JP2002250027A - 地盤調査方法、免震建物の建築方法および建物の設計方法 - Google Patents
地盤調査方法、免震建物の建築方法および建物の設計方法Info
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- JP2002250027A JP2002250027A JP2001178792A JP2001178792A JP2002250027A JP 2002250027 A JP2002250027 A JP 2002250027A JP 2001178792 A JP2001178792 A JP 2001178792A JP 2001178792 A JP2001178792 A JP 2001178792A JP 2002250027 A JP2002250027 A JP 2002250027A
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- Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)
- Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
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Abstract
間で容易に推定できる地盤調査方法を提供する。 【解決手段】 建築地近傍の複数のボーリング地点2、
3のボーリング調査データを収集し、該調査データに対
応する複数のボーリング地点の地表波スペクトル5、6
を算出し、各地表波スペクトルのうち規模の大きい側の
データを接続して合成することにより、建築地1の設計
用地表波スペクトル7を得る。
Description
地の地盤調査方法およびこの方法を用いて建築地に免震
建物を建築する方法と建物の設計方法に係り、特に、免
震建物を建築する際に必要な地盤調査を短時間に低コス
トで推定できる方法に関する。
ーリング調査を実施しなければならなかった。このボー
リング調査は建築地の直下を原則とし、地層構造及び地
下水位を調査し、併せて貫入試験によりN値を調査して
いる。このようにして得られたデータ(地層構造、N
値)から、せん断波速度構造と地盤の卓越周期を算定し
ている。算定されたせん断波速度構造と地盤の卓越周期
から、工学的基盤からの増幅倍率を算定する。そして、
模擬地震動波に増幅倍率をかけて、設計用の地表波スペ
クトルを求めている。
リング調査は建築地の直下で実施できない場合もあり、
建築地の近傍で実施する場合もある。このボーリング調
査は建築地へ測定機材を搬送して測定するものであり、
N値が50以上となる層が、5m以上確認できることを
要する。そして、ボーリング調査より得られたデータか
ら、せん断波速度構造と地盤の卓越周期を算定し、工学
的基盤からの増幅倍率を算定して地表波スペクトルを求
めるため、費用と時間がかかり、免震建築物のコストに
影響を与えていた。また、層構造が水平方向に連続した
ものであるか、複数のボーリング地点におけるボーリン
グデータの層構造の同一性を確認するためには、柱状図
を視察することによる類似点の考察によっていた。さら
に、建築地における地盤の卓越周期の算出や、建築地の
液状化の可能性の推定も費用と時間がかかり、免震建築
物のコストアップの要因となっていた。
たものであって、その目的とするところは、短時間で容
易に、建築地の設計用の地表波スペクトルを推定でき、
層構造の同一性を客観的に評価できる地盤調査方法を提
供することにある。また、建築地の地盤の卓越周期を容
易に推定することができると共に、建築地における液状
化の可能性の数値を容易に推定することができ、免震建
築物のコストダウンを達成できる地盤調査方法、免震建
物の建築方法、および建物の設計方法を提供することに
ある。
本発明の請求項1に記載の発明による地盤調査方法は、
建築地近傍において複数のボーリング地点のボーリング
データを収集し、該データに対応する複数地点の地表波
スペクトルを算出し、各地表波スペクトルのうち規模の
大きい側のデータを接続して合成することにより設計用
地表波スペクトルを得ることを特徴とする。この構成に
よれば、建築地においてボーリング調査を実施すること
なく、近隣のボーリングデータを利用して短時間で、し
かも低コストで精度よく、安全側の設計用地表波スペク
トルを推定することができ、設計用地表波スペクトルか
ら免震装置の設計等に反映させることができる。このた
め、地盤調査を必要とする免震建物のコストダウンに極
めて有効である。
は、建築地近傍において複数のボーリング地点のボーリ
ングデータを収集し、該データの地盤の層構造より複数
地点の層構造が連続していることをパターン化して推定
し、前記データに対応する複数の地表波スペクトルを算
出し、各地表波スペクトルのうち規模の大きい側のデー
タを接続して合成することにより設計用地表波スペクト
ルを得ることを特徴としている。この構成によれば、複
数地点のボーリングデータの層構造が連続しているのを
確認するため、近隣のボーリングデータを利用して短時
間で、しかも低コストで、より精度の高い、設計用の地
表波スペクトルを推定することができ、免震建築物のコ
ストダウンに貢献できる。
は、前記した請求項1または2に記載の地盤調査方法に
おいて、複数のボーリング地点のボーリングデータから
建築地と同一地形または同一地質のボーリングデータに
絞り込み、絞り込まれた複数のボーリングデータから複
数の地表波スペクトルを算出し、そのうちの最大のもの
を設計用地表波スペクトルとすることを特徴とする。こ
の構成によれば、建築地周辺で公開されているボーリン
グデータを有効活用することにより、開削ボーリング調
査が不要となり、地盤調査費用の削減が図れる。
は、前記した請求項1乃至3のいずれかに記載の地盤調
査方法において、前記ボーリング調査データから求めた
地盤均質度および地震動レベルに応じて、工学的基盤か
らの増幅特性係数を算出し、該増幅特性係数を基準スペ
クトルにかけて前記地表波スペクトルを算出することを
特徴としている。この構成によれば、増幅特性係数をか
けることにより、より精度の高い設計用地表波スペクト
ルを得ることができる。ここで、基準スペクトルは、解
放工学的基盤上での応答スペクトル特性であり、所定の
地震動レベル、所定の周期に対して決められる定数であ
る。
は、建築地近傍において複数のボーリング地点のボーリ
ングデータを収集し、該データの層厚およびせん断波速
度に対応する複数の地盤卓越周期を算出し、各地盤卓越
周期のうち最長周期の地盤卓越周期を建築地における設
計用地盤卓越周期と推定することを特徴としている。こ
の構成によれば、複数のボーリングデータから算出した
地盤卓越周期の最長周期のものを建築地点の卓越周期と
して推定するため、安全側の地盤卓越周期を推定でき、
免震建築物のコストダウンが可能となる。
は、建築地近傍において複数のボーリング地点のボーリ
ングデータを収集し、該データより複数地点における液
状化の可能性の数値を、FL法によりせん断応力比と液
状化抵抗比を求めて算出し、各地点における前記数値の
うち可能性の大きい側の数値を、建築地における液状化
の可能性の数値と推定することを特徴としている。この
構成によれば、複数のボーリングデータから液状化の可
能性を算出し、可能性の高い側の数値を建築地点の数値
とするため、近隣のボーリングデータを利用して容易
に、短時間で建築地点の液状化の可能性を安全側に推定
でき、免震建築物が建築できるか、地盤改良が必要かを
判断できる。
は、前記の地盤調査方法において、深度の浅い地盤調査
で得られるN値と、孔内水位の測定結果から建築地にお
ける液状化の可能性を推定することを特徴とする。この
構成によれば、スウェーデン式サウンディング試験等の
深度の浅い地盤調査により液状化危険度の判定ができる
ので、調査費用の削減と調査時間の短縮が可能となる。
査方法は、前記の地盤調査方法において、前記ボーリン
グ地点が2点であり、第1のボーリング地点と第2のボ
ーリング地点との間に建築地が位置することを特徴とし
ている。この構成によれば、例えば一直線上に位置する
2つのボーリングデータから、2つの地表波スペクトル
を算出し、安全側の地表波スペクトルを用いて建築地の
設計用地表波スペクトルとして推定できるため、精度を
向上させることができ、免震装置等の設計に反映させる
ことができる。
