JP6492911B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
食品包装用分野では、特に、レトルト食品包装用として、耐ブロッキング性、落袋強度、ヒートシール強度に優れ、かつ熱処理後のゆず肌の発生が軽減されるフィルムが求められており、これらを改良するために様々な積層フィルムが開発されている。
近年、製造工程数の削減や衛生面の向上の観点から、包装袋の製造時にパウダーを散布しなくてもよいほど耐ブロッキング性に優れ、かつ落袋強度、ヒートシール強度に優れ、熱処理後のゆず肌の発生が軽減される積層フィルムが求められている。しかしながら、特許文献1に記載の積層フィルムは、包装袋の製造時にパウダーを散布する必要があり、耐ブロッキング性が十分でなかった。
本発明の課題は、耐ブロッキング性、落袋強度、およびヒートシール強度に優れ、かつ熱処理によるゆず肌の発生が軽減される積層フィルムを提供することである。
前記基材層が、下記定義(1)を満たす70重量%以上95重量%以下の第1のプロピレン共重合体(I)と、5重量%以上30重量%以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(II)とを含有する層であり(但し、プロピレン共重合体(I)とエチレン−α−オレフィン共重合体(II)の含有量の合計を100重量%とする)、
前記シール層が、下記定義(1)を満たす第2のプロピレン共重合体(I)と、前記第2のプロピレン共重合体(I)100重量部に対して0.001重量部以上0.2重量部以下の、下記の構造式(i)で表されるジカルボン酸金属塩(成分C)とを含有する層であり、
前記基材層における第1のプロピレン共重合体(I)および前記シール層における第2のプロピレン共重合体(I)のそれぞれにおいて、前記プロピレン重合体成分(A)の含有量が、60重量%以上90重量%以下であり、前記エチレン−プロピレン共重合体成分(B)の含有量が10重量%以上40重量%以下である積層フィルム(但し、前記第1または第2のプロピレン共重合体(I)の全量を100重量%とする)に係るものである。
定義(1):プロピレン重合体成分(A)と、エチレンに由来する単量体単位の含有量が20重量%以上60重量%以下であり、プロピレンに由来する単量体単位の含有量が40重量%以上80重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体成分(B)とからなるプロピレン共重合体(但し、エチレン−プロピレン共重合体成分(B)の全量を100重量%とする)
(式(i)中、M1およびM2は、ナトリウム、水素、カルシウム、ストロンチウムまたはリチウムであり、同じものであっても異なるものであっても良い。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル基、水酸基、炭素数1〜9のアルコキシ基、炭素数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素数1〜9のアルキルアミノ基、またはフェニル基であり、同じものであっても異なるものであっても良い。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11のうちの任意の2つが結合して、それらが結合している式(i)に描かれたシクロヘキサン環炭素原子と一緒に、炭素数3〜6の飽和炭化水素環を形成していても良い。R2およびR3は、トランス配置であっても、シス配置であっても良い。)
プロピレン共重合体成分(A−2)におけるプロピレンに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは、95重量%以上であり、より好ましくは、98重量%以上である。プロピレン共重合体成分(A−2)におけるエチレンまたは炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは、5重量%以下であり、より好ましくは、2重量%以下である(但し、プロピレン共重合体成分(A−2)の全量を100重量%とする)。
第1のプロピレン共重合体(I)の製造方法として、好ましくは、生産性の観点から、第一工程でプロピレン重合体成分(A)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン−プロピレン共重合体成分(B)を製造する方法である。
プロピレン重合体成分(A)およびエチレン−プロピレン共重合体成分(B)におけるエチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で、水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
原料であるプロピレンの残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度より低い温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
本発明のシール層における第2のプロピレン共重合体(I)は、プロピレン重合体成分(A)とエチレン−プロピレン共重合体成分(B)からなる重合体であり、各成分の詳細、含有量および物性値は、本発明の基材層における第1のプロピレン共重合体(I)と同様のものが挙げられる。
(式(i)中、M1およびM2は、ナトリウム、水素、カルシウム、ストロンチウムまたはリチウムであり、同じものであっても異なるものであっても良い。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル基、水酸基、炭素数1〜9のアルコキシ基、炭素数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素数1〜9のアルキルアミノ基、またはフェニル基であり、同じものであっても異なるものであっても良い。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11のうちの任意の2つが結合して、それらが結合している式(i)に描かれたシクロヘキサン環炭素原子と一緒に、炭素数3〜6の飽和炭化水素環を形成していても良い。R2およびR3は、トランス配置であっても、シス配置であっても良い。)
R(R’O)n− 式(a)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R’は、炭素数2または3個のアルキレン基を表し、nは、2〜4の整数を表す。ただし、RおよびR’の合計の炭素数は、9個以下である。)
脂肪酸として、好ましくは、炭素数が10〜24の脂肪酸である。脂肪酸の金属塩における金属とは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等が挙げられる。また、多価アルコールまたはそのエステルとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、またはそれらのエステル等が挙げられる。分散剤として、脂肪酸の金属塩が好ましい。
添加剤として、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。また、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の働きを示す複合型の酸化防止剤も用いることができる。
