JP2004093579A - 微動観測による構造物の診断方法及び診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 自然物或いは人工物である構造物の安全性や健全性の診断を、簡易・迅速かつ安価に行う診断方法及び診断システムを提供すること。
【解決手段】 構造物91の微動観測を行い、観測時刻歴から注目時刻歴の算出を行う。さらにエネルギ伝達率(RMS比)計算を行う(ステップ1007からステップ1009)。安全性や健全性の診断は、構造物91に期待されるエネルギ伝達率(RMS比)と、前述した微動観測から算出したエネルギ伝達率(RMS比)を比較することで、あるいは、エネルギ伝達率の相互比較によって行う(ステップ1011、ステップ1014)。
【選択図】 図15

Description

 本発明は、自然物或いは人工物である構造物の安全性や健全性を評価する、構造物の診断方法及び診断システムに関するものである。
 構造物(建物、構築物などの人工物、地盤、崖、岩石、樹木などの自然物)の安全性や健全性を評価診断することは、防災、構造物の維持管理、構造物の新改装時の中間・完了検査、地震等の突発的な外力への事前・事後の対策等のために必要とされている。例えば、構造物が地震動の作用によって破壊する危険性の評価は、新築、改築後の品質検査、既存の構造物の維持管理、修繕計画の立案、さらに、被災した構造物の使用の可否、補強または取り壊しの必要性を判断する上で重要である。前記構造物は、工場で大量に生産される製品とは異なり、品質の評価、管理が困難である。
 特に、突発的外力(地震、台風、爆発等)の作用による破壊に対する危険性を評価することは、外力の性質や大きさに不確定性が伴うこと、構造物に対して地震の外力を実際に作用させる試験が出来ないこと、経年や使用条件により品質が変化することなどの理由で極めて困難である。
 従来、構造物が人工物である場合は、構造物の安全性、健全性の評価や、構造物が地震動の作用によって破壊する危険性の評価には、(1)建設途中または完成直後に、構造物が設計図面に規定された通りに施工されていることを目視によって確認する方法、或いは構造物を打撃して打撃音等を判定する方法、(2)構造物の設計図面または、現況調査によって作成した構造図面、コア抜き検査によって得たコンクリート強度、構造物の経過年数等の情報を総合し、構造計算した結果を集計し、構造耐震指標(Is)、並びに累積強度指標CT、形状指標SDを算出し、これらと過去の地震災害事例を分析した結果の基準値の大小関係を比較することによって診断する方法が日本建築防災協会によって基準化され広く用いられている。
 また、地震で構造物が被災した場合には、(3)目視調査によって構造部材の損傷度、構造物の残留変形等をチェックシートに記入し、これから計算したスコアによって構造物の安全性を診断する緊急被災度判定と呼ばれる方法も広く用いられている。
 また、(4)構造物に起振機を搭載し弾性波等を強制的に生じさせて評価する方法、(5)構造物から自然に放出される赤外線などを利用して評価する方法、(6)X線や電磁波等を用いて評価する方法、(7)構造物に受振器を設置し微動観測を用いて評価する方法等が用いられている。
 微動観測を用いた評価方法としては、(8)受振器で測定された構造物の微動データのフーリエ振幅スペクトルの最大値(卓越周期)を、構造物(地盤や構造物)の固有周期と考えてこれを評価指標とする方法、(9)微動速度時刻歴の上下動部分と水平動部分とのフーリエスペクトルの比、及び構造物の寸法を用いて算出した結果を評価指標とする方法等がある。また、(10)前記(9)の方法で算出したスペクトル比もしくは、2つの観測時刻歴成分のフーリエスペクトル比を伝達関数であると考えて、前記構造物の複数の観測点の地震時の振動の最大値を予測し、これらの予測値に構造物の寸法、形状等の幾何学条件を用いてさらに演算を加えて、構造物の診断に必要な層間変形角の最大値等の数値を計算する方法がある。
 しかしながら、上記(1)の方法は、設計基準が地震の作用に対して十分な強度を構造物に与えていることを前提としているが、日本では、耐震設計基準の改定以前に建設された1000万棟以上の建物が、現行基準では耐震性が不十分であると判定される。また、目視、聴覚等の人間の五感を利用するため、主観的な判断に依存する課題がある。
 上記(2)の方法は、情報源とした図面や計測値が実際の構造物の現状を十分に反映していない場合、得られた指標が実際の安全性を表さないこと、時間と費用が掛かること、経年劣化指標値を決定することに主観が入る余地があること、構造物の耐震性の微妙な経時変化等をモニタするには向かないことなどの課題がある。
 上記(3)の方法は、目視検査が中心であるために主観的な判断に依存する可能性がある。また、本来構造物の耐震性は対象とする地震動の大きさによって異なるが、上記(2)と(3)の方法は、これを明確に反映する方法ではない。
 上記(4)の方法は、費用と時間がかかる上に、起振機による強制振動のエネルギを構造物の応答特性を確定する程十分に大きくとることが技術的、経済的に困難な場合が多いなどの理由で実施例は橋梁などの特殊な構造物に限られている。また、弾性波を強制的に起こさせることで構造物への影響度が皆無とはいえない。また、構造物の特定な点に対する強制加振の物理的効果は、実際の地震力が構造物の境界面から入力した場合とは異なる。
 上記(5)と(6)の方法は、構造物の表面等の一部からの情報であり、構造物の健全性等の全般的な診断に用いる程の情報量を得るには、多くの費用と時間を要することが課題である。
 上記(7)の微動観測を用いる方法のうち(8)の方法では、卓越周期と構造物の安全性との相関は、理論的にも統計的にも安全性の評価に用いることが出来るほど高くはなく、精度が低いことが課題である。(8)、(9)の方法とも、フーリエスペクトルは、測定パラメータに依存し、凹凸が多く、この最大値の判定は主観に頼らざるを得ない場合があり、客観的な指標とは言いがたいこと、判定を自動化することが困難であることが課題である。上記(10)の方法は、時刻歴に対して最大値等の統計的な指標を求める演算と、時刻歴と構造物の寸法等の幾何学条件から、層間変形角等の注目時刻歴を算出する演算は、極めて特殊な場合を除き、一般には順序を入れ替えることによって結果が異なり、物理的な意味がなくなるので、診断に用いるには適さないという課題がある。
 従来、微動観測は、安全性や健全性の診断や評価に用いるというよりは、むしろ地盤や構造物の固有振動周期を計測によって求める目的で実施されている。そのため、測定器は、観測データの時刻歴やスペクトルを表示する機能は備えているが、微動観測データを詳細に分析するためには、データを持ち帰って計算、図化を行う必要があり、時間と費用を要することが課題であった。
 また、ビルのような構造物を診断対象とする場合、現行の耐震設計計算においても、過去の被災事例の分析においても回転の影響を考慮することが重要であると認識され実行されているが、上記いずれの従来の方法も構造物の回転に関しては直接の計算、計測を行っていない。
 本発明は、このような問題に鑑みて行われたもので、その目的とするところは、自然物或いは人工物である構造物の安全性や健全性の診断を、簡易・迅速かつ安価に行う診断方法及び診断システムを提供することである。
 前述した目的を達成するための本発明による構造物の診断方法は、構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いる構造物の診断法において、
 前記基準点と複数の観測点において同時に観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
 次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
 該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とする。
 前記の診断方法においては、前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することが好ましい。
 前記診断方法においては、複数の受信器と、通信手段と、測定器と、コンピュータとにより診断を行うものであって、前記受振器が前記構造物の基準面と境界面に配置されており、前記境界面が複数面設定されていることが好ましい。
 前記複数の境界面の少なくとも1面に複数個の受振器が配置されていることが好ましい。前記受振器と測定器が一つのケースに収められており、測定器の振動が受振器に感知されないようになっていてもよい。
 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであってよい。前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴であってよい。
 本発明の他のアスペクトによる構造物の診断システムは、構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いる構造物の診断システムにおいて、
