JP2023039768A - フィルム、多層フィルム、および、樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性および耐衝撃性に比較的優れたフィルム、多層フィルム、および、樹脂組成物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るフィルムは、少なくとも1種のプロピレン系重合体と、少なくとも1種のエチレン系重合体と、を含有するフィルムであって、MD軸とND軸とを含む断面が連続相と非連続相とからなる海島型の相分離構造を有しており、下記式(1)~(3)を満たす。15≦N2 (1)(式中、N2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相の占める面積の割合(%)を示す。)A1≦0.25 (2)(式中、A1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの面積の平均値(μm2)を示す。)L1≦0.195 (3)(式中、L1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値(μm)を示す。)【選択図】 なし
Description
本発明は、フィルム、多層フィルム、および、樹脂組成物に関する。
食品等を包装するフィルムとして、種々のフィルムが用いられている。斯かるフィルムには、内容物の視認性を確保するため、透明性に優れることが求められている。また、近年、環境負荷低減の観点から、包材の減容化への要望が高まっており、これに伴い、斯かるフィルムの薄膜化が求められている。しかしながら、フィルムを薄膜化すると、加工性を担う剛性、および、内容物の保護を担う耐衝撃性が低下する問題がある。
剛性および耐衝撃性を付与し得るフィルムとして、例えば、特許文献1では、プロピレン系重合体とエチレン系重合体とを含有するフィルムが開示されている。
しかしながら、上記のようなフィルムであっても、剛性および耐衝撃性については改善の余地があり、剛性および耐衝撃性の両方に優れたフィルムが要望されている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、剛性および耐衝撃性に比較的優れたフィルム、多層フィルム、および、樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明に係るフィルムは、少なくとも1種のプロピレン系重合体と、少なくとも1種のエチレン系重合体と、を含有するフィルムであって、MD軸とND軸とを含む断面が連続相と非連続相とからなる海島型の相分離構造を有しており、下記式(1)~(3)を満たす。
15≦N2 (1)
(式中、N2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相の占める面積の割合(%)を示す。)
A1≦0.25 (2)
(式中、A1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの面積の平均値(μm2)を示す。)
L1≦0.195 (3)
(式中、L1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値(μm)を示す。)
15≦N2 (1)
(式中、N2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相の占める面積の割合(%)を示す。)
A1≦0.25 (2)
(式中、A1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの面積の平均値(μm2)を示す。)
L1≦0.195 (3)
(式中、L1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値(μm)を示す。)
本発明に係る多層フィルムは、上述のフィルムを含む。
本発明に係る樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であるプロピレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上5g/10分以下であり、密度が880kg/m3以上910kg/m3以下であるエチレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が910kg/m3超930kg/m3以下であるエチレン系重合体(2)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が930kg/m3超970kg/m3以下であるエチレン系重合体(3)と、を含有する。
本発明によれば、剛性および耐衝撃性に比較的優れたフィルム、多層フィルム、および、樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[フィルム]
本実施形態に係るフィルムは、少なくとも1種のプロピレン系重合体と、少なくとも1種のエチレン系重合体と、を含有する。また、本実施形態に係るフィルムは、MD軸とND軸とを含む断面が連続相と非連続相とからなる海島型の相分離構造を有している。
本実施形態に係るフィルムは、少なくとも1種のプロピレン系重合体と、少なくとも1種のエチレン系重合体と、を含有する。また、本実施形態に係るフィルムは、MD軸とND軸とを含む断面が連続相と非連続相とからなる海島型の相分離構造を有している。
ここで、MD軸とND軸とを含む断面とは、MD方向とND方向の軸によって決定される平面に向きが一致する断面を指す。なお、本明細書においては、製膜方向(巻取り方向)をMD方向、フィルム厚み方向をND方向、MD方向とND方向に垂直な方向をTD方向とする。
また、連続相とは、海島型の相分離構造の海部であり、少なくとも1種のプロピレン系重合体から形成される。また、非連続相とは、海島型の相分離構造の島部であり、少なくとも1種のエチレン系重合体から形成される。
本実施形態に係るフィルムは、下記式(1)を満たし、好ましくは、下記式(1’)を満たす。
15≦N2 (1)
15≦N2≦60 (1’)
15≦N2 (1)
15≦N2≦60 (1’)
式(1)および(1’)中、N2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相の占める面積の割合(%)を示す。
N2は、エチレン系重合体として所定の材料を用いること、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量に対するエチレン系重合体の含有量を調整することにより、上記範囲内に制御することができる。
N2が15%以上であることにより、非連続相の占める面積が増えるため、フィルムが破断する際、その破断面は亀裂が非連続相を経て伝播することで、非直線的で長いものとなる。これにより、大きな衝撃を受けてもフィルムが破断しにくくなる。すなわち、このようなフィルムは、耐衝撃性に優れたものになる。また、N2は、耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは、15%以上60%以下である。
本実施形態に係るフィルムは、下記式(2)を満たし、好ましくは、下記式(2’)を満たす。
A1≦0.25 (2)
0.05≦A1≦0.25 (2’)
A1≦0.25 (2)
0.05≦A1≦0.25 (2’)
式(2)および(2’)中、A1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの面積の平均値(μm2)を示す。
A1は、エチレン系重合体として所定の材料を用いることにより、上記範囲内に制御することができる。
本実施形態に係るフィルムは、下記式(3)を満たし、好ましくは、下記式(3’)を満たす。
L1≦0.195 (3)
0.135≦L1≦0.195 (3’)
L1≦0.195 (3)
0.135≦L1≦0.195 (3’)
式(3)および(3’)中、L1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値(μm)を示す。
L1は、エチレン系重合体として所定の材料を用いることにより、上記範囲内に制御することができる。
A1が0.25μm2以下、かつ、L1が0.195μm以下であることにより、非連続相の大きさが小さくなるため、フィルムが破断する際、その破断面は亀裂が非連続相を経て伝播することで、非直線的で長いものとなる。これにより、大きな衝撃を受けてもフィルムが破断しにくくなる。すなわち、このようなフィルムは、耐衝撃性に優れたものになる。また、A1が0.25μm2以下、かつ、L1が0.195μm以下であることにより、軟質で変形しやすい非連続相の大きさが小さくなるため、強い力で引っ張ってもフィルムが伸張しにくくなる。すなわち、このようなフィルムは、剛性に優れたものとなる。
A1は、耐衝撃性および剛性を向上させる観点から、好ましくは、0.05μm2以上0.25μm2以下である。また、L1は、耐衝撃性および剛性を向上させる観点から、好ましくは、0.135μm以上0.195μm以下である。
本実施形態に係るフィルムは、好ましくは、下記式(4)を満たし、より好ましくは、下記式(4’)を満たす。
160≦N1 (4)
160≦N1≦400 (4’)
160≦N1 (4)
160≦N1≦400 (4’)
