JP6177100B2 - 構造物の状態変化判定方法、測定データの補正方法及びそれらの方法を用いた計測システム - Google Patents

構造物の状態変化判定方法、測定データの補正方法及びそれらの方法を用いた計測システム Download PDF

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本発明は、建物、橋梁やダム等の構造物内に複数設置された計測装置と、それらを管理する端末やサーバがネットワークを介して接続された計測システムにおいて、構造物の状態変化をリアルタイムで判定して検知する構造物の状態変化判定方法、測定データの補正方法及びそれらの方法を用いた計測システムに関する。
橋梁等の土木構造物又は建築構造物(以下、「構造物」という。)に加速度計等の震度センサーを複数設置しておき、地震が発生した際に構造物の各部位の揺れを計測してその測定データを管理サーバへ送信し、測定データから算出した建物の変位量と構造物の設計データ等から建物の残余耐震性能を評価する残余耐震性能評価システムが知られている(特許文献1)。
特開2011−95237号公報
従来の残余耐震性能評価システムでは、測定データをサーバ側に一定量蓄積させた後に測定データから構造物の残余耐震性能を評価するため、地震等の揺れによって構造物が破壊等の状態変化をしたかどうかということが、事後的に測定データを解析することで構造物の残余耐震性能を評価するまでわからなかった。そのため、構造物が状態変化をしたかどうかに関わらず膨大な測定データが蓄積されるという問題があった。
また、本発明者らは各計測拠点の測定データ間に時間経過に伴って時刻ずれを生じることを確認しており、その時刻ずれを含む測定データをそのまま用いると当然に構造物を正確に解析することができないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、構造物内に設置された計測装置と、端末やサーバがネットワークを介して接続された計測システムにおいて、構造物の状態変化をリアルタイムで判定することができる状態変化判定方法及び測定データの時刻ずれの影響を抑える測定データの補正方法を提供することを主な技術的課題とする。
本発明に係る構造物の状態変化判定方法は、CPUとプログラム及びデータを記憶する記憶手段と設置された地点における地震に関する物理量として加速度、速度又は変位のいずれかを測定する第1のセンサーとを具備する第1の計測装置と、CPUとプログラム及びデータを記憶する記憶手段と設置された地点における地震に関する物理量として加速度、速度又は変位のいずれかを測定する第2のセンサーとを具備する第2の計測装置と、測定データを記録及び処理するための端末やサーバとがネットワークを介して接続され、前記第1及び第2の計測装置が測定対象の構造物にそれぞれ配置された計測システムにおける構造物の状態変化判定方法であって、
前記第1の計測装置における物理量と前記第2の計測装置における物理量を関係づける伝達関数を有限インパルス応答を用いて加速度Paを以下の式(2)で表し、LMS(Least Mean Square)のアルゴリズム又は伝達関数を近似的に表すことができる他のアルゴリズムにより係数hm(n)を決定することにより設定するステップS1
(但し、
Xa(n)=Σhm(n)・Pa(n−m) ・・・ (2)であって、
Pa(n)は入力信号であり、Xa(n)は出力信号であり、hm(n)はPa(n)の重み係数であり、m=0,1,・・・,N−1の整数である。)
と、
前記第1のセンサーによる測定結果により第1の加速度を取得するとともに前記第2のセンサーによる測定結果により第2の加速度を取得するステップS2と、
前記第1の加速度及び前記伝達関数を基に第2の計測装置が設置された地点における変位のシミュレート値を算出するとともに前記第2の加速度を基に変位を算出するステップS5と、
前記第2の計測装置が設置された地点における変位のシミュレート値の2進数の値と前記第2の加速度を基に算出された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を算出するステップS6と、
算出された異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定するステップS7とを含むことを特徴とする。
ここで、第1及び第2のセンサーとは、加速度センサー、速度センサー或いは変位センサーなど、地震の揺れに関する物理量を第一次的に検知するセンサーをいう。測定データとは第1又は第2のセンサーが記録した測定データ(生データ)等である。例えば、第1のセンサーが加速度センサーである場合には、第1の計測装置が記録した時刻と加速度のデータであってもよい。また、伝達関数は、地震等の揺れの際に構造物の各測定地点間における伝達特性を示す。伝達関数は構造物が線形変形している間は変化しない。そのため、この伝達関数が変化したことを検知することにより、構造物が破壊等されて非線形の変形へ変化したこと、すなわち、構造物の状態変化を判定して検知することができる。例えば、伝達関数は、第1の計測装置における加速度と第2の計測装置における加速度との関係を示す式であってもよく、この伝達関数を用いることで第1の計測装置により測定された加速度から第2の計測装置における加速度、速度及び変位をそれぞれ算出することができる。対象の構造物は、地震等の揺れにより一定の範囲で線形変形をするものであり、その線形変形から非線形変形への変化が比較的容易に判明するものであることが好ましく、鉄筋コンクリート構造の建物等が挙げられる。