 構造物の観測点又は平面に設置する複数の受振器と、通信手段と、測定器と、コンピュータとを備え、
 前記複数の受振器は、前記構造物に加わる微動を測定して通信手段を介して前記測定器に送り、
 前記測定器は、前記微動観測値を通信手段を介して前記コンピュータに送り、
 前記コンピュータは、前記基準点と複数の観測点において同時に観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
 次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
 該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とする。
 本発明の診断システムにおいては、前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする。
 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであってよい。
 前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴であってよい。
 前記通信手段は、有線または無線のものであってよい。前記通信手段は、ケーブルであってよい。前記通信手段は、電波、あるいはフレキシブルディスク、メモリーカード等の媒体であってよい。
 本発明の診断システムは、診断結果を表示する表示装置を更に備えていることが好ましい。
 前記受振器は、前記構造物の基準面と層境界面に配置されており、前記境界面が複数面設定されていることが好ましい。前記複数の境界面の少なくとも1面に複数個の受振器が配置されていることが好ましい。前記受振器と測定器が一つのケースに収められており、測定器の振動が受振器に感知されないようになっていることが好ましい。
 本発明の他のアスペクトによるコンピュータは、構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いて構造物の診断を行うコンピュータにおいて、
 前記基準点と複数の観測点において同時に観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
 次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
 該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とするものである。
 本発明のコンピュータにおいては、前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする。
 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであってよい。前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴であってよい。
 本発明の他のアスペクトは、コンピュータを前記コンピュータのように機能させるためのプログラムである。
 本発明の他のアスペクトは、前記プログラムを記録した記録媒体である。
 本発明の更に他のアスペクトによる構造物の診断装置は、構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いる構造物の診断装置において、
 構造物の観測点又は平面に設置する複数の受振器と、通信手段と、測定器と、コンピュータとを備え、
 前記複数の受振器は、前記構造物に加わる微動を同時に測定して、そのデータを前記通信手段を介して前記測定器に送り、
 前記測定器は、前記微動観測値を通信手段を介して前記コンピュータに送り、
 前記コンピュータは、前記基準点と複数の観測点において観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
 次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
 該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とするものである。
 本発明の診断装置においては、前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする。
 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであってよい。
 前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴であってよい。
 前記通信手段は、有線または無線のものであってよい。前記通信手段は、ケーブルであってよい。前記通信手段は、電波、あるいはフレキシブルディスク、メモリーカード等の媒体であってよい。
 本発明の診断システムは、診断結果を表示する表示装置を更に備えていることが好ましい。
 前記受振器は、前記構造物の基準面と層境界面に配置されており、前記境界面が複数面設定されていることが好ましい。前記複数の境界面の少なくとも1面に複数個の受振器が配置されていることが好ましい。前記受振器と測定器が一つのケースに収められており、測定器の振動が受振器に感知されないようになっていることが好ましい。
 構造物とは、地盤、岩盤、崖、岩石、樹木などの自然物、もしくは盛土、擁壁、ダム、護岸、橋梁、桟橋、建物などの人工的に造られた構造物であり、その安全性や健全性を診断する対象となるものをさす。
 常時微動とは、構造物に常時生じている微小な振動である。この振動エネルギは、構造物と外界との境界面から観測者の行為とは関係なく自然に入力される。空気と接している面からは風の影響により、水と接している境界からは波浪、潮汐などの影響により、他の構造物と接している境界からは他の構造物の作用により、地盤と接している境界からは交通振動等の影響により、振動エネルギが供給される。
 高層建物、搭、煙突などや、河川や海岸に位置する橋梁などでは、常時微動のほとんどのエネルギが風、水流や波浪などで供給されている。従って、これらの構造物では常時微動によって地震の影響を推定することは困難である。しかし、木造家屋、中層の鉄筋コンクリート造ビルなど通常の構造物に置いては、特に風雨が強い等の特殊な環境条件である場合を除いて、常時微動のエネルギの大部分が地盤と構造物の境界から入力していると考えてよいので、微動観測によって得た情報から、地震動が作用した場合の構造物の変位を計算によって求めることが出来る。また、高層建築物等でも、地盤と構造物の境界から振動エネルギが主に入力していると考えられる観測時間帯を選ぶことによって、地震動が作用した場合の変位を推定することができる。
 観測点とは、構造物内部又は表面に観測者が設定した点であり、この上に受振器を設置してその変位時刻歴等を観測する位置を指す。
 観測時刻歴は、観測点に設置した受振器で、構造物の常時微動を、変位、速度、加速度等の時刻歴のアナログ振動として受振し、これをAD変換してデジタル時刻歴として記録することにより得られる時刻歴である。
 観測時間帯とは、一連の観測時刻歴の観測された時間帯域(開始時刻、終了時刻、継続時間)を言う。
 観測周波数帯域とは、受振器の特性、信号のサンプル採取周波数等から決まる周波数帯域であり、観測時刻歴が、実際の変位もしくは速度等であると考えられる周波数帯域である。
 分析時間帯とは、観測時間帯の部分集合であり、観測時刻歴を計算する時間帯域である。
 分析周波数帯域とは、観測周波数帯域の部分集合であり、観測時刻歴を計算する周波数帯域である。
 安全性とは、地震、大風、波浪などの突発的な外力によるか、もしくは老朽化等の経年作用によって、構造物が部分破壊もしくは全体破壊等を生ずることに対しての安全性をさす。健全性とは、構造物の全部または一部が設計図書、他の調査結果、経験的な法則などに照らして期待される性質または品質を有しているかどうかを指す。
 注目物理量とは、診断で注目する運動学、弾性力学、構造力学上の量であり、構造物内部の点、平面の変位もしくは相対変位、もしくは、構造物内部の点間、平面間の相対回転角もしくは、構造物内部の平均圧縮歪、平均せん断歪、平均曲げ歪、平均ねじり歪等の量である。
 注目時刻歴とは、観測時刻歴、観測点の座標、構造物の寸法等から計算した注目物理量の時刻歴である。
 基準点は、構造物と外界との境界面の近傍に設置した観測点で、振動エネルギが外界から構造物へ流入する流入量を測定する基準として用いる点である。
 基準平面とは、上記の基準点と同じ役割を持つ平面である。
 構造物の層とは、構造物の変形性状を記述するときに一体として考えることが出来る構造物の部分である。例えば、建物であれば、通常各階の床、梁と柱、壁で構成される構造部分を層と呼んでいる。新幹線や在来線のコンクリートラーメン形式の高架橋のような構造物の場合には、地表面からほぼ同じ高さの梁と柱で構成される構造部分を層とすることが出来る。地盤においてもほぼ同一の力学的特性をもつ地層を構造的な層として一体として考え変形性状を記述することが通常行われている。層には、番号、厚さ、座標、および、せん断剛性、減衰定数などの力学的物性値を付与し、層の内部、境界に変位、速度などの属性を定義し、これらを注目物理量とする。
