JP6798268B2 - 多層フィルム - Google Patents
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Description
本発明の課題は、透明性、落袋強度および耐ブロッキング性に優れる包装袋を得られる多層フィルムを提供することである。
前記中間層は、少なくとも二種類のオレフィン重合体を含有し、前記二種類のオレフィン重合体が海島型の相分離構造を形成している層であり、
前記表層は、エチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体と、プロピレン系重合体(II)とを含有する層である多層フィルムに係るものである。
要件(1):JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが25%以下である。
要件(2):該フィルム同士を200℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以上である。
要件(3):該フィルム同士を170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以下である。
前記中間層は、少なくとも二種類のオレフィン重合体を含有し、前記二種類のオレフィン重合体が海島型の相分離構造を形成している層である。
本発明において海島型の相分離構造とは、少なくとも二種類のオレフィン重合体が相分離しており、そのうち一つのオレフィン重合体が連続相を形成しており、他のオレフィン重合体が非連続相を形成している相分離構造である。相分離構造は透過型電子顕微鏡を用いて観察することができる。例えば、フィルム表面に垂直な断面を含む試験片を切り出し、該試験片を四酸化ルテニウムにより染色した後に、透過型電子顕微鏡により約5000倍に拡大して観察することができる。
中間層に含有されるオレフィン重合体としては、プロピレン系重合体、エチレン系重合体が挙げられる。
プロピレン共重合体(D)に含有されるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは94重量%以上99重量%以下であり、より好ましくは94重量%以上97重量%以下である。プロピレン共重合体(D)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは1重量%以上6重量%以下であり、より好ましくは3重量%以上6重量%以下である(但し、エチレン−プロピレン共重合体(D)の全量を100重量%とする)。
また、重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒中で行われるスラリー重合法や溶液重合法、溶媒の不存在下に行われる液相重合法や気相重合法が挙げられる。
前記表層に含有されるエチレン−プロピレン共重合体(D)の含有量は、ヒートシール性、耐ブロッキング性に優れる点から、好ましくは10重量%以上30重量%以下であり、より好ましくは15重量%以上25重量%以下である(但し、前記表層に含有されるプロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)とエチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量の合計を100重量%とする)。
本発明の多層フィルムは、JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが25%以下であり、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下である。
本発明の多層フィルムは、該フィルム同士を200℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以上であり、好ましくは40N/15mm以上80N/15mm以下である。
本発明の多層フィルムは、該フィルム同士を170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以下であり、好ましくは15N/15mm以下であり、より好ましくは10N/15mm以下である。
プロピレン共重合体(A−2)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは95重量%以上であり、より好ましくは98重量%以上である(但し、プロピレン系共重合体(A−2)の全量を100重量%とする)。プロピレン共重合体(A−2)におけるエチレンまたは炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは2重量%以下である(但し、プロピレン系共重合体(A−2)の全量を100重量%とする)。
前記プロピレン重合体(A)および前記エチレン−プロピレン共重合体(B)は、生産性の観点から、好ましくは、第一工程でプロピレン重合体(A)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン−プロピレン共重合体(B)を製造することが好ましい。
プロピレン重合体(A)およびエチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で、水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
原料であるプロピレンの残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度より低い温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
添加剤として、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。また、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の働きを示す複合型の酸化防止剤も用いることができる。
中間層に含有されていてもよいその他の樹脂としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体およびそれらの水素添加物が挙げられる。
表層に含有されていてもよいその他の樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が10重量%より多いエチレン−α−オレフィン共重合体(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体の全量を100重量%とする)が挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、メタロセン触媒等の均一系触媒で製造されたものであってもよく、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体およびそれらの水素添加物が挙げられる。
定量供給機を用いて、一定の割合で、各成分および各種添加剤をそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法が挙げられる。
複合フィルムの用途としては、重量物包装用途が挙げられる。
(1)プロピレン重合体組成物に含有されるプロピレン重合体(A)およびエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量(単位:重量%)
プロピレン重合体(A)およびエチレン−プロピレン共重合体(B)の重合時の物質収支から、プロピレン重合体(A)の含有量(PA)、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量(PB)を求めた。
プロピレン重合体組成物のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従ってプロピレン重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を求め、下記の式(1)により、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を求めた。
EB=100ET/PB 式(1)
(ただし、ETはプロピレン重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を、EBは、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を、PBはエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量を示す。)
プロピレン重合体組成物、プロピレン単独重合体、およびエチレン−プロピレン共重合体のメルトフローレートはJIS K7210に規定された方法に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
装置:Waters製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSK−GEL GMH6−HT
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
分子量標準物質:標準ポリスチレン
[η]Aは、(A)の重合後に重合槽から重合体パウダーを抜き出し、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃、テトラリン中で測定した。
試料を硫酸水溶液(1mol/リットル)に投じたのち超音波をあてて金属成分を抽出した後、得られた液体部分についてICP発光分析法により定量することで、各重合体のマグネシウム含量を測定し、以下の式から、χを算出した。
χ=1−Mg(T)/Mg(P)
Mg(P):プロピレン重合体(A)のマグネシウム含量
Mg(T):プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン共重合体のマグネシウム含量
プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物の極限粘度([η]T)を、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃、テトラリン中で測定した。得られた[η]Tと、上記(6)で求めた[η]Aと、上記(7)で求めたエチレン−プロピレン共重合体(B)のプロピレン重合体組成物に対する重合比率(χ)から、次式により[η]Bを求めた。
[η]B=[η]T/χ−(1/χ−1)[η]A
[η]A:プロピレン重合体(A)の極限粘度(dL/g)
[η]T:プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物の極限粘度(dL/g)
χ:エチレン−プロピレン共重合体(B)のプロピレン重合体組成物に対する重合比率(重量%)
JIS K7105に従い測定した。ヘーズの低いほうが、透明性に優れる。
東洋テスター工業(株)製ヒートシーラーを使用し次の条件で多層フィルム同士をヒートシールした。
シールバー:平面両面加熱
シール温度:200℃、170℃
シール圧力:1.0kg/cm2
シール時間:1.0sec
シール幅:10mm
ヒートシールして得られたサンプルについて、シール幅方向に対して直角方向に15mm幅の試験片を切り出した。次に、引張試験機(オリエンテック製テンシロン)を用いて剥離角90°、引張速度200mm/minで該試験片のヒートシール強度を測定した。
シール温度170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が低いほど、耐熱性に優れる。
文字が印刷された紙から10cm離して多層フィルムを配置し、多層フィルムを通して印字された文字が判読できるかを以下の4基準で判定した。
1・・・文字がはっきりと判読できる。
2・・・文字はややぼやけるが、判読はできる。
3・・・文字は全体的にぼやけており、判読できない文字がある。
4・・・文字のほとんどが判読できない。
多層フィルムと厚み7μmの二軸延伸ナイロンフィルムと厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムを、ドライラミネート法により貼り合わせた複合フィルムを用いて、西部機械(株)製スタンディングパウチ製袋機により多層フィルム面を内側にして三辺がヒートシールされた包装袋を作製した。得られた包装袋に水200gを充填した後、ヒートシールされていなかった一辺をヒートシールして密封して水充填袋を作製した。この水充填袋を5℃で24時間状態調整した後、70cmの高さから充填袋を20回繰返して落下させてテストを行った。テストは計10袋で行い、割れなかった回数(残存回数)の合計によって落袋強度を評価した。全く割れなかった場合は200点、全て1回で割れた場合は0点とした。
上記(12)落袋強度評価で作製した包装袋に大塚食品株式会社製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を充填した後、ヒートシールされていなかった一辺をヒートシールして密封してカレー充填袋を作製した。ALP製小型レトルト滅菌器を使用し、カレー充填袋を120℃条件下で30分レトルト処理を行い、レトルト処理後のカレー充填袋の外表面の凸凹状態(ゆず肌)を以下の基準による5段階法で目視判定した。
1・・・ゆず肌は全く発生していない。
2・・・ゆず肌がわずかに発生しているが、実用には全くの問題がない。
3・・・若干のゆず肌が観察され、実用には若干の問題がある。
4・・・ゆず肌がやや観察され、実用には問題がある。
5・・・ゆず肌がかなり観察され、実用に耐えられない。
150mm×30mmの多層フィルム(製膜方向と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、多層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、40mm×30mmの範囲に500gの荷重をかけて80℃で24時間状態調整を行った。その後、重ねた上記多層フィルムを23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度(すなわち、ブロッキング強度)を測定した。ブロッキング強度の低いほうが、耐ブロッキング性に優れる。
−15℃において、東洋精機製フィルムインパクトテスターを使用し、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、多層フィルムの衝撃強度を測定した。衝撃強度が高いほうが、耐衝撃性に優れる。
[プロピレン重合体組成物(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体(A)の含有量が68重量%、[η]Aが1.73dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量が30重量% 、[η]Bが4.28dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30重量%であった。
得られたプロピレン重合体組成物100重量部に対して、水酸化カルシウム0.005重量%、スミライザーGP(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学株式会社製)0.075重量%、住友化学株式会社社製スミライザーGS(2,4―ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.03重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリ−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは2.5g/10分であった。以下、BCPP1と称することがある。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体(A)の含有量が79重量%、[η]Aが2.77dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量が21重量% 、[η]Bが2.77dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が35重量%であった。
得られたプロピレン重合体組成物100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05重量%、ビタミンE0.05重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリ−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは2g/10分であった。以下、BCPP2と称することがある。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体を得た。得られたプロピレン単独重合体100重量部に対して、水酸化カルシウム0.002重量%、イルガノックス1010(BASF社製)0.15重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは8.0g/10分であった。以下、HPPと称することがある。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でエチレンとプロピレンを共重合し、エチレン−プロピレン共重合体を得た。得られたエチレン−プロピレン共重合体のエチレンに由来する構造単位の含有量は4.0重量%であった。
得られたエチレン−プロピレン共重合体100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.045重量%、イルガノックス1010(BASF社製)0.2重量%、イルガフォス168(BASF社製)0.03重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリ−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは3.3g/10分であった。以下、RPPと称することがある。
エチレン−1−ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV405(商品名)(住友化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は924kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。以下、PE1と称することがある。
エチレン−ブテン共重合体であるタフマーA4085s(商品名)(三井化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.6g/10分であり、密度は885kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。以下、PE2と称することがある。
エチレン−ブテン共重合体であるスミカセンL FS240(商品名)(住友化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは2.2g/10分であり、密度は920kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は3.4であった。以下、PE3と称することがある。
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドした混合物を用い、表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)70重量%とエチレン−プロピレン共重合体(1)20重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた。
これらの混合物を濾過精度40μmの金属フィルターを使用した3台の押出機のうち1台で中間層用樹脂組成物を、2台で表層用樹脂組成物を溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅1250mm、リップ開度0.8mm)に導入して、中間層比が60%となるようにダイ温度240℃で溶融押出を行った。