その他の樹脂としては、オレフィン樹脂や、エチレン−α−オレフィン共重合体等のエラストマーが挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、メタロセン触媒等の均一系触媒で製造されたものであっても良い。また、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体等の水素添加物を用いても良い。
定量供給機を用いて、一定の割合で、第1のプロピレン共重合体(I)、第2のプロピレン共重合体(I)、エチレン−α−オレフィン共重合体(II)、成分(C)、および各種添加剤をそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法
が挙げられる。
本発明の積層フィルムにおける基材層に用いる第1のプロピレン共重合体(I)と、シール層に用いる第2のプロピレン共重合体(I)は、同じものであっても異なるものであってもよい。
本発明の積層フィルムにおけるシール層に用いる第2のプロピレン共重合体(I)と、基材層に用いる第2のプロピレン共重合体(I)は、同じものであっても異なるものであってもよい。
その他のフィルムとして、例えば、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルム、アルミニウム箔等が挙げられる。
本発明の積層フィルムとその他のフィルムを複合する方法としては、例えば、ドライラミネート法や押出ラミネート法等が挙げられる。
その他のフィルムと複合した積層フィルムの用途としては、重量物包装用途が挙げられる。
(1)プロピレン共重合体におけるプロピレン重合体成分(A)およびエチレン−プロピレン共重合体成分(B)の含有量(単位:重量%)
プロピレン重合体成分(A)およびエチレン−プロピレン共重合体成分(B)の重合時の物質収支から、プロピレン重合体成分(A)の含有量(PA)、およびエチレン−プロピレン共重合体成分(B)の含有量(PB)を求めた。
プロピレン共重合体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従ってプロピレン共重合体のエチレン含有量を求め、下記の式(1)により、エチレン−プロピレン共重合体成分(B)のエチレンに由来する単量体単位の含有量を求めた。
EB=ET/PB 式(1)
(ただし、ETはプロピレン共重合体を、EBは、エチレン−プロピレン共重合体成分(B)におけるエチレン含有量を、PBはエチレン−プロピレン共重合体成分(B)の含有量をそれぞれ示す。)
プロピレン共重合体のメルトフローレートはJIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K7112−1980にA法として規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、下記の条件により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
装置:Waters製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSK−GEL GMH6−HT
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
分子量標準物質:標準ポリスチレン
成分(A)の製造後に重合槽から重合体パウダーを抜き出し、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃、テトラリン中で[η]Aを測定した。
試料を硫酸水溶液(1mol/リットル)に加えた後、超音波をあてて金属成分を抽出した。その後、得られた液体部分についてICP発光分析法により成分を定量することにより、各重合体のマグネシウム含量を測定し、以下の式から、χを算出した。
χ=1−Mg(T)/Mg(P)
Mg(P):プロピレン重合体成分(A)のマグネシウム含量
Mg(T):プロピレン重合体成分(A)とエチレン−プロピレン共重合体成分(B)とからなるプロピレン共重合体のマグネシウム含量
プロピレン重合体成分(A)とエチレン−プロピレン共重合体成分(B)とからなるプロピレン共重合体の極限粘度([η]T)を、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃、テトラリン中で測定した。得られた[η]Tと、上記(6)で求めた[η]Aと、上記(7)で求めたエチレン−プロピレン共重合体成分(B)のプロピレン共重合体に対する重合比率(χ)から、次式により[η]Bを求めた。
[η]B=[η]T/χ−(1/χ−1)[η]A
[η]A:プロピレン重合体成分(A)の極限粘度(dL/g)
[η]T:プロピレン重合体成分(A)とエチレン−プロピレン共重合体成分(B)とからなるプロピレン共重合体の極限粘度(dL/g)
χ:エチレン−プロピレン共重合体成分(B)のプロピレン共重合体に対する重合比率(重量%)
東洋テスター工業(株)製ヒートシーラーを使用し、次の条件で試料フィルムをシールし、得られたシール片を15mm巾に切り、剥離角90°でオリエンテック製テンシロンを用いてヒートシール強度を測定した。
シールバー:平面両面加熱
シール温度:200℃
シール圧力:1.0kg/cm2
シール時間:1.0sec
150mm×30mmの積層フィルム(製膜方向と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、積層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、40mm×30mmの範囲に500gの荷重をかけて80℃で24時間状態調整を行った。その後、重ねた上記積層フィルムを23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度(すなわち、ブロッキング強度)を測定した。ブロッキング強度の低いほうが、耐ブロッキング性に優れる。
積層フィルムと厚み7μmのアルミ箔と厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムとを、積層フィルムの基材層側とアルミ箔が接するようにドライラミネート法により貼り合わせて得られた複合フィルムを用いて、西部機械(株)製スタンディングパウチ製袋機で積層フィルム面が内側になるようにして三方袋を作成した。得られた三方袋に水200gを充填した後、シールして密封して充填袋を得た。この充填袋を5℃で24時間状態調整した後、70cmの高さから20回繰返して落下させてテストを行った。テストは合計10袋に対して行い、割れなかった回数(残存回数)の合計によって落袋強度を評価した。全く割れなかった場合は200点とし、全て1回で割れた場合は0点とした。
ALP製小型レトルト滅菌器を使用し、120℃条件下で30分レトルト処理を行い、レトルト処理後の包装袋の表面層の凸凹状態(ゆず肌)を以下の基準による4段階法で目視判定した。
1・・・ゆず肌は全く発生していない。
2・・・ゆず肌がわずかに発生しているが、実用には全くの問題がない。
3・・・若干のゆず肌が観察され、実用には若干の問題がある。
4・・・ゆず肌がやや観察され、実用には問題がある。
5・・・ゆず肌がかなり観察され、実用に耐えられない。
