JP5493308B2 - ズームレンズ系、及び、このズームレンズ系を備えた光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、ズームレンズ系、及び、このズームレンズ系を備えた光学機器に関する。
従来、固体撮像素子に適した凹先行タイプのズームレンズ系が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−213744号公報
しかしながら、従来の凹先行タイプのズームレンズ系では、小型化と良好な収差補正との両立が難しいという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、小型で、光学性能の良好なズームレンズ系を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係るズームレンズ系は、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、からなり、第1レンズ群は、物体側より順に、2枚の負レンズと、1枚の正レンズと、からなり、第2レンズ群は、物体側より順に、正の単レンズと、開口絞りと、開口絞りより像側に配置された少なくとも2つの接合レンズを有し、正のレンズ成分で構成されており、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が変化する。そして、第2レンズ群の少なくとも2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から、像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離をΣfとし、像面の最大像高をYとするとき、次式
0.02 < Y/Σf < 0.20
の条件を満足するように構成される。なお、レンズ成分は、単レンズ又は接合レンズを示す。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、3つの正レンズ成分を有するることが好ましい。なお、レンズ成分は、単レンズ又は接合レンズを示す。
また、このようなズームレンズ系は、広角端状態におけるFナンバーをFNoWとし、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際の全長のうち、最大となる全長をTLとするとき、次式
0.03 < FNoW/TL ≦ 0.07 [1/mm]
の条件を満足することが好ましい。
また、このようなズームレンズ系は、第2レンズ群の少なくとも2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離をΣfとし、広角端状態における全系の焦点距離をfwとし、望遠端状態における全系の焦点距離をftとき、次式
0.04 < (fw・ft)1/2/Σf < 0.70
の条件を満足することが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、物体側に正レンズ及び像側に負レンズが配置された接合レンズを少なくとも1枚有し、当該接合レンズの最も像側の面は像側に凹面を向けていることが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、物体側に正レンズ及び像側に負レンズが配置された接合レンズを少なくとも1枚有し、当該接合レンズを構成する負レンズのうち少なくとも1枚は、d線に対する屈折率をndとしたとき、次式
nd > 1.77
の条件を満足することが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、連続して並ぶ2つの接合レンズを有し、当該2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズは、物体側に正レンズ及び像側に負レンズを有し、像側に配置された接合レンズは、物体側に負レンズ及び像側に正レンズを有することが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、連続して並ぶ2つの接合レンズを有し、当該2つの接合レンズはいずれも、物体側に正レンズ及び像側に負レンズを有することが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、少なくとも2枚の両凸レンズを有することが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群は、複数の接合レンズを有し、当該接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズを構成する正レンズは両凸レンズであることが好ましい。
また、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群の少なくとも一部のレンズ群は、光軸と垂直方向の成分を持つように移動することが好ましい。
あるいは、このようなズームレンズ系において、第2レンズ群の接合レンズの少なくとも一つは、光軸と垂直方向の成分を持つように移動することが好ましい。
また、本発明に係る光学機器は、上述のズームレンズ系のいずれかを備えて構成される。
本発明に係るズームレンズ系、及び、このズームレンズ系を備えた光学機器を以上のように構成すると、小型で、かつ、良好な光学性能を得ることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書中において、広角端状態及び望遠端状態とは、特に記載が無い場合は、無限遠合焦状態を指すものとする。図1に示すように、本ズームレンズ系ZLは、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とで構成されている。そして、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化するよう構成されている。
第1レンズ群G1は、1枚または2枚の負レンズ成分と、1枚または2枚の正レンズ成分とで構成されている。このような構成とすることにより、第1レンズ群G1自体の小型化を図ることができ、また、軸外光線をより光軸方向に変位させることができるため、高次の収差の発生を抑え、良好な収差補正が可能となる。
第2レンズ群G2は、少なくとも2つの接合レンズを有し、全て正のレンズ成分で構成されている。従来の単純な構成の凹先行タイプのズームレンズ系では、2群内での収差の補正のため、正のレンズ成分と負のレンズ成分とをバランスよく配置させて諸収差を打消し合い、良好に補正を行なうが、そのために強い曲率を持った負のパワーを必要とする場合が多く、高次の球面収差が発生する上、射出瞳が近くなる傾向にあった。しかし、本ズームレンズ系ZLでは、第2レンズ群G2を全て正のレンズ成分とすることで、各レンズ成分の屈折力を小さくできるため、製造誤差による結像性能へ悪影響を抑えながら収差の発生自体を小さくすることができる。また、接合レンズが正成分ということは、接合レンズ内に負レンズを含みながらも、各々の合成焦点は正のレンズ成分ということとなるので、各レンズ成分において球面収差やコマ収差を良好に補正できる上、合成後の残存収差の量も小さくすることができる。さらに、第2レンズ群G2のレンズ枚数を少なくすることにより、本ズームレンズ系ZLを小型化することができる。
