JP2009013285A - ガスバリア性樹脂組成物、薬液流出入用筒部材および薬液容器 - Google Patents

ガスバリア性樹脂組成物、薬液流出入用筒部材および薬液容器 Download PDF

Info

Publication number
JP2009013285A
JP2009013285A JP2007176548A JP2007176548A JP2009013285A JP 2009013285 A JP2009013285 A JP 2009013285A JP 2007176548 A JP2007176548 A JP 2007176548A JP 2007176548 A JP2007176548 A JP 2007176548A JP 2009013285 A JP2009013285 A JP 2009013285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
cylindrical member
chemical solution
peripheral surface
surface layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007176548A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5122878B2 (ja
Inventor
Keita Mihira
敬太 三平
Eiji Shiba
英治 志波
Takanori Sasaki
孝法 佐々木
Kohei Yuyama
恒平 湯山
Tadaaki Inoue
忠昭 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2007176548A priority Critical patent/JP5122878B2/ja
Publication of JP2009013285A publication Critical patent/JP2009013285A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5122878B2 publication Critical patent/JP5122878B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】薬液流出入用筒部材などのガスバリア層の形成に用いられる樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いて簡易な工程に製造可能な薬液流出入用筒部材と、この薬液流出入用筒部材を備える薬液容器とを提供すること。
【解決手段】ポリアミド系樹脂と、エチレン−ビニルアルコール共重合体と、接着性ポリオレフィンとを含み、各上記成分の総量に対し、ポリアミド系樹脂を10〜55重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体を35〜85重量%、接着性ポリオレフィンを5〜45重量%の割合で含有するガスバリア性樹脂組成物で、薬液流出入用筒部材1のガスバリア層7を形成する。薬液流出入用筒部材1は、医薬的に薬液との接触を許容されている材料から形成される内周表面層6を備え、さらに、少なくとも薬液容器の容器本体2から露出される露出部5において、内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性樹脂組成物と、ガスバリア性を有する薬液流出入用筒部材と、この薬液流出入用筒部材を備える薬液容器とに関する。
脂肪乳剤、アミノ酸含有液、抗生物質含有液、ビタミン類含有液などの酸化しやすい薬液や、重炭酸リンゲル液、人工脳脊髄液、眼灌流液などの、炭酸ガスの揮散による変質を生じやすい溶液は、ガスの透過が抑制された容器での保存が必要である。従来、薬液容器や、薬液容器からの薬液の流出入に用いられる筒部材には、薬液に対する安定性や医薬上の安全性の観点より、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが多用されているが、ポリオレフィンは酸素、二酸化炭素などのガスを透過し易いという特徴がある。また、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどのガス透過度が低いプラスチック、いわゆるガスバリア性プラスチックは、一般に、薬液に対する安定性や医薬上の安全性が確立されていない。
そこで、近年、薬液流出入用筒部材や薬液容器には、ポリオレフィンから形成され、薬液と直接に接触する内側表面層と、この内側表面層の外表面側に形成され、ガスバリア性プラスチックからなる外層(ガスバリア層)と、を備える積層体を用いることが検討されている。
特許文献1には、容器本体の開口部分に取り付けられた中空の筒状栓体であって、この筒状栓体の筒状部における最外層や中間層が、ガスバリア性材料で形成されたものが記載されている。また、同文献には、上記筒状栓体の製造方法として、予め射出成形金型内にガスバリア性を有する材料からなるフィルムを装着し、このフィルムを内周または外周に付着させた筒状別部材を形成し、次いで、上記筒状栓体の筒状部内周または外周に、上記筒状別部材を溶着させる方法が記載されている。
特許文献2には、バリア性樹脂中間層を有し、少なくとも一方の端部側で上記バリア性樹脂中間層に折り返し部を設けた容器用注出部材が記載されている。また、同文献には、上記容器用抽出部材の製造方法として、バリア性樹脂中間層の端部に折り返し部を設けた後、この折り返し部を内外樹脂層によって被覆する方法が記載されている。
特許文献3には、少なくとも注出部およびシール部を有する容器用注出部材が記載されており、同文献には、注出部がバリア性樹脂層を有する多層構造であり、注出部とシール部とが、別々に成形後、一体化されるものであることが記載されている。
特開平11−29159号公報 特開2002−255200号公報 特開2003−291990号公報
しかるに、ガスバリア性プラスチックは、一般に、ポリオレフィンとの相溶性や接着性が乏しい素材である。このため、薬液流出入用筒部材と薬液容器とが、ともに、ポリオレフィンからなる内側表面層とガスバリア性プラスチックからなる外側表面層との積層体である場合には、薬液流出入用筒部材の内側表面層と薬液容器の外側表面層との接着強度が不十分になる場合があり、例えば、使用時に、薬液流出入用筒部材が薬液容器の開口部から抜け落ちるといった不具合を生じるおそれがある。
また、薬液流出入用筒部材や薬液容器は、大量生産に適した簡易な方法で製造することが求められている。しかしながら、特許文献1に記載の栓体では、その形成時に、予め射出成形金型内にガスバリア性フィルムを装着することが必要になり、特許文献2に記載の容器用注出部材では、その形成時に、筒状のバリア性樹脂中間層の端部に折り返し部を形成することが必要になり、特許文献3に記載の容器用注出部材では、別々に成形された注出部とシール部とを一体化することが必要になるため、いずれも場合も、製造工程が複雑になる。
そこで、本発明の目的は、薬液流出入用筒部材や薬液容器におけるガスバリア層の形成に用いられる樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いて簡易な工程で製造することのできる薬液流出入用筒部材と、この薬液流出入用筒部材を備える薬液容器と、を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1のガスバリア性樹脂組成物は、ポリアミド系樹脂と、エチレン−ビニルアルコール共重合体と、接着性ポリオレフィンとを含み、前記ポリアミド系樹脂、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体、および前記接着性ポリオレフィンの総量に対し、ポリアミド系樹脂の含有割合が10〜55重量%であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有割合が35〜85重量%であり、接着性ポリオレフィンの含有割合が5〜45重量%であることを特徴としている。
また、本発明の第2のガスバリア性樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドと、接着性ポリオレフィンとを含み、半芳香族ポリアミドおよび接着性ポリオレフィンの総量に対し、前記半芳香族ポリアミドの含有割合が55〜95重量%であり、前記接着性ポリオレフィンの含有割合が5〜45重量%であることを特徴としている。
上記第1および第2のガスバリア性樹脂組成物によれば、ガス透過性が低く(すなわち、ガスバリア性に優れ)、しかも、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン)との接着性が良好な樹脂成形体を形成することができる。
本発明の薬液流出入用筒部材は、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている薬液容器の容器本体に取り付けられる、薬液を流出入させるための筒部材であって、前記容器本体に接合される接合部と、前記容器本体から露出される露出部とを備え、前記接合部と前記露出部とは、前記薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成され、流出入される薬液と接触する内周表面層を備え、少なくとも前記露出部は、さらに、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物で形成され、前記内周表面層を外方から被覆するガスバリア層を備えていることを特徴としている。
上記薬液流出入用筒部材によれば、上記接合部と上記露出部とに、医薬的に薬液との接触を許容されている材料から形成される内周表面層を備えていることから、薬液との接触に対する安全性を得ることができ、さらに、少なくとも上記露出部に、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物で形成されるガスバリア層を備えていることから、優れたガスバリア性を得ることができる。また、上記薬液流出入用筒部材は、実質的に、内周表面層とガスバリア層との2層からなる簡易な層構造を有しており、さらに、内周表面層とガスバリア層とが、ともに熱可塑性樹脂からなっている。このため、上記薬液流出入用筒部材は、射出成形により、簡易な工程で製造することができる。
しかも、上記ガスバリア層を形成する本発明の第1および第2のガスバリア性樹脂組成物は、いずれも、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン)との接着性が良好である。このため、上記薬液流出入用筒部材は、内周表面層とガスバリア層との接着性が良好である。また、上記薬液流出入用筒部材は、その接合部において、内周表面層の外方にガスバリア層が被覆されない部分、すなわち、内周表面層が接合部の外側表面に現れている部分を備えている。このため、この薬液流出入用筒部材の接合部は、上記容器本体の内側表面との接合性が極めて良好である。
本発明の薬液容器は、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている薬液容器の容器本体と、前記容器本体に取り付けられて薬液を流出入させるための上記薬液流出入用筒部材と、を備えていることを特徴としている。
上記薬液容器によれば、本発明の薬液流出入用筒部材を備えていることから、薬液流出入用筒部材からのガスの漏出または侵入を抑制できる。さらに、上記薬液容器によれば、容器本体の内側表面が、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されており、薬液流出入用筒部材の接合部において、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている内周表面層が、その外側表面に現れていることから、薬液流出入用筒部材との接着性が良好である。
本発明のガスバリア性樹脂組成物によれば、ガスバリア性に優れた樹脂成形体を得ることができる。それゆえ、例えば、薬液流出入用筒部材や薬液容器において、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成される内周表面層をその外方から被覆するガスバリア層の形成材料として用いることにより、薬液流出入用筒部材や薬液容器に対してガスバリア性を付与することができる。
また、本発明の薬液流出入用筒部材と、この薬液流出入用筒部材を備える薬液容器とによれば、薬液流出入用筒部材についての、薬液との接触に対する安全性と、ガスバリア性とを両立させることができ、薬液流出入用筒部材内での層間剥離が抑制され、しかも、薬液流出入用筒部材との接着性が良好な薬液容器を、簡易な方法で製造することができる。
本発明の第1のガスバリア性樹脂組成物は、ポリアミド系樹脂と、エチレン−ビニルアルコール共重合体と、接着性ポリオレフィンとを含んでいる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドなどが挙げられる。
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ナイロン−6(PA 6;ポリカプロラクタム)、ナイロン−7(PA 7;ポリ(7−アミノヘプタン酸))、ナイロン−9(PA 9;ポリ(9−アミノノナン酸))、ナイロン−10(PA 10;ポリ(10−アミノデカン酸))、ナイロン−11(PA 11;ポリ(11−アミノウンデカン酸))、ナイロン−12(PA 12;ポリラウロラクタム)などのω−アミノ酸の重縮合体、
