JP6798268B2 - 多層フィルム - Google Patents

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本発明は多層フィルムに関するものである。
ポリプロピレンフィルムは耐熱性や剛性に優れているため、フィルム、シート、容器等の分野で幅広く利用されており、その特性を生かして、加熱滅菌食品包装用フィルムとしても用いられている。近年では、包装した内容物が見えるように、加熱滅菌食品包装用フィルムにも透明性が求められ、例えば下記特許文献には透明性が改良されたフィルムが記載されている。
特許文献1には、表面層と中間層の三層から構成されるポリプロピレン系積層フィルムであって、中間層が結晶性ポリプロピレンとプロピレン−α−オレフィン共重合体からなるポリプロピレン系組成物からなり、両表面層が結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体からなることを特徴とするポリプロピレン系積層フィルムが記載されている。
特許文献2には、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合樹脂とプロピレン−エチレンブロック共重合樹脂からなるラミネート層、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合樹脂とプロピレン−エチレンブロック共重合樹脂からなる中間層、およびプロピレン−α−オレフィンランダム共重合樹脂とプロピレン−エチレンブロック共重合樹脂からなるシール層よりなる積層ポリプロピレン系フィルムが記載されている。
特開2006−35516 特開2007−237641
しかしながら、上記の透明性に優れるフィルムからなる包装袋は、落袋強度および耐ブロッキング性が十分ではなかった。
本発明の課題は、透明性、落袋強度および耐ブロッキング性に優れる包装袋を得られる多層フィルムを提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、二つの表層の間に中間層を有し、下記要件(1)、要件(2)および要件(3)の全てを満足する多層フィルムであって、
前記中間層は、少なくとも二種類のオレフィン重合体を含有し、前記二種類のオレフィン重合体が海島型の相分離構造を形成している層であり、
前記表層は、エチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体と、プロピレン系重合体(II)とを含有する層である多層フィルムに係るものである。
要件(1):JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが25%以下である。
要件(2):該フィルム同士を200℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以上である。
要件(3):該フィルム同士を170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以下である。
本発明の多層フィルムを用いれば、透明性、落袋強度および耐ブロッキング性に優れる包装袋を得ることができる。
本発明の多層フィルムは、二つの表層の間に中間層を有する多層フィルムであって、
前記中間層は、少なくとも二種類のオレフィン重合体を含有し、前記二種類のオレフィン重合体が海島型の相分離構造を形成している層である。
本発明において海島型の相分離構造とは、少なくとも二種類のオレフィン重合体が相分離しており、そのうち一つのオレフィン重合体が連続相を形成しており、他のオレフィン重合体が非連続相を形成している相分離構造である。相分離構造は透過型電子顕微鏡を用いて観察することができる。例えば、フィルム表面に垂直な断面を含む試験片を切り出し、該試験片を四酸化ルテニウムにより染色した後に、透過型電子顕微鏡により約5000倍に拡大して観察することができる。
中間層に含有されるオレフィン重合体としては、プロピレン系重合体、エチレン系重合体が挙げられる。
本発明の多層フィルムの表層は、エチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、エチレン−α−オレフィン共重合体(E)と称する)と、プロピレン系重合体(II)とを含有する層である。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(E)は、エチレンに由来する構造単位と、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有する共重合体である。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。炭素数4〜20のα−オレフィン、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、または1−ヘキセンである。エチレン−α−オレフィン共重合体(E)は、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位を2種以上有していてもよい。エチレン−α−オレフィン共重合体(E)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは75重量%以上99重量%以下であり、より好ましくは80重量%以上99重量%以下であり、更に好ましくは90重量%以上99重量%以下である(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の全量を100重量%とする)。
エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の密度は、好ましくは、860kg/m以上950kg/m以下であり、より好ましくは880kg/m以上930kg/m以下である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(E)のメルトフローレートは、好ましくは、0.5g/10分以上30g/10分以下であり、より好ましくは、1g/10分以上10g/10分以下であり、更に好ましくは、1g/10分以上5g/10分以下である。メルトフローレートは、JIS K7210に規定された方法に従って、温度190℃、荷重21.18Nで測定される値である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の分子量分布は、低温での耐衝撃性に優れる点から、好ましくは、1以上3未満であり、より好ましくは、1.5以上2.5未満である。分子量分布とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と記載することがある。)により測定される重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)である。
分子量分布が1以上3未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)の製造方法として、例えば、メタロセン触媒を用いて、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンを共重合する方法が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の製造方法としては、微粒子状担体に触媒成分が担持されてなる固体触媒成分を用いて、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。該固体触媒成分としては、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等の、メタロセン系錯体をイオン化してイオン性の錯体を形成する化合物を微粒子状担体に担持させてなる助触媒担体などを用いることができる。