また、第2レンズ群G2を正負正で構成した場合、各レンズ成分のパワーが強くなるので射出瞳が像側に寄り、シェーディングを引き起こす原因となる。そのため、第2レンズ群G2は、3つの正レンズ成分を有することが好ましく、正負正と構成した場合に比べ、曲率が弱くなるため残存収差の量が少なくなり、製造誤差も抑えることができる。
また、第2レンズ群はG2、物体側に正レンズ及び像側に負レンズが配置された接合レンズを少なくとも1枚有し、当該接合レンズの最も像側の面は像側に凹面を向けていることが好ましく、球面収差を良好に補正することができる。また、画角が広がるので、高いズーム比を確保することができる。なお、この接合レンズの最も像側の面が像側に凹面を向けていないと、高次の収差が増大してしまうため好ましくない。また、ペッツバール和の補正が難しくなり、広角端での像面湾曲が悪化する。さらに、球面収差が増大するため好ましくない。
また、第2レンズ群G2は、連続して並ぶ2つの接合レンズを有し、当該2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズは、物体側に正レンズ及び像側に負レンズを有し、像側に配置された接合レンズは、物体側に負レンズ及び像側に正レンズを有することが好ましい。このような構成とすることにより、コマ収差や高次の収差を良好に補正することができる。
さらに、射出瞳を遠ざける必要がある場合には、第2レンズ群G2は、連続して並ぶ2つの接合レンズを有し、当該2つの接合レンズはいずれも、物体側に正レンズ及び像側に負レンズを有することが好ましい。このような構成では、収差をさほど悪化させることなく、全体を小型化したまま射出瞳を遠ざけることができる。またその場合、像側の接合レンズの最も像側の面に非球面を施すことが望ましい。
また、第2レンズ群G2は、少なくとも2枚の両凸レンズを有することが好ましい。
また、第2レンズ群G2は、複数の接合レンズを有し、当該接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズを構成する正レンズは両凸レンズであることが好ましい。このように、物体側に配置した正レンズを両凸レンズにすると、球面収差を良好に補正することができる。また、正のパワーが強まるためペッツバール和がより大きくなり、良好な像面湾曲の補正が可能になるため好ましい。
このようなズームレンズ系ZLは、第2レンズ群G2の少なくとも2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離をΣfとし、像面の最大像高をYとするとき、以下に示す条件式(1)を満足することが望ましい。
0.02 < Y/Σf < 0.26 (1)
条件式(1)は、第2レンズ群G2内に配置された接合レンズの合成焦点距離を像高で規定するものである。像高はftanθで表されるため、条件式(1)の上限値を上回ると、接合レンズの合成焦点距離が長くなり過ぎて、バックフォーカスは十分に確保できるが、第2レンズ群G2全体が大きくなり小型のズームレンズ系ZLを達成するのが困難である。また、第2レンズ群G2が全て正成分であるため、球面収差の補正が困難で、コマ収差の画角の差による変動も大きくなる。これを改善しようとすると、像面湾曲や歪曲収差の補正が困難となるなるため好ましくない。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.24にすることが好ましい。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.20にすることが更に好ましい。反対に、条件式(1)の下限値を下回ると、画角が小さくなり、像面上での像高を確保することができない。あるいは、十分なズーム比を確保できない。また、接合レンズに含まれる凹成分のパワーが強まるため、球面収差や上方コマ収差をはじめとする諸収差の補正が困難となるか、また、全長が短か過ぎて射出瞳が像側に変位し、像面における光のケラレ、いわゆるシェーディングを引き起こしてしまうため好ましくない。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.05にすることが好ましい。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.08にすることが更に好ましい。
また、このズームレンズ系ZLは、広角端状態におけるFナンバーをFNoWとし、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際の全長のうち、最大となる全長をTLとするとき、以下に示す条件式(2)を満足することが望ましい。
0.03 < FNoW/TL ≦ 0.07 [1/mm] (2)
条件式(2)は、広角端でのFナンバーと全長とを規定する条件式である。条件式(2)を満足することで、画角に対する光学系全体の大きさを推し量ることができる。条件式(2)の上限値を上回ると、各レンズ群のパワーが強まり、球面収差をはじめとする諸収差の補正が困難となるか、もしくは十分な画角をとることができずズーム比が確保できなくなる。また、全長が短すぎて射出瞳が像側に変位し、像面における光のケラレ、いわゆるシェーディングをひきおこしてしまうため好ましくない。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を0.065にすることが好ましい。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を0.06にすることが更に好ましい。反対に、条件式(2)の下限値を下回ると、レンズ全体が大型化してしまい、それを改善しようとすると十分な像面湾曲や歪曲収差の補正が困難となるため好ましくない。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を0.032にすることが好ましい。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.033にすることが更に好ましい。
また、このズームレンズ系ZLは、第2レンズ群G2の少なくとも2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離をΣfとし、広角端状態における全系の焦点距離をfwとし、望遠端状態における全系の焦点距離をftとしたとき、以下に示す条件式(3)を満足することが望ましい。
0.04 < (fw・ft)1/2/Σf < 0.70 (3)