[プロピレン共重合体(1)]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合した。得られたプロピレン共重合体は、プロピレン重合体成分(A)の含有量が68重量%、[η]Aが1.73dl/g、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の含有量が32重量% 、[η]Bが3.60dl/g、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量が30重量%であった。
得られたプロピレン共重合体100重量部に対して、水酸化カルシウム0.005重量%、スミライザーGP(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学株式会社製)0.075重量%、住友化学株式会社社製スミライザーGS(2,4―ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.03重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは3g/10分であった。上記プロピレン共重合体を、以下、PP1と称することがある。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンを共重合した。得られたプロピレン共重合体は、プロピレン重合体成分(A)の含有量が77重量%、[η]Aが1.77dl/g、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の含有量が23重量% 、[η]Bが3.10dl/g、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量が30重量%であった。
得られたプロピレン共重合体100重量部に対して、水酸化カルシウム0.003重量%、イルガノックス1010(BASF社製)0.2重量%およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは3g/10分であった。上記プロピレン共重合体を、以下、PP2と称することがある。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程で、気相中でプロピレンを重合し、次いで第二工程で、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合した。得られたプロピレン共重合体は、プロピレン重合体成分(A)の含有量が84重量%、[η]Aが2.22dl/g、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の含有量が16重量%、[η]Bが3.65dl/g、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)におけるエチレンに由来する単量体単位の含有量が40重量%であった。
得られたプロピレン共重合体100重量部に対して、ジカルボン酸金属塩(成分(C))として、HPN−68L(ミリケン・ジャパン株式会社製、主成分の化学名:ジナトリウム=(1R,2R,3S,4S)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシラート(80重量%含有))を0.05重量部、ハイドロタルサイト(DHT4C、協和化学工業株式会社製)0.01重量部、エルカ酸アミド(ニュートロン−S、日本精化株式会社製)0.10重量部、スミライザーGP(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学株式会社製)0.075重量部、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学株式会社製)0.075重量部、メルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは、7.6g/10分であった。上記プロピレン共重合体を、以下、PP3と称することがある。
エチレン−1−ヘキセン共重合体であるスミカセンE FV405(商品名)(住友化学株式会社製)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.8g/10分であり、密度は924kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。該エチレン−1−ヘキセン共重合体を、以下、PE1と称することがある。
プロピレン単独重合体98重量%とジナトリウム−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン−2,3−ジカルボキシラート2重量%をブレンドして得た混合物100重量%に対して、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.10重量%、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットを、以下、MB1と称することがある。
プロピレン単独重合体98重量%と1,2−シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩2重量%をブレンドして得た混合物100重量%に対して、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.10重量%、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットを、以下、MB2と称することがある。
プロピレン単独重合体95重量%と、芳香族リン酸エステル化合物であるアデカスタブNA−21(ADEKA株式会社製)5重量部とをブレンドして得た混合物100重量%に対して、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.10重量%、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量%をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットを、以下、MB3と称することがある。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)85重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)15重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)65重量%とプロピレン共重合体(3)30重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)5重量%をペレットブレンドした混合物を用いた。これらの混合物を濾過精度40μmの金属フィルターを使用した3台の押出機のうち2台で基材層用樹脂組成物を、1台でシール層用樹脂組成物を溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅1250mm、リップ開度0.8mm)に導入して、シール層比が14%、基材層比が86%となるようにダイ温度240℃で溶融押出を行った。
