JP2009020337A - ズームレンズ、光学機器、ズームレンズの変倍方法 - Google Patents

ズームレンズ、光学機器、ズームレンズの変倍方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型かつ高性能なズームレンズとこれを有する光学機器、及び該ズームレンズの変倍方法を提供すること。
【解決手段】光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群G1と、正屈折力を有する第2レンズ群G2と、正屈折力を有する第3レンズ群G3とを有し、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、各レンズ群の間隔が変化し、所定の条件を満足するズームレンズ。
【選択図】図1

Description

本発明は、スチルカメラやデジタルカメラ等に好適なズームレンズとこれを有する光学機器、及びズームレンズの変倍方法に関する。
近年、固体撮像素子を用いたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置の高性能化、コンパクト化が急速に進行している。これらの撮影装置では、撮像用レンズとしてズームレンズが一般的に用いられており、ズームレンズによって、撮影者は撮影条件に最適な画角での撮影を手軽に行うことが可能である。
これらのズームレンズのうち、特に小型の撮像装置に搭載されているものは変倍比が3倍程度のものが大半であり、その殆どは負屈折力を有するレンズ群を最も物体側に配置し、その像面側に1つ以上の正屈折力を有するレンズ群を配置した負先行型のズームレンズである(例えば、特許文献1を参照)。
特開2006−208890号公報
しかしながら、負先行型のズームレンズは、焦点距離に比較して全長が長くなりやすいという性質がある。この性質は、広角端状態における画角を広げるほど、またズームレンズの変倍比を大きくするほど顕著に現れる。これを強引にコンパクト化しようとすると、各レンズ群の屈折力が著しく強くなり、収差補正が困難になる。例えば上記特許文献1に記載のズームレンズは広画角化が可能であるが、ズームレンズ全体が著しく巨大であり、現実的な寸法とは言い難いものであった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、小型かつ高性能なズームレンズとこれを有する光学機器、及び該ズームレンズの変倍方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、
光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、各レンズ群の間隔が変化し、
以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
0.44<(Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw<0.90
但し、Nnavは前記ズームレンズに含まれる全ての負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値、ftは前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、ωwは前記ズームレンズの広角端状態での半画角、TLwは前記ズームレンズの広角端状態での全長である。
また、本発明は、
光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、少なくとも前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とが移動し、
以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
0.21<ft×|X2|/TLw<0.30
0.43<L23W/f2<0.80
但し、ftは前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、X2は広角端状態から望遠端状態への変倍における前記第2レンズ群の最大移動量、TLwは前記ズームレンズの広角端状態での全長、L23Wは、広角端状態における前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面と、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔、f2は前記第2レンズ群の焦点距離である。
また、本発明は、
光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、少なくとも前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とが移動し、
前記第2レンズ群は、光軸に沿って像側から順に、1枚の正レンズと、光軸上の空気間隔と、負レンズとを有し、
以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
0.36<Nn−Np<0.80
3.00<Nn+0.05×νn
但し、Nnは前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、Npは前記第2レンズ群の前記正レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νnは前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数である。
また、本発明は、前記ズームレンズを有することを特徴とする光学機器を提供する。
また、本発明は、
光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
以下の条件を満足するズームレンズの変倍方法であって、
各レンズ群の間隔を変化させて広角端状態から望遠端状態への変倍を行うことを特徴とする変倍方法を提供する。
0.44<(Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw<0.90
但し、Nnavは前記ズームレンズに含まれる全ての負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値、ftは前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、ωwは前記ズームレンズの広角端状態での半画角、TLwは前記ズームレンズの広角端状態での全長である。
本発明によれば、小型かつ高性能なズームレンズとこれを有する光学機器、及び該ズームレンズの変倍方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るズームレンズについて説明する。
本実施形態に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、各レンズ群の間隔が変化する負先行型ズームレンズであり、第2レンズ群が変倍部かつマスターレンズ群であり、第1レンズ群がコンペンセータ群である。第3レンズ群はズームレンズ全系の射出瞳位置を撮像素子に対して最適化すると共に、第1レンズ群および第2レンズ群で補正しきれずに残った収差の補正を行う。
また、本ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足する構成である。
(1) 0.44<(Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw<0.90
但し、Nnavはズームレンズに含まれる全ての負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値、ftはズームレンズの望遠端状態における焦点距離、ωwはズームレンズの広角端状態での半画角、TLwはズームレンズの広角端状態での全長である。
条件式(1)は広角ズームレンズを小型化する際に問題となるサジタル像面の湾曲を良好に補正する為の条件である。一般に、広角端状態においてレンズが包括する画角ωwが増大すると、サジタル像面の高次の湾曲が増大する。この傾向はズームレンズを小型化すればするほど、歪曲収差を良好に補正しようとすればするほど顕著になり、画面周辺部の画質を良好に維持することが困難となる。
条件式(1)の下限値を下回った場合、広角端状態においてサジタル像面の湾曲が増大し、画面周辺部の画質が低下するため好ましくない。条件式(1)の上限値を上回った場合ペッツバール和が増大し、望遠端状態において像面湾曲と非点隔差を同時に補正することが困難となるため好ましくない。
