JP2009020056A - 建物損傷度判定装置および建物損傷度判定方法 - Google Patents

建物損傷度判定装置および建物損傷度判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易かつ低コストで建物の損傷度を迅速に判定することができる建物損傷度判定装置および建物損傷度判定方法を提供すること。
【解決手段】 地震波による建物の加速度応答を加速度センサ21で計測し、スペクトル解析処理手段43により加速度応答を用いてランニングスペクトルを算出し、卓越周期抽出処理手段44によりランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて振幅がピーク値をとる卓越周期を求め、最長周期決定処理手段45により各時間区切りの卓越周期のうち最長周期を求め、変形角算出処理手段46により最長周期を用いて建物の変形角を推定算出し、建物損傷度判定処理手段47により変形角の大小に応じて建物の損傷度を判定し、この判定結果を外部出力装置30に出力する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、地震時に被害を受けた建物の損傷度を判定する建物損傷度判定装置および建物損傷度判定方法に係り、例えば、大地震で被害を受ける可能性の高い老朽化した木造家屋等の被害レベルを判定する場合などに利用できる。
一般に、大地震で建物が被害を受けたとき、その建物の損傷度を正確かつ迅速に把握することは、余震による建物倒壊から生じる2次被害を軽減させるのに不可欠である。すなわち、被害を受けた建物をそのまま使用してよいのか、あるいは避難した方がよいのかを迅速に判定する必要性がある。
このような要請に対し、現在行われている応急危険度判定は、人の目視によるものであり、例えば地元の応急危険度判定士によって人海戦術で行われるため、数日余という時間がかかり、本震直後に発生する大きな余震に対応することができない。
一方、建物の上部と下部に加速度センサを設置し、これらの2個の加速度センサにより計測された加速度データを2階積分して計測点での変位を算出することにより、建物の損傷度を判定する装置が開発されている(特許文献1参照)。
また、建物の上部と下部に加速度センサを設置し、これらの2個の加速度センサにより計測された加速度データの差から建物にかかる応力を算出することにより、建物の損傷度を判定する装置も開発されている(特許文献2参照)。
特開2003−344213号公報(要約、請求項1) 特開2003−294574号公報(要約、請求項1)
しかしながら、前述した特許文献1,2に記載された2個の加速度センサを用いる装置では、装置の規模が大きく、コストもかかるため、被害が最も生じる老朽化した木造家屋等の既存不適格建物に用いることは、現実的に困難である。従って、1個の加速度センサを用いてその建物の損傷度を推定することができれば、判定装置を簡易化、低コスト化することが可能となり、普及に繋がると考えられる。
本発明の目的は、簡易かつ低コストで建物の損傷度を迅速に判定することができる建物損傷度判定装置および建物損傷度判定方法を提供するところにある。
本発明の建物損傷度判定装置は、建物に設置した加速度センサと、この加速度センサにより計測した加速度データを用いて計算機による演算処理を実行する演算処理手段と、この演算処理手段による処理結果を出力する外部出力装置とを備え、演算処理手段は、加速度センサにより計測した地震時の建物の加速度データを用いてランニングスペクトルを算出する処理を実行するスペクトル解析処理手段と、このスペクトル解析処理手段により算出したランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて振幅がピーク値をとる卓越周期を求める処理を実行する卓越周期抽出処理手段と、この卓越周期抽出処理手段により抽出した各時間区切りの卓越周期のうち周期が最長となる最長周期を求める処理を実行する最長周期決定処理手段と、この最長周期決定処理手段により求めた最長周期を用いて建物の変形角を推定算出する処理を実行する変形角算出処理手段と、この変形角算出処理手段により推定算出した変形角の大小に応じて建物の損傷度を判定する処理を実行する建物損傷度判定処理手段とを含んで構成され、外部出力装置は、建物損傷度判定処理手段による判定結果を出力する構成とされていることを特徴とするものである。
このような本発明の建物損傷度判定装置においては、地震波による建物の加速度応答のランニングスペクトルを利用して建物の地震応答の周期の伸びを捉え、最長周期を用いて建物の変形角を推定することにより、建物の損傷度(被害レベル、余震による倒壊危険性)を判定する。
このため、建物に設置した単一の加速度センサを用いて建物の被害レベルを自動判定することができるので、前述した特許文献1,2のような2個の加速度センサを用いた大がかりな装置の場合に比べ、装置の大幅な簡易化や大幅な低コスト化を図ることが可能となる。従って、被害が最も生じる老朽化した木造家屋等の既存不適格建物に用いることも可能となり、装置を普及させることができるようになる。
また、建物の損傷度の判定処理は、演算処理手段により自動的に行われ、その判定結果は、外部出力装置により出力されるので、各建物に本発明の建物損傷度判定装置を設置しておくことで、従来のように人の目視により人海戦術で判定を行い、その判定結果を示す「危険」、「要注意」「調査済」等の紙を各建物に順次貼っていく場合に比べ、各建物において迅速に判定処理を行い、その判定結果を各建物の住人に伝達することが可能となる。このため、本震直後に発生する大きな余震にも対応することができるようになり、これらにより前記目的が達成される。