条件式(3)は、第2レンズ群G2内に含まれる2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から、像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの軸上合成焦点距離と、ズームレンズ系ZL全体での中間焦点距離とを規定するものである。条件式(3)の上限値を上回ると、曲率半径が小さくなり過ぎるため変倍によるコマ収差の変動が増え、軸外収差の補正が困難となるため好ましくない。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を0.6にすることが好ましい。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の上限値を0.4にすることが更に好ましい。反対に、条件式(3)の下限値を下回ると、接合レンズの合成焦点距離が大きくなり過ぎるため、第2レンズ群G2の移動量が増大し、望遠端で第1レンズ群G1と第2レンズ群G2間との距離が保てなくなる。または、第2レンズ群G2内の他のレンズの負担が大きくなり、球面収差やコマ収差の補正が難しくなるため好ましくない。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を0.06にすることが好ましい。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を0.08にすることが更に好ましい。
また、このズームレンズ系ZLにおいて、第2レンズ群G2は、物体側に正レンズ及び像側に負レンズが配置された接合レンズを少なくとも1枚有し、当該接合レンズの最も像側の面は像側に凹面を向けていることが好ましい。当該凹面により、球面収差を良好に補正することができる。また、画角が広がるので、高いズーム比を確保することができる。また、当該接合レンズを構成する負レンズのうち少なくとも1枚は、d線に対する屈折率をndとしたとき、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
nd > 1.77 (4)
条件式(4)は、第2レンズ群G2に含まれる負レンズのd線(λ=587.6nm)に対する屈折率を規定するものである。条件式(4)の下限値を下回ると、曲率半径が小さくなり過ぎ高次の収差が増大してしまう。また、ペッツバール和の補正が難しくなり、広角端での像面湾曲が悪化するため好ましくない。条件式を(4)を満足することで、曲率半径を小さくすることができ、高次の収差を押さえることができる。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を1.80にすることが好ましい。また、条件式(4)の下限値を1.90にすることが更に好ましく、ペッツバール和が上がり、本実施形態の効果を更に確実にすることができる。
また、本ズームレンズ系ZLは、第2レンズ群G2の少なくとも一部のレンズ群が、光軸と垂直方向の成分を持つように移動する構成である。この構成により、防振時も偏心コマ収差が少ない良好な光学性能を得ることができる。
また、本ズームレンズ系ZLは、第2レンズ群G2の接合レンズの少なくとも一つが、光軸と垂直方向の成分を持つように移動する構成である。この構成により、防振時も編心コマ収差が少ない良好な光学性能を得ることができる。
図11及び図12に、上述のズームレンズ系ZLを備える光学機器として、電子スチルカメラ1(以後、単にカメラと記す)の構成を示す。このカメラ1は、不図示の電源ボタンを押すと撮影レンズ(ズームレンズ系ZL)の不図示のシャッタが開放され、ズームレンズ系ZLで不図示の被写体からの光が集光され、像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、カメラ1の背後に配置された液晶モニター2に表示される。撮影者は、液晶モニター2を見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズボタン3を押し下げ被写体像を撮像素子Cで撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。
このカメラ1には、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部4、ズームレンズ系ZLを広角端状態(W)から望遠端状態(T)にズーミングする際のワイド(W)−テレ(T)ボタン5、及び、カメラ1の種々の条件設定等に使用するファンクションボタン6等が配置されている。なお、図11ではカメラ1とズームレンズ系ZLとが一体に成形されたコンパクトタイプのカメラを例示したが、光学機器としては、ズームレンズ系ZLを有するレンズ鏡筒とカメラボディ本体とが着脱可能な一眼レフカメラでも良い。
以下に記載の内容は、光学特性を損なわない範囲で適宜採用可能である。
上述の説明及び以降に示す実施形態においては、2群構成を示したが、3群、4群等の他の群構成にも適用可能である。具体的には、最も物体側に正または負のレンズ若しくはレンズ群を追加した構成や、最も像側に正または負のレンズ若しくはレンズ群を追加した構成が挙げられる。
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この場合、合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。特に、第1レンズ群G1または第2レンズ群G2の最も像側のレンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とするのが好ましい。また、本ズームレンズ系ZL全体または撮像面を移動させても良い。
また、本実施形態においては、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向に移動させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としても良い。特に、第2レンズ群G2の少なくとも一部を防振レンズ群とするのが好ましい。このように、本実施形態に係るズームレンズ系ZLは、いわゆる防振ズーレンズ系として機能させることが可能である。
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
開口絞りSは、第2レンズ群G2の中または近傍に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
さらに、各レンズ面には、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施すことにより、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成できる。
本実施形態のズームレンズ系ZLは、変倍比が2.0〜5.0程度、好ましくは、2.5〜4.0程度である。
本実施形態においては、第1レンズ群G1が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を1つまたは2つ有するのが好ましい。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、負正または負負正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
また、上記の説明においては、第2レンズ群G2が正のレンズ成分を3つ有するのが好ましいことを説明したが、本実施形態においては、正のレンズ成分を2つと負のレンズ成分を1つ有するものであっても良い。この場合、第2レンズ群G2は、物体側から順に、正負正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