 層の間の境界は通常の構造物では、水平面と鉛直面で構成される。通常は、層境界面は、変形しないものと仮定し、構造物の変形は層内部で起こり、層境界面間の相対変位によって記述できると考える。一般に、層境界の変位は時刻をパラメータとする時刻歴であり、並進方向に水平2成分、鉛直成分の合計3成分と、同3方向廻りにそれぞれ回転成分を考えることができる。層間変位とは、層の境界間の相対変位である。層間変形角とは、層境界間の水平並進2方向の相対変位を層の厚さで除した値であり、層を構成する構造要素(部材)の力学的な性状、破壊に対する安全性などに関する多くの研究成果は、層間変位または、層間変形角を指標として整理されている。観測平面を構造物の層境界面とし、平均歪等を注目物理量とすることにより、容易に動的構造解析などの他の方法による計算結果と比較することができる。
 エネルギ伝達率は、構造物内の振動伝達特性を表すスカラ量である。前記エネルギ伝達率(RMS比)は、同じ時間帯上で定義された観測時刻歴の二乗平均値と他の観測時刻歴の二乗平均値(RMS)との比である。両者の時刻歴を線形システムの入力と出力であると考えた時、入力時刻歴のパワースペクトルに相似な任意の入力に対して、出力の二乗平均値(RMS)を与えるという意味での伝達特性の指標となる。通常、基準点又は基準平面のある観測時刻歴二乗平均値を分母とする。
 基準推定変位量とは、構造物の安全性を評価するときに考慮する突発的な外力の作用によって基準点又は基準面に生ずると推定される最大変位量である。
 地震による構造物の破壊の危険性を評価するに先立って、まず、構造物を事前に調査し、構造物の変形を記述する層、地震力が入力する基準面を決定し、これに対応して受振器(微動計)の設置位置を決定する。次に、設置した受振器(微動計)によって常時微動データ(速度時刻歴または変位時刻歴)を記録し、このデータから注目する境界面間の相対変位時刻歴、回転角時刻歴、基準面の変位時刻歴を計算し、これらのフーリエスペクトルを計算する。一般的には、線形システムの理論を用いて、入力と出力のフーリエスペクトルの関係から構造物が線形に挙動すると仮定したときの任意の入力に対する応答を計算することができる。
 本発明の方法では、常時微動に関する以下の4つの仮定に基づいている。(1)常時微動を生じさせている外部からの振動エネルギの供給源の種類と大きさの割合は、構造物の特徴と環境から推定することができるので、観測時間帯を環境条件に応じて選択し、分析時間帯と分析周波数帯を構造物の特徴に応じて選択すれば、ある1種類の振動エネルギが卓越しており、これがある特定の境界面から入射していると考え得る観測時刻歴を得ることができる。(2)常時微動は、振幅が1〜10ミクロン程度と極めて小さいので、構造物の如何に拘らず微小変形弾性振動論ならびに線形システムの理論によって構造物の応答を記述することが可能である。(3)構造物の特徴と環境から、地震、暴風などの突発的な外力が入射する面を予め予測することができ、かつ常時この面から突発的な外力と同種の微小な外力のエネルギが入射している。(4)前記突発的な外力が入射した場合と、これに対応する微小な常時外力で生ずる基準点もしくは基準面の微動変位時刻歴のパワースペクトルは互いに相似になる観測時間帯がある。従って、以上から観測時間帯等を選択することによって、前記突発的外力に対応する微小な外力が卓越する微動観測を行うことが可能である。
 さらに、本発明の方法では、構造物の設計に於いて通常設けられている次のような仮定を用いて、簡単に構造物の地震動に対する応答を計算する。即ち、(1)構造物の応答の各成分は互いに独立である。(2)大地震等の大きな外力に対して構造物は非線形性を呈するが、このときの最大応答を構造物が線形に振舞うと仮定して計算した応答から、エネルギ一定則と呼ばれている仮定を用いて計算することが出来る。(3)常時微動によって生ずる構造物の変位は微小である。さらに、本方法では、(4)構造物の地盤に近い層境界面で観測される常時微動のスペクトルは、大地震で地盤や構造物が線形に振舞うとした場合に観測されるであろうスペクトルと相似形であると仮定する。
 以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、診断システム1について説明する。図1は診断システム1の構成図である。図1に示すように、診断システム1は、受振器5、測定器7、コンピュータ9などで構成される。受振器5−1、受振器5−2、受振器5−3は構造物21の微動観測を行う各層境界面3−1、層境界面3−2、層境界面3−3に配置される。受振器5−1、受振器5−2、受振器5−3と測定器7はケーブル11で、測定器7とコンピュータ9は、ケーブル13で接続される。
 受振器5−1、受振器5−2、受振器5−3はその点の絶対速度、変位を測定する。受振器5−1、受振器5−2、受振器5−3としては、例えばGEO−SPACE社製のMPU3−4などを用い、測定器7としては、AD変換機とアンプを用いる。受振器5と測定器7は同一ケースに収めることも可能であるが、この場合には、測定器7の振動やノイズが受振器5に感知されないようにする。
 図2は診断システム1で収集したデータの変換のフローチャートである。図2に示すように、診断システム1では、受振器5を使用して、微動すなわち層境界面3の振動を測定し(ステップ201)、受振器5で収集した変位、速度波形などのアナログデータを得る(ステップ202)。このアナログデータをケーブル11を介して測定器7へ送信し、デジタル変換し、(ステップ203)、デジタルデータを得る(ステップ204)。このデジタルデータをケーブル13を介してコンピュータ9に送信し、層間変位73や回転角83等を計算する(ステップ205)。
 ステップ205のコンピュータ9内のデータ処理では、繰り返し計算や収束計算等の複雑な数値演算は必要としない。ソフトウェアとして通常の表計算ソフト(マイクロソフト社製のエクセル(商標名)など)の組み込み関数を用いたり、C等のプログラミング言語で簡単なプログラムを作って演算を行う。
 このように、診断システム1を用いることにより、構造物21の微動データの計測から、数値指標の算出まで短時間に低コストで実施することが出来る。なお、ケーブル11およびケーブル13は、ワイヤレスの通信手段とすることもできる。例えば、モデム等を介してインターネット接続する。または、フロッピー(登録商標)等によってデータを運搬する方法でも良い。
 また、測定器7ならびにコンピュータ9の設置位置は、建物内に限らず、同一のケースに収めておいても、互いに遠隔地にあっても良い。前者の場合には、計測場所で直ちに結果を得られる。後者の場合には、多数の建物のデータを同時に処理できる。後者の場合でも、計算結果を計測器の表示装置に送信して表示すれば、計測地点で直ちに結果を得られる。このように、即時的に観測結果を評価できるので、受振器5の移動による観測点の変更、観測時間帯の変更等が可能になる。
 次に、図3に示す診断方法のフローチャートに沿って、図5および図6に示す構造物21を例として診断方法を説明する。まず、構造物21の事前調査を行い、受振器5の設置位置、基準面25を決定する(ステップ303)。図4は評価対象となる振動および構造物21の概略図である。一般に、図4に示すように、基準面25は、微動29または地震動31が入力する地表面23に近い層27−4の層境界面とする。また、構造物21の変形を記述する層27を選出し、隣り合う層27の層境界面3上に受振器5の設置位置を決定する。
 診断例では、図5および図6に示す位置に受振器5を設置する。図5および図6は診断例での受振器5の設置位置である。受振器5は、中間階の層境界面3−2から層境界面3−5と基準面25では、中央付近に設置してある。また、屋上階(RF)の層境界面3−1では、対角線上に3つの受振器5−1−1、受振器5−1−2、受振器5−1−3を設置することにより、この層の回転成分を計測する。ここでは、層境界面3−1で構造物21全体のねじれ、回転の有無を計測したが、必要に応じて中間階の層境界面3でも同様の計測を行う。
 受振器5により層境界面3の変位と基準面25の変位を測定する(ステップ304)。図7は、構造物21の変位を示す図である。図7の構造物21は変形前の状態、構造物21aは変形後の状態を示す。微動29により、基準面25が基準面25aの位置に変形した場合、原点33−1から原点33−1aまでの変位が基準面25の層変位71−1である。同様に、原点33−3から原点33−3aまでの変位が層境界面3−1の層変位71−3である。基準面25と各層境界面3の層変位71をそれぞれ求め、その時刻変化を層変位71の時刻歴とする。なお、それぞれの原点33の速度時刻歴から、基準面25と各層境界面3の層変位71の時刻歴を算出してもよい。
