JP2020117960A - 堤体の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比して工費・工期を短縮できるとともに、皿池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧の増加分に抵抗して、堤体の崩壊を抑止できる堤体の補強構造を提供する。【解決手段】堤体10の内部に、鋼矢板壁15が堤体の全周に亘って連続的に設置されるとともに、鋼矢板壁15は堤体10の下方に位置する支持層40の上面まで根入れされていているので、従来に比して工費・工期を短縮できるとともに、皿池11の貯水量が増加した際に堤体10に作用する水圧の増加分に抵抗して、堤体10の崩壊を抑止できる。【選択図】図1

Description

本発明は、堤体の補強構造に関する。
近年、大規模な地震に伴い河川堤防やため池堤防の決壊が多数発生しており、また幾つかの大規模地震の発生が想定されていることから、堤防の耐震補強が重要性を増している。
このような背景を踏まえ、これまでに鋼矢板を用いた堤防(堤体)の補強技術が提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
特許文献1に記載の堤体の耐震性能補強構造では、アースフィルダム又は溜池等の盛土された堤体のほぼ中央部分の長手方向に2列縦列に鋼矢板で形成された補強用板状体を埋設し、該両補強用板状体の上端部を所定間隔毎に連結部材により連結する二重締切り構造としている。
また、特許文献2に記載の堤防の補強構造では、堤防の堤外側の法肩付近に、当該堤防の延長方向に連続し、下端が地盤の支持層に達する鋼矢板で形成された鋼製壁が設けられ、堤内側の法肩付近には、離散的に配置される控え工が設けられ、前記鋼製壁と前記控え工とを前記堤防の天端付近で繋ぎ材により互いに連結している。
特開2003−321826号公報 特開2013−14962号公報
ところで、「農業土木学会論文集 TRANS. of JSIDRE No.218,
127〜137 (2002. 4)の「豪雨による農業用ため池の破壊原因と被災の特徴」」に記載されているように、農業用ため池は全国に約20万〜25万箇所存在するといわれており、農業のみならず地域の貴重な水資源となっている。しかし、築造年代が古く老朽化が進んでいるため池が多く、豪雨時におけるため池の被害が懸念されている。ため池の被害としては、すべり、浸食などによる堤体の損傷、堤体・基盤の漏水、付帯構造物の損傷が認められるが、被害のほとんどは豪雨によるものであり、その割合は95%以上となっている。
近年の豪雨/地震災害により、ため池の堤体の決壊に伴う被害が全国的に発生しており、全国に約20万〜25万箇所所以上散在するため池の堤体補強が喫緊の課題となっている。
鋼矢板を用いた堤防補強工法としては、鋼矢板二重式仮締切工法が既に確立されており、本設構造としても海岸堤防へ採用されている。一方で、ため池堤防(堤体)においては、農業用として常時一定量貯水していることから、常時作用する堤体への偏水圧を考慮した対策が必要である。
上述した特許文献1および特許文献2に記載の従来の堤体の補強構造は、堤防(堤体)を線状に長い均一な構造物として捉え、堤体の延長方向(延在方向)に直交する2次元断面上で補強体の配置を工夫する補強工法を適用したり、線状構造物としての堤体延長方向内部の範囲内で離散的に補強体構造を設置したりすることが主体であった。
しかし、堤体内部のみに構造体を設置し、災害時などに発生する水圧等に抵抗しようとすると、補強構造体が大型となり、工費・工期が嵩んでしまうという問題がある。
また、補強体においては堤防延長(延在)方向の端部間は繋がっておらず、側面直交方向から受ける土支圧に対して、単体の壁体として抵抗するため、補強体が大型となり、この点においても、工費・工期が嵩んでしまう。
さらに、皿池など、周辺地盤が比較的柔らかい地層で構成されている場合、水圧に抵抗できるよう堤体剛性を確保するために、支持層内に鋼製壁体を打設する必要があり、工期が長くなってしまう。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、従来に比して工費・工期を短縮できるとともに、皿池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧の増加分に抵抗して、堤体の崩壊を抑止できる堤体の補強構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の堤体の補強構造は、少なくとも堤体を含む土構造物によって周囲が囲まれた皿池の前記堤体を補強する堤体の補強構造であって、
