JP2020186413A - 熱可塑性樹脂組成物およびこれから得られる成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびこれから得られる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形の際表面平滑性に優れ、さらに機械強度および耐熱性を保持した成形体を提供すること。【解決手段】特定要件を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、特定要件を満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物およびそれらからなる成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、引張特性、耐熱性、表面外観のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成およびそれからなる成形体に関するものである。より詳しくは、4−メチル−1−ペンテンから得られる特定の重合体を含んでなる樹脂組成物に関する。
プロピレン系重合体と4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる熱可塑性樹脂組成物は公知であり、プロピレン系重合体の欠点である耐熱性を補い、4−メチル−1−ペンテン系重合体の欠点である加工性を補うことのできる組成物として注目されてきた。特許文献1には、4−メチル−1−ペンテンポリマーとポリプロピレンの特定比率のブレンド物をスピーカー用振動板として用いる技術が開示されている。しかし、4−メチル−1−ペンテンポリマーとポリプロピレンからなる二成分系組成物を用いて製造した、スピーカー用振動板においては、4−メチル−1−ペンテンポリマーとポリプロピレンの相溶性が十分でなく、その結果として相分離を起こし成形体表面の外観を悪化させる場合があった。
特許文献2や3には、4−メチル−1−ペンテンポリマーとポリプロピレンからなるブレンド体における両成分の相溶性を改良するために、相溶化剤としての1−ブテン系重合体を添加して表面外観を向上させる方法が開示されている。しかし、この方法であっても成形体が用いられる用途によっては外観は未だ不十分であり、プロピレン系重合体と4−メチル−1−ペンテン系重合体が備える優れた固有性能を生かしつつ、外観に優れた組成物及びこれから得られる成形体の開発が産業界から求められている。
特公平2−34520号公報 特開2004−238469号公報 特開2015−120331号公報
本発明者らによる予備的な検討においても、4−メチル−1−ペンテンポリマーとポリプロピレンからなる二成分系組成物の耐熱性についてはほぼ要求レベルに達することがあったとしても、両成分が十分に相溶しないことが原因で表面平滑性が悪くなったり、破断伸びなど機械強度が十分に発現しにくくなる傾向にあることを確認している(後掲する、本願明細書実施例参照のこと)。換言すれば、4−メチル−1−ペンテンポリマーが固有に持つ優れた耐熱性と、プロピレン系重合体が持つ良加工性と汎用性が共に生かされ、なおかつ機械特性と表面外観に優れた組成物についてはこれまで知られていなかったのである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、4−メチル−1−ペンテンポリマーとポリプロピレンからなる二成分系組成物に、4−メチル−1−ペンテン起因の骨格とプロピレン起因の骨格を共に含む特定の共重合体からなる相溶化剤を添加することによって上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明の主旨は次の通りである。
[1]下記要件(A−a)および(A−b)を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、
下記要件(C−a)〜(C−e)を同時に満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i] 100〜90モル%と、
炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii] 0〜10モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(A−b)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある。
(C−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i] 92〜60モル%と、
炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii] 8〜40モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(C−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gの範囲にある。
(C−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にある。
(C−d)密度が825〜860kg/m3の範囲にある。
(C−e)DSCで測定した融点(Tm)が観測されないか、又は160℃未満の範囲にある。
[2]4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)中の、炭素数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii]が、プロピレンから導かれる構成単位[ii’]である[1]に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
[3]4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)が、下記要件(C−f)と(C−g)を共に満たす[1]または[2]に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
(C−f)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]が80〜60モル%であり、
炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii]が20〜40モル%である(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(C−g)DSCで測定した融点(Tm)が観測されない。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を含んでなる成形体。
[5]フィルムである前記[4]に記載の成形体。
[6]繊維である前記[4]に記載の成形体。