例えば、ナイロン−2,6(PA 26;ポリエチレンアジポアミド)、ナイロン−4,6(PA 46;ポリ(テトラメチレンアジポアミド))、ナイロン−6,6(PA 66;ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド))、ナイロン−6,10(PA 610;ポリ(ヘキサメチレンセバクアミド))、ナイロン−6,12(PA 612;ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド))、ナイロン−8,6(PA 86;ポリ(オクタメチレンアジポアミド))、ナイロン−8,10(PA 810;ポリ(オクタメチレンセバクアミド))、ナイロン−8,12(PA 812;ポリ(オクタメチレンドデカンジアミド))、ナイロン−10,6(PA 106;ポリ(デカメチレンアジポアミド))、ナイロン−10,8(PA 108;ポリ(デカメチレンオクタンジアミド))、ナイロン−10,10(PA 1010;ポリ(デカメチレンセバクアミド))、ナイロン−12,12(PA 1212;ポリ(ドデカメチレンドデカンジアミド))などの脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との共縮重合体、
例えば、ナイロン−6/12(カプロラクタム−ラウリロラクタム共重合体)、ナイロン−6/9(カプロラクタム−9−アミノノナン酸共重合体)、ナイロン−6/6,6(カプロラクタム−ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ナイロン−12/6,6(ラウロラクタム−ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ナイロン−6/6,10(カプロラクタム−ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、ナイロン−2,6/6,6(エチレンジアンモニウムアジペート−ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ナイロン−6,6/6,10(ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート−ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体などの共重合体、
などが挙げられる。これら脂肪族ポリアミドは、単独で、または2種以上を混合して用いられる。
半芳香族ポリアミドとしては、例えば、ナイロン−6T(PA 6T;ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド))、ナイロン−6I(PA 6I;ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド))、ナイロン−9T(PA 9T;ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド))、ナイロン−M5T(PA M5T;ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミド)、ポリ(2,2,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(オクタメチレンテレフタルアミド)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ドデカメチレンジアミンテレフタルアミド)、ポリ(ビス(4−アミノシクロヘキシル)メチレンテレフタルアミド)などの、脂肪族ジアミンまたは脂環式ジアミンと、芳香族ジカルボン酸とからの重合体、
例えば、ナイロン−MXD6(PA MXD6;ポリ(メタキシリレンアジポアミド))、ポリ(メタキシリレンセバクアミド)、ポリ(パラキシリレンアジポアミド)、ポリ(パラキシリレンセバクアミド)などの、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸からの重合体、
例えば、ナイロン6I/6T(ヘキサメチレンイソフタルアミド−ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体)などの共重合体、
などが挙げられる。これら半芳香族ポリアミドは、単独で、または2種以上を混合して用いられる。
また、ポリアミド系樹脂は、上記のなかでも脂肪族ポリアミドが好ましく、とりわけ、ナイロン−6が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)としては、例えば、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化物が挙げられる。EVOHのエチレン共重合比率は、好ましくは、10〜55モル%であり、さらに好ましくは、25〜45モル%であり、とりわけ好ましくは、25〜35モル%である。EVOHのエチレン共重合比率が上記範囲を下回ると、例えば、第1のガスバリア性樹脂組成物から得られる樹脂成形体について、蒸気滅菌時の耐水性が低下するおそれがある。逆に、EVOHのエチレン共重合比率が上記範囲を上回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物から得られる樹脂成形体のガス透過度(特に、酸素透過度)を十分に低下させることができなくなるおそれがある。また、EVOHのビニルエステル成分のケン化度は、特に限定されないが、好ましくは、85%以上であり、さらに好ましくは、90%以上である。ケン化度が上記範囲を下回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物から得られる樹脂成形体のガス透過度(特に、酸素透過度)を十分に低下させることができなくなるおそれがある。
EVOHのビニルエステル成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステルが挙げられる。また、EVOHは、共重合成分として、ビニルシラン化合物を含有していてもよい。この場合において、ビニルシラン化合物の含有割合は、好ましくは、EVOH全体の0.0002〜0.2モル%である。ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランなどが挙げられ、特に好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。さらに、EVOHの他の共重合成分としては、例えば、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸またはそのエステル、例えば、N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンなどのコモノマーが挙げられる。これらコモノマーの含有割合は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜設定することができる。
EVOHには、本発明の目的を阻外しない範囲で、ホウ素化合物をブレンドすることができる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類などが挙げられる。具体的に、ホウ酸類としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては、例えば、上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらのなかでも、オルトホウ酸が特に好ましい。EVOHにホウ素化合物をブレンドする場合に、ホウ素化合物の含有量は、ホウ素元素換算で、好ましくは、20〜2000ppm、さらに好ましくは、50〜1000ppmである。ホウ素化合物の含有量を上記範囲に設定することで、加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOHを得ることができる。また、ホウ素化合物の含有量が上記範囲を下回ると、トルク変動の抑制効果が小さくなり、上記範囲を上回ると、EVOHがゲル化し、成形性不良を引き起こすおそれがある。
また、EVOHには、他の樹脂との相溶性や、第1のガスバリア性樹脂から得られる樹脂成形体と他の樹脂成形体の溶着性を向上させるという観点より、アルカリ金属塩をブレンドすることができる。この場合において、アルカリ金属塩の含有割合は、アルカリ金属元素換算で、好ましくは、5〜5000ppm、さらに好ましくは、20〜1000ppm、特に好ましくは、30〜500ppmである。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属塩としては、上記アルカリ金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体などが挙げられる。アルカリ金属塩の具体例としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩などが挙げられる。なかでも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが好適である。
また、EVOHには、本発明の目的を阻外しない範囲で、リン化合物をブレンドすることができる。この場合において、リン化合物の含有割合は、リン元素換算で、好ましくは、2〜200ppm、さらに好ましくは、3〜150ppm、特に好ましくは、5〜100ppmである。リン化合物の含有割合を上記範囲に設定することで、EVOHの熱安定性を向上させることができる。また、リン化合物の含有割合が上記範囲を外れると、熱安定性を向上させる効果が小さくなる。リン化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸などの各種の酸、およびそれらの塩などが挙げられ、上記リン酸塩は、第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれであってもよい。また、上記リン酸塩は、好ましくは、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、さらに好ましくは、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムが挙げられる。
EVOHのメルトフローレート(MFR)は、温度190℃、荷重2160gの条件下において、好ましくは、0.1〜50g/10分であり、さらに好ましくは、0.3〜40g/10分、特に好ましくは、0.5〜30g/10分である。なお、融点が190℃付近であるか、または190℃を上回る場合のEVOHについてのMFRは、荷重2160gの条件下で、融点以上の複数の温度でMFRを測定し、この測定結果を、横軸を絶対温度の逆数、縦軸をMFRの対数としてプロットして、190℃に外挿したときの値である。これらのEVOH樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる
EVOHの具体例としては、これに限定されないが、例えば、(株)クラレ製の商品名「エバール(登録商標)」などが挙げられる。
接着性ポリオレフィンとしては、例えば、グラフト反応などによってポリオレフィンに官能基を導入した変性ポリオレフィン、またはそのケン化物が挙げられる。上記官能基としては、例えば、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、カルボン酸イミド、カルボン酸ハライド、エチレン系不飽和単量体(カルボニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、エーテル基などの官能基を有するもの)などが挙げられる。これら官能基は、単独で、または2種以上を混合して用いられる。
また、上記カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(商品名「ナジック酸(商標)」)などのエチレン系不飽和カルボン酸が挙げられ、好ましくは、マレイン酸が挙げられる。カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸などのエチレン系不飽和無水カルボン酸が挙げられる。エチレン系不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、マレイン酸モノまたはジエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタクリル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−N−エチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン系不飽和エステル、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミドなどのエチレン系不飽和アミドまたはイミド、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトンなどのエチン系不飽和アルデヒドまたはケトンが挙げられる。
ポリオレフィン類のグラフト変性には、公知の方法が用いられる。例えば、ポリオレフイン類を有機溶媒に溶解し、次いで、得られた溶液に、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体と、ラジカル開始剤などとを加え、通常、60〜350℃、好ましくは、80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは、1〜10時間反応させることにより、ポリオレフィン類がグラフト変性される。上記有機溶媒は、ポリオレフィン類を溶解できるものであれば特に制限されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、などが挙げられる。また、ポリオレフィン類のグラフト変性の他の方法としては、ポリオレフィン類と、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体とを、押出機などにて、無溶媒で反応させる方法が挙げられる。この場合の反応条件としては、反応温度が、通常のポリオレフィン類の融点以上、具体的には、100〜350℃であり、反応時間が、通常、0.5〜10分間である。