 次に、層間変位73の時刻歴及び回転角83の時刻歴を算出する(ステップ305)。層間変位73は、層境界面3の相対変位である。通常は、層境界面3は、変形しないものと仮定し、構造物21の変形は層27内部で起こり、層間変位73によって記述できると考える。層間変位73は、隣り合う層境界面3の層変位71のベクトルの差として求める。例えば、図7の層変位71−1と層変位71−2の時刻歴のベクトルの差から層間変位73の時刻歴のベクトルを求めると、
Figure 2004093579
となる。層間変位73の時刻歴のベクトルはx、y、zの各座標軸に従って3つの成分を持つ。例えば、層変位71−1の時刻歴のy成分をy1(t)、層変位71−2の時刻歴のy成分をy2(t)とすると、層間変位73の時刻歴のy成分は、
 d12y(t)=y1(t)−y2(t)        ……(2)
となる。同様にして、各層境界面3間の層間変位73の時刻歴を算出する。
 図8は構造物21の回転変位を示す図である。図8に示すように、基準面25や層境界面3の変位には、X軸41方向の水平成分、Y軸43方向の水平成分、Z軸45方向の鉛直成分の他に、同3方向廻りの回転成分がある。ある層境界面3内の埋め込み座標の慣性系座標に対する回転角83の時刻歴をθ0(t)、同じ層境界面3内の埋めこみ座標の原点33の層変位71の時刻歴をd0(t)、任意の点の層変位71の時刻歴をda(t)、任意の点の埋めこみ座標値をraとすると、次のような関係が成立する。ただし、演算記号×はベクトル積を表す。
Figure 2004093579
 通常は、層境界面3は平面であり、この面内にX軸41、Y軸43を埋め込むので、例えば、図6に示す層境界面3−1では、受振器5−1−3、受振器5−1−1、受振器5−1−2を設置した3点の埋めこみ座標であるA(Xa,Ya,0)、B(Xb,Yb,0)、C(Xc,Yc,0)と、式(2)の関係とから、層境界面3−1の埋め込み座標の原点33の層変位71の時刻歴d0(t)、回転角83の時刻歴θ0(t)のX、Y、Z成分を算出する。それぞれの成分は、次のように表せる。
Figure 2004093579
Figure 2004093579
Figure 2004093579
Figure 2004093579
Figure 2004093579
Figure 2004093579
 次に、エネルギ伝達率(RMS比)75(変位)、エネルギ伝達率(RMS比)85(回転角)を算出する(ステップ306)。一般に、時刻歴a(t)の二乗平均値σaは、式(10)で表される。
Figure 2004093579
 微動29による第i層と第j層の層間変位73のx成分の二乗平均値をσdijx、基準面25の層変位71のx成分の二乗平均値をσbxとすると、第i層と第j層の層間変位73のx成分の、基準面25の層変位71に対するエネルギ伝達率(RMS比)75(hdijx)は、
 hdijx=σdijx/σbx             ……(11)
で算出される。y成分に関しても同様である。
 図10は診断例での並進変位の実測・計算結果を示す図である。診断例では、並進変位の層間変位73の二乗平均値、エネルギ伝達率(RMS比)75の算出結果は、図10に示す値となる。
 また、微動29による第i層のx軸41回りの回転角83の二乗平均値をσθix、基準面25の層変位71の水平2成分の二乗平均値をσbxy(ただし、σbxy=(σbx2+σby2)1/2)とすると、第i層のx軸41回りの回転角83の、基準面25の層変位71に対するエネルギ伝達率(RMS比)85hθixは、
 hθix=σθix/σbxy              ……(12)
で算出される。y軸周り、z軸周りについても同様である。
 図11は診断例での回転変位の実測・計算結果を示す図である。診断例では、回転変位の回転角83の二乗平均値、エネルギ伝達率(RMS比)85の算出結果は、図11に示す値となる。
ステップ303からステップ306と並行して、地震動31の大きさを決定し(ステップ301)、地震動31の作用による基準面25の変位を算出する(ステップ302)。図9は診断例での危険度の評価対象となる地震動31のデータを示す図である。ここでは、構造物21の近辺での兵庫県南部地震による地震動31のデータを仮に使用する。ステップ301では、図9に示すように、危険度判定の対象となる地震動31の、構造物21の近辺での最大加速度51、最大速度53、中心周期55を決定する。ステップ302では、これらのデータから基準面25の最大変位57を算出する。
 次に、地震動31による地震時推定変位(最大値)81、87を算出する(ステップ307)。即ち、図9に示す評価の対象とする地震動31による基準面25の最大変位57と、図10および図11にそれぞれ示す微動観測結果63、微動観測結果84を用いて、地震時推定変位(最大値)81および地震時推定変位(最大値)87を算出する。
一般に、定常な不規則入力を受ける線形システムの入力をx(t)、出力をy(t)とすると、出力の二乗平均値σyと入力のパワースペクトル密度関数Sx(ω)の間には次のような関係がある。
Figure 2004093579
H(ω)は、伝達関数と呼ばれている。定常過程では、二乗平均値(平均パワーの平方根)と、ある継続時間の間に観測される最大値の期待値の間には次の関係がある。
Figure 2004093579
 γは、ピーク係数と呼ばれる係数で定常過程y(t)の継続時間S0と分布関数の関数である。定常ガウス過程では、次のようになる。T0は、定常過程の中心周期である。
Figure 2004093579
Figure 2004093579
 一般に、構造物21を破壊するような地震力31等の突発的な外力は、有限な継続時間と非定常なスペクトルを持っている。パワースペクトル密度関数を計算するときに式(14)から(16)までを用いて、等価な継続時間S0を求め、これを用いて定常ガウス過程を対応させることが出来るという研究成果がある。即ち、パワースペクトル密度関数を計算するときに、次のように計算する。
Sx(ω)=|X(ω)|2/(2πS0)……(17)

ただし、X(ω)は、x(t)のフーリエ変換である。即ち、
Figure 2004093579
 また、伝達関数は、入力と出力のフーリエ変換の商として、次のように計算される。
H(ω)=Y(ω)/X(ω)      ……(19)
ただし、出力のフーリエ変換も出力の時刻歴y(t)から、式(18)の要領で計算される。
 ステップ307では、簡便な方法として、構造物21の地盤23に近い基準面25で観測される微動29のスペクトルは、大地震で地盤23や構造物21が線形に振舞うとした場合に観測されるであろうスペクトルと相似形であると仮定する。すると、基準面25の地震動31による入力xg(t)のパワースペクトル密度関数Sxg(ω)と微動29xb(t)のパワースペクトル密度関数Sxb(ω)の間には、
 Sxg(ω)=c2Sxb(ω)  ……(20)
の関係が成立する。
 この仮定を式(13)に用いると、地震動31による層間変位の二乗平均値σdgと微動29による層間変位73の二乗平均値σdbも相似となる。
 σdg2=c2σdb2            ……(21)
従って、地震動31による基準面25の層変位の二乗平均値σgと層間変位の二乗平均値σdgの間には、次の関係がある。
 σdg=cσdb=chσb=hcσb=hσg  ……(22)
 また、最大値の間にも、ピークファクターを介して上記の式と同様の関係がある。即ち、受振器5によって直接計測した、微動29による層間変位73の時刻歴ならびに基準面25の層変位71の時刻歴から計算したエネルギ伝達率(RMS比)75(h)と、地震動31による基準面25の変位の二乗平均値σgから、地震動31による層間変位の二乗平均値σdgならびに最大値γσdgを予測することができる。
 このことから、対象とする地震動31による基準面25のx成分の最大変位57をbxmaxとすると、地震動31によって生ずる第i層と第j層の層間変位のx成分の最大値dijxmaxは、エネルギ伝達率(RMS比)75hdijxを用いて、
 dijxmax=fhdijxbxmax       ……(23)
で算出される。y成分に関しても同様である。
 同様に、対象とする地震動31による基準面25のx成分の最大変位57をbxmax、y成分の最大変位57をbymaxとすると、地震動31によって生ずる第i層の回転角89のx成分の最大値θixmaxは、エネルギ伝達率(RMS比)85hθixを用いて、
 θixmax=fhθixbxmax        ……(24)
で算出される(ただし、bmax=(bxmax2+bymax2)1/2)。y軸周り、z軸周りに関しても同様に算出する。
 式(23)で用いられているf67、式(24)で用いられているf(図示せず)は、応答の非線形性を考慮した係数である。f67は、降伏点変位dyと構造が非線形性を呈しないで線型システムとして挙動したとして計算された変位、即ち、hdijxbxmax(図10の等価弾性変位65)を用いて、次のように表される。
