以下、シートPに定着されたトナー像及びシートの光沢(グロス)を測定するために日本電色工業株式会社製ハンディ型光沢計(PG−1M)を用いた(JISZ8741鏡面光沢度−測定方法に準拠)。
〔第1実施形態〕
以下に有色トナー像が定着されたシートPの一部に透明トナー像を形成することができる画像形成部を備えた画像形成装置100について説明する。本実施例において、説明に用いる画像形成装置100はタンデム方式のフルカラー電子写真画像形成装置100である。この画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの機能を備えた複合機である。
[画像形成ステーションについての説明]
まず、シートPに未定着トナー像を形成する画像形成部としての画像形成ステーションP及びレーザ走査機構Cについて説明する。
図1は本実施例における画像形成装置100の概略構成を示す模式図である。また、図4は本実施例における画像形成装置100を制御する制御装置としてのコントローラKの概略構成を示すブロック図である。
図1において、符番100は画像形成装置(以下、「装置本体」という)を指す。同様に、符番200は装置本体100に対して連設した大容量給紙ユニットを指す。この大容量給紙ユニット200は装置本体100に対して組み合わせて使用されるオプショナルな装置として構成されている。同様に、符番Kは画像形成装置100の各部を制御する制御装置としてのコントローラ(制御回路部、制御基板部)を指す。同様に、1000はパーソナルコンピュータ又はファクシミリ装置等の外部入力装置(外部ホスト装置)を指す。これらの外部入力装置1000はコントローラKとインターフェイス(本実施例においてはEthernet(登録商標)I/Fとする)を介して電気的に接続されている。なお、本実施例において画像形成装置100を例として説明しているが、画像形成装置100の制御は外部入力装置1000によってなされても構わない。そのとき、画像形成装置100と外部入力装置1000のことを画像形成システムと呼ぶことにする。
装置本体100の内部に複数の電子写真画像形成ステーションPが内蔵される。図1において右から左に水平方向に第1〜第5の電子写真画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peが配置されている。
図1において、符番Aは装置本体100の上側面に配設された原稿読み取り部(イメージスキャナ)を指す。同様に、符番Bは装置本体100の上側面に配設された操作パネル部を指す。原稿読み取り部Aは、原稿台ガラス21に載置された原稿Oを光学的に走査して原稿画像を色分解光電読み取りする。操作パネル部Bは、操作者からのコマンド入力や、操作者への装置の状態報知等を行う。
図1において、符番Cは上記の第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peの上側に配設された、複数の光走査手段を有するレーザ走査機構(レーザスキャナ)を指す。本実施例において、レーザ走査機構CはメモリHに保存された画像データに基づき、各画像形成ステーションPの感光体ドラム1に対して露光を行う。同様に、符番Dは第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peの下側に配設した転写ベルト機構を指す。符番E1及び符番E2は転写ベルト機構Dの重力方向下側に上下2段に配設された第1の給紙カセット及び第2の給紙カセットを指す。
同様に符番E3は手差し給紙トレイ(手差し給紙部)を指す。手差し給紙トレイE3は格納時に実線に示すように畳み込み格納することができる。また、手差し給紙トレイE3は使用時に点線に示すような状態にして使用することができる。また、符番Fは転写ベルト機構Dよりもシート搬送方向下流側に配設した定着装置を指す。続いて、画像形成装置の各部について、詳しく説明する。
[電子写真プロセス機構及び転写ベルト機構Dについての説明]
図2は第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Pe及び転写ベルト機構Dの拡大図である。
第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peは互いに同様の電子写真プロセス機構である。即ち、各画像形成ステーションPは、それぞれ、像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)1を有する。そして、このドラム1に作用するプロセス手段である、全面露光ランプ(除電ランプ)2、一次帯電器3、現像器4、転写帯電器5、ドラムクリーナ6等を有する。
