JP2009013332A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなるフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】外観、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性のいずれにも優れているレトルト食品包装用フィルムの材料として好適なポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】極限粘度が2.0(dL/g)以上のプロピレンが主成分である単量体の重合体部分と、プロピレンとエチレンとの共重合体部分からなるプロピレン系共重合体(A)94〜98重量部と、密度が0.920g/cm3以上であるエチレン重合体(B)2〜6重量部とを含有する組成物(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)を、有機過酸化物(C)の存在下で溶融混練して得られ、メルトフローレートが1.5(g/10分)以上であるポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなるフィルムに関するものである。さらに詳しくは外観、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性に優れたレトルト食品包装用フィルムの材料として好適なポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなるフィルムに関するものである。
ポリプロピレンは、剛性、耐熱性、包装適性に優れるため、食品包装、繊維包装などの包装材料の分野で幅広く用いられている。包装材料の特性としては、剛性、耐熱性、低温での耐衝撃性、ヒートシール性や耐ブロッキング性などが求められ、さらに、フィッシュアイが少なく外観に優れることが求められる。
特に、レトルト食品の包装材料には、高温処理が施されるレトルト殺菌に対応できる耐熱性と、低温での使用に対応できる低温での耐衝撃性の両立が求められる。
また、近年は、レトルト食品の包装材料が多様化しており、内容物を確認できることが求められていることから、レトルト食品の包装材料としては、内容物を確認できる透明性に優れたフィルムが用いられている。
例えば、特開平8−169993号公報には、ポリプロピレン1〜95重量%とエチレン含有量10〜90モル%のエチレン−プロピレンランダム共重合体5〜99重量%とからなり、非晶部ゴム粒径が10μm以下である樹脂組成物51〜99重量%と、0.935g/cm3以上の密度を有する高密度ポリエチレン1〜49重量%とからなり、低温衝撃強度と透明性と滑り性とを備えたポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
例えば、特開平10−158463号公報には、特定の特性を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体が96〜99Wt%であり、高密度ポリエチレンが1〜4Wt%からなり、低温での耐衝撃性に優れ、且つ耐ブロッキング性に優れたレトルト用ポリプロピレン系フイルムが記載されている。
例えば、特開平2000−119480号公報には、特定の性状を有するプロピレン−エチレンブロック共重合体と、特定の性状を有するエチレン−αオレフィン共重合体ゴムからなり、低温での耐衝撃性、ヒートシール強度、透明性、耐屈曲白化性、耐熱性等をバランスさせたプロピレン樹脂組成物及びそれを用いて成形したレトルト食品包装フィルムが記載されている。
特開平8−169993号公報 特開平10−158463号公報 特開平2000−119480号
しかし、上記公報等に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物、および、それからなるレトルト食品包装用フィルムにおいても、外観、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性のいずれにも優れているレトルト食品包装用フィルムは、未だ見出されていない。
かかる状況の下、本発明の目的は、外観、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性のいずれにも優れているレトルト食品包装用フィルムの材料として好適なポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなるフィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、極限粘度が2.0(dL/g)以上のプロピレンが主成分である単量体の重合体部分と、プロピレンとエチレンとの共重合体部分からなるプロピレン系共重合体(A)94〜98重量部と、密度が0.920g/cm3以上であるエチレン重合体(B)2〜6重量部とを含有する組成物(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)を、有機過酸化物(C)の存在下で溶融混練して得られ、メルトフローレートが1.5(g/10分)以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。
本発明によれば、外観、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性のいずれにも優れているレトルト食品包装用フィルムの材料として好適なポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなるフィルムを得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系共重合体(A)とエチレン重合体(B)とを含有する組成物を有機過酸化物(C)の存在下で溶融混練して得られるポリプロピレン系樹脂組成物である。
プロピレン系共重合体(A)は、プロピレンが主成分である単量体の重合体部分(以下(A−1部分)という)、とプロピレンとエチレンとの共重合体部分(以下(A−2部分)という)からなる。
(A−1部分)は耐熱性の観点から、融点が160℃以上であるプロピレン単独重合体が好ましい。また、融点が155℃以上であれば、少量のエチレンやブテン−1などが共重合されていても良い。
(A−1部分)の極限粘度は2.0(dL/g)以上である必要がある。極限粘度が2.0(dL/g)未満であると、フィッシュアイが発生し外観が悪化したり、耐ブロッキング性が悪化する場合がある。好ましい極限粘度は2.5(dL/g)以上である。また加工性の観点から3.5(dL/g)以下であることが好ましい。
(A−2部分)のプロピレンとエチレンとの共重合体部分に含まれるエチレンの含有量としては、透明性や低温耐衝撃性の観点から、好ましくは15〜60重量%である(但し、(A−2部分)に含有されるプロピレンの含有量とエチレンの含有量の合計を100重量%とする)。
(A−2部分)の極限粘度は耐ブロッキング性の点から、2.0(dL/g)以上が好ましく、2.5(dL/g)以上が更に好ましい。また外観の点からは4.5(dL/g)以下が好ましい。