また、本実施形態のズームレンズ系ZLは、最も像側に配置されるレンズ成分の像側面から像面までの光軸上の距離(バックフォーカス)が最も小さい状態で、10〜30mm程度とするのが好ましい。
また、本実施形態のズームレンズ系ZLは、像高を5.0〜12.5mmとするのが好ましく、5.0〜9.5mmとするのがより好ましい。
なお、本発明を分かり易く説明するために実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
以下、本発明の各実施例を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係るズームレンズ系ZLの構成を示す断面図であり、このズームレンズ系ZLの屈折力配分及び広角端状態(W)から望遠端状態(T)への焦点距離状態の変化における各レンズ群の移動の様子を図1の下方に矢印で示している。この図1のズームレンズ系ZL1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。このズームレンズ系ZL1は、広角端状態から望遠端状態にレンズ位置状態が変化する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化するよう構成されている。
また、各実施例では、第2レンズ群G2と像面Iとの間(ただし、第2参考例では、第3レンズ群G3と像面Iとの間)に、像面Iに配設されるCCD等の固体撮像素子の限界解像以上の空間周波数をカットするためのローパスフィルターP1を有している。
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐定数をκとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で表される。なお、以降の実施例において、「E−n」は「×10-n」を示す。
S(y)=(y2/r)/{1+(1−κ×y2/r21/2
+A3×|y|3+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 (a)
なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0である。また、各実施例の表中において、非球面には面番号の左側に*印を付している。
〔第1実施例〕
図1は、第1実施例に係るズームレンズ系ZL1の構成を示す図である。この図1のズームレンズ系ZL1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。
第1レンズ群G1は、全体として負の屈折力を有し、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、両凹レンズL12、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13の3枚のレンズから構成される。第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21、開口絞りS、両凸レンズL22と両凹レンズL23との接合レンズ、及び、両凸レンズL24と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25との接合レンズの5枚のレンズから構成される。
以下の表1に、第1実施例の諸元の値を掲げる。この表1において、fは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角、Bfはバックフォーカスをそれぞれ表している。さらに、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、面間隔は各光学面から次の光学面までの光軸上の間隔を、屈折率及びアッベ数はそれぞれd線(λ=587.6nm)に対する値を示している。ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径、面間隔、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。なお、曲率半径0.0000は平面を示し、空気の屈折率1.00000は省略してある。また、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
(表1)
面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
*1 25.5785 1.3000 40.1 1.85135
*2 8.0567 5.7929
3 -91.4570 1.0000 63.4 1.61800
4 39.4179 1.1850
5 19.9537 2.4000 23.8 1.84666
6 62.1323 (d1)
7 13.4068 1.5940 55.5 1.69680
8 57.0304 1.0000
9 0.0000 1.0000 開口絞り
10 12.7614 2.0000 65.5 1.60300
11 -76.8213 1.0000 31.3 1.90366
12 20.9431 3.7407
13 26.3626 3.0000 82.6 1.49782
14 -14.2354 1.0000 40.4 1.80610
*15 -51.9777 (d2)
16 0.0000 3.5000 64.1 1.51680
17 0.0000 (Bf)

広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 10.25 〜 17.30 〜 29.30
Bf = 5.4 〜 5.4 〜 5.4
FNO = 3.60 〜 4.50 〜 5.86
2ω = 82.7° 〜 53.0° 〜 32.4°
この第1実施例において、第1面、第2面、及び、第15面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表2に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A3〜A10の値を示す。
(表2)
面 κ A3 A4 A6 A8 A10
1 0.2118 0.00000E+00 -1.29310E-05 7.99520E-08 -6.27380E-11 -6.50010E-13
2 0.3044 0.00000E+00 5.73110E-05 3.71930E-07 1.83250E-09 3.44660E-11
15 -153.5916 0.00000E+00 4.17600E-05 4.39600E-06 -1.85930E-08 -2.23890E-10
この第1実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2とローパスフィルターP1との軸上空気間隔d2は、ズーミングに際して変化する。次の表3に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表3)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 10.25 17.30 29.30