は、前記の地盤調査方法において、前記ボーリング地点
が3点以上であり、建築地は複数のボーリング地点に囲
まれていることを特徴としている。この構成によれば、
建築地点を囲む3つのボーリングデータから、安全側の
地表波スペクトルを用いて建築地の設計用地表波スペク
トルとして推定できるため、精度をより向上させること
ができ、免震装置等の設計に反映させることができる。
法は、ある建築地域における建築物を耐震設計する際の
地盤調査方法であって、最大規模の設計用模擬地表波ま
たは地表波スペクトルを作成するために、最大規模の設
計用地表波スペクトルを算出することを特徴とする。こ
の構成によれば、建築計画地ごとに必要であったボーリ
ング調査や地表波作成を省略することができる。地域ご
とに設計用模擬地表波が統一でき、建築設計の標準化が
でき、建築設計が容易となり、コストダウンを達成でき
る。
法は、前記の地盤調査方法において、前記最大規模の設
計用模擬地表波を、建築地近傍の活断層または歴史地震
を震源とする地震波、または歴史地震のマグニチュード
および震源距離から計算した地震波スペクトルより作成
することを特徴とする。この構成によれば、近隣の活断
層や過去の歴史地震を震源とする地震が懸念される場合
でも、これらから最大規模の模擬地表波を作成し、適用
範囲を検討するため、必要な強度での建築が可能とな
る。
法は、前記の地盤調査方法において、前記最大規模の設
計用模擬地表波を、工学的基盤深度が所定値以上である
地盤より作成することを特徴とする。この構成によれ
ば、設計用模擬地表波を作成する際の地盤を選択すると
き、工学的基盤の深度のみに注目すればよく、平均せん
断波速度の計算に要する工数を削減でき、より簡便に、
より効率的に計算できる。
法は、前記の地盤調査方法において、前記最大規模の設
計用模擬地表波を、工学的基盤深度が30m以上である
地盤より作成することを特徴とする。この構成によれ
ば、設計用模擬地表波を、工学的基盤深度が30m以上
である地盤から作成でき、工数を大幅に削減でき、より
簡便に効率的に計算することができる。
法は、前記した請求項11において、水平動基準応答ス
ペクトルと、前記活断層からの複数の距離における地震
動スペクトルとを比較し、前記水平動基準応答スペクト
ルと前記複数の地震動スペクトルとの関係を求め、その
大小関係から前記活断層の存在を考慮すべき距離を算出
して前記設計用模擬地表波を作成することを特徴とす
る。この構成によれば、活断層からの距離と地震動スペ
クトルの関係が明らかとなり、活断層の距離を考慮して
設計用模擬地表波を作成すべきであると判断できる。
法は、免震建築物等の供用期間が100年以上を対象と
した模擬地震動スペクトルを基準とした応答スペクトル
に、小規模建築物に適用できるように所定の低減率をか
けて基準応答スペクトルを算出することを特徴とする。
この構成によれば、小規模建築物の設計用再現期間に適
した基準応答スペクトルを作成でき、それを地表波に引
き上げて地震応答解析を行うことができる。
法は、建築地において想定される最強の地震動に所定の
低減率をかけて求めたスペクトルと、建物の供用期間中
に一回以上受ける可能性がある地震動に所定の増幅率を
かけて求めたスペクトルを比較し、安全側の規模が大き
いスペクトルを基準応答スペクトルとすることを特徴と
する。この構成によれば、レベル2の最強の地震動を低
減した地震動スペクトルと、一回以上受ける可能性があ
るレベル1の地震動を増幅した地震動スペクトルの内、
規模の大きいものを基準応答スペクトルとするため、過
剰設計とならない最適で安全な構造設計や免震設計が可
能となる。
法は、建築地近隣の活断層の長さと活動度から求めた活
断層の再現期間に合わせて、設計用入力地震動スペクト
ルを算出することを特徴とする。この構成によれば、活
断層の長さと活動度から再現期間を推定し、再現期間1
00年に換算する係数を算出して、活断層に起因する地
震動スペクトルの補正に利用することができ、小規模建
築物の設計用再現期間に適した入力地震動スペクトルを
作成できるので、過剰設計とならない最適で安全な構造
設計や免震層設計を行える。さらに、建築可能範囲を拡
大でき、免震建物のコストダウンを達成できる。
法は、前記した地盤調査方法において、前記設計用地表
波スペクトル、または前記設計用模擬地表波を、小規模
建築物の設計用再現期間に合わせて補正することを特徴
とする。この構成によれば、小規模建築物の設計用再現
期間に適した基準応答スペクトルを作成でき、これを地
表波に引き上げて地震応答解析を行うことができる。
法は、請求項1〜18のいずれかに記載する地盤調査方
法を用いて、建築地における設計用地表波スペクトル、
地盤卓越周期および/または液状化の可能性を推定し、
該推定値に基づき判断して前記建築地に免震建物を建築
するか、前記建築地の地盤改良をしてから建築すること
を特徴とする。この構成によれば、建築地においてボー
リング調査を実施しなくても、近隣の複数のボーリング
データを用いて設計用地表波スペクトル、地盤卓越周期
および/または液状化の可能性を推定できるため、免震
建物を短時間で効率よく、しかも低価格で建築すること
ができる。
は、請求項1〜4、8〜18のいずれかに記載する地盤
調査方法を用いて、建築地における応答スペクトルを算
出し、前記建築地に建築する建物の固有周期に対して前
記応答スペクトルの応答が小さくなるように調整設計す
ることを特徴とする。この構成によれば、免震建物以外
の例えば一般住宅に対しても耐震性の向上を図ることが
でき、例えば壁クロスが切れる、剥がれる等の被害を軽
減できる。
は、請求項5に記載する地盤調査方法を用いて、建築地
における地盤卓越周期を推定し、前記建築地に建築する
建物の固有周期と前記推定値とを外すように調整設計す
ることを特徴とする。この構成によれば、地盤の卓越周
期に注目して、その周期をはずすように建物を調整設計
できるため、例えば家具転倒による物的、人的被害の防
止が期待できる。
の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、
本実施形態に係る地盤調査方法の建設地、ボーリング地
点の位置関係を示す平面図、図2の(a)、(b)は、
各ボーリング地点における地表波スペクトル図、(c)
は推定した設計用地表波スペクトル図、図3の(a)、
(b)は、他の各ボーリング地点における地表波スペク
トル図、(c)は推定した設計用地表波スペクトル図で
ある。
建築地の地盤構成の概要と、その土質の軟弱を予め把握
しておく。先ず資料調査として、(イ)地形・地質・地
盤に関する既往の調査資料、(ロ)地史・地盤災害等の
歴史的資料に関する資料、(ハ)近隣構造物の設計・施
工に関する資料、(ニ)その他敷地及び周辺の状況に関
する資料、(ホ)近隣のボーリングデータの有無等に関
する資料を入手する。これらの資料から、(a)概略の
地形・地質、(b)地盤災害(地震時の状況・地滑り・
崖崩れ・地盤沈下等)の状況及びその後の利用状況の経
過、(c)大略の地盤構成概要と各地震・水位の概況、
(d)周辺の自然および社会環境の概況、(e)活断層
および歴史地震の影響等について、調査する。
(露頭)調査、(ト)聞き込み調査、(チ)周辺井戸
(地下水)の状況調査、(リ)その他可能な予備試験等
を行い、(f)地形・地質の状況、(g)地表(利用状
況を含む)の状況、(h)周辺の自然および社会環境、
(i)地盤災害の痕跡および災害発生の危険性、(j)
地盤構成と各地層の性状、(k)地下水位および地下水
の利用状況等について、調査する。前記した事前調査お
よび現地調査は、国土地理院発行の地形図(1/2500
0)、工業技術院地質調査所発行の「1/200,000地質図幅
集(画像)」、「1/50,000地質図幅」、国土地理院発行
の空中写真(1/10,000)、東京天文台発行の理科年表に
よる地震データ等を用いて行うと効率よく行える。
点2及び3のほぼ中間に位置している。換言すると、ボ
ーリング地点2と建築地1のほぼ延長線上にボーリング
地点3が位置している。建築地1およびボーリング地点
2、3の距離は、それぞれ数百メートル程度離れていて
もよいが、100メートル程度以内が好ましい。例え
ば、ボーリング地点2における調査により、標準貫入試
験によるN値を含む層状状態図や地下水位状態等が得ら
れる。同様のデータがもう1つのボーリング地点3にお
いても得られる。これらの調査データから、ボーリング
地点2、3の2地点における2つの地表波スペクトルを