また、ポリオレフィン類のグラフト変性には、不飽和カルボン酸またはその誘導体などのグラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるために、ラジカル開始剤の存在下で反応させることが好ましい。ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3,1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t−ブチルペルジエチルアセテートなどの有機化酸化物または有機ペルエステル、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどのアゾ化合物、などが挙げられる。なかでも、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。ラジカル開始剤は、変性前のポリオレフィン類100重量部に対して、通常0.001〜1重量部の割合で用いられる。
不飽和カルボン酸またはその誘導体におけるグラフト変性率は、好ましくは、0.05〜10重量%であり、さらに好ましくは、0.05〜5重量%である。
また、接着性ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、温度190℃、荷重2160gの条件下において、好ましくは、0.1〜70g/10分であり、さらに好ましくは、0.5〜40g/10分であり、特に好ましくは、0.5〜20g/10分である。MFRが上記範囲を下回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の成形性が低下するおそれがある。一方、MFRが上記範囲を上回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の衝撃強度が低下するおそれがある。
接着性ポリオレフィンにおけるポリオレフィンとしては、例えば、高密度、中密度または低密度のポリエチレン、エチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アイオノマー樹脂などが挙げられる。
接着性ポリオレフィンは、上記のなかでも、不飽和カルボン酸変性ポリエチレン、または不飽和カルボン酸変性ポリプロピレンが好ましく、とりわけ、マレイン酸変性ポリエチレン、またはマレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
不飽和カルボン酸変性ポリエチレンまたは不飽和カルボン酸変性ポリプロピレンの具体例としては、これに限定されないが、例えば、三井化学(株)製の商品名「アドマー(登録商標)」などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体についての肌荒れやクラックの抑制に大きく寄与する成分であって、しかも、ガスバリア性が比較的高い。また、EVOHは、ガスバリア性が極めて高い成分であり、接着性ポリオレフィンは、ガスバリア性が比較的低いものの、溶着性に優れている。このため、これら3つの成分を混合することで、上記ガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体に、優れたガスバリア性を付与することができ、例えば、薬液流出入用筒部材や薬液容器におけるガスバリア層の形成材料として好適なものとなる。
ポリアミド系樹脂、EVOH、および接着性ポリオレフィンの各成分の含有割合は、ポリアミド系樹脂、EVOH、および接着性ポリオレフィンの総量に対し、ポリアミド系樹脂が、10〜55重量%、好ましくは、10〜50重量%、特に好ましくは、10〜40重量%であり、EVOHが、35〜85重量%、好ましくは、40〜80重量%、特に好ましくは、50〜70重量%であり、接着性ポリオレフィンが、5〜45重量%、好ましくは、10〜40重量、好ましくは、10〜30重量%である。なお、ポリアミド系樹脂の含有割合と、エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有割合との和は、60〜95重量%である。
各成分の総量に対するポリアミド系樹脂の含有割合が上記範囲を下回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物に占めるEVOHの含有割合が大きくなるため、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体にクラックや肌荒れが生じやすくなる。逆に、各成分の総量に対するポリアミド系樹脂の含有割合が、上記範囲を上回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物に占めるEVOHの含有割合が小さくなるため、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体のガスバリア性が低下する。
各成分の総量に対するEVOHの含有割合が上記範囲を下回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体のガスバリア性が低下する。逆に、各成分の総量に対するEVOHの含有割合が上記範囲を上回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物に占めるポリアミド系樹脂の含有割合が相対的に小さくなって、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体にクラックや肌荒れなどの不具合が生じる。
各成分の総量に対する接着性ポリオレフィンの含有割合が上記範囲を下回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体と、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィンなど。)との接着性が低下する。逆に、各成分の総量に対する接着性ポリオレフィンの含有割合が上記範囲を上回ると、第1のガスバリア性樹脂組成物に占めるEVOHの含有割合が相対的に小さくなって、第1のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体のガスバリア性が低下する。
第1のガスバリア性樹脂組成物は、ポリアミド系樹脂と、EVOHと、接着性ポリオレフィンとともに、本発明の作用効果が損なわれない範囲で、さらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラーなどが挙げられる。
フィラーとしては、例えば、マイカ、セリサイト、タルク、ガラスフレーク、グラスファイバー、バラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられ、なかでも、第1のガスバリア性樹脂組成物からなる樹脂成形体のガスバリア性をより一層向上させる観点より、好ましくは、マイカ、セリサイト、タルク、およびガラスフレークが挙げられる。
第1のガスバリア性樹脂組成物において、上記フィラーのうち、マイカ、セリサイト、タルク、およびガラスフレークからなる群より選ばれる少なくとも1種のフィラーを配合し、これらフィラーの含有割合を、第1のガスバリア性樹脂組成物全体の30重量%以下としたときは、第1のガスバリア性樹脂組成物からなる樹脂成形体のガスバリア性がさらに上昇する。また、この場合において、第1のガスバリア性樹脂組成物における上記フィラーの含有割合は、好ましくは、30重量%以下、さらに好ましくは、5〜30重量%であり、ポリアミド系樹脂と、EVOHと、接着性ポリオレフィンとの混合物の含有割合は、70重量%以上、さらに好ましくは、70〜95重量%である。
第1のガスバリア性樹脂組成物は、例えば、ポリアミド系樹脂と、EVOHと、接着性ポリオレフィンとを、上記範囲で配合し、さらに必要に応じて、上記他の成分を配合し、公知の溶融混練装置で溶融、混練することにより調製できる。また、溶融混練物は、例えば、ペレット化して、乾燥させればよい。各成分の溶融混練には、例えば、単軸または2軸のスクリュー押出機などが用いられるが、各成分の混合の均一性を高め、樹脂成形体中でのゲルの発生や、これに伴うブツの生成を抑制する観点より、できるだけ混練度の高い押出機を使用し、ホッパーを不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)でシールし、低温で押出することが好ましい。
本発明の第2のガスバリア性樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドと、接着性ポリオレフィンとを含んでいる。
半芳香族ポリアミドとしては、第1のガスバリア性樹脂組成物に用いられる半芳香族ポリアミドと同じものが挙げられる。上記半芳香族ポリアミドは、単独で、または2種以上を混合して用いられる。また、半芳香族ポリアミドは、上記のなかでも、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸からのホモポリマーが好ましく、とりわけ、ナイロンMXD6が好ましい。
接着性ポリオレフィンとしては、第1のガスバリア性樹脂組成物に用いられる接着性ポリオレフィンと同じものが挙げられる。また、上記接着性ポリオレフィンは、単独で、または2種以上を混合して用いられる。また、接着性ポリオレフィンは、上記のなかでも、不飽和カルボン酸変性ポリエチレン、または不飽和カルボン酸変性ポリプロピレンが好ましく、とりわけ、マレイン酸変性ポリエチレン、またはマレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。不飽和カルボン酸変性ポリエチレンまたは不飽和カルボン酸変性ポリプロピレンの具体例としては、これに限定されないが、例えば、三井化学(株)製の商品名「アドマー(登録商標)」などが挙げられる。
半芳香族ポリアミドは、第2のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体についてのガスバリア性に大きく寄与する成分であって、しかも、上記樹脂成形体についての肌荒れやクラックを抑制する効果が比較的優れている。また、接着性ポリオレフィンは、ガスバリア性が比較的低いものの、溶着性に優れている。このため、これら2つの成分を混合することで、上記ガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体に、優れたガスバリア性を付与することができ、例えば、薬液流出入用筒部材や薬液容器におけるガスバリア層の形成材料として好適なものとなる。
半芳香族ポリアミドと、接着性ポリオレフィンとの含有割合は、半芳香族ポリアミドおよび接着性ポリオレフィンの総量に対し、半芳香族ポリアミドが、65〜95重量%、好ましくは、70〜90重量%であり、接着性ポリオレフィンの含有割合が、5〜35重量%、好ましくは、10〜30重量%である。
半芳香族ポリアミドの含有割合が上記範囲を下回ると、第2のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体のガスバリア性が低下し、上記樹脂成形体に肌荒れやクラックが生じやすくなる。逆に、半芳香族ポリアミドの含有割合が、上記範囲を上回ると、第2のガスバリア性樹脂組成物で形成される樹脂成形体と、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィンなど。)との接着性が低下する。
上記第2のガスバリア性樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドと、接着性ポリオレフィンとともに、本発明の作用効果が損なわれない範囲で、さらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、第1のガスバリア性樹脂組成物に用いられる他の成分と同様の、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラーなどが挙げられる。また、フィラーとしては、第1のガスバリア性樹脂組成物に用いられる他の成分と同様のものが挙げられる。
第2のガスバリア性樹脂組成物において、上述のフィラーのうち、マイカ、セリサイト、タルク、およびガラスフレークからなる群より選ばれる少なくとも1種のフィラーを配合し、これらフィラーの含有割合を、第2のガスバリア性樹脂組成物全体の30重量%以下としたときは、第2のガスバリア性樹脂組成物からなる樹脂成形体のガスバリア性がさらに上昇する。また、この場合において、第2のガスバリア性樹脂組成物における上記フィラーの含有割合は、好ましくは、30重量%以下、さらに好ましくは、5〜30重量%であり、半芳香族ポリアミドと接着性ポリオレフィンとの混合物の含有割合は、70重量%以上、さらに好ましくは、70〜95重量%である。
第2のガスバリア性樹脂組成物は、例えば、半芳香族ポリアミドと、接着性ポリオレフィンとを、上記範囲で配合し、さらに必要に応じて、上記他の成分を配合し、公知の溶融混練装置で溶融、混練することにより調製できる。また、溶融混練物は、例えば、ペレット化して、乾燥させればよい。各成分の溶融混練には、例えば、単軸または2軸のスクリュー押出機などが用いられるが、各成分の混合の均一性を高め、樹脂成形体中でのゲルの発生や、これに伴うブツの生成を抑制する観点より、できるだけ混練度の高い押出機を使用し、ホッパーを不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)でシールし、低温で押出することが好ましい。
上記第1および第2のガスバリア性樹脂組成物によれば、ガス透過性が低い、すなわちガスバリア性に優れ、さらに、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィンなど。)との接着性が良好な樹脂成形体を形成することができる。
