JP2009008709A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トナー像を加熱してトナー像を記録媒体P上に定着する定着手段5と、定着手段5によって定着された記録媒体P上のトナー像を再加熱してトナー像の光沢度を再加熱前のものに比べて低下させる再加熱手段6と、を備える。
【選択図】図3
Description
また、特許文献4等には、平滑で高光沢のカラー画像を形成することを目的として、定着手段によって記録媒体(画像支持材)上のトナー像を加圧した状態で加熱・定着した後に、冷却剥離手段によって記録媒体上のトナー像を冷却・剥離する技術が開示されている。
しかし、従来の技術は、光沢度が異なる種々の記録媒体上にトナー像を形成する場合に、粒状性の低下を生じさせることなく、最適な光沢度にて、光沢均一性を安定的に向上させることが難しかった。
まず、特許文献1等の技術は、第2の像担持体と記録媒体との密接時間を可変したり、第2の像担持体上に担持されるトナー像に対する加圧力を可変することによって、低光沢の画像出力と高光沢の画像出力とを切り替えている。したがって、光沢度が異なる種々の記録媒体に対して、それぞれに最適な光沢度の画像出力をおこなうことができる可能性がある程度期待できる。
しかし、本願発明者は、研究を重ねた結果、このような場合に、出力画像の粒状性が劣化してしまうことを知るに至った。特に、定着条件を変更して低光沢の画像から中光沢の画像(又は高光沢の画像)を形成する場合には、その途中の段階でトナー像が接触部材に取り出されてしまうために、出力画像の粒状性の低下が顕著になる。
しかし、第2の定着手段は、トナー像を再加圧するのみであって、ヒータ等の加熱手段を有していない。そのため、第2の定着手段によって定着されるトナー像の温度条件(加熱条件)が安定せずに、第2の定着手段を通過した後の出力画像の光沢度が狙いの値にならない可能性があった。具体的に、装置の設置環境が変動した場合等には、第2の定着手段によって定着されるトナー像の温度条件(加熱条件)も変動してしまい、出力画像の光沢度が不安定になってしまう。
また、発明者が研究を重ねた結果、鏡面ではなく光沢度が若干低めである中光沢〜低光沢の表面性をもつベルト(60度光沢度が60%以下のものである。)を使用して冷却・剥離をおこなう場合、定着装置のベルトに一部のトナーが付着してしまうことが明らかになった。さらに、このような現象が生じると、記録媒体上の画像の粒状性が悪化してしまうことも判明した。
さらに、本願発明者は、記録媒体上に加熱定着されたトナー像の光沢度を再加熱により可変することで、装置の設置環境等の変動に関わらずトナー像の温度条件(加熱条件)の制御が容易になって、出力画像の光沢度が安定化することを知るに至った。
図1〜図5にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部4を示す拡大図である。また、図3は、定着装置5及び再加熱装置6を示す拡大図である。
画像形成装置100の下部には給紙カセット1、2が配置されている。給紙カセット1、2はいずれも、用紙等の記録媒体P(記録シート)を収納している。記録媒体Pとしては、一般的に複写機やプリンタ等に使用されるOA用紙(普通紙)の他に、キャストコート紙、アート紙、微塗工紙等の塗工紙や、上質紙、中質紙、下級紙等の非塗工紙等、種々のものが用いられる。また、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチック素材で形成されたOHPシート等も記録媒体Pとして用いられる。
後述するように、本実施の形態1における画像形成装置100は、特に、中程度の光沢度の記録媒体Pに対して、光沢均一性及び粒状性が良好な高画質の出力画像を形成することができるものである。すなわち、記録媒体Pとして、光沢度(60度光沢度)が10〜60%のもの(例えば、キャストコート紙、アート紙、微塗工紙等の塗工紙である。)を用いた場合にも、高画質の出力画像を形成することができる。
給紙カセット1(又は給紙カセット2)から給送された記録媒体Pは、搬送経路を経由して装置100の上部へと搬送される。搬送ベルト3は、その表面に記録媒体Pを担持した状態で記録媒体Pの搬送をおこなう。作像部4(カラー画像エンジン部)では、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成して、そのカラー画像を搬送ベルト3に担持された記録媒体P上に転写する。トナー像が転写された記録媒体Pは、さらに搬送ベルト3によって装置100の上部へ搬送される。なお、作像部4の構成・動作については、後で図2を用いて詳述する。