鋼製壁が前記皿池の周囲を囲むようにして連続的に設置されるとともに、前記鋼製壁の少なくとも一部は前記堤体の内部に設置されていることを特徴とする。
ここで、「少なくも堤体を含む土構造物」とは、堤体のみによって形成されている土構造物または堤体と地山等の突部との双方によって形成されている土構造物を意味する。
また、「鋼製壁が前記皿池の周囲を囲むようにして連続的に設置される」とは、皿池に沿って当該皿池を囲むように鋼製壁が連続的に設置されるのは勿論のこと、皿池が平面視において内側に食い込むような形状である場合、この食い込んだ部分に沿って鋼製壁が設置されず、食い込んだ部分の外周側に沿って鋼製壁が設置されることを含むものである。
また、鋼製壁としては、鋼矢板を複数連結してなる鋼矢板壁が好適に使用されるが、これに限るものではない。例えば、鋼管矢板を複数連結してなる鋼管矢板壁、鋼矢板と鋼管矢板を複数連結してなる鋼製壁等を使用してもよい。
本発明においては、鋼製壁が皿池の周囲を囲むようにして連続的に設置されるとともに、鋼製壁の少なくとも一部は堤体の内部に設置されているので、当該鋼製壁は堤体の内部を含んで全周で繋がることになる。したがって、皿池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧の増加によって、局部的に堤体が崩壊し始めようとすると、当該崩壊し始めようとする堤体の部位の周方向の両側に位置する鋼製壁の部分が地盤からの抵抗を受けることで、水圧の増加分に抵抗することができ、これによって局所的な堤体10の崩壊を回避できる。
また、平面視において皿池の堤体が内側に食い込まないリング状に形成されている場合、当該堤体の内部に設置される鋼製壁も内側に食い込まないリング状に形成される。このため、当該リング状に形成された鋼製壁のフープテンションにより、上述した水圧に抵抗できるため、鋼製壁に大きな剛性を付与する必要はなく、鋼製壁を施工に難渋する支持層内まで打設する必要がない。このため、従来に比して工費・工期を短縮できる。
また、本発明の前記構成において、平面視において前記鋼製壁は内側に食い込まないリング状に形成され、
前記堤体の内部に設置されている前記鋼製壁は、上端が前記堤体の天端と等しい高さ位置にあり、かつ前記堤体の下方に位置する支持層または岩盤層の上面まで根入れされていてもよい。
ここで、鋼製壁が支持層または岩盤層の上面まで根入れされているとは、堤体の直下に軟弱層があり、その直下に支持層または岩盤層がある場合は、鋼製壁が軟弱層を貫通するとともに鋼製壁の下端が支持層または岩盤層の上面に当接または近接されていることを意味し、堤体の直下に直接支持層または岩盤層がある場合は、堤体の内部に設置された鋼製壁の下端が支持層または岩盤層の上面に当接または近接されていることを意味する。
このような構成によれば、鋼製壁の上端が堤体の天端と等しい高さ位置にあり、かつ鋼製壁が堤体の下方に位置する支持層または岩盤層の上面まで根入れされているので、皿池側から堤体を貫通する水みちや皿池側から堤体直下の軟弱層を貫通する水みちの発生を防止できるので、堤体の浸透破壊を抑止できる。
また、支持層もしくは岩盤層まで鋼製壁を打込む(根入れする)場合は、地盤を打ち砕くクラッシュパイラーなどの特殊な施工機械が必要になるが、支持層または岩盤の上面で鋼製壁を打ち止めることで、通常の施工機で施工が可能であり、施工費の抑制が可能となる。
また、本発明の前記構成において、前記鋼製壁は、直線鋼矢板を複数連結することによって形成されていてもよい。
このような構成によれば、フープテンションを利用するため、鋼製壁は面外への曲げに抵抗する擁壁としてではなく、セル構造として、面内の引張荷重に抵抗する構造形式となるため、堤体の内部に設置される鋼製壁の曲げ剛性を、従来構造よりも小さくできる。このため、直線鋼矢板によって鋼製壁を形成することができ、材料費の削減を図ることができる。
また、本発明の前記構成において、平面視において前記鋼製壁は内側に食い込む異形のリング状に形成され、
前記鋼製壁は前記堤体の下方に位置する支持層または岩盤に根入れされていてもよい。