それゆえ、上記第1および第2のガスバリア性樹脂組成物は、いずれも、例えば、薬液流出入用筒部材や薬液容器において、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成される内周表面層をその外方から被覆し、上記内周表面層に対してガスバリア性を付与するためのガスバリア層の形成材料として好適である。
本発明の薬液流出入用筒部材は、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている薬液容器の容器本体に取り付けられて、薬液を流出入させるための筒部材である。この薬液流出入用筒部材は、少なくとも、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成され、流出入される薬液と接触する内周表面層と、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物で形成され、上記内周表面層を外方から被覆するガスバリア層と、を備えている。
また、上記薬液流出入用筒部材は、薬液容器の容器本体に接合される接合部と、上記容器本体から露出される露出部とを備えている。
接合部において、薬液流出入用筒部材は、少なくとも内周表面層を備えている。また、接合部は、薬液流出入用筒部材の外側表面に内周表面層が露出している部分を有している。この接合部において、薬液流出入用筒部材の外側表面には、薬液容器の容器本体が被覆しており、これにより、薬液流出入用筒部材と上記容器本体とが接合されている。
一方、露出部において、薬液流出入用筒部材は、内周表面層と、この内周表面層を外方から被覆するガスバリア層とを備えている。また、露出部において、薬液流出入用筒部材の外側表面は、上記容器本体によって被覆されておらず、それゆえ、この露出部では、薬液流出入用筒部材の外側表面が薬液容器の外部に露出している。
なお、薬液流出入用筒部材は、その接合部において、内周表面層のみを備えていてもよいが、例えば、露出部において内周表面層を被覆しているガスバリア層が、接合部と露出部との境界部分から接合部側へと伸びるように、すなわち、接合部と露出部との境界から、接合部側に(薬液流出入用筒部材の接合側端部側に)はみ出して、形成されていてもよい。この場合、接合部と露出部との境界部分でのガスバリア性をより一層良好なものとすることができる。
さらに、この場合において、接合部と露出部との境界部分から接合部側へと伸びているガスバリア層の外方には、薬液容器との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成される外周表面層を被覆させてもよい。これにより、薬液流出入用筒部材と容器本体との接着性をより一層良好なものとすることができる。外周表面層は、これに限定されないが、例えば、薬液流出入用筒部材の接合部側端部で、内周表面層と連続するように形成され、内周表面層と外周表面層とが一体化していることが好ましい。
内周表面層を形成する、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ環状オレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられ、好ましくは、ポリオレフィンが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリエチレンとしては、例えば、高圧法(分岐状)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのホモポリマーや、ポリエチレン系コポリマーなどが挙げられる。ポリエチレン系コポリマーにおけるエチレン以外のコモノマーとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1などのα−オレフィン類が挙げられる。また、このポリエチレン系コポリマーにおいて、エチレン以外のコモノマーの含有割合は、好ましくは、20モル%以下であり、より好ましくは、3〜20モル%である。ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンなどのホモポリマーや、ポリプロピレン系コポリマーなどが挙げられる。ポリプロピレン系コポリマーにおけるプロピレン以外のコモノマーとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1などのα−オレフィン類が挙げられる。また、このポリプロピレン系コポリマーにおいて、プロピレン以外のコモノマーの含有割合は、好ましくは、30モル%以下であり、より好ましくは、2〜30モル%であり、さらに好ましくは、3〜25モル%である。ポリプロピレンは、例えば、薬液流出入用筒部材に優れた耐熱性が要求される場合における内周表面層の形成材料として好適である。
内周表面層および外周表面層を形成する、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂には、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。この添加剤の配合割合は、例えば、内周表面層から薬液中への溶出を生じることのない範囲で適宜設定することができる。上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラーなどが挙げられる。また、フィラーとしては、第1または第2のガスバリア性樹脂組成物への配合剤として例示したものと同様のものが挙げられる。
薬液流出入用筒部材の内周表面層とガスバリア層との接触面は、互いに係合する凹凸形状に形成されていてもよい。この場合、内周表面層とガスバリア層との接着性が向上し、両層間の剥離がより一層高度に抑制される。さらに、このことにより、内周表面層とガスバリア層との剥離に伴う上記接触面への水蒸気などの侵入と、それに伴うガスバリア層のガスバリア性の低下を抑制できる。
また、薬液流出入用筒部材の接合部における外側表面は、凹凸形状に形成されていてもよい。この場合、薬液流出入用筒部材と、容器本体との接着性を、より一層向上させることができる。
薬液流出入用筒部材には、内周表面層の内部を封止するための弾性封止体が備えられる。弾性封止体は、容器本体に収容されている薬液の流出、または容器本体内への薬液などを流入に使用する中空針を刺し通し、かつ保持することができるものであればよい。それゆえ、弾性封止体の形成材料は特に限定されないが、薬液流出入用筒部材からのガスの漏出または侵入を抑制する観点より、好ましくは、ガスバリア性を有する弾性材料が挙げられる。
弾性封止体の形成材料としては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム(ブチルゴム;IIR)、IIRのハロゲン化物、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系などの各種熱可塑性エラストマー)などが挙げられる。なかでも、弾性封止体自体にガスバリア性を付与する観点より、好ましくは、IR、IIRが挙げられ、より好ましくは、IRが挙げられる。
また、薬液流出入用筒部材の露出側端部には、ガスバリア性を有するピールシールを備えていてもよい。ピールシールの形成材料としては、例えば、ガスバリア性を有する各種のフィルムが挙げられ、具体的に、例えば、アルミナ、シリカなどの無機物が蒸着されたフィルムなどが挙げられる。
薬液流出入用筒部材は、上述のとおり、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成される内周表面層と、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物で形成されるガスバリア層と、必要に応じて、上述の外周表面層と、を備えている。これらの層は、いずれも熱可塑性樹脂からなっていることから、各上記層を射出成形により形成することができる。また、例えば、インサート成形、2色成形などの成形方法を用いることで、各上記層、とりわけ、内周表面層とガスバリア層とが、互いに接合し、一体化された薬液流出入用筒部材を、簡易に製造することができる。
上記の薬液流出入用筒部材は、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成される内周表面層を備えていることから、薬液に対する安定性が優れている。また、少なくとも露出部において、内周表面層を外方から被覆するガスバリア層を備えていることから、ガスバリア性を有しており、薬剤容器の外部に露出している部分において、薬液流出入用筒部材からのガスの漏出または侵入を抑制することができる。しかも、接合部において、内周表面層が薬液流出入用筒部材の外側表面に露出していることから、薬液容器との接着性、溶着性に優れている。さらに、上記の薬液流出入用筒部材は、簡易な工程で製造できることから、大量生産に適している。また、ガスバリア層を形成する上記第1および第2のガスバリア性樹脂組成物と、内周表面層を形成する、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂との接着性が良好であることから、内周表面層とガスバリア層との層間剥離を抑制できる。
それゆえ、上記薬液流出入用筒部材は、薬液容器の容器本体に取り付けられ、薬液を流出入させるための筒部材として好適である。
本発明の薬液容器は、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている容器本体と、前記容器本体に取り付けられて薬液を流出入させるための上記薬液流出入用筒部材と、を備えている。
容器本体としては、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されているものであること以外は、特に限定されず、薬液容器に用いられる各種の容器本体が挙げられる。具体的には、例えば、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている2枚の樹脂フィルムを、それぞれの内側表面が対向するように重ね合わせた状態で、その周縁部を溶着することによって形成される袋状の容器本体、例えば、内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されているボトル状の容器本体、などが挙げられる。
薬液容器は、容器本体のうち、薬液を流出入させるための開口端に、上記薬液流出入用筒部材を配置し、薬液流出入用筒部材の接合部を、容器本体の内側表面で挟み込み、熱溶着などの各種のシール方法により、上記接合部と、容器本体の内側表面とを溶着させることで製造される。薬液流出入用筒部材と、容器本体との接着性を良好なものにする観点より、両者の接着時には、容器本体の内側表面が薬液流出入用筒部材の接合部を挟み込んだ状態で、圧を加えながら加熱することが好ましい。
上記薬液容器によれば、薬液を流出入させるための筒部材として、上記薬液流出入用筒部材を備えていることから、薬液流出入用筒部材からのガスの漏出および流入を高度に抑制することができる。それゆえ、上記薬液容器は、例えば、酸化しやすい薬液や、炭酸ガスの揮散による変質を生じやすい溶液などの、ガスの透過が抑制された環境下での収容、保存が必要となる薬液を収容するための容器として好適である。
次に、本発明の薬液流出入用筒部材と、それを備える薬液容器との一実施形態を、図1〜12を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の薬液流出入用筒部材の一実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の薬液容器の一実施形態を示す斜視図である。図3〜6は、図1に示す薬液流出入用筒部材のインサート成形による製造工程を示す説明図である。また、図7は、図1に示す薬液流出入用筒部材を2色成形により製造するための射出成形機を示す概略構成図であり、図8〜12は、図1に示す薬液流出入用筒部材の2色成形による製造工程を示す説明図である。
図1および図2を参照して、薬液流出入用筒部材1は、少なくとも内側表面が薬液との接触を許容されている材料で形成されている容器本体2に取り付けられ、この容器本体2とともに薬液容器3を形成している。
薬液流出入用筒部材1は、容器本体2内に収容されている薬液を容器本体2の外部へ流出し、または容器本体2の外部から内部へと薬液を流入するための筒部材である。この薬液流出入用筒部材1は、容器本体2に接合される接合部4と、容器本体2から露出される露出部5と、を備えている。これら接合部4および露出部5は、後述するように、インサート成形や2色成形により連続的に成形され、互いに接合し、一体化している。また、接合部4と露出部5とは、いずれも薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成され、流出入される薬液と接触する、略筒状の内周表面層6を備えている。
接合部4は、薬液流出入用筒部材1の接合側端部9側において、内周表面層6のみを備えている。一方、露出部5は、さらに、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物で形成され、内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7を備えている。このガスバリア層7は、露出部5において内周表面層6の外側表面を被覆しており、内周表面層6の外部への露出を防止している。また、ガスバリア層7は、接合部4と露出部5との境界部分から、薬液流出入用筒部材1の露出側端部8側へとはみ出して、内周表面層6の外側表面を被覆している。