このような構成によれば、第1の加速度及び伝達関数を用いて算出された変位の2進数の値と第2の加速度を基に算出された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定するため、各計測装置からの測定データを一定量蓄積させる必要が無く、測定時にリアルタイムで構造物の状態変化を判定することができる。これにより、構造物に状態変化が発生した後は、測定データを大量に蓄積する必要が無くなり、測定データを保存するためのストレージやネットワーク資源の有効利用が促進される。
構造物の構成、地震等の揺れの大きさや測定データ及び伝達関数の精度にもよるが、変位のシュミュレート値及び第2の加速度を基に算出された変位をいずれも符号付き24bitで表すと、構造物が線形変形している間では、異なったbitの数は3〜5程度となり、同一となるbitの数は全体の80〜90%程度となる。そのため、例えば、異なったbitの数が4以上である場合に構造物に状態変化が発生したと判定するようにしてもよい。
上記構造物の状態変化判定方法において、前記伝達関数は、速度の条件毎に設定され、変位のシミュレート値を算出する際に前記測定された加速度を基に算出された速度を用いて前記伝達関数が選択されるようにしてもよい。具体的には、前記伝達関数は、速度が0以上の場合及び速度が0より小さい場合の2通りの二次曲線で近似されているようにしてもよい。構造物が地震等の揺れにより線形変形しているとき、伝達関数は加速度−変位の関係を示す平面上において或る直線に対して対称となる閉曲線(略楕円形)に近似して表すことができることがわかっている。この伝達関数を速度が0以上の場合及び速度が0より小さい場合の2通りの二次曲線で表すようにすると、伝達関数をより簡易的に表して構造物の状態変化をより効率よく判定することができる。
本発明に係る測定データの補正方法は、CPUとプログラム及びデータを記憶する記憶手段と設置された地点における地震に関する物理量を測定する第1のセンサーとを具備する第1の計測装置と、CPUとプログラム及びデータを記憶する記憶手段と設置された地点における地震に関する物理量を測定する第2のセンサーとを具備する第2の計測装置と、測定データを記録及び処理するための端末やサーバとがネットワークを介して接続され、前記第1及び第2の計測装置が測定対象の構造物にそれぞれ配置された計測システムにおける測定データの補正方法であって、前記第1の計測装置における物理量と前記第2の計測装置における物理量を関係づける伝達関数を設定するステップと、前記伝達関数を用いて前記第1の計測装置における第1の測定データに対して前記第2の計測装置における第2の測定データの時刻ずれを算出するステップと、前記時刻ずれを基に前記第2の測定データの時刻に応じて線形的に前記第2の測定データの時刻を補正する時刻ずれ補正のステップとを含むことを特徴とする。
このような構成によれば、伝達関数を用いて第1の計測装置における第1の測定データに対して第2の計測装置における第2の測定データの時刻ずれ、具体的には、構造物が状態変化している間に各測定データ間に生じる時刻ずれを算出し、その時刻ずれを基に第2の測定データの時刻に応じて線形的に第2の測定データの時刻を補正するため、第2の測定データの時刻がいずれも第1の測定データの時刻に対して従来より測定データの時刻ずれの影響を抑えるように同期させることができる。これにより、これらの測定データを用いることで構造物をより正確に解析することができる。
本発明に係る計測システムは、地震に関する物理量を測定する第1のセンサーを備えた第1の計測装置と、地震に関する物理量を測定する第2のセンサーを備えた第2の計測装置と、測定データを記録及び処理するための端末及びサーバと、それらを接続するネットワークとを含み、前記端末又は前記サーバに以下のステップを実行させることを特徴とする。
a 前記第1の計測装置における物理量と前記第2の計測装置における物理量を関係づける伝達関数を設定する
b 前記第1のセンサーにより測定された第1の加速度及び前記第2のセンサーにより測定された第2の加速度を受信する
c 前記第1の加速度及び前記伝達関数を基に変位のシミュレート値を算出するとともに前記第2の加速度を基に変位を算出する
d 前記変位のシミュレート値の2進数の値と前記第2の加速度を基に算出された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を算出する
e 算出された異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定する
