーナル18dを挟んで設けられた第1バランサーウエイト18cおよび第2バランサーウエイト18eの側方(駆動バランサーシャフト18と直交する方向)に各々設けられたオイル排出孔45c,45dを覆う第1バッフルプレート47と第3バッフルプレート49とが別体として独立して設けられているので、第2ジャーナル18dの周辺部で第1バッフルプレート47と第3バッフルプレート49との連結構成が複雑になることもなく、カバー部材としての第1、第3バッフルプレート47,49の大型化を抑制することができる。
【0032】
図6および図12から明らかなように、シリンダブロック13およびロアブロック14には、シリンダヘッド12内の動弁機構等を潤滑したオイルをオイルパン15に戻すための2本のオイルリターン通路13b,13b,14a,14aが形成される。ロアブロック14の一方のオイルリターン通路14aの下端のオイル出口14bは、第1バッフルプレート47の外縁を半円状に凹ました切欠状の逃げ部47aに臨んでおり、またロアブロック14の他方のオイルリターン通路14aの下端のオイル出口14bは、第3バッフルプレート49の外縁を半円状に凹ました切欠状の逃げ部49dに臨んでいる。前記逃げ部47a,49dの形状を半円状に凹ました切欠状としたので、成形も容易である。尚、図12における符号13c,14cはブリーザ通路である。
【0033】
図6に最も良く示されているように、一方のオイルリターン通路14aのオイル出口14bは、それに最も近いオイル排出孔45a,45bから外れた位置にあり、かつ他方のオイルリターン通路14aのオイル出口14bは、それに最も近いオイル排出孔45dから外れた位置にあり、しかもそれらのオイル排出孔45a,45b,45dは第1、第3バッフルプレート47,49で覆われているため、オイル出口14b,14bから落下するオイルがオイル排出孔45a,45b,45dからバランサーハウジング17の内部に流入するのを効果的に阻止することができる。
【0034】
またオイルリターン通路14a,14aのオイル出口14b,14bが第1、第3バッフルプレート47,49を避けた位置にあるので、つまりオイル出口14b,14bが第1、第3バッフルプレート47,49の逃げ部47a,49dに臨んでいるので、第1、第3バッフルプレート47,49を特に小型化することなく、オイル出口14b,14bから排出されたオイルを、第1、第3バッフルプレート47,49と干渉することなくオイルパン15にスムーズに戻すことができる。しかも逃げ部47a,49dを囲む位置を含む第1、第3バッフルプレート47,49の外端縁が下向きに折り曲げられているので、オイル出口14b,14bから排出されたオイルを下向きに案内してオイルパン15に一層スムーズに戻すことができる。
【0035】
また第1バッフルプレート47の逃げ部47aは、それをバランサーハウジング17に固定する2本のボルト32,32の間に形成されているので、それらのボルト32,32の締結ボスを充分に肉厚にしても、その締結ボスが逃げ部47a内に突出することがなくなり、これにより第1バッフルプレート47の締結剛性を高めることができる。同様に、第3バッフルプレート49の逃げ部49dは、それをロアブロック14に固定する2本のボルト50,50の間に形成されているので、それらのボルト50,50の締結ボスを充分に肉厚にしても、その締結ボスが逃げ部49d内に突出することがなくなり、これにより第3バッフルプレート49の締結剛性を高めることができる。
【0036】
図6から明らかなように、第1バッフルプレート47の逃げ部47aの最内端pは、その逃げ部47aに近接する2個のオイル排出孔45a,45bの対向端部の間に位置するので、前記逃げ部47aから2個のオイル排出孔45a,45bまでの最小限の距離を確保することができ、これによりオイル出口14bからのオイルが該オイル排出孔45a,45bに浸入するのを抑制することができる。また前記2個のオイル排出孔45a,45b間の距離を大きくし、その対向端部の位置を逃げ部47aの幅Wよりも外側に位置させれば、オイル排出孔45a,45bへのオイルの浸入抑制効果を一層向上させることができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
例えば、実施例では第1、第3バッフルプレート47,49の逃げ部47a,49dを切欠で構成したが、それらを孔で構成することも可能である。
【0039】
またバランサーハウジング17の開口部は実施例のオイル排出孔45a〜45d,46に限定されず、ブリーザ孔等の任意の開口部であっても良い。
【0040】