内周表面層6の、接合部4と露出部5との接続方向xと直交する方向(以下、「径方向」といい、符号yで示す。)の厚みは、内周表面層6を形成する材料の機械的強度、薬液流出入用筒部材のサイズなどに応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、通常、好ましくは、0.1〜10mmであり、より好ましくは、0.5〜2.5mmである。
ガスバリア層7の径方向yにおける厚みは、ガスバリア層7に要求されるガスバリア性の程度、ガスバリア層7を形成する材料の機械的強度、薬液流出入用筒部材のサイズなどに応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、通常、好ましくは、0.1〜10mmであり、より好ましくは、0.1〜2.5mmである。
内周表面層6とガスバリア層7との接触面は、互いに係合する凹凸部10を備えている。このように、上記接触面に凹凸部10を備えることで、内周表面層6とガスバリア層7との層間剥離を抑制できる。
薬液流出入用筒部材1は、その露出側端部8側において、弾性封止体11を備えており、この弾性封止体11によって、薬液流出入用筒部材1の露出側端部8および接合側端部9間における薬液の流通が遮られる。薬液容器の使用時には、弾性封止体11に中空針を刺通させることにより、薬液の流出入を実現できる。
また、薬液流出入用筒部材1は、その露出側端部8に、ピールシール12を備えている。このピールシール12によって、弾性封止体11の表面に汚れが付着することを防止できる。また、ピールシール12にガスバリア性を有する樹脂フィルムを用いることで、弾性封止体がガスバリア性を有していない場合であっても、露出側端部8および接合側端部9間でのガスの流通を抑制することができる。
この薬液流出入用筒部材1は、内周表面層6を備えていることから、薬液に対する安定性が優れており、少なくとも薬剤容器の外部に露出する露出部5において、内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7を備えていることから、ガスバリア性を有している。しかも、接合部4において、内周表面層6が薬液流出入用筒部材1の外側表面に露出していることから、薬液容器の容器本体2との接着性、溶着性に優れている。さらに、この薬液流出入用筒部材1は、後述する簡易な工程によって製造することができ、内周表面層6とガスバリア層7との接着性が良好であることから、両層間の層間剥離を防止することができる。
薬液流出入用筒部材1の製造方法としては、例えば、図3〜6に示すインサート成形工程を経る製造方法が挙げられる。
図3および4を参照して、内周表面層6を成形するための射出成形機13は、内周表面層成形用キャビティプレート15およびランナ16を備える固定側型板14と、キャビティ内に樹脂を射出するための射出ノズル17と、内周表面層成型用コア19およびエジェクタピン20を備える可動側型板18と、を備えている。
図3を参照して、内周表面層6の成形では、まず、可動側型板18を固定側型板14へ移動し、かつ、射出ノズル17をランナ16に接続する。次に、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂を、射出ノズル17からランナ16を介して、内周表面層成形用キャビティプレート15と内周表面層成型用コア19との間に形成されるキャビティ内に射出することにより、内周表面層6を成形する。
図4を参照して、次に、可動側型板18を固定側型板14から離し、エジェクタピン20で内周表面層6と、スプルランナ21とを突き出し、内周表面層成型用コア19から内周表面層6を取り外す。
図5および6を参照して、ガスバリア層7を形成するための射出成形機22は、ガスバリア層成形用キャビティプレート24およびランナ25を備える固定側型板23と、キャビティ内に樹脂を射出するための射出ノズル26と、ガスバリア層成型用コア28およびエジェクタピン29を備える可動側型板27と、を備えている。
図5を参照して、ガスバリア層7の成形では、まず、内周表面層成型用コア19から取り外された内周表面層6を、ガスバリア層成型用コア28に装着する。
図6を参照して、次に、可動側型板27を固定側型板23へ移動し、かつ、射出ノズル26をランナ25に接続する。次いで、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物を、射出ノズル26からランナ25を介して、ガスバリア層成形用キャビティプレート24とガスバリア層成型用コア28との間に形成されるキャビティ内に射出することにより、ガスバリア層7を成形する。ガスバリア層7の成形後、可動側型板27を固定側型板23から離し、エジェクタピン29で薬液流出入用筒部材1と、スプルランナ30とを突き出す。これにより、内周表面層6と、この内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7とが互いに接合し、一体化された積層体が得られる。
こうして、上記積層体を成型後、内周表面層6の露出側端部8より弾性封止体11を挿入し、ガスバリア層7の露出側端部8を加熱し、内側に折り曲げて弾性封止体11と係合させることにより、薬液流出入用筒部材1を得ることができる。
また、薬液流出入用筒部材1の他の製造方法としては、例えば、図7に示す射出成形機を使用し、図8〜12に示す2色成形工程を経る製造方法が挙げられる。
図7を参照して、薬液流出入用筒部材1を2色成形により成形するための射出成形機31は、1次側キャビティプレート33、2次側キャビティプレート34、1次側ランナ35、および2次側ランナ36を備える固定側型板32と、1次側キャビティ内に樹脂を射出するための1次側射出ノズル37と、2次側キャビティ内に樹脂を射出するための2次側射出ノズル38と、内周表面層6を成形するための2つのコア40,41、スプルランナ用エジェクタピン42、内周表面層用エジェクタピン43、およびガスバリア層用エジェクタピン44を備える可動側型板39と、を備えている。
図8を参照して、この2色成形工程では、まず、可動側型板39を固定側型板32へ移動し、かつ、1次側射出ノズル37を1次側ランナ35に接続する。次に、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂を、1次側射出ノズル37から1次側ランナ35を介して、1次側キャビティプレート33と第1のコア40との間に形成されるキャビティ内に射出することにより、内周表面層6を成形する。
図9を参照して、次に、可動側型板39を固定側型板32から離し、スプルランナ用エジェクタピン42を突き出して、スプルランナ45を取り除く。この際、内周表面層用エジェクタピン43は静止させ、内周表面層6を第1のコア40に残したままとする。こうして、可動側型板39を、回転軸46により180°回転させる。
図10を参照して、可動側型板39の回転により、第1のコア40の位置と第2のコア41の位置とを交換後、可動側型板39を固定側型板32へ移動する。これにより、内周表面層6を保持した第1のコア40は、2次側キャビティプレート34内に配置される。
図11を参照して、次に、2次側射出ノズル38を2次側ランナ36に接続し、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物を、2次側射出ノズル38から2次側ランナ36を介して、2次側キャビティプレート34と第1のコア40との間に形成されるキャビティ内に射出することにより、ガスバリア層7を成形する。
図12を参照して、次に、可動側型板39を固定側型板32から離し、スプルランナ用エジェクタピン42、内周表面層用エジェクタピン43およびガスバリア層用エジェクタピン44を突き出して、薬液流出入用筒部材1を第1のコア40から取り出し、スプルランナ45を取り除く。
これにより、内周表面層6と、この内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7とが互いに接合し、一体化された薬液流出入用筒部材1が得られる。
再び図2を参照して、薬液容器3の容器本体2は、例えば、少なくとも一方側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されているフィルム2枚を、上記一方側表面が内側となるように重ね合わせ、周縁部を熱シールにより溶着させることにより、袋状に形成される。この薬液容器3において、薬液流出入用筒部材1は、その接合部4を、上記フィルムで挟み込み、例えば、110〜250℃でヒートシールすることにより、容器本体2に取り付けられる。薬液流出入用筒部材1の接合部4は、医薬的に薬液との接触を許容されている材料から形成されていることから、内側表面が上記と同様の材料から形成されている容器本体2との接合性(とりわけ、溶着性)が良好である。
また、ヒートシール時において、好ましくは、薬液流出入用筒部材1の接合部4が上記フィルムで挟み込まれた状態で、0.1〜1MPa、好ましくは、0.15〜0.35MPaで加圧される。例えば、図1に示すように、接合部4の外周面にガスバリア層7を含んでいる場合には、上記の条件で加圧しながらヒートシールすることにより、薬液流出入用筒部材1と容器本体2との接合性(溶着性)を向上させることができる。
次に、本発明の薬液流出入用筒部材の他の実施形態を、図13〜17を参照して、詳細に説明する。
図13は、本発明の薬液流出入用筒部材の他の実施形態を示す断面図であり、図14〜17は、図13に示す薬液流出入用筒部材のインサート成形による製造工程を示す説明図である。
図13を参照して、薬液流出入用筒部材47は、少なくとも内側表面が薬液との接触を許容されている材料で形成されている容器本体2に取り付けられ、この容器本体2とともに薬液容器を形成する。
薬液流出入用筒部材47は、容器本体2内に収容されている薬液を容器本体2の外部へ流出し、または容器本体2の外部から内部へと薬液を流入するための筒部材である。この薬液流出入用筒部材47は、容器本体2に接合される接合部4と、容器本体2から露出される露出部5と、を備えており、これら接合部4および露出部5は、後述するように、インサート成形により連続的に成形され、互いに接合し、一体化している。また、接合部4と露出部5とは、いずれも薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成され、流出入される薬液と接触する、略筒状の内周表面層48を備えている。
接合部4は、薬液流出入用筒部材1の接合側端部9側において、内周表面層48のみを備えている。一方、露出部5は、さらに、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物で形成され、内周表面層48を外方から被覆するガスバリア層49を備えている。このガスバリア層49は、露出部5において内周表面層48の外側表面を被覆しており、内周表面層48の外部への露出を防止している。また、ガスバリア層49は、接合部4と露出部5との境界部分から、薬液流出入用筒部材47の露出側端部8側へとはみ出して、内周表面層48の外側表面を被覆している。
接合部4は、さらに、医薬的に薬液との接触を許容されている材料から形成され、容器本体2の内側表面と接触する外周表面層50を備えている。この外周表面層50と、内周表面層48とは、薬液流出入用筒部材47の接合側端部9で連続するように連結されており、内周表面層48と外周表面層50との間には、接合部4側から連続して伸びるガスバリア層49が挟まれるようにして形成されている。
内周表面層48やガスバリア層49の径方向yにおける厚みは、図1に示す薬液流出入用筒部材1の場合と同様である。外周表面層50の径方向yにおける厚みは、特に限定されず、十分な強度が保たれる範囲で適宜設定される。
内周表面層48とガスバリア層49との接触面には、互いに係合する凹凸形状からなる突起部51を備えている。このように、上記接触面に突起部51を備えることで、内周表面層48とガスバリア層49との層間剥離を抑制できる。
また、接合部4の外側表面と、露出部5の外側表面とは、略一平面となるように形成されている。これにより、薬液流出入用筒部材47と薬液容器の容器本体2との溶着性がより一層良好なものとなる。
薬液流出入用筒部材47は、その露出側端部8側において、弾性封止体11を備えており、この弾性封止体11によって、薬液流出入用筒部材1の露出側端部8および接合側端部9間における薬液の流通が遮られる。薬液容器の使用時には、弾性封止体11に中空針を刺通させることにより、薬液の流出入を実現できる。また、薬液流出入用筒部材47は、その露出側端部8に、ピールシール12を備えている。このピールシール12によって、弾性封止体11の表面に汚れが付着することを防止できる。また、ピールシール12にガスバリア性を有する樹脂フィルムを用いることで、弾性封止体がガスバリア性を有していない場合であっても、露出側端部8および接合側端部9間でのガスの流通を抑制することができる。
この薬液流出入用筒部材47は、内周表面層48を備えていることから、薬液に対する安定性が優れており、少なくとも薬剤容器の外部に露出する露出部5において、内周表面層48を外方から被覆するガスバリア層49を備えていることから、ガスバリア性を有している。しかも、接合部4において、内周表面層48が薬液流出入用筒部材47の外側表面に露出していることから、薬液容器の容器本体2との接着性、溶着性に優れている。さらに、この薬液流出入用筒部材47は、後述する簡易な工程によって製造することができ、内周表面層48とガスバリア層49との接着性が良好であることから、両層間の層間剥離を防止することができる。
薬液流出入用筒部材47の製造方法としては、例えば、図14〜17に示すインサート成形工程を経る製造方法が挙げられる。
図14および15を参照して、ガスバリア層49を成形するための射出成形機52は、ガスバリア層成形用キャビティプレート54およびランナ55を備える固定側型板53と、キャビティ内に樹脂を射出するための射出ノズル56と、ガスバリア層成型用コア58およびエジェクタピン59を備える可動側型板57と、を備えている。