式(4)および(4’)中、N1は、MD軸とND軸とを含む断面100μm2に含まれる非連続相の個数(個/100μm2)を示す。
N1は、エチレン系重合体として所定の材料を用いること、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量に対するエチレン系重合体の含有量を調整することにより、上記範囲内に制御することができる。
N1が160個/100μm2以上であることにより、非連続相の個数が増えるため、フィルムが破断する際、その破断面は亀裂が非連続相を経て伝播することで、非直線的で長いものとなる。これにより、大きな衝撃を受けてもフィルムがより破断しにくくなる。すなわち、このようなフィルムは、耐衝撃性により優れたものになる。また、N1が400個/100μm2以下であることにより、軟質で変形しやすい非連続相の個数が減るため、強い力で引っ張ってもフィルムがより伸張しにくくなる。すなわち、このようなフィルムは、剛性により優れたものになる。
本実施形態に係るフィルムは、好ましくは、下記式(5)を満たし、より好ましくは、下記式(5’)を満たす。
L2≦0.075 (5)
0.050≦L2≦0.075 (5’)
L2≦0.075 (5)
0.050≦L2≦0.075 (5’)
式(5)および(5’)中、L2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの短軸長さの平均値(μm)を示す。なお、短軸長さとは、非連続層1つ当たりの等価楕円における短軸の長さを言う。
L2は、エチレン系重合体として所定の材料を用いることにより、上記範囲内に制御することができる。
L2が0.075μm以下であることにより、非連続相の短軸の長さが短くなるため、フィルム内部を進行する光に対して与える影響(反射、散乱、屈折等)が小さくなる。これにより、光が透過しやすくなる。すなわち、このようなフィルムは、ヘーズの値が比較的小さいものであるため、透明性に優れたものになる。また、L2は、透明性を良好にする観点から、好ましくは、0.050μm以上0.075μm以下である。
N2、A1、L1およびL2は、フィルムのMD軸とND軸とを含む断面(例えば、206.9μm2)を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影し、撮影された画像を解析することにより算出することができる。また、N1は、フィルムのMD軸とND軸とを含む断面(例えば、206.9μm2)を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影し、撮影された画像を解析することにより該断面に含まれる非連続相の個数(N0)を算出した後、例えば、2.069でN0を除することにより得ることができる。
本実施形態に係るフィルムは、剛性および耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であるプロピレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上5g/10分以下であり、密度が880kg/m3以上910kg/m3以下であるエチレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が910kg/m3超930kg/m3以下であるエチレン系重合体(2)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が930kg/m3超970kg/m3以下であるエチレン系重合体(3)と、を含有する。
<プロピレン系重合体(1)>
プロピレン系重合体(1)は、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超含む重合体であり、すなわち、プロピレン単独重合体、または、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超含むプロピレン系共重合体である。プロピレン系共重合体に含まれるプロピレン以外の構造単位としては、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位が挙げられる。
プロピレン系重合体(1)は、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超含む重合体であり、すなわち、プロピレン単独重合体、または、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超含むプロピレン系共重合体である。プロピレン系共重合体に含まれるプロピレン以外の構造単位としては、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位が挙げられる。
プロピレン系共重合体としては、プロピレン系ランダム共重合体が挙げられる。プロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-α-オレフィン三元共重合体等が挙げられる。
炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等が挙げられる。好ましくは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンまたは1-オクテンであり、より好ましくは、共重合特性、経済性等の観点から、1-ブテンまたは1-ヘキセンであり、さらに好ましくは、1-ブテンである。
プロピレン系重合体(1)は、好ましくは、プロピレン単独重合体またはプロピレン系ランダム共重合体であり、より好ましくは、プロピレン単独重合体またはプロピレン-エチレンランダム共重合体である。なお、本実施形態に係るフィルムは、プロピレン系重合体(1)を1種のみ含んでもよく、構造単位の種類や含有量の異なるプロピレン系重合体(1)を2種以上含んでもよい。
プロピレン系重合体(1)がプロピレン-エチレンランダム共重合体である場合、エチレンに由来する構造単位を、通常、0.1質量%以上20質量%以下含み、好ましくは、0.5質量%以上10質量%以下含み、より好ましくは、0.5質量%以上6質量%以下含み、さらに好ましくは、2質量%以上6質量%以下含む。
プロピレン系重合体(1)がプロピレン-エチレン-α-オレフィン三元共重合体である場合、エチレンに由来する構造単位を、通常、0.1質量%以上20質量%以下含み、好ましくは、0.5質量%以上10質量%以下含み、より好ましくは、0.5質量%以上5質量%以下含み、さらに好ましくは、0.5質量%以上3質量%以下含む。また、α-オレフィンに由来する構造単位を、通常、0.1質量%以上20質量%以下含み、好ましくは、0.5質量%以上10質量%以下含み、より好ましくは、1質量%以上10質量%以下含み、さらに好ましくは、3質量%以上10質量%以下含む。
プロピレン系重合体(1)の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは、120℃以上170℃以下であり、より好ましくは、130℃以上170℃以下である。なお、融点は、示差走査熱量計を用いて測定される融解吸熱カーブの最大ピークの温度である。
プロピレン系重合体(1)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、0.1g/10分以上20g/10分以下であり、好ましくは、0.1g/10分以上10g/10分以下であり、さらに好ましくは、3g/10分以上10g/10分以下である。なお、プロピレン系重合体のMFRは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って測定される。
プロピレン系重合体(1)の製造方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒またはメタロセン触媒の存在下、プロピレンを単独重合する方法、および、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとを共重合する方法が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせて用いる触媒が挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4族~第6族の遷移金属化合物と助触媒成分とを組み合わせて用いる触媒が挙げられる。
重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒中で行われるスラリー重合法および溶液重合法、並びに、溶媒の不存在下に行われる液相重合法および気相重合法が挙げられる。
プロピレン系重合体(1)の製造において、残留溶媒、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、生成したプロピレン系重合体が融解する温度以下の温度で、プロピレン系重合体の乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号、特許第2565753号公報に記載された方法が挙げられる。