 f=1/2(η+1/η)、(ただし、η=hdijxbxmax/dyで、η>1のときのみ用いる)        ……(25)
y成分に関しても同様である。
 降伏点変位dyは、通常、建物の場合には、層間変形角(層間変位を階高で除した値)にして、200分の1から、100分の1であると考えられている。式(24)で用いられているfも、f67と同様の考え方で算出されるが、回転角に関しては具体的な研究成果は現在のところは無いので、本方法ではf=1としている。
 上記の方法では、システムは線形であり、変位成分は互いに独立で、入力は定常であると仮定している。通常の構造物21の微動29に関しては、この仮定は概ね現実にも当てはまる。構造物21が破壊するような大きな外力、例えば地震力31の作用を受けた場合には、殆どの構造物21が著しい非線形性を呈する。また、外力自体も、有限な継続時間を持ち著しい否定常性をもつ。この問題に関して、構造力学と構造設計理論では、線形システムの定常過程に対する応答を基本に、非線形、非定常効果を係数fによって考慮するという立場をとっている。
 本発明の方法は、この立場に添うものであり、通常用いられている上記非線形効果を表す係数fをそのまま用いることが出来る。しかしながら、構造設計基準で振動の各成分の連成や、非線形性を計算することが要求されている構造物に対しては、本発明の方法を適用する場合に、ステップ307の説明の前半で述べた一般的な方法や、3次元的な解析を行うことを考慮する必要がある。
 式(23)、式(24)の計算について診断例を用いて具体的に述べると、例えば、図10において、図9で示す最大変位57を仮に4cmとした場合、最大変位57とエネルギ伝達率(RMS比)75を乗算すると等価弾性変位65となる。そして、等価弾性変位65にf67を掛けると弾塑性変位69dijmaxが得られ、更に弾塑性変位69を層27の厚さで割ると層間変形角82が得られる。また、図11において、図9で示す最大変位57の水平2成分(x成分とy成分)の二乗平均値とエネルギ伝達率(RMS比)85を乗算すると回転角89θimaxが得られる。
 ステップ303からステップ307と並行して、構造物21の危険度判定を行う上で重要な層、変位成分、判定基準変位量を決定し(ステップ308)、基準変形量(層間変位角、回転角)を算出する(ステップ309)。即ち、構造物21の設計条件や、同種の構造物の被災事例、実験データなどを収集し、ステップ301からステップ307の手順で算出した層間変形角82や回転角89などのデータに対する判定基準値を、それらのデータを用いて決定する。
 次に、危険度を判定する(ステップ310)。即ち、図10および図11に示す地震時推定変位(最大値)81、地震時推定変位(最大値)87と、ステップ309で決定した判定基準値を比較し、構造物21の地震動31による危険度を判定する。図10に示す層間変形角82は、弾塑性変位69を層27の厚さで除した値であり、層27を構成する構造要素(部材)の力学的な性状、破壊に対する安全性などに関する多くの研究成果は、弾塑性変位69または、層間変形角82を指標として整理される。
 地震時の層間変形角82は、1%を超えると層27の崩壊が生じる危険性が高いと考えられている。図10に示すように、診断例では、地震動31により生じると推定される層間変形角82が1%を超えるのは、下線を付したX方向2階から4階までと、Y方向の全ての階であり、本診断方法で崩壊の危険性があると判定される。尚、2階X方向の層間変形角82は、0.99%であり、1%をごく僅かしか下回っていないので、危険と判定した。
 図11に示すように、診断例での、回転変位の地震時推定変位(最大値)87は、Y軸43、Z軸45周りに関しては、1%程度であるので、構造物21の基礎形式がべた基礎であることを考慮すると直ちに危険であるとは言いがたい。X軸41周りには、3%の回転が予測されている。この値は大きく、若干の塑性変形(傾き)が残ると予測されるが、転倒の危険があるとは言いがたい。
 本方法と、既存の方法との整合性を確認するため、図10に日本建築防災協会の指針に従って計算した耐震指標Is77、強度指標CT・SD79の値を示す。建築防災協会指針では、耐震性指標Is77が0.6を下回る場合、また、強度指標CT・SD79が0.3を下回る場合、大地震でその層が崩壊する危険性があると判定する。耐震指標Is77による判定、本方法の層間変形角82による判定ともに、崩壊の危険性があるのは、X方向では2階から4階まで、Y方向では、BF階の耐震指標Is77の0.61は基準値の0.60を極僅かしか上回っていないので危険性があると考えると、4階を除く全ての階であると判定される。
 4階のY方向に関しては、本方法では危険、耐震性指標Is77では安全と判定が分かれているが、その他の全ての階と方向で両方法の判定は整合性がある。耐震性指標Is77の判定基準値は、地震動のエネルギが大きくなるほど大きくなる。これを仮に現行の0.6から0.78に上げて考えれば、両方法の判定結果を完全に一致させることができる。これは、ここに例示した実際の地震動31は、日本建築防災協会の指針作成時点で用いられた過去の被災事例の地震動より大きかったとされている事実と整合する。
 診断例の構造物21は、実際の地震動31で2階と3階部分の柱にX方向の変形による大きな被害を受けており、判定結果は被災状況にも適合している。4階X方向とBFから3階までのY方向に関して、両方法とも危険と判定されながら実際には大きな構造被害を受けなかったが、2、3階がX方向に被災したことによって地震動31のエネルギが吸収され、上層階(4階)とY方向の被害が小さかったと考えられる。このように、部分的に被災した後の挙動に関して考慮していないことは、現行の設計法全般に共通する課題である。
 このように、本実施の形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)計測から計算と評価まで短時間に実施することが出来る。計測は、機械の設置、計測でおよそ2時間程度、計算は数分で終了する。日本建築防災協会の方法を用いる場合には、構造図面データの入力、コンクリートコア抜き試験の実施と評価等で通常は2週間程度、多量に人員を投入し、コンクリート試験を短期間で実施しても少なくとも2から3日は掛かる。
 (2)計測から計算と評価まで低コストで実施することが出来る。計測と計算に掛かるコストは、機械の損料と人件費等であるが、従来の方法では、構造物一棟あたり、数百万円要しているものが、本発明の方法では、数十万円で出来る。
 (3)各種の想定地震動31に対する危険度を定量的に評価することが出来る。即ち、特定の地震動31に対して基準面25の変位を計算し、これに対して本発明の方法を用いる。建築防災協会の方法では、過去の大震災での被災事例の分析からIs=0.6を評価基準としており、対象とする地震動31が明確ではないので、地震危険度のレベルを定量的に評価することが出来なかった。本発明の方法を用いれば、どのような地震動31に対して安全か危険かを定量的に判断することができる。
 (4)層27並びに層間の回転角89に対しても計測結果に基づいて、危険度を判定することが出来る。日本建築防災協会の方法では、ねじれに関しては直接の規定がない。しかし、建築設計基準では、新築建物に対しては、ねじれに対する検討を行うことになっており、本発明の方法はこれに対応させることが出来る。ねじれ、回転の構造物への影響に関しては現在も学会等で盛んに研究が進んでいる分野であり、本発明の方法でねじれ、回転が予測できるので、学会等で得られた知見を危険度判定に反映することが出来るという効果がある。
 (5)構造物の耐震性に関する設計で用いられている指標(層間変位、弾塑性変位69、回転角89など)を直接計測と計算で得ることが出来るので、建物の地震危険度判定と設計を直接関連付けることができる。従来の方法は、耐震性指標(Is)、強度指標(CtSd)(以上日本建築防災協会)スペクトル比、地震危険度指標など、地震危険度判定専用の指標を計算しているので、耐震設計の理論的枠組み、実験データなどを用いることが困難である。これに対して、本発明の方法は、上記の膨大な知識の集積を地震危険度判定に直接用いることを可能にする効果がある。
 (6)想定地震動31に対する基準面25の変位から、層間変位(弾塑性変位69)等を計算する方法であるので、地震動31に対する正確な評価が出来る。
 (7)構造物21の非線形性を考慮して計算しているため、正確な評価ができる。これは、本発明の方法が設計計算に用いられている理論的体系に準拠していることによる効果である。
 (8)既存建物の地震危険度評価だけでなく、建設中の建物の品質管理に用いることもできる。本方法は、設計計算に用いられている指標を直接計測するので、建設途上または竣工後に建物が設計で期待した性能を持つかどうかの評価に用いることが出来る。