プロピレン系共重合体(A)における(A−2部分)の割合は、重合時の生産性や低温耐衝撃性の観点から、7〜50重量%である。(但し、共重合体(A)に含有される(A−1部分)の含有量と、(A−2部分)の含有量の合計を100重量%とする)。
共重合体(A)の製造方法としては、チーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒などを用いて、原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。
共重合体(A)の重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、またはこれらを組み合わせて重合する方法が挙げられる。
共重合体(A)の製造方法として、好ましくは、生産性の観点から、実質的に不活性溶剤の不存在下に、プロピレンが主成分である単量体を重合する第一工程で、(A−1部分)を製造し、次いで、気相中でプロピレンとエチレンを重合する第二工程で、(A−2部分)を製造する方法である。
共重合体(A)の(A−1部分)および(A−2部分)の極限粘度、エチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを適切な量を加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
共重合体(A)の(A−1部分)と(A−2部分)の割合は、プロピレン系共重合体(A)製造時の重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力などにより制御することができる。
本発明で用いられるエチレン重合体(B)は、エチレン単独重合体またはエチレンを主成分とするエチレンα−オレフィン共重合体である。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
エチレン重合体(B)の密度は、0.920g/cm3以上である必要がある。0.920g/cm3未満であると耐ブロッキング性に劣る場合がある。
また、エチレン重合体(B)の190℃でのメルトフローレートは透明性、耐ブロッキング性などの点から好ましくは3.0(g/10分)以上、18(g/10分)以下である。
エチレン重合体(B)として特に好ましくは高圧法低密度ポリエチレンとよばれるものであり、例えば、槽型反応器または管型反応器を用いて、ラジカル発生剤の存在下、重合圧量140〜300MPa、重合温度200〜300℃の条件下でエチレンを重合することによって得られるものである。
この場合、メルトフローレート及び密度を調整する方法としては、例えば分子量調節剤として水素やメタン、エタンなどの炭化水素を用いる方法、α−オレフィンの量を調整する方法などがあげられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系共重合体(A)94〜98重量部と、エチレン重合体(B)2〜6重量部とを含有する樹脂組成物である(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)。好ましくはプロピレン系共重合体(A)が94〜97重量部であり、エチレン重合体(B)が3〜6重量部である。
プロピレン系共重合体(A)が94重量部未満(すなわち、エチレン重合体(B)が6重量部以上)の場合は、耐衝撃性に劣ることがあり、プロピレン系共重合体(A)が98重量部を超える(すなわちエチレン重合体(B)が2重量部未満)の場合には、耐ブロッキング性が不十分なことがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系共重合体(A)とエチレン重合体(B)からなる組成物を有機過酸化物(C)の存在下で溶融混練してなるポリプロピレン系樹脂組成物である。加熱溶融混練を過酸化物の存在下で行う方法によって得られる樹脂組成物が、特に耐ブロッキング性が向上する。
溶融混練に関しては、公知の方法および装置を用いることができる。例えば、プロピレン系共重合体(A)と、エチレン重合体(B)、有機過酸化物(C)、および各種添加剤をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いてあらかじめ混合する方法、定量供給機を用いて、一定の割合でプロピレン系重合体と各種添加剤を連続供給する方法などを用いて均質な混合物を得た後、単軸または二軸以上の多軸押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて加熱溶融混練する方法が挙げられる。
溶融混練温度として好ましくは180℃〜350℃である。
本発明で用いる有機過酸化物(C)としては、従来公知の有機過酸化物が挙げられ、例えば、半減期が1分となる分解温度が120℃以上である有機過酸化物が挙げることができる。
半減期が1分となる分解温度が120℃以上である有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ベルオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルベルオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α−α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
好ましくは、半減期が1分となる分解温度が150℃以上である有機過酸化物である。
有機過酸化物(C)の添加量としては、(A)と(B)とを含有する樹脂組成物100重量部に対して好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.012〜0.1重量部である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートは1.5(g/10分)以上である。1.5(g/10分)以下であると、フィルム加工時の押出負荷が高く、フィルムの生産性に劣る。生産性の点から好ましくは1.8(g/10分)以上である。また、メルトフローレートが3.5(g/10分)以上の樹脂組成物に関して、特に本発明の効果が顕著に見られる。尚、フィッシュアイの面からはメルトフローレートは7.0(g/10分)以下が特に好ましい。
メルトフローレートの制御方法に関しては、プロピレン系共重合体(A)およびエチレン重合体(B)の極限粘度を調整する方法や、溶融混練時の温度、混練力などを調整する方法が挙げられるが、特に好ましくは、有機過酸化物の存在下で加熱溶融混練において、有機過酸化物の量を調整することによりメルトフローレートを制御する方法である。
本発明のポリプロピレン系組成物には、必要に応じて、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、抗ブロッキング剤、造核剤等を添加しても良い。
本発明のポリプロピレン系組成物を、通常工業的に用いられている方法により成形することにより成形物が得られる。例えば、押出成形法、ブロー成形法、射出成形法、圧縮成形法、カレンダ成形法等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系組成物は、特にTダイ成形法、チューブラー成形法などの押出成形法によるフィルム用途に特に好ましく用いられる。特に好ましくは、Tダイ法による未延伸フィルムである。