その後、記録媒体Pは再加熱装置6から送出されて、画像形成装置100の上部に搬送された後に、装置100の外部に排出される。
なお、定着装置5(定着手段)及び再加熱装置6(再加熱手段)の構成・動作については、後で図3を用いて詳述する。
図2に示すように、本実施の形態1における作像部4は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の色成分画像を記録媒体P上で重ね合わせてカラー画像を形成するものである。作像部4の4つの感光体ドラム41Y、41C、41M、41Kは、YCMKの各色成分に対応して、中間転写ベルト47の下方に並設されている。そして、4つの感光体ドラム41Y、41C、41M、41K上で、それぞれ、帯電工程、露光工程、現像工程がおこなわれて各色成分のトナー像が形成される。4つの感光体ドラム41Y、41C、41M、41K上で形成された各色成分のトナー像は、1次転写ローラ46の位置で、中間転写ベルト47上に順次転写される。中間転写ベルト47は不図示の駆動手段によって所定のタイミングで走行して、中間転写ベルト47上において各色成分トナー像が所定の位置で重ね合わされるようになっている。中間転写ベルト47上で重ね合された各色成分トナー像は、搬送ベルト3によって搬送される記録媒体P上に一括転写されて、記録媒体P上のトナー像となる。
感光体ドラム41の周りには、感光体ドラム41を所望の電位に帯電する帯電部43、所望の電位に帯電された感光体ドラム41に出力画像データ(後述する画像処理を施した画像データである。)に対応して書き込みをおこなうレーザ光学ユニット42、レーザ光学ユニット42による書き込みによって感光体ドラム41上に形成された静電潜像を各色成分に対応するトナーによって現像する現像部44、現像部44によって感光体ドラム41上に現像されたトナー像を中間転写ベルト47上に転写する1次転写部46、中間転写ベルト47上に転写されずに感光体ドラム41上に残留した未転写トナーをクリーニングするクリーニング部45、等が配設されている。
スキャナ部(複写機の場合である。)、又は、パーソナルコンピュータ(プリンタの場合である。)等からの入力画像データは、RGB多値(多くの場合8ビットである。)の画像であり、画像処理部の中の、MTFフィルタ処理部において強調処理される。そして、色分解によりRGB色空間からCMYK色空間へと分解された後に、階調補正処理部(γ変換部)により予め設定されている階調を実現するための濃度制御がおこなわれる。そして、擬似中間調処理部によりプリンタ特性に合うように擬似中間調処理が施され、出力画像データ(600dpi、4ビットデータ)として、画像出力側(ビデオ信号処理部)へと引き渡される。
ビデオ信号処理部では上述の出力画像データ(画像処理の結果)を受け取り、発光点42a(レーザーダイオード)の個数分のデータをラインメモリ上に記憶する。そして、ポリゴンミラーの回転に同期した信号(同期信号)に合せて、各画素に対応するラインメモリ状のデータを所定のタイミング(画素クロック)で、PWM制御部へと引き渡す。なお、本実施の形態1では、発光点42aの数は、各色ごとに1つである。
PWM制御部では、このデータがパルス幅変調(PWM)信号へと変換され、LDドライバへと引き渡される。LDドライバでは、このパルス幅変調信号に対応して所定の光量でLD素子(LDアレイ)を光変調駆動する。本実施の形態1では、各色成分の出力用画像データに対応して、パルス幅変調(PWM)制御をおこない、レーザの光変調駆動をおこなっている。
LD素子からの発光光は、コリーメートレンズにおいて平行光を形成するようになり、アパーチャにより所望のビーム径に対応する光束に切り取られる。アパーチャを通過した後の光束は、シリンドリカルレンズを通過して、ポリゴンミラーへと入射される。ポリゴンミラーで反射された光束は、走査レンズ(f−θレンズ)によって集光されて、折り返しミラーで折り返した後に、感光体ドラム41上に結像する。このようにして、感光体ドラム41上に静電潜像を形成した後に、上述したように静電潜像をトナー像へと現像して、さらに記録媒体P上にトナー像を転写する。