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物は、引張特性、耐熱性、表面外観のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成であり、これからなる成形体はフィルム、繊維などの様々な用途で有用である。
実施例8で得られたフィラメント表面のSEM写真である。 実施例8で得られたフィラメント断面のTEM写真である。 比較例5で得られたフィラメント表面のSEM写真である。 比較例5で得られたフィラメント断面のTEM写真である。
以下、本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物について詳説する。
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物は、特定要件を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、特定要件を満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる組成物である。以下、該組成物を構成する各成分(A)、(B)および(C)について説明する。
≪4−メチル−1−ペンテン重合体(A)≫
重合体(A)は、以下の要件(A−a)および(A−b)を満たす。
要件(A−a):重合体(A)における4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位[i]の含有率は90モル%以上100モル%以下、好ましくは95モル%以上100モル%以下であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位[ii]の含有率は0モル%以上10モル%以下、好ましくは0モル%以上5モル%以下である(ただし、構成単位[i]および構成単位[ii]含有率の合計を100モル%とする。)。
重合体(A)における構成単位[i]の含有率が90モル%以上であることにより、組成物としての耐熱性が優れるという利点、及びフィルム用途の成形体においてはハンドリング性が良く、また弾性率に優れるという利点がある。
構成単位[ii]を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。構成単位[ii]を形成するα−オレフィンとしては、組成物に適度な弾性率と柔軟性、可とう性を付与するという観点から、炭素数8以上18以下のオレフィン(たとえば1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン及び1−オクタデセンン)が好ましい。
重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位[i]及び4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンに由来する構成単位[ii]以外のその他の構成単位[iii]を含んでいてもよい。その他の構成単位の含有率は、たとえば0〜10モル%である(ただし、構成単位[i]、[ii]および[iii]の合計含有率を100モル%とする)。
その他の構成単位[iii]を形成するモノマーの具体例としては、後述する共重合体(C)に含まれ得るその他の構成単位を形成するモノマーの具体例等と同様である。
なお、重合体(A)における各構成単位の含有率(モル%)の値は、後述する共重合体(C)と同様に、13C−NMRを用いた測定法によって得られたものである。
要件(A−b):重合体(A)のDSCで測定される融点(以下の説明では、単にDSC融点と表記する場合がある)(Tm)は、200〜250℃、好ましくは200℃〜245℃、より好ましくは200℃〜240℃の範囲にある。重合体(A)のDSC融点(Tm)が上記範囲にあることにより、上記範囲よりも高い場合に比べて、組成物は適度な弾性率を有し、上記範囲よりも低い場合に比べて耐熱性が良好である。
重合体(A)のDSC融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K7121に準拠して下記の方法により測定される値である。
約5mgの重合体(A)を、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に室温で密封し、室温から10℃/分の速度で200℃まで加熱する。重合体(A)を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/分の速度で−50℃まで冷却する。この冷却過程でピークが観測される温度を結晶化温度(Tc)とする。−50℃で5分間保持した後、10℃/分の速度で200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でピークが観測される温度を重合体(A)のDSC融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
本発明に係る重合体(A)は、上記要件(A−a)および(A−b)に加えて、下記要件(A−c)または(A−d)のいずれかを満たし、好ましくは両要件を満たす。
要件(A−c):重合体(A)の結晶化温度(Tc)は、150〜220℃、好ましくは180℃〜220℃、より好ましくは190℃〜220℃の範囲にある。重合体(A)の結晶化温度(Tc)が上記範囲にあることにより、上記範囲よりも高い場合に比べて組成物が適度な柔軟性を有するためクラックが入りにくく、上記範囲よりも低い場合に比べて剛性と結晶化度を高めることができる。
要件(A−d):重合体(A)の、デカリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度[η]は、1.0〜4.0dl/gであり、好ましくは1.0dl/g〜3.5dl/gであり、より好ましくは1.0dl/g〜3.0dl/gである。重合体(A)の極限粘度[η]が上記範囲内であると、低分子量体が少ないため、組成物をフィルム成形した場合のべたつきが少なくなり、また、押出ラミネート法による積層フィルム等の成形が可能となる。
重合体(A)の極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用い、下記の方法により測定される値である。
20mgの重合体(A)をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液を、デカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)とする(下記の式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
要件(A−e):重合体(A)のJIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定される密度は、820〜850kg/m3であり、好ましくは825〜845kg/m3であり、より好ましくは830〜840kg/m3である。密度が前記範囲であることにより、前記範囲よりも小さい場合に比べて組成物の機械的な強度が高く、前記範囲よりも大きい場合に比べて組成物の衝撃強度が高くなる傾向がある。