さらに、前述した建物損傷度判定装置において、演算処理手段は、加速度センサにより計測した地震時の建物の加速度データの中から最大加速度データを求め、時系列に並べられた建物の加速度データのうち、最初に最大加速度データの一定比率以上の値となった時点から、最後に最大加速度データの一定比率以上の値となった時点までの時間帯の加速度データを、スペクトル解析処理手段による処理対象として決定する処理を実行する解析範囲決定処理手段を含んで構成されていることが望ましい。
このように最大加速度応答を求め、最大加速度応答に対して加速度応答が一定比率以上の値をとっている時間帯を解析範囲とした場合には、地震応答のほぼ終了した時点での非常に小さな振幅による周期を捉え、そのときの卓越周期を、建物損傷度判定のための変形角の推定算出用の最長周期として採用してしまうという不都合を回避することが可能となり、判定精度を、より一層向上させることが可能となる。
そして、本発明の建物損傷度判定方法は、建物に加速度センサを設置し、この加速度センサにより地震時の建物の加速度データを計測し、計測した加速度データを用いてランニングスペクトルを算出し、このランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて振幅がピーク値をとる卓越周期を求め、求めた各時間区切りの卓越周期のうち周期が最長となる最長周期を求め、この最長周期を用いて建物の変形角を推定算出し、推定算出した変形角の大小に応じて建物の損傷度を判定することを特徴とするものである。
このような本発明の建物損傷度判定方法においては、建物に設置した単一の加速度センサを用いて建物の被害レベルを判定することができるので、前述した特許文献1,2のように2個の加速度センサを用いる場合に比べ、簡易な設備による低コストでの判定を実現することが可能となり、被害が最も生じる老朽化した木造家屋等の既存不適格建物の損傷度の判定にも使用することが可能となる。
また、建物の加速度応答のランニングスペクトルを利用して建物の地震応答の周期の伸びを捉え、最長周期を用いて建物の変形角を推定するので、加速度センサにより計測した加速度を2階積分して変位を求めるといった処理を行う必要はない。このため、2階積分のときのような測定ノイズの影響を受けることはなく、単一の加速度センサでも、精度の良い判定を行うことが可能となり、これらにより前記目的が達成される。また、加速度を2階積分して求めた変位の情報と合わせればより高い精度で建物の変形角を推定することもできる。
さらに、前述した建物損傷度判定方法において、ランニングスペクトルを算出する際には、加速度センサにより計測した地震時の建物の加速度データの中から最大加速度データを求め、時系列に並べられた建物の加速度データのうち、最初に最大加速度データの一定比率以上の値となった時点から、最後に最大加速度データの一定比率以上の値となった時点までの時間帯の加速度データを対象とすることが望ましい。
このように最大加速度応答を求め、最大加速度応答に対して加速度応答が一定比率以上の値をとっている時間帯を解析範囲とした場合には、地震応答のほぼ終了した時点での非常に小さな振幅による周期を除外して最長周期を求め、建物の損傷度の判定を行うことが可能となるので、判定精度を、より一層向上させることが可能となる。
以上に述べたように本発明によれば、地震波による建物の加速度応答のランニングスペクトルを利用して建物の地震応答の周期の伸びを捉え、最長周期を用いて建物の変形角を推定することにより、建物の損傷度を判定するので、単一の加速度センサでの判定が可能となり、設備の大幅な簡易化、大幅な低コスト化、装置の普及を図ることができるうえ、従来のような人海戦術での目視による判定の場合に比べ、自動判定により迅速に判定結果を得ることが可能となり、さらに、加速度を2階積分して変位を求める処理も必要ないので、精度の良い判定を実現することができるという効果がある。また、加速度を2階積分して求めた変位の情報と合わせればより高い精度で建物の変形角を推定することもできる。
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の建物損傷度判定装置10を設置した建物1が示されている。図2には、建物損傷度判定装置10の全体構成が示されている。また、図3には、建物損傷度判定装置10による建物損傷度判定処理の全体の流れがフローチャートで示され、図4には、建物損傷度判定処理中の地震応答取得処理の流れがフローチャートで示されている。図5は、地震応答の取得および解析のタイミングの説明図であり、図6は、応答加速度の時刻歴と、各時間区切りの加速度応答スペクトルとの関係の説明図である。さらに、図7には、各時間区切りの卓越周期Tの時刻歴が示され、図8には、実験による応答履歴および応答履歴モデルが示されている。
図1において、建物損傷度判定装置10は、建物1の上部(例えば天井の梁等)に設置された本体20と、建物1内の台所や居間等の居室空間に設置された外部出力装置30とを備え、これらの本体20と外部出力装置30とが、ケーブル2または無線により接続されて構成されている。
図2において、本体20は、例えばワンチップの回路で構成され、ハードウェア構成としては、建物の加速度応答を計測する加速度センサ21と、この加速度センサ21の出力をA/D変換するA/D変換器22と、建物損傷度判定に関する各種の演算処理をプログラムに従って実行する中央演算処理装置(CPU)23と、外部出力装置30との信号の入出力用のI/Oインターフェース24と、主メモリ等の作業領域を構成するランダム・アクセス・メモリ(RAM)25と、建物損傷度判定用プログラム等を記憶する読出し専用メモリ(ROM)26と、各部に電力を供給する電源27とを備えている。電源27は、バッテリでも、コンセントへの差込み方式のものでもよい。