トナーは、重合法によって作製された重合トナーである。また、定着装置5においてオイルレス定着を実現することができて、再加熱装置6にて再加熱ローラ61とトナー像との分離が容易になるように、トナーの内部に離型剤であるワックスが含有されている。また、トナーの体積平均粒径が5.5μmとなるように製造されている。なお、トナー粒径の測定は、粒度測定器「コールターカウンターTAII」(コールターエレクトロニクス社製)を用い、アパーチャ径100μmで測定したものである。
ここで、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーは、ほぼ同一の製法により作製されている。なお、本実施の形態1では、上述の作製方法にて作製されたトナーを用いたが、分散重合法や粉砕法等によって作製したトナーを用いることもできる。
図3に示すように、定着手段としての定着装置5は、加熱ローラ52、加圧ローラ57、接触部材としての冷却剥離ベルト51、冷却手段としてのヒートパイプ55、剥離ローラ53、等で構成されている。
冷却剥離ベルト51(接触部材)は、2つのローラ部材(加熱ローラ52と剥離ローラ53とである。)によって張架・支持されている。加熱ローラ52の内部には、ハロゲンヒータ等のヒータ54(加熱源)が固設されている。冷却剥離ベルト51の内周面側であって加熱ローラ52の下流側には、冷却剥離ベルト51の冷却をおこなうヒートパイプ55が配設されている。加圧ローラ57は、冷却剥離ベルト51を介して加熱ローラ52に圧接してニップ部を形成している。この加圧ローラ57の内部にも、ハロゲンヒータ等のヒータ58(加熱源)が固設されている。
加圧ローラ57は、アルミニウム製の芯金の上に、厚さが1mmのシリコーンゴム層を形成したものである。
冷却手段としてのヒートパイプ55は、加熱ローラ52と加圧ローラ57との当接部(ニップ部)を通過した後の記録媒体P上のトナー像を、冷却剥離ベルト51を介して短時間に強制的に冷却するものである。
先に説明した作像部4によって未定着状態のトナー像が担持された記録媒体Pは、下方から定着装置5に送入される(図3の矢印方向の搬送である。)。そして、記録媒体Pがニップ部に達すると、加熱ローラ52(ヒータ54)と加圧ローラ57(ヒータ58)とによって加熱されてトナー像が半溶融状態になり、ニップ部の圧力により記録媒体P上にトナー像が定着される。
このような、トナー像を冷却させた後に冷却剥離ベルト51から剥離する方法(冷却剥離法)により、トナー像の表面が冷却剥離ベルト51の表面性を写し取るように形成されるため、光沢度の高いトナー像を形成することができる。なお、本実施の形態1では、記録媒体Pの搬送速度(線速)が50mm/秒に設定されている。そして、本願発明者が実験により確認したところ、本実施の形態1の定着装置5から送出された記録媒体P上のベタ画像の光沢度は約80%であった。
詳しくは、ローラ部材63(加圧ローラ)は、再加熱ローラ61に所定の圧接力で当接している。再加熱ローラ61の内部とローラ部材63の内部とには、それぞれ、ハロゲンヒータ等のヒータ62、64(再加熱源)が固設されている。
ローラ部材63(加圧ローラ)は、アルミニウム製の芯金上に、厚さが1mmのシリコーンゴム層を形成したものである。
先に説明した定着装置5によってトナー像が定着された記録媒体P(冷却剥離手段51、53、55によってトナー像の表面が高光沢となるように処理されている。)は、再加熱ローラ61とローラ部材63とのニップ部に向けて送入される。そして、記録媒体Pがニップ部に達すると、再加熱ローラ61(ヒータ62)とローラ部材63(ヒータ64)とによって再加熱されてトナー像が軟化される。このとき、記録媒体P上のトナー像は、加熱ローラ61(当接部材)の表面性に近づくように、表面粗さが大きくなる。その結果、再加熱装置6を通過する前よりも通過した後の方が、記録媒体P上のトナー像の光沢度が小さくなる。なお、本実施の形態1では、再加熱装置6における記録媒体Pの搬送速度(線速)が50mm/秒に設定されている。そして、本願発明者が実験により確認したところ、本実施の形態1の再加熱装置6から送出された記録媒体P上のベタ画像の光沢度は約40%まで低下していた。さらに、本願発明者が官能評価をおこなったところ、本実施の形態1の再加熱装置6を用いることにより、光沢度が20〜50%程度の記録媒体に対して、良好な光沢度の出力画像を得ることができることを確認した。