重合体(A)は、上記要件(A−a)〜(A−e)に加えて、下記要件(A−f)または(A−g)のいずれかを満たし、好ましくは両要件を満たす。
要件(A−f):重合体(A)の、ASTM D1238に準拠して260℃、5.0kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、後述する共重合体(B)と押出機内で混ざりやすく、共押出できる範囲であれば特に規定されないが、通常、0.5g/10min〜200g/10minであり、より好ましくは1g/10min〜150g/10min、さらに好ましくは1g/10min〜100g/10minである。MFRが上記範囲であれば、組成物を比較的均一な膜厚に押出成形しやすい。
要件(A−g):重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜7.0であり、好ましくは2.0〜6.0である。なお、重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、実施例記載の方法により算出される値である。
重合体(A)は、アイソタクチック構造を有する重合体、シンジオタクチック構造を有する重合体のいずれであってもよいが、特にアイソタクチック構造を有する重合体が好ましく、また入手も容易である。さらに、重合体(A)は、組成物が所望の性能を発現する限り、立体規則性は特に制限されない。
重合体(A)は、オレフィン類を重合して製造してもよく、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を、熱分解して製造してもよい。また重合体(A)は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、あるいは沸点の差で分取する分子蒸留などの方法で精製されていてもよい。
≪プロピレン重合体(B)≫
本発明におけるポリプロピレン(B)はプロピレンを主体とする公知の重合体であり、そのような例としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのプロピレン・α−オレフィン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、又はこれらの混合物)等を挙げることができる。プロピレン重合体(B)としてはアイソタクチックプロピレン重合体、シンジオタクチックプロピレン重合体が好適に用いられ、前者の立体規則性を示すアイソタクチックメソペンダッド分率(mmmm)または後者の立体規則性を示すシンジオタクチックメソペンダッド分率(rrrr)は90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、93%以上であることがさらに好ましい。立体規則性が高いと、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械特性を付与することができる。
プロピレン重合体(B)として、プロピレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、該重合体におけるα−オレフィン起因骨格含量は、5質量%以下であることが好ましい。また、プロピレン・α−オレフィン共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、核剤(結晶化核剤)を含んでいても良い。核剤としては、特に限定されず、各種無機化合物、各種カルボン酸又はその金属塩、ジベンジリデンソルビトール系化合物、アリールフォスフェート系化合物、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と脂肪族モノカルボン酸アルカリ金属塩又は塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物、各種高分子化合物等のα晶核剤等が挙げられる。これらの結晶化核剤は単独の材料でも使用でき、また二種以上の材料を併用することもできる。
上記ポリプロピレン(B)のMFRは、JIS K7210に準じて測定できる。具体的には、温度230℃、荷重2.16kg荷重の測定条件で、0.5〜50g/10分であることが好ましく、1〜15g/10分であることがより好ましく、2〜10g/10分であることがさらに好ましい。プロピレン系重合体のMFRが前記範囲にあると、押出成形に好適である。
ポリプロピレン(B)に含まれる重合触媒残渣等に起因する灰分は、本発明の組成物をフィルム用途に用いた場合の微小異物(フィッシュアイ)量を低減する視点から、可能な限り少ないことが好ましく、通常50ppm以下である。より好ましくは、40ppm以下である。50ppm以下とすることにより、微小異物・欠点が顕著に低減され、成形フィルムを電子部品用途に用いた際の汚染を低減できる。
≪4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)≫
共重合体(C)は、以下の要件(C−a)〜(C−e)を同時に満たす。
要件(C−a):共重合体(C)は、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位[i]を60〜92モル%の割合で、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位[ii]を8〜40モル%の割合で有する。(ただし、構成単位[i]の含有率および構成単位[ii]の含有率の合計を100モル%とする。)
構成単位[i]の含有率は、好ましくは60〜90モル%であり、より好ましくは62〜85モル%であり、特に好ましくは65〜85モルである。
構成単位[i]の含有率が60モル%以上であることにより、組成物の応力緩和性が向上する。
構成単位[ii]の含有率(構成単位[ii]が2種以上である場合は当該2種以上の合計の含有率)は、好ましくは10〜40モル%であり、より好ましくは15〜38モル%であり、特に好ましくは15〜35モル%である。
共重合体(C)における構成単位[ii]の含有率が8モル%以上であることにより、得られる組成物における4−メチル−1−ペンテン共重合体とポリプロピレン共重合体との相溶性及び加工性と柔軟性に優れる。
構成単位[ii]の含有率が40モル%未満であることにより、組成物の4−メチル−1−ペンテン共重合体とポリプロピレン共重合体との相溶性が向上する。
構成単位[ii]を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンとしては、組成物の機械特性と耐熱性の観点および入手容易性の点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンが好ましく、炭素原子数2〜4のα−オレフィン、すなわちエチレン、プロピレン、1−ブテンが更に好ましく、プロピレンが特に好ましい。すなわち、共重合体(C)は4−メチル−1−ペンテン起因の骨格[i]と、プロピレン起因の骨格[ii’]からなることが好ましい。