条件式(1)を満足することで、ズームレンズの全長をコンパクトに維持しつつ、良好な収差補正を行うことができる。また、レンズの広角化、高変倍化、枚数削減を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.45にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.47にすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.80にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.75にすることが更に好ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が減少し、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群とが移動することが望ましい。この構成により、高変倍化が容易となる。
また、本実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) 0.30<ft×L12T/|f1|<2.00
但し、L12Tは、望遠端状態における第1レンズ群の最も像側のレンズ面と、第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔、f1は第1レンズ群の焦点距離である。
条件式(2)は、望遠端状態における、第1レンズ群の最も像側のレンズ面と第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との間隔について、適切な範囲を規定している。
条件式(2)の下限値を下回った場合、望遠端状態において、第1レンズ群の最も像側のレンズ面と第2レンズ群の最も物体側のレンズ面が接近し、製造誤差により接触する恐れがあるため好ましくない。また、ペッツバール和が増大し、望遠端状態において像面湾曲と非点隔差を同時に補正することが困難となるため好ましくない。条件式(2)の上限値を上回った場合、ズームレンズの全長が著しく大きくなる。これを強引に小型化しようとすると中間焦点距離状態において上方コマ収差の補正が困難となるため好ましくない。
条件式(2)を満足することで、ズームレンズの全長をコンパクトに維持しつつ、良好な収差補正を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を0.40にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.50にすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を1.80にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を1.60にすることが更に好ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式(3),(4)を満足することが望ましい。
(3) 0.21<ft×|X2|/TLw<0.30
(4) 0.43<L23W/f2<0.80
但し、X2は広角端状態から望遠端状態への変倍における第2レンズ群の最大移動量、L23Wは広角端状態における第2レンズ群の最も像側のレンズ面と、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔、f2は第2レンズ群の焦点距離である。
条件式(3)は、広角端状態から望遠端状態への変倍にともなう第2レンズ群の移動量の適切な範囲を規定している。
条件式(3)の下限値を下回った場合、広角端状態におけるズームレンズの全長および前玉径が著しく大きくなる。また、変倍による像面湾曲、倍率色収差の変動の補正が困難となり好ましくない。条件式(3)の上限値を上回った場合、望遠端状態においてズームレンズの全長が著しく大きくなる。また、望遠端状態における球面収差の波長による差の補正が困難となるため好ましくない。
条件式(3)を満足することで、ズームレンズの全長をコンパクトに維持しつつ、良好な収差補正を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を0.22にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を0.23にすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を0.29にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の上限値を0.27にすることが更に好ましい。
条件式(4)は、広角端状態における、第2レンズ群の最も像側のレンズ面と第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔を規定したものである。条件式(4)の下限値を下回った場合、広角端状態においてサジタル像面の湾曲の補正が困難となるため好ましくない。条件式(4)の上限値を上回った場合、バックフォーカスが短くなりすぎるため好ましくない。また、広角端状態の倍率色収差が悪化する。
条件式(4)を満足することで、良好な収差補正を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を0.44にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(4)の下限値を0.45にすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を0.70にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(4)の上限値を0.65にすることが更に好ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズは、第2レンズ群は、光軸に沿って像側から順に、1枚の正レンズと、光軸上の空気間隔と、負レンズとを有し、以下の条件式(5),(6)を満足することが望ましい。
(5) 0.36<Nn−Np<0.80
(6) 3.00<Nn+0.05×νn
但し、Nnは第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、Npは第2レンズ群の前記正レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νnは第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数である。
第2レンズ群を、光軸に沿って像側から順に1枚の正レンズ、空気間隔、負レンズを有する構成とすることで、広角端状態でのサジタル像面の湾曲の補正が容易となる。
条件式(5)は、第2レンズ群の像側の前記正レンズ及び前記負レンズの屈折率差について適切な範囲を規定している。
条件式(5)の下限値を下回った場合、広角端状態においてサジタル像面の湾曲が増大し、画面周辺部の画質が低下するため好ましくない。条件式(5)の上限値を上回った場合、ペッツバール和が著しく増大し、望遠端状態において像面湾曲と非点隔差を同時に補正することが困難となるため好ましくない。
条件式(5)を満足することで、良好な収差補正を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の下限値を0.38にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(5)の下限値を0.40にすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を0.75にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(5)の上限値を0.70にすることが更に好ましい。
条件式(6)は前記負レンズの屈折率とアッベ数に関して適切な範囲を規定している。
条件式(6)の下限値を下回った場合、軸上色収差ならびに望遠端状態における球面収差の波長による差を補正することが困難となるため好ましくない。
条件式(6)を満足することで、良好な収差補正を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を3.10にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(6)の下限値を3.20にすることが更に好ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズは、第1レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズと1枚の正レンズとからなり、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.08<N2av−N1av<0.40