このような構成によれば、鋼製壁は堤体の下方に位置する支持層または岩盤に根入れさているので、堤体の内部で鋼製壁をより強固に安定させることができる。
また、本発明の前記構成において、前記堤体の内部に前記堤体の幅方向に延在する構造物が設けられ、前記鋼製壁の下端の一部は、前記構造物まで達していなくてもよい。
ここで、堤体の内部に設けられる構造物としては底樋が挙げられるが、これに限るものではない。
また、鋼製壁が鋼矢板壁によって構成されている場合、当該鋼矢板壁を構成する複数の鋼矢板のうち、前記構造物の上方に位置する鋼矢板の下端部が前記構造物まで達していなくてもよい。
このような構成によれば、堤体の内部に設置された鋼製壁が堤体の内部の構造物に干渉して、当該構造物が損傷するのを防止できる。
本発明によれば、従来に比して工費・工期を短縮できるとともに、皿池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧の増加分に抵抗して堤体の崩壊を抑止できる。
本発明の第1実施の形態に係る堤体の補強構造を示すもので、(a)は模式的に示す概略図、(b)は変形例を示す平面図である。 同、堤体と地盤の横断面図である。 同、鋼矢板壁の斜視図である。 同、堤体の内部に設置されている鋼矢板壁の延在方向に沿う断面図である。 本発明の第2実施の形態に係る堤体の補強構造を模式的に示す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る堤体の補強構造を示すもので、(a)は模式的に示す概略図、(b)は変形例を示す平面図、図2は堤体と地盤の横断面図である。
本実施の形態では、図1(a)に示すように、堤体10のみによって土構造物10Aが形成されている。なお、土構造物10Aとは、基本的に土を主体として形成された構造物であって、その内部や表面にコンクリート等で形成された各種施設や物品が設けられたものを含む。
堤体10は平面視において内側に食い込まないリング状、具体的には楕円形リング状に形成されている。なお、堤体10は平面視において、楕円形リング状に限ることなく、例えば、円形リング状、長円形リング状等に形成されていてもよい。要は内側に食い込むことのないリング状に形成されていればよい。
なお、土構造物10Aは堤体10のみによって形成される他、図1(b)に示すように、堤体10dと地山等の突部10eとの双方によって形成されていてもよい。この場合、堤体10dは連続したリング状とはなっておらず、一部が突部10eによって形成されているが、堤体10dと突部10eによって形成された土構造物10Aは平面視において連続したリング状に形成されている。
このような堤体10または土構造物10Aによって、平面視楕円形状の皿池11の周囲が囲まれている。
図1(a)および図2に示すように、堤体10は、横断面台形状に形成されており、皿池11を囲むようにして平面視おいて楕円形リング状に設置されている。
また、堤体10の直下には軟弱層30があり、この軟弱層30の直下に支持層40または岩盤層がある。軟弱層30および支持層40は皿池11の下方にも連続している。
なお、本実施の形態では、軟弱層30の上面に堤体10が設けられているが、軟弱層30がない場合、堤体10は支持層40の上面に直接設けられることになる。
また、堤体10の天端10aを挟んで皿池11側(内側)を上流側、外側を下流側とすると、上流側に水が貯水された皿池11が存在している。また、堤体10は、天端10aを挟んで上流側に上流法面10b、下流側に下流法面10cを備えている。上流法面10bおよび下流法面10cの地表面(軟弱層30の上面)に対する傾斜角は等しくなっているが、上流法面10bと下流法面10cとで傾斜角を異なるものとしてもよい。
図2に示すように、皿池11には常時貯水されているが、常時満水位における水面が、堤体10の上流法面10bの高さの略1/2またはそれ以上の高さとなり、かつ、豪雨時等における設計洪水位における水面が、波の打上げ高さや水深に応じて、天端10aより1m以上、下げた高さとなるように、堤体10の高さが設定されている。
常時満水位の場合、それより上方の上流法面10bには、皿池11側から水圧は作用しないが、常時満水位を超えるとその分だけ上流法面10bに水圧が増加して作用する。つまり、堤体10に作用する水圧は、水面が常時満水位を超えると次第に増加し、豪雨等によって水面が設計洪水位となった場合に、最大となる。