また、上記α−オレフィンが上記好ましい範囲であると、得られる積層体の耐衝撃性も向上する。
構成単位[ii]を形成するα−オレフィンとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。併用する場合は、少なくても1種はプロピレンとすることが望ましい。
共重合体(C)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位[i]及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位[ii]以外のその他の構成単位[iii]を含んでいてもよい。その他の構成単位[iii]の含有率は、たとえば0〜10モル%である(ただし、構成単位[i]、[ii]および[iii]の含有率の合計を100モル%とする。)。
上記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン等が含まれる。
共重合体(C)における各構成単位の含有率(モル%)は、下記の条件で13C−NMRによる測定法によって得られたものである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
要件(C−b):共重合体(C)の、デカリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度
[η]は、1.0〜4.0dl/gであり、好ましくは1.1〜3.5dl/gであり、より好ましくは1.2〜3.5dl/gである。共重合体(C)の極限粘度[η]が上記範囲内であると、低分子量体が少ないため、組成物のべたつきが少なくなり、成形性が向上する。
共重合体(C)の極限粘度[η]は、前記重合体(A)の極限粘度[η]と同様の方法で測定される値である。
要件(C−c):共重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、組成物のべたつき防止、及び外観の観点から、1.0〜3.5であり、好ましくは1.1〜3.0である。
共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は、組成物の成形性の観点から、好ましくは1×104〜2×106であり、より好ましくは1×104〜1×106である。
なお、共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、実施例記載の方法により算出される値である。
要件(C−d):共重合体(C)のJIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定される密度は、ハンドリング性の観点から、830〜860kg/m3であり、好ましくは830〜850kg/m3である。
要件(C−e):共重合体(C)の融点(Tm)は、観察されないか、又は160℃未満、好ましくは観察されないか、又は110〜155℃の範囲、より好ましくは観測されないか、又は115〜150℃の範囲にあり、特に好ましくは融点(Tm)が観測されない。
共重合体(C)の融点(Tm)は、前記重合体(A)の融点(Tm)と同様の方法により測定される値である。
共重合体(C)は上記要件(C−a)〜(C−e)に加えて、好ましくは下記要件(C−f)を満たす。
要件(C−f):共重合体(C)の、ASTM D1238に準拠して230℃で2.16kgの荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、組成物の成形時の流動性の観点から、好ましくは0.1〜100g/10minであり、より好ましくは0.5〜50g/10minであり、さらに好ましくは0.5〜30g/10minである。
共重合体(C)は、従来知られているメタロセン触媒系により、例えば、国際公開第2005/121192号、国際公開第2011/055803号、国際公開第2014/050817等に記載された方法そのもの、或いは重合体性状の特定項目を変更するために当業者が通常行う範囲内での製造条件変更によって容易に調製することができる。
≪4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物≫
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物は、前記した各成分を前記した濃度範囲で公知の方法を用いてブレンド・混練することによって製造できる。公知の製造方法として、たとえば、多段重合法、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を挙げることができる。
≪成形体≫
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物を含む成形体、は、例えば押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、スタンピング成形、真空成形、カレンダー成形、フィラメント成形、発泡成形、パウダースラッシュ成形などの公知の熱成形方法により得られる。また、本発明の成形体は、本発明に係る共重合体、共重合体組成物および変性体を適宜組み合せても製造できる。
以下に具体的に成形体を説明する。
成形体は、押出成形、射出成形、溶液流延等の一次成形で得た成形品を、さらにブロー成形、延伸などの方法で加工した成形品であることも好ましい。たとえば、成形品がフィルム状またはシート状である場合には、Tダイ押出成形法などによりシート状に成形して得た成形品を、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸して得たものであることも好ましい。上記の用途としては、高い融点であることを生かしたフィルム用途が好ましい。
押出成形する際には、従来公知の押出装置および成形条件を採用することができ、たとえば単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用いて、溶融した共重合体または組成物を特定のダイスなどから押出すことにより所望の形状に成形することができる。
延伸フィルムは、上記のような押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などの公知の延伸方法により延伸して得ることができる。
シートまたは未延伸フィルムを延伸する際の延伸倍率は、二軸延伸の場合には通常20〜70倍程度、また一軸延伸の場合には通常2〜10倍程度である。延伸によって、厚み5〜200μm程度の延伸フィルムを得ることが望ましい。
また、フィルム状成形体として、インフレーションフィルムを製造することもできる。インフレーション成形時にはドローダウンを生じにくい。
ブロー成形体は、従来公知のブロー成形装置を用いて、公知の条件を採用して製造することができる。この場合、得られたブロー成形体は多層成形体であっても良く、本発明にかかる共重合体、共重合体組成物または変性体を少なくとも1層含有している。
