JP2001317159A - 鋼梁の開口部補強構造 - Google Patents

鋼梁の開口部補強構造

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JP2001317159A
JP2001317159A JP2000134661A JP2000134661A JP2001317159A JP 2001317159 A JP2001317159 A JP 2001317159A JP 2000134661 A JP2000134661 A JP 2000134661A JP 2000134661 A JP2000134661 A JP 2000134661A JP 2001317159 A JP2001317159 A JP 2001317159A
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Toshiro Suzuki
敏郎 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取付けが容易で、材料的な無駄が少なく、開
口部のない鋼梁に近い力学性状を与える、効率的で経済
性に優れた開口部補強構造を提供する。 【解決手段】 ウェブ2の上下にフランジ3を有し、ウ
ェブ2に開口部4を設けた鋼梁1の開口部補強構造であ
る。開口部4周辺を取り囲むように、鋼梁1の材軸と斜
交する斜材からなる補強金具5をウェブ2の表面に止め
付け、開口部4により失われるせん断力負担分Q0 を、
補強金具5の斜材に生ずる軸力P0 で伝達する。このよ
うな補強金具5の斜め方向の軸力P0 を利用した、フラ
ンジ3の変形を拘束しない形での簡単な補強により、開
口部のない鋼梁に近い力学性状を有する補強構造が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、開口部を有する
H形鋼梁など、ウェブの上下にフランジを有し、ウェブ
に開口部を設けた鋼梁の開口部補強構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】配管等を設けるために鋼梁に貫通孔を設
ける場合、従来、鋼梁のウェブにスリーブ鋼管を一体化
し、その周りに補強プレートを溶接するといったことが
行われていた。しかし、スリーブ鋼管を設ける開口部補
強は製作コストが高く付き、取り扱いも不便である。
【0003】これに対し、ウェブの開口部とほぼ同径の
穴を有するリング状の補強プレートを両面から溶接ある
いはボルトにより止め付け、開口部の断面欠損を補う補
強プレート法がある。また、この補強プレート法を発展
させたものとして、特開平7−238635号公報に
は、その補剛性能の向上や取付け作業の容易化を目的と
して、開口部の両面に配置されるリング状の補強プレー
トどうしを開口部の内側でネジ式に接合し、ウェブ開口
部周辺を挟着できるようにしたものが記載されている。
【0004】この他、従来から知られているウェブ開口
部補強法として、ウェブの両面に、開口部の断面欠損と
同量の補強リブ(スチフナー)を上下フランジ間をつな
ぐトラス状に配置する補強トラス法があり、開口部周辺
での応力の伝達を補強リブおよび上下フランジを介して
行う設計となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−23863
5号公報記載のリング状の補強プレートは、実質的に開
口部周辺の板厚を増し、直接的に剛性を上げて断面欠損
分を補おうとするものであるが、溶接で取り付ける場合
もボルトで取り付ける場合も補剛効果が接合状態に左右
されやすい一方、強固に取り付けようとしても逆に複雑
な応力状態により、接合状態や補剛効果における信頼性
が得にくい。
【0006】また、単に板厚を増す形であるため、開口
部周辺で応力状態が不連続となり、補剛効果との関係で
は必要な補剛効果を得るための材料的な無駄も大きくな
る。
【0007】開口部周辺で応力状態が不連続になること
に関しては、従来の補強プレート法においても、補強プ
レートの板厚の制限があり、また、鉄骨のひずみ矯正
上、材端と補強プレートとの間隔を梁せい以上とするこ
とが望ましいとされている。
【0008】また、従来の補強トラス法は、上下フラン
ジとトラスの弦材に相当する補強リブとの間での応力伝
達により開口部周辺の応力低減を図ったものであるが、
補強リブをトラス状に設けた開口部区間で上下フランジ
が拘束され、この部分の力学性状が他の区間と大きく異
なるといった問題や、ウェブとフランジの双方に接合さ
れる補強リブの取り付けが面倒であるといった問題があ
る。
【0009】本願発明は、上述のような従来技術におけ