外部出力装置30は、建物の損傷度が大きいという判定結果(例えば、従来の応急危険度判定の「危険」に相当する判定結果)のときに点灯する赤ランプ31と、建物の損傷度が中程度という判定結果(例えば、従来の応急危険度判定の「要注意」に相当する判定結果)のときに点灯する黄ランプ32と、建物の損傷度が小さいという判定結果(例えば、従来の応急危険度判定の「調査済」に相当する判定結果)のときに点灯する緑ランプ33とを備え、これらのランプを点灯させることにより、建物1の住人に対し、建物1の損傷度を伝達するようになっている。なお、本実施形態では、損傷度の判定結果、つまり被害レベルを、3段階で出力するようになっているが、3段階に限定されるものではなく、2段階でも、4段階以上でもよい。
また、CPU23およびこのCPU23の動作手順を規定する1つまたは複数の建物損傷度判定用プログラム(ROM26に記憶されているプログラム)により、建物損傷度判定に関する各種の演算処理を実行する演算処理手段40が構成され、RAM25およびROM26により、演算処理手段40による演算処理に必要な各種のデータを記憶する加速度応答蓄積記憶手段50、最大加速度応答記憶手段51、最長周期記憶手段52、係数記憶手段53、および判定結果記憶手段54が構成されている。
演算処理手段40は、地震応答取得処理手段41と、解析範囲決定処理手段42と、スペクトル解析処理手段43と、卓越周期抽出処理手段44と、最長周期決定処理手段45と、変形角算出処理手段46と、建物損傷度判定処理手段47とを含んで構成されている。
地震応答取得処理手段41は、地震の開始判定、加速度応答の入力および保存、地震の終了判定の各処理を実行するものである。具体的には、地震応答取得処理手段41は、加速度センサ21により計測した加速度データAが、予め定められた閾値α(cm/s2)以上であるか否かを判断し、閾値α以上になったときに地震開始と判断し、加速度データAの保存を開始して加速度応答蓄積記憶手段50に順次記憶させていき、加速度センサ21により計測した加速度データAが閾値α未満である状態が、Δt秒間(例えば1秒間等)続いたときに(図5参照)、地震終了と判断し、次の処理へ移行する処理を実行する。
解析範囲決定処理手段42は、地震応答取得処理手段41により加速度応答蓄積記憶手段50に蓄積記憶された加速度データAの中から、加速度応答が最大である最大加速度データAmaxを求め、加速度応答蓄積記憶手段50に時系列に並べられて記憶された加速度データAのうち、最初に最大加速度データAmaxの一定比率β%(例えば5%等)以上の値となった時点から、最後に最大加速度データAmaxの一定比率β%以上の値となった時点(つまり、それ以降に、加速度データAが最大加速度データAmaxの一定比率β%以上の値となることがなくなった時点)までの時間帯(図5参照)の加速度データAを、スペクトル解析処理手段43による処理対象として決定する処理を実行するものである。
スペクトル解析処理手段43は、加速度センサ21により計測した地震時の建物1の加速度データを用いてランニングスペクトルを算出する処理を実行するものである(図6参照)。この際、スペクトル解析処理手段43は、例えば0.5秒置きに解析用のウィンドウ(窓)を設定し、例えば0.5秒置きの各時間区切りの加速度応答スペクトルを算出する。なお、本実施形態では、ウィンドウ間の時間的な隙間はなく、かつ、ウィンドウ同士の時間的な重なりもない状態で解析を行っているが、これに限定されるものではなく、時間的な隙間を設けてもよく、また、ウィンドウ同士を時間的に重ねてもよい。
卓越周期抽出処理手段44は、スペクトル解析処理手段43により算出したランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて、各周期の振幅(振幅の最大値)を比較し、振幅がピーク値をとる卓越周期Tを求める処理を実行するものである(図6参照)。
最長周期決定処理手段45は、卓越周期抽出処理手段44により抽出した各時間区切りの卓越周期Tのうち、周期が最長となる最長周期Ttを求める処理を実行するものである(図7参照)。
変形角算出処理手段46は、最長周期決定処理手段45により求めた最長周期Ttを用いて、次の式(1)により、建物の変形角Rtを推定算出する処理を実行するものである。
t=(Ry/Ty 2)×Tt 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、Ryは、降伏変形角であり、Tyは、降伏時の周期であり、構造種別や階数などの建物の種類が決まれば、一定の数値に定まるものである。従って、上記の式(1)により最長周期Tt(sec)から変形角Rt(%)を算出する際に用いられる係数(Ry/Ty 2)は、例えば、木造家屋では、(Ry/Ty 2)=65.40等のように、建物の種類毎に定まるものである。この係数(Ry/Ty 2)の値は、本実施形態では、予め本装置10の製造工場等でプリセットされてROM26に記憶されている。従って、様々な種類の建物に対応するために、値が異なる係数(Ry/Ty 2)を記憶したROM26、あるいはそれらのROM26を備えた建物損傷度判定装置10を用意しておく。なお、係数(Ry/Ty 2)の値は、建物損傷度判定用プログラム内に記述しておいてもよく、この場合には、値が異なる係数(Ry/Ty 2)を記述した建物損傷度判定用プログラムを記憶したROM26、あるいはそれらのROM26を備えた建物損傷度判定装置10を用意しておく。また、建物損傷度判定装置10に、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)や、フラッシュ・メモリ等を設けておき、装置10の設置者が、設置現場でマニュアル等に従って建物の種類に応じた係数(Ry/Ty 2)の値を入力設定し、これらのメモリに係数(Ry/Ty 2)の値を記憶させるようにしてもよい。さらに、複数種類の係数(Ry/Ty 2)の値を記憶したROM26か、複数種類の係数(Ry/Ty 2)の値を記述した建物損傷度判定用プログラムを記憶したROM26を備えた建物損傷度判定装置10を用意しておき、装置10の設置者が設置現場で建物の種類を選択し、その選択結果に基づいて建物の種類に応じた係数(Ry/Ty 2)の値が用いられるようにしてもよく、この場合、装置10の設置者による選択情報は、EEPROMやフラッシュ・メモリ等に記憶させてもよく、設置者にピン等を位置を選択して装着させたり、設置者にスイッチ操作をさせることにより把握できるようにしてもよい。また、この係数(Ry/Ty 2)の値を地震初期の小振幅時の卓越周期から求めることも可能である。