有色トナー像形成手段としての第1の画像形成ステーションPaの現像器4には現像剤としてイエロー色Yのカラートナー(有色トナー)が供給装置により供給される。有色トナー像形成手段としての第2の画像形成ステーションPbの現像器4には現像剤としてマゼンタ色Mのカラートナーが供給装置により供給される。有色トナー像形成手段としての第3の画像形成ステーションPcの現像器4には現像剤としてシアン色Cのカラートナーが供給装置により供給される。有色トナー像形成手段としての第4の画像形成ステーションPdの現像器4には現像剤としてブラック色Bkのカラートナーが供給装置により供給される。透明トナー像形成手段としての第5の画像形成ステーションPeの現像器4には現像剤として透明Tのクリアトナー(透明トナー)が供給装置により供給される。すなわち、本実施例の画像形成ステーションPはカラートナーとクリアトナーを用いてシートPにトナー像を形成することができる。
転写ベルト機構Dは、エンドレスの転写ベルト7と、この転写ベルト7を懸回張設した駆動ローラ7aとターンローラ7b,7cを有する。駆動ローラ7aが駆動モータMによりタイミングベルト装置等の動力伝達装置を介して回転駆動されることにより転写ベルト7が矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト7は、ポリエチレンテレフタレート樹脂シート(PET樹脂シート)や、ポリフッ化ビニリデン樹脂シート、ポリウレタン樹脂シートなどの誘電体樹脂のシートによって構成されている。そして、そのシートの両端部を互いに重ね合わせて接合し、エンドレス形状にしたものか、あるいは継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられている。
[定着装置Fについての説明]
以下に図3を参照して、熱ローラ定着装置Fの説明を行う。図3の符番51及び符番52はそれぞれ回転自在に軸受支持させた回転体である定着ローラ(定着部材)及び加圧ローラ(加圧部材)である。これらの定着ローラ51と加圧ローラ52は上下に並行に配列され、かつ互いに圧接されることにより定着ニップ部Nを形成している。
本実施例において、定着ローラ51は同心円状の3層構造であり、コア部分51a、弾性層51b、離型層51cを有する。コア部分51aは直径44mm、厚さ5mmのアルミニウム製中空パイプにより構成される。
コア部分51aの中空パイプ内部には、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプで構成したヒータH1が配設されている。
弾性層51bはJIS−A硬度50度、厚さ2.5mmのシリコンゴムにより構成される。離型層51cは厚さ50μmのPFAにより構成される。
加圧ローラ52も、上記定着ローラ51と同様に、コア部分52a、弾性層52b、離型層52cの3層構造である。コア部分52aの中空パイプ内部には、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプで構成したヒータH2が配設されている。ただし、弾性層52bは厚さ3mmのシリコンゴムを用いる。これは弾性層52bにより定着ニップ部Nの幅を稼ぐためである。
定着ローラ51と加圧ローラ52は所定の押圧力で圧接させてシート搬送方向において所定幅の加熱・加圧部としての定着ニップ部Nを形成させている。本実施例における加圧ローラ52の加圧力は、総圧で294N(30kgf)である。このときの定着ニップ部Nの幅は7mmであった。
定着ローラ51と加圧ローラ52は駆動モータ(不図示)により、図3の矢印の方向に互いに圧接しながら回転駆動される。ヒータH1,H2はそれぞれ電源回路Q1,Q2(図4)から電力が供給されて発熱する。定着ローラ51と加圧ローラ52はこのヒータH1,H2の発熱によりそれぞれ内側から加熱される。本実施例において、ヒータH1は800W、ヒータH2は500Wのヒータを用いた。定着ローラ51と加圧ローラ52の表面温度がそれぞれに接触させたサーミスタ等の温度センサTH1,TH2によりモニタされる。温度センサTH1及びTH2はそれぞれ定着ローラ51及び加圧ローラ52の表面温度を検知し、温度に関する電気的情報をコントローラKの定着制御部K1(図4)に入力する。
定着制御部K1は、その入力情報に基づいて、定着ローラ51と加圧ローラ52のそれぞれの表面温度(定着温度)が所定の制御温度(目標温度)に維持されるように、電源回路Q1,Q2からヒータH1,H2への供給電力を制御する。すなわち、定着ローラ51と加圧ローラ52を所定の制御温度に温調管理することで定着ニップ部Nでの温度を管理する。
図3における符番53は定着ローラ51の表面に離型剤としてのジメチルシリコーンオイル等を塗布する離型剤塗布装置を指す。同様に、図3における符番54は定着ローラ51の表面を拭掃して清掃するウエブ方式のクリーニング装置を指す。また、符番55は加圧ローラ52の表面を拭掃して清掃するウエブ方式のクリーニング装置を指す。なお、クリーニング装置55のウエブは耐熱性のクリーニング部材である。