る課題の解決を図ったものであり、取付けが容易で、材
料的な無駄が少なく、開口部のない鋼梁に近い力学性状
を与える、効率的で経済性に優れた開口部補強構造を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に係る発
明は、ウェブの上下にフランジを有する鋼梁に、配管、
その他の目的で開口部を設けてある場合の開口部補強構
造であって、この開口部周辺を取り囲むように、鋼梁の
材軸と斜交する部材(以下、単に斜材と呼ぶ)からなる
補強金具を鋼梁のウェブ表面に止め付け、開口部により
失われるせん断力負担分を補強金具に生ずる斜め方向の
軸力で、トラス的に伝達するようにしたことを特徴とす
る。なお、この場合、補強金具と鋼梁のウェブとの接合
状態によって、補強金具とその近傍のウェブが協同して
力を伝達することになる。
【0011】補強金具は、複数の斜材(単材)を別個に
取り付けたものでもよいし、例えば菱形あるいは矩形に
成形した一体のものであってもよい。また、補強金具
は、鋼梁を挟み込むように両面に設ける場合と、片面に
のみ設ける場合とが考えられ、また複数の斜材を別個に
取り付ける場合には、両面に別個に取り付けた斜材の組
み合わせで、開口部を取り囲むようにしてもよい。
【0012】ウェブの上部にフランジを有する鋼梁とし
ては、H形鋼梁が最も一般的であるが、これに限定され
ず、例えば溝形鋼からなる梁、複数のH形鋼または溝形
鋼を組み合わせた梁などの場合も同様に適用可能であ
る。
【0013】補強金具の鋼梁ウェブへの取付け方法とし
ては、隅肉溶接、穴溶接などの溶接、ボルト接合などが
考えられる。本願発明では、斜材(一体の補強金具の場
合はその斜め方向に位置する部分)の軸力で力を伝達す
るため、ボルト接合や穴溶接の場合には、ボルトや穴溶
接の接合位置が軸力の方向である斜め方向をつなぐ位置
とする。
【0014】請求項2は、請求項1に係る鋼梁の開口部
補強構造において、補強金具を鋼梁のウェブの片面にの
み止め付けてある場合である。
【0015】開口部により失われるせん断力負担分を補
強金具に生ずる斜め方向の軸力で伝達できるような構造
であれば、前述のように、補強金具は片面のみでもよ
く、それにより現場作業の簡略化が図れる。補強金具を
片面のみ設けるか両面に設けるかは、補強金具によって
得られる補強効果と、現場における施工手間、それにそ
もなうコストなどを考慮して決めればよい。
【0016】請求項3は、請求項1または2に係る鋼梁
の開口部補強構造において、補強金具が、鋼梁のウェブ
部分にのみ止め付けられ、鋼梁のフランジ部分とは切り
離されている場合である。
【0017】本願発明は、開口部により失われるせん断
力負担分を補強金具に生ずる斜め方向の軸力で伝達する
ことで、鋼梁本来の力学性状を変えずに、すなわち、開
口部がない鋼梁と同様の力学性状を与えるように補強し
ようとするものであり、鋼梁のウェブを直接補強するこ
とで、フランジ部分にはほとんど影響を与えない構造が
望ましい。それにより、鋼梁における開口位置の設定
(例えば、材端からの距離の制限など)も、従来の開口
部補強と比較して自由となり、鋼梁材端における塑性変
形機能なども有効に発揮させることができる。
【0018】ただし、例えば菱形の補強金具の上下がフ
ランジに接するような場合は、フランジの変形をあまり
拘束せず、開口部のない鋼梁とあまり変わらない力学性
状を実現できるので、部分的に接していても問題ない。
【0019】また、例えば、補強金具の上下にフランジ
の内側に当接するフランジ状の部分を設けるなどして、
上下フランジ間に嵌め込み、フランジの内側への変形の
み拘束するような構造が考えられる。この場合、補強金
具は、製作が容易な曲げ加工などによるフランジ状部分
の弾性を利用して、鋼梁の上下フランジ間にワンタッチ
で嵌め込むといったことが可能となる。
【0020】本願の上記請求項1〜3に係る鋼梁の開口
部補強構造における補強金具の断面、あるいは補強量に
ついては、例えば、図12を参照して、以下のように考
えることができる。
【0021】ウェブに開口部を設けることにより失われ
るせん断力負担分Q0 は、開口部断面積をA0 (開口部
の径にウェブの板厚を掛け合わせたもの)、せん断降伏
応力度をτy とすると、ほぼ、 Q0 =A0 τy となる。
【0022】このせん断力負担分Q0 を、開口部を囲む
斜め補強材(斜材)からなる補強金具により、トラス的
軸力P0 で受け持つとすれば、斜材角度を材軸方向と4
5°と考えて、P0 =Q0 /21/2 、また、せん断降伏
応力度τy と軸方向降伏応力度σy との関係τy =σy
/31/2 より、 P0 =(1/21/2 )・(1/31/2 )A0 σy ≒0.