d1 21.31135 8.63141 1.08108
d2 10.96792 18.43769 31.15218
全長 66.76193 61.55175 66.71592
次の表4に、この第1実施例における各条件式対応値を示す。なおこの表4において、Σfは第2レンズ群G2の物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から、像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離を、Yは像面の最大像高を、FNoWは広角端状態におけるFナンバーを、TLは広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際の最大となる全長を、fwは広角端状態における全系の焦点距離を、ftは望遠端状態における全系の焦点距離を、ndは第2レンズ群G2の物体側に配置された接合レンズを構成する負レンズのd線に対する屈折率を、それぞれ表している。以降の実施例においてもこの符号の説明は同様である。
(表4)
(1)Y/Σf=0.133
(2)FNoW/TL=0.054
(3)(fw・ft)1/2/Σf=0.272
(4)nd=1.904
この第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図2(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図2(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図2(c)に示す。
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、dはd線(λ=587.6nm)を、gはg線(λ=435.6nm)をそれぞれ示している。また、球面収差図では、最大口径に対応するFナンバーを示し、非点収差図、歪曲収差図では像高Yの最大値を示し、コマ収差図では各像高の値を示す。また、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。なお、この収差図の説明は以降の実施例においても同様である。各収差図から明らかなように、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することがわかる。
第1参考例
図5は、第1参考例に係るズームレンズ系ZL2の構成を示す図である。この図5のズームレンズ系ZL2は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。
第1レンズ群G1は、全体として負の屈折力を有し、物体側に凸面を向け、像側の面が非球面状に形成された、ガラス材料と樹脂材料との複合からなる複合型負メニスカス非球面レンズL11、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12の2枚のレンズから構成される。第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21、開口絞りS、両凸レンズL22と両凹レンズL23との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と両凸レンズL25との接合レンズの5枚のレンズから構成される。なお、第1参考例では、第2レンズ群G2と像面Iとの間に、フレア絞りFSが配置され、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第2レンズ群G2とともに移動する。
以下の表5に、第1参考例の諸元の値を掲げる。
(表5)
面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 93.4396 1.2000 49.6 1.77250
2 10.1878 0.1200 38.1 1.55389
*3 7.7047 8.3448
4 21.4779 2.6543 23.1 1.86074
5 38.8092 (d1)
6 32.3261 2.0000 81.6 1.49700
7 -43.4769 0.0618
8 0.0000 0.5000 開口絞り
9 14.5431 3.0000 64.1 1.51680
10 -24.4746 1.0000 49.6 1.77250
11 42.2708 6.8153
12 32.1776 1.0000 37.2 1.83400
13 9.1722 3.0000 64.1 1.51680
14 -22.8219 (d2)
15 0.0000 (d3) フレア絞り
16 0.0000 3.0000 64.1 1.51680
17 0.0000 (Bf)

広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 10.57 〜 18.00 〜 30.00
Bf = 5.0 〜 5.0 〜 5.0
FNO = 2.76 〜 3.83 〜 5.44
2ω = 80.4° 〜 51.2° 〜 31.8°
この第1参考例において、第3面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表6に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A3〜A10の値を示す。
(表6)
面 κ A3 A4 A6 A8 A10
3 0.0375 0.22189E-04 1.40590E-05 -2.76700E-07 1.87880E-09 -2.56910E-11
この第1参考例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2とフレア絞りFSとの軸上空気間隔d2、フレア絞りFSとローパスフィルターP1との軸上空気間隔d3は、ズーミングに際して変化する。次の表7に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表7)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 10.57 18.00 30.00
d1 26.84096 10.55391 1.28586
d2 1.07045 6.16931 14.40435
d3 15.81175 19.98355 26.72130
全長 81.41941 74.40302 80.10777
次の表8に、この第1参考例における各条件式対応値を示す。
(表8)
(1)Y/Σf=0.180
(2)FNoW/TL=0.034
(3)(fw・ft)1/2/Σf=0.376
(4)nd=1.773
この第1参考例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図4(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図4(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図4(c)に示す。各収差図から明らかなように、第1参考例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することがわかる。