プロピレン系重合体(1)は、プロピレン系重合体(1)を構成する成分を二段階以上の多段階で重合して得られるプロピレン系多段重合体であってもよい。プロピレン系多段重合体を構成する成分の組合せは、プロピレン単独重合体成分同士であってもよいし、プロピレン単独重合体成分およびプロピレン系共重合体成分であってもよいし、プロピレン系共重合体成分同士であってもよい。少なくとも2種のプロピレン系重合体成分を多段階で重合する場合、プロピレン系多段重合体は、少なくとも2種のプロピレン系重合体成分を含有するプロピレン系重合体組成物である。
プロピレン系多段重合体は、好ましくは、プロピレンに由来する構造単位を90質量%以上含む重合体成分(A)、並びに、プロピレンに由来する構造単位と、エチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される1種以上に由来する構造単位と、を含む共重合体成分(B)を含む。重合体成分(A)は、好ましくは、プロピレン単独重合体成分である。共重合体成分(B)は、好ましくは、プロピレン系共重合体成分である。
重合体成分(A)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、90質量%以上100質量%以下であり、好ましくは95質量%以上100質量%以下である。共重合体成分(B)に含まれるエチレンに由来する構造単位の含有量は、通常、10質量%以上50質量%以下であり、好ましくは、15質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは、20質量%以上40質量%以下である。プロピレン系多段重合体に含まれる共重合体成分(B)の含有量は、通常、7質量%以上70質量%以下であり、好ましくは、10質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは、10質量%以上40質量%以下である。
本実施形態に係るフィルムがプロピレン系重合体(1)を2種以上含有する場合、前記フィルムは、好ましくは、プロピレン単独重合体とプロピレン系ランダム共重合体を含有する。他の形態として、前記フィルムは、少なくとも1種のプロピレン系重合体(1)としてプロピレン単独重合体またはプロピレン系ランダム共重合体を含有し、少なくとももう1種のプロピレン系重合体(1)としてプロピレン系多段重合体を含んでいてもよいし、少なくとも1種のプロピレン系重合体(1)としてプロピレン単独重合体を含有し、少なくとももう1種のプロピレン系重合体(1)としてプロピレン系多段重合体を含んでいてもよい。
<エチレン系重合体(1)~(3)>
エチレン系重合体(1)~(3)は、エチレンに由来する構造単位を50質量%超含む重合体であり、すなわち、エチレン単独重合体、または、エチレンに由来する構造単位を50質量%超含むエチレン系共重合体である。エチレン系共重合体に含まれるエチレン以外の構造単位としては、プロピレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位が挙げられる。
エチレン系重合体(1)~(3)は、エチレンに由来する構造単位を50質量%超含む重合体であり、すなわち、エチレン単独重合体、または、エチレンに由来する構造単位を50質量%超含むエチレン系共重合体である。エチレン系共重合体に含まれるエチレン以外の構造単位としては、プロピレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位が挙げられる。
炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられ、これらの中でも、好ましくは、炭素原子数4~6のα-オレフィンであり、より好ましくは、1-ヘキセンである。炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位は、1種単独のα-オレフィンに由来する構造単位であっても、2種類以上のα-オレフィンに由来する構造単位であってもよい。
エチレン系共重合体におけるエチレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは、70質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは、75質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは、80質量%以上95質量%以下である。
エチレン系重合体(1)は、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、0.1g/10分以上5g/10分以下であり、好ましくは、0.1g/10分以上4g/10分以下である。また、エチレン系重合体(1)の密度は、880kg/m3以上910kg/m3以下であり、好ましくは、900kg/m3以上910kg/m3以下である。
エチレン系重合体(2)は、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、1g/10分以上20g/10分以下であり、好ましくは、2g/10分以上20g/10分以下である。また、エチレン系重合体(2)の密度は、910kg/m3超930kg/m3以下であり、好ましくは、910kg/m3超922kg/m3以下である。
エチレン系重合体(3)は、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、0.1g/10分以上20g/10分以下であり、好ましくは、2g/10分以上20g/10分以下である。また、エチレン系重合体(3)の密度は、930kg/m3超970kg/m3以下であり、好ましくは、930kg/m3超960kg/m3以下である。
なお、エチレン系重合体(1)~(3)の密度は、JIS K7112-1980に規定されたA法に従って測定される。また、エチレン系重合体(1)~(3)のMFRは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って測定される。
エチレン系重合体(1)~(3)は、例えば、メタロセン触媒を用いて製造することができる。メタロセン触媒としては、例えば、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を持つ遷移金属化合物(以下、「メタロセン系遷移金属化合物」と記載することがある。)を用いてなるオレフィン重合用触媒である。
メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、式 MLaXn-a(式中、Mは元素の周期律表の第4族またはランタナイド系列の遷移金属原子である。Lはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも一つはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。Xはハロゲン原子、水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基である。nは遷移金属原子の原子価を表し、aは0<a≦nを満足する整数である)で表される化合物が挙げられる。
上記の式で表されるメタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、ビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-n-プロピルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
上記のメタロセン系遷移金属化合物は、活性化助触媒と接触させて用いることが好ましい。活性化助触媒としては、例えば、アルモキサン化合物や、有機アルミニウム化合物とトリチルボレート、アニリニウムボレート等のホウ素化合物とを併用してなる活性化助触媒が挙げられる。また、SiO2、Al2O3等の無機担体、エチレン、スチレン等の重合体等の有機担体を含む粒子状担体と組み合わせて用いても良い。
本実施形態に係るフィルムにおいて、プロピレン系重合体(1)の含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、50質量%以上84質量%以下であり、より好ましくは、50質量%以上79質量%以下である。また、エチレン系重合体(1)~(3)の合計含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、16質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは、21質量%以上50質量%以下である。エチレン系重合体(1)~(3)の合計含有量が、50質量%以下であることにより、前記フィルムは透明性により優れたものになる。
より詳しくは、エチレン系重合体(1)の含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、1質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは、1質量%以上29質量%以下である。エチレン系重合体(2)の含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、1質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは、1質量%以上19質量%以下である。エチレン系重合体(3)の含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは、0.01質量%以上9質量%以下である。