このような構成によれば、伝達関数を用いて算出された変位の2進数の値と受信された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定するため、各計測装置から受信した測定データを一定量蓄積させる必要が無く、測定データを受信さえすれば測定時にリアルタイムで構造物の状態変化を判定することができる。
本発明に係る状態変化判定方法によると、第1の加速度及び伝達関数を用いて算出された変位の2進数の値と第2の加速度を基に算出された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定するため、測定時にリアルタイムで構造物の状態変化を判定することができる。
本発明に係る測定データの補正方法によると、伝達関数を用いて第1の測定データに対して第2の測定データの時刻ずれを算出し、その時刻ずれを基に第2の測定データの時刻に応じて線形的に第2の測定データの時刻を補正するため、第2の測定データの時刻がいずれも第1の測定データの時刻に対して従来より測定データの時刻ずれの影響を抑えるように同期させることができる。
第1の実施形態の計測システムを示す図である。 第1の実施形態の第1の計測装置、第2の計測装置及びデータ処理端末を示す図である。 第1の実施形態の構造物の状態変化判定方法のフローチャートである。 第1の実施形態の伝達関数の概念を示すグラフである。 変位のシミュレート値と加速度から算出された変位の各bit同士の比較を示す図である。 第1の実施形態の計測システムの第1の計測装置及び第2の計測装置のブロック構成を示す図であり、(a)は第1の計測装置を示す図であり、(b)は第2の計測装置を示す図である。 第1の実施形態の計測システムのデータ処理端末及びデータ処理サーバのブロック構成を示す図であり、(a)はデータ処理端末を示す図であり、(b)はデータ処理サーバを示す図である。 試験体の状態変化前における伝達関数を示すグラフであり、(a)はLMSを用いてインパルス応答で表した伝達関数を示すグラフであり、(b)は図8(a)の伝達関数を高速フーリエ変換した後のグラフである。 試験体の状態変化前における加速度の波形を示すグラフであり、(a)は実際の応答波形及び予測波形を示すグラフであり、(b)は図9(a)の領域B1を拡大したグラフである。 試験体の状態変化後における加速度の波形を示す図であり、(a)は実際の応答波形及び予測波形を示すグラフであり、(b)は図10(a)の領域B2を拡大したグラフである。 差分圧縮の圧縮効率と時間の関係を示すグラフである。 各計測装置における入力波形を示す図 構造物の状態変化前後の伝達関数の一例を示す図 構造物の状態変化前後の震度データの一例を示す図
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。同一又は同類の部材には同一の符号を用いるか又は添字のみ異ならせて表示するものとし、重複した説明を省略しているが、本実施形態の記載は本発明の技術的思想を理解するために合目的的に解釈され、実施形態の記載に限定解釈されるべきものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の計測システムを示す図である。この計測システム100は、複数の計測装置10、20と、データ処理端末(以下、単に「処理端末」という場合がある。)30と、データ処理サーバ(以下、単に「処理サーバ」という場合がある。)50と、利用者端末70とを備え、それらがネットワーク60を介して接続されている。複数の計測装置10、20(20a、20b、・・・)と処理端末30は、いずれもローカルエリアネットワーク(以下、「LAN」という。)40に接続されている。処理サーバ50は処理端末30から送られる膨大な地震に関するデータを処理する。また、処理サーバ50は図示しないストレージを備え、そのストレージに処理サーバ50に集められた各種のデータを記録したり必要な認証データ等を保存する。
図6は、第1の実施形態の計測システムの第1の計測装置10及び第2の計測装置20のブロック構成を示す図である。図6(a)は第1の計測装置10を示す図であり、図6(b)は第2の計測装置20(20a、20b、・・・)を示す図である。図6(a)に示すように、第1の計測装置10は、装置全体を制御するCPU11と、フラッシュメモリーやハードディスク等のストレージデバイス12と、RAM等の一時記憶手段13と、ネットワークインターフェース14と、A/D変換器15と、加速度センサー16等を一つの筐体内に備える。また、図6(b)に示すように、第2の計測装置20は、装置全体を制御するCPU21と、フラッシュメモリーやハードディスク等のストレージデバイス22と、RAM等の一時記憶手段23と、ネットワークインターフェース24と、A/D変換器25と、加速度センサー26等を一つの筐体内に備える。第2の計測装置20は一つの計測対象物(構造物)に対して同じ構成のものが複数設けられる。
ストレージデバイス12(22)は、OSや計測のためのプログラムを記録したりCPU11(21)による演算結果をデータとして保存したりする。加速度センサー16はA/D変換器15を介してCPU11に接続され、加速度の計測値をサンプリングしながらCPU11に伝達する。また、加速度センサー26も同様にして加速度の計測値をサンプリングしながらCPU21に伝達する。