但し、N2avは第2レンズ群に含まれる全ての負レンズの材質のd線(λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値、N1avは第1レンズ群に含まれる全ての負レンズの材質のd線(λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値である。
このような配置を採用することにより、第1レンズ群の外径を小型化することが可能であると共に、広角端状態における歪曲収差、望遠端状態における球面収差などを良好に補正することができる。
条件式(7)は第1レンズ群に含まれる全ての負レンズの屈折率の平均値と、第2レンズ群に含まれる全ての負レンズの屈折率の平均値の関係について、適切な範囲を規定している。
条件式(7)の下限値を下回った場合、広角端状態においてサジタル像面の湾曲を補正することが困難となるため好ましくない。条件式(7)の上限値を上回った場合、広角端状態において歪曲収差の補正が困難となるため好ましくない。
条件式(7)を満足することで、良好な収差補正を行うことができる。
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の下限値を0.11にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(7)の下限値を0.13にすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の上限値を0.32にすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(7)の上限値を0.27にすることが更に好ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズは、第1レンズ群の前記負レンズの各レンズ面のうち少なくとも1面は非球面であることが望ましい。また、第1レンズ群の最も物体側に配置された負レンズが、レンズ中心部に比べレンズ周辺部の屈折力が弱まる形状の非球面レンズであることがより望ましい。この構成により、広角端状態における歪曲収差をより良好に補正することができる。
また、本実施形態に係るズームレンズは、第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、2枚の正レンズと、1枚の負レンズと、1枚の正レンズとからなることが望ましい。第2レンズ群を上記のように構成することによりバックフォーカスを短縮し、ズームレンズの小型化が可能となる。また、上方コマ収差、望遠端状態における球面収差を良好に補正することができる。また、光軸に沿って物体側から2番目の正レンズと負レンズを互いに接合すれば、該レンズ相互の偏芯の影響を緩和することができる為、より好ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズは、第2レンズ群の最も物体側に位置する正レンズの各レンズ面のうち、少なくとも一方のレンズ面は非球面であることが望ましい。最も物体側の正レンズを非球面化することにより、球面収差を良好に補正することができる。特に該正レンズの物体側の面を非球面化することにより、球面収差をより良好に補正することができる。
なお、本実施形態に係るズームレンズにおいて、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングは、第1レンズ群あるいは第3レンズ群を物体側に繰り出すことによって行うことが可能である。しかしながら、第1レンズ群を繰り出す方法では、至近撮影時に画面周辺部の光量低下を招きやすい為、第3レンズ群を物体側に繰り出すことによって行うことがより望ましい。
また、本実施形態に係るズームレンズにおいて、各レンズ面のうち任意の面を回折面としてもよい。また、任意のレンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしてもよい。また、第3レンズ群の像側に、屈折力が小さいレンズ群、あるいは屈折力が小さく非球面を有するレンズ群を付加しても良い。
(実施例)
以下、本実施形態に係る各実施例について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。
第1実施例に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、全体として負屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正屈折力を有する第3レンズ群G3とからなり、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が移動し、第3レンズ群G3が固定の構成である。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成され、負メニスカスレンズL11の像面I側のレンズ面は非球面である。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、第1正レンズL21、第2正レンズL22、負レンズL23、第3正レンズL24とから構成され、第2正レンズL22と負レンズL23とは接合されており、第1正レンズL21の物体側のレンズ面が非球面である。
第3レンズ群G3は1枚の正レンズL31のみで構成されている。
また、開口絞りSは、第2レンズ群G2の最も物体側の第1正レンズL21の光軸上の頂点より像面I側に配置されており、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第2レンズ群G2と一体的に移動する。
また、フィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタなどで構成されている。
以下の表1に第1実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
表中の(面データ)において、物面は物体面、面番号は物体側からの面の番号、rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)における屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)におけるアッベ数、(可変)は可変面間隔、(絞り)は開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ表している。なお、空気の屈折率nd=1.000000は記載を省略している。また、曲率半径r及び面間隔d欄の「∞」は平面を示している。
(非球面データ)において、非球面は以下の式で表される。
X(y)=(y/r)/[1+[1−κ(y/r)]1/2
+A4×y+A6×y+A8×y+A10×y10
ここで、光軸に垂直な方向の高さをy、高さyにおける光軸方向の変位量をX(y)、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をr、円錐係数をκ、n次の非球面係数をAnとする。なお、「E-n」は「×10−n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10−5」を示す。また、各非球面は、(面データ)において、面番号の右側に「*」を付して示している。
(各種データ)において、ズーム比はズームレンズの変倍比、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態、fは焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位:「°」)、Yは像高、TLはズームレンズ全長、Bfはバックフォーカス、diは面番号iでの可変面間隔値をそれぞれ表している。
(ズームレンズ群データ)は、各レンズ群の始面番号とレンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。
(条件式対応値)は、各条件式の対応値をそれぞれ示す。
なお、以下の全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔dその他の長さ等は、特記の無い場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されること無く他の適当な単位を用いることもできる。さらに、これらの記号の説明は、以降の他の実施例においても同様とし説明を省略する。
(表1)