また、再加熱装置6に関しても、記録媒体P上のトナー像の光沢度を再加熱前のものに比べて低下させることが可能である構成のものであればどのようなものであってもよい。本実施の形態1では、再加熱ローラ61表面の算術平均粗さ(Ra)を0.25μmに設定したが、この表面粗さに限定されることはない。再加熱後(表面性改質後)のトナー像の光沢度を10%〜60%の範囲に設定することを考えると、再加熱ローラ61表面の算術平均粗さ(Ra)は0.001nμm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
実験は、4種類の画像形成装置(実施例1の画像形成装置、比較例1〜3の画像形成装置である。)について、それぞれ、光沢度の異なる6種類の記録媒体Pを用いてトナー像を形成して、出力画像の光沢均一性及び粒状性を評価したものである。
実施例1の画像形成装置は、本実施の形態1のものである(本実施の形態1の定着装置5及び再加熱装置6が設置されたものである。)。なお、定着装置5の冷却剥離ベルト51の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.03μmに設定されている。
比較例1の画像形成装置は、定着装置として従来のベルト定着方式の定着装置(図4に示すものである。)が用いられている。比較例1の定着装置は、3つのローラ部材152〜154によって張架・支持された定着ベルト151、ヒータ155が内設された加熱ローラ153、定着ベルト151を介して加圧ローラ157に圧接してニップ部を形成するスポンジローラ152、ヒータ158が内設された加圧ローラ157、等で構成されている。なお、定着ベルト151は、ポリイミドフィルムからなる基材上に、厚さが200μmのシリコーンゴムの弾性層、PFA層(表層)を順次積層したものである。また、スポンジローラ152は、芯金上に、厚さが10mmの発砲シリコーンからなる弾性層を形成したものである。
比較例2の画像形成装置は、実施例1の画像形成装置から再加熱装置6を取り外したものである。その他の構成については、実施例1のものと同様である。定着装置5の冷却剥離ベルト51の表面粗さ(算術平均粗さRa)も、実施例1と同様に、0.03μmに設定されている。
比較例3の画像形成装置は、冷却剥離ベルト51の表面粗さを粗くした点以外は、比較例2のものと同様に構成されたものである。定着装置5に設置される冷却剥離ベルト51の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.25μmに設定されている。
記録媒体P上に形成するトナー像(画像)は、白部(記録媒体P表面がそのままの部分)、高濃度部(ダーク部)及び中濃度部が含まれる写真を元原稿(画像データ)としたものである。
「光沢均一性」の画像評価は、トナー像が形成された記録媒体上の光沢感に違和感があるか(光沢に均一感があるか)を目視評価したものである。図5の実験結果において、「○」は光沢感に違和感がなく良好である状態を示し、「△」は光沢感に僅かな違和感がある状態を示し、「×」は光沢感にかなりの違和感がある状態を示す。
「粒状性」の画像評価は、画像のザラツキ感を目視評価したものである。図5の実験結果において、「○」はザラツキが気にならず良好である状態を示し、「△」はザラツキが視認できるがそれほど気にならない状態を示し、「×」は非常に気になるザラツキがある状態を示す。
これに対して、比較例1では、カラーPPC用紙(タイプ6000 70W)のように低光沢の普通紙に対して、光沢均一性と粒状性とが良好であるものの、中光沢〜高光沢の記録媒体に対して、光沢均一性を満足しないことがわかる。
これに対して、比較例2では、FC光沢紙のような高光沢の記録媒体に対して、光沢均一感と粒状性とがどちらも良好であるものの、低光沢〜中光沢の記録媒体に対して、光沢均一性を満足しないことがわかる。また、比較例3のように、冷却剥離ベルトの表面粗さを大きくした場合には、中光沢の記録媒体に対して違和感のない光沢均一性を実現することができるものの、粒状性が悪化してしまうことがわかる。
以上のことから、本実施の形態1における画像形成装置の構成によれば、光沢度の異なる種々の記録媒体P(特に、60度光沢度で10〜60%の中光沢の記録媒体)に対して、光沢均一性と粒状性とを良好に維持できる効果があることが確認された。