また、堤体10は図示しない取水施設を備えている。この取水施設は、皿池11の貯水を取水するための斜樋または堅樋と、導水するための底樋(図4参照)とを有している。一般的には、堤体10の上流法面10bに沿って埋設された斜樋管に取水孔が設けられ、これから取り入れた用水が堤体10の底部に埋設された底樋に導かれて取水される。
前記堤体10の内部には、鋼矢板壁(鋼製壁)15が堤体10の延在方向(長手方向)に沿って平面視おいて連続的に楕円リング状に設置されている。つまり、鋼矢板壁15は皿池11の周囲を囲むようにして連続的に設置されている。
さらに、鋼矢板壁15は、堤体10の幅方向における中央部に設置され、その上端部は堤体10の天端10aと等しい高さ位置にあり、かつ支持層40の上面まで根入れされている。つまり、鋼矢板壁15は軟弱層30を上下に貫通するとともに鋼矢板壁15の下端が支持層40の上面に当接または近接されている。但し、鋼矢板壁15の堤体幅方向の設置位置は中央部に限るものではなく、皿池側の法肩付近や、皿池11とは反対側の法肩付近に鋼矢板壁15を設置してもよい。支持層40の上面が傾斜している場合など、堤体10の天端10aから支持層40上面までの距離が最も短くなる位置に鋼矢板壁15を設置することで、鋼矢板壁15の上下方向の長さを短くでき、経済的となる。
また、図1(b)に示すように、堤体10dと地山等の一部を構成する突部10eとの双方によって土構造物10Aが形成されている場合、鋼矢板壁15は堤体10dの延在方向に沿って当該堤体10の内部に設置されるとともに、突部10eの部分では、当該突部10eの内部には設置されず、突部10eを内側(皿池11側)に避けて設置されている。しかし、鋼矢板壁15は皿池11の周囲を囲むようにして連続的に設置されるとともに、鋼矢板壁15の少なくとも一部、つまり突部10eを避けて設置されている部分を除く部分は堤体10dの内部に設置されている。なお、突部10eが硬質ではなく、比較的軟弱である場合は、当該突部10eの内部に鋼矢板壁15を設置してもよい。
鋼矢板壁15は、図3に示すように、ハット形の鋼矢板16を複数連結することによって形成されている。
鋼矢板16はウェブ16aと、このウェブ16aの両端部にそれぞれ形成されたフランジ16bと、このフランジ16bのウェブ16aと逆側の端部に形成されたアーム16cとを備え、このアーム16cの先端部に継手16dが形成されている。
そして、隣り合う鋼矢板16,16どうしは継手16d,16dを互いに嵌合することによって連結され、これによって鋼矢板壁15が形成されている。
鋼矢板壁15を構成する鋼矢板はハット形の鋼矢板に限ることはなく、U形の鋼矢板、直線鋼矢板であってもよい。
皿池11が外周ラインに沿って内側向きに凸状に食い込んでいる箇所の無い場合、特に略円形形状である場合は、パスカルの原理により水圧が平面的に均等に作用することを利用して、鋼矢板壁15のフープテンションにより、水圧に抵抗できるようにする。フープテンションを利用するため、鋼矢板壁15は面外への曲げに抵抗する擁壁としてではなく、セル構造として、面内の引張荷重に抵抗する構造形式となるため、堤体補強としての鋼矢板壁15の曲げ剛性は、従来構造よりも小さくできる。したがって、フープテンションを利用する場合は、直線鋼矢板を適用する、つまり複数の直線鋼矢板を接続することによって鋼矢板壁15を形成することが好適となる。直線鋼矢板により鋼矢板壁15を構成する場合は、直線鋼矢板の地盤内への設置を可能とするために、皿池新設時や、皿池11を補修工事する堤体掘削時の機会を利用する。
また、図4に示すように、堤体10の底部に、当該堤体10の延在方向と直交する幅方向(図4において紙面と直交する方向)に延在する底樋等の構造物25が設けられている場合、鋼矢板壁15の下端の一部は、構造物25まで達していない。なお、底樋には、堤体10の上流法面10bに沿って埋設された斜樋管に取水孔から取り入れた用水が導かれて取水される。
鋼矢板壁15は複数の鋼矢板16を連結することによって形成されているので、これら複数の鋼矢板16のうち、構造物25の上方に位置する鋼矢板16の下端部が構造物25まで達していない、つまり、当該鋼矢板16の下端と構造物25との間には所定の隙間が設けられている。