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 51.6817 1.2000 1.801390 45.46
2* 4.6546 2.4500
3 9.4043 1.8000 1.846660 23.78
4 21.4805 (可変)

5(絞り) ∞ -0.4000
6* 5.9519 1.4000 1.791120 45.21
7 46.7559 0.1000
8 5.3290 1.5500 1.719990 50.24
9 -6438.2656 0.4000 2.003300 28.27
10 3.6201 0.6000
11 19.9676 1.3500 1.487490 70.45
12 -11.7764 (可変)

13 15.6366 1.4500 1.603000 65.47
14 -160.2862 (可変)

15 ∞ 0.2500 1.516800 64.12
16 ∞ 0.5000
17 ∞ 0.5000 1.516800 64.12
18 ∞
像面 ∞

(非球面データ)
第2面
κ = 0.1357
A4 = 2.18810E-04
A6 = 4.59650E-06
A8 = -1.60600E-07
A10 = 2.54210E-09
第6面
κ = 0.6029
A4 = -2.73040E-05
A6 = 2.26030E-07
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00

(各種データ)
ズーム比 3.7669
W M T
f = 5.15 9.30 19.40
FNO = 2.82 3.76 6.07
ω = 38.51 22.97 11.30
Y = 3.9 3.9 3.9
TL = 34.97703 31.38235 37.03794
Bf = 0.60000 0.60000 0.60000

d4 14.15193 6.09446 0.88877
d12 4.92724 9.39004 20.25130
d14 2.14786 2.14786 2.14786

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 −11.52
2 6 10.00
3 13 23.70

(条件式対応値)
(1) (Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw=0.48652
(2) ft×L12T/|f1|=0.82310
(3) ft×|X2|/TLw=0.24300
(4) L23W/f2=0.49272
(5) Nn−Np=0.51581
(6) Nn+0.05×νn=3.41680
(7) N2av−N1av=0.20191
図2は、第1実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
各収差図において、FNOはFナンバー、Aは半画角をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では半画角の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各半画角の値を示す。またdはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示す。そして非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。
なお、以降の実施例においても同様の記号を使用し、以降の説明を省略する。
各収差図から、第1実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることが分かる。
(第2実施例)
図3は、第2実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。
第2実施例に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、全体として負屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正屈折力を有する第3レンズ群G3とからなり、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が移動し、第3レンズ群G3が固定の構成である。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成され、負メニスカスレンズL11の像面I側のレンズ面は非球面である。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、第1正レンズL21、第2正レンズL22、負レンズL23、第3正レンズL24とから構成され、第2正レンズL22と負レンズL23とは接合されており、第1正レンズL21の物体側のレンズ面が非球面である。
第3レンズ群G3は1枚の正レンズL31のみで構成されている。
また、開口絞りSは、第2レンズ群G2の最も物体側の第1正レンズL21の光軸上の頂点より像面I側に配置されており、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第2レンズ群G2と一体的に移動する。
また、フィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタなどで構成されている。
以下の表2に第2実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
(表2)