このように、定着ローラ51と加圧ローラ52は外部からの駆動力により回転駆動され、また、定着制御部K1によってヒータH1,H2を制御しローラの表面温度を制御温度に温調する。
このような状態において、転写ベルト機構Dの搬送ベルト12は未定着トナー画像が形成されたシートPを定着装置F内に導入する。これにより、定着ニップ部Nに進入したシートPは定着ローラ51と加圧ローラ52により加熱され、また、加圧される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の多重トナー画像は溶融混色してフルカラー画像としてシートPの表面に定着される。定着ニップ部Nから出たシートPは不図示の分離爪によって定着ローラ51又は加圧ローラ52から分離され、定着排紙ローラ56に中継ぎされて、定着装置Fから送り出される。
離型剤塗布装置53は定着ローラ51の表面にシリコーンオイルを塗布する。これにより、定着ニップ部Nを通過したシートP上のトナーは定着ローラ51の表面に付着しにくくなる。クリーニング装置54,55はそれぞれ定着ローラ51と加圧ローラ52の表面にオフセットしたトナーを除去する。なお、本実施例の定着装置Fが一度にシートPに定着できる最大の載り量は2.1mg/cm2であるとする。
[本実施例において用いるトナーについての説明]
以下に、本実施例において用いているトナーについて説明する。実施例において、カラートナーの母体(バインダ)はポリエステル系の樹脂を使用した。また、カラートナーの製造法は粉砕法を用いた。なお、トナーの製造方法は、懸濁重合法、界面重合法、分散重合法、重合法を用いてもよい。もちろん、トナーの成分、製造方法はこれに限定するものではない。
本実施例において、クリアトナーは母体としてカラートナーと同じポリエステル樹脂を用いた。クリアトナーはカラートナーと異なり、カラー顔料を混ぜずに製造した。
カラートナーの母体(バインダ)はガラス転移点(Tg)が45℃〜60℃のポリエステル樹脂が一般的である。また、クリアトナーは、必ずしも透明ではない。例えば、本実施例で用いたクリアトナーは未定着状態において白色である。これは、トナーの粒径が5μm〜10μm程度になるように粉砕されているからである。なぜなら、5μm〜10μm程度に粉砕されたクリアトナーの表面において、光は散乱されてしまい、透過及び吸収する光が少なくなる。そのため人の目に白く見える。
なお、ガラス転移点(Tg)は、特に限定されるわけではない。クリアトナーの樹脂の種類や分子量を変更すると、溶融特性が変わる。そのため、同じ定着条件で同量のトナーを定着すると、異なるグロスが得られる。
具体的には、ガラス転移点(Tg)の低い母体(つまり、溶けやすい母体)を用いれば、グロスが高くなりやすい。また、ガラス転移点の高い母体(つまり、溶け難い母体)を用いれば、グロスが低くなりやすい。
本実施例においては、カラートナーとクリアトナーのガラス転移点は略同等になるものを用いた。しかしながら、クリアトナーのガラス転移点をカラートナーよりも高くすることも、低くする事もできる。
また、同じガラス転移点のトナーであっても、例えば定着スピードを速くすることによって、トナーに与えるエネルギーを少なくすれば、グロスが高くなりにくい。
[イメージスキャナAについての詳しい説明]
原稿読み取り部となるイメージスキャナAにおいて、21は原稿台ガラス、22はそのガラス21に対して開閉可能な原稿押え板である。コピー(原稿複写)モードの場合は、ガラス21上にコピーするカラー原稿(又はモノカラー原稿)Oを画像面下向きで所定の載置基準に従って載置し、その上に押え板22を被せることで原稿Oをセットする。押え板22を原稿自動送り装置(ADF、RDF)にしてガラス21上にシート状原稿を自動的に給送する構成にすることもできる。
このような構成において、ガラス21上にセットした原稿Oを読み込む際、移動光学系23はガラス21の下面に沿って移動する。これにより、ガラス21上の原稿Oの下向き画像面が光学的に走査される。その原稿走査光は光電変換素子(固体撮像素子)であるCCD24に結像される。これにより、CCD24は原稿表面の画像をRGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色の電気的信号に変換する。CCD24によって変換されたRGBの各信号は画像処理部25に入力される。