算出することができる。
説明する。地表波スペクトルは、地震動のレベルに応じ
て、水平、上下各成分毎に定めることとし、地震活動度
係数ζ、基準応答スペクトル、やや長周期補正係数、増
幅特性係数により算定する。地震活動度係数ζは、地域
毎の地震活動度を考慮して定める地震動強さに関わる係
数である。地震動係数として当面建築基準法施行令第8
8条で定められるZ(地震地域係数)を用いることがで
きる。
クトル)HS(T)は、次の式(1)により算定する。 HS(T)=ζ・HB(T)・HL(T)・HG(T) (1) 式(1)において、ζは地震活動度係数H B(T)は水平動基準応答スペクトルH L(T)は水平動やや長周期補正係数H G(T)は水平動増幅特性係数、である。
慮する必要がある場合や、特殊な地形の影響を考慮する
必要がある場合には、水平動に対する補正された設計用
スペクトルHS’(T)を次の式(1a)により算定す
る。 HS’(T)=HS(T)・HP(T)・HI(T) (1a) ここに、HP(T)は水平動液状化補正係数H I(T)は水平動地形効果補正係数、である。 ただし、解放工学的基盤面で設計用応答スペクトルを与
える場合には、 HS(T)=ζ・HB(T)・HL(T) (2) とする。設計用応答スペクトルHS(T)においては、
加速度応答倍率は4倍を越えないものとする。(1)式
における水平動基準応答スペクトルHB(T)は、解放
工学的基盤上での応答スペクトル特性で、表1より定め
る。
ける可能性が大きい地震動 レベル2は過去に受けたことのある地震動のうち最強と
考えられるものおよび将来において受けることが考えら
れる最強の地震動 T(s)は周期である。 なお、各設定周期間のスペクトル値は両対数軸上での直
線補間した値とする。式(1)における水平動やや長周
期補正係数HL(T)は、地域毎のやや長周期地震動の
振幅特性を評価する係数で、表2に示す各地域区分に入
る平野、盆地などの3つの地域区分1、2、3に対し
て、表3によって定める。なお、各設定周期間の係数は
両対数軸上で直線補間した値とする。
(T)は、標準的な表層地盤の水平動の増幅特性を表す
係数で、表4に示す表層地盤の地盤分類と地震動レベル
に応じて表5のように定める。
でVb≧400m/sの場合は、400m/sとしてよ
い。Veは表層地盤の平均せん断波速度で次の式(3)
による。ΔVは表層地盤内のせん断波速度のばらつきで
あり、次の式(4)による。
る。
表5を用いて求める。
番目の周期(s) Tgは表層地盤の卓越周期(s)であり、次の式(5)
による。 Tg=4Σhi/Ve (5) αは次の表6に定める短周期側増幅率 βは次の表6に定める最大増幅率、である。
HS’(T)を算出するときに、水平動増幅特性係数HG
(T)をかけることにより、より精度の高い設計用地表
波スペクトルを得ることができる。
5、6は、横軸を周期、縦軸を速度としたとき、図2、
3に示されるような折線で表される。そして、(o)ボ
ーリング地点2、3が、連続した同一の地形、同一の地
質および平坦地であること、(p)まさ土層、腐植土
層、もり土(5m以上)以外であること、(q)工学的
基盤を確認すること、(r)連続した成層であると判断
できること、(s)前記した図1の位置関係にあること
の5点を確認する。
表波スペクトル5、(b)はボーリング地点3における
地表波スペクトル6を表している。そして、これらの地
表波スペクトル5、6が交差している場合は、図2
(c)のように交差部分より両方の地表波スペクトルの
大きい値の部分を合成して、設計用地表波スペクトル7
として推定する。また、2つのボーリング地点の調査デ
ータから算出した地表波スペクトル8、9が交差しない
場合について説明する。この場合は、図3のように2つ
の地表波スペクトル8、9が交差しないので、2つのス
ペクトル値を比較し、一方の地表波スペクトル9が他方
の地表波スペクトル8より大きい場合は、大きい方を設
計用地表波スペクトル10として推定する。図2、3に
おいて、破線で示したスペクトルは水平動基準応答スペ
クトルである。
の大きい値を用いて、建築地1における設計用地表波ス
ペクトルを推定する。このため、建築地1における設計
用地表波スペクトルは安全側の値となり、これを用い
て、免震建物における免震装置の設計に反映させること
ができ、例えばダンパーの減衰定数を決定することがで
き、またゴムと鋼鈑を積層した免震ゴムの設計に反映さ
せることができる。
100m程度と極めて接近しており、連続した同一の地
形であり、連続した同一の地質の場合は、1つのボーリ
ング地点の調査データから地表波スペクトルを算出し、
この算出値をそのまま設計用地表波スペクトルとして推
定しても全く問題はない。
に説明する。図4は本実施形態に係る地盤調査方法の説
明図である。先ず、図4のように、ボーリング地点2、
3の調査データから層構造を、次の表7を用いて、締ま
った/硬い地層A、中位の地層B、およびゆるい/やわ
らかい地層Cの地層としてパターン化して、層構造11
および層構造13を作成する。
らパターン化のノイズとなる地層とN値を削除して土質
を分類する。すなわち、他の土質に挟まれた層圧が1m
未満の地層を削除すると共に、他の土質に挟まれた層圧
が層全体の約5%未満の地層を削除する。そして、土質
を分類された連続する同一土質地層のN値を平均して表
7にしたがってパターン化し、連続する同一パターンは
一つにまとめる。
タの層構造11が、C、B、B、Aのパターンである場
合、同一土質地層Bの連続する場合は1つの地層として
まとめて、C、B、Aの層構造12とする。また、ボー
リング地点3のボーリングデータの層構造13が、C、
C、B、Aのパターンである場合、同一土質地層Cの連
続する場合は1つの地層としてまとめて、C、B、Aの
層構造14とする。そして、ボーリング地点2のまとめ
た層構造12と、ボーリング地点3のまとめた層構造1
4とが同一である場合は、連続した成層であると判断す
る。
つマクロに表現でき、人為的な誤差を排除できるので、
手順を明確にしておけば、専門家でなくても活用するこ
とができる。そして、ボーリング地点2とボーリング地
点3とが成層であると判断できる場合は、地表波スペク
トルも同一であると推定できる。すなわち、ボーリング
地点2または3の地表波スペクトルを、設計用地表波ス
ペクトルとして推定することができる。このため、免震
建物を設計する際の地盤調査を効率的に行うことがで
き、免震建物のコストダウンを達成することができる。
ングデータを有効利用して設計用地表波スペクトルを算
出する例について、図5を参照して説明する。建築地が
決定されると(ステップS1)、建築地を中心として例
えば半径500m以内に既存のボーリングデータが例え
ば3本以上あるかを確認する(ステップS2)。ボーリ
ングデータとしては、例えば各都道府県による土地分類
基本調査や市販の地盤図に公開されているもの等を利用
する。無い場合は推定不可能とし(ステップS3)、実
際に開削しボーリング調査を実施する。ある場合は建築
地と地形、地質が同一であるかを絞り込み(ステップS
4)、絞り込んだデータが3本以上あるかを判断する
(ステップS5)。そして、無い場合は推定不可能とし
(ステップS6)、同様に実際に開削しボーリング調査
を実施する。3本以上ある場合は各データから地表波ス
ペクトルを計算し(ステップS7)、そのうちの最大と
なるスペクトルを設計用地表波スペクトルとする(ステ
ップS8)。そして、これに基づき設計用地震動データ
を作成する(ステップS9)。このように、建築地周辺
で公開されているボーリングデータを有効活用して設計
用地表波スペクトルを得ることができ、開削ボーリング
調査が不要となり、地盤調査費用の削減が図れる。
に、例えば国土交通省告示、平12−1457に記載の
表層地盤の増幅率Gsを求める手順を用いてもよい。こ
の手順を簡単に説明すると、表8の(い)欄に掲げる建
築物の損傷限界固有周期又は安全限界固有周期に応じて
所定の式によって計算した地盤の卓越周期、及び所定の
式によって計算した表層地盤の増幅率を用いて、表8の
(ろ)欄に掲げる式によって計算する。この場合におい
て、建築物の損傷限界時及び安全限界時のGsが、それ
ぞれ表8の(は)欄又は(に)欄の数値を下回るときは
当該各欄の数値とするものとし、更に建築物と表層地盤
との相互作用を考慮して、所定の別式によって計算され
る相互作用に関する係数を乗じることができるものとす
る。但し、表層地盤に伝わる弾性波の速度の実測に基づ