第1の計測装置10は、3つの加速度センサー16を内蔵し、水平(X−Y方向)及び垂直(Z方向)の3軸に対応する加速度をリアルタイムに計測することができる。また、第2の計測装置20は、3つの加速度センサー26を内蔵し、水平(X−Y方向)及び垂直(Z方向)の3軸に対応する加速度をリアルタイムに計測することができる。なお、加速度と速度と変位は積分乃至微分の関係にあるため、上記各センサーは、いずれも理論的には加速度センサー、速度センサーや変位センサーのいずれであってもよい。
図7は、第1の実施形態の計測システムのデータ処理端末30及びデータ処理サーバ50のブロック構成を示す図である。図7(a)はデータ処理端末を示す図であり、図7(b)はデータ処理サーバを示す図である。図7(a)に示すように、データ処理端末30は、CPU31、ストレージデバイス32、RAM33、ネットワークインターフェース34等を備えた汎用的なコンピュータに所定のデータ処理端末用のプログラムをインストールしたものでよい。CPU31は、第1の計測装置10により測定された加速度データを第2の計測装置20により測定された加速度データを用いて圧縮するプログラムを実行するほか、各計測装置(10、20)間の時刻を同期するプログラム、測定データを補正するプログラムや必要なデータのみをストレージデバイス32に記録しデータ処理サーバ50に送信するプログラムを実行する等の働きをする。ストレージデバイス32は、OSや各種のプログラムを記録すると共に震度データや加速度データを保存する。ストレージデバイス32は当然ながらLAN40内などに設けられたファイルサーバ等でもよい。
データ処理端末30は、建物1外に設置され、LAN40に接続されている。データ処理端末30は、主に計測装置10、20を管理する役割を果たすものであり、複数の計測装置10、20を設置した一つの構造物に対して少なくとも一台設けられていればよい。ただし、計測装置10、20の少なくとも一台に処理端末30の機能を兼ね備えさせ、これを「親機」、その他の計測装置を「子機」として用いることで、処理端末30を省略してもよい。或いは、全ての計測装置が処理端末の機能を備えてもよい。
図7(b)に示すように、データ処理サーバ50はCPU51、ストレージデバイス52、RAM53、ネットワークインターフェース54等を備えた汎用的なコンピュータに所定のデータ処理サーバ用のプログラムをインストールしたものでよい。
図2は、第1の実施形態の第1の計測装置10、第2の計測装置20及びデータ処理端末30を示す図である。第1の計測装置10は、測定の基準地点として建物1内の1階(地上階)の床面に設置され、LAN40に接続されている。第2の計測装置20(20a、20b、・・・)は、建物1内の2階以上の各階の床面にそれぞれ設置され、LAN40にそれぞれ接続されている。データ処理端末30は、建物1外に設置され、LAN40に接続されている。建物1は、地震等の揺れにより線形変形する構造物であればよく、線形変形から非線形変形への変化が判明し易いものであることが好ましい。具体的には、建物1は、木造よりも鉄筋コンクリート構造であることが好ましい。なお、建物1は橋梁の脚部であってもよい。
この建物1では、地震等の揺れにより基準地点である第1の計測装置10において加速度Paが測定されると、第2の計測装置20aにおいて第1の計測装置10に対して相対的な変位Xmaが測定され、第2の計測装置20bにおいて第1の計測装置10に対して相対的な変位Xmbが測定される。
以下、第1の実施形態の構造物の状態変化判定方法について、図2の建物1、第1の計測装置10及び第2の計測装置20aを用いて簡単に説明する。なお、第1の計測装置10の時刻と第2の計測装置20aの時刻は同期されており、特に言及しない限り第1の計測装置10の加速度と第2の計測装置20aの加速度は同時刻のものを指す。また、状態変化判定方法において、加速度はいずれも水平(X−Y方向)及び垂直(Z方向)の3軸に対してそれぞれ測定後各方向において構造物(建物1)の状態変化がそれぞれ判定されて検知されるが、以下の説明では、X方向についてのみ説明し、Y及びZ方向についてはX方向と同様として説明を省略している。
図3は、第1の実施形態の構造物の状態変化判定方法のフローチャートである。
まず、第1の計測装置10(第1の加速度センサー系)における加速度Paと第2の計測装置20a(第2の加速度センサー系)における変位Xaとを関係づける伝達関数fを設定する(ステップS1)。この伝達関数fは予め準備しておく。
図4は、第1の実施形態の伝達関数fの概念を示すグラフである。図4に示すように、伝達関数fは、建物1が線形変形を保持した状態では縦軸が加速度Paであり横軸が変位Xaである平面上の或る直線Lに対して対称の閉曲線(略楕円形)で近似して表すことができる。この伝達関数fを加速度Paを変数として数式で表しておくと、伝達関数fを用いて加速度Paから変位Xaが算出できる。なお、建物1が硬い構造物の場合、伝達関数fは直線Lに対しての距離が全体的に小さくなり、直線Lに近づくようになる。