たとえば、押出ブロー成形では、樹脂温度100℃〜300℃の溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度130℃〜300℃で金型に着装することにより中空成形体を製造することができる。延伸(ブロー)倍率は、横方向に1.5〜5倍程度であることが望ましい。
また、射出ブロー成形では、樹脂温度100℃〜300℃でパリソン金型に射出してパリソンを成形し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度120℃〜300℃で金型に着装することにより中空成形体を製造することができる。延伸(ブロー)倍率は、縦方向に1.1〜1.8倍、横方向に1.3〜2.5倍であるであることが望ましい。
得られるブロー成形体は、透明性、剛性または柔軟性、耐熱性および耐衝撃性に優れるとともに防湿性にも優れている。
プレス成形体としてはモールドスタンピング成形体が挙げられ、たとえば基材と表皮材とを同時にプレス成形して両者を複合一体化成形(モールドスタンピング成形)することで得られる。基材は、本発明に係る共重合体、共重合体組成物または変性体で形成することができる。プレス成形体は帯電しにくく、剛性または柔軟性、耐熱性、透明性、耐衝撃性、耐老化性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れている。
本発明に係る共重合体、共重合体組成物または変性体を用いてなる発泡成形体は、高発泡倍率で得られ、また良好な射出成形性を有し、高い剛性と材料強度とを有する。
フィラメント成形体は、たとえば溶融した共重合体、共重合体組成物または変性体を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。具体的にはスパンボンド法、メルトブロン法が好適に用いられる。このようにして得られたフィラメントを、さらに延伸してもよい。この延伸は、フィラメントの少なくとも一軸方向が分子配向する程度に行えばよく、通常5〜10倍程度の倍率で行うことが望ましい。本発明に係るフィラメント成形体は、帯電しにくく、また透明性、柔軟性、耐熱性および耐衝撃性、伸縮性に優れている。
本発明の成形体から、自動車部品、家電部品、玩具、雑貨などのパウダースラッシュ成形体を製造することができる。該成形体は帯電しにくく、柔軟性、耐熱性、耐衝撃性、耐老化性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れている。
また、本発明に係る成形体としては、本発明にかかる共重合体、共重合体組成物または変性体からなる層を少なくとも一層有する積層体を挙げることができる。該積層体は、衝撃低減やショックの緩和などの制振性、衝撃吸収性に優れる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。下記表中の成分に関する数値は特段の断りがない限り質量部を示す。
[測定条件等]
実施例における物性の測定条件等は、以下のとおりである。
〔ポリマーの組成〕
4−メチル−1−ペンテン重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)の4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレン含量は、13C−NMRにより以下の装置および条件により測定した。日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。重合体(A)、(B)以外のポリマーについても、基本的には本方法に準じた13C−NMR法によって組成分析を行った。
〔密度〕
ポリマーの密度は、ASTM D1505(水中置換法)に従って、ALFA MIRAGE社電子比重計MD−300Sを用い、水中と空気中で測定された各試料の重量から算出した。
〔DSC融点(Tm)〕
ポリマーのDSC融点(Tm)は,セイコーインスツルメンツ社製DSC220C装置で示差走査熱量計(DSC)により測定した。試料7〜12mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。その試料を、完全融解させるために200℃で5分間保持し、次いで10℃/分で−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で200℃まで再度加熱した。この再度の(2度目の)加熱でのピーク温度を、DSC融点(Tm)として採用した。
〔極限粘度〕
ポリマーの極限粘度[η]は,デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。
〔分子量(Mw、Mn)・分子量分布(Mw/Mn)〕
ポリマーの分子量は、液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC 150−C plus型(示唆屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本およびGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定した。
得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mw/Mn値およびMz/Mw値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
〔引張試験、引裂き強度および表面粗度の測定〕
(試験片の作成方法)
実施例および比較例の各組成物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を270℃、ダイス温度を270℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することにより、キャストフィルムを得た。
(引張特性の測定)
次いで、厚みが50μmのフィルムを、幅15mm×長さ100mmの短冊状に切断した試験片について、JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、試験片のMD方向、TD方向について、引張弾性率(YM)(単位:MPa)、及び引張破断伸び(EL)(単位:%)を測定した。
(エルメンドレフ引裂き強度の測定)
厚さ50μmに調整したフィルムを、23℃、55%RHの条件下で、MD方向、TD方向の両方向において、エレメンドルフ法の引き裂き荷重をJIS K 7128−1991に従い東洋精機(株)製の軽荷重引き裂き装置でエルメンドレフ引裂き強度を測定した。
(表面粗度の測定)
厚さ50μmに調整したフィルムを気温23℃±2℃、湿度50%±10%の条件の下、24時間養生し、表面粗さ測定器(型式:SE−30KS−小坂研究所製)及び解析装置(型式:TDA−22−小坂研究所製)を用いてJISB0601−1994に準じて測定し、平均表面粗さ(Ra)および十点平均粗さ(Rz)を求めた。
〔TMA 1.6mm変位温度の測定〕