また、上記の式(1)は、次のようにして導かれる。図8には、振動実験により得られた応答履歴と、応答履歴モデルとが示されている。振動実験による応答履歴については、縦軸の復元力Qは、ロードセルを用いて測定し、横軸の変形角Rは、変位計を用いて変位Xを測定し、測定した変位Xを、地上からその変位Xの測定位置までの高さ寸法Lで除して得られたものである。なお、変形角Rとは、図1に示すように、建物の任意の部位の水平方向の変位Xを、地上から当該部位までの高さ寸法Lで除して得られる値(R=X/L)をいう。
図8の応答履歴モデルのように、降伏後耐力がQyで一定であると仮定する。部材実験から降伏変形角Ryおよび降伏剛性kyは分かっているので、降伏後の変形角Rに対する剛性kを、降伏変形角Ryおよび降伏剛性kyを用いて表してみると、次の式(2)のようになる。
k=Qy/R=(Ry/R)×(Qy/Ry)=(Ry/R)×ky ・・・(2)
ここで、kは、降伏後の剛性であり、Qyは、降伏時の復元力であり、Rは、降伏後の変形角であり、Ryは、降伏変形角であり、kyは、降伏時の剛性であり、ky=Qy/Ryである。
また、部材実験から降伏変形角Ryおよび降伏時の周期Tyは分かっているので、降伏後の変形角Rに対する周期Tを、降伏変形角Ryおよび降伏時の周期Tyを用いて表してみると、上記の式(2)を代入して、次の式(3)のようになる。
T=2π×(m/k)1/2=2π×[m/{(Ry/R)×ky}]1/2
=(R/Ry1/2×2π×(m/ky1/2
=(R/Ry1/2×Ty ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ここで、Tは、周期であり、mは、試験体の質量であり、kは、剛性であり、Ryは、降伏変形角であり、kyは、降伏時の剛性であり、Tyは、降伏時の周期であり、Ty=2π×(m/ky1/2である。
よって、上記の式(3)を変形すると、前述した式(1)のような周期Tから変形角Rを求める関係式が導かれる。
なお、前述した式(1)により、最長周期Ttを用いて変形角Rtを推定算出する過程は、図8で見ると、最長周期Ttを用いて、Tt=2π×(m/kt1/2により最長周期時の剛性ktを算出し、さらに、算出したktを示す斜線を引いて、降伏点Yから右に向かって延びるQyの線に当て、そこから下向きに線を降ろして変形角Rtを求めること、すなわち最長周期時の剛性ktを用いて、kt=Qy/Rtにより変形角Rtを求めることに相当する。従って、mおよびQyが既知であれば、最長周期Ttを用いて変形角Rtを推定算出することができ、あるいはこれらをまとめて、Rt={(Qy/m)/(2π)2}×Tt 2であるから、{(Qy/m)/(2π)2}の値が既知であれば、最長周期Ttを用いて変形角Rtを推定算出することができるので、mおよびQy、あるいは{(Qy/m)/(2π)2}の値を係数記憶手段53に記憶するか、建物損傷度判定用プログラム内に記述しておいてもよい。
建物損傷度判定処理手段47は、変形角算出処理手段46により推定算出した変形角Rtの大小に応じて、建物の損傷度を判定し、その判定結果を示す信号をI/Oインターフェース24を介して外部出力装置30へ送信する処理を実行するものである。具体的には、建物損傷度判定処理手段47は、推定算出した変形角Rtが、例えば、3.0%以上の場合には、建物の損傷度が大きいという判定結果(従来の応急危険度判定の「危険」に相当する判定結果)を示す信号として、赤ランプ31を点灯させるための信号を外部出力装置30へ送信し、例えば、1.5%以上、3.0%未満の場合には、建物の損傷度が中程度という判定結果(例えば、従来の応急危険度判定の「要注意」に相当する判定結果)を示す信号として、黄ランプ32を点灯させるための信号を外部出力装置30へ送信し、例えば、1.5%未満の場合には、建物の損傷度が小さいという判定結果(例えば、従来の応急危険度判定の「調査済」に相当する判定結果)を示す信号として、緑ランプ33を点灯させるための信号を外部出力装置30へ送信する。なお、前述したように、判定結果は、3段階に限定されるものではない。
加速度応答蓄積記憶手段50は、RAM25により構成され、地震応答取得処理手段41により取得した加速度データA、すなわち加速度センサ21の出力信号をA/D変換器22よりA/D変換して得られた加速度データAを、時系列に並べて蓄積記憶するものである。
最大加速度応答記憶手段51は、RAM25により構成され、解析範囲決定処理手段42により求めた最大加速度データAmaxを記憶するものである。
最長周期記憶手段52は、RAM25により構成され、最長周期決定処理手段45により求めた最長周期Ttを記憶するものである。
係数記憶手段53は、本実施形態ではROM26により構成され、変形角算出処理手段46による処理で用いられる前述した式(1)中の係数(Ry/Ty 2)の値を記憶するものである。なお、前述したように、係数記憶手段53は、EEPROMやフラッシュ・メモリ等により構成してもよく、また、係数(Ry/Ty 2)の値を建物損傷度判定用プログラム内に記述しておいてもよい。さらに、前述したように、係数(Ry/Ty 2)の値を地震初期の小振幅時の卓越周期から求めることも可能であるから、そのようにして求めた値を、RAM25あるいはEEPROMやフラッシュ・メモリ等により構成される係数記憶手段53に記憶させて用いてもよい。