例えば、この伝達関数fを、第1の計測装置10の速度Pvの正負の符号により大きく2通りに分けて二次曲線fp(Pv≧0)、fn(Pv<0)で表すと、速度Pv≧0の場合、変位Xaは加速度Pa及び伝達関数fpを用いて以下の式(1)により算出できる。
Xa=fp(Pa) ・・・(1)
上記伝達関数f(fp及びfn)は、予め第1の計測装置10による加速度の測定値及び第2の計測装置20aによる加速度の測定値を基に近似式で表して準備しておく。例えば、伝達関数fを有限インパルス応答(Finite Impulse Response、FIR)を用いてLMS(Least Mean Square、最小二乗平均法)等のアルゴリズムにより数式で表してもよい。なお、建物1が十分な剛体である場合、建物1の線形変形を前提条件として、LMSのアルゴリズムを用いて伝達関数を近似的に表すことができるが、建物1の構造(性質)により用いるアルゴリズムや伝達関数を変える必要がある。
具体的には、有限インパルス応答を用いて加速度Paを以下の式(2)で表し、LMS等のアルゴリズムにより係数hm(n)を決定するようにしてもよい。
Xa(n)=Σhm(n)・Pa(n−m) ・・・ (2)
ただし、Pa(n)は入力信号であり、Xa(n)は出力信号であり、hm(n)はPa(n)の重み係数であり、m=0,1,・・・,N−1の整数である。
次に、第1の計測装置10により加速度Paを、第2の計測装置20aによりその加速度Paに対応する加速度Pmaをそれぞれ測定する(ステップS2)。データ処理端末30又はデータ処理サーバ50側で処理する際には、その測定された加速度Pa、Pmaのデータをそれぞれ受信する。加速度Pa、Pmaはいずれも24bitのデータである。加速度Pa及び変位Xmaは、3軸(X,Y,Z)方向についてそれぞれ測定するが、2軸(X,Y)方向だけでもよい。
次に、上記伝達関数fがfp(Pv≧0)又はfn(Pv<0)の2通りで表されている場合、第1の計測装置10の加速度Paを基に速度Pvを算出し(ステップS3)、算出された速度Pvにより上記伝達関数fとしてfp又はfnを選択する(ステップS4)。速度Pvを算出する際にはノイズ除去フィルター等を用いてノイズを除去してもよい。なお、ステップS3及びS4は、伝達関数fが1つの数式で表されている場合や速度Pvの所定の範囲毎に数式で表されていない場合は不要となる。
次に、測定された加速度Pa及び上記伝達関数fを用いて第2の計測装置20aにおける変位のシミュレート値Xaを算出する。また、測定された加速度Pmaを基に第2の計測装置20aにおける変位Xmaを算出する(ステップS5)。
次に、変位のシミュレート値Xaの2進数の値と変位Xmaの2進数の値の各bit同士を比較する(ステップS6)。このとき、各bit同士を比較して異なったbitの数Nを算出する。
図5は、変位のシミュレート値Xaと加速度から算出された変位Xmaの各bit同士の比較を示す図である。図5に示すように、2進数で表された変位のシミュレート値Xaの値と2進数で表された変位Xmaの値の各bit同士を比較し、異なったbitを示すDの総数をNとする。各bit同士を比較する際にはノイズの影響が大きい下位4bitを除いてもよい。
この各bit同士の比較は、同様の処理を実施する際、具体的には、変位Xmaを変位のシミュレート値Xaを用いて差分圧縮する際に実施してもよい。この場合、全体のbitの数(24)から異なったbitの数Nを差し引いた値は全体の割合でみると差分圧縮の圧縮効率と考えることができる。
次に、異なったbitの数Nを基に建物1の状態変化を判定する(ステップS7)。建物1が地震等の揺れにより線形変形している場合では、異なったbitの数Nは小さいが、建物1が破壊されて非線形に変形するとこのNは大きくなる。そのため、例えば、異なったbitの数Nが一定値以上となった場合、建物1に状態変化が発生したと判定する。
また、上記差分圧縮の圧縮効率は、建物1が地震等の揺れにより線形変形している間では80〜90%程度を維持するが、建物1が破壊されて非線形に変形しはじめると圧縮効率が大幅に低下する。そこで、この場合、建物1に状態変化が発生したと判定する。
以上ステップS1〜S7により、第1の計測装置10により加速度Paを、第2の計測装置20aによりその加速度Paに対応する加速度Pmaをそれぞれ測定し、上記異なったbitの数N又は上記差分圧縮の圧縮効率の時系列的な変化をみることにより、測定時にリアルタイムで建物1の状態変化を判定することができる。
また、上記異なったbitの数Nや上記差分圧縮の圧縮効率以外にも、上記伝達関数fを用いて、第2の計測装置20aの短時間平均STAと長時間平均LTAの比STA/LTAを算出し、その比STA/LTAの時系列的な変化をみるようにしてもよく、同様に建物1の状態変化を判定することができる。
なお、ステップS1〜S7は、データ処理端末30又はデータ処理サーバ50のいずれで実施するようにしてもよく、第1の計測装置10や第2の計測装置20aにおいて実施するようにしてもよい。