4A0 σy となる。すなわち、斜材断面積Ad は、同じ材質とすれ
ばAd =0.4A0 としてよい。
【0023】また、開口部中心位置での欠損断面積A0
を、開口部上下のウェブ部分に補強板を設けて補うとい
う考え方によれば、上下で各0.5A0 であり、さらに
斜材が材軸と略45°方向とおけば、 Ad =0.5A0 /21/2 ≒0.35A0 となる。
【0024】なお、以上の目安値は、せん断力負担分Q
0 を補強金具のみが受け持つとした結果であり、溶接等
により補強材が添接される場合は、それと重なるウェブ
の協同効果(ウェブの一部が応力を分担する)もあり、
さらに小さな断面でもよいと考えられる。
【0025】以上を勘案して、開口部断面積A0 に対
し、補強金具の斜材断面積Ad は、 Ad =0.3A0 〜0.4A0 の範囲とすることが適当である。
【0026】補強金具の曲げ剛性については、溶接によ
り添接する場合には、ウェブと補強金具を一体として考
えればよく、上記斜材断面積Ad の範囲を満たせば、見
付幅が広く、厚さの薄いものでも十分であり、目安とし
ては、開口部全体で失うウェブの曲げ剛性B0 に対し、
2倍程度となる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本願発明の一実施形態と
して、鋼梁1のウェブ2に設けられた円形の開口部4に
対し、開口部4を取り囲むように、4つの斜材からなる
菱形の補強金具5aをウェブ2に添接した場合を示した
もので、課題を解決するための手段の項で、補強金具の
断面について説明するために用いた図12のものに対応
する。
【0028】図12を用いて説明したように、開口部4
を挟む左右のせん断力Qを、開口部4の周りを囲むよう
に補強金具5aを添接し、ウェブ2を含む補強金具5a
の斜材の軸力Pによって伝達する。
【0029】図では、4つの斜材が一体化された補強金
具5aを示しており、溶接等によりウェブ2に簡単に取
り付けることができるが、必ずしも一体の補強金具を用
いる必要はなく、斜材がそれぞれ別個の鋼板からなるも
のであってもよい。
【0030】図2は、本願発明の他の実施形態として、
平鋼からなる補強金具5bをウェブ2面に幅広く添接し
た例である。鋼梁1のウェブ2を挟んで補強金具5bを
両面から当てることで、ウェブ2との一体性を増すこと
ができる。
【0031】勿論、片面での添接も可能である。ウェブ
2面外への曲げ剛性が比較的小さいため、ウェブ2の座
屈が先行する場合は不利となる場合も考えられるが、逆
に、ウェブ2の座屈が生じ難いSRC梁などでの開口補
強では、ウェブ2の面外への突出量が少ないため有利と
なる。
【0032】図3は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、H形鋼梁1の開口部4が複数連続する場合などに
おいて、補強金具5cで開口部4近傍をダブルワーレン
トラス状に囲んだ場合である。
【0033】図示したものは、トラス的な軸力の伝達が
分かりやすい例であるが、必ずしも補強金具を構成する
全ての斜材を連続させる必要はない。また、補強金具に
ついても、個々の斜材が別個に取り付けられるもの、菱
形に一体化したもの、複数の開口部に跨がって一体化し
たものなど、種々の変形例が考えられる。
【0034】図4は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、補強金具5dを構成する平鋼を鋼梁1のウェブ2
面と直交させて添接した場合(図4(b) 参照)である。
【0035】この場合、ウェブ2の片面のみでもウェブ
2面外への曲げ剛性が大きくなるので、ウェブ2のせん
断座屈や、フランジ3の局部座屈に伴うウェブ2の局部
変形等の恐れがある場合に有利である。
【0036】なお、ウェブ2との接触面積が小さくなる
分、補強金具5dとウェブ2との一体性が得難くなるこ
とが考えられるため、図に示すように開口部4の上下位
置に幅広く当接する補助的な平鋼11を追加するなどし