また、本実施の形態1における画像形成装置において、高光沢の記録媒体が用いられるとき(60度光沢度が80%より大きく100%以下であるとき)に、再加熱装置6によるトナー像の再加熱(表面性改質)をおこなわないように制御することで、高光沢の記録媒体に対しても、光沢均一性と粒状性とを良好に維持できることがわかる。図示は省略するが、本実施の形態1における再加熱装置6において、再加熱ローラ61とローラ部材63との圧接状態を離間機構によって解除するとともに、それぞれに内設されたヒータ62、64への電力供給を停止することで、再加熱装置6に送入された記録媒体上のトナー像を再加熱(表面性改質)しないように制御することができる。
まず、定着装置5によって定着された記録媒体P上のトナー像を再加熱して、トナー像の光沢度を再加熱前のものに比べて低下させる再加熱装置6を設けることによる効果について述べる。
本実施の形態1では、トナー像の光沢度を中程度に可変する場合に、未定着画像(低光沢画像)から光沢を高くして中程度の光沢度に制御する従来の手法とは異なり、冷却剥離手段によって高光沢に調整した画像から再加熱装置6によって光沢を低くして中程度の光沢度に制御している。これにより、出力画像の粒状性の劣化が少なくなるという最大の効果を得ることができる。すなわち、粒状性が良好であり、中程度の光沢度が実現される、高画質の画像の出力が可能となる。
定着装置において、定着工程後のトナー像に接触部材(冷却剥離ベルト)を当接させてトナー像の光沢度を中〜低光沢に制御しようとすると、接触部材の表面を比較的凹凸の大きなものにする必要がある。凹凸の大きな表面性の接触部材を使用した場合、トナー像と接触部材との接着力が高くなりすぎるため、トナーと接触部材との剥離時にトナーが接触部材側に多く移行してしまう。
一方、従来技術のように高光沢に光沢度を制御しようとすると、凹凸の小さな表面性の接触部材を使用することになるため、トナーが当接部材に移行してしまう問題もそれほど顕著にはならない。
このように、再加熱ローラ61によって記録媒体P上にトナー像を押し付けた状態で熱を加えることで、トナー像の表面側のトナーを軟化させて再加熱ローラ61表面の表面粗さをトナー像側に写し取ることができる。すなわち、トナー像の表面粗さと、再加熱ローラ61の当接面の表面粗さと、をほぼ一致させることができる。したがって、再加熱装置6による温度管理や、再加熱装置6における記録媒体Pの通紙時間の許容範囲を、厳しくしなくても、出力画像の光沢度を一定に維持することができる。
上述したように、本実施の形態1における再加熱装置6は、高い光沢度のトナー像を低い光沢度のトナー像に改質するものである。したがって、再加熱装置6の上流側の定着装置5において、高光沢のトナー像を形成する必要がある。すなわち、定着装置通過後(再加熱装置通過前)のトナー像の光沢度がより高い方が、再加熱装置6を通過した後のトナー像の光沢度範囲を広くとることができる。したがって、高光沢〜中光沢の記録媒体に対しても光沢度を最適化することができる。本実施の形態1のように、定着工程直後に冷却剥離法を用いることにより、極めて高い光沢度のトナー像(60度光沢度が80%以上である。)を形成することができる。
さらに、冷却剥離手段を有さない従来の定着装置では、ベタ画像に対しては高光沢に調整することが可能であっても、トナー付着が少ない中濃度画像(トナーが付着している箇所とトナーが付着していない箇所とが混在するような画像である。)に対しては、トナー付着部が平滑につぶされないために、光沢が低くなってしまう。したがって、定着装置5に冷却剥離手段を設けることで、こうした中濃度画像領域が低光沢となる現象が生じるのを抑止して、出力画像を比較的高光沢に維持することが可能になる。
図6にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図6は、実施の形態2における定着装置及び再加熱装置を示す概略図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態2における画像形成装置は、再加熱装置6の構成が、前記実施の形態1のものと相違する。
ここで、本実施の形態2における再加熱装置6は、記録媒体P上のトナー像に接触せずにトナー像を再加熱するように構成されている。