以上のように本実施の形態によれば、鋼矢板壁15が皿池11の周囲を囲むようにして連続的に設置されるとともに、鋼矢板壁15の少なくとも一部は堤体10の内部に設置されているので、当該鋼矢板壁15は堤体10の内部を含んで全周で繋がることになる。したがって、豪雨時などに皿池11の貯水量が増加した際に、堤体10に作用する水圧の増加によって、局部的に堤体10が崩壊し始めようとすると、当該崩壊し始めようとする堤体10の部位の周方向の両側に位置する鋼矢板壁15の部分(平面視における凹凸形状部分)が地盤からの抵抗を受けることで、局所的な堤体10の崩壊を回避でき、鋼矢板壁15が残置することで堤体高さを保持できる。
また、平面視において皿池11の堤体10が内側に食い込まないリング状に形成されるとともに、当該堤体10の内部に設置される鋼矢板壁15も内側に食い込まないリング状に形成される。このため、当該リング状に形成された鋼矢板壁15のフープテンションにより、上述した水圧に抵抗できるため、鋼矢板壁15に大きな剛性を付与する必要はなく、鋼矢板壁15を施工に難渋する支持層40内まで打設する必要がない。このため、従来に比して工費・工期を短縮できる。
また、鋼矢板壁15の上端が堤体10の天端10aと等しい高さ位置にあり、かつ鋼矢板壁15が堤体10の下方に位置する支持層40の上面まで根入れされているので、皿池11側から堤体10を貫通する水みちや皿池11側から堤体10直下の軟弱層30を貫通する水みちの発生を防止できるので、堤体10の浸透破壊を抑止できる。
さらに、支持層40まで鋼矢板壁15を打込む(根入れする)場合は、地盤を打ち砕くクラッシュパイラーなどの特殊な施工機械が必要になるが、支持層40の上面で鋼矢板壁15を打ち止めることで、通常の施工機で施工が可能であり、施工費の抑制が可能となる。
加えて、本実施の形態ではフープテンションを利用するため、鋼矢板壁15は面外への曲げに抵抗する擁壁としてではなく、セル構造として、面内の引張荷重に抵抗する構造形式となるため、堤体10の内部に設置される鋼矢板壁15の曲げ剛性を、従来構造よりも小さくできる。このため、直線鋼矢板によって鋼矢板壁15を形成することができ、材料費の削減を図ることができる。
また、堤体10の内部に堤体10の幅方向に延在する底樋等の構造物25が設けられている場合、鋼矢板壁15を構成する複数の鋼矢板16のうち、構造物25の上方に位置する鋼矢板16の下端部が構造物25まで達していないので、鋼矢板壁15が構造物25に干渉して、当該構造物25が損傷するのを防止できる。
なお、本実施の形態では、鋼矢板壁15を堤体10の幅方向の中央部において1列だけ設けたが、後述する第2の実施の形態のように、鋼矢板壁15を堤体10の幅方向に所定間隔離間して、2列またはそれ以上設けてもよい。この場合、堤体10の幅方向に隣り合う鋼矢板壁どうしはタイロッド等の連結部材によって連結するのが好ましい。
(第2の実施の形態)
図5は第2の実施の形態に係る堤体の補強構造を模式的に示す概略図である。
第2の実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、平面視において皿池11が内側に食い込む異形のリング状に形成され、それに伴って鋼矢板壁15が内側に食い込む異形のリング状に形成されている点および鋼矢板壁15は堤体10の下方に位置する支持層40に根入れされている点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と共通部分には同一符号を付してその説明を省略する場合もある。
図5に示すように、本実施の形態では、平面視において、皿池11は内側に食い込む異形のリング状に形成されている。具体的には、皿池11は平面視において楕円形の周方向の約1/4の部分が内側に大きく食い込んだものとなっており、この食い込んだ部分では、堤体10が平面視において2つの直線状に形成されている。したがって、平面視において堤体10は、略3/4楕円形リング状に形成された曲線部分10Kと2本の直線部分10L,10Lとによって構成されている。
そして、このような皿池11を囲むようにして鋼矢板壁15が連続的に設置されているとともに、これら鋼矢板壁15は堤体10の内部に設置されている。また、鋼矢板壁15は堤体10の幅方向に所定間隔離間して、2列設けられている。2列の鋼矢板壁15,15は堤体10の天端10aの法肩より内側において上方から打設されている。そして、鋼矢板壁15は、堤体10の下方に位置する軟弱層30を貫通して、当該軟弱層30の下方に位置する支持層40に根入れされている。つまり、鋼矢板壁15の下端は支持層40の上面から所定深さだけ支持層40内に打設されている。