判定結果記憶手段54は、RAM25により構成され、建物損傷度判定処理手段47による判定結果を記憶するものである。
このような本実施形態においては、以下のようにして建物損傷度判定装置10による建物の損傷度の自動判定処理が行われる。
図3において、先ず、ROM26に記憶された建物損傷度判定用プログラムを立ち上げ、建物の損傷度の自動判定処理を開始する(ステップS1)。
次に、地震応答取得処理手段41により、地震の開始判定、加速度応答の入力および保存、地震の終了判定の各処理を実行する(ステップS2:ステップS201〜S206)。すなわち、図4において、加速度センサ21の出力信号をA/D変換器22よりA/D変換して得られた加速度データAを入力する(ステップS201)。そして、入力した加速度データAが、予め定められた閾値α(cm/s2)以上であるか否かを判断し(ステップS202)、加速度データAが閾値α以上であった場合には、地震開始と判断し、加速度データAを加速度応答蓄積記憶手段50に保存し(ステップS203)、一方、加速度データAが閾値α以上でなかった場合には、再び、ステップS201に戻り、以降、地震開始と判断されるまで、ステップS201,S202の処理を繰り返す。
ステップS202で地震開始(A≧α)と判断し、ステップS203で加速度データAを保存した後、再び、加速度センサ21の出力信号をA/D変換器22よりA/D変換して得られた加速度データAを入力する(ステップS204)。そして、入力した加速度データAが、予め定められた閾値α(cm/s2)以上であるか否かを判断し(ステップS205)、加速度データAが閾値α以上であった場合には、地震継続中と判断し、ステップS203に戻り、以降、ステップS205で地震継続中(A≧α)と判断されている限り、ステップS203〜S205の処理を繰り返す。
一方、ステップS205で加速度データAが閾値α以上でなかった場合(A<α)には、加速度データAが閾値α未満である状態がΔt秒間(例えば1秒間等)続いているか否か、すなわち加速度データAが閾値α以上でないと判断されてからΔt秒間が経過しているか否かを判断し(ステップS206)、未だΔt秒間が経過していない場合には、ステップS203に戻り、既にΔt秒間が経過していた場合には、地震終了と判断し、次のステップS3の処理に移る。なお、Δt秒間が経過しているか否かの判断は、タイマーを用いてもよく、ステップS206を通過するループ中にカウンタを設けておき、カウンタ数が一定数以上になったときに、Δt秒間が経過したと判断してもよい。
続いて、図3において、解析範囲決定処理手段42により、加速度応答蓄積記憶手段50に蓄積記憶された加速度データAの中から、加速度応答が最大である最大加速度データAmaxを求める(ステップS3)。
それから、解析範囲決定処理手段42により、最大加速度応答記憶手段51を参照し、最大加速度データAmaxが既に記憶されているか否かを判断し、記憶されていなければ、ステップS3で求めた最大加速度データAmaxは、本震の応答における最大加速度データAmaxであるから、このAmaxの値を最大加速度応答記憶手段51に記憶させて新規設定する(ステップS4)。また、最大加速度応答記憶手段51に最大加速度データAmaxが既に記憶されている場合には、ステップS3で求めた最大加速度データAmaxは、余震の応答における最大加速度データAmaxであるから、最大加速度応答記憶手段51に記憶されている本震または前回までの余震における最大加速度データAmaxと、ステップS3で求めた今回の余震の応答における最大加速度データAmaxとを比較し、今回の余震の応答における最大加速度データAmaxの方が、本震または前回までの余震における最大加速度データAmaxよりも値が大きかった場合には、今回の余震の応答における最大加速度データAmaxにより、最大加速度応答記憶手段51の記憶データを更新設定し、一方、今回の余震の応答における最大加速度データAmaxの方が、本震または前回までの余震における最大加速度データAmaxよりも値が小さいか、同じであった場合には、最大加速度応答記憶手段51の記憶データをそのまま維持する(ステップS4)。
その後、解析範囲決定処理手段42により、加速度応答蓄積記憶手段50に時系列に並べられて記憶された加速度データAのうち、最初に最大加速度データAmax(最大加速度応答記憶手段51に記憶されているデータ)の一定比率β%(例えば5%等)以上の値となった時点から、最後に最大加速度データAmax(最大加速度応答記憶手段51に記憶されているデータ)の一定比率β%以上の値となった時点(つまり、それ以降に、加速度データAが最大加速度データAmaxの一定比率β%以上の値となることがなくなった時点)までの時間帯(図5参照)の加速度データAを、スペクトル解析処理手段43による処理対象として決定する処理を実行する(ステップS5)。
続いて、スペクトル解析処理手段43により、加速度応答蓄積記憶手段50に時系列に並べられて記憶された加速度データAのうち、解析範囲決定処理手段42により決定された解析範囲の加速度データAを用いて、図6に示すように、ランニングスペクトルを算出する処理、すなわち例えば0.5秒毎の各時間区切りの加速度応答スペクトルを求める処理を実行する(ステップS6)。
それから、卓越周期抽出処理手段44により、スペクトル解析処理手段43により算出したランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて、各周期の振幅(振幅の最大値)を比較し、振幅がピーク値をとる卓越周期Tを求める処理を実行する(ステップS7)。例えば、図6に示すように、時間区切り(1)の加速度応答スペクトルにおける各周期の振幅がピーク値をとる卓越周期T、時間区切り(2)の加速度応答スペクトルにおける各周期の振幅がピーク値をとる卓越周期T、時間区切り(3)の加速度応答スペクトルにおける各周期の振幅がピーク値をとる卓越周期T、時間区切り(4)の加速度応答スペクトルにおける各周期の振幅がピーク値をとる卓越周期T等を求める。