厚さ50μmに調整したフィルムを用い、幅4mm×長さ10mmの試験片を作製し、JIS K7196に準拠し、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/minの条件で、フィルム伸張モードで5gf(49mN)の荷重をかけて23℃〜250℃で測定した。TMA曲線から1.6mm変位した時の温度を読み取り、TMA 1.6mm変位温度(℃)とした。
(グロス測定)
厚さ50μmに調整したフィルムを用い、JIS Z8741に準拠して測定した。
〔配合材料〕
実施例及び比較例に用いた配合材料は下記の通りである。
(A)4−メチル−1−ペンテン重合体
国際公開第2006/054613号や国際公開2014/050187号の実施例、比較例記載された方法に準じて、4−メチル−1−ペンテン、1−デセンおよび水素の仕込み割合を変更するなどして、共重合体(A−1)、(A−2)および(A−3)の三種の共重合体を得た。
得られた重合体(A)の各種物性の測定結果を表1に示す。
共重合体(A−1)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は98.0mol%であり、1−デセンの含有率は2.0mol%であった。密度は833kg/m3、極限粘度[η]は2.4dl/gであり、MFR(260℃、5kg荷重)は25g/10minであった。また、DSC融点(Tm)は232℃、TMA1.6mm変位温度は225℃であった。
共重合体(A−2)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は98.7mol%であり、1−デセンの含有率は1.3mol%であった。密度は832kg/m3、極限粘度[η]は2.4dl/gであり、MFR(260℃、5kg荷重)は25g/10minであった。また、DSC融点(Tm)は232℃、TMA1.6mm変位温度は225℃であった。
共重合体(A−3)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は97.2mol%であり、1−デセンの含有率は2.8mol%であった。密度は832kg/m3、極限粘度[η]は1.2dl/gであり、MFR(260℃、5kg荷重)は180g/10minであった。また、DSC融点(Tm)は232℃、TMA1.6mm変位温度は225℃であった。
(B)プロピレン重合体
(株)プライムポリマー社製のプライムポリプロ(登録商標)F113Gを用いた。このプロピレン単独重合体の密度:910kg/m3、MFR(230℃、2.16kg荷重):3g/10分、TMA1.6mm変位温度は155℃であった。
(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体
[合成例1]共重合体(C−1)の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエ
ン溶液0.34mlを、オートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。
次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、100℃で12時間乾燥させて、36.9gの粉末状の共重合体(C−1)を得た。
得られた共重合体(C−1)の各種物性の測定結果を表1に示す。
共重合体(C−1)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は72.5mol%であり、プロピレンの含有率は27.5mol%であった。また、共重合体(C−1)の密度は839kg/m3であった。共重合体(C−1)の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は337,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、メルトフローレート(MFR)は11g/10minであった。共重合体(C−1)のDSC融点(Tm)は観測されなかった。
[合成例2]共重合体(C−2)の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.19MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlを、オートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。
次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、100℃で12時間乾燥させて、44.0gの粉末状の共重合体(C−2)を得た。
得られた共重合体(C−2)の各種物性の測定結果を表1に示す。
共重合体(C−2)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は84.1mol%であり、プロピレンの含有率は15.9mol%であった。また、共重合体A−1の密度は838kg/m3であった。共重合体(C−2)の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は340,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、メルトフローレート(MFR)は11g/10minであった。共重合体(C−2)のDSC融点(Tm)は132℃であった。
(D)ブテン系共重合体
比較例で用いたブテン系共重合体(D)として、三井化学(株)製の1−ブテン・プロピレン共重合体を用いた。MFR(230℃、2.16kg荷重);12g/10分、ブテン起因骨格含量;75モル%、プロピレン起因骨格含量;25モル%、密度;890kg/cm3、極限粘度;1.5g/dl、分子量分布(Mw/Mn);4.8、DSC融点(Tm);75℃
[実施例1]
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)50質量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレン(B)50質量部と、合成例1で得られた4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(C−1)5質量部を配合した。さらに、該組成物100質量部に対して、チバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。その後、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を270℃、ダイス温度を270℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することによりの測定用試料とした。このフィルムの物性を測定した結果を表2に示す。
[実施例2]〜[実施例6]
実施例1において、(A)4−メチル−1−ペンテン重合体、(B)プロピレン重合体、および(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を表2または表3に示した種類および配合量用いた以外は実施例1と同様にして測定用試料を作成し、物性を測定した。各種測定結果を表2および表3に示した。