図14を参照して、ガスバリア層49の成形では、まず、可動側型板57を固定側型板53へ移動し、かつ、射出ノズル56をランナ55に接続する。次に、上記第1または第2のガスバリア性樹脂組成物を、射出ノズル56から、ランナ55を介してキャビティ内に射出することにより、ガスバリア層49を成形する。
図15を参照して、次に、可動側型板57を固定側型板53から離し、エジェクタピン59でガスバリア層49と、スプルランナ60とを突き出し、ガスバリア層成型用コア58からガスバリア層49を取り外す。
図16および17を参照して、内周表面層48を形成するための射出成形機61は、内周表面層成形用キャビティプレート63およびランナ64を備える固定側型板62と、キャビティ内に樹脂を射出するための射出ノズル65と、内周表面層成型用コア67およびエジェクタピン68を備える可動側型板66と、を備えている。
図16を参照して、内周表面層48の成形では、まず、ガスバリア層成型用コア58から取り外されたガスバリア層49を、内周表面層成型用コア67に装着する。
図17を参照して、次に、可動側型板66を固定側型板62へ移動し、かつ、射出ノズル65をランナ64に接続する。次いで、薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂を、射出ノズル65から、ランナ64を介してキャビティ内に射出することにより、内周表面層48を成形する。内周表面層48の成形後、可動側型板66を固定側型板62から離し、エジェクタピン68で薬液流出入用筒部材47と、スプルランナ69とを突き出す。これにより、内周表面層48と、この内周表面層48を外方から被覆するガスバリア層49とが互いに接合し、一体化された積層体が得られる。
こうして、上記積層体を成型後、内周表面層48の露出側端部8より弾性封止体11を挿入し、ガスバリア層49の露出側端部8を加熱し、内側に折り曲げて弾性封止体11と係合させることにより、薬液流出入用筒部材47を得ることができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
ガスバリア性樹脂組成物の形成材料として、下記の成分を使用した。
・ナイロン−6:東レ(株)製の「アミラン(登録商標)CM1017」、比重1130kg/m、融点225℃
・ナイロン−MXD6:三菱ガス化学(株)製の「MXナイロン S6001」、融点240℃
・EVOH(44%):(株)クラレ製の「エバール(登録商標)E105」、エチレン共重合比率44モル%、密度1.14g/cm、メルトフローレート5.5g/10分(190℃、2160g荷重)
・EVOH(32%):(株)クラレ製の「エバール(登録商標)F101」、エチレン共重合比率32モル%、密度1.19g/cm、メルトフローレート1.6g/10分(190℃、2160g荷重)
・接着性ポリオレフィン:三井化学(株)製の「アドマー(登録商標)NF548」、無水マレイン酸変性ポリエチレン、密度0.912g/cm、メルトフローレート4.5g/10分(190℃、2160g荷重)
実施例1
・単層試験片の作製
ナイロン−6と、エチレン共重合比率が44モル%のEVOHと、接着性ポリオレフィンとを、ナイロン−6を20重量%、EVOHを50重量%、および接着性ポリオレフィンを30重量%の割合で配合し、タンブラーミキサでドライブレンドした。さらに、得られた混合物を、スクリュー口径37mmφ、スクリュー長さ(L/D)32の二軸押出機(ダイ温度230℃)に投入し、シリンダ温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融押出しすることにより、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを得た。
次いで、上記ブレンドペレットを乾燥後、プレス成形機のプレス金型に充填し、150kg/cm、230℃、10分の条件で加圧、加熱し、厚さ0.3mmのプレスシートの単層試験片を得た。
・試験片の酸素透過係数
上記単層試験片の25℃、60%RHでの酸素透過係数Pを、JIS K7126−2:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法」の電解センサ法(附属書A)に記載の方法に準じて測定した。実施例1と、以下の実施例および比較例では、測定された酸素透過係数P[cm・mm/(m・24h・atm)]が0.20未満である場合を、ガスバリア性が極めて良好であるとして、評価A+とし、0.20以上、0.40未満である場合を、ガスバリア性が良好であるとして、評価Aとした。また、酸素透過係数P[cm・mm/(m・24h・atm)]が0.40以上、0.85未満である場合を評価Bとし、0.85以上である場合を、ガスバリア性が低く、実用に適さないとして、評価Cとした。
・薬液流出入用筒部材の製造
図1に示す薬液流出入用筒部材1を、図3〜図6に示すインサート成形工程を経ることによって製造した。
すなわち、まず、内周表面層成形用射出成形機13の可動側型板18を固定側型板14へ移動し、射出ノズル17をランナ16に接続後、射出ノズル17から、内周表面層成形用キャビティプレート15と内周表面層成型用コア19との間のキャビティ内へと、ポリエチレン(密度0.947g/cm、メルトフローレート22g/10分(190℃、2160g荷重)、(株)プライムポリマー製)を射出することにより、内周表面層6を成形した。上記ポリエチレンの射出成形時の温度は190℃とし、内周表面層6の厚みは、最大1mmとした。
次に、内周表面層成型用コア19から内周表面層6を取り外して、ガスバリア層成形用射出成形機22のガスバリア層成型用コア28に装着した。さらに、可動側型板27を固定側型板23へ移動し、射出ノズル26をランナ25に接続後、射出ノズル26から、ガスバリア層成形用キャビティプレート24とガスバリア層成型用コア28との間のキャビティ内へと、上記のブレンドペレット(ガスバリア性樹脂組成物)を射出することにより、ガスバリア層7を成形した。上記ガスバリア性樹脂組成物の射出成形時の温度は230℃とし、ガスバリア層7の厚みは、最大1mmとした。こうして、内周表面層6と、この内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7とが互いに接合し、一体化された積層体を得た。
次に、上記積層体の内周表面層6の露出側端部8から弾性封止体11を挿入後、ガスバリア層7の露出側端部8を加熱し、内側に折り曲げて弾性封止体11と係合させることにより、薬液流出入用筒部材1を得た。
さらに、こうして得られた薬液流出入用筒部材1を、オートクレーブに入れて、121℃にて蒸気滅菌した。
・表面状態の評価
上記薬液流出入用筒部材1の蒸気滅菌後における表面の状態を目視で観察して、表面の肌荒れと、クラックとを評価した。
肌荒れの評価は、この実施例1と、以下の実施例および比較例とにおいて、蒸気滅菌後のガスバリア層に肌荒れが全く観察されなかった場合を評価Aとし、肌荒れが観察されたものの、その程度が極めて微少であった場合を評価Bとし、肌荒れが顕著で、実用に適さない場合を評価Cとした。
クラックの評価は、この実施例1と、以下の実施例および比較例とにおいて、蒸気滅菌後のガスバリア層にクラックが全く観察されなかった場合を評価Aとし、クラックが観察されたものの、その程度が極めて微少であった場合を評価Bとし、クラックが顕著で、実用に適さない場合を評価Cとした。
・ポリオレフィンとの溶着性
上記の薬液流出入用筒部材の製造で得られた積層体(内周表面層6と、この内周表面層6を外方から被覆するガスバリア層7とを互いに接合して一体化した積層体であって、弾性封止体11の挿入や、ガスバリア層7の露出側端部の折り曲げ処理をする前のもの)をオートクレーブに入れて、121℃にて蒸気滅菌をした後、内周表面層6とガスバリア層7との間に、上記積層体の露出側端部8側から、浸透液(商品名「エージレスシールチェック」、三菱ガス化学(株)製)を注入し、静置した。浸透液の注入から48時間後、上記積層体の接合側端部9から、上記浸透液が全く滲み出なかった場合を、溶着性が良好であるとして、評価Aとした。また、浸透液が一部に滲み出た場合を評価Bとし、浸透液が接合側端部9の全周にわたって滲み出た場合を、溶着性が乏しく、実用に適さないとして、評価Cとした。
実施例2、3、4、6および7、比較例1〜3
ナイロン−6、EVOH(エチレン共重合比率44%)、および接着性ポリオレフィンの総量に対する各成分の含有割合(重量%)を、下記の表1に示す割合に設定したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性とを評価した。
実施例5
EVOHとして、エチレン共重合比率が32モル%のものを使用し、さらに、ナイロン−6、EVOH、および接着性ポリオレフィンの総量に対する各成分の含有割合(重量%)を、下記の表1に示す割合に設定したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
比較例4
ナイロン−6と、接着性ポリオレフィンとを、ナイロン−6を70重量%、および接着性ポリオレフィンを30重量%の割合で配合し、タンブラーミキサでドライブレンドした。こうして得られた混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
比較例5
エチレン共重合比率が44モル%のEVOHと、接着性ポリオレフィンとを、EVOHを70重量%、および接着性ポリオレフィンを30重量%の割合で配合し、タンブラーミキサでドライブレンドした。こうして得られた混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
比較例6
エチレン共重合比率が44モル%のEVOHと、接着性ポリオレフィンとを、EVOHを40重量%、および接着性ポリオレフィンEVOHを60重量%の割合で配合し、タンブラーミキサでドライブレンドした。こうして得られた混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
比較例7
ナイロン−6と、エチレン共重合比率が44モル%のEVOHとを、ナイロン−6を30重量%、およびEVOHを70重量%の割合で配合し、タンブラーミキサでドライブレンドした。こうして得られた混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
Figure 2009013285
表1中、「PA 6」はナイロン−6を示し、「AD」は接着性ポリオレフィンを示す。「EVOH」の欄の「44%」と「32%」は、いずれもEVOHのエチレン共重合比率を示している。
表1より明らかなように、実施例1〜7では、肌荒れやクラックが抑制され、ガスバリア性が高く、かつポリオレフィン樹脂との溶着性が良好であった。特に、実施例1および2では、ガスバリア性が極めて良好であった。一方、比較例1、4〜6では、肌荒れやクラックが顕著に発生しており、比較例2〜4、6では、ガスバリア性が不十分であった。また、比較例7では、溶着性が乏しかった。
実施例8
ナイロン−MXD6と、接着性ポリオレフィンとを、ナイロン−MXD6を70重量%、および接着性ポリオレフィンを30重量%の割合で配合し、タンブラーミキサでドライブレンドした。さらに、得られた混合物を、スクリュー口径37mmφ、スクリュー長さ(L/D)32の二軸押出機(ダイ温度230℃)に投入し、シリンダ温度250℃、スクリュー回転数100rpmで溶融押出しして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを得た。
次いで、上記ブレンドペレットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
比較例8および9
ナイロン−MXD6、および接着性ポリオレフィンの総量に対する各成分の含有割合(重量%)を、下記の表2に示す割合に設定したこと以外は、実施例8と同様にして、ガスバリア性樹脂組成物のブレンドペレットを作製した。さらに、得られたブレンドペレットを使用し、実施例8と同様にして、単層試験片と薬液流出入用筒部材とを作製した。また、単層試験片については、上述の場合と同様にして酸素透過係数を測定し、薬液流出入用筒部材については、上述の場合と同様にして、蒸気滅菌後における表面状態と、ポリオレフィンとの溶着性と、を評価した。
Figure 2009013285
表2中、「PA MXD6」はナイロン−MXD6を示し、「AD」は接着性ポリオレフィンを示す。
表2より明らかなように、実施例8では、肌荒れやクラックが抑制され、ガスバリア性が高く、かつポリオレフィン樹脂との溶着性が良好であった。一方、比較例8および9では、肌荒れやクラックが顕著に発生し、ガスバリア性が不十分であった。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
本発明の薬液流出入用筒部材の一実施形態を示す断面図である。 本発明の薬液容器の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す薬液流出入用筒部材のインサート成形による製造工程を示す説明図である。 図3の続きを示す説明図である。 図4の続きを示す説明図である。 図5の続きを示す説明図である。 図1に示す薬液流出入用筒部材を2色成形により製造するための射出成形機を示す概略構成図である。 図1に示す薬液流出入用筒部材の2色成形による製造工程を示す説明図である。 図8の続きを示す説明図である。 図9の続きを示す説明図である。 図10の続きを示す説明図である。 図11の続きを示す説明図である。 本発明の薬液流出入用筒部材の他の実施形態を示す断面図である。 図13に示す薬液流出入用筒部材のインサート成形による製造工程を示す説明図である。 図14の続きを示す説明図である。 図15の続きを示す説明図である。 図16の続きを示す説明図である。
符号の説明
1,47:薬液流出入用筒部材、 2:容器本体、 3:薬液容器、 4:接合部、 5:露出部、 6,48:内周表面層、 7,49:ガスバリア層、 8:露出側端部、 9:接合側端部