前記表層に用いられるプロピレン系重合体(II)は、プロピレンに基づく構造単位を有する重合体である。プロピレン系重合体(II)は、好ましくはプロピレン単独重合体(C)およびエチレン−プロピレン共重合体(D)からなる群より選ばれる一種以上のプロピレン系重合体であり、好ましくは、プロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)の混合物である。
エチレン−プロピレン共重合体(D)は、プロピレンに由来する構造単位と、エチレンに由来する構造単位からなる共重合体である。
プロピレン共重合体(D)に含有されるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは94重量%以上99重量%以下であり、より好ましくは94重量%以上97重量%以下である。プロピレン共重合体(D)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは1重量%以上6重量%以下であり、より好ましくは3重量%以上6重量%以下である(但し、エチレン−プロピレン共重合体(D)の全量を100重量%とする)。
プロピレン系重合体(II)の製造方法としては、チーグラー・ナッタ型触媒又はメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法、又はプロピレン以外のオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンとプロピレンとを共重合する方法等が挙げられる。チーグラー・ナッタ型触媒としては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物及び助触媒成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
また、重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒中で行われるスラリー重合法や溶液重合法、溶媒の不存在下に行われる液相重合法や気相重合法が挙げられる。
前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量は、多層フィルムの透明性、複合フィルムの熱処理後の表面状態に優れる点から、好ましくは5%以上である。前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量は、ヒートシール性、耐ブロッキング性、低温での耐衝撃性に優れる点から、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である(但し、前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)とプロピレン系重合体(II)の含有量の合計を100重量%とする)。
前記表層におけるプロピレン系重合体(II)が、プロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)の混合物である場合、前記表層に含有されるプロピレン単独重合体(C)の含有量は、好ましくは50重量%以上85重量%以下であり、ヒートシール性、耐ブロッキング性に優れる点から、より好ましくは65重量%以上85重量%以下であり、更に好ましくは65重量%以上75重量%以下である(但し、前記表層に含有されるプロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)とエチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量の合計を100重量%とする)。
前記表層に含有されるエチレン−プロピレン共重合体(D)の含有量は、ヒートシール性、耐ブロッキング性に優れる点から、好ましくは10重量%以上30重量%以下であり、より好ましくは15重量%以上25重量%以下である(但し、前記表層に含有されるプロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)とエチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量の合計を100重量%とする)。
要件(1)
本発明の多層フィルムは、JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが25%以下であり、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下である。
要件(2)
本発明の多層フィルムは、該フィルム同士を200℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以上であり、好ましくは40N/15mm以上80N/15mm以下である。
要件(3)
本発明の多層フィルムは、該フィルム同士を170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以下であり、好ましくは15N/15mm以下であり、より好ましくは10N/15mm以下である。
前記中間層は、好ましくはプロピレンに由来する構造単位の含有量が95重量%以上であるプロピレン重合体(A)(但し、プロピレン重合体(A)の全量を100重量%とする)と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20重量%以上60重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(B)(但し、エチレン−プロピレン共重合体(B)の全量を100重量%とする)とを含有する層である。
前記プロピレン重合体(A)は、プロピレン単独重合体(A−1)または下記プロピレン共重合体(A−2)である。プロピレン単独重合体(A−1)は、プロピレンに由来する構造単位からなる単独重合体である。
前記プロピレン重合体(A)は、好ましくはプロピレン単独重合体(A−1)である。
プロピレン共重合体(A−2)は、プロピレンに由来する構造単位と、エチレンまたは炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する構造単位からなる共重合体である。炭素数4〜12のα−オレフィンとして、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、好ましくは、1−ブテンである。プロピレン共重合体(A−2)は、エチレンまたは炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する構造単位を2種以上有していてもよい。
プロピレン共重合体(A−2)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは95重量%以上であり、より好ましくは98重量%以上である(但し、プロピレン系共重合体(A−2)の全量を100重量%とする)。プロピレン共重合体(A−2)におけるエチレンまたは炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは2重量%以下である(但し、プロピレン系共重合体(A−2)の全量を100重量%とする)。