さらに、2列の鋼矢板壁15,15の上端部どうしは堤体10の延在方向に所定間隔で複数設けられたタイロッド等の連結部材18によって連結されている。
また、平面視において、堤体10が屈曲する場所や、曲率が大きい場所など、例えば、堤体10の曲線部分10Kと直線部分10Lとが繋がる部分では、鋼矢板壁15を構成する鋼矢板16として断面形状を自由に設定できる異形鋼矢板を用いることで、堤体10の平面形状に鋼矢板壁15が適応できるようになっている。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、鋼矢板壁15が皿池11の周囲を囲むようにして連続的に設置されるとともに、鋼矢板壁15が堤体10の内部に設置されているので、当該鋼矢板壁15は堤体10の内部において全周で繋がることになる。したがって、豪雨時などに皿池11の貯水量が増加した際に、堤体10に作用する水圧の増加によって、局部的に堤体10が崩壊し始めようとすると、当該崩壊し始めようとする堤体10の部位の周方向の両側に位置する鋼矢板壁15の部分(平面視における凹凸形状部分)が地盤からの抵抗を受けることで、崩壊し始めた隣接する鋼矢板16が倒壊するのを防ぎ、これによって局所的な堤体10の崩壊を回避できる。
また、鋼矢板壁15は堤体10の下方に位置する支持層40に根入れさているので、堤体10の内部で鋼矢板壁15をより強固に安定させることができる。
なお、本実施の形態では、鋼矢板壁15を堤体10の幅方向に所定間隔離間して、2列設けたがそれ以上設けてもよく、第1の実施の形態のように、鋼矢板壁15を堤体10の幅方向の中央部において1列だけ設けてもよい。
また、本実施の形態では、鋼矢板壁15を異形リング状の堤体10に沿って当該堤体10の内部に設置したが、図5に二点鎖線で示すように、皿池11が平面視において内側に食い込むような形状である場合、この食い込んだ部分に沿って鋼矢板壁15を設置せず、食い込んだ部分の外周側に沿って、内側に食い込まないリング状となるように、鋼矢板壁15を設置してもよい。この場合、第1の実施の形態と同様に、鋼矢板壁15はリング状に形成されるので、鋼矢板壁15のフープテンションにより、水圧に抵抗できるため、鋼矢板壁15に大きな剛性を付与する必要はなく、鋼矢板壁15を施工に難渋する支持層40内まで打設する必要がない。このため、従来に比して工費・工期を短縮できる。また、食い込んだ部分の外周側となる、堤体内部に鋼矢板壁15を設置しない部分においては、鋼矢板壁15の天端高さは、地表面レベルに抑え、周辺環境の景観を損なうことがないようにすることが好ましい。堤体10をより強固に補強するためには、内側に食い込んだ部分にも、鋼矢板壁15を設置してもよい。
10 堤体
10a 天端
11 皿池
15 鋼矢板壁(鋼製壁)
25 構造物
30 軟弱層
40 支持層

Claims (5)

  1. 少なくとも堤体を含む土構造物によって周囲が囲まれた皿池の前記堤体を補強する堤体の補強構造であって、
    鋼製壁が前記皿池の周囲を囲むようにして連続的に設置されるとともに、前記鋼製壁の少なくとも一部は前記堤体の内部に設置されていることを特徴とする堤体の補強構造。
  2. 平面視において前記鋼製壁は内側に食い込まないリング状に形成され、
    前記堤体の内部に設置されている前記鋼製壁は、上端が前記堤体の天端と等しい高さ位置にあり、かつ前記堤体の下方に位置する支持層または岩盤層の上面まで根入れされていることを特徴とする請求項1に記載の堤体の補強構造。
  3. 前記鋼製壁は、直線鋼矢板を複数連結することによって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の堤体の補強構造。
  4. 平面視において前記鋼製壁は内側に食い込む異形のリング状に形成され、
    前記鋼製壁は前記堤体の下方に位置する支持層または岩盤に根入れされていることを特徴とする請求項1に記載の堤体の補強構造。
  5. 前記堤体の内部に前記堤体の幅方向に延在する構造物が設けられ、
    前記鋼製壁の下端の一部は、前記構造物まで達していないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の堤体の補強構造。
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