さらに、最長周期決定処理手段45により、図7に示すように、卓越周期抽出処理手段44により抽出した各時間区切りの卓越周期Tのうち、周期が最長となる最長周期Ttを求める処理を実行する(ステップS8)。
それから、最長周期決定処理手段45により、最長周期記憶手段52を参照し、最長周期Ttが既に記憶されているか否かを判断し、記憶されていなければ、ステップS8で求めた最長周期Ttは、本震の応答における最長周期Ttであるから、このTtの値を最長周期記憶手段52に記憶させて新規設定する(ステップS9)。また、最長周期記憶手段52に最長周期Ttが既に記憶されている場合には、ステップS8で求めた最長周期Ttは、余震の応答における最長周期Ttであるから、最長周期決定処理手段45に記憶されている本震または前回までの余震における最長周期Ttと、ステップS8で求めた今回の余震の応答における最長周期Ttとを比較し、今回の余震の応答における最長周期Ttの方が、本震または前回までの余震における最長周期Ttよりも周期が長い場合には、今回の余震の応答における最長周期Ttにより、最長周期記憶手段52の記憶データを更新設定し、一方、今回の余震の応答における最長周期Ttの方が、本震または前回までの余震における最長周期Ttよりも周期が短いか、同じであった場合には、最長周期記憶手段52の記憶データをそのまま維持する(ステップS9)。
そして、ステップS9で最長周期Ttの新規設定または更新設定が行われた場合(ステップS10)には、変形角算出処理手段46により、最長周期記憶手段52に記憶された新規設定または更新設定された最長周期Ttおよび係数記憶手段53に記憶された係数(Ry/Ty 2)の値を用いて、前述した式(1)により、建物の変形角Rtを推定算出する処理を実行する(ステップS11)。
それから、建物損傷度判定処理手段47により、変形角算出処理手段46により推定算出した変形角Rtの大小に応じて、建物の損傷度を判定し、その判定結果を示す信号をI/Oインターフェース24およびケーブル2を介して外部出力装置30へ送信する(ステップS12)。なお、無線送信でもよい。すると、外部出力装置30の赤ランプ31、黄ランプ32、緑ランプ33のいずれかが点灯する。この際、建物損傷度判定処理手段47は、判定結果記憶手段54を参照し、判定結果記憶手段54に記憶された前回までの判定結果と、今回の判定結果とが同じときには(最長周期Ttが伸びて変形角Rtが大きくなっても、判定結果が同じレベルであることはあり得る。)、外部出力装置30への判断結果を示す信号の送信処理を行わない。但し、再度、同じ判定結果を示す信号の送信処理を行ってもよい。一方、判定結果記憶手段54に記憶された前回までの判定結果よりも、今回の判定結果が悪い結果であるときには、外部出力装置30へ今回の判定結果を示す信号の送信処理を行うとともに、判定結果記憶手段54の記憶データを、今回の判定結果を示すデータで更新する。従って、判定結果記憶手段54には、その時点までの最も悪い判定結果を示すデータが記憶されることになる。
その後、判定結果記憶手段54に記憶された判定結果が、最も悪い判定結果(例えば、従来の応急危険度判定の「危険」に相当する判定結果)であるか否かを判断し(ステップS13)、最も悪い判定結果である場合には、今後、それ以上に悪い判定結果が出ることはあり得ないので、建物損傷度判定処理を終了する(ステップS14)。一方、最も悪い判定結果でない場合には、今後、さらに悪い判定結果が出る可能性があるため、次の地震(余震)に備え、ステップS2に戻る。また、ステップS9で最長周期Ttの新規設定または更新設定が行われなかった場合、つまり最長周期Ttが維持された場合(ステップS10)にも、次の地震(余震)に備え、ステップS2に戻る。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、建物損傷度判定装置10は、地震波による建物の加速度応答のランニングスペクトルを利用して建物の地震応答の周期の伸びを捉え、最長周期Ttを用いて建物の変形角Rtを推定することにより、建物の損傷度を判定するので、建物に設置した単一の加速度センサを用いて建物の被害レベルを自動判定することができる。このため、前述した特許文献1,2のような2個の加速度センサを用いた大がかりな装置の場合に比べ、装置の簡易化や低コスト化を図ることができる。そして、単独の加速度センサを用いるので、少なくとも本体20の部分についてはオンボードでプログラムを搭載した構成とすることができるため、安価で小さな装置を実現することができ、設置の容易化を図ることもできる。従って、被害が最も生じる老朽化した木造家屋等の既存不適格建物に用いることもでき、装置を普及させることができる。
また、建物の加速度応答のランニングスペクトルを利用して建物の地震応答の周期の伸びを捉え、最長周期Ttを用いて建物の変形角Rtを推定するので、加速度センサ21により計測した加速度を2階積分して変位を求めるといった処理を行う必要はないため、2階積分のときのような測定ノイズの影響を受けることはなく、単一の加速度センサ21でも、比較的精度の良い判定を行うことができる。また、地震波形ではなく、スペクトルで解析を行うので、計測精度がやや落ちる安価な加速度センサを用いても、実用上支障のない判定精度を得ることができる。これらに、加速度を2階積分して求めた変位の情報を合わせればより高い精度で建物の変形角を推定することもできる。
さらに、建物の損傷度の判定処理は、演算処理手段40により自動的に行われ、その判定結果は、外部出力装置30により出力されるので、各建物に建物損傷度判定装置10を設置しておくことで、従来のように人の目視により人海戦術で判定を行い、その判定結果を示す「危険」、「要注意」「調査済」等の紙を各建物に順次貼っていく場合に比べ、各建物において迅速に判定処理を行い、その判定結果を各建物の住人に伝達することができる。このため、本震直後に発生する大きな余震にも対応することができる。