〔第3実施例〕
図5は、第3実施例に係るズームレンズ系ZL3の構成を示す図である。この図5のズームレンズ系ZL3は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。
第1レンズ群G1は、全体として負の屈折力を有し、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、両凹レンズL12、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13の3枚のレンズから構成される。第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21、開口絞りS、両凸レンズL22と両凹レンズL23との接合レンズ、及び、両凸レンズL24と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25との接合レンズの5枚のレンズから構成される。
以下の表9に、第3実施例の諸元の値を掲げる。
(表9)
面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
*1 10.0961 0.8000 40.1 1.85135
*2 4.0283 3.2496
3 -45.7285 0.8000 63.4 1.61800
4 16.3306 0.7800
5 9.9066 1.2000 23.8 1.84666
6 23.4229 (d1)
7 6.3806 1.2000 52.3 1.75500
8 28.6099 0.5000
9 0.0000 0.5000 開口絞り
10 6.6664 1.0000 65.5 1.60300
11 -39.1993 0.8000 28.3 2.00330
12 11.0815 0.7078
13 18.6839 1.5000 82.6 1.49782
14 -10.6077 0.8000 40.4 1.80610
*15 -47.7071 (d2)
16 0.0000 0.5000 64.1 1.51680
17 0.0000 (Bf)

広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 5.10 〜 8.75 〜 15.00
Bf = 2.9 〜 2.9 〜 2.9
FNO = 3.60 〜 4.53 〜 6.04
2ω = 62.5° 〜 37.9° 〜 22.6°
この第3実施例において、第1面、第2面、及び、第15面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表10に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A3〜A10の値を示す。
(表10)
面 κ A3 A4 A6 A8 A10
1 0.2118 0.00000E+00 -1.03450E-04 2.55850E-06 -8.03050E-09 -3.32810E-10
2 0.3127 0.00000E+00 3.79380E-04 3.05030E-05 -7.07950E-07 5.03510E-08
15 -306.8406 0.00000E+00 1.58760E-03 4.22070E-05 1.77320E-05 -1.78120E-06
この第3実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2とローパスフィルターP1との軸上空気間隔d2は、ズーミングに際して変化する。次の表11に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表11)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 5.12 8.65 14.65
d1 11.07012 4.68429 0.96652
d2 5.83567 9.62250 16.10679
全長 34.14316 31.54416 34.31067
次の表12に、この第3実施例における各条件式対応値を示す。
(表12)
(1)Y/Σf=0.035
(2)FNoW/TL=0.105
(3)(fw・ft)1/2/Σf=0.103
(4)nd=2.003
この第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図6(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図6(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図6(c)に示す。各収差図から明らかなように、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することがわかる。
第2参考例
図7は、第2参考例に係るズームレンズ系ZL4の構成を示す図である。この図7のズームレンズ系ZL4は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3から構成される。
第1レンズ群G1は、全体として負の屈折力を有し、両凸レンズL11、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12、両凹レンズL13、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14の4枚のレンズから構成される。第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、開口絞りS、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21、両凸レンズL22と両凹レンズL23との接合レンズ、及び、両凸レンズL24と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25との接合レンズの5枚のレンズから構成される。第3レンズ群G3は、全体として正の屈折力を有し、両凸レンズL31の1枚のレンズから構成される。
以下の表13に、第2参考例の諸元の値を掲げる。
(表13)
面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 115.9747 2.0000 60.2 1.64000
2 -68.9820 0.1000
3 100.0798 1.0000 43.0 1.83500
4 8.8788 3.2000
5 -99.6193 1。0000 64.2 1.51680
6 26.1734 0.6000
7 14.2994 2.0000 23.8 1.84666
8 36.0022 (d1)
9 0.0000 0.5000 開口絞り
10 13.4448 1.5940 55.5 1.69680
11 59.9470 1.0000