て、一体性を補うこともできる。
【0037】図5は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、梁せいに比べ、開口部4の径が大きい場合や、開
口部が四角の場合の対処方法の一つを示したものであ
る。この例では、補強金具5eの一部として開口部4の
両側に垂直な部材12を設け、緩い角度の上下斜材13
にせん断力を伝達するようにしている。
【0038】図6は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、梁せいに比べ、開口部4の径が大きい場合や、開
口部が四角の場合の対処方法の他の例を示したものであ
る。この例では、補強金具5fの一部として開口部4の
上下に横部材14を設け、斜材15の上部でのずれに抵
抗するようにしている。
【0039】なお、図1〜図6の実施形態において、各
補強金具5a〜5fは一体の金具のように描かれている
が、図1あるいは図3の実施形態の説明において述べた
ように、いずれの場合も一体の金具である必要はなく、
複数の部材を組み合わせたものもでよい。
【0040】図7は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、アングルからなる4本の補強金具5gよって、開
口部4の周辺を取り囲んだ場合を示したものである。こ
の場合、図2の実施形態の場合と比較し鋼梁1のウェブ
2面との接触幅が広がり、かつウェブ2面外への剛性も
確保することができる。
【0041】補強金具5gのウェブ2への止め付けは、
ボルト接合または穴溶接(図中、丸で示している部分)
などによって行うことができる。あるいは、全周隅肉溶
接でもよい。また、同様の形状の一体化した補強金具を
用いることも可能である。
【0042】図8は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、H形鋼梁1の開口部4近傍をウェブ2の両面を使
い、複数のアングル単材からなる補強金具5hを利用し
てダブルワーレン形のトラス腹材を構成した場合であ
る。止め付けは、図7の実施形態の場合と同様、ボル
ト、穴溶接、全周隅肉溶接などが考えられる。
【0043】図9は、本願発明のさらに他の実施形態と
して、4周にフランジ状の立上がり部16を有し、中央
に鋼梁1の開口部4とほぼ同形状の開口部17を形成し
た箱型開口補強金具5iを、H形鋼梁1のウェブ2面に
菱形を形成するように取り付けた場合を示したものであ
る。
【0044】この例は、補強金具5iを鋼梁1のウェブ
2の片面にのみ取り付けているが、もちろん、ウェブ2
を挟み込むように両面に取り付けてもよい。また、図示
した例では、補強金具5iの四隅にボルト穴18を設け
て止め付けることで、4本の斜材を菱形に組んだ場合と
同様の応力伝達を図っている。
【0045】図10は、本願発明のさらに他の実施形態
として、菱形の中央に鋼梁1の開口部4とほぼ同形状の
開口部19を形成した補強金具5jを、H形鋼梁1のウ
ェブ2の表面に菱形を形成するように取り付けた場合を
示したものである。なお、図示した例では、断面欠損を
補う目的で、補強金具5jの上下位置に、さらに補剛板
20を取り付けている。
【0046】補強金具5jの取付け方法としては、ウェ
ブ2に全周隅肉溶接などにより取り付けることで、斜め
方向の力の伝達が行われる。あるいは、図9の実施形態
の場合と同様に菱形の四隅をボルト接合してもよい。
【0047】また、補強金具5jは鋼梁1のウェブ2の
片面または両面に取り付けることができ、片面のみに取
り付ける場合には、必要に応じ開口部4周辺も溶接する
ことでウェブ2との一体性を高めることができる。
【0048】図11は、本願発明のさらに他の実施形態
として、4辺を折り曲げて立上がり部22を形成した箱
型開口補強金具5kを、鋼梁1のウェブ2を挟さむよう
に両側から添接し、ボルトで止め付ける場合を示したも
のである。