再加熱板65は、トナー像に対向するように配設されていて、記録媒体Pが搬送される途中で熱を供給してトナー像の表面性(光沢度)を可変する。再加熱板65及びヒータ62による発熱量は、記録媒体Pの位置で110℃程度になるように制御されている。なお、再加熱板65は、トナー像に対するヒータ62の加熱効率が向上するように、反射板として機能することが好ましい。
また、本実施の形態2におけるローラ部材63は、ヒータが内設されておらず、記録媒体Pを搬送する搬送ローラとして機能する。
なお、本実施の形態2でも、再加熱装置6における記録媒体Pの搬送速度(線速)が50mm/秒に設定されている。そして、本願発明者が実験により確認したところ、本実施の形態2の再加熱装置6から送出された記録媒体P上のベタ画像の光沢度は約40%まで低下していた。
特に、両面プリント時には、ヒータ62の熱が裏面に形成されたトナー像に達しにくくなり、裏面のトナー像の表面性が変化しにくくなるために、両面について高画質の画像を形成することができる。
図7にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図7は、実施の形態3における定着装置及び再加熱装置を示す概略図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態3における画像形成装置は、再加熱装置6の構成が、前記実施の形態1のものと相違する。
ここで、本実施の形態3における再加熱装置6は、記録媒体P上のトナー像に直接的に接触せずにトナー像を間接的に再加熱するように構成されている。
なお、本実施の形態3でも、再加熱装置6における記録媒体Pの搬送速度(線速)が50mm/秒に設定されている。そして、本願発明者が実験により確認したところ、本実施の形態3の再加熱装置6から送出された記録媒体P上のベタ画像の光沢度は約40%まで低下していた。
図8〜図11にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図8は、実施の形態4における画像形成装置を示す全体構成図であって、前記実施の形態1における図1に相当する図である。本実施の形態4における画像形成装置は、複数の再加熱装置6A〜6Cが設置されている点が、前記実施の形態1のものと相違する。
ここで、本実施の形態4における再加熱装置6は、トナー像の光沢度の低下の程度を可変する3つの再加熱装置6A〜6C(再加熱手段)である。そして、使用者が装置100の操作部(不図示である。)を操作することにより、3つの再加熱装置6A〜6Cのうちいずれかを任意に選択することができる。
さらに、3つの再加熱装置6A〜6Cは、記録媒体上のトナー像に当接する加熱ローラ(当接部材)の表面粗さがそれぞれ異なるように形成されている。具体的に、第1の再加熱装置6Aの加熱ローラ(当接部材)の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.10μmに設定されていて、第2の再加熱装置6Bの加熱ローラ(当接部材)の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.30μmに設定されていて、第3の再加熱装置6Cの加熱ローラ(当接部材)の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.50μmに設定されている。
このような構成により、3つの再加熱装置6A〜6Cのうちいずれかを任意に選択することで、記録媒体上のトナー像の光沢度の低下の程度を可変することができる。トナー像の表面性は表面粗さの異なる加熱ローラの表面性を写し取るため、トナー像の光沢度を異なる複数のレベルに制御することができる。具体的に、トナー像の光沢度(60度光沢度)は、第1の再加熱装置6Aを選択したときには約50%になり、第2の再加熱装置6Bを選択したときには約30%になり、第3の再加熱装置6Cを選択したときには約15%になる。
すなわち、使用者が希望する種々の記録媒体(低光沢〜中光沢〜高光沢の光沢度が異なる種々の記録媒体である。)に対して、1台の画像形成装置で、最適な光沢度の出力画像を形成することができる。つまり、使用者やサービスマンが、部品やユニットを交換するといった手間をかけることなく、最適な光沢度の出力画像を形成することができることになり、装置の利便性が向上する。