本発明のフィルムの厚みとして、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは10〜100μmである。また、表面粗さsRaが0.14μm以上であるフィルムが、耐ブロッキング性の面から得に好ましい。表面粗さの制御方法としては、フィルム成形時の押出温度、冷却温度、製膜速度などを調整する方法が挙げられる。
本発明のフィルムには、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施しても良い。
本発明のフィルムの用途として、好ましくは、高温での加熱処理が施されるレトルト食品包装用途である。
また、本発明のフィルムは、複合フィルムの一層としても好適に使用される。複合フィルムは、本発明のフィルムとその他のフィルムからなるフィルムであって、その他のフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、未延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔等が挙げられ、複合フィルムの製造方法としては、ドライラミネート法や押出ラミネート法が挙げられる。
以下、本発明について、実施例および比較例を用いて説明する。なお、発明の詳細な説明および実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)プロピレン系共重合体(A)中の(A−1部分)と(A−2部分)の割合(重量%)
重合時の物質収支から求めた。
(2)極限粘度([η]、単位:dL/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(A−1部分)の極限粘度は、重合槽からの抜き出しサンプルを測定した。また、(A−2部分)部分の極限粘度は下記式より計算をして求めた。
(A−2部分)部分の極限粘度=(((プロピレン系共重合体(A)の極限粘度)×100−((A−1部分)の極限粘度)×((A−1部分)の割合(重量%))))/((A−2部分)の割合(重量%))
(3)エチレン含量(単位:重量%)
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法に従って求めた。
(A−1部分)のエチレン含量は、重合槽からの抜き出しサンプルを測定した。
(A−2部分)のエチレン含量を、次式から計算した。
(A−2部分)部分のエチレン含量=(((プロピレン系共重合体(A)のエチレン含量)×100−((A−1部分)のエチレン含量)×((A−1部分)の割合(重量%))))/((A−2部分)の割合(重量%))
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に準拠して測定した。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。エチレン重合体のMFRは、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
(5)融点(単位:℃)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)を用いて、試片約10mgを窒素雰囲気下で220℃で溶融させた後、急速に150℃まで冷却した。150℃で1分間保持した後、5℃/分の降温速度で50℃まで降温した。その後に50℃で1分保持した後、5℃/分で昇温させて、得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融点(Tm)とした。なお、本測定法を用いて5℃/分の昇温速度で測定したインジウム(In)の融点は、156.6℃であった。
(6)エチレン重合体の密度(単位:g/cm3
JIS K6760に従って測定した。融点100℃以上のものはJIS K6760にあるアニーリングを行った後測定した。
(7)透明性(ヘイズ、単位:%)
JIS K7105に従い測定した。
(8)耐ブロッキング性(単位:Kg/12cm2
150mm×30mmのフィルム(製膜方向と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、フィルム同志を重ねあわせ、40mm×30mmの範囲に500gの荷重をかけ80℃で24時間状態調整を行った。その後、23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度を測定した。
(9)耐衝撃性(単位:Kg・cm/mm)
−15℃において、東洋精機製フィルムインパクトテスターを使用して、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、フィルムの衝撃強度を測定した。
(10)外観評価(フィッシュアイ)
フィルムの目視検査によって、欠点の多少を判断した。100平方センチメートルに、直径が200μm以上であるフィッシュアイを計測した。
(11)表面粗さ
三次元表面粗さ測定器サーフコーダSE−30K(株式会社小坂研究所製)を用いて、フィルムのMD方向に0.2mm/秒の速さでMD:1mm×TD:1mmの範囲を測定した(TD方向のピッチは2μm)。測定結果より中心面平均表面粗さ(sRa)を求めた。
(実施例1)
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度が2.8dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで第二工程で極限粘度が2.8dL/g、エチレン含有量が36重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造した。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の割合は21重量%であった。
得られたプロピレン系共重合体(A)95重量部に、エチレン重合体として、スミカセンL405(住友化学株式会社製、密度=0.924g/cm3、MFR=3.7g/10分)を5重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、ビタミンE0.05重量部、有機過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサン0.019重量部を加え、40mm単軸押出機(VS40−28型:田辺プラスチックス機械社製、フルフライト型スクリュー付き)を用いて270℃で溶融混練して、MFR=1.9(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、50mmTダイ製膜装置(田辺プラスチックス株式会社製V−50−F600型フィルム成型装置、400mm幅Tダイ付き)を用いて、樹脂温度280℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを50℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(実施例2)
実施例1において、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.05重量部に変更し、MFR=4.2(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(実施例3)