前記エチレン−プロピレン共重合体(B)は、エチレンに由来する構造単位と、プロピレンに由来する構造単位からなる共重合体である。エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量は、耐ブロッキング性と低温での耐衝撃性に優れる点から、好ましくは20重量%以上60重量%以下であり、より好ましくは25重量%以上50重量%以下である(但し、エチレン−プロピレン共重合体(B)の全量を100重量%とする。)。エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、40重量%以上80重量%以下であり、好ましくは、50重量%以上75重量%以下である(但し、エチレン−プロピレン共重合体(B)の全量を100重量%とする。)。
エチレン−プロピレン共重合体(B)の極限粘度([η]B)は、優れたヒートシール強度を維持しつつ、フィッシュアイ数を抑えられる点から、好ましくは2.5dl/g以上4.5dl/g以下であり、より好ましくは、3.5dl/g以上4.5dl/g以下である。
プロピレン重合体(A)の極限粘度([η]A)に対するエチレン−プロピレン共重合体(B)の極限粘度([η]B)の比([η]B/[η]A)は、優れたヒートシール強度を維持しつつ、フィッシュアイ数を抑えられる点から、好ましくは、1.0以上3.0以下であり、より好ましくは、1.5以上3.0以下である。
ヒートシール性、耐ブロッキング性および落袋強度のバランスに優れる点から、中間層に含有されるプロピレン重合体(A)の含有量は、好ましくは60重量%以上90重量%以下であり、より好ましくは65重量%以上90重量%以下であり、さらに好ましくは65重量%以上85重量%以下であり、特に好ましくは65重量%以上75重量%以下である(但し、中間層に含有されるプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする。)。ヒートシール性、耐ブロッキング性、および、落袋強度のバランスに優れる点から、中間層に含有されるエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量は、好ましくは10重量%以上40重量%以下であり、より好ましくは10重量%以上35重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以上35重量%以下であり、特に好ましくは25重量%以上35重量%以下である(但し、中間層に含有されるプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする。)。
中間層が前記プロピレン重合体(A)と前記エチレン−プロピレン共重合体(B)とを含有する場合、前記プロピレン重合体(A)と前記エチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物のメルトフローレートは、フィルムの加工性や衛生性を良好にするという点から、好ましくは、1.5g/10分以上10g/10分以下であり、より好ましくは、2g/10分以上8g/10分以下である。メルトフローレートは、JIS K7210に規定された方法に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定される値である。
前記プロピレン重合体(A)および前記エチレン−プロピレン共重合体(B)の製造方法としては、チーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒などを用いて、原料であるプロピレンやエチレンなどを重合する方法が挙げられる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加して重合する方法、またはこれらの方法を組み合わせて重合する方法が挙げられる。
前記プロピレン重合体(A)および前記エチレン−プロピレン共重合体(B)は、生産性の観点から、好ましくは、第一工程でプロピレン重合体(A)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン−プロピレン共重合体(B)を製造することが好ましい。
プロピレン重合体(A)およびエチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で、水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
原料であるプロピレンの残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度より低い温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
前記中間層は、さらにエチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体(F)を含有してもよい。前記エチレン−α−オレフィン共重合体(F)としては、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(E)として記載された共重合体が挙げられる。
前記中間層が、プロピレン重合体(A)と、エチレン−プロピレン共重合体(B)と、エチレン−α−オレフィン共重合体(F)とを含有する場合、落袋強度と加工性に優れる点から、プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計は、好ましくは70重量%以上98重量%以下であり、より好ましくは70重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましくは75重量%以上95重量%以下である(但し、前記中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)とプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする)。落袋強度と加工性に優れる点から、エチレン−α−オレフィン共重合体(F)の含有量は、好ましくは2重量%以上30重量%以下であり、より好ましくは、5重量%以上30重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以上23重量%以下である(但し、前記中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)とプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする)。
前記中間層および表層は、添加剤やその他の樹脂を含有していてもよい。
添加剤として、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。また、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の働きを示す複合型の酸化防止剤も用いることができる。
中間層に含有されていてもよいその他の樹脂としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体およびそれらの水素添加物が挙げられる。
表層に含有されていてもよいその他の樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が10重量%より多いエチレン−α−オレフィン共重合体(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体の全量を100重量%とする)が挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、メタロセン触媒等の均一系触媒で製造されたものであってもよく、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体およびそれらの水素添加物が挙げられる。