【0049】図9の実施形態の場合と同様、せん断力は
ボルト間(図中、ボルト穴21を示す)に生ずる斜め力
で伝達する。図11のものは、鋼梁1のウェブ2を挟
み、さらにフランジ3を補強金具5kの上下で内側から
支える構造のため、鋼梁1の各板厚(ウェブ2やフラン
ジ3の板厚)が薄かったり、局部座屈が生じやすい箇所
には有効である。
【0050】なお、鋼梁1の曲げを負担しないようにす
るため、補強金具5kの周辺は溶接しないこととする。
あるいは、補強金具5kをウェブ2の片面に添接し、開
口部23まわりを溶接し、さらにボルト穴21を大きく
取り、穴溶接してもよい。
【0051】図13は、本願発明の補強金具に関する解
析例のモデルを示したもので、H形鋼H−450×20
0×9×16(σy =314N/mm2 )からなる片持
梁について、せん断スパン比を3(梁長L=135c
m、開口位置C=45cm)、開口径φ=20cmとし
て、せん断曲げ荷重Pを加える。
【0052】開口補強として、材軸と斜め45°方向に
開口部を取り囲むように平鋼を配し、ウェブに添接する
こととし、タイプIはウェブ面に幅広くしたもの、タイ
プIIはウェブ面と垂直方向に広幅面をとったものであ
る。
【0053】図14は、上記タイプIの補強による解析
結果を示したものである。破線の開口梁では材端部フラ
ンジが降伏した後、開口部近傍のウェブがせん断破壊し
て耐力が低下する。
【0054】幅4cm、厚さ0.4cm、0.6cm、
0.8cmの3種類の平鋼からなる補強金具をウェブの
両面から溶接することにより靱性が改善され、無開口梁
の性状にまで回復することが分かる。なお、必要以上に
補強しても性状は変化しない。
【0055】図15は、上記タイプIIの補強による解析
結果を示したものである。見付け幅1.6cmで、奥行
き2cmの補強金具をウェブを挟んで両面から取り付け
たものと、奥行き4cmの補強金具をウェブの片側から
取り付けたものを比較した。
【0056】この結果、片側から取り付けたものは、両
側から取り付けた場合に比べ、ウェブ面からの偏心によ
り若干効果が下がるものの十分に補強の目的は達せられ
ることが分かる。
【0057】図16は、本願発明の補強金具に関する数
値解析によるH形鋼梁の材端部フランジの曲げ降伏型破
壊性状と、開口梁のウェブせん断座屈による破壊性状を
示したもので、(a) は無開口の場合、(b) は開口無補強
の場合、(c) は本願発明による補強を施した場合の図で
ある。
【0058】(b) の開口部を補強しない場合は、開口部
においてウェブせん断座屈による破壊が生ずるのに対
し、補強金具としての斜め補強材を開口部周辺に添接す
ることにより、(c) のように、無開口の(a) と同様のフ
ランジの曲げ降伏型破壊に戻る。
【0059】すなわち、本願発明の補強構造は、梁本来
の性状を変えるものではなく、開口部を設けても無開口
の梁と同じ力学性状に戻すというものである。
【0060】
【発明の効果】本願発明は、鋼梁の開口部周辺を取り囲
むように、鋼梁の材軸と斜交する部材からなる補強金具
をウェブ表面に止め付け、開口部により失われるせん断
力負担分を前記補強金具に生ずる斜め方向の軸力で伝達
するようにしたものであり、簡単な構成の補強金具によ
り、開口部のない鋼梁に近い力学性状を有する補強構造
が得られる。
【0061】また、このことにより、鋼梁における開口
位置の設定なども比較的自由となり、鋼梁材端における
塑性変形機能なども有効に発揮させることができる。
【0062】補強金具の取り付けも、ウェブ面へのボル
ト接合あるいは溶接などで簡単に行うことができ、現場
作業等に要する手間やコストを大幅に削減することがで
きる。
【0063】請求項2は、補強金具を鋼梁のウェブの片
面にのみ止め付けるものであり、同じ補強材量の場合、
両面に設ける場合に比べると補強効果が若干落ちる可能
性があるものの、必要な補強は可能であり、それにより
現場作業の簡略化、コスト低減が図れる。
【0064】請求項3は、補強金具を鋼梁のウェブ部分