きGsを計算する場合にあっては、当該計算によること
ができる。
のボーリング調査結果に基づき算出した事例について説
明する。まず、ボーリングデータが公開されている地盤
図等からデータを読み取り、データベース化した。今回
は、沖洪積層の分類がきちんとされ、データの質が高い
「新編大阪地盤図」から、図6に示すように、大阪駅周
辺の2点鎖線でしめす2.0km×1.5kmのエリア
のボーリングデータ(29本)を入力し、データベース
化した。その内のある1点を建築地と想定し、そこから
2点鎖線で示す500m以内のデータをピックアップす
る。
合、活用できると判断し、そのデータから地盤増幅率G
sを計算し、その内の最大値を近隣の最大増幅率、Gs
最大値とする。Gs最大値と建築地自体の増幅率Gs’
を比較し、Gs’の方が小さい場合は問題ないが、逆に
大きくなるケースも考えられる。その結果から、Gs最
大値>Gs’となるような安全係数αを求める。以上の
検証を想定建築地を入れ替えて行い、妥当性確認と安全
係数αの設定を行った。
は、地質n(砂及び礫の地域…図6中、2点鎖線から右
側のハッチングの部分)と地質a(砂・礫及び泥の地域
…その他の部分)に分けられる。本検証では、地質a
(砂・礫及び泥の地域)に存在するデータに限定するこ
ととした。ここで、建築地と同一地質でないデータと、
地盤深部(N値50程度)までデータが存在せず、増幅
率が計算できない建築地のデータの11データを、デー
タ数が29から除外し、図7に示すP2,P3,P5,
P6,P7,P8,P9,P10,P12,P13,P
16,P17,P18,P19,P24,P25,P2
6,P27の18データについて算出した。
び安全係数計算結果を図8に示す。図8は、横方向に想
定した建築地の位置を示すラベル、縦方向に近隣データ
の位置を示すラベルを並べた表図である。図8中の○印
は、想定建築地から500m以内のデータを示し、その
数を「近隣データ数」の行に示す。近隣データが3本以
上存在する建築地が多く、データ数が不足しているの
は、想定建築地P2,P3,P16,P24の4例であ
る。
s’」の比較結果は、大小関係を示す行の不等号(∧、
∨)で示した。∧は「近隣のGs最大値」が「建築地自
体のGs’」より小さいケースを示しており、この結果
から安全係数αを設定する必要がある。今回のデータで
は、近隣データ数が3以上、かつ、「近隣のGs最大
値」が「建築地自体のGs’」より小さいケースは、想
定建築地がP18の場合(表1中、*を付した部分)の
みであり、その結果から安全係数を1.16(=2.0
0/1.73)と設定した。また、P18以外の全ての
想定建築地に対しては、「近隣のGs最大値」が、「建
築地自体のGs’」を上回っており、この考え方の妥当
性が確認できた。ちなみにP18の地盤は、かなり軟弱
であり、深度28m程度までN値10以下であるため、
大きな地盤増幅率を示したものと思われる。
は、地形、地質に注目して同一であるかを絞り込んでい
るが、第1〜3種の地盤種別に注目して建築地の地盤種
別と一致するボーリングデータに絞り込むようにしても
よい。また、建築地から例えば100m以内というよう
に、ごく近傍のボーリングデータがあり、地形、地質が
一致している場合、そのデータのみで建築地の地震動が
推定できるものとしてもよい。前記の地盤種別は、建築
基準法施行令、通達、昭56住指発第96号に示され、
建築基準法施行令による地盤種別と卓越周期の分類を示
しており、以下の表9のとおりである。
施形態は、ボーリング地点における調査データから、卓
越周期を求めて地盤調査を行う方法である。この方法に
おいては、卓越周期を簡易的に算定する次の式(6)に
基づいて、各ボーリング地点における地盤の卓越周期を
算定する。なお、簡易算定式(6)において、hiは層
厚であり、Hiはi番目の層の深度であり、Vsiはせん
断波速度である。
における卓越周期が算定される。例えば、2地点の卓越
周期を比較し、より長周期の卓越周期を建築地の卓越周
期として推定する。この場合も建築地は2地点のほぼ中
間に位置していることが必要である。ボーリング地点が
3点の場合は前記の簡易算定式(6)から、3つの卓越
周期が算定される。これらを比較し、最も長い卓越周期
を建築地の卓越周期として推定する。3地点の場合は、
建築地が3つのボーリング地点に囲まれていることが必
要である。このようにして、建築地における地盤の卓越
周期を推定し、推定した設計用の卓越周期から、前記し
た例と同様に免震建物に必要な免震装置に用いる減衰装
置の減衰定数等の仕様を決定することができる。
定して地盤調査する方法について説明する。この方法で
は、ボーリング地点における調査データから、液状化発
生に対する安全率を計算する。先ず、ボーリング地点の
地盤内の各深さに発生する等価な繰返しせん断応力比を
次式によって計算する。
/σ’z)×rd 上式で、τdは水平面に生じる等価な一定繰返しせん断
応力振幅 σ’zは検討深さにおける有効土被り圧 rnは等価な繰返し回数に関する補正係数で、rn=0.
1(M−1) 但し、Mは地震のマグニチュード αmaxは地表面における設計用水平加速度(Gal) σzは検討深さにおける全土被り圧(鉛直全応力) rdは地盤が剛体でないことによる低減係数で(1−
0.015z) zはメートル単位で表した地表面からの検討深さ
び図9を用いて計算する。 Na=N1+ΔNf N1=CN×N CN=√(10/σ’z) 上式で、Naは補正N値、N1は換算N値、ΔNfは細粒
土含有率に応じた補正N値増分で図9による。CNは換
算N値係数(σ’zの単位はt/m2)、Nは、とんび法
又は自動落下法による実測N値、但しコーンプーリ法を
用いたときは、ロープをプーリから外してハンマを自由
落下させる努力をした場合、1割程度、自由落下をしな
かった場合、2割程度割り引くこととする。さらに、図
10中のせん断歪振幅5%曲線を用いて、補正N値(N
a)に対応する飽和土層の液状化抵抗比(τl/σ’z)
を求める。ここに、τlは水平断面における液状化抵抗
である。
る安全率Flを、式(7)により計算する。 Fl=[(τl/σ’z)/(τd/σ’z)]=(τl/τd) (7) 上式(7)より求めたFl値が1より大きくなる土層に
ついては液状化の可能性はないものと判定し、1以下と
なる場合はその可能性があり、値が小さくなるほどその
土層の液状化発生危険度は高いと判定する。
20m以浅で且つ、砂質層が孔内水位以下で−20m以
浅で且つ、その地点におけるFl値が1以下の場合、こ
のボーリング地点2においては液状化の可能性があると
判定する。そして、ボーリング地点2、3の少なくとも
一方において、前記と同様に液状化の可能性があると判
定された場合、建築地1においては液状化の可能性があ
ると推定する。この場合の建築地1とボーリング地点
2、3は、前記した例と同様に建築地1がボーリング地
点2、3の中間に位置する位置関係が必要である。建築
地における推定したFl値が1以下となり、液状化の可
能性がある場合は、免震建築自体を断念するか、あるい
は地盤改良をしてから免震建築する等の判断に反映され
る。
水位が−20mより深いか、砂質層が孔内水位以下で−
20mより深いか、またはその地点におけるFl値が1
以上の場合、このボーリング地点2、3においては液状
化の可能性がないと判定し、建築地1における液状化の
可能性がないと推定する。この場合は、建築地における
免震建物の建築は、地盤改良等をすることなく可能とな
る。このように、ボーリング地点2、3の液状化の可能
性から、建築地1の液状化の可能性を容易に推定して判
断できるため、建築地1において液状化の可能性を判断
するためのボーリング調査を実施しないで液状化の可能
性を推定できる。
能性を判定するとき、スウェーデン式サウンディング試
験等の深度の浅い地盤調査で得られるN値と、孔内水位
の測定結果により簡易的に判定することができる。前記
の例では、地下深度20m程度までのボーリング地質調
査による土質試験や、N値及び孔内水位の測定結果から
算定式に基づいて判定しているが、ここでは戸建て住宅
等の小規模建築物を建築する場合に十分に対応できる、
地下深度5m程度までの液状化の可能性の判定について
述べる。
験について、簡単に説明する。この試験はJIS A1
221に規定する試験方法に準じて行うものであり、先
端にスクリューポイントを固定したロッドを使用して、
荷重1kNまでの静的載荷による沈下測定を行い、続い