本実施形態に係るフィルムにおいて、プロピレン系重合体(1)を2種以上含有し、少なくとも1種のプロピレン系重合体(1)がプロピレン単独重合体であり、少なくとももう1種のプロピレン系重合体(1)がプロピレン系ランダム共重合体である場合、プロピレン系重合体(1)の合計含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、50質量%以上84質量%以下であり、より好ましくは、50質量%以上79質量%以下である。また、プロピレン単独重合体の含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、50質量%以上84質量%以下であり、より好ましくは、50質量%以上79質量%以下である。さらに、エチレン系重合体(1)~(3)の合計含有量は、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の合計量を100質量%として、好ましくは、16質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは、21質量%以上50質量%以下である。
本実施形態に係るフィルムは、フィルム製膜前に、プロピレン系重合体(1)とエチレン系重合体(1)~(3)とを溶融混練して作製したペレットを用いて製膜してもよく、プロピレン系重合体(1)およびエチレン系重合体(1)~(3)をそれぞれペレットの状態で溶融させずに混合するペレットブレンドによって作製された混合物を用いて製膜してもよい。プロピレン系重合体(1)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。溶融混練をする場合、溶融混練する方法としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の多軸押出機、ロール混練機、ニーダー、ブラベンダープラストグラフまたはバンバリーミキサーを用いて、プロピレン系重合体(1)とエチレン系重合体(1)~(3)とを加熱溶融して混練する方法が挙げられ、これらの中でも、単軸押出機、二軸押出機等の多軸押出機を用いることが好ましい。
上記の溶融混練時における温度は、好ましくは、180℃以上350℃以下であり、より好ましくは、180℃以上320℃以下である。
本実施形態に係るフィルムは、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、1分子中にフェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。その他の樹脂としては、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体やスチレン-イソプレン-スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
本実施形態に係るフィルムは、例えば、プロピレン系重合体(1)、エチレン系重合体(1)~(3)、並びに、必要に応じて各種添加剤を溶融混練して形成することができる。
溶融混練を行う方法としては、従来公知の方法及び装置を用いて行うことができる。例えば、上記の各材料を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。または、定量供給機を用いて、一定の割合で、上記の各材料をそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法が挙げられる。
溶融混練温度は、好ましくは、190℃以上320℃以下であり、より好ましくは、210℃以上280℃以下である。
このようにして形成されたフィルムの厚さは、好ましくは、10μm以上100μm以下であり、より好ましくは、10μm以上50μm以下である。
本実施形態に係るフィルムは、シーラントフィルムとして用いることができる。
[多層フィルム]
本実施形態に係る多層フィルムは、上述のフィルムを含む。例えば、前記多層フィルムは、上述のフィルムと、例えば、基材フィルム等の他のフィルムと、が積層された多層フィルムであってもよい。基材フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエステル系樹脂、二軸延伸ポリアミド系樹脂、二軸ポリオレフィン系樹脂等を用いたフィルムが挙げられる。
本実施形態に係る多層フィルムは、上述のフィルムを含む。例えば、前記多層フィルムは、上述のフィルムと、例えば、基材フィルム等の他のフィルムと、が積層された多層フィルムであってもよい。基材フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエステル系樹脂、二軸延伸ポリアミド系樹脂、二軸ポリオレフィン系樹脂等を用いたフィルムが挙げられる。
多層フィルムを製造する方法としては、公知のフィルム製造方法が挙げられ、例えば、Tダイ法、チューブラー法等が挙げられ、好ましくはTダイ法である。
各フィルムを積層させる方法としては、複数の押出機からダイ内に流入した溶融樹脂をダイ内で層状に組み合わせるフィードブロック式ダイを用いる方法と、複数の押出機からダイ内に流入した溶融樹脂が別々のマニホールドに送り込まれてダイのリップ部直前で層状に組み合わせるマルチマニホールド式ダイを用いる方法がある。
本実施形態に係る多層フィルムは、本実施形態に係るフィルムをシーラントフィルムとして用いて、基材フィルムと積層した場合、シーラントフィルムの厚さは、多層フィルムの厚さを100%として、好ましくは、10%以上30%以下であり、より好ましくは、15%以上30%以下であり、さらに好ましくは、15%以上25%以下である。また、基材フィルムの厚さは、多層フィルムの厚さを100%として、好ましくは、70%以上90%以下であり、より好ましくは、70%以上85%以下であり、さらに好ましくは、75%以上85%以下である。前記多層フィルムは、シーラントフィルムおよび基材フィルムの厚さが上記の範囲であることで、基材フィルムとシーラントフィルムとの間の剥離が発生しにくくなると共に、ヒートシール強度と落袋強度に優れたものとなり、また、該多層フィルムが加熱された際、表面に凹凸(ゆず肌)が生じにくくなる。
多層フィルムの厚さは、好ましくは、5μm以上500μm以下であり、より好ましくは、30μm以上150μm以下である。
多層フィルムの用途としては、包装用途が挙げられる。具体的には、食品、繊維、雑貨等の包装用途が挙げられる。また、多層フィルムは、包装袋を形成する材料として用いられてもよい。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であるプロピレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上5g/10分以下であり、密度が880kg/m3以上910kg/m3以下であるエチレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が910kg/m3超930kg/m3以下であるエチレン系重合体(2)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が930kg/m3超970kg/m3以下であるエチレン系重合体(3)と、を含有する。すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、上述のフィルムを構成する樹脂組成物である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であるプロピレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上5g/10分以下であり、密度が880kg/m3以上910kg/m3以下であるエチレン系重合体(1)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が910kg/m3超930kg/m3以下であるエチレン系重合体(2)と、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が930kg/m3超970kg/m3以下であるエチレン系重合体(3)と、を含有する。すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、上述のフィルムを構成する樹脂組成物である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは、1g/10分以上30g/10分以下であり、より好ましくは、2g/10分以上30g/10分以下であり、さらに好ましくは、2g/10分以上25g/10分以下である。メルトフローレートを調整する方法としては、例えば、樹脂組成物に含まれるプロピレン系重合体(1)またはエチレン系重合体(1)~(3)のメルトフローレートを調整する方法、有機過酸化物の存在下でプロピレン系重合体(1)とエチレン系重合体(1)~(3)とを溶融混練することによって樹脂組成物を調整する方法等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキソナン等が挙げられる。