押し出された溶融膜を、50m/分で回転する冷却温度50℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ70μmの多層フィルムを得た。多層フィルムの表層および中間層に含まれる各成分の含有量を表1に示す。得られた多層フィルムを用いて、フィルムのヘーズを測定した。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
続いて、得られた多層フィルムと、厚み7μmの二軸延伸ナイロンフィルムおよび厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムをドライラミネート法で積層し、複合フィルムを得た。この複合フィルムを用いて多層フィルムのヒートシール強度を測定した。
さらにこの複合フィルムを用いて15cm×18cmの包装袋を作製し、水200gを封入し、水充填袋を得た。この水充填袋を用いて落袋強度評価を行った。
また、前記包装袋に市販のレトルト食品である大塚食品株式会社製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を封入しカレー充填袋を得た。このカレー充填袋を用いてゆず肌評価を行った。その結果を表2に示す。
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(2)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(2)95重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(2)5重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)100重量%を用い、表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)95重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(2)5重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例4と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)100重量%を用い、表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(3)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもエチレン−プロピレン共重合体(1)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していなかった。
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもプロピレン単独重合体(1)70重量%とエチレン−プロピレン共重合体(1)20重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していなかった。
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもプロピレン重合体組成物(1)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していた。
表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)100重量%を用いた以外は、比較例3と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)75重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)25重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、比較例3と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していた。
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもプロピレン単独重合体(1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していなかった。
Claims (8)
- 二つの表層の間に中間層を有し、下記要件(1)、要件(2)および要件(3)の全てを満足する多層フィルムであって、
前記中間層は、
プロピレンに由来する構造単位の含有量が95重量%以上であるプロピレン重合体(A)(但し、プロピレン重合体(A)の全量を100重量%とする)と、
エチレンに由来する構造単位の含有量が20重量%以上60重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(B)(但し、エチレン−プロピレン共重合体(B)の全量を100重量%とする)とを含有し、
前記プロピレン重合体(A)と前記エチレン−プロピレン共重合体(B)とが海島型の相分離構造を形成している層であり、
前記表層は、
エチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、エチレンに由来する構造単位の含有量が75重量%以上99重量%以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の全量を100重量%とする)と、
プロピレン単独重合体(C)とを含有する層である
多層フィルム。
要件(1):JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが25%以下である。
要件(2):該フィルム同士を200℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以上である。
要件(3):該フィルム同士を170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以下である。 - 前記表層が、さらに、プロピレンに由来する構造単位の含有量が94重量%以上99重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(D)(但し、エチレン−プロピレン共重合体(D)の全量を100重量%とする)を含有する、請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記中間層に含有される
前記プロピレン重合体(A)の含有量が60重量%以上90重量%以下であり、
前記エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量が10重量%以上40重量%以下であり(但し、中間層に含有されるプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする)、
前記表層に含有される
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量が5重量%以上20重量%以下であり、
前記プロピレン単独重合体(C)の含有量が80重量%以上95重量%以下である(但し、前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)とプロピレン単独重合体(C)の含有量の合計を100重量%とする)、あるいは、前記プロピレン単独重合体(C)と前記エチレン−プロピレン共重合体(D)の含有量の合計が80重量%以上95重量%以下である(但し、前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)とプロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)との含有量の合計を100重量%とする)、
請求項1または2に記載の多層フィルム。 - 前記中間層が、さらに、エチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、エチレンに由来する構造単位の含有量が75重量%以上99重量%以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体(F)の全量を100重量%とする)を含有し、
前記中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)の含有量が2重量%以上30重量%以下であり、前記中間層に含有されるプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計が70重量%以上98重量%以下である(但し、前記中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)とプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする)、請求項3に記載の多層フィルム。 - 多層フィルムの厚みを100%としたときの、前記中間層の厚みの割合が45%以上85%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 下記要件(1’)を満足する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
要件(1’):JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが15%以下である。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層フィルムとガスバリア層と基材層とを有する複合フィルムであって、
前記ガスバリア層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、有機珪素化合物、無機層状化合物、金属または金属酸化物を含有する層である、複合フィルム。 - 前記基材層が、二軸延伸ポリエステル系樹脂層、二軸延伸ポリアミド系樹脂層および二軸延伸ポリオレフィン系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも一種の層である、請求項7に記載の複合フィルム。
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