て1k N載荷のまま、回転貫入を行うものである。こ
れは所定の方法によりロッドを貫入させ、25cmの長
さを貫入させるのに要したロッドの半回転数(半回転を
1回として計測する)を記録し、これを1m貫入量に換
算した時の値(Nsw)を求めるものである。
判定法から孔内水位毎の安全率Fl=1となる安全限界
での深さとN値(半回転数Nswに換算)の関係線図を
求め、その線図の安全領域にスウェーデン式サウンディ
ング試験結果があれば液状化発生の可能性は無いと判断
する。そして、以下の検討において、より安全側の検討
とするために、前記のαmax=200gal、M=
7.5、土層は細砂とし、γ=1.8t/m3、細粒土
含有率に応じた補正N値増分ΔNf=0とする。
の可能性を推定するとき、有効土被り圧σ’z及び全土
被り圧σzを算出する際に用いるものである。なお、検
討深さより上部に存在する土の単位体積重量の和を「全
土被り圧」と呼び、地下水位以下に関して水の単位体積
重量(1.0)を引いたものを「有効土被り圧」と呼
び、これは浮力の影響を考慮した値となる。
る液状化抵抗比(τl/σ’z)を算出すると、 τl/σ’z=0.239z(1−0.015z)/
(0.8z+W) ここで、Wは孔内水位の深さを示している。この液状化
抵抗比からせん断幅ひずみ振幅5%曲線(図10)を表
す次式から補正N値(Na)を算定する。 τl/σ’z=aCr{16√(Na/100)+(16
√(Na/Cs)n) ここで、a=0.45、Cr=0.57、n=14、C
s=80である。このようにして算定された補正N値
(Na)から次式によりNswに変換する。 N値=Na√{(0.8z+W)/10} Nsw=(N値−2)/0.067 前記のように孔内水位の深さにより、その深さ以深の安
全限界となるNsw値を算定して、図11に示す液状化
危険度判定シートを作成した。このシートの使用法は、
スウェーデン式サウンディング試験によるNsw値をシ
ート上にプロットし、適用される孔内水位範囲の線図の
右側の安全領域に孔内水位以下の全てのNsw値があれ
ば安全と判断する。また、孔内水位測定を実施しない場
合は孔内水位を−1mとして判定する。このように液状
化の判定が簡易的にできるので、調査費用を削減でき、
調査時間を短縮できる。
模擬地表波を作成し、これを用いて設計用地表波スペク
トルを作成して地盤調査する方法について説明する。先
ず、近隣の活断層や過去の歴史地震を震源とする地震が
懸念されない場合は、最大規模の模擬地表波は、例えば
日本建築センター発行の設計用入力地震動作成手法技術
指針に基づいて算定する。この場合の増幅率は表6のと
おりとする。例えば、均質型地盤でレベル2の場合の計
算式を以下に示す。
せん断波速度、Vbは工学的基盤のせん断波速度であ
る。
幅率が大きくなる条件は短周期側増幅率αでは地盤卓越
周期Tgが短周期の場合であり、最大増幅率βでは(V
e/Vb)が小さくなる場合であるが、一般に応答が大
きくなるのは長周期成分が大きい場合であり、ここでは
最大増幅率βで増幅率が大きくなる条件を検討する。工
学的基盤のせん断波速度Vbは、定義から概ね400m
/s以上であり、400m/sで一定であると仮定する
と、Veが小さいほど最大増幅率βが大きくなる。 Veは、Ve=ΣVi・hi/Σhi で示され、Viはi番目の地層のせん断波速度、hiは
i番目の地層の層厚である。一般に過去の事例から工学
的基盤の深度が深いほど(Σhiが大きいほど)Tgは
長周期化し増幅率は大きくなるので、ここでは工学的基
盤の深度が概ね30m以上で、Ve=ΣVi・hi/Σ
hiが小さいことを条件とする。
での多数の既存ボーリングデータから、大規模の模擬地
表波となる地層構造を複数抽出する。そして、抽出した
地層構造での設計用地表波スペクトルを前記した技術指
針に基づいて算定する。このようにして算定された複数
の設計用地表波スペクトルは、図12に示されるもので
あり、これらの複数のスペクトルを包含するスペクトル
を合成する。図12(a)は3つの設計用地表波スペク
トル15、16、17を示し、図12(b)は前記3つ
の設計用地表波スペクトルを包含する地表波スペクトル
18を示している。ここで包含とは、それぞれの設計用
地表波スペクトルの最大値部分を連続させることであ
る。さらに本例では、安全率を考慮して包含した地表波
スペクトルを1.2倍し、最大規模の設計用模擬地表波
とする。
源とする地震が懸念される場合は、最大規模の模擬地表
波は、近隣の活断層や過去の歴史地震を震源とする地震
から作成する。先ず、建築地近傍の活断層を震源とする
地震波より作成する場合について説明する。活断層の特
性を考慮した、全国規模または地域限定で想定される全
ての大規模な地震動スペクトルを表12に示すパラメー
タに基づき算定し、これらのスペクトルを包含するスペ
クトルを合成し、安全率を考慮して前記スペクトルを
1.2倍して地震基盤における最大規模の地震動スペク
トルを作成する。
規模の地震動スペクトルに、地盤基盤から工学的基盤ま
での震源からの距離5kmで想定される地質による最大
の伝達関数を乗じて、工学的基盤での地震動スペクトル
を作成する。ここで、震源からの距離を5kmとしたの
は、耐震設計目標(設計クライテリア)が、活断層や歴
史地震の震源からの震源距離を5kmとしているためで
ある。工学的基盤での地震動スペクトルに、最大規模の
設計用模擬地表波の工学的基盤からの増幅率である前記
したα、βを乗じて、最大規模の設計用模擬地表波を作
成する。
の適用範囲を検討する。具体的には、活断層20からの
距離が5kmから例えば1kmごとに離れた地点におけ
る工学的基盤での地震動スペクトルを作成する。この地
震動スペクトルと、日本建築センターが発行する「設計
用地震動作成手法技術指針」に基づく工学的基盤での模
擬地震動スペクトルを比較し、作成した地震動スペクト
ルが模擬地震動スペクトルを超える範囲を検討する。例
えば超える距離が20kmであるとすると、作成した地
震動スペクトルの適用範囲Xは、図13に示すように5
kmから20kmとなる。
囲は、活断層や歴史地震を震源として想定される最大規
模の地震動スペクトルなので、極めて安全な設計が可能
となる。また、建築計画ごとにボーリング調査や地表波
作成が省略でき、地盤調査を含めた建築計画や建築設計
が容易となり、設計のコストダウンが達成できる。さら
に、設計が簡素化できるため、知見の少ない設計者でも
安全な設計ができ、建築確認業務も簡素化できる。
傍の歴史地震を震源とする地震波より作成する場合は、
前記と同様にして想定される最大規模の地震動スペクト
ルをマグニチュードおよび震源距離から作成し、適応範
囲は図14に示すように震源地21を中心とする範囲Y
となる。この場合も、前記の活断層20を震源とする場
合と同様の効果を奏する。
工学的基盤深度が所定値以上である地盤より作成する場
合について説明する。設計用模擬地表波の定量的な検討
をするに際し、表10に示す東京都の20箇所の地点の
地盤を採用した。この20地点は様々な地盤を考慮する
ため、川や海沿いの地盤と内陸の地盤から各々5つの場
所を選択し、各場所から2地点ずつ地盤を選択した。表
10に示す20地点の地盤について、前記した「設計用
入力地震動作成手法技術指針」に従い、地表波スペクト
ルを作成した。図15はその結果を示している。
る。一般に、免震装置を含まない上部構造物のみの固有
周期である建物周期に対し、免震装置を含む免震建築物
全体での固有周期である免震周期は、数倍となるように
設計するため、通常の建物の場合、免震周期は約2秒以
上となる。図15に示す○枠22は、2秒以上の範囲を
示しており、この範囲における地表波スペクトルpSv
(免震)の値は100〜236(cm/s)であった。
震)を示す地盤を選択する。平均せん断波速度Veまた
は工学的基盤深度Σhiと、pSv(免震)の関係を図
16に示す。図16は免震周期として2.5秒の値のも
のであるが、2.5秒に限定されるものでない。図16
(a)から明らかなように、平均せん断波速度とpSv
(免震)との間には、はっきりした相関が認められない
のに対し、(b)に示すように、工学的基盤深度とpS
v(免震)との間には深度が深いほど、すなわち深度が
30mを超えると、pSv(免震)の値が大きくなる傾
向が認められる。
手順において、最大増幅率βを適用する範囲は、0.2
Tg〜2.2Tgの範囲であり、この範囲で地表波スペ
クトルはピークを示す場合が多い。ここでTgは地盤卓
越周期であり、Tg=4Σhi/Veの関係で求めるこ