なお、本実施形態に係るフィルム、多層フィルム、および、樹脂組成物は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記以外の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく、上記の1つの実施形態に係る構成や方法等を上記の他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
なお、プロピレン系重合体組成物におけるプロピレン系重合体の含有量は、それぞれの重合時の物質収支から得られたものである。
<プロピレン系重合体組成物を構成するプロピレン-エチレン共重合体におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)>
まず、必要に応じて、プロピレン系重合体組成物を構成するプロピレン系重合体成分(A)が得られた時点で、プロピレン系重合体成分(A)のIRスペクトル測定を行い、プロピレン系重合体成分(A)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)を求めた。
次に、プロピレン系重合体組成物のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従って、プロピレン系重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)を求めた。
そして、以下の式(11)により、プロピレン系重合体成分(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)を求めた。
EB=(ET×100-EA×Pa)/Pb (11)
(式中、EBは、プロピレン系重合体成分(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を示す。ETは、プロピレン系重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を示す。Paは、プロピレン系重合体組成物におけるプロピレン系重合体成分(A)の含有量を示す。Pbは、プロピレン系重合体成分におけるプロピレン系重合体成分(B)の含有量を示す。EAは、プロピレン系重合体成分(A)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を示す。)
まず、必要に応じて、プロピレン系重合体組成物を構成するプロピレン系重合体成分(A)が得られた時点で、プロピレン系重合体成分(A)のIRスペクトル測定を行い、プロピレン系重合体成分(A)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)を求めた。
次に、プロピレン系重合体組成物のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従って、プロピレン系重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)を求めた。
そして、以下の式(11)により、プロピレン系重合体成分(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:質量%)を求めた。
EB=(ET×100-EA×Pa)/Pb (11)
(式中、EBは、プロピレン系重合体成分(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を示す。ETは、プロピレン系重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を示す。Paは、プロピレン系重合体組成物におけるプロピレン系重合体成分(A)の含有量を示す。Pbは、プロピレン系重合体成分におけるプロピレン系重合体成分(B)の含有量を示す。EAは、プロピレン系重合体成分(A)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を示す。)
<融点(Tm、単位:℃)>
示差走査熱量計(ティーエイインスツルメント社製 Discovery DSC 250)を用いて、重合体約5mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)、230℃の条件で溶融させ、5分間保持し、5℃/分の降温速度で0℃まで降温した。次に、0℃で5分保持し、5℃/分の昇温速度で昇温させて、230℃まで測定した。得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融解温度(Tm)とした。
なお、同じ示差走査熱量計を用いて、インジウム(In)約5mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)、110℃で2分間保持し、5℃/分の昇温速度で昇温させて180℃まで測定し、得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融解温度(Tm)としたところ、156.6℃であった。
示差走査熱量計(ティーエイインスツルメント社製 Discovery DSC 250)を用いて、重合体約5mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)、230℃の条件で溶融させ、5分間保持し、5℃/分の降温速度で0℃まで降温した。次に、0℃で5分保持し、5℃/分の昇温速度で昇温させて、230℃まで測定した。得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融解温度(Tm)とした。
なお、同じ示差走査熱量計を用いて、インジウム(In)約5mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)、110℃で2分間保持し、5℃/分の昇温速度で昇温させて180℃まで測定し、得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融解温度(Tm)としたところ、156.6℃であった。
<メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)>
プロピレン系重合体およびプロピレン系重合体組成物のメルトフローレートは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
エチレン系重合体のメルトフローレートは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
プロピレン系重合体およびプロピレン系重合体組成物のメルトフローレートは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
エチレン系重合体のメルトフローレートは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
<エチレン系重合体の密度(単位:kg/m3)>
エチレン系重合体の密度は、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った。
エチレン系重合体の密度は、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った。
<透過型電子顕微鏡>
フィルムを樹脂に包埋し、次いで、四酸化ルテニウム水溶液で染色した後、クライオミクロトームでフィルムのMD軸とND軸とを含む断面を切り出し、厚さ200nm以下の超薄片サンプルを作成した。超薄片サンプルを観察用メッシュに載せた後、透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、H-7650)で加速電圧100kV、観察倍率20,000倍の条件で、後述の画像解析の手順2)で選択する領域が含まれる画像1を撮影した。一例として、実施例2および比較例1のフィルムにおけるTEM像を、それぞれ図1および図2に示す。
フィルムを樹脂に包埋し、次いで、四酸化ルテニウム水溶液で染色した後、クライオミクロトームでフィルムのMD軸とND軸とを含む断面を切り出し、厚さ200nm以下の超薄片サンプルを作成した。超薄片サンプルを観察用メッシュに載せた後、透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、H-7650)で加速電圧100kV、観察倍率20,000倍の条件で、後述の画像解析の手順2)で選択する領域が含まれる画像1を撮影した。一例として、実施例2および比較例1のフィルムにおけるTEM像を、それぞれ図1および図2に示す。
<画像解析>
撮影された画像を解析して、以下の手順6)の処理が終わった時点の黒色部分を海島型の相分離構造の連続相、白色部分を海島型の相分離構造の非連続相と判定した。また、MD軸とND軸とを含む断面100μm2に含まれる非連続相の個数:N1、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相の占める面積の割合:N2(単位:%)、非連続相1つ当たりの面積の平均値:A1(単位:μm2)、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値:L1(単位:μm)、および、非連続相1つ当たりの短軸長さの平均値:L2(単位:μm)を算出した。解析は、画像解析ソフトウェア『NS2K-Pro』(ナノシステム社製)を用いた。撮影された画像の解析は、以下の手順に従って行った。