そして、建物損傷度判定装置10は、解析範囲決定処理手段42を備えているので、加速度センサ21による計測で得られた加速度応答の中から最大加速度応答を求め、最大加速度応答に対して加速度応答が一定比率以上の値をとっている時間帯をランニングスペクトルの解析範囲とすることができる。このため、地震応答のほぼ終了した時点での非常に小さな振幅による周期を捉え、そのときの卓越周期を、建物損傷度判定のための変形角の推定算出用の最長周期として採用してしまうという不都合を回避することができ、判定精度を、より一層向上させることできる。
また、本発明の効果を確認するため、複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)を用いたRC柱の縮小模型を試験体として振動実験を行い、この柱を建物に見立て、柱の上部に設けた加速度センサによる加速度記録を用いて変形角を推定した。
先ず、試験体の最大変形時に最大の加速度応答を記録すると考え、ランニングスペクトルから、最大加速度応答時の周期Ta(最大加速度応答時の時間区切りの加速度応答スペクトルにおいて振幅がピーク値をとる卓越周期Ta)を求め、前述した式(1)で示される関係式、Ra=(Ry/Ty 2)×Ta 2より、変形角Raを推定した。一方、変位計を用いて測定した試験体の頂部(柱の上部)の変位Xの中の最大変位Xmを、試験体の高さ寸法Lで除することにより、実測の最大変形角Rm=Xm/Lを求めた。そして、最大加速度応答時の周期Taより推定した変形角Raと、実測の最大変形角Rmとを比較した。この比較の結果、最大加速度応答時の周期Taより推定した変形角Raは、実測の最大変形角Rmよりも小さく求まる傾向があることがわかった。
そこで、図9に示すように、最大加速度応答時の周期Taを捉えた時間区切りの応答履歴を、ロードセルを用いて測定した復元力Q(kN)を縦軸とし、変位計を用いて測定した変位X(mm)を横軸として描くとともに、最大加速度応答時の周期Taより推定した変形角Raから、ka=Qy/Raという関係式(前述した式(2)参照)を用いて最大加速度応答時の剛性kaを求め、求めた剛性kaを試験体の高さ寸法Lで除した剛性ka/L(Q/Xを単位とした剛性)を示す斜線(図9中の実線)を描いた。図9において、推定した変形角Raから求めた剛性ka/Lの傾き(剛性の大きさ)は、最大変形点と原点とを結んだ斜線で示される最大変形時の割線剛性の傾き(剛性の大きさ)よりも大きくなっていることがわかる。従って、最大加速度応答時の周期Taを用いた推定を行うと、変形角Raは、実際よりも小さく推定され、剛性kaは、実際よりも大きく推定されることがわかった。この結果より、最大加速度応答時の周期Taよりも長い周期を用いた推定を行えばよいことがわかる。
次に、前述した図7に示された卓越周期Tの時刻歴を見ると、最大加速度応答を記録した後に、卓越周期Tが長くなっている部分があることがわかる。そこで、これらの伸びた卓越周期Tの中から、最長周期Ttを取り出し、この最長周期Ttから、Tt=2π×(m/kt1/2という関係式(前述した式(3)参照)を用いて剛性ktを求め、求めた剛性ktを試験体の高さ寸法Lで除した剛性kt/L(Q/Xを単位とした剛性)を示す斜線を、図9中に点線で描いた。この点線で示された最長周期Ttから導かれた剛性kt/Lの傾きは、最大変形時の割線剛性の傾きと略同じであり、最長周期Ttから導かれた剛性kt/Lは、最大変形時の剛性を指しているように見える。これは、最大変形後に、履歴の最大変形点を目指すような応答(振動中心が偏った場合を除外して考えると、応答履歴の最大変形点と原点とを結んだ直線上を往復するような動き)をするためだと考えられる。そこで、最長周期Ttに着目し、ランニングスペクトルから、最長周期Ttを求め、この最長周期Ttを用いて、前述した式(1)により変形角Rtを推定した。そして、最長周期Ttより推定した変形角Rtと、実測の最大変形角Rmとを比較した。この比較結果を、図10に示す。図10を見ると、最長周期Ttより推定した変形角Rtは、実測の最大変形角Rmよりも、やや過大に推定されている傾向はあるものの、最長周期Ttより推定した変形角Rtと、実測の最大変形角Rmとは、略一致しているといえ、これにより、本発明の効果が顕著に示された。
また、図11には、建物損傷度が小さいと判定される場合(Rt<1.5%の場合)の実験データの一例が示され、図12には、建物損傷度が大きいと判定される場合(Rt≧3.0%の場合)の実験データの一例が示されている。これらの実験データは、上述した複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)を用いたRC柱の縮小模型を試験体とした振動実験のデータである。図11(A)、図12(A)は、卓越周期Tの時刻歴(図7参照)であり、図11(B)、図12(B)は、変位計により測定した試験体の頂部の変位Xの時刻歴であり、図11(C)、図12(C)は、ロードセルにより測定した復元力Qを縦軸とし、変位計により測定した試験体の頂部の変位Xを横軸とした応答履歴である。
図11(C)を見ると、Rt<1.5%の場合には、応答履歴のヒステリシスが小さく、応答履歴全体の傾きが大きく図中で立っている状態、すなわち剛性が大きいことを示す状態(塑性化前の状態)のみである。これに対し、図12(C)を見ると、Rt≧3.0%の場合には、応答履歴のヒステリシスが大きく、最初は、応答履歴全体の傾きが大きく図中で立っている状態、すなわち剛性が大きい状態(塑性化前の状態)であるが、最後の方では、応答履歴全体の傾きが小さく図中で寝ている状態、すなわち剛性が小さい状態(塑性化後の状態)である。従って、最長周期Ttより推定した変形角Rtの大小により、建物の損傷度を判定することの妥当性が顕著に示されている。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、1つの本体20に対し、1つの外部出力装置30が設けられていたが、1つの本体20に対し、複数の外部出力装置30を設けてもよく、外部出力装置30の設置個数は任意である。