このように、イメージスキャナAから画像処理部25に入力された信号は画像処理部25において、C,M,Y,Kの画像信号に変換される。画像処理部25において変換された電気的画像情報(画像データ)はコントローラKに入力される。コントローラKは入力された画像データに基づき有色トナー像をシートPに形成させる。このとき、コントローラKは有色トナー像を形成する領域を取得する領域取得手段としての役割を果たす。また、コントローラKはシートPに形成される有色トナーの単位面積あたりの量に対応する画素値を取得する有色トナー量取得手段(または、カラー画像データ取得手段)としての役割を果たす。なお、イメージスキャナAから入力された信号は透明トナー像を形成するためにも用いることができる。つまり、透明トナー像を形成するために用いられるクリア画像データが入力された場合、コントローラKは透明トナー像を形成する領域を取得する領域取得手段としての役割を果たす。また、コントローラKはシートPに形成される透明トナーの単位面積あたりの量に対応する画素値を取得する透明トナー量取得手段(又は、クリア画像データ取得手段)としての役割を果たす。
イメージスキャナAにおいて取り込んだ画像信号は例えばコピーモード、ファクシミリ送信モードの際に利用される。
まず、コピーモードの際の動作について簡単に説明する。ユーザはコピーモードを実行するために、操作パネル部Bにより所望のコピー条件を設定する。その後、ユーザは図5に示すコピースタートキー400を押すことによってコピーを実行することができる。
コントローラKはイメージスキャナAから入力された信号に基づき、レーザ走査機構Cを制御する。これにより、レーザ走査機構Cは電気的画像情報(画像データ)に対応して変調したレーザ光を用いて、第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peに対してそれぞれレーザを出力する。
続いて、ファクシミリ送信モードの際の動作について簡単に説明する。
ユーザはファクシミリ送信モードを実行するために、操作パネル部Bにより必要な条件を設定する。その後、ユーザは操作パネル部Bを操作してファクシミリ送信を行う。これにより、コピーモードと同様にイメージスキャナAにおいて取得された原稿の電気的画像信号(画像データ)は画像処理部25を介してコントローラKに入力される。コントローラKは入力された電気的画像信号(画像データ)を相手方のファクシミリ装置に送信する。
同様に、画像形成装置が実行することの出来るプリントモードとファクシミリ受信モードについて説明する。
画像形成システムがプリンタとして動作するプリンタモードの場合は、電気的画像信号は外部ホスト装置1000としてのパーソナルコンピュータから装置本体100のコントローラKに入力される。コントローラKは入力された電気的画像信号(画像データ)に応じて、画像形成装置100を制御する。これにより、画像形成装置100はプリンタとして機能する。
ファクシミリ受信モードの場合は、電気的画像信号(画像データ)は外部ホスト装置1000である相手方のファクシミリ装置から画像形成装置本体100のコントローラKに入力される。画像データ取得手段としてのコントローラKは入力された電気的画像信号(画像データ)に応じて、画像形成装置100を制御する。これにより、画像形成装置100はファクシミリ受信機として機能する。
[カラー画像データ及びクリア画像データについての説明]
以下、カラー画像データはカラートナーをシートに形成するために用いられる画像データのことを指す。また、クリア画像データとはクリアトナーをシートに形成するために用いられる画像データのことを指す。
以下にカラー画像データについて説明する。カラー画像データはシアン画像データ、マゼンタ画像データ、イエロー画像データ、ブラック画像データの4種類の画像データから成る。
シアン画像データは画像形成装置がシートPに形成するシアントナーの量を指定するデータである。同様に、マゼンタ画像データ、イエロー画像データ、ブラック画像データも対応するトナーの量を指定するデータである。
以下に各色の画像データとも同一であるため、シアン画像データを例に挙げて説明する。
本実施例において、シアン画像データは画像形成装置100の解像度(dot per inch)に応じた画像を形成するのに必要な画素分のデータ(画素値)から成る。また、本実施例において、1画素に対応するデータの値は8ビットで表現される。8ビットを用いて表現できる値は0〜255である。そのため、8ビットを用いることにより256段階の階調を表現することができる。このように、シアン画像データは各画素の濃度を表現する値(0〜255)がシアン画像を形成するために必要な画素分集まったデータを指す。なお、簡便のため、8ビットを用いて表現することの出来る最大の値である255を100%として表す。画像形成装置100は入力される値(0〜100%)に応じてシートPにトナーを形成させる量を変える。なお、本実施例において、画像形成装置100にすべての画素に対応する値が100%のシアン画像データが入力されたとき、画像形成装置100は1cm2あたり0.5mgの重量のシアントナーを形成する。以下、1cm2に画像形成した場合のトナーの重量を載り量という。