図10は、そのときに画像形成装置でおこなわれる動作判定を示すブロックチャートである。操作部110において、使用者が記録媒体を選択して指示することで、記録媒体情報記憶部113から選択された記録媒体の情報(光沢度に関わる情報である。)が本体動作判定部111に送られ、本体動作判定部111が本体動作記憶部112に予め記憶されている第1再加熱部動作〜第3再加熱部動作のいずれかを呼び出し、本体動作制御部に最適な動作モードをセットする。
このような構成であっても、本実施の形態4と同様の効果を得ることができる。特に、画像の光沢度は使用する記録媒体の光沢度に大きく依存するため、使用する記録媒体ごとに適当な画像光沢度に調整することが有用になる。
具体的には、図8に示すように、光沢度検知手段としての光沢度検知センサ10を、給紙カセット1、2の下流側の搬送経路に配置する。そして、搬送経路を移動する記録媒体(トナー像が担持される前の記録媒体である。)の光沢度を光学的に検知する。ここで、図11に示すように、光沢度検知センサ10は、タングステンフィラメントランプ等からなる発光部10a、フォトダイオード素子等からなる受光部10b、等で構成されている。そして、発光部10aからの射出光を入射角度(θ1)60°にて記録媒体P上に照射して、出射角度(θ2)60°で反射する正反射光を受光部10bで受光する。そして、受光部10bで検知した正反射光の大きさによって、記録媒体Pの光沢度(60度光沢度)を検知する。
このような構成であっても、本実施の形態4と同様の効果を得ることができる。特に、画像の光沢度は使用する記録媒体の光沢度に大きく依存するため、使用する記録媒体ごとに適当な画像光沢度に調整することが有用になる。その際、使用者が使用する記録媒体の種類が多い場合には、使用する記録媒体の光沢度に関する情報を装置に入力する作業が煩雑になってしまう。これに対して、上述の構成では、記録媒体Pの光沢度を光沢度検知センサ10によって自動で検知しているため、このような問題が解消されることになる。
図12及び図13にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図12は、実施の形態5における画像形成装置を示す全体構成図であって、前記実施の形態1における図1に相当する図である。図13は、図12の画像形成装置100に設置された作像部4を示す拡大図である。本実施の形態5における画像形成装置は、作像部4の構成が、前記実施の形態1のものと相違する。
給紙カセット1から排出された記録媒体Pは、搬送経路に沿って搬送され、搬送ベルト3の位置に達する。搬送ベルト3は、記録媒体Pを表面に担持しながら搬送をおこなう。作像部4は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナー像を感光体ドラム41上に重ね合わせた後に、搬送ベルト3によって搬送された記録媒体P上に一括して転写する。トナー像が転写された記録媒体Pは、さらに搬送ベルト3によって搬送され、定着装置5の位置に達する。そして、定着装置5によって、記録媒体P上のトナー像が加熱・加圧されて、記録媒体P上にトナー像が定着される。このとき、本実施の形態5でも、前記各実施の形態と同様に、定着装置5にて定着工程後の記録媒体P上のトナー像が冷却・剥離される。
その後、記録媒体Pは再加熱装置6から送出されて、画像形成装置100の上部に搬送された後に、装置100の外部に排出される。
他方、従来の画像形成装置(再加熱装置6を搭載していないものである。)であって、A3サイズの記録媒体が通紙可能な画像形成装置の場合には、作像部4の小型化が必ずしも装置100の小型化にはつながらないといったことが指摘されていた。これは、A3サイズ用の給紙トレイは必ず設置しなければならないために、作像部4の小型化のみでは、装置の占有面積(真上からみた設置面積である。)を低減することができないためである。すなわち、A3サイズの記録媒体が通紙可能な画像形成装置では、感光体上色重ね方式を採用して作像部4を小型化しても、その効果を充分に活用することができなかった(無駄なスペースが発生してしまっていた。)。これに対して、本実施の形態5における画像形成装置は再加熱装置6を搭載しているために、A3サイズの記録媒体が通紙可能な画像形成装置であっても、感光体上色重ね方式を採用して作像部4を小型化する効果を充分に活用することができる。すなわち、空いたスペースに再加熱装置6を有効的に配置することができる。