とができる。2.2Tgが免震周期範囲(2秒)以上に
入ると、pSv(免震)が大きくなると考えられるか
ら、その条件を計算するとTg≧0.91(秒)とな
る。一方、今回採用した地盤の平均せん断波速度のヒス
トグラムを示す図17を見ると、140m/s程度の頻
度が多いことが分かる。Tg=4Σhi/Veの関係式
より、Ve=140m/s、Tg=0.91secとし
て、工学的基盤深度Σhiを計算すると31.9mとな
り、工学的基盤深度が30mを超えるとpSv(免震)
が大きくなる傾向が分かる。
て、表11に示す20箇所のデータが得られたとする。
この場合、工学的基盤深度が30m以上であるa〜d、
f〜gの7箇所の地盤(表11でハッチングした地盤)
を選択する。このように選択した地盤について、前記し
た手順と同様の計算を実施し、地表波スペクトルpSv
を得る。その結果、得られた免震周期2.5secでの
pSv(免震)は、表12に示される。
の計算結果も示している。表12より、工学的基盤深度
の深い7箇所の計算値(表12でハッチングした地盤)
が、その他の地盤の計算値を概ね上回っていることが分
かる。表12の結果より、地盤cの計算値が236(c
m/s)で最大であり、この値を免震建築物の耐震設計
及び応答解析設計に用いることができる。
断波速度を計算することなく、工学的基盤の深度のみに
注目し、基盤深度が所定値以上すなわち30m以上の地
盤に限定して計算するので、より簡便に、より効率的に
計算することができる。そして、最大規模の設計用模擬
地表波を作成するときの工数が大幅に削減でき、短時間
で作成できコストダウンを達成できる。
動スペクトルと、活断層の特性を考慮して活断層からの
距離を変えて計算した複数の地震動スペクトルとを比較
し、活断層の存在を考慮すべき距離を決定する例を説明
する。この場合、公知の地震動スペクトルとして、日本
建築センター発行の設計用入力地震動作成手法技術指針
に記載されている、表1に記載のレベル2の水平動基準
応答スペクトル25(以下、建築センタースペクトルと
いう)を採用すると好適である。
は、図18に示すように、長周期ほど大きな値を示し、
0.6sec以上で速度レベルが100cm/secと
なる特性を示している。建築センタースペクトルは、図
19に示すように、工学的基盤面で定義されたスペクト
ルである。これに対し、日本建築学会論文報告集(197
9)の「地震断層を考慮した地震動スペクトルの推定」
に記載されている活断層スペクトルは、地震基盤面で定
義されたものである。このため、工学的基盤面での活断
層スペクトルを求めるためには、地震基盤と工学的基盤
の間の増幅率を別途計算し、地震基盤面でのスペクトル
にかけ合わせる必要がある。
射理論(HaskellのMatrixを用いた手法)により計算で
きる。ここでは、埼玉県岩槻の地盤を例にとって計算を
実施し、地盤特性を表13に、増幅率を図20に示す。
図20で明らかなように、この地盤では、地震基盤から
工学的基盤まで地震が伝わる際に、概ね6倍程度に増幅
され、特に周期が2sec付近では増幅率が10倍程度
になることが分かる。
記した活断層スペクトルを求めた。その特性を表14
に、断層からの震央距離を20km、5km、2km、
1kmの4通りとした地震基盤でのスペクトルを図21
に示す。図21より、断層からの距離が短いほど速度レ
ベルが大きく、長周期側で10cm/s程度となること
が分かる。
図21に示す地震基盤でのスペクトルとをかけ合わせた
結果を、図22の工学的基盤でのスペクトル特性図に示
す。図22より、震央距離を5kmまで近づけても建築
センタースペクトル25のほうが大きく、建築センター
スペクトル25で評価しておけば安全側の設計であると
いえる。しかし、震央距離が1km程度では、活断層ス
ペクトルのピーク値が建築センタースペクトル25と同
レベルとなることが確認できた。このように活断層の存
在を考慮すべき距離を定量的に表せるため、公知の建築
センタースペクトル25が利用できる限界範囲を明確に
でき、その限界において設計目標(クライテリア)の切
り替えが可能となる。
や免震住宅等の小規模建築物の地震応答解析のための基
準応答スペクトルについて説明する。この基準応答スペ
クトルは解放工学的基盤で設定された応答スペクトルで
ある。先ず、地震動レベルとして、レベル1およびレベ
ル2を定義する。レベル1は、小規模建物の供用期間は
50年であるので設計用再現期間50年の地震動レベル
とし、建物の供用期間中に1回以上受ける可能性がある
地震動と定義する。レベル2は、供用期間50年に対し
て十分な余裕を考慮して設計再現期間100年の地震動
レベルとし、建築地において過去および将来における最
強の地震動と定義する。
ペクトルは解放工学的基盤面での応答スペクトル特性を
表すもので、前記した表1により定めるとしている。こ
こで、レベル1、2での基準応答スペクトルの値は、以
下の数1、数2に示す算定式を用いて計算することがで
き、各設定周期間のスペクトル値は両対数軸上で直線補
間され、図23に示される特性を示す。図23は、水平
動基準応答スペクトル(レベル2)25と、水平動基準
応答スペクトル(レベル1)26を示している。
る。地震動の最大加速度と最大速度の再現期間換算係数
Ra、Rvは、それぞれの年最大値の確率分布に基づい
て定められる。すなわち、統計年間400年の地震資料
を用いた上下限値を有する分布による結果に、100年
統計期間の資料による結果との比の全国平均である
「0.94」を乗じて求め、7都市におけるr年再現期
待値の値を100年再現期待値で基準化すると、概ね次
式で推定可能である。 Ra=Rv=(r/100)0.54 (8) rは再現期間(年)を示す。
(BCJ−L2)の換算について以下に説明する。BC
J−L2の再現期間は200年なので、式(8)のrに
「200」を代入すると、速度換算係数Rv=(200
/100)0.54=1.45となる。そして、再現期間1
00年の最大擬似速度応答スペクトルpSv1は、建築
センタースペクトル25の最大擬似速度応答スペクトル
が100cm/sであり、速度換算係数Rv=1.45
で割ると、pSv1=100/1.45=69m/s、
と低減される。
(BCJ−L1)の換算も、同様に行う。BCJ−L1
の再現期間は50年なので、式(8)のrに「50」を
代入すると、速度換算係数Rv=(50/100)0.54
=0.69となる。そして、再現期間100年の最大擬
似速度応答スペクトルpSv2は、建築センタースペク
トル26の最大擬似速度応答スペクトルが50cm/s
であり、速度換算係数Rv=0.69で割ると、pSv
2=50/0.69=73m/s、と増加される。前記
のように求めたpSv1とpSv2とを比較し、設計用
再現期間100年の最大擬似速度応答スペクトルは、安
全側の検討を考慮して最大擬似速度応答スペクトルを7
3m/sとする。
1の場合、再現期間50年は建築センタースペクトル2
6(BCJ−L1、最大擬似速度応答スペクトル50c
m/s)を基準応答スペクトルとする。また、レベル2
の場合、設計再現期間100年の最大擬似速度応答スペ
クトル73cm/sを、ばらつきや誤差を考慮して、1
0%割増して最大擬似速度応答スペクトルを80cm/
sとなるように建築センタースペクトル25(BCJ−
L2、最大擬似速度応答スペクトル100cm/s)を
80%に低減したスペクトルを基準応答スペクトルとす
る。このようにして、小規模建築物の設計用再現期間に
適した基準応答スペクトルを作成でき、それを地表波に
引き上げて地震応答解析を行うことができるので、過剰
設計とならない最適で安全な構造設計や免震設計が行え
る。これにより設計のコストを低減することができる。
とする地震波より作成した地震動スペクトルを、小規模
建築物の設計用再現期間(再来期間)に合わせる例につ
いて説明する。例えば、模擬地震動スペクトル、活断層
を震源とする地震や歴史地震の再現期間をr年、最大擬
似速度応答スペクトルをpSvrとすると、再現期間1
00年からの再現期間換算係数(速度換算係数Rv)
は、再現期間をr年とすると、 Rv=(r/100)0.54 となる。そして、再現期間100年の最大擬似速度応答
スペクトルpSv1は、 pSv1=pSvr/(r/100)0.54 となり、誤差を考慮して、10%割増して、設計用再現
期間100年の最大擬似速度応答スペクトルpSv10
0は、 pSv100=[pSvr/(r/100)0.54]×1.