同様に、クリア画像データは各画素の濃度を表現する値(0〜255)がクリア画像を形成するために必要な画素分集まったデータを指す。
なお、最大濃度や最大載り量は、画像設計、トナーの特性、定着装置の定着条件、シートの種類などによって決定される。そのため、本実施例の記載に限るものではない。以下、簡便のために、画像上の同じ位置に対応する画素値を加算して表現する。つまり、シアン画像データの画素値が20%であり、同じ位置に対応するマゼンタの画素値が40%であるとき、カラー画像データの画素値は60%と表現する。
[操作パネル部B及びコントローラKについての説明]
操作パネル部Bはユーザからの入力を受けることができる。画像形成装置100を制御する制御装置として機能するコントローラKは操作パネル部Bから入力された指示に応じて画像形成装置100を制御する。また、コントローラKは前述のクリア画像データ及びカラー画像データ等の様々なデータを取得する取得手段として機能する。また、コントローラKは取得したデータをメモリHに適宜記憶して画像形成装置100の制御等に用いる。なお、クリア画像データ、クリア変換テーブル等はメモリHに記憶される。
以下に、ユーザの設定を受け付ける操作パネル部について詳しく述べる。
[操作パネル部Bについての説明]
図5は操作パネル部Bを説明するための図である。図5における符番400はユーザが画像形成装置100に対して複写開始を指示するコピースタートキーを指す。また、符番401は標準モードに戻すためのリセットキーを指す。なお、本実施例において、標準モードは「モノクロ−片面−非クリア」の画像形成の設定になっている。符番402はガイダンス機能を使用するときに押下されるガイダンスキーを指す。符番403は設定枚数等の数値を入力するためのテンキーを指す。符番404は入力された数値をクリアするクリアキーを指す。符番405は連続コピー中にコピーを停止させるストップキーを指す。符番406は各種モードの設定やプリンタの状態を表示する手段としてのタッチパネル式の液晶ディスプレイを指す。符番407は連続コピー中又はファックスやプリンタとして使用中に割り込んで緊急コピーをとるための割り込みキーを指す。符番408は個人別や部門別にコピー枚数を管理するための暗証キーを指す。符番409は画像形成装置本体100の電源をON/OFFするためのソフトスイッチを指す。符番410は画像形成装置100の機能を変更するときに使用する機能キーを指す。符番411は、オートカセットチェンジのON/OFFや省エネモードに入るまでの設定時間の変更など、予めユーザが項目を設定するユーザモードに入るためのユーザモードキーを指す。符番450は光沢処理モード(クリアモード)選択キーを指す。符番451は両面画像形成モード選択キーを指す。符番452はフルカラー画像形成モード選択キーを指す。符番453はモノカラー画像形成モード選択キーを指す。以上が操作パネル部の説明である。ユーザはこれらの操作パネルを操作することによって、画像形成装置100に指示を出すことができる。
[コントローラKについての説明]
制御手段として機能するコントローラKはユーザの指示又は外部装置からの入力に応じて、画像形成装置100全体を制御する。ここで、フルカラー452ボタンが選択された場合(非クリアモード)及び光沢処理450ボタンが選択された場合(クリアモード)に分けて説明する。まず、カラー画像を形成する際に、入力されたカラーデータに対してコントローラKが実行する処理について説明する。その後、非クリアモード、クリアモードについて説明する。
[カラートナーの載り量を抑制する処理についての説明]
画像形成装置100は入力されるカラー画像データに基づき画像形成を行う。このとき、入力されるデータを色調が一致するように、いわゆるガンマ補正などの画像補正を行う。画像形成装置100は補正されたデータを用いて各々の画素ごとのトナー量を算出し画像形成を行う。そして、各色のトナーを重ね合わせて、様々な色を表現する。このとき、理論上は、カラー画像情報としては、最大で400%の画像データ量となる(つまり、各YMCKの画像データがそれぞれ100%である時)。
上記したように、理論上は、カラー画像データの1画素あたりの最大値は400%である。しかしながら、実際の画像形成において、400%のトナーが用いられることは少ない。なぜなら、コントローラKはUCRや、GCRといった方法を実行することによって、カラー画像データの1画素あたりの最大値を180%〜240%になるよう変更するためである。