撮影された画像を解析して、以下の手順6)の処理が終わった時点の黒色部分を海島型の相分離構造の連続相、白色部分を海島型の相分離構造の非連続相と判定した。また、MD軸とND軸とを含む断面100μm2に含まれる非連続相の個数:N1、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相の占める面積の割合:N2(単位:%)、非連続相1つ当たりの面積の平均値:A1(単位:μm2)、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値:L1(単位:μm)、および、非連続相1つ当たりの短軸長さの平均値:L2(単位:μm)を算出した。解析は、画像解析ソフトウェア『NS2K-Pro』(ナノシステム社製)を用いた。撮影された画像の解析は、以下の手順に従って行った。
1)画像1を開き、『スケール』を選択し、『スケール設定(画像から)』を実行して、スケールを適切に設定する。
2)『領域設定』を選択し、『角型』を実行して、フィルム内部の範囲のMD方向に15.94μm、ND方向に12.98μmの長さとなる長方形の領域を選択する。
3)『色抽出』を選択し、『モノクロ変換』を実行する。
4)『2値化』を選択し、『判別分析法(9分割)』を実行する。
5)『2値処理』を選択し、『白黒反転』を実行する。
6)『2値処理』を選択し、『特徴量による画像の選択』を選択し、『面積』を選択し、『8近傍』を実行して、0.001μm2以下のノイズ画像を除去する。
7)『計測』を選択し、『面積』を実行して計算した、MD軸とND軸とを含む断面206.9μm2に含まれる非連続相の個数:N0、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相の占める面積の割合:N2(単位:%)、非連続相1つ当たりの面積の平均値:A1(単位:μm2)を算出した。そして、以下の式(12)により、MD軸とND軸とを含む断面100μm2に含まれる非連続相の個数N1(単位:個/100μm2)を求めた。
N1=N0/2.069 (12)
8)『計測』を選択し、『円相当径』を実行して、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値:L1(単位:μm)を算出した。
9)『計測』を選択し、『短軸長さ』を実行して、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相1つ当たりの短軸長さの平均値:L2(単位:μm)を算出した。
2)『領域設定』を選択し、『角型』を実行して、フィルム内部の範囲のMD方向に15.94μm、ND方向に12.98μmの長さとなる長方形の領域を選択する。
3)『色抽出』を選択し、『モノクロ変換』を実行する。
4)『2値化』を選択し、『判別分析法(9分割)』を実行する。
5)『2値処理』を選択し、『白黒反転』を実行する。
6)『2値処理』を選択し、『特徴量による画像の選択』を選択し、『面積』を選択し、『8近傍』を実行して、0.001μm2以下のノイズ画像を除去する。
7)『計測』を選択し、『面積』を実行して計算した、MD軸とND軸とを含む断面206.9μm2に含まれる非連続相の個数:N0、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相の占める面積の割合:N2(単位:%)、非連続相1つ当たりの面積の平均値:A1(単位:μm2)を算出した。そして、以下の式(12)により、MD軸とND軸とを含む断面100μm2に含まれる非連続相の個数N1(単位:個/100μm2)を求めた。
N1=N0/2.069 (12)
8)『計測』を選択し、『円相当径』を実行して、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値:L1(単位:μm)を算出した。
9)『計測』を選択し、『短軸長さ』を実行して、MD軸とND軸とを含む断面(206.9μm2)において、非連続相1つ当たりの短軸長さの平均値:L2(単位:μm)を算出した。
<MD方向のヤング率(単位:MPa)>
フィルムから、長さ120mm(MD方向)、幅20mm(TD方向)の試験片を採取した。採取した試験片を、株式会社エー・アンド・デイ製卓上引張試験機を用いて、チャック間隔60mm、引張速度5mm/分の条件で、S-S曲線(応力-歪み曲線)をとり、MD方向の初期弾性率(MD方向のヤング率)を測定した。
フィルムから、長さ120mm(MD方向)、幅20mm(TD方向)の試験片を採取した。採取した試験片を、株式会社エー・アンド・デイ製卓上引張試験機を用いて、チャック間隔60mm、引張速度5mm/分の条件で、S-S曲線(応力-歪み曲線)をとり、MD方向の初期弾性率(MD方向のヤング率)を測定した。
<振子インパクト強度(単位:kJ/m)>
フィルムから、長さ2,000mm(MD方向)、幅100mm(TD方向)の試験片を採取した。採取した試験片を恒温槽付フィルムインパクトテスタ(株式会社東洋精機製作所)を用いて、15mmΦ半円球衝撃頭、恒温槽温度0℃の条件で、振子衝撃強さ(振子インパクト強度)を測定した。
フィルムから、長さ2,000mm(MD方向)、幅100mm(TD方向)の試験片を採取した。採取した試験片を恒温槽付フィルムインパクトテスタ(株式会社東洋精機製作所)を用いて、15mmΦ半円球衝撃頭、恒温槽温度0℃の条件で、振子衝撃強さ(振子インパクト強度)を測定した。
<ヘーズ(単位:%)>
フィルムから、長さ50mm(MD方向)、幅50mm(TD方向)の試験片を採取した。採取した試験片を、ヘイズメーターNDH2000(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K7105に従い測定した。
フィルムから、長さ50mm(MD方向)、幅50mm(TD方向)の試験片を採取した。採取した試験片を、ヘイズメーターNDH2000(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K7105に従い測定した。
実施例および比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
[エチレン系重合体(E1)]
エチレン-1-ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV402(商品名)(住友化学社製)を用いた。スミカセンE FV402の190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は913kg/m3であった。
エチレン-1-ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV402(商品名)(住友化学社製)を用いた。スミカセンE FV402の190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は913kg/m3であった。
[エチレン系重合体(E2)]
エチレン-1-ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV103(商品名)(住友化学社製)を用いた。スミカセンE FV103の190℃で測定したメルトフローレートは1.2g/10分であり、密度は903kg/m3であった。
エチレン-1-ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV103(商品名)(住友化学社製)を用いた。スミカセンE FV103の190℃で測定したメルトフローレートは1.2g/10分であり、密度は903kg/m3であった。
[エチレン系重合体(E3)]
エチレン-1-ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV405(商品名)(住友化学社製)を用いた。スミカセンE FV405の190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は923kg/m3であった。
エチレン-1-ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV405(商品名)(住友化学社製)を用いた。スミカセンE FV405の190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は923kg/m3であった。
[エチレン系重合体(E4)]
エチレン-プロピレン共重合体であるG1900(商品名)(京葉ポリエチ社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは17g/分であり、密度は956kg/m3であった
エチレン-プロピレン共重合体であるG1900(商品名)(京葉ポリエチ社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは17g/分であり、密度は956kg/m3であった