中間層および表層が含有する各重合体は予め下記の公知の方法により溶融混練して組成物としてもよい。例えば、各成分および各種添加剤を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合した後、溶融混練する方法;
定量供給機を用いて、一定の割合で、各成分および各種添加剤をそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法が挙げられる。
上記の溶融混練時における温度は、180℃以上350℃以下であることが好ましい。より好ましくは、180℃以上320℃以下である。
本発明の多層フィルムにおける中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)と表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)は、同じものであっても異なるものであってもよい。
落袋強度と透明性に優れ、中間層から表層が剥離することを抑制できる点から、発明の多層フィルムにおける中間層の厚みの割合は、好ましくは45%以上85%以下であり、より好ましくは55%以上85%以下である(但し、多層フィルムの厚みを100%とする)。
本発明の多層フィルムの厚みは、5μm以上500μm以下であることが好ましく、30μm以上150μm以下であることがより好ましい。
本発明の多層フィルムの製造方法としては、公知のフィルム製造方法が挙げられ、例えば、Tダイ法、チューブラー法等が挙げられる。本発明の多層フィルムの製造方法として、好ましくはTダイ法である。
本発明の多層フィルムにおいて、中間層と表層を積層させる方法としては、複数の押出機から流入した溶融樹脂を、ダイ内で層状に組み合わせる方法と、複数の押出機から流入した溶融樹脂を、別々のマニホールドに送り込み、ダイのリップ部直前で層状に組み合わせる方法が挙げられる。
本発明の多層フィルムには、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されてもよい。
本発明の多層フィルムの用途としては、包装用途等が挙げられ、例えば、食品、繊維、雑貨等の包装用途が挙げられる。好ましくは、レトルト食品包装用である。レトルト食品包装用としては、レトルト食品包装袋に用いることができる。
本発明の多層フィルムは、耐熱性、ヒートシール性にも優れる。また、本発明の複合フィルムは、熱処理後において発生するフィルム表面の凹凸(以下、「ゆず肌」と記載することがある。)が少ない。
本発明の多層フィルムは、ガスバリア層、基材層を積層させた複合フィルムとしてもよい。
ガスバリア層としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、有機珪素化合物、無機層状化合物、金属または金属酸化物を含有する層が挙げられ、好ましくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体または有機珪素化合物を含有する層である。
基材層としては、例えば、二軸延伸ポリエステル系樹脂層、二軸延伸ポリアミド系樹脂層、二軸ポリオレフィン系樹脂層が挙げられる。基材層はこれらのうち、二種以上の多層でもよい。
本発明の多層フィルムとガスバリア層、基材層を積層する方法としては、例えば、ドライラミネート法や押出ラミネート法等が挙げられる。
複合フィルムの用途としては、重量物包装用途が挙げられる。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて説明する。なお、実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)プロピレン重合体組成物に含有されるプロピレン重合体(A)およびエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量(単位:重量%)
プロピレン重合体(A)およびエチレン−プロピレン共重合体(B)の重合時の物質収支から、プロピレン重合体(A)の含有量(P)、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量(P)を求めた。
(2)エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量(単位:重量%)
プロピレン重合体組成物のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従ってプロピレン重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を求め、下記の式(1)により、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を求めた。
=100E/P 式(1)
(ただし、Eはプロピレン重合体組成物におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を、Eは、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量を、Pはエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量を示す。)
(3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
プロピレン重合体組成物、プロピレン単独重合体、およびエチレン−プロピレン共重合体のメルトフローレートはJIS K7210に規定された方法に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
(4)密度(単位:kg/m
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
(5)分子量分布(Mw/Mn)
下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
装置:Waters製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSK−GEL GMH6−HT
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
分子量標準物質:標準ポリスチレン
(6)プロピレン重合体(A)の極限粘度([η]A(単位:dL/g))
[η]Aは、(A)の重合後に重合槽から重合体パウダーを抜き出し、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃、テトラリン中で測定した。
(7)エチレン−プロピレン共重合体(B)のプロピレン重合体組成物に対する重合比率(χ(単位:重量%))
試料を硫酸水溶液(1mol/リットル)に投じたのち超音波をあてて金属成分を抽出した後、得られた液体部分についてICP発光分析法により定量することで、各重合体のマグネシウム含量を測定し、以下の式から、χを算出した。
χ=1−Mg(T)/Mg(P)
Mg(P):プロピレン重合体(A)のマグネシウム含量
Mg(T):プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン共重合体のマグネシウム含量
(8)エチレン−プロピレン共重合体(B)の極限粘度([η]B(単位:dL/g))
プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物の極限粘度([η]T)を、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃、テトラリン中で測定した。得られた[η]Tと、上記(6)で求めた[η]Aと、上記(7)で求めたエチレン−プロピレン共重合体(B)のプロピレン重合体組成物に対する重合比率(χ)から、次式により[η]Bを求めた。