Claims (4)

  1. ポリアミド系樹脂と、エチレン−ビニルアルコール共重合体と、接着性ポリオレフィンとを含み、
    前記ポリアミド系樹脂、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体、および前記接着性ポリオレフィンの総量に対し、ポリアミド系樹脂の含有割合が10〜55重量%であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有割合が35〜85重量%であり、接着性ポリオレフィンの含有割合が5〜45重量%であることを特徴とする、ガスバリア性樹脂組成物。
  2. 半芳香族ポリアミドと、接着性ポリオレフィンとを含み、前記半芳香族ポリアミドおよび前記接着性ポリオレフィンの総量に対し、半芳香族ポリアミドの含有割合が65〜95重量%であり、接着性ポリオレフィンの含有割合が5〜35重量%であることを特徴とする、ガスバリア性樹脂組成物。
  3. 内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている薬液容器の容器本体に取り付けられる、薬液を流出入させるための筒部材であって、
    前記容器本体に接合される接合部と、前記容器本体から露出される露出部とを備え、
    前記接合部と前記露出部とは、前記薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成され、流出入される薬液と接触する内周表面層を備え、
    少なくとも前記露出部は、さらに、請求項1または2に記載のガスバリア性樹脂組成物で形成され、前記内周表面層を外方から被覆するガスバリア層を備えていることを特徴とする、薬液流出入用筒部材。
  4. 内側表面が薬液との接触を許容されている熱可塑性樹脂で形成されている薬液容器の容器本体と、前記容器本体に取り付けられて薬液を流出入させるための、請求項3に記載の薬液流出入用筒部材と、を備えていることを特徴とする、薬液容器。
JP2007176548A 2007-07-04 2007-07-04 薬液流出入用筒部材および薬液容器 Active JP5122878B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007176548A JP5122878B2 (ja) 2007-07-04 2007-07-04 薬液流出入用筒部材および薬液容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007176548A JP5122878B2 (ja) 2007-07-04 2007-07-04 薬液流出入用筒部材および薬液容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009013285A true JP2009013285A (ja) 2009-01-22
JP5122878B2 JP5122878B2 (ja) 2013-01-16