[プロピレン系重合体組成物(PP1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体であるプロピレン系重合体(P1)を得た。得られたプロピレン系重合体(P1)のメルトフローレートは2g/10分であり、融点は164℃であった。得られたプロピレン系重合体(P1)100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.09質量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.05質量部を混合した後、溶融混練して、プロピレン系重合体組成物(PP1)を得た。プロピレン系重合体組成物(PP1)のメルトフローレートは2.5g/10分であった。プロピレン系重合体組成物(PP1)に含まれる成分を表1に示す。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体であるプロピレン系重合体(P1)を得た。得られたプロピレン系重合体(P1)のメルトフローレートは2g/10分であり、融点は164℃であった。得られたプロピレン系重合体(P1)100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.09質量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.05質量部を混合した後、溶融混練して、プロピレン系重合体組成物(PP1)を得た。プロピレン系重合体組成物(PP1)のメルトフローレートは2.5g/10分であった。プロピレン系重合体組成物(PP1)に含まれる成分を表1に示す。
[プロピレン系重合体(P2)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン-エチレン共重合体であるプロピレン系重合体(P2)を得た。得られたプロピレン系重合体(P2)は、エチレンに由来する構造単位の含有量が4質量%であり、メルトフローレートは6g/10分であり、融点は142℃であった。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン-エチレン共重合体であるプロピレン系重合体(P2)を得た。得られたプロピレン系重合体(P2)は、エチレンに由来する構造単位の含有量が4質量%であり、メルトフローレートは6g/10分であり、融点は142℃であった。
[プロピレン系重合体組成物(PP3)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体であるプロピレン系重合体(P3)を得た。得られたプロピレン系重合体(P3)のメルトフローレートは7g/10分であり、融点は163℃であった。得られたプロピレン系重合体(P3)100質量部に対して、エチレン系重合体(E4)0.25質量部、プロピレン系重合体(P2)0.20質量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業社製)0.04重量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.10質量部、水酸化カルシウム0.005質量部、サイリシア550(富士シリシア化学株式会社製)0.1質量部、エルカ酸アミド(日本精化株式会社製)0.10質量部を混合した後、溶融混練して、プロピレン系重合体組成物(PP3)を得た。プロピレン系重合体組成物(PP3)のメルトフローレートは7g/10分であった。プロピレン系重合体組成物(PP3)に含まれる成分を表2に示す。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体であるプロピレン系重合体(P3)を得た。得られたプロピレン系重合体(P3)のメルトフローレートは7g/10分であり、融点は163℃であった。得られたプロピレン系重合体(P3)100質量部に対して、エチレン系重合体(E4)0.25質量部、プロピレン系重合体(P2)0.20質量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業社製)0.04重量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.10質量部、水酸化カルシウム0.005質量部、サイリシア550(富士シリシア化学株式会社製)0.1質量部、エルカ酸アミド(日本精化株式会社製)0.10質量部を混合した後、溶融混練して、プロピレン系重合体組成物(PP3)を得た。プロピレン系重合体組成物(PP3)のメルトフローレートは7g/10分であった。プロピレン系重合体組成物(PP3)に含まれる成分を表2に示す。
[プロピレン系重合体組成物(PP4)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン単独重合体であるプロピレン系重合体(P4-1)とプロピレン-エチレン共重合体であるプロピレン系重合体(P4-2)からなるプロピレン系多段重合体を得た。得られたプロピレン系多段重合体は、プロピレン系重合体(P4-1)の含有量が84質量%であり、プロピレン系重合体(P4-2)の含有量が16質量%であり、プロピレン系重合体(P4-2)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が40質量%であった。得られたプロピレン系多段重合体100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業製)0.01質量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.10質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.10質量部、エルカ酸アミド(日本精化株式会社製)0.10質量部を混合した後、溶融混練して、プロピレン系重合体組成物(PP4)を得た。プロピレン系重合体組成物(PP4)のメルトフローレートは7g/10分であった。プロピレン系重合体組成物(PP4)に含まれる成分を表3に示す。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン単独重合体であるプロピレン系重合体(P4-1)とプロピレン-エチレン共重合体であるプロピレン系重合体(P4-2)からなるプロピレン系多段重合体を得た。得られたプロピレン系多段重合体は、プロピレン系重合体(P4-1)の含有量が84質量%であり、プロピレン系重合体(P4-2)の含有量が16質量%であり、プロピレン系重合体(P4-2)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が40質量%であった。得られたプロピレン系多段重合体100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業製)0.01質量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.10質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.10質量部、エルカ酸アミド(日本精化株式会社製)0.10質量部を混合した後、溶融混練して、プロピレン系重合体組成物(PP4)を得た。プロピレン系重合体組成物(PP4)のメルトフローレートは7g/10分であった。プロピレン系重合体組成物(PP4)に含まれる成分を表3に示す。
[実施例1]
プロピレン系重合体組成物(PP3)75質量%とエチレン系重合体(E1)10質量%とエチレン系重合体(E2)15質量%とをペレットブレンドした。得られた混合物を1台の押出機で溶融混練した後、Tダイ(ダイ幅400mm、リップ開度0.8mm)に導入して、ダイ温度250℃で溶融押出を行った。押し出された溶融膜を、30m/分で回転する冷却温度40℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムは透過型電子顕微鏡で撮影した画像の解析から、連続相と非連続相とからなる海島構造を有していた。フィルムに含まれる重合体成分を表4に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP3)75質量%とエチレン系重合体(E1)10質量%とエチレン系重合体(E2)15質量%とをペレットブレンドした。得られた混合物を1台の押出機で溶融混練した後、Tダイ(ダイ幅400mm、リップ開度0.8mm)に導入して、ダイ温度250℃で溶融押出を行った。押し出された溶融膜を、30m/分で回転する冷却温度40℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムは透過型電子顕微鏡で撮影した画像の解析から、連続相と非連続相とからなる海島構造を有していた。フィルムに含まれる重合体成分を表4に示す。
得られたフィルムに対して、透過型電子顕微鏡で撮影した画像の解析と、ヤング率測定と、振子インパクト強度測定を行った。結果を表5に示す。
[実施例2]
プロピレン系重合体組成物(PP3)75質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とエチレン系重合体(E2)10質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、単層フィルムを作製し、評価した。結果を表4および5に示す。なお、図1に示すように、得られたフィルムは海島構造を有していて、島部である非連続相の占める面積が比較的大きく、かつ、非連続相1つ当たりの大きさが比較的小さい。