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 43.1896 1.2000 1.864000 40.58
2* 4.8257 2.4000
3 9.7250 1.7000 1.922860 20.88
4 21.3500 (可変)

5(絞り) ∞ -0.4000
6* 6.0386 1.4000 1.796680 45.34
7 40.0500 0.1000
8 5.1698 1.5500 1.755000 52.29
9 20703.6520 0.4000 2.003300 28.27
10 3.5377 0.6000
11 21.6274 1.3500 1.487490 70.45
12 -11.5997 (可変)

13 15.8730 1.4500 1.603000 65.47
14 -127.5792 (可変)

15 ∞ 0.2500 1.516800 64.12
16 ∞ 0.5000
17 ∞ 0.5000 1.516800 64.12
18 ∞
像面 ∞

(非球面データ)
第2面
κ = 0.1229
A4 = 2.20150E-04
A6 = 4.96840E-06
A8 = -1.70780E-07
A10 = 2.65850E-09
第6面
κ = 0.0745
A4 = 2.69330E-04
A6 = 4.00600E-06
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00

(各種データ)
ズーム比 3.7669
W M T
f = 5.15 9.30 19.40
FNO = 2.80 3.73 6.02
ω = 38.50 22.96 11.30
Y = 3.9 3.9 3.9
TL = 34.52638 30.97667 36.53594
Bf = 0.60000 0.60000 0.60000

d4 13.97549 6.03311 0.90180
d12 4.95223 9.34490 20.03549
d14 1.99866 1.99866 1.99866

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 −11.45
2 6 9.85
3 13 23.50

(条件式対応値)
(1) (Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw=0.50668
(2) ft×L12T/|f1|=0.85021
(3) ft×|X2|/TLw=0.24547
(4) L23W/f2=0.50276
(5) Nn−Np=0.51581
(6) Nn+0.05×νn=3.41680
(7) N2av−N1av=0.13930
図4は、第2実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
各収差図から、第2実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることが分かる。
(第3実施例)
図5は、第3実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。
第3実施例に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、全体として負屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正屈折力を有する第3レンズ群G3とからなり、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が移動し、第3レンズ群G3が固定の構成である。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成され、負メニスカスレンズL11の像面I側のレンズ面は非球面である。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、第1正レンズL21、第2正レンズL22、負レンズL23、第3正レンズL24とから構成され、第2正レンズL22と負レンズL23とは接合されており、第1正レンズL21の物体側のレンズ面が非球面である。
第3レンズ群G3は1枚の正レンズL31のみで構成されている。
また、開口絞りSは、第2レンズ群G2の最も物体側の第1正レンズL21の光軸上の頂点より像面I側に配置されており、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第2レンズ群G2と一体的に移動する。
また、フィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタなどで構成されている。
以下の表3に第3実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
(表3)

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 45.3442 1.2000 1.820800 42.71
2* 4.6299 2.3000
3 8.9263 1.8500 1.808095 22.76
4 21.3500 (可変)

5(絞り) ∞ -0.4000
6* 6.4283 1.4000 1.796680 45.34
7 39.6174 0.1000
8 4.7885 1.5500 1.743200 49.32
9 115.2724 0.4000 2.003300 28.27
10 3.4894 0.6300
11 20.6163 1.3500 1.487490 70.45
12 -11.6586 (可変)

13 18.1750 1.4500 1.603000 65.47
14 -62.3851 (可変)

15 ∞ 0.2500 1.516800 64.12
16 ∞ 0.5000
17 ∞ 0.5000 1.516800 64.12
18 ∞
像面 ∞

(非球面データ)
第2面
κ = 0.1272
A4 = 2.77340E-04
A6 = 4.48680E-06
A8 = -1.29350E-07
A10 = 2.17550E-09
第6面
κ = 0.0479
A4 = 2.51360E-04
A6 = 3.47340E-06
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00