Family

ID=40354591

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007176548A Active JP5122878B2 (ja) 2007-07-04 2007-07-04 薬液流出入用筒部材および薬液容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5122878B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010016404A1 (ja) * 2008-08-05 2010-02-11 藤森工業株式会社 多層液体容器
JP2013233315A (ja) * 2012-05-09 2013-11-21 Dainippon Printing Co Ltd 二室容器
JP5380609B2 (ja) * 2010-11-22 2014-01-08 株式会社細川洋行 口部材付き袋及びその接続構造
WO2016117580A1 (ja) * 2015-01-21 2016-07-28 株式会社大塚製薬工場 ポートの製造方法、及び薬液バッグの製造方法
JP2016189966A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 テルモ株式会社 輸液容器用栓体の製造方法及び輸液容器用栓体
WO2018062126A1 (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 株式会社フジシールインターナショナル スパウト付きパウチ
WO2018203123A1 (ja) * 2017-05-01 2018-11-08 藤森工業株式会社 包装袋

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015146458A1 (ja) * 2014-03-25 2015-10-01 テルモ株式会社 医療用容器、フィルム溶着方法及び容器製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0532837A (ja) * 1991-07-25 1993-02-09 Kuraray Co Ltd 樹脂組成物、フイルムおよび多層構造体
JP2000248175A (ja) * 1999-03-01 2000-09-12 Kuraray Co Ltd 吹込成形品
JP2002338768A (ja) * 2001-05-15 2002-11-27 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 樹脂組成物および積層体
JP2004290362A (ja) * 2003-03-26 2004-10-21 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 薬液容器用口部材およびそれを用いた薬液容器

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0532837A (ja) * 1991-07-25 1993-02-09 Kuraray Co Ltd 樹脂組成物、フイルムおよび多層構造体
JP2000248175A (ja) * 1999-03-01 2000-09-12 Kuraray Co Ltd 吹込成形品
JP2002338768A (ja) * 2001-05-15 2002-11-27 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 樹脂組成物および積層体
JP2004290362A (ja) * 2003-03-26 2004-10-21 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 薬液容器用口部材およびそれを用いた薬液容器

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010036954A (ja) * 2008-08-05 2010-02-18 Fujimori Kogyo Co Ltd 多層液体容器
US8309189B2 (en) 2008-08-05 2012-11-13 Fujimori Kogyo Co., Ltd. Multilayered liquid container
WO2010016404A1 (ja) * 2008-08-05 2010-02-11 藤森工業株式会社 多層液体容器
JP5380609B2 (ja) * 2010-11-22 2014-01-08 株式会社細川洋行 口部材付き袋及びその接続構造
US8956046B2 (en) 2010-11-22 2015-02-17 Hosokawa Yoko Co., Ltd. Bag with port member and connection structure thereof
JP2013233315A (ja) * 2012-05-09 2013-11-21 Dainippon Printing Co Ltd 二室容器
US11559463B2 (en) 2015-01-21 2023-01-24 Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. Method for producing port, and method for producing medical liquid bag
WO2016117580A1 (ja) * 2015-01-21 2016-07-28 株式会社大塚製薬工場 ポートの製造方法、及び薬液バッグの製造方法
JP2016189966A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 テルモ株式会社 輸液容器用栓体の製造方法及び輸液容器用栓体
WO2018062126A1 (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 株式会社フジシールインターナショナル スパウト付きパウチ
JPWO2018062126A1 (ja) * 2016-09-30 2019-07-11 株式会社フジシールインターナショナル スパウト付きパウチ
JP2018188189A (ja) * 2017-05-01 2018-11-29 藤森工業株式会社 包装袋
KR20190129109A (ko) * 2017-05-01 2019-11-19 후지모리 고교 가부시키가이샤 포장 백
KR20210055811A (ko) * 2017-05-01 2021-05-17 후지모리 고교 가부시키가이샤 포장 백
KR102291214B1 (ko) * 2017-05-01 2021-08-18 후지모리 고교 가부시키가이샤 포장 백
KR102364564B1 (ko) * 2017-05-01 2022-02-17 후지모리 고교 가부시키가이샤 포장 백
JP7071063B2 (ja) 2017-05-01 2022-05-18 藤森工業株式会社 包装袋
WO2018203123A1 (ja) * 2017-05-01 2018-11-08 藤森工業株式会社 包装袋

Also Published As

Publication number Publication date
JP5122878B2 (ja) 2013-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5122878B2 (ja) 薬液流出入用筒部材および薬液容器
AU2010312385B2 (en) Plastic film having oxygen absorbing function and infusion bag
KR100609254B1 (ko) 연료 용기
JP5608670B2 (ja) プラスチックフィルム及び輸液バッグ
US7955672B2 (en) Permeation-inhibiting members and multi-layer containers made by using the same
JP3265299B2 (ja) ガソリンバリア性に優れた燃料容器
JP4647453B2 (ja) 透過防止用部材
JP3549664B2 (ja) 積層構造体、包装容器、熱成形用多層フィルムおよび熱成形容器
JP4078823B2 (ja) バリア性多層中空容器およびその製造方法
JP7438019B2 (ja) 樹脂組成物およびチューブ状容器の口頭部
JP4052617B2 (ja) 樹脂組成物
JP3972178B2 (ja) 医療用液体容器用プラスチックフィルム
JP2001151972A (ja) 樹脂組成物および多層構造体
JP4772194B2 (ja) ガソリンバリア性に優れた樹脂組成物
JP4652514B2 (ja) 燃料容器
JP3624164B2 (ja) ガソリンバリア性に優れた燃料容器
JP4008143B2 (ja) 熱成形用多層構造体および熱成形容器
JP2002321317A (ja) 積層包装材
JP3032311B2 (ja) プラスチック容器
JP2839648B2 (ja) プラスチック容器
JP2000313749A (ja) 単層成形品
JP2004262451A (ja) ガソリンバリア性に優れた燃料容器
JP3357190B2 (ja) 樹脂組成物
JP2002052659A (ja) ガソリンバリア性に優れた燃料容器用多層成形部品
JP2004209972A (ja) 燃料透過防止性能に優れた積層構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100423

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120524

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121004

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121025

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5122878

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250