[比較例1]〜[比較例4]
実施例1において、配合成分として(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を用いなかったか、該成分(C)の代わりに(D)ブテン系共重合体を用いて、実施例1と同様にして測定用試料を作成し、物性を測定した。各種測定結果を表2または表3に示した。
表2、表3から分かるように、(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を用いた組成物からなるシートでは、表面粗度が小さくなっていることがわかる。さらに、引張破断伸び(EL)のMD、TDの両方向へ均一に伸びる傾向となっていること、TMA変位温度も(D)ブテン系共重合体を用いるときよりも高く保持していることがわかる。特に(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体の融点の方が(D)ブテン系共重合体より低いにもかかわらず、TMA変位温度が高く保持されるのは、発明者にとっても意外な効果であった。
この要因は、(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体が(A)4−メチル−1−ペンテン重合体と(B)ポリプロピレン用相溶化材的な役割を果たしており、フィルム中の各成分を均一に微分散させる効果があったものと推定している。
[実施例7]
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−3)50質量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレン(B)50質量部と、合成例2で得られた4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(C−2)5質量部を配合した。さらに、該組成物100質量部に対して、チバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。その後、ノズル径1mmを設置した東洋精機株式会社製キャピログラフを用いて、バレル温度260℃、ヘッドスピード5mm/minで押出し、巻取りスピード100mで巻き取ることで得たフィラメントサンプルを測定用試料とした。このフィラメントの物性を測定した結果を表4に示す。
[実施例8]および[比較例5]
実施例7において、配合成分として(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を10質量部としたか、(C)成分を配合しなかった以外は、実施例7と同様にして測定用試料を作成し、物性を測定した。各種測定結果を表4に示した。
表4から分かるように、(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を用いた組成物からなるフィラメントでは、表面粗度が小さい。
また実施例8と比較例5のフィラメント表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果および、フィラメント断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図1〜図
4に示す。
(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を配合しない比較例5ではフィラメント表面が荒れており、また断面形態も(B)ポリプロピレン重合体に由来する島相の粒子径が1μmから数10μmまでと広く分散している。一方、(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を配合した実施例8では、フィラメント表面が平滑となっており、また断面形態も(B)ポリプロピレン重合体に由来する島相の粒子径が数μm程度に揃い、均一に分散していることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記要件(A−a)および(A−b)を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、
    下記要件(C−a)〜(C−e)を同時に満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
    (A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]100〜90モル%と、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii]0〜10モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
    (A−b)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある。
    (C−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]92〜60モル%と、プロピレンから導かれる構成単位[ii]8〜40モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
    (C−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gの範囲にある。
    (C−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にある。
    (C−d)密度が825〜860kg/m3の範囲にある。
    (C−e)DSCで測定した融点(Tm)が観測されない。
  2. 4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)が、下記要件(C−f)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
    (C−f)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]が80〜60モル%であり、プロピレンから導かれる構成単位[ii]が20〜40モル%である(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
  3. 請求項1または2に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を含んでなる成形体。
  4. フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
  5. 繊維であることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
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