プロピレン系重合体組成物(PP3)75質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とエチレン系重合体(E2)10質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、単層フィルムを作製し、評価した。結果を表4および5に示す。なお、図1に示すように、得られたフィルムは海島構造を有していて、島部である非連続相の占める面積が比較的大きく、かつ、非連続相1つ当たりの大きさが比較的小さい。
[実施例3]
プロピレン系重合体組成物(PP3)70質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とエチレン系重合体(E2)15質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP3)70質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とエチレン系重合体(E2)15質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
[比較例1]
プロピレン系重合体組成物(PP4)70質量%とエチレン系重合体(E2)20質量%とエチレン系重合体(E4)10質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。結果を表4および5に示す。なお、図2に示すように、得られたフィルムは海島構造を有していて、島部である非連続相の占める面積が比較的小さく、かつ、非連続相1つ当たりの大きさが比較的大きい。
プロピレン系重合体組成物(PP4)70質量%とエチレン系重合体(E2)20質量%とエチレン系重合体(E4)10質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。結果を表4および5に示す。なお、図2に示すように、得られたフィルムは海島構造を有していて、島部である非連続相の占める面積が比較的小さく、かつ、非連続相1つ当たりの大きさが比較的大きい。
[比較例2]
プロピレン系重合体組成物(PP4)70質量%とエチレン系重合体(E3)20質量%とエチレン系重合体(E4)10質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP4)70質量%とエチレン系重合体(E3)20質量%とエチレン系重合体(E4)10質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
[比較例3]
プロピレン系重合体組成物(PP3)85質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP3)85質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
[比較例4]
プロピレン系重合体組成物(PP3)70質量%とエチレン系重合体(E2)30質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP3)70質量%とエチレン系重合体(E2)30質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
[比較例5]
プロピレン系重合体組成物(PP3)80質量%とエチレン系重合体(E2)20質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP3)80質量%とエチレン系重合体(E2)20質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
[比較例6]
プロピレン系重合体組成物(PP1)85質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
プロピレン系重合体組成物(PP1)85質量%とエチレン系重合体(E1)15質量%とをペレットブレンドして得られた混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、評価した。得られたフィルムは海島構造を有していた。結果を表4および5に示す。
表5の結果から分かるように、本発明の構成要件をすべて満たす各実施例のフィルムは、各比較例のフィルムと比較して、ヤング率が高いことから剛性に優れ、かつ、振子インパクト強度が高いことから耐衝撃性に優れる。また、各実施例のフィルムは、ヘーズの値が小さいことから透明性に優れる。
Claims (13)
- 少なくとも1種のプロピレン系重合体と、少なくとも1種のエチレン系重合体と、を含有するフィルムであって、
MD軸とND軸とを含む断面が連続相と非連続相とからなる海島型の相分離構造を有しており、
下記式(1)~(3)を満たす、フィルム。
15≦N2 (1)
(式中、N2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相の占める面積の割合(%)を示す。)
A1≦0.25 (2)
(式中、A1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの面積の平均値(μm2)を示す。)
L1≦0.195 (3)
(式中、L1は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの円相当径の平均値(μm)を示す。) - 下記式(1’)を満たす、請求項1に記載のフィルム。
15≦N2≦60 (1’)
(式中、N2は前記と同じ意味を示す。) - 下記式(2’)を満たす、請求項1または2に記載のフィルム。
0.05≦A1≦0.25 (2’)
(式中、A1は前記と同じ意味を示す。) - 下記式(3’)を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
0.135≦L1≦0.195 (3’)
(式中、L1は前記と同じ意味を示す。) - 下記式(4)をさらに満たす、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
160≦N1 (4)
(式中、N1は、MD軸とND軸とを含む断面100μm2に含まれる非連続相の個数(個/100μm2)を示す。) - 下記式(4’)を満たす、請求項5に記載のフィルム。
160≦N1≦400 (4’)
(式中、N1は前記と同じ意味を示す。) - 下記式(5)をさらに満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
L2≦0.075 (5)
(式中、L2は、MD軸とND軸とを含む断面において、非連続相1つ当たりの短軸長さの平均値(μm)を示す。) - 下記式(5’)を満たす、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
0.050≦L2≦0.075 (5’)
(式中、L2は前記と同じ意味を示す。) - 温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であるプロピレン系重合体(1)と、
温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上5g/10分以下であり、密度が880kg/m3以上910kg/m3以下であるエチレン系重合体(1)と、
温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が910kg/m3超930kg/m3以下であるエチレン系重合体(2)と、
温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が930kg/m3超970kg/m3以下であるエチレン系重合体(3)と、を含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。 - 前記エチレン系重合体(2)のメルトフローレートが2g/10分以上20g/10分以下である、請求項9に記載のフィルム。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルムを含む、多層フィルム。
- 温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であるプロピレン系重合体(1)と、
温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上5g/10分以下であり、密度が880kg/m3以上910kg/m3以下であるエチレン系重合体(1)と、
温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が910kg/m3超930kg/m3以下であるエチレン系重合体(2)と、
温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分以下であり、密度が930kg/m3超970kg/m3以下であるエチレン系重合体(3)と、を含有する、樹脂組成物。 - 前記エチレン系重合体(2)のメルトフローレートが2g/10分以上20g/10分以下である、請求項12に記載の樹脂組成物。
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