押し出された溶融膜を、50m/分で回転する冷却温度50℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ70μmの積層フィルムを得た。積層フィルムの基材層およびシール層に含まれる各成分の含有量および極限粘度を、表1に示す。得られた積層フィルムを用いて、フィルムのブロッキング性を測定した。
続いて、得られた積層フィルムと、厚み7μmのアルミ箔および厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムをドライラミネート法で積層し、複合フィルムを得た。この複合フィルムを用いて積層フィルムのヒートシール強度を測定した。
さらにこの複合フィルムの15cm×18cmの包装袋を作成し、市販のレトルト食品である大塚食品株式会社製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を用い、積層フィルムのシール層部同士をヒートシールして封入し包装袋を得た。この包装袋を用いてゆず肌評価を行った。その結果を表2に示す。
シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)55重量%とプロピレン共重合体(3)40重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)5重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)60重量%とプロピレン共重合体(3)40重量%をペレットブレンドした混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)98重量%とマスターバッチ(1)2重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)98重量%とマスターバッチ(2)2重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(2)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(2)60重量%とプロピレン共重合体(3)40重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)100重量%を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)60重量%とプロピレン共重合体(3)40重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)60重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)40重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)60重量%とプロピレン共重合体(3)40重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)98重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)2重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)60重量%とプロピレン共重合体(3)40重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)100重量%を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(1)20重量%をペレットブレンドして得た混合物を用い、シール層用樹脂組成物として、プロピレン共重合体(1)99重量%とマスターバッチ(3)1重量%をペレットブレンドして得た混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性とヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
Claims (3)
- 基材層とシール層とを有する積層フィルムであって、
前記基材層が、下記定義(1)を満たす70重量%以上95重量%以下の第1のプロピレン共重合体(I)と、5重量%以上30重量%以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(II)とを含有する層であり(但し、プロピレン共重合体(I)とエチレン−α−オレフィン共重合体(II)の含有量の合計を100重量%とする)、
前記シール層が、下記定義(1)を満たす第2のプロピレン共重合体(I)と、前記第2のプロピレン共重合体(I)100重量部に対して0.001重量部以上0.2重量部以下の、下記の構造式(i)で表されるジカルボン酸金属塩(成分C)とを含有する層であり、
前記基材層における第1のプロピレン共重合体(I)および前記シール層における第2のプロピレン共重合体(I)のそれぞれにおいて、前記プロピレン重合体成分(A)の含有量が、60重量%以上90重量%以下であり、前記エチレン−プロピレン共重合体成分(B)の含有量が10重量%以上40重量%以下であり、
積層フィルムの厚みを100%としたときの、前記シール層の厚みの割合が5%以上25%以下である積層フィルム(但し、前記第1または第2のプロピレン共重合体(I)の全量を100重量%とする)。
定義(1):プロピレン重合体成分(A)と、エチレンに由来する単量体単位の含有量が20重量%以上60重量%以下であり、プロピレンに由来する単量体単位の含有量が40重量%以上80重量%以下であるエチレン−プロピレン共重合体成分(B)とからなるプロピレン共重合体(但し、エチレン−プロピレン共重合体成分(B)の全量を100重量%とする。)
(式(i)中、M1およびM2は、ナトリウム、水素、カルシウム、ストロンチウムまたはリチウムであり、同じものであっても異なるものであっても良い。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル基、水酸基、炭素数1〜9のアルコキシ基、炭素数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素数1〜9のアルキルアミノ基、またはフェニル基であり、同じものであっても異なるものであっても良い。R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11のうちの任意の2つが結合して、それらが結合している式(i)に描かれたシクロヘキサン環炭素原子と一緒に、炭素数3〜6の飽和炭化水素環を形成していても良い。R2およびR3は、トランス配置であっても、シス配置であっても良い。) - 前記プロピレン共重合体(I)が、下記の要件(1)および下記の要件(2)を満たす共重合体である請求項1に記載の積層フィルム。
要件(1):エチレン−プロピレン共重合体成分(B)の極限粘度([η]B)が3.0dl/g以上4.5dl/g以下であること。
要件(2):プロピレン重合体成分(A)の極限粘度([η]A)に対するエチレン−プロピレン共重合体成分(B)の極限粘度([η]B)の比([η]B/[η]A)が1.8以上2.6以下であること。
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