(各種データ)
ズーム比 3.7669
W M T
f = 5.15 9.30 19.40
FNO = 2.80 3.74 6.02
ω = 38.50 22.97 11.32
Y = 3.9 3.9 3.9
TL = 34.70106 31.17432 36.81446
Bf = 0.60000 0.59999 0.60001

d4 13.99846 6.04213 0.90180
d12 4.85857 9.28816 20.06863
d14 2.16404 2.16404 2.16404

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 −11.45
2 6 9.90
3 13 23.50

(条件式対応値)
(1) (Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw=0.49453
(2) ft×L12T/|f1|=0.85021
(3) ft×|X2|/TLw=0.24505
(4) L23W/f2=0.49076
(5) Nn−Np=0.51581
(6) Nn+0.05×νn=3.41680
(7) N2av−N1av=0.18250
図6は、第3実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
各収差図から、第3実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることが分かる。
(第4実施例)
図7は、第4実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。
第4実施例に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、全体として負屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正屈折力を有する第3レンズ群G3とからなり、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が移動し、第3レンズ群G3が固定の構成である。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成され、負メニスカスレンズL11の像面I側のレンズ面は非球面である。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、第1正レンズL21、第2正レンズL22、負レンズL23、第3正レンズL24とから構成され、第2正レンズL22と負レンズL23とは接合されており、第1正レンズL21の物体側のレンズ面が非球面である。
第3レンズ群G3は1枚の正レンズL31のみで構成されている。
また、開口絞りSは、第2レンズ群G2の最も物体側の第1正レンズL21の光軸上の頂点より像面I側に配置されており、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第2レンズ群G2と一体的に移動する。
また、フィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタなどで構成されている。
以下の表4に第4実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
(表4)

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 52.1848 1.2000 1.820800 42.71
2* 4.8368 2.1500
3 9.2127 2.0000 1.846660 23.78
4 23.1214 (可変)

5(絞り) ∞ -0.4000
6* 6.4056 1.5000 1.768020 49.23
7 ∞ 0.1000
8 4.9076 1.5000 1.670000 57.36
9 -41.4948 0.4000 1.903660 31.31
10 3.4963 0.6500
11 176.4834 1.3500 1.497820 82.56
12 -11.8352 (可変)

13 15.0000 1.5000 1.603000 65.47
14 -158.5718 (可変)

15 ∞ 0.2500 1.516800 64.12
16 ∞ 0.5000
17 ∞ 0.5000 1.516800 64.12
18 ∞
像面 ∞

(非球面データ)
第2面
κ = 0.1313
A4 = 2.29150E-04
A6 = 3.92470E-06
A8 = -8.39500E-08
A10 = 8.03290E-10
第6面
κ = -0.6468
A4 = 5.52540E-04
A6 = -4.16670E-08
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00

(各種データ)
ズーム比 3.7669
W M T
f = 5.15 10.10 19.40
FNO = 2.78 3.84 5.83
ω = 38.49 21.18 11.27
Y = 3.9 3.9 3.9
TL = 35.77011 31.07895 35.55672
Bf = 0.60000 0.60000 0.60000

d4 15.33659 5.70537 0.90180
d12 4.80184 9.74190 19.02324
d14 1.83168 1.83168 1.83168

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 −12.40
2 6 10.05
3 13 22.80

(条件式対応値)
(1) (Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw=0.45816
(2) ft×L12T/|f1|=0.78507
(3) ft×|X2|/TLw=0.21563
(4) L23W/f2=0.47780
(5) Nn−Np=0.40584
(6) Nn+0.05×νn=3.46916
(7) N2av−N1av=0.08286
図8は、第4実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
各収差図から、第4実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることが分かる。
(第5実施例)
図9は、第5実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。
第5実施例に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、全体として負屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正屈折力を有する第3レンズ群G3とからなり、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が移動し、第3レンズ群G3が固定の構成である。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成され、負メニスカスレンズL11の像面I側のレンズ面は非球面である。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、第1正レンズL21、第2正レンズL22、負レンズL23、第3正レンズL24とから構成され、第2正レンズL22と負レンズL23とは接合されており、第1正レンズL21の物体側のレンズ面が非球面である。
第3レンズ群G3は1枚の正レンズL31のみで構成されている。
また、開口絞りSは、第2レンズ群G2の最も物体側の第1正レンズL21の光軸上の頂点より像面I側に配置されており、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第2レンズ群G2と一体的に移動する。
また、フィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタなどで構成されている。
以下の表5に第5実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
(表5)