UCRとは「Under Color Removal」(下色除去)のことである。カラー原稿を4色分解するときに、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)の3色が重なった部分にはグレーの成分が発生する。その成分をスミ版(Bk版)に置き換える時の方式で、ある程度以上の濃さのグレー成分をスミ版に置き換えトータルの画像データ量を減らすことを目的としている。
GCRとは「Gray Component Replacement」(グレー置換)のことである。色分解画像において、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)の比率が同じ点は、黒又はグレーになる。この部分をK(ブラック)に置き換えることによって、網点の比率を下げることが可能になり、網点総面積率が低くなることをいう。これらの処理を用いることによって、画像形成の際に消費するトナー量を少なくすることができる。
[非クリアモードにおける画像形成装置の動作についての説明]
ここでは、非クリアモードでのフルカラー画像形成動作を説明する。非クリアモードにおいて、第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peの内、有色トナー像形成手段としての第1から第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdにおいて画像形成が行われる。透明トナー像形成手段としての第5の画像形成ステーションPeのドラム1は回転するが、クリアトナー画像の形成は行わない。
コントローラKは第1から第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peが所定のタイミングで駆動するように制御する。これにより、各画像形成ステーションのドラム1は図2の矢印の時計方向に回転する。同様に、コントローラKは転写ベルト機構Dの転写ベルト7を回転駆動するように制御する。同様に、コントローラKはレーザ走査機構Cを駆動させる。この駆動に同期して、第1から第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdにおける一次帯電器3は各ドラム1の表面を所定の極性・電位になるように一様に帯電させる。レーザ走査機構Cは第1から第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdの各ドラム1の表面に画像信号に応じたレーザビーム走査露光Lを行う。これによって、第1から第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdの各ドラム1の表面に画像信号に応じた静電像が形成される。詳しくは、レーザ走査機構Cは光源装置から発せられたレーザ光を、回転しているポリゴンミラー8を用いて走査させる。ポリゴンミラー8によって走査された光束は反射ミラーによって偏向され、fθレンズによりドラム1の母線上に集光される。このようにして、各ドラム1上に各画像信号に応じた静電像が形成される。形成された静電像は現像器4によりトナー画像として現像される。ここで、コントローラKはメモリHに保存されている画像データをレーザ走査機構Cに対して送信することによって、各色のトナー像形成手段に所望のトナー像を形成させている。以下、コントローラKから画像データを受け取ることによってシートPにトナー像を形成する部分を画像形成部と呼ぶ。画像形成部は画像形成ステーションP及びレーザ走査機構Cからなる。
上記のような一連の電子写真プロセス動作によって、第1の画像形成ステーションPaのドラム1の周面にフルカラー画像のイエロー成分像に対応するイエロートナー画像が形成される。同様に第2の画像形成ステーションPbのドラム1の周面にフルカラー画像のマゼンタ成分像に対応するマゼンタトナー画像が形成される。第3の画像形成ステーションPcのドラム1の周面にフルカラー画像のシアン成分像に対応するシアントナー画像が形成される。第4の画像形成ステーションPdのドラム1の周面にフルカラー画像のブラック成分像に対応するブラックトナー画像が形成される。
一方、大容量給紙ユニット200、第1の給紙カセットE1、第2の給紙カセットE2、手差し給紙トレイE3の内で選択指定された給紙部の給紙ローラが駆動される。これにより、選択指定された給紙部に積載収納されているシートPが1枚分離給紙される。そして、シートPは複数の搬送ローラ、及びレジストローラ9によって転写ベルト機構Dの転写ベルト7上に供給される。
転写ベルト7上に供給されたシートPは転写ベルト7によって第1〜第5の各画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peの転写部に順次に送られる。各画像形成ステーションPの転写部はドラム1と転写ベルト7との接触部である。