1 となる。
ル、活断層を震源とする地震や歴史地震による地震動ス
ペクトルを基準応答スペクトルとして地震応答解析を行
い、最も大きい応答で構造設計や免震層設計を検討す
る。従って、小規模建築物の設計用再現期間に適した基
準応答スペクトルを作成でき、これを地表波に引き上げ
て地震応答解析を行うことができるので、過剰設計にな
らない最適で安全な免震層設計が行える、このため、設
計のコストを低減することができる。
から求める例について説明する。この例では、再現期間
を活断層の長さと活動度から求めることを特徴とする。
すなわち、活断層による地震の発生頻度は、平均変位速
度が大きいほど大きく、平均変位速度が同じ場合は断層
の長さが長く、発生する地震の規模が大きいほど発生頻
度が小さくなることに基づくものであり、断層長さL
(km)と平均変位速度S(mm/年)から、次式によ
り計算できる。 logR=log(L/S)+1.9 (9) ここで、平均変位速度S(=断層変位量D/年数T)
は、表15に示すように、活動度に基づき安全側の値を
採用する。
24に示す東京都西部に位置する鶴川断層30と、栃木
県北部に位置する関谷断層31について計算する。な
お、図24において、福島県東部の断層は、双葉断層で
あり、長野県には松本盆地断層、木曽山脈山麓断層が示
されている。
m、活動度Cであるから、(9)式にL=40.5、S
=0.1を代入すると、R=10[log(40.5/0.1)+1.9]
=32170(年)となる。これを適用範囲の上限50
0年に置き換えて、前記の(8)式と同様の式Ra=R
v=(R/100)0.54 (10)に代入すると、
Ra=Rv=(500/100)0.54=2.38とな
る。関谷断層31の場合、L=39.3km、活動度A
であるから、(9)式にL=39.3、S=10を代入
すると、R=10[log(39.3/10)+1.9]=312年とな
る。これを前記の(10)式に代入すると、Ra=Rv
=(312/100)0.54=1.85となる。
の値Ra=Rv=1.85で補正したスペクトルを設計
用入力地震動スペクトルとして採用する。このように、
小規模建築物の設計用再現期間に適した入力地震動スペ
クトルを、活断層の長さと活動度から作成できるので、
過剰設計とならない最適で安全な構造設計や免震層設計
が行える。そして、建築可能範囲の拡大やコストダウン
効果も期待できる。
おいてボーリング調査を実施しなくても設計用地表波ス
ペクトル、地盤卓越周期、液状化の可能性を推定するこ
とができる。推定された設計用地表波スペクトル、地盤
卓越周期および/または液状化の可能性を用いて、免震
建物の減衰装置の設計に反映することができ、地盤の改
良の必要性についても判断できるため、免震建物を低コ
ストで建築することができる。
築地における応答スペクトルを算出し、前記建築地に建
築する建物の固有周期に対して前記応答スペクトルの応
答が小さくなるように調整設計することができる。この
場合、例えば実測データから応答スペクトルを算出する
例について、以下に説明する。実測データとして、19
95年兵庫県南部地震の際、神戸海洋気象台で記録され
た地震波を使用する。図25は、このデータの時刻歴デ
ータNS成分を示している。
しやすい地震波の特性及び表層地盤の特性等の地域性を
反映しているものであり、このデータから加速度応答ス
ペクトル等を算出できるが、本例では図26に示す変位
応答スペクトルを算出した。図26において、横軸は建
物の固有振動数(Hz)、縦軸はその振動数の建物に当
該地震入力があった場合の応答変位(cm)である。同
図において、例えば建物の階高を2.8m、層間変形角
を1/100以下に抑えたい場合、応答変位を2.8c
m以下にする必要がある。これから安全を見て応答変位
の目標値を2.0cm以下と設定すると、ハッチングで
示すように、建物の固有振動数は4.0Hz以上に調整
することが望ましいことが分かる。
ついて、図27を参照して説明する。図27は外壁の固
定イメージ図である。(a)に示す変更前の状態では2
枚の外壁パネル40,40は左右の垂直辺が、それぞれ
3本のリベット41でスタッド42に固定されている。
このリベットの本数を例えば(b)に示すように、それ
ぞれ5本とすることで建物の固有周期の調整をすること
ができる。また、リベット本数を増やす代わりに外壁パ
ネルを固定するスタッド42の材厚を変更してもよく、
スタッド42を水平部材43に固定する固定ボルト44
をハイテンションボルトに変更することにより固有周期
を調整することができる。このように、応答スペクトル
の応答が小さくなるように、建物の固有振動数を調整設
計することにより、建物の被害を軽減することができ
る。
定する地盤調査方法を用いて、建築地における地盤卓越
周期を推定し、前記建築地に建築する建物の固有周期と
前記推定値とを外すように調整設計することができる。
このときに使用する地盤卓越周期は解析により求めたも
のや、測定により求めたもののどちらでもよい。応答加
速度に注目した場合の例として、1968年十勝沖地震
の際、八戸港湾で図28に示す地震波時刻歴データNS
成分が記録された。
応答スペクトル等を算出できるが、本例では図29に示
す加速度応答スペクトルを算出した。図29において、
横軸は建物の固有振動数(Hz)、縦軸は当該地震入力
があった場合の応答加速度(cm/s2)である。同図
において、建物の固有振動数が3.0Hz或いは4.5
Hz付近では大きな応答(800m/s2)を示すこと
が分かる。また、3.8Hz程度か、もしくは5.0H
z以上では応答が小さいことが分かり、ハッチングで示
す範囲に建物の固有振動数が入るように調整すれば、地
震時の応答加速度が低減できる。これにより家具転倒等
による物的、人的被害の防止が期待できる。
明の請求項1に記載の発明による地盤調査方法によれ
ば、建築地においてボーリング調査を実施することな
く、近隣のボーリングデータを利用して短時間で、しか
も低コストで精度よく、設計用の地表波スペクトルを推
定することができる。このため、設計用地表波スペクト
ルを免震装置の設計等に反映させることができ、地盤調
査を必要とする免震建物のコストダウンに極めて有効で
ある。
調査方法によれば、建築地においてボーリング調査を実
施することなく、近隣のボーリングデータを利用し、地
盤の層構造より複数地点の層構造が連続していることを
確認して短時間で、しかも低コストで精度よく、設計用
の地表波スペクトルを推定することができる。このた
め、設計用地表波スペクトルを免震装置の設計等に反映
させることができ、地盤調査を必要とする免震建物のコ
ストダウンに極めて有効である。
調査方法によれば、複数のボーリングデータから絞り込
んだ複数の地表波スペクトルを算出し、最大のものを設
計用地表波スペクトルとするので、開削ボーリング調査
が不要となり、地盤調査費用の削減が図れる。
調査方法によれば、近隣のボーリングデータから得られ
た地表波スペクトルに増幅特性係数をかけることによ
り、より精度の高い設計用地表波スペクトルを得ること
ができる。
調査方法によれば、近隣の複数のボーリングデータから
算出した地盤卓越周期から安全側の地盤卓越周期を推定
でき、免震建築物のコストダウンを達成することができ
る。
調査方法によれば、近隣のボーリングデータを利用して
容易に、短時間で建築地の液状化の可能性を推定でき、
免震建築物が建築できるかを判断することができるとと
もに、地盤改良が必要かを判断することができる。
調査方法によれば、深度の浅い地盤調査により液状化危
険度の判定ができるので、調査費用の削減と調査時間の
短縮が可能となる。
調査方法によれば、建築地における精度の高い設計用地
表波スペクトルとして推定できるため、免震装置等の設
計に役立てることができ、免震建築物のコストダウンに
貢献できる。
調査方法によれば、建築地において、より精度の高い設
計用地表波スペクトルとして推定できるため、免震装置
等の設計に役立てることができ、免震建築物のコストダ
ウンに貢献できる。
盤調査方法によれば、建築計画地ごとに必要であったボ
ーリング調査や地表波作成を省略することができ、また
地域ごとに設計用模擬地表波が統一でき、建築設計の標
準化ができ、建築設計が容易となり、コストダウンを達
成できる。
盤調査方法によれば、近隣の活断層や過去の歴史地震を
震源とする地震から最大規模の模擬地表波を作成し、適
用範囲を検討するため、必要な強度での建築が可能とな
る。
盤調査方法によれば、設計用模擬地表波を作成する際の
地盤は、工学的基盤の深度のみに注目して選択すればよ
く、平均せん断波速度の計算が不要となり、工数を削減
でき、より簡便に、より効率的に計算できる。また本発
明の請求項13に記載の発明による地盤調査方法によれ
ば、工学的基盤深度が30m以上である地盤より、最大
規模の設計用模擬地表波を、より簡便に効率的に作成す
ることができる。
盤調査方法によれば、活断層からの距離と地震動スペク