ここで、実際に3段構成のスチールラックを試験体として、試験体の状態変化を判定して検知する実験を実施した。まず、試験体の1段目に上記第1の計測装置10(入力側)を、3段目に上記第2の計測装置20(応答側)をそれぞれ設置し、試験体に一定の加速度を加えて試験体の状態変化する前(以下、「状態変化前」という。)の伝達関数をLMSのアルゴリズムを用いてインパルス応答で近似的に表した。そして、その伝達関数を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)して、伝達関数の帯域(周波数)通過特性を調べた。
図8は、試験体の状態変化前における伝達関数を示すグラフである。図8(a)はLMSを用いてインパルス応答で表した伝達関数を示すグラフであり、図8(b)は図8(a)の伝達関数を高速フーリエ変換した後のグラフである。図8(a)の横軸はステップ数(1ステップ=10[ms])を、縦軸は伝達関数のゲイン(出力信号/入力信号)をそれぞれ示す。また、図8(b)の横軸は周波数[Hz]を、縦軸は伝達関数のゲイン(出力信号/入力信号)をそれぞれ示す。
図8(b)に示すように、伝達関数の帯域通過特性は、低周波数領域ほど通過して伝達されることがわかる。特に、0〜5[Hz]程度までの通過特性がよいことがわかる。逆に、この伝達関数を用いると、第1の計測装置10の入力波形及び第2の計測装置20の応答波形に含まれる高周波数領域のノイズが伝達され難いことがわかる。
その後、試験体に一定の加速度を加えて試験体の状態変化前と試験体の状態変化した後(以下、「状態変化後」という。)のそれぞれにおいて、実際の第2の計測装置20の応答波形(以下、「応答波形」という。)及び第2の計測装置20の予測波形(以下、「予測波形」という。)をそれぞれ調べた。なお、試験体の状態変化後の状態は、試験体の各固定ネジをゆるめた状態とした。応答波形は第2の計測装置20における加速度の実測値であり、予測波形は図8の伝達関数を基に第1の計測装置10における加速度の実測値を用いて算出した。
図9は、試験体の状態変化前における加速度の波形を示す図である。図9(a)は実際の応答波形及び予測波形を示すグラフであり、図9(b)は図9(a)の領域B1を拡大したグラフである。図9(a)及び図9(b)の横軸はいずれもステップ数(1ステップ=10[ms])を、縦軸はいずれも±1に正規化した加速度gal[cm/s]をそれぞれ示す。
図9(a)及び図9(b)に示すように、試験体の状態変化前においては、予測波形は全体的に応答波形と近似していることがわかる。
図10は、試験体の状態変化後における加速度の波形を示す図である。図10(a)は実際の応答波形及び予測波形を示すグラフであり、図10(b)は図10(a)の領域B2を拡大したグラフである。図10(a)及び図10(b)の横軸はいずれもステップ数(1ステップ=10[ms])を、縦軸はいずれも±1に正規化した加速度gal[cm/s]をそれぞれ示す。
図10(a)及び図10(b)に示すように、試験体の状態変化後においては、予測波形は応答波形と全体的に大きく異なっていることがわかる。これは、伝達関数が試験体の状態変化により変わってしまったためである。そのため、この伝達関数の変化を調べることで、試験体の状態変化前後のトリガーを判定して検知することができる。具体的には、この伝達関数を用いて、上記異なったbitの数Nや上記差分圧縮の圧縮効率等を時系列的に調べ、それらの大きな変化が生じた地点付近を試験体の状態変化が発生した時刻と考えることができる。
なお、上記試験体の状態変化前において、実際の応答波形と予測波形の誤差を平滑化することにより、誤差による試験体の状態変化前後の誤検知を防ぐことができる。
図11は、差分圧縮の圧縮効率と時間の関係を示すグラフである。上記試験体の状態変化前・後のデータから上記差分圧縮際の圧縮効率と時間の関係をグラフに表した。図11に示すように、圧縮効率は、試験体の状態変化前において80%以上であったが、境界P(時刻T[s])の後大幅に10%未満にまで低下した。なお、実験では100[ms]平均が80%を維持出来ない場合を「検知(状態変化あり)」としたが、実際の運用に際してはより精度を担保するため段階的な検知(例えば、100[ms]平均が80%を維持出来ないときに予備トリガを発生させ、かつ、500[ms]平均が80%を維持出来ないときにトリガを確定させる、など)を行なう方がよいと考えられる。このように、圧縮効率の変化を調べることにより、境界P(時刻T[s])付近で試験体に状態変化が発生したことを検知できることがわかった。
第1の実施形態の計測システムにおける状態変化判定方法では、第1の計測装置10により測定された加速度Pa及び伝達関数fを用いて算出された変位Xaの2進数の値と、第2の計測装置20aにより測定された変位Xmaの2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数Nを基に建物1の状態変化を判定するため、測定時にリアルタイムで建物1の状態変化を判定することができる。
(第2の実施形態)
