JP2009019372A - 組合せ鋼矢板によるコーナー部の壁体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断面略U字状部を備えた鋼矢板2の溝側と反対側のフランジ7の外面に断面略H字状の形鋼6を固着した断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1をコーナー部壁体8に接続させるために端部に備えた一方および他方の鋼矢板壁16,17と、コーナー部壁体8とを接続するコーナー部の壁体構造であって、前記コーナー部壁体8に、断面略U字状部を備えた鋼矢板2の溝側のフランジ外面に断面略H字状の形鋼6を固着した断面略T字状の組合せ矢板9が用いられ、前記一方および他方の鋼矢板壁16,17の断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1A(1)、1B(1)の継ぎ手と、コーナー部壁体8における断面略T字状の組合せ矢板9の継ぎ手とが、嵌合されて接続されている。
【選択図】図1
Description
例えば、有効幅900mm、有効高さ230mmの断面略U字状部を備えた鋼矢板2を使用した断面略Y字状の組合せ矢板1では、フランジ幅250mmのH形鋼の場合、高さが概ね500mm、フランジ幅200mmのH形鋼の場合、高さが概ね600mmまでしか適用ができなかった。前記断面略U字状部を備えた鋼矢板2と、フランジ幅200mm、高さ600mmのH形鋼6を使用した組合せ矢板1の断面係数は、土留め壁1m当たり5300cm3程度であり、同様に断面略U字状部を備えた鋼矢板2とフランジ幅250mm、高さ900mmのH形鋼6を使用した組合せ矢板の断面係数は、土留め壁1m当たり11000cm3程度であることから、隅角部の処理ができないため、本来、直線部と同じものをコーナー部に使用した場合に期待できる組合せ矢板が有する断面係数の半分程度の領域しか使用できず、コーナー部の断面性能が格段に低い壁体構造物になるという課題があった。
また、本発明は、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板と断面略T字状の組み合わせ鋼矢板とを組み合わせることにより、前記の課題を有利に解消することができるコーナー部の壁体構造を提供することも目的とする。
また、第2発明では、第1発明のコーナー部の壁体構造において、前記断面略U字状部を備えた鋼矢板は、フランジの両端部に外側に向かって広がるように傾斜したウェブが一体に連設され、各ウェブに前記フランジと平行にアーム部が一体に連設され、各アーム部の端部に、継ぎ手が一体に形成されている断面ハット形のハット形鋼矢板であることを特徴とする。
また、第3発明では、第1発明または第2発明のコーナー部の壁体構造において、前記断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板を構成する断面略U字状部を備えた鋼矢板および断面略H字状の形鋼と、前記断面略T字形状の組み合わせ鋼矢板を構成する断面略U字状部を備えた鋼矢板および断面略H字状の形鋼とは、それぞれ継手部を除き同じ断面形状の断面略U字状部を備えた鋼矢板および同じ断面形状の断面略H字状の形鋼が用いられていることを特徴とする。
また、第4発明では、第3発明のコーナー部の壁体構造において、断面略T字形状の組み合わせ鋼矢板における断面略H字状の形鋼に補強板が固定されていることを特徴する。
また、第5発明では、第3発明のコーナー部の壁体構造において、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板におけるコーナー部側のアーム部先端側の中心軸線は、アーム部基端側の中心軸線に対して交差するように前記アーム部先端側は曲げ配置され、かつコーナー部に配置されて隣接する断面略T字状の組み合わせ鋼矢板におけるアーム部の中心軸線と一致するようにされていることを特徴とする。
本発明によると、コーナー部壁体に接続する一方および他方の断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板を端部に備えた壁体と、コーナー部壁体との接続構造として、コーナー部壁体に断面略T字状の組み合わせ鋼矢板を用いたので、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板をコーナー部に用いた場合に比べて、断面略T字状の組み合わせ鋼矢板における断面略U字状の鋼矢板のフランジを格段に壁体の外側よりに配置することができ、そのためこれに固定されている形鋼も格段に外側よりに位置をずらして配置することができる。そのため、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板と、断面略T字状の組み合わせ鋼矢板とで、同様な大型断面の断面H字状の形鋼を使用しても、従来のように、形鋼の内側相互が干渉することなく、配置することができ、そのため、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板による壁体部分と断面略T字状の組み合わせ鋼矢板との部分で、同様な断面性能の構造のコーナー部の壁体構造とすることができる。