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 56.9854 1.2000 1.801390 45.46
2* 4.8951 2.3700
3 9.6794 1.8500 1.846660 23.78
4 22.8417 (可変)

5(絞り) ∞ -0.4000
6* 5.6486 1.5000 1.768020 49.23
7 -346.7867 0.1000
8 5.6601 1.5000 1.677900 55.43
9 -19.1076 0.4000 1.903660 31.31
10 3.4949 0.6500
11 65.9223 1.3500 1.456000 91.20
12 -11.7175 (可変)

13 14.5000 1.5500 1.517420 52.32
14 -67.1976 (可変)

15 ∞ 0.2500 1.516800 64.12
16 ∞ 0.5000
17 ∞ 0.5000 1.516800 64.12
18 ∞
像面 ∞

(非球面データ)
第2面
κ = -1.1324
A4 = 1.52320E-03
A6 = -1.85570E-05
A8 = 2.49790E-07
A10 = -1.36910E-09
第6面
κ = -0.7302
A4 = 8.19440E-04
A6 = -1.48120E-06
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00

(各種データ)
ズーム比 3.7669
W M T
f = 5.15 9.30 19.40
FNO = 2.80 3.70 5.92
ω = 38.50 22.88 11.29
Y = 3.9 3.9 3.9
TL = 35.35125 30.83483 35.28462
Bf = 0.60000 0.60000 0.60000

d4 15.12029 6.48245 0.90180
d12 4.52584 8.64726 18.67769
d14 1.78512 1.78512 1.78512

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 −12.25
2 6 9.95
3 13 23.20

(条件式対応値)
(1) (Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw=0.45938
(2) ft×L12T/|f1|=0.79469
(3) ft×|X2|/TLw=0.21969
(4) L23W/f2=0.45486
(5) Nn−Np=0.44766
(6) Nn+0.05×νn=3.46916
(7) N2av−N1av=0.10227
図10は、第5実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
各収差図から、第5実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることが分かる。
以上のように、本実施形態によれば、高変倍比を有し、広角端状態において広画角化が可能で、小型かつ高性能な、固体撮像素子に好適なズームレンズを提供することができる。
次に、本実施形態に係るズームレンズを搭載したカメラについて説明する。なお、第1実施例に係るズームレンズを搭載した場合について説明するが、他の実施例でも同様である。
図11は、第1実施例に係るズームレンズを搭載した電子スチルカメラを示し、(a)は正面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。図12は、図11(a)のA−A’線に沿った断面図を示している。
図11、図12において、実施形態に係る電子スチルカメラ1は、不図示の電源釦を押すと第1実施例のズームレンズである撮影レンズ2の不図示のシャッタが開放され撮影レンズ2で不図示の被写体からの光が集光され、像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、電子スチルカメラ1の背後に配置された液晶モニター3に表示される。撮影者は、液晶モニター3を見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズ釦4を押し下げ被写体像を撮像素子Cで撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。
また、電子スチルカメラ1には、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部5、撮影レンズ2であるズームレンズ2を広角端状態Wから望遠端状態Tにズーミングする際のワイドW−テレT釦6、および電子スチルカメラ1の種々の条件設定等に使用するファンクション釦7等が配置されている。
また、実施形態に係る電子スチルカメラ1は、撮影レンズ2が防振機能を有し、手ぶれ補正が可能となっている。
このようにして、第1実施例に係るズームレンズ2を内蔵する電子スチルカメラ1が構成されている。
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
実施例では、3群構成を示したが、4群、5群等の他の群構成にも適用可能である。
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。
また、前記合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用出来、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。特に第3レンズ群を合焦レンズ群とするのが好ましい。
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向に振動させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としても良い。特に第2レンズ群の全体又はその一部を防振レンズ群とするのが好ましい。
また、レンズ面を非球面としても構わない。また、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。
また、開口絞りはFナンバー決定部材であって、第2レンズ群近傍に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材は設けずにレンズ枠でその役割を代用しても良い。
また、開口絞りは広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第2レンズ群とは異なる軌道で移動させても良い。
また、各レンズ面には、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜が施されれば、フレアやゴーストを軽減し高いコントラストの高い光学性能を達成できる。
また、ズームレンズは、撮像素子と一体に構成されていても、分離可能なレンズ交換式でもかまわない。
なお、本発明を分かり易く説明するために実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
第1実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。 第1実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。 第2実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。 第2実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。 第3実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。 第3実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。 第4実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。 第4実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。 第5実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。 第5実施例に係るズームレンズの無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。 第1実施例に係るズームレンズを搭載した電子スチルカメラを示し、(a)は正面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。 図11(a)のA−A’線に沿った断面図を示している。
符号の説明
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 開口絞り
I 像面
W 広角端状態
T 望遠端状態
1 電子スチルカメラ