 次に、本発明の別の実施の形態について説明する。前述の実施の形態では、人工的構造物に、地震等の突発的外力が加わる時の該構造物の安全性を評価した。ここでは、評価対象を人工物だけでなく自然物にも広げ、該構造物の微動観測を行うことで、安全性と健全性とを評価する。安全性とは構造物の破壊の危険性を評価することを指し、健全性とは構造物が設計上期待される性質や品質に対する達成度を評価することを指す。
 図12は、本発明の別の実施の形態に係る診断システム1を示す。構造物91は、人工的な構造物に限らず、自然物である崖、岩石、地盤等を含む。構造物91の内部や表面に複数の受振器5が設置される。受振器5は、ケーブル11で測定器7に接続され、測定器7はケーブル13でコンピュータ9に接続される。受振器5や測定器7については図1で説明したので省略する。尚、受振器5と測定器7との接続、或いは測定器7とコンピュータ9との接続は、無線通信手段による接続であっても良い。
 受振器5は、構造物91の任意の内部や表面、或いは受振器5−7〜5−9のように構造物内の平面3上に設置される。受振器5で得られるデータの変換の手順は図2で示したものと同様であり、説明を省略する。
 図13、14は、構造物91の観測点(即ち受振器5の設置点)の配置計画の例を示す。受振器5の設置点は、構造物91の特徴、環境条件、診断項目等を考慮して、構造物91の注目点(もしくは注目面)、基準点(もしくは基準面)に配置される。
 図13は、構造物91が同一の基盤93(地盤、岩盤、床等)に乗っていると考えられる場合である。構造物内部に性質が変化している部分があれば、その位置を診断する目的の受振器5の配置計画である。例えば本実施の形態で微動による診断を行うと、A点・C点とB点との微動時間歴の特性が異なることが判明する。即ち図13のB点近傍が、構造物性質変化部分95であることが判明する。
 さらに受振器5の位置を点Aから点A1、点A2へ、点Cから点C1、点C2へと移動させて診断を実施すると構造物の性質変化部分95を診断することができる。
 図14は構造物91と基盤93の間の境界条件の違いを検出し診断を行う場合である。構造物上の点A4、点B4、点C4と、それぞれの近傍の基盤93上の点A3、点B3、点C3との間でエネルギ伝達率(RMS比)を計算して診断を行う。
 また、構造物91内部の性質の変化部分を診断する場合は、図4から図6に示したように、構造物91を層に分けて基準面、注目面を決めて観測点(受振器5)を配置する。
 次に、図15のフローチャートに従い、微動による診断の手順を説明する。まず、安全性、健全性を評価診断する構造物91と、その周辺環境の事前調査を行う(ステップ1001)。
 次に構造物91の診断項目を決定する(ステップ1002)。即ち診断項目が突発性外力に対する安全性診断か、又は健全性診断かあるいは両方かを決定する。
 次に構造物91の注目物理量とこれを計算する点、面、層等を決定する(ステップ1003)。注目物理量とは、構造物内部の点や平面の変位もしくは相対変位、点間の回転角、平均圧縮歪、平均せん断歪、平均曲げ歪、平均ねじり歪等の量である。例えば前述の実施例では、注目物理量が「層間変位」と「回転角」であった。建物や橋梁等の構造物では、設計計算で考慮する層や部材を参考にして注目物理量とこれを計算する点、面、層等を決定する。崖、地盤等の自然物でも、人工的な構造物を対象とする場合と同様に、防災や補強等の設計計算、安定計算で用いる力学的なモデルを参考にして、注目物理量とこれを計算する点、面、層等を決定する。
 突発的外力を考慮する場合には、その入力基準面と観測時間帯とを決定する(ステップ1004)。
 次にステップ1005は、本診断システム1のソフトウエアの処理手順を示している。図16は、ステップ1005の入力、計算、表示、出力を行う機能を詳細に示しているので、以降図15、図16とを合わせて説明する。
 入力項目として、観測計画(即ち観測点の総数・位置、観測時間帯、観測周波数帯域、卓越振動エネルギ、基準点、基準面、注目点、注目物理量、観測時刻歴計算項目等)を決定する(ステップ1006)。これは図16の観測点属性の入力2006に対応する。
 次に、上記計画に基づいて、受振器5を構造物91に設置し、微動観測を実施する(ステップ1007)。即ち微動観測値から、図16の観測時刻歴2003を得、同時に観測時間・観測周波数帯域2004、分析時間・分析周波数帯域2005を決定する。分析時間のデータの取り出しは、観測時間帯の中に分析開始時刻と分析終了時刻とを設定することで行う。分析周波数帯域のデータの取り出しは、分析時間の時刻歴に関してFFT変換を行い、周波数領域のフィルタ演算を行い、逆FFT変換によって注目時刻歴を計算する元になる分析時間と分析周波数帯域の時刻歴データを得る。これらの計算は予備計算ルーチン2013を利用する。
 次に、注目時刻歴の計算(図16の2011)と、パワースペクトルの計算を行い(ステップ1008)、さらにエネルギ伝達率(RMS比)の計算(図16の2012)を行う(ステップ1009)。以下詳細に説明する。(即ち図16の計算ルーチン2009に入る。)
 常時微動は振幅が極めて小さく、構造物が線形に応答していると仮定すると、入力(即ち観測時刻歴)x(t)と、出力(即ち注目時刻歴)y(t)との間には、前述の式(13)から式(19)に示される関係がある。尚、式(13)から式(19)の例では入力(即ち観測時刻歴)x(t)は構造物21の層変位71の時刻歴に対応し、出力(即ち注目時刻歴)y(t)は、層間変位73の時刻歴と回転角83の時刻歴に対応する。
 従ってある観測時刻歴から、伝達関数H(ω)を前述の式(13)から式(19)を用いて計算し、任意の波形の基準点もしくは基準面での入力(即ち観測時刻歴)x(t)に対する出力(即ち注目時刻歴)y(t)を計算することができる。ただしこれは入力が基準面に限られている場合であり、構造物91にその他の面から入力がある場合にはこの効果も重ね合わせる必要がある。
 前述の式(13)から式(19)を用いて注目時刻歴の計算とパワースペクトルSx(ω)の計算を行い(ステップ1008)、続いてエネルギ伝達率(RMS比)計算を行う(ステップ1009)。
 エネルギ伝達率(RMS比)hは、入力である観測時刻歴x(t)の二乗平均値σxと、出力である注目時刻歴y(t)の二乗平均値σyとを用いて以下のように定義される。尚、σx、σyは前述の式(10)で定義される。
 hxy=σy/σx        ……(26)
 エネルギ伝達率(RMS比)hは、微動観測による基準点又は基準面の観測時刻歴の二乗平均値に対する、注目時刻歴の二乗平均値の比である。二乗平均値は、ピーク係数γを介して最大値と関係付けられるので、近似的には、最大値の比である。
 突発性外力に対する安全性診断を行う場合は、突発的外力に対する基準点変位の予測を行い(ステップ1010)、図16の基準点変位(予測値)2002を入力データとして入力する。微動観測値から算出したエネルギ伝達率(RMS比)hと、基準点変位(予測値)2002とから、注目物理量の予測最大値の計算を行う(ステップ1012)。
 前述の式(20)から式(22)で説明したように、エネルギ伝達率(RMS比)hは、線形システムの応答を計算する係数となる。即ち、観測時刻歴から計算したエネルギ伝達率(RMS比)hxyと地震動などの突発的外力によって生ずると予測される基準面変位の二乗平均値σxgから、この外力によって生ずる注目点もしくは層などの変位、歪等の時刻歴の二乗平均値σyg並びに最大値γσygを予測することができる。即ち以下の関係がある。
 σyg=hxyσxg        ……(27)
 上記においては、システムは線形であり、変位成分は互いに独立で入力は定常であると仮定している。然しながら、構造物が破壊するような突発的な外力の作用を受けた場合は、殆どの構造物が著しい非線形性を呈する。また、突発的な外力自体も有限な継続時間を持ち、著しい非線形性を持つ。この場合、構造力学と構造設計理論では、線形システムの定常過程に対する応答を基本に、非線形、非定常効果を係数によって考慮する。
 突発的外力に対する注目物理量の予測最大値を算出後、構造物91の安全性診断を行う(ステップ1013)。構造物91が構造物21の場合は、算出した地震時推定変位(最大値)81、回転角の地震時推定変位(最大値)87と、判定基準値(即ち図16に示す許容最大変位2008)とを比較して安全性を診断する。
 構造物91の健全性診断を行う場合は、構造物91の構造が期待される状態であるかどうかを判定する。即ち、構造物91に期待されるエネルギ伝達率(RMS比)(期待値)の予測を行い(ステップ1011)、微動観測で得たエネルギ伝達率(RMS比)と比較することで、構造物91の健全性診断を行う(ステップ1014)。即ち構造物91が、設計に相応して期待される性質又は品質からどのくらいずれているかを判定することで、構造物91の健全性の診断を行う。尚、構造物91に期待されるエネルギ伝達率(RMS比)(期待値)2007は診断者が入力する入力データ2001(図16)である。