12 12.9107 2.0000 65.5 1.60300
13 -106.2080 1.0000 31.3 1.90366
14 21.0886 3.7407
15 21.1966 3.0000 82.6 1.49782
16 -14.8929 1.0000 40.4 1.80610
*17 -51.6483 (d2)
18 3781.7780 2.6000 70.5 1.48749
19 -55.1517 2.1874
20 0.0000 3.2600 64.2 1.51680
21 0.0000 (Bf)

広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 9.80 〜 16.40 〜 27.60
Bf = 4.0 〜 4.0 〜 4.0
FNO = 3.63 〜 4.51 〜 6.02
2ω = 53.3° 〜 32.4° 〜 19.4°
この第4実施例において、第17面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表14に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A3〜A10の値を示す。
(表14)
面 κ A3 A4 A6 A8 A10
17 -154.3886 0.00000E+00 4.45810E-05 5.19000E-06 1.22970E-08 -2.68330E-09
この第2参考例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2は、ズーミングに際して変化する。次の表15に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表15)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 9.80 16.40 27.60
d1 20.25218 8.32372 1.13626
d2 6.13977 12.62652 23.63435
全長 62.17410 56.73240 60.55276
次の表16に、この第2参考例における各条件式対応値を示す。
(表16)
(1)Y/Σf=0.010
(2)FNoW/TL=0.058
(3)(fw・ft)1/2/Σf=0.353
(4)nd=1.904
この第2参考例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図8(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図8(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図8(c)に示す。各収差図から明らかなように、第2参考例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することがわかる。
〔第5実施例〕
図9は、第5実施例に係るズームレンズ系ZL5の構成を示す図である。この図9のズームレンズ系ZL5は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成される。
第1レンズ群G1は、全体として負の屈折力を有し、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13の3枚のレンズから構成される。第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、両凸レンズL21、開口絞りS、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22と像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL23との接合レンズ、及び、両凸レンズL24と像側に凸面を向けた向けた負メニスカスレンズL25との接合レンズの5枚のレンズから構成される。
以下の表17に、第5実施例の諸元の値を掲げる。
(表17)
面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 39.4187 1.0000 49.2 1.76802
*2 8.2510 5.9900
3 100.0000 1.0000 65.4 1.60300
4 26.7669 1.7494
5 18.6438 2.0628 23.8 1.84666
6 38.9733 (d1)
7 20.5516 1.6053 81.6 1.49700
8 -405.9990 1.0000
9 0.0000 1.0000 開口絞り
10 11.8321 2.5000 52.3 1.75500
11 195.6077 1.0545 28.3 2.00330
12 18.5805 3.5589
13 22.8835 6.2633 81.6 1.49700
14 -13.2799 1.0000 40.8 1.88300
*15 -41.6179 (d2)
16 0.0000 3.0700 64.2 1.51680
17 0.0000 (Bf)

広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 10.25 〜 17.30 〜 27.00
Bf = 0.5 〜 0.5 〜 0.5
FNO = 3.18 〜 4.07 〜 5.31
2ω = 82.7° 〜 52.9° 〜 35.0°
この第5実施例において、第2面、及び、第15面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表18に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A3〜A10の値を示す。
(表18)
面 κ A3 A4 A6 A8 A10
2 0.3474 0.00000E+00 3.47310E-05 5.73590E-07 -4.09680E-09 3.59140E-11
15 -136.5884 0.00000E+00 -9.19680E-05 8.93280E-06 -1.74550E-07 1.94360E-09
この第5実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2とローパスフィルターP1との軸上空気間隔d2は、ズーミングに際して変化する。次の表19に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表19)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 10.25 17.30 27.00
d1 20.00031 7.49502 0.96317
d2 14.83670 22.50971 33.06690
全長 68.19112 63.35885 67.38419
次の表20に、この第5実施例における各条件式対応値を示す。
(表20)
(1)Y/Σf=0.255
(2)FNoW/TL=0.047
(3)(fw・ft)1/2/Σf=0.499
(4)nd=2.003