建物の残余耐震性能を評価する残余耐震性能評価システムにおいて、所定時間経過後に各計測装置の間に時刻ずれが生じるとそれらの測定データをそのまま用いても構造物を正確に解析することができない。また、各計測装置間で単に時刻を同期するような場合、時刻同期した直後の測定データは構造物を正確に解析するデータとして有効であるが、時刻同期した後次の時刻同期するまでの間の測定データは何らかの時刻ずれを含むと考えられる。以上のことから構造物をより正確に解析するために、各計測装置間に時刻ずれを生じた測定データの補正方法について説明する。この測定データの補正方法は、第1の実施形態の計測システムにおいても用いることができ、第2の実施形態の計測システムとして以下図1及び図2で示す計測システムを用いて説明する。
第2の実施形態の計測システムにおける測定データの補正方法は、まず、第1の計測装置10における物理量と第2の計測装置20における物理量を関係づける伝達関数を、具体的には、第1の実施形態と同様に第1の計測装置10(第1の加速度センサー系)における加速度Paと第2の計測装置20a(第2の加速度センサー系)における変位Xaとを関係づける伝達関数fを設定する。この伝達関数fは予め準備しておく。なお、以下の説明では、第2の実施形態の計測システムは、第1の計測装置10の時刻を基準にしている。
次に、伝達関数fを用いて第1の計測装置10における第1の測定データに対して第2の計測装置20における第2の測定データの時刻ずれΔTを算出する。
図12は、各計測装置における入力波形を示す図である。実線の波形W1は第1の計測装置の入力波形を、破線の波形W2は第2の計測装置の入力波形をそれぞれ示す。また、図13は、構造物の状態変化前後の伝達関数fの一例を示す図である。なお、伝達関数fは実線以外にも破線のような軌道を描く。ここで、時刻Tは構造物が状態変化した時刻である。
図12に示すように、第2の実施形態の計測システムでは、時刻Tで第1の計測装置10の時刻と第2の計測装置20の時刻が同期されている。そして、所定時間経過後に時刻ずれを算出する。具体的には、伝達関数fを用いて時刻Tから時刻Tまでの時間(T−T)経過後における第1の計測装置10の測定データw(時刻T)に対応する第2の計測装置20の測定データw(時刻T)の時刻ずれΔTを算出する。
図13に示すように、伝達関数fは構造物の状態変化した時刻Tの前後で安定せずに大きく変化することが判明しており、例えば、この伝達関数fが大きく変化する前の第1の計測装置の入力波形W1及び第2の計測装置の入力波形W2を基に第1の計測装置10と第2の計測装置20の間の伝達特性を示す波形をそれぞれ同定し、同定された各波形の特徴部分を比較して、第1の計測装置10の測定データw(時刻T)に対応する第2の計測装置20の測定データw(時刻T)の時刻ずれΔTを算出する。なお、波形を同定する方法の一つとして、上述のように有限インパルス応答を用いて波形を表し、LMSのアルゴリズムにより係数を決定して波形を同定する方法が挙げられる。
また、パルス入力のある振動環境では、第1の計測装置において短時間平均STA1と長時間平均LTA1との比STA1/LTA1を算出し、同様にして第2の計測装置において短時間平均STA2と長時間平均LTA2との比STA2/LTA2を算出する。そして、比STA1/LTA1と比STA2/LTA2との比較から時刻ずれΔTを算出するようにしてもよい。この短時間平均と長時間平均の比は波形の自己相似性を示すものであり、パルスの波形が入力されることによりその自己相似性を失った瞬間の時刻を容易に抽出して比較することができる。なお、このパルス入力のある振動環境とは、機械振動や電車の通る鉄橋等定刻に振動が発生する環境をいう。
次に、第2の測定データの時刻ずれΔTを基に第2の測定データの時刻に応じて線形的に第2の測定データの時刻を補正する。このとき、構造物の状態変化が続いている時間帯を特定するために震度データを用いる。
図14は、構造物の状態変化前後の震度データの一例を示す図である。図14に示すように、まず、仮のトリガーとして構造物の状態変化をした時刻Tを抽出する。なお、この時刻Tは、第1の実施形態の計測システムにおいて構造物の状態変化があったと判定された時刻を用いるようにしてもよい。次に、トリガー時刻として構造物の状態変化の時刻Tを基準に構造物の状態変化前における無震状態(震度0)の終了時刻Tを抽出し、トリガーを解除するデトリガー時刻として構造物の状態変化後における無震状態(震度0)の開始時刻Tを抽出する。ここで、トリガー時刻とは、測定データの抽出を開始する時刻をいう。そして、第2の実施形態の計測システム(第1の計測装置10)の時刻tが時刻(T〜T)間において、第2の測定データの時刻T(t)に時刻ずれΔTを線形的に加える。例えば、時刻tが時刻(T〜T)間では以下の式(3)のように補正する。
’(t)=T(t)−ΔT・(t−T)/(T−T) ・・・ (3)
ただし、T(t)は時刻tの補正前の第2の測定データの時刻であり、T=T(T)であり、T=T(T)であり、T’(t)は時刻tの補正後の第2の測定データの時刻である。