[η]B=[η]T/χ−(1/χ−1)[η]A
[η]A:プロピレン重合体(A)の極限粘度(dL/g)
[η]T:プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物の極限粘度(dL/g)
χ:エチレン−プロピレン共重合体(B)のプロピレン重合体組成物に対する重合比率(重量%)
(9)ヘーズ(単位:%)
JIS K7105に従い測定した。ヘーズの低いほうが、透明性に優れる。
(10)ヒートシール強度(単位:N/15mm)
東洋テスター工業(株)製ヒートシーラーを使用し次の条件で多層フィルム同士をヒートシールした。
シールバー:平面両面加熱
シール温度:200℃、170℃
シール圧力:1.0kg/cm
シール時間:1.0sec
シール幅:10mm
ヒートシールして得られたサンプルについて、シール幅方向に対して直角方向に15mm幅の試験片を切り出した。次に、引張試験機(オリエンテック製テンシロン)を用いて剥離角90°、引張速度200mm/minで該試験片のヒートシール強度を測定した。
シール温度170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が低いほど、耐熱性に優れる。
(11)透視性
文字が印刷された紙から10cm離して多層フィルムを配置し、多層フィルムを通して印字された文字が判読できるかを以下の4基準で判定した。
1・・・文字がはっきりと判読できる。
2・・・文字はややぼやけるが、判読はできる。
3・・・文字は全体的にぼやけており、判読できない文字がある。
4・・・文字のほとんどが判読できない。
(12)落袋強度評価
多層フィルムと厚み7μmの二軸延伸ナイロンフィルムと厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムを、ドライラミネート法により貼り合わせた複合フィルムを用いて、西部機械(株)製スタンディングパウチ製袋機により多層フィルム面を内側にして三辺がヒートシールされた包装袋を作製した。得られた包装袋に水200gを充填した後、ヒートシールされていなかった一辺をヒートシールして密封して水充填袋を作製した。この水充填袋を5℃で24時間状態調整した後、70cmの高さから充填袋を20回繰返して落下させてテストを行った。テストは計10袋で行い、割れなかった回数(残存回数)の合計によって落袋強度を評価した。全く割れなかった場合は200点、全て1回で割れた場合は0点とした。
(13)ゆず肌評価
上記(12)落袋強度評価で作製した包装袋に大塚食品株式会社製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を充填した後、ヒートシールされていなかった一辺をヒートシールして密封してカレー充填袋を作製した。ALP製小型レトルト滅菌器を使用し、カレー充填袋を120℃条件下で30分レトルト処理を行い、レトルト処理後のカレー充填袋の外表面の凸凹状態(ゆず肌)を以下の基準による5段階法で目視判定した。
1・・・ゆず肌は全く発生していない。
2・・・ゆず肌がわずかに発生しているが、実用には全くの問題がない。
3・・・若干のゆず肌が観察され、実用には若干の問題がある。
4・・・ゆず肌がやや観察され、実用には問題がある。
5・・・ゆず肌がかなり観察され、実用に耐えられない。
(14)耐ブロッキング性(単位:N/12cm
150mm×30mmの多層フィルム(製膜方向と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、多層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、40mm×30mmの範囲に500gの荷重をかけて80℃で24時間状態調整を行った。その後、重ねた上記多層フィルムを23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度(すなわち、ブロッキング強度)を測定した。ブロッキング強度の低いほうが、耐ブロッキング性に優れる。
(15)衝撃強度(単位:kJ/m)
−15℃において、東洋精機製フィルムインパクトテスターを使用し、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、多層フィルムの衝撃強度を測定した。衝撃強度が高いほうが、耐衝撃性に優れる。
実施例および比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
[プロピレン重合体組成物(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体(A)の含有量が68重量%、[η]Aが1.73dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量が30重量% 、[η]Bが4.28dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30重量%であった。
得られたプロピレン重合体組成物100重量部に対して、水酸化カルシウム0.005重量%、スミライザーGP(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学株式会社製)0.075重量%、住友化学株式会社社製スミライザーGS(2,4―ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.03重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリ−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは2.5g/10分であった。以下、BCPP1と称することがある。
[プロピレン重合体組成物(2)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合し、プロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)とからなるプロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体(A)の含有量が79重量%、[η]Aが2.77dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量が21重量% 、[η]Bが2.77dl/g、エチレン−プロピレン共重合体(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が35重量%であった。
得られたプロピレン重合体組成物100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05重量%、ビタミンE0.05重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリ−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは2g/10分であった。以下、BCPP2と称することがある。
[プロピレン単独重合体(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体を得た。得られたプロピレン単独重合体100重量部に対して、水酸化カルシウム0.002重量%、イルガノックス1010(BASF社製)0.15重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは8.0g/10分であった。以下、HPPと称することがある。