この第5実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図10(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図10(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図10(c)に示す。各収差図から明らかなように、第5実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することがわかる。
第1実施例によるズームレンズ系の構成を示す断面図である。 第1実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における諸収差図であり、(c)は望遠端状態における諸収差図である。 第1参考例によるズームレンズ系の構成を示す断面図である。 第1参考例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における諸収差図であり、(c)は望遠端状態における諸収差図である。 第3実施例によるズームレンズ系の構成を示す断面図である。 第3実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における諸収差図であり、(c)は望遠端状態における諸収差図である。 第2参考例によるズームレンズ系の構成を示す断面図である。 第2参考例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における諸収差図であり、(c)は望遠端状態における諸収差図である。 第5実施例によるズームレンズ系の構成を示す断面図である。 第5実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における諸収差図であり、(c)は望遠端状態における諸収差図である。 本発明に係るズームレンズ系を搭載する電子スチルカメラを示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。 図11(a)のA−A′線に沿った断面図である。
符号の説明
ZL(ZL1〜ZL5) ズームレンズ系
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群
S 開口絞り
1 電子スチルカメラ(光学機器)

Claims (13)

  1. 物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、からなり
    前記第1レンズ群は、物体側より順に、2枚の負レンズと、1枚の正レンズと、からなり
    前記第2レンズ群は、物体側より順に、正の単レンズと、開口絞りと、前記開口絞りより像側に配置された少なくとも2つの接合レンズを有し、正のレンズ成分で構成されており、
    広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、
    前記第2レンズ群の少なくとも2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から、像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離をΣfとし、像面の最大像高をYとするとき、次式
    0.02 < Y/Σf < 0.20
    の条件を満足するズームレンズ系。
    なお、レンズ成分は、単レンズ又は接合レンズを示す。
  2. 前記第2レンズ群は、3つの正レンズ成分を有する請求項1に記載のズームレンズ系。
  3. 広角端状態におけるFナンバーをFNoWとし、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際の全長のうち、最大となる全長をTLとするとき、次式
    0.03 < FNoW/TL ≦ 0.07 [1/mm]
    の条件を満足する請求項1または2に記載ズームレンズ系。
  4. 前記第2レンズ群の少なくとも2つの接合レンズのうち、物体側に配置された接合レンズの最も物体側の面から像側に配置された接合レンズの最も像側の面までの合成焦点距離をΣfとし、広角端状態における全系の焦点距離をfwとし、望遠端状態における全系の焦点距離をftとき、次式
    0.04 < (fw・ft)1/2/Σf < 0.70
    の条件を満足する請求項1〜3のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  5. 前記第2レンズ群は、物体側に正レンズ及び像側に負レンズが配置された接合レンズを少なくとも1枚有し、当該接合レンズの最も像側の面は像側に凹面を向けている請求項1〜4のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  6. 前記第2レンズ群は、物体側に正レンズ及び像側に負レンズが配置された接合レンズを少なくとも1枚有し、当該接合レンズを構成する負レンズのうち少なくとも1枚は、d線に対する屈折率をndとしたとき、次式
    nd > 1.77
    の条件を満足する請求項1〜5のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  7. 前記第2レンズ群は、連続して並ぶ2つの接合レンズを有し、当該2つの接合レンズのうち、物体側に配置された前記接合レンズは、物体側に正レンズ及び像側に負レンズを有し、像側に配置された前記接合レンズは、物体側に負レンズ及び像側に正レンズを有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  8. 前記第2レンズ群は、連続して並ぶ2つの接合レンズを有し、当該2つの接合レンズはいずれも、物体側に正レンズ及び像側に負レンズを有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  9. 前記第2レンズ群は、少なくとも2枚の両凸レンズを有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  10. 前記第2レンズ群は、複数の接合レンズを有し、当該接合レンズのうち、物体側に配置された前記接合レンズを構成する正レンズは両凸レンズである請求項1〜9のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  11. 前記第2レンズ群の少なくとも一部のレンズ群は、光軸と垂直方向の成分を持つように移動する請求項1〜10のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  12. 前記第2レンズ群の前記接合レンズの少なくとも一つは、光軸と垂直方向の成分を持つように移動する請求項1〜10のいずれか一項に記載のズームレンズ系。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のズームレンズ系を有する光学装置。
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