 尚、微動観測時に、従来は測定器7等にフーリエ振幅スペクトルを表示させて目視し、その形状から微動の性質を経験的に判断したり、振幅最大値に対応する周波数を卓越周波数と考えて診断指標にしたりして、分析を行っていた。本発明では、診断者が微動観測時にパワースペクトルを観測と同時に、測定器7又はコンピュータ9画面に表示させて目視する。さらに、中心振動数とバンド幅指数を算出してスペクトル形状を定量化して判断材料とする。即ち、任意の観測時刻歴x(t)に対して、スペクトルの中心振動数ωcは式(28)で、バンド幅指数αは式(29)で表すことができる。
Figure 2004093579
Figure 2004093579
 ただし、式(28)、式(29)のλiは、観測時刻歴x(t)のパワースペクトルのI次モーメントであり、式(30)で表される。
Figure 2004093579
 λ0は、x(t)の二乗平均値である。不規則振動論によれば、中心振動数ωcは、時刻歴の平均ゼロクロス周波数の期待値になる。また、バンド幅指数αは、1とゼロとの間を取り、正弦波でα=1、ホワイトノイズでα=0となる。これらの指標を用いることにより、観測者の主観に頼らずに、観測時刻歴の周波数特性を評価することができる。
 特に、従来はフーリエスペクトルの最大値に対応する周波数を卓越周波数としていたが、この値は統計的な意味が薄く観測によって変動する標本値の1つであった。これに対し中心振動数ωcは、卓越周波数の期待値になる。
 注目時刻歴の算出(ステップ1008)は、構造物91の特徴や注目する変位、歪に応じて任意に定義し、計算することができる。例えば、構造物91が建物や橋梁、地盤などのように水平な層に分けられ、この層内のせん断、捻り、曲げなどの歪に注目して診断を行う場合を例にして具体的な注目時刻歴の計算方法を説明する。
 構造物91を水平な平面で層に分割し、その境界面に3つの観測点(受振器5)を設置する。微動変位は微小であると仮定し、ある層境界面の埋め込んだ座標系の慣性系座標に対する回転角時刻歴θ0(t)と、原点の変位時刻歴d0(t)と、任意の点の変位時刻歴da(t)と、任意の点の埋め込み座標値raには前述の式(3)の関係が成立する。
 また、3点それぞれの埋め込み座標の原点の注目時刻歴、及び注目微動回転変位時刻歴のX、Y、Z成分は、前述の式(4)から式(9)で表される。これらの計算式を、観測点の観測時刻歴に適用し、観測点(受振器5)の設置された平面の注目時刻歴を計算する。
 さらに、注目時刻歴としての、微動層間変位時刻歴、微動層間回転角時刻歴及び、層内の微動歪時刻歴に注目して計算し診断する。微動層間変位時刻歴は、層境界面iとjの間の相対変位時刻歴であり、前述の式(1)で示される。(式(1)には、i=1、j=2の場合が示されている。)
 扁平な建物の中間階のように、層境界面の回転運動に注目しなくても良い場合には、層境界面に1つずつの受振器5を設置し、この変位の観測時刻歴を代表点の変位とする。例えばy成分については、式(31)が成立する。
  dijy(t)=yi(t)−yj(t)   ……(31)
 yi(t)、yj(t)は、それぞれ構造物内の注目する層境界iとjの埋め込み座標の原点もしくは代表点の微動変位時刻歴のy成分である。
 また、層内のせん断歪もしくは軸歪は、層間変位を層の厚さlyで割ることで計算できる。また、微動捩り率時刻歴ψijz(t)は、Z軸廻りの微動回転角時刻歴の差と層厚lyとを用いて式(32)で示される。
    ψijz(t)=(θiz(t)−θjz(t))/lij……(32)
 また、微動曲率時刻歴は、X軸とY軸廻りの微動回転角時刻歴の差と、層厚lyとを用いて式(33)、式(34)で示される。
    ψijx(t)=(θix(t)−θjx(t))/lij……(33)
    ψijy(t)=(θiy(t)−θjy(t))/lij……(34)
 以上のように、観測された観測時刻歴x(t)に対する出力y(t)として注目時刻歴を計算し、さらにエネルギ伝達率(RMS比)hを計算してこれを指標とし、構造物91の健全度診断および突発的な外力に対する安全性診断行う。
 ここで、図16に示した機能について説明を補足する。本実施の形態のソフトウエアの機能は、図16に示すように入力データ2001機能、計算ルーチン2009機能、表示ルーチン2014機能、出力・転送ルーチン2017機能からなる。
 入力データ2001部で、観測者が入力するのは、基準点変位(予測値)2002、受振器5の設置情報を含む観測点属性2006、エネルギ伝達率(RMS比)(期待値)2007、安全性判定のための許容最大変位(設計値)2008である。観測時刻歴2003は、受振器5で観測されたデータである。観測時間・観測周波数帯域2004、分析時間・分析周波数帯域2005は、観測時刻歴2003から観測者が設定するデータである。
 計算ルーチン2009部は、本計算ルーチン2010部と、予備計算ルーチン2013部とから成る。本計算ルーチン2010は、注目時刻歴の計算2011(図15のステップ1008)と、エネルギ伝達率(RMS比)の計算2012(図15のステップ1009)である。予備計算ルーチン2013は、数値情報の高速フーリエ変換(FFT)や逆変換、フィルタ演算、パワースペクトル計算、ゼロ点補正等の演算機能であり、本計算ルーチン2010計算時に、必要な予備計算ルーチン2013を組み合わせて計算し演算の高速化を図る。
 表示ルーチン2014は、観測者や診断者が、微動観測と同時に観測時刻歴をモニタし観測が正常に実施されているかどうかを確認する。また観測時刻歴が計測した属性を備えているか等の確認、診断に必要な数値情報の確認、必要に応じた観測点の数・位置等の観測計画の変更等を行う場合に用いる。
 表示項目は、入力データ、観測時刻歴等を表示(2015部)し、計算結果として時刻歴、パワースペクトル等を表示(2016部)する。
 出力・転送ルーチン2017は、観測結果や算出結果を、ハード記憶媒体や出力媒体に出力、或いはインターネット等へ転送する。例えば遠隔地にいる診断者が、観測と同時に診断することができる。
  このように、本実施の形態によれば、以下のような効果を奏することができる。(1)構造物の健全性、安全性を、構造物に直接外力を作用させることなく、迅速かつ安価に診断することができる。
 (2)診断に用いる時刻歴相互の関係を二乗平均値(RMS)の比であるエネルギ伝達率(RMS比)という、計算が容易で、客観的で、物理的・不規則振動論的に意味のある数値によって表現することにより、微動観測によって得られる情報を直接診断に用いることを可能にした。
 (3)微動観測によって得られた時刻歴から、構造物の安全性、健全性の判断に必要な物理量の時刻歴を直接計算することによって、微動観測によって得られる情報を、直接診断に用いることを可能にした。
 (4)注目時刻歴に、変位、層間変位、せん断歪、曲げ歪等の通常の構造力学、安定計算、構造計算で用いられている量を選択することで、本診断の経過と結果を他の方法の結果と、容易に比較検討することができる。従って診断結果の信頼性を高め、他の方法と総合した診断を行うことができる。
 (5)微動観測中に観測状況をモニタし、観測と平行して診断計算を行うことにより、健全性・安全性の診断を迅速に行うことができる。
 (6)微動観測中に、観測状況・診断結果等の表示を基に、観測点や観測時間帯等の観測計画を変更し、現場の制約条件下で最適な結果を得る観測と診断を実施することができる。
 (7)微動観測と診断の中間的なデータや結果等をインターネット等で転送することによって、遠隔地の診断者が診断に参加することができる。従って、診断結果の信頼性を高め、観測点の配置等の診断計画の最適化を迅速に行うことができる。
 (8)構造物の安全性・健全性の診断に直接関わる量を、注目時刻歴として算出し、注目時刻歴と基準面の振動との関係をエネルギ伝達率(RMS比)によって表し、微動観測によって得られる情報を直接診断に用いることを可能にした。
 (9)観測時刻歴の周波数特性を、中心振動数・バンド幅指数という指標を算出して表すこととし、客観的な判断を可能にした。
 尚、本発明は、実施例に示した例に限定されることなく、他の分野においても応用することが可能である。
 以上、詳細に説明したように、本発明によれば、構造物の微動観測から、エネルギ伝達率(RMS比)を指標として用い、自然物或いは人工物である構造物の安全性や健全性の診断を、簡易・迅速かつ安価に行う診断方法及び診断システムを提供することができる。
第1の実施の形態に係る診断システム1の構成図 診断システム1で収集したデータの変換のフローチャート 診断方法のフローチャート 評価対象となる振動および構造物21の概略説明図 診断例での受振器5の設置位置を示す図 診断例での受振器5の設置位置を示す図 構造物21の変位を示す図 構造物21の変位を示す図 診断例での危険度の評価対象となる地震動31のデータを示す図 診断例での並進変位の実測・計算結果を示す図 診断例での回転変位の実測・計算結果を示す図 第2の実施の形態に係る診断システム1の構成図 観測点配置例1 観測点配置例2 診断システム1の処理を示すフローチャート 診断システム1のコンピュータ9の処理を示すフローチャート
符号の説明
  1………診断システム