[エチレン−プロピレン共重合体(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でエチレンとプロピレンを共重合し、エチレン−プロピレン共重合体を得た。得られたエチレン−プロピレン共重合体のエチレンに由来する構造単位の含有量は4.0重量%であった。
得られたエチレン−プロピレン共重合体100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.045重量%、イルガノックス1010(BASF社製)0.2重量%、イルガフォス168(BASF社製)0.03重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリ−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは3.3g/10分であった。以下、RPPと称することがある。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(1)]
エチレン−1−ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV405(商品名)(住友化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は924kg/m、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。以下、PE1と称することがある。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(2)]
エチレン−ブテン共重合体であるタフマーA4085s(商品名)(三井化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.6g/10分であり、密度は885kg/m、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。以下、PE2と称することがある。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(3)]
エチレン−ブテン共重合体であるスミカセンL FS240(商品名)(住友化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは2.2g/10分であり、密度は920kg/m、分子量分布(Mw/Mn)は3.4であった。以下、PE3と称することがある。
[実施例1]
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドした混合物を用い、表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)70重量%とエチレン−プロピレン共重合体(1)20重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた。
これらの混合物を濾過精度40μmの金属フィルターを使用した3台の押出機のうち1台で中間層用樹脂組成物を、2台で表層用樹脂組成物を溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅1250mm、リップ開度0.8mm)に導入して、中間層比が60%となるようにダイ温度240℃で溶融押出を行った。
押し出された溶融膜を、50m/分で回転する冷却温度50℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ70μmの多層フィルムを得た。多層フィルムの表層および中間層に含まれる各成分の含有量を表1に示す。得られた多層フィルムを用いて、フィルムのヘーズを測定した。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
続いて、得られた多層フィルムと、厚み7μmの二軸延伸ナイロンフィルムおよび厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムをドライラミネート法で積層し、複合フィルムを得た。この複合フィルムを用いて多層フィルムのヒートシール強度を測定した。
さらにこの複合フィルムを用いて15cm×18cmの包装袋を作製し、水200gを封入し、水充填袋を得た。この水充填袋を用いて落袋強度評価を行った。
また、前記包装袋に市販のレトルト食品である大塚食品株式会社製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を封入しカレー充填袋を得た。このカレー充填袋を用いてゆず肌評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例2]
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(2)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
[実施例3]
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(2)95重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(2)5重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
[実施例4]
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)100重量%を用い、表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
[実施例5]
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)95重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(2)5重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例4と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
[実施例6]
中間層用樹脂組成物として、プロピレン重合体組成物(1)100重量%を用い、表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(3)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、多層フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られた多層フィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
[比較例1]
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもエチレン−プロピレン共重合体(1)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していなかった。
[比較例2]
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもプロピレン単独重合体(1)70重量%とエチレン−プロピレン共重合体(1)20重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していなかった。
[比較例3]