Claims (15)

  1. 光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
    広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、各レンズ群の間隔が変化し、
    以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
    0.44<(Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw<0.90
    但し、
    Nnav:前記ズームレンズに含まれる全ての負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値
    ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離
    ωw:前記ズームレンズの広角端状態での半画角
    TLw:前記ズームレンズの広角端状態での全長
  2. 広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とが移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
    0.30<ft×L12T/|f1|<2.00
    但し、
    L12T:望遠端状態における前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面と、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔
    f1:前記第1レンズ群の焦点距離
  4. 以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    0.21<ft×|X2|/TLw<0.30
    0.43<L23W/f2<0.80
    但し、
    X2:広角端状態から望遠端状態への変倍における前記第2レンズ群の最大移動量
    L23W:広角端状態における前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面と、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔
    f2:前記第2レンズ群の焦点距離
  5. 前記第2レンズ群は、光軸に沿って像側から順に、1枚の正レンズと、光軸上の空気間隔と、負レンズとを有し、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    0.36<Nn−Np<0.80
    3.00<Nn+0.05×νn
    但し、
    Nn:前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
    Np:前記第2レンズ群の前記正レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
    νn:前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数
  6. 前記第1レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズと1枚の正レンズとからなり、
    以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    0.08<N2av−N1av<0.40
    但し、
    N2av:前記第2レンズ群に含まれる全ての負レンズの材質のd線(λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値
    N1av:前記第1レンズ群に含まれる全ての負レンズの材質のd線(λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値
  7. 前記第1レンズ群の前記負レンズの各レンズ面のうち少なくとも1面は非球面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
    広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、少なくとも前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とが移動し、
    以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
    0.21<ft×|X2|/TLw<0.30
    0.43<L23W/f2<0.80
    但し、
    ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離
    X2:広角端状態から望遠端状態への変倍における前記第2レンズ群の最大移動量
    TLw:前記ズームレンズの広角端状態での全長
    L23W:広角端状態における前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面と、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔
    f2:前記第2レンズ群の焦点距離
  9. 以下の条件を満足することを特徴とする請求項8に記載のズームレンズ。
    0.30<ft×L12T/|f1|<2.00
    但し、
    L12T:望遠端状態における前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面と、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の間隔
    f1:前記第1レンズ群の焦点距離
  10. 前記第2レンズ群は、光軸に沿って像側から順に、1枚の正レンズと、光軸上の空気間隔と、負レンズとを有し、以下の条件を満足することを特徴とする請求項8又は9に記載のズームレンズ。
    0.36<Nn−Np<0.80
    3.00<Nn+0.05×νn
    但し、
    Nn:前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
    Np:前記第2レンズ群の前記正レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
    νn:前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数
  11. 光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
    広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、少なくとも前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とが移動し、
    前記第2レンズ群は、光軸に沿って像側から順に、1枚の正レンズと、光軸上の空気間隔と、負レンズとを有し、
    以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
    0.36<Nn−Np<0.80
    3.00<Nn+0.05×νn
    但し、
    Nn:前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
    Np:前記第2レンズ群の前記正レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
    νn:前記第2レンズ群の前記負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数
  12. 前記第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、2枚の正レンズと、1枚の負レンズと、1枚の正レンズとからなることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  13. 前記第2レンズ群の最も物体側に位置する正レンズの各レンズ面のうち、少なくとも一方のレンズ面は非球面であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載のズームレンズを有することを特徴とする光学機器。
  15. 光軸に沿って物体側から順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、正屈折力を有する第3レンズ群とを有し、
    以下の条件を満足するズームレンズの変倍方法であって、
    各レンズ群の間隔を変化させて広角端状態から望遠端状態への変倍を行うことを特徴とする変倍方法。
    0.44<(Nnav−0.80)×ft×tanωw/TLw<0.90
    但し、
    Nnav:前記ズームレンズに含まれる全ての負レンズの材質のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率の平均値
    ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離
    ωw:前記ズームレンズの広角端状態での半画角
    TLw:前記ズームレンズの広角端状態での全長
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