図13に示すように、本実施の形態5における作像部4は、YCMKの各色成分に対応して4つの現像部(現像ローラ)44Y、44C、44M、44K(現像部)が感光体ドラム41の周りに配置されている。ここで、各色の現像部は、それぞれ、感光体ドラム41に対向する現像ローラ、現像ローラにトナーを供給するトナー供給ローラ44b、現像部内でトナーを搬送するトナー搬送ローラ44c、等で構成される。
このように構成された感光体上色重ね方式の作像部4は、タンデム方式の作像部4と比較して、部品点数が少なく、転写回数も1回で済み、転写時に逆転写(中間転写体から感光体へとトナーが移行してしまう現象である。)が発生しにくくトナー浪費を低減することができる。
5 定着装置(定着手段)、
6、6A〜6C 再加熱装置(再加熱手段)、
10 光沢度検知センサ(光沢度検知手段)、
41、41Y、41C、41M、41K 感光体ドラム(像担持体)、
51 冷却剥離ベルト(接触部材)、
54、58、62、64 ヒータ、
55 ヒートパイプ(冷却手段)、
57 加圧ローラ、
61 再加熱ローラ(当接部材)、
63 ローラ部材、
65 再加熱板、
100 画像形成装置本体(装置本体)、 P 記録媒体。
Claims (12)
- トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体上に定着する定着手段と、
前記定着手段によって定着された記録媒体上のトナー像を再加熱して、当該トナー像の光沢度を再加熱前のものに比べて低下させる再加熱手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記再加熱手段は、記録媒体上のトナー像に接触せずに当該トナー像を再加熱することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記再加熱手段は、記録媒体上のトナー像を加圧した状態で当該トナー像を再加熱することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記再加熱手段は、前記トナー像の光沢度の低下の程度を可変する複数の再加熱手段であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記複数の再加熱手段は、記録媒体上のトナー像に当接する当接部材をそれぞれ備え、該当接部材の表面粗さがそれぞれ異なるように形成することで前記トナー像の光沢度の低下の程度を可変することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記複数の再加熱手段のうちいずれかを任意に選択できる操作部を備えたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記記録媒体の種類を検知する検知手段を備え、
前記検知手段の検知結果に基いて前記複数の再加熱手段のうちいずれかが選択されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。 - 前記記録媒体の光沢度を検知する光沢度検知手段を備え、
前記光沢度検知手段の検知結果に基いて前記複数の再加熱手段のうちいずれかが選択されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。 - 前記定着手段は、記録媒体上にトナー像が定着された後に当該トナー像を冷却して接触部材から剥離する冷却剥離手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記記録媒体の60度光沢度が5%以下であるときに、前記冷却剥離手段による前記トナー像の冷却・剥離をおこなわないことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記記録媒体の60度光沢度が80%より大きく100%以下であるときに、前記再加熱手段による前記トナー像の再加熱をおこなわないことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置。
- 複数色のトナー像が重ねて現像されて担持される像担持体と、
前記像担持体上に重ねて担持された複数色のトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。
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