にのみ止め付け、鋼梁のフランジ部分とは切り離してい
るものであり、補強金具の影響がフランジ部分に生じ難
いため、開口部がない鋼梁と同様の梁本来の力学性状を
与えるという本願発明の目的に合ったものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】 本願発明の他の実施形態を示したもので、
(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図であ
る。
【図3】 本願発明のさらに他の実施形態を示したもの
で、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図
である。
【図4】 本願発明のさらに他の実施形態を示したもの
で、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図
である。
【図5】 本願発明のさらに他の実施形態を示したもの
で、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図
である。
【図6】 本願発明のさらに他の実施形態を示したもの
で、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図
である。
【図7】 本願発明のさらに他の実施形態を示したもの
で、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図
である。
【図8】 本願発明のさらに他の実施形態を示す正面図
である。
【図9】 本願発明のさらに他の実施形態を示したもの
で、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面図
である。
【図10】 本願発明のさらに他の実施形態を示したも
ので、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面
図である。
【図11】 本願発明のさらに他の実施形態を示したも
ので、(a) は正面図、(b) は開口部中央を通る鉛直断面
図である。
【図12】 図1の実施形態に対応する補強金具の作用
効果に関する説明図である。
【図13】 本願発明の補強金具に関する解析モデルの
説明図である。
【図14】 図13のモデルのタイプIの補強による解
析結果を示したグラフである。
【図15】 図13のモデルのタイプIIの補強による解
析結果を示したグラフである。
【図16】 本願発明の補強金具に関する数値解析によ
るH形鋼梁の材端部フランジの曲げ降伏型破壊性状と、
開口梁のウェブせん断座屈による破壊性状を示したもの
で、(a) は無開口の場合、(b) は開口無補強の場合、
(c) は本願発明による補強を施した場合の図である。
【符号の説明】
1…鋼梁、2…ウェブ、3…フランジ、4…開口部、5
…補強金具、5a〜5k…補強金具

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェブの上下にフランジを有し、前記ウ
    ェブに開口部を設けた鋼梁の開口部補強構造であって、
    前記開口部周辺を取り囲むように、鋼梁の材軸と斜交す
    る部材からなる補強金具を前記ウェブ表面に止め付け、
    前記開口部により失われるせん断力負担分を前記補強金
    具に生ずる斜め方向の軸力で伝達するようにしたことを
    特徴とする鋼梁の開口部補強構造。
  2. 【請求項2】 前記補強金具を、前記鋼梁のウェブの片
    面にのみ止め付けてある請求項1記載の鋼梁の開口部補
    強構造。
  3. 【請求項3】 前記補強金具は、前記鋼梁のウェブ部分
    にのみ止め付けられ、鋼梁のフランジ部分とは切り離さ
    れている請求項1または2記載の鋼梁の開口部補強構
    造。
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