式(3)ように第2の測定データの時刻を補正することで、第2の測定データの時刻がいずれも第1の測定データの時刻に対して従来より同期させることができる。そして、第2の実施形態の計測システムでは、データ処理端末30により第1の測定データ及び上述の補正後の第2の測定データをそれぞれ取得してデータ処理サーバ50に送信することにより、データ処理サーバ50で構造物をより正確に解析することができる。
第2の実施形態の計測システムにおける計測データの補正方法は、第1の計測装置と第2の計測装置間の時刻ずれを基に第2の測定データの時刻に応じて線形的に第2の測定データの時刻を補正するため、第2の測定データの時刻がいずれも第1の測定データの時刻に対して従来より測定データの時刻ずれの影響を抑えるように同期させることができる。
10 第1の計測装置
20 第2の計測装置
30 データ処理端末
40 LAN
50 データ処理サーバ
60 ネットワーク

Claims (5)

  1. CPUとプログラム及びデータを記憶する記憶手段と設置された地点における地震に関する物理量として加速度、速度又は変位のいずれかを測定する第1のセンサーとを具備する第1の計測装置と、CPUとプログラム及びデータを記憶する記憶手段と設置された地点における地震に関する物理量として加速度、速度又は変位のいずれかを測定する第2のセンサーとを具備する第2の計測装置と、測定データを記録及び処理するための端末やサーバとがネットワークを介して接続され、前記第1及び第2の計測装置が測定対象の構造物にそれぞれ配置された計測システムにおける構造物の状態変化判定方法であって、
    前記第1の計測装置における物理量と前記第2の計測装置における物理量を関係づける伝達関数を有限インパルス応答を用いて加速度Paを以下の式(2)で表し、LMS(Least Mean Square)のアルゴリズム又は伝達関数を近似的に表すことができる他のアルゴリズムにより係数hm(n)を決定することにより設定するステップS1
    (但し、
    Xa(n)=Σhm(n)・Pa(n−m) ・・・ (2)であって、
    Pa(n)は入力信号であり、Xa(n)は出力信号であり、hm(n)はPa(n)の重み係数であり、m=0,1,・・・,N−1の整数である。)
    と、
    前記第1のセンサーによる測定結果により第1の加速度を取得するとともに前記第2のセンサーによる測定結果により第2の加速度を取得するステップS2と、
    前記第1の加速度及び前記伝達関数を基に第2の計測装置が設置された地点における変位のシミュレート値を算出するとともに前記第2の加速度を基に変位を算出するステップS5と、
    前記第2の計測装置が設置された地点における変位のシミュレート値の2進数の値と前記第2の加速度を基に算出された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を算出するステップS6と、
    算出された異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定するステップS7とを含むことを特徴とする構造物の状態変化判定方法。
  2. 前記変位のシミュレート値及び前記第2の加速度を基に算出された変位の値は、いずれも24bitのデータであり、
    前記異なったbitの数を算出する際には下位4bitが除外されることを特徴とする請求項1記載の構造物の状態変化判定方法。
  3. 前記異なったbitの数は、前記第2の加速度を基に算出された変位の値前記変位のシミュレート値とを比較して異なったbit数Nであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の構造物の状態変化判定方法。
  4. 前記異なったbit数Nを基にデータの圧縮効率を算出するステップと、
    算出された圧縮効率を基に構造物の状態変化を判定するステップとを含むことを特徴とする請求項記載の構造物の状態変化判定方法。
  5. 地震に関する物理量として加速度、速度又は変位のいずれかを測定する第1のセンサーを備えた第1の計測装置と、地震に関する物理量として加速度、速度又は変位のいずれかを測定する第2のセンサーを備えた第2の計測装置と、測定データを記録及び処理するための端末及びサーバと、それらを接続するネットワークとを含み、
    前記端末又は前記サーバに以下のステップを実行させることを特徴とする計測システム。
    a 前記第1の計測装置における物理量と前記第2の計測装置における物理量を関係づける伝達関数を設定する
    b 前記第1のセンサーにより測定された第1の加速度及び前記第2のセンサーにより測定された第2の加速度を受信する
    c 前記第1の加速度及び前記伝達関数を基に変位のシミュレート値を算出するとともに前記第2の加速度を基に変位を算出する
    d 前記変位のシミュレート値の2進数の値と前記第2の加速度を基に算出された変位の2進数の値の各bit同士を比較して異なったbitの数を算出する
    e 算出された異なったbitの数を基に構造物の状態変化を判定する
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