トルの関係が明らかとなり、水平動基準応答スペクトル
と、ある距離における地震動スペクトルとが接近する場
合は、活断層の距離を考慮して設計用模擬地表波を作成
することができる。
盤調査方法によれば、所定の低減率をかけて小規模建築
物に適用できる基準応答スペクトルを算出するため、小
規模建築物の設計用再現期間に適した基準応答スペクト
ルを作成でき、地震応答解析を行うことができる。
盤調査方法によれば、最強の地震動を低減した地震動ス
ペクトルと、一回以上受ける可能性がある地震動を増幅
した地震動スペクトルの内、規模の大きいものを基準応
答スペクトルとするため、過剰設計とならない最適で安
全な構造設計や免震設計が可能となる。
盤調査方法によれば、小規模建築物の設計用再現期間に
適した入力地震動スペクトルを建築地近隣の活断層の長
さと活動度から求めた活断層の再現期間に合わせて作成
できるので、過剰設計とならない最適で安全な構造設計
や免震層設計を行え、建築可能範囲を拡大でき、免震建
物のコストダウンを達成できる。
盤調査方法によれば、設計用地表波スペクトル、設計用
模擬地表波を、小規模建築物の設計用再現期間に合わせ
て補正するので、小規模建築物の設計用再現期間に適し
た基準応答スペクトルを作成でき、これを地表波に引き
上げて地震応答解析を行うことができる。
震建物を建築する方法によれば、建築地においてボーリ
ング調査を実施しなくても設計用地表波スペクトル、地
盤卓越周期および/または液状化の可能性を推定できる
ため、免震建物を短時間で効率よく、しかも低価格で建
築することができ、地盤改良の判断もできる。
物の設計方法によれば、一般住宅に対しても耐震性の向
上を図ることができ、例えば壁クロスが切れる、剥がれ
る等の被害を軽減できる。本発明の請求項21に記載の
発明による建物の設計方法によれば、建物内において、
例えば家具転倒による物的、人的被害の防止が期待でき
る。
地、ボーリング地点の位置関係を示す平面図。
地表波スペクトル図、(c)は推定した設計用地表波ス
ペクトル図。
ける地表波スペクトル図、(c)は推定した設計用地表
波スペクトル図。
明図。
ート。
図。
略平面図。
増幅率Gs、安全係数等を示す表図。
すグラフ。
l/σ’zの関係を示すグラフ。
ラフ、(b)は、それらを包含する地表波スペクトルの
グラフ。
ペクトルの適用範囲の説明図。
スペクトルの適用範囲の説明図。
期と地表波スペクトルpSvを示すグラフ。
トルpSvの関係を示すグラフ、(b)は工学的基盤深
度と地表波スペクトルpSvの関係を示すグラフ。
センタースペクトル)の特性図。
ルの説明図。
幅率を示すグラフ。
km、1kmの4通りとした地震基盤でのスペクトル特
性図。
をかけた工学的基盤でのスペクトル特性図。
ペクトルの特性図。
す線図。
壁の固定イメージ図。
示す線図。
タースペクトル)、 26 レベル1の水平動基準応答スペクトル(建築セン
タースペクトル)、 30 鶴川断層、 31 関谷断層、 X、Y 適用範囲
Claims (21)
- 【請求項1】 建築地近傍において複数のボーリング地
点のボーリングデータを収集し、該データに対応する複
数地点の地表波スペクトルを算出し、各地表波スペクト
ルのうち規模の大きい側のデータを接続して合成するこ
とにより設計用地表波スペクトルを得ることを特徴とす
る地盤調査方法。 - 【請求項2】 建築地近傍において複数のボーリング地
点のボーリングデータを収集し、該データの地盤の層構
造より複数地点の層構造が連続していることを推定し、
前記データに対応する複数の地表波スペクトルを算出
し、各地表波スペクトルのうち規模の大きい側のデータ
を接続して合成することにより設計用地表波スペクトル
を得ることを特徴とする地盤調査方法。 - 【請求項3】 前記複数のボーリング地点のボーリング
データから建築地と同一地形または同一地質のボーリン
グデータに絞り込み、絞り込まれた複数のボーリングデ
ータから複数の地表波スペクトルを算出し、そのうちの
最大のものを設計用地表波スペクトルとすることを特徴
とする請求項1または2に記載の地盤調査方法。 - 【請求項4】 前記ボーリングデータから、工学的基盤
からの増幅特性係数を算出し、該増幅特性係数を基準ス
ペクトルにかけて前記地表波スペクトルを算出すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地
盤調査方法。 - 【請求項5】 建築地近傍において複数のボーリング地
点のボーリングデータを収集し、該データに対応する複
数の地盤卓越周期を算出し、各地盤卓越周期のうち最長
周期の地盤卓越周期を建築地における設計用地盤卓越周
期と推定することを特徴とする地盤調査方法。 - 【請求項6】 建築地近傍において複数のボーリング地
点のボーリングデータを収集し、該データより複数地点
における液状化の可能性の数値を算出し、各地点におけ
る前記数値のうち可能性の高い側の数値を、建築地にお
ける液状化の可能性の数値と推定することを特徴とする
地盤調査方法。 - 【請求項7】 深度の浅い地盤調査で得られるN値と、
孔内水位の測定結果から建築地における液状化の可能性
を推定することを特徴とする請求項6記載の地盤調査方
法。 - 【請求項8】 前記ボーリング地点が2点であり、第1
のボーリング地点と第2のボーリング地点との間に建築
地が位置することを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
か1項に記載の地盤調査方法。 - 【請求項9】 前記ボーリング地点が3点以上であり、
建築地は複数のボーリング地点に囲まれていることを特
徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の地盤調
査方法。 - 【請求項10】 建築地における建築物を耐震設計する
際の地盤調査方法であって、該方法は、最大規模の設計
用模擬地表波を作成するために、最大規模の設計用地表
波スペクトルを算出することを特徴とする地盤調査方
法。 - 【請求項11】 前記最大規模の設計用模擬地表波は、
建築地近傍の活断層または歴史地震を震源とする地震波
より作成することを特徴とする請求項10記載の地盤調
査方法。 - 【請求項12】 前記最大規模の設計用模擬地表波は、
工学的基盤深度が所定値以上である地盤より作成するこ
とを特徴とする請求項10記載の地盤調査方法。 - 【請求項13】 前記工学的基盤深度は、30m以上で
あることを特徴とする請求項12記載の地盤調査方法。 - 【請求項14】 水平動基準応答スペクトルと、前記活
断層からの複数の距離における地震動スペクトルとを比
較し、前記水平動基準応答スペクトルと前記複数の地震
動スペクトルとの関係を求め、その大小関係から前記活
断層の存在を考慮すべき距離を算出して前記設計用模擬
地表波を作成することを特徴とする請求項11記載の地
盤調査方法。 - 【請求項15】 免震建築物等の供用期間が100年以
上を対象とした模擬地震動スペクトルを基準とした応答
スペクトルに、小規模建築物に適用できるように所定の
低減率をかけて基準応答スペクトルを算出することを特
徴とする地盤調査方法。 - 【請求項16】 建築地において想定される最強の地震
動に所定の低減率をかけて求めたスペクトルと、建物の
供用期間中に一回以上受ける可能性がある地震動に所定
の増幅率をかけて求めたスペクトルを比較し、安全側の
規模が大きいスペクトルを基準応答スペクトルとするこ
とを特徴とする地盤調査方法。 - 【請求項17】 建築地近隣の活断層の長さと活動度か
ら求めた活断層の再現期間に合わせて、設計用入力地震
動スペクトルを算出することを特徴とする地盤調査方
法。 - 【請求項18】 前記設計用地表波スペクトル、または
前記設計用模擬地表波を、小規模建築物の設計用再現期
間に合わせて補正することを特徴とする請求項1乃至
4、8乃至14のいずれかに記載の地盤調査方法。 - 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載する
地盤調査方法を用いて、建築地における設計用地表波ス
ペクトル、地盤卓越周期および/または液状化の可能性
を推定し、該推定値に基づき判断して前記建築地に免震
建物を建築するか、前記建築地の地盤改良をしてから建
築することを特徴とする免震建物の建築方法。 - 【請求項20】 請求項1〜4、8〜18のいずれかに
記載する地盤調査方法を用いて、建築地における応答ス
ペクトルを算出し、前記建築地に建築する建物の固有周
期に対して前記応答スペクトルの応答が小さくなるよう
に調整設計することを特徴とする建物の設計方法。 - 【請求項21】 請求項5に記載する地盤調査方法を用
いて、建築地における地盤卓越周期を推定し、前記建築
地に建築する建物の固有周期と前記推定値とを外すよう
に調整設計することを特徴とする建物の設計方法。
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