そのため、隅角部等のコーナー部において、組合せ鋼矢板のH形状の形鋼が交錯し施工ができなくなるという従来の技術課題を解決でき、隅角部等のコーナー部の処理ができず適用できなかった大規模土留め構造への適用が可能になり、断面略U字状部を備えた鋼矢板と断面H形状をした形鋼とを断面Y字状に固着し成形した組合せ矢板の適用領域が大幅に拡大できる。
また、第2発明によると、断面U字状の鋼矢板として、市販の安価なハット形鋼矢板を利用して、断面略T字状の組み合わせ鋼矢板あるいは断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板を構成することができるため、安価なコーナー部の壁体構造とすることができる。
第3発明によると、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板および断面略T字状の組み合わせ鋼矢板に、それぞれ継手部を除き同じ断面形状の断面略U字状部を備えた鋼矢板および同じ断面形状の断面略H字状の形鋼が用いられているので、部材の種類が少なくてすみ、部材の構成が簡単になる。
第4発明によると、断面略T字形状の組み合わせ鋼矢板における断面略H字状の形鋼に補強板が固定されているので、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板と断面略T字状の組み合わせ鋼矢板との断面係数がことなる場合でも、断面略T字状の組み合わせ鋼矢板における形鋼に補強板を固定することにより、断面略T字状の組み合わせ鋼矢板の断面係数を容易に断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板の断面係数に近づけることができ、コーナー部壁体を構成する断面略T字状の組み合わせ鋼矢板と、これに接続する一方および他方の断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板との剛性を同等にすることができる。
第5発明によると、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板におけるコーナー部側のアーム部先端側の中心軸線は、アーム部基端側の中心軸線に対して交差するように前記アーム部先端側は曲げ配置され、かつコーナー部に配置されて隣接する断面略T字状の組み合わせ鋼矢板におけるアーム部の中心軸線と一致するようにされているので、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板におけるコーナー部側のアーム部先端側を曲げ配置するだけで、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板による壁体に対して交差するように配置される断面略T字状の組み合わせ鋼矢板における継手と、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板の継手との中心軸線が一致するように直線状に接続することができる。
これらの異形継ぎ手アーム付き断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1A,1Bは、コーナー部壁体8(図1参照)に接続される直線部等の壁体の端部に用いられる断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1である。
前記のアーム部3,4先端側の曲げ配置角度としては、コーナー部壁体8(図1,2参照)の配置角度等により、適宜設定される。
前記のアーム部3,4先端側の曲げ配置する場合、熱間成形により折り曲げてもよく、アーム部先端側を矢板長手方向に切断して、曲げ配置した状態で突合せ溶接により接合するようにしてもよい。
次に、断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1およびその断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1の変形形態である異形継ぎ手アーム付き断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1A、1B並びに断面略T字状の組み合わせ鋼矢板9を使用して、本発明のコーナー部の壁体構造を構成した実施形態を、図1、2を参照しながら説明する。
例えば、有効幅900mm、有効高さ230mmの断面略U字状の鋼矢板を使用し高さ700mm、フランジ幅250mm、フランジ厚19mmのH形鋼を組合せた組合せ鋼矢板では、幅150mm、板厚14mmの補強板10を隅肉溶接により形鋼のフランジ6bに固着すれば、全体として、断面略T字状に固着し成形した組合せ鋼矢板9の断面係数は、補強鋼板10を使用せずに、断面略Y字状に固着させた組合せ鋼矢板1(1A,1B)の断面性能とほぼ同等の値が確保できる。
そのため、隅角部等のコーナー部において、組合せ鋼矢板のH形状の形鋼が交錯し施工ができなくなるという従来の技術課題を解決でき、隅角部等のコーナー部の処理ができず適用できなかった大規模土留め構造への適用が可能になり、断面略U字状部を備えた鋼矢板2と断面H形状をした形鋼6とを断面Y字状に固着し成形した組合せ矢板の適用領域が大幅に拡大できる。
例えば、断面H字状の形鋼6を(壁体の)内側にする土留め壁で、法線変更角90°の隅角部において、有効幅900mm、有効高さ230mmの断面略U字状の鋼矢板を使用した組合せ矢板1では、従来、高さ500mm〜600mm程度の断面H形状の形鋼6、壁1m当たり断面係数で5300cm3程度までしか使用できなかったが、本発明のコーナー部壁体構造(隅角部構造)を使用することにより、例えば、高さ900mm程度の断面H字状の形鋼6、壁1m当たり断面係数で11000cm3程度まで使用範囲が拡大できる。