  3………層境界面
  5………受振器
  7………測定器
  9………コンピュータ
  21………構造物
  23………地表面
  25………基準面
  29………微動
  31………地震動
  57………最大変位
  73………層間変位
  75………エネルギ伝達率(RMS比)
  81………地震時推定変位(最大値)
  83………回転角
  85………エネルギ伝達率(RMS比)
  87………地震時推定変位(最大値)
  91………構造物
  93………基盤
  95………構造物の性質変化部分
  97………A点
  99………B点
  101………C点
  103………構造物表面

Claims (35)

  1. 構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いる構造物の診断法において、
     前記基準点と複数の観測点において同時に観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
     次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
     該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とする診断方法。
  2. 前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする請求項1に記載の構造物の診断方法。
  3. 複数の受信器と、通信手段と、測定器と、コンピュータとにより診断を行うものであって、前記受振器が前記構造物の基準面と境界面に配置されており、前記境界面が複数面設定されている請求項1または2の構造物の診断方法。
  4. 前記複数の境界面の少なくとも1面に複数個の受振器が配置されている請求項3の構造物の診断方法。
  5. 前記受振器と測定器が一つのケースに収められており、測定器の振動が受振器に感知されないようになっている請求項3または4の構造物の診断方法。
  6. 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの構造物の診断方法。
  7. 前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴である請求項1〜6のいずれかの構造物の診断方法。
  8. 構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いる構造物の診断システムにおいて、
    構造物の観測点又は平面に設置する複数の受振器と、通信手段と、測定器と、コンピュータとを備え、
     前記複数の受振器は、前記構造物に加わる微動を測定して通信手段を介して前記測定器に送り、
     前記測定器は、前記微動観測値を通信手段を介して前記コンピュータに送り、
     前記コンピュータは、前記基準点と複数の観測点において同時に観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
     次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
     該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とする構造物の診断システム。
  9. 前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする請求項8に記載の構造物の診断システム。
  10. 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項8または9のいずれかの構造物の診断システム。
  11. 前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴である請求項8〜10のいずれかの構造物の診断システム。
  12. 前記通信手段が、有線または無線のものである請求項8〜11のいずれかの構造物の診断システム。
  13. 前記通信手段が、ケーブルである請求項8〜11のいずれかの構造物の診断システム。
  14. 前記通信手段が、電波、あるいはフレキシブルディスク、メモリーカード等の媒体である請求項8〜11のいずれかの構造物の診断システム。
  15. 診断結果を表示する表示装置を更に備えている請求項8〜14のいずれかの構造物の診断システム。
  16. 前記受振器が、前記構造物の基準面と層境界面に配置されており、前記境界面が複数面設定されている請求項8〜15のいずれかの構造物の診断システム。
  17. 前記複数の境界面の少なくとも1面に複数個の受振器が配置されている請求項16の構造物の診断システム。
  18. 前記受振器と測定器が一つのケースに収められており、測定器の振動が受振器に感知されないようになっている請求項8〜17の構造物の診断システム。
  19. 構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いて構造物の診断を行うコンピュータにおいて、
     前記基準点と複数の観測点において同時に観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
     次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
     該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とするコンピュータ。
  20. 前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする請求項19に記載のコンピュータ。
  21. 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項19または20のコンピュータ。
  22. 前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴である請求項19〜21のいずれかのコンピュータ。
  23. コンピュータを請求項19〜22のいずれかに記載したコンピュータとして、機能させることを特徴とするプログラム。
  24. 請求項23記載のプログラムを記録した記録媒体。
  25. 構造物の微動時刻歴を、複数の観測点および基準点で観測した結果を用いる構造物の診断装置において、
     構造物の観測点又は平面に設置する複数の受振器と、通信手段と、測定器と、コンピュータとを備え、
     前記複数の受振器は、前記構造物に加わる微動を同時に測定して、そのデータを前記通信手段を介して前記測定器に送り、
     前記測定器は、前記微動観測値を通信手段を介して前記コンピュータに送り、
     前記コンピュータは、前記基準点と複数の観測点において観測された前記微動時刻歴から観測時刻歴を得、該観測時刻歴から時間領域で注目時刻歴を算出し、
     次に該注目時刻歴の二乗平均値と該基準点の時刻歴の二乗平均値の比であるエネルギ伝達率を算出し、
     該エネルギ伝達率の相互比較によって診断することを特徴とする構造物の診断装置。
  26. 前記エネルギ伝達率を前記構造物の設計図面、あるいは解析結果から予め計算された値と比較することによって診断することを特徴とする請求項25に記載の構造物の診断装置。
  27. 前記通信手段が、有線または無線のものである請求項25または26の構造物の診断装置。
  28. 前記通信手段が、ケーブルである請求項25または26のいずれかの構造物の診断装置。
  29. 前記通信手段が、電波、あるいはフレキシブルディスク、メモリーカード等の媒体である請求項25または26のいずれかの構造物の診断装置。
  30. 診断結果を表示する表示装置を更に備えている請求項25〜29のいずれかの構造物の診断装置。
  31. 前記受振器が、前記構造物の基準面と層境界面に設置されており、前記境界面が複数面設定されている請求項25〜30のいずれかの構造物の診断装置。
  32. 前記複数の境界面の少なくとも1面に複数個の受振器が配置されている請求項31の構造物の診断装置。
  33. 前記受振器と測定器が一つのケースに収められており、測定器の振動が受振器に感知されないようになっている請求項25〜32のいずれかの構造物の診断装置。
  34. 前記微動観測値は、前記観測点又は平面の変位、速度、加速度のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項25〜33のいずれかの構造物の診断装置。
  35. 前記注目時刻歴は、前記観測点又は平面の変位、層間変位、回転角、歪のうち少なくとも1つの時刻歴である請求項25〜34のいずれかの構造物の診断装置。
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