実施例1において、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.09重量部に変更し、MFR=8.0(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(実施例4)
実施例1において、エチレン重合体として、G1801(京葉ポリエチレン株式会社製、密度=0.961g/cm3、MFR=7g/10分)を用い、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.025重量部に変更し、MFR=2.4(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例1)
プロピレン系共重合体(A)を100重量部とし、エチレン重合体を用いなかった以外は実施例1と同様に行い、MFR=2.1(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、エチレン重合体として、スミカセンG801(住友化学株式会社製、密度=0.919g/cm、MFR=20g/10分)を用い、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.025重量部に変更し、MFR=2.5(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例3)
実施例1において、プロピレン系共重合体(A)を92重量部とし、エチレン重合体を8重量部とし、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.025重量部に変更し、MFR=2.3(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例4)
実施例1において、エチレン重合体として、スミカセンE、FV401(住友化学株式会社製、密度=0.902g/cm、MFR=4g/10分)を用い、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.025重量部に変更し、MFR=2.0(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例5)
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度が1.8dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで第二工程で極限粘度が3.5dL/g、エチレン含有量が30重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造した。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の割合は22重量%であった。
得られたプロピレン系共重合体(A’)95重量部に、エチレン重合体として、スミカセンL405(住友化学株式会社製、密度=0.924g/cm、MFR=3.7g/10分)を5重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、ビタミンE0.05重量部を加え、40mm単軸押出機(VS40−28型:田辺プラスチックス機械社製、フルフライト型スクリュー付き)を用いて270℃で溶融混練して、MFR=2.2(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例6)
比較例1で得られたポリプロピレン系樹脂組成物95重量部および、エチレン重合体としてスミカセンL405(住友化学株式会社製、密度=0.924g/cm3、MFR=3.7g/10分)5重量部をペレット同士で混合し、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例7)
比較例1において、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.04重量部に変更し、MFR=3.9(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例8)
実施例1において、プロピレン系共重合体(A)を99重量部とし、エチレン重合体を1重量部とし、MFR=2.3(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
(比較例9)
実施例1において、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサンの量を0.01重量部に変更し、MFR=1.2(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様に押出加工を行いフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
Figure 2009013332
本発明の要件を満足する実施例は、透明性、耐ブロッキング性、耐衝撃性および外観評価(フィッシュアイ)のいずれにも優れていることが分かる。
これに対して、エチレン重合体(B)の量が2重量部を下回る比較例1、7、8は耐ブロッキング性に劣り、エチレン重合体(B)の量が6重量部を上回る比較例3は耐衝撃性に劣ることがわかる。
また、エチレン重合体の密度が本発明の要件を満たしていない比較例2および比較例4は耐ブロッキング性に劣り、プロピレン系共重合体(A)の(A−1部分)の極限粘度が本発明の要件を満たしてない比較例5は透明性と外観に劣る事がわかる。
また、ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートが本発明の要件を満たさない比較例9は、耐衝撃性に劣ることがわかる。
さらに、エチレン重合体(B)を有機過酸化物の存在下で溶融混練していない比較例6は耐ブロッキング性に劣ることが分かる。

Claims (4)

  1. 極限粘度が2.0(dL/g)以上のプロピレンが主成分である単量体の重合体部分と、プロピレンとエチレンとの共重合体部分からなるプロピレン系共重合体(A)94〜98重量部と、密度が0.920g/cm3以上であるエチレン重合体(B)2〜6重量部とを含有する組成物(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)を、有機過酸化物(C)の存在下で溶融混練して得られ、メルトフローレートが1.5(g/10分)以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. (A)と(B)とを含有する樹脂組成物100重量部に対し、有機過酸化物(C)の量が0.012〜0.1重量部であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載のポリプロピレン系樹脂組成物を製膜して得られるフィルム。
  4. 表面粗さsRaが0.14μm以上である、請求項3記載のフィルム。
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