この参考形態では、軸方向にスリットが設けられたパイプ型継手19を、鋼管杭20側面に軸方向に溶接で固定した鋼管矢板18を使用している。
この参考形態では、土留め壁法線を変更するにあたり、断面略U字状部を備えた鋼矢板2継手部の一部(アーム部3,4)を切断し、法線変更角分方向を変更させ、突合せ溶接により固着させた異型継手付き組み合わせ鋼矢板1A,1Bを使用した形態を示したが、鋼管矢板18を使用する場合、鋼管矢板18の継手取り付け角、継手スリット位置の変更で法線角度の変更も可能なので、その場合は異形継ぎ手アーム付き断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1A,1Bを使用しなくてもよい。
異形継ぎ手アーム付き断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板1A,1Bの継手14に代えて、カットT形鋼を固着して継手として使用して法線変更する場合は、(1)メス型継手であるスリットの入ったパイプ型継手と雄型継手であるカットT形鋼継手の組合せ継手、あるいは(2)メス型継手である2つのアングル材を組み合わせた雌継手と、雄型継手であるT継手の組合せ継手を溶接で固定した鋼管矢板を使用可能である。
図5に示す参考形態では、直径600mmから1000mm程度の鋼管矢板18を想定しているが、壁体16,17における隅角部の必要断面性能、鋼矢板の配置計画より判断し、左記の範囲を超える直径の鋼管矢板を使用してもよい。
例えば、直径900mmの鋼管矢板18は、板厚を10mmから19mmまで変化させることにより土留め壁1mあたり5000cm3から12000cm3程度の断面係数を提供することができる。
1A 異形継ぎ手アーム付き断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板
1B 異形継ぎ手アーム付き断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板
2 ハット形鋼矢板(断面略U字状部を備えた鋼矢板)
3 ハット形鋼矢板のアーム部
4 ハット形鋼矢板のアーム部
5 ハット形鋼矢板のウェブ
6 H形鋼(断面略H字状の形鋼)
6a H形鋼の一方のフランジ
6b H形鋼の他方のフランジ
6c H形鋼のウェブ
7 ハット形鋼矢板のフランジ
8 コーナー部壁体
9 断面略T字状の組み合わせ鋼矢板
10 補強板
11 Z形鋼矢板
12a 継手における溝
12b 継手における溝
13 係止爪部
14 継手
15 鋼製調整板
16 壁体
17 壁体
18 鋼管矢板
19 パイプ型継手
20 鋼管杭
25 断面略Y字状に固着し成形した組み合せ鋼矢板
26 熱間圧延された略U字状の鋼矢板
Claims (5)
- 断面略U字状部を備えた鋼矢板の溝側と反対側のフランジ外面に断面略H字状の形鋼を固着した断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板をコーナー部壁体に接続させるために端部に備えた一方および他方の鋼矢板壁と、コーナー部壁体とを接続するコーナー部の壁体構造であって、前記コーナー部壁体に、断面略U字状部を備えた鋼矢板の溝側のフランジ外面に断面略H字状の形鋼を固着した断面略T字状の組合せ矢板が用いられ、前記一方および他方の鋼矢板壁の断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板の継ぎ手と、コーナー部壁体における断面略T字状の組合せ矢板の継ぎ手とが、嵌合されて接続されていることを特徴とするコーナー部の壁体構造。
- 前記断面略U字状部を備えた鋼矢板は、フランジの両端部に外側に向かって広がるように傾斜したウェブが一体に連設され、各ウェブに前記フランジと平行にアーム部が一体に連設され、各アーム部の端部に、継ぎ手が一体に形成されている断面ハット形のハット形鋼矢板であることを特徴とする請求項1に記載のコーナー部の壁体構造。
- 前記断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板を構成する断面略U字状部を備えた鋼矢板および断面略H字状の形鋼と、前記断面略T字形状の組み合わせ鋼矢板を構成する断面略U字状部を備えた鋼矢板および断面略H字状の形鋼とは、それぞれ継手部を除き同じ断面形状の断面略U字状部を備えた鋼矢板および同じ断面形状の断面略H字状の形鋼が用いられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコーナー部の壁体構造。
- 断面略T字形状の組み合わせ鋼矢板における断面略H字状の形鋼に補強板が固定されていることを特徴する請求項3に記載のコーナー部の壁体構造。
- 断面略Y字状の組み合わせ鋼矢板におけるコーナー部側のアーム部先端側の中心軸線は、アーム部基端側の中心軸線に対して交差するように前記アーム部先端側は曲げ配置され、かつコーナー部に配置されて隣接する断面略T字状の組み合わせ鋼矢板におけるアーム部の中心軸線と一致するようにされていることを特徴とする請求項3に記載のコーナー部の壁体構造。
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