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもプロピレン重合体組成物(1)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していた。
[比較例4]
表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)100重量%を用いた以外は、比較例3と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムの中間層は、海島型の相分離構造を形成していた。
[比較例5]
表層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(1)75重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)25重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、比較例3と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していた。
[比較例6]
中間層用樹脂組成物、表層用樹脂組成物として、いずれもプロピレン単独重合体(1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)10重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、フィルムを得、評価を行った。結果を表2に示す。得られたフィルムは、海島型の相分離構造を形成していなかった。
Figure 0006798268
Figure 0006798268

Claims (8)

  1. 二つの表層の間に中間層を有し、下記要件(1)、要件(2)および要件(3)の全てを満足する多層フィルムであって、
    前記中間層は、
    プロピレンに由来する構造単位の含有量が95重量%以上であるプロピレン重合体(A)(但し、プロピレン重合体(A)の全量を100重量%とする)と、
    エチレンに由来する構造単位の含有量が20重量%以上60重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(B)(但し、エチレン−プロピレン共重合体(B)の全量を100重量%とする)とを含有し、
    前記プロピレン重合体(A)と前記エチレン−プロピレン共重合体(B)とが海島型の相分離構造を形成している層であり、
    前記表層は、
    エチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、エチレンに由来する構造単位の含有量が75重量%以上99重量%以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の全量を100重量%とする)と、
    プロピレン単独重合体(C)とを含有する層である
    多層フィルム。

    要件(1):JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが25%以下である。
    要件(2):該フィルム同士を200℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以上である。
    要件(3):該フィルム同士を170℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が35N/15mm以下である。
  2. 前記表層が、さらに、プロピレンに由来する構造単位の含有量が94重量%以上99重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体(D)(但し、エチレン−プロピレン共重合体(D)の全量を100重量%とする)を含有する、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 記中間層に含有される
    前記プロピレン重合体(A)の含有量が60重量%以上90重量%以下であり、
    前記エチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量が10重量%以上40重量%以下であり(但し、中間層に含有されるプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする)
    前記表層に含有される
    前記エチレン−α−オレフィン共重合体(E)の含有量が5重量%以上20重量%以下であり、
    前記プロピレン単独重合体(C)の含有量が80重量%以上95重量%以下である(但し、前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)プロピレン単独重合体(C)の含有量の合計を100重量%とする)、あるいは、前記プロピレン単独重合体(C)と前記エチレン−プロピレン共重合体(D)の含有量の合計が80重量%以上95重量%以下である(但し、前記表層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(E)とプロピレン単独重合体(C)とエチレン−プロピレン共重合体(D)との含有量の合計を100重量%とする)、
    請求項1または2に記載の多層フィルム。
  4. 前記中間層が、さらにエチレンに由来する構造単位と炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、エチレンに由来する構造単位の含有量が75重量%以上99重量%以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)(但し、エチレン−α−オレフィン共重合体(F)の全量を100重量%とする)を含有し、
    前記中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)の含有量が2重量%以上30重量%以下であり、前記中間層に含有されるプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計が70重量%以上98重量%以下である(但し、前記中間層に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(F)とプロピレン重合体(A)とエチレン−プロピレン共重合体(B)の含有量の合計を100重量%とする)、請求項3に記載の多層フィルム
  5. 多層フィルムの厚みを100%としたときの、前記中間層の厚みの割合が45%以上85%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 下記要件(1’)を満足する請求項1〜のいずれか一項に記載の多層フィルム。

    要件(1’):JIS K7105−1981に従って測定されるヘーズが15%以下である。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の多層フィルムとガスバリア層と基材層とを有する複合フィルムであって、
    前記ガスバリア層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、有機珪素化合物、無機層状化合物、金属または金属酸化物を含有する層である複合フィルム。
  8. 前記基材層が、二軸延伸ポリエステル系樹脂層、二軸延伸ポリアミド系樹脂層および二軸延伸ポリオレフィン系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも一種の層である請求項に記載の複合フィルム。
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