また、前記実施形態では、外部出力装置30は、建物1内の台所や居間等の居室空間に設置されていたが、例えば、建物1の外壁、庭、玄関の外側等、建物1の外部に設けてもよい。
さらに、前記実施形態では、外部出力装置30は、ランプ点灯により、建物損傷度を住人に伝達する構成となっていたが、ランプ点灯と併せて音声報知を行う構成としてもよく、ランプ点灯に代えて、またはランプ点灯とともにディスプレイへの文字表示を行う構成としてもよい。
そして、前記実施形態では、建物損傷度判定装置10は、本体20と外部出力装置30とにより構成されていたが、これらを一体化させた構成としてもよい。
以上のように、本発明の建物損傷度判定装置および建物損傷度判定方法は、例えば、大地震で被害を受ける可能性の高い老朽化した木造家屋等の被害レベルを判定する場合などに用いるのに適している。
本発明の一実施形態の建物損傷度判定装置を設置した建物を示す図。 前記実施形態の建物損傷度判定装置の全体構成図。 前記実施形態の建物損傷度判定装置による建物損傷度判定処理の全体の流れを示すフローチャートの図。 前記実施形態の建物損傷度判定処理中の地震応答取得処理の流れを示すフローチャートの図。 前記実施形態の地震応答の取得および解析のタイミングの説明図。 前記実施形態の応答加速度の時刻歴と、各時間区切りの加速度応答スペクトルとの関係の説明図。 前記実施形態の各時間区切りの卓越周期の時刻歴を示す図。 前記実施形態の実験による応答履歴および応答履歴モデルを示す図。 効果確認実験により得られた最大応答時の応答履歴と、最大応答時の剛性および最長周期時の剛性との関係を示す図。 効果確認実験により得られた最長周期Ttより推定した変形角Rtと、測定された最大変形時の変形角Rmとの関係を示ず図。 建物損傷度が小さいと判定される場合(最大変形角1.5%未満の場合)の実験データの一例を示す図。 建物損傷度が大きいと判定される場合(最大変形角3.0%以上の場合)の実験データの一例を示す図。
符号の説明
1 建物
10 建物損傷度判定装置
21 加速度センサ
40 演算処理手段
42 解析範囲決定処理手段
43 スペクトル解析処理手段
44 卓越周期抽出処理手段
45 最長周期決定処理手段
46 変形角算出処理手段
47 建物損傷度判定処理手段

Claims (4)

  1. 建物に設置した加速度センサと、この加速度センサにより計測した加速度データを用いて計算機による演算処理を実行する演算処理手段と、この演算処理手段による処理結果を出力する外部出力装置とを備え、
    前記演算処理手段は、
    前記加速度センサにより計測した地震時の前記建物の加速度データを用いてランニングスペクトルを算出する処理を実行するスペクトル解析処理手段と、
    このスペクトル解析処理手段により算出した前記ランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて振幅がピーク値をとる卓越周期を求める処理を実行する卓越周期抽出処理手段と、
    この卓越周期抽出処理手段により抽出した各時間区切りの前記卓越周期のうち周期が最長となる最長周期を求める処理を実行する最長周期決定処理手段と、
    この最長周期決定処理手段により求めた前記最長周期を用いて前記建物の変形角を推定算出する処理を実行する変形角算出処理手段と、
    この変形角算出処理手段により推定算出した前記変形角の大小に応じて前記建物の損傷度を判定する処理を実行する建物損傷度判定処理手段とを含んで構成され、
    前記外部出力装置は、前記建物損傷度判定処理手段による判定結果を出力する構成とされている
    ことを特徴とする建物損傷度判定装置。
  2. 前記演算処理手段は、
    前記加速度センサにより計測した地震時の前記建物の加速度データの中から最大加速度データを求め、時系列に並べられた前記建物の加速度データのうち、最初に前記最大加速度データの一定比率以上の値となった時点から、最後に前記最大加速度データの一定比率以上の値となった時点までの時間帯の加速度データを、前記スペクトル解析処理手段による処理対象として決定する処理を実行する解析範囲決定処理手段を含んで構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の建物損傷度判定装置。
  3. 建物に加速度センサを設置し、この加速度センサにより地震時の前記建物の加速度データを計測し、計測した加速度データを用いてランニングスペクトルを算出し、このランニングスペクトル中の各時間区切りの加速度応答スペクトルのそれぞれについて振幅がピーク値をとる卓越周期を求め、求めた各時間区切りの卓越周期のうち周期が最長となる最長周期を求め、この最長周期を用いて前記建物の変形角を推定算出し、推定算出した変形角の大小に応じて前記建物の損傷度を判定することを特徴とする建物損傷度判定方法。
  4. 前記ランニングスペクトルを算出する際には、
    前記加速度センサにより計測した地震時の前記建物の加速度データの中から最大加速度データを求め、時系列に並べられた前記建物の加速度データのうち、最初に前記最大加速度データの一定比率以上の値となった時点から、最後に前記最大加速度データの一定比率以上の値となった時点までの時間帯の加速度データを対象とすることを特徴とする請求項3に記載の建物損傷度判定方法。
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