また第1実施例ではオイル出口14b,14bの径を逃げ部47a,49dの径よりも小さく設定しているが、図13に示す第2実施例にように、オイル出口14b,14bの径を逃げ部47a,49dの径よりも大きく設定しても良いし、オイル出口14b,14bの一部が逃げ部47a,49dから外れていても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、オイルリターン通路の下端のオイル出口の位置とバランサーハウジングの開口部の位置とがずれているので、オイルリターン通路のオイル出口から排出されたオイルがバランサーハウジングの開口部を通して該バランサーハウジングの内部に流入するのを抑制することができる。またバッフルプレートでバランサーハウジングの開口部を覆ったので、オイルが開口部を通してバランサーハウジングの内部に流入するのを防止することができる。しかもオイルリターン通路下端のオイル出口から排出されたオイルを逃がす逃げ部がバッフルプレートに形成されていて、該オイル出口がバッフルプレートを避けた位置にあるので、オイル出口から排出されたオイルを、バッフルプレートと干渉することなくオイルパンにスムーズに戻すことができると共に、オイル出口をバッフルプレート側に接近させてエンジンの大型化を抑制することができる。
【0042】
また請求項2に記載された発明によれば、バッフルプレートの逃げ部を該バッフルプレートの締結部間に形成したので、締結部の剛性の低下を抑制することができる。
【0043】
また請求項3に記載された発明によれば、バッフルプレートの逃げ部の縁部が下向きに湾曲しているので、オイルリターン通路のオイル出口から排出されたオイルをオイルパンにスムーズに案内することができ、しかもバッフルプレートの剛性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンジンの正面図
【図2】 図1の2−2線断面図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 図2の4−4線断面図
【図5】 図3の5−5線断面図
【図6】 図2の6−6線矢視図
【図7】 図2の7−7線矢視図
【図8】 図6の8−8線断面図
【図9】 図6の9−9線断面図
【図10】 図6の10−10線断面図
【図11】 図6の11−11線断面図
【図12】 図2の12−12線断面図
【図13】 本発明の第2実施例に係る、前記図12に対応する図
【符号の説明】
14 ロアブロック(エンジンブロック)
14a オイルリターン通路
14b オイル出口
15 オイルパン
17 バランサーハウジング
20 クランクシャフト
32 ボルト(締結部)
45a オイル排出孔(開口部)
45b オイル排出孔(開口部)
45c オイル排出孔(開口部)
45d オイル排出孔(開口部)
47 第1バッフルプレート(バッフルプレート)
47a 逃げ部
49 第3バッフルプレート(バッフルプレート)
49d 逃げ部
50 ボルト(締結部)
Claims (3)
- オイルパン(15)に臨むバランサーハウジング(17)をクランクシャフト(20)の下方に配置し、バランサーハウジング(17)の上面に、その内部のオイルを外部に排出する開口部(45a〜45d)を形成したエンジンのバランサー装置において、
エンジンブロック(14)に形成したオイルリターン通路(14a)の下端のオイル出口(14b)の位置と、バランサーハウジング(17)の開口部(45a〜45d)の位置とをずらすと共に、そのバランサーハウジング(17)の開口部(45a〜45d)をバッフルプレート(47,49)で覆い、
そのバッフルプレート(47,49)に、オイルリターン通路(14a)下端のオイル出口(14b)から排出されたオイルを逃がす逃げ部(47a,49d)を形成したことを特徴とする、エンジンのバランサー装置。 - 前記逃げ部(47a,49d)を、バッフルプレート(47,49)の締結部(32,50)間に形成したことを特徴とする、請求項1に記載のエンジンのバランサー装置。
- 前記バッフルプレート(47,49)の逃げ部(47a,49d)の縁部を下向きに湾曲させたことを特徴とする、請求項2に記載のエンジンのバランサー装置。
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JP2002064876A JP3819790B2 (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | エンジンのバランサー装置 |
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