転写ベルト7が回転駆動されて、所定の位置にあることが確認されると、シートPは、レジストローラ9から転写ベルト7に送り出され、第1の画像形成ステーションPaの転写部へ向けて搬送される。これと同時に画像書き出し信号がオンとなり、それを基準として所定の制御タイミングで第1の画像形成ステーションPaのドラム1に対し画像形成がなされる。
そして、そのドラム1の下面側の転写部で転写帯電器5が電界又は電荷を付与することにより、ドラム1上に形成された第1色目のイエロートナー画像がシートP上に転写される。この転写によりシートPは転写ベルト7上に静電吸着力でしっかりと保持され、引き続いて第2〜第4の画像形成ステーションPb,Pc,Pdの転写部へ順次に搬送される。そして、シートPはさらに第2〜第4の画像形成ステーションPb,Pc,Pdの各ドラム上に形成された、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像の順次重畳転写を受ける。これにより、シートP上に未定着の4色フルカラーのトナー画像が合成形成される。このとき、前述のように第5の画像形成ステーションPeのドラム1は回転するが、クリアトナー画像の画像形成は行われない。そのため、この第5の画像形成ステーションPeの転写部におけるクリアトナー画像のシートPに対する転写はない。
転写帯電器5は接触帯電器を用いた。また、転写帯電手段は転写時に寄与する電流を適正電流で一定にすると画像が安定することが知られている。そこで本実施例においても、シートの種類(厚さ、材質等)や吸湿条件等により、体積抵抗値が変化した場合にも一定電流が得られる様に定電流制御を行った。
4色フルカラーのトナー画像が合成形成されたシートPは、転写ベルト7の搬送方向下流部で分離帯電器10により除電されて静電吸着力が減衰されることによって、転写ベルト7の末端から離脱する。特に、低湿環境ではシートPが乾燥して電気抵抗が高くなるため、転写ベルト7との静電吸着力が大きくなり、分離帯電器10の効果は大きくなる。通常、分離帯電器10は、トナー画像未定着の状態でシートPに帯電するため、非接触帯電器が用いられる。なお、図2における符番11は転写ベルト7面のクリーニング装置を指す。
転写ベルト7から離脱したシートPは、搬送ベルト12により、未定着のトナー画像をシート面に固着させる定着手段としての定着装置Fに導入される。本実施例において、定着装置Fは図3に示すような熱ローラ定着装置である。
定着装置Fに導入されたシートPは、定着ローラ51と加圧ローラ52との圧接部である定着ニップ部Nに進入して挟持搬送される。これにより、加熱・加圧された各色トナー画像は混色してシートPに定着される。定着ニップ部Nを通ったシートPは定着排紙ローラ56により排出搬送される。このとき、セレクタ13は図3の実線で示される第1姿勢に切り換えられている。これにより、セレクタ13の上側を通過したシートPは本体排紙ローラ14に中継ぎされて、排紙口15から機外の排紙トレイ19に排紙される。
両面画像形成モードが選択されている場合には、定着装置Fを出た1面目画像形成済みのシートPは、図3の2点鎖線で示される第2姿勢に切り換えられたセレクタ13によって反転再給紙機構G側に進路変更される。これにより、シートPは反転再給紙機構Gの反転部(スイッチバック機構)20で表裏反転された後、両面搬送パス26に送られ、中間トレイ27に一旦収納される。中間トレイ27に収納されたシートPは、所定の制御タイミングで駆動された給紙ローラにより中間トレイ27からレジストローラ9に向けて送り出される。このレジストローラ9から再度、転写ベルト機構Dの転写ベルト7上に2面目が上向きの状態で給紙される。そして、1面目に対する画像形成の場合と同様に、第1〜第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdにより2面目に対する4色フルカラーのトナー画像の合成形成が実行される。2面目に対するトナー画像形成を受けたシートPは転写ベルト7から分離されて定着装置Fへ搬送され、2面目に対するトナー画像の定着処理を受ける。
もちろん、フルカラー画像形成だけでなく、モノクロ画像形成あるいはモノカラー(単色)画像形成をすることも可能である。モノカラー画像モードが選択されたとき、第1〜第5の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pd,Peのうち選択された色に対応した画像形成ステーションPが画像形成動作する。選択された色以外の画像形成ステーションPのドラム1は回転駆動するが、画像形成されない。そして、画像形成動作した画像形成ステーションPの転写部において、転写ベルト機構Dで搬送されるシートPにトナー画像を転写するシーケンスが実行される。
[クリアモードにおける画像形成装置の動作についての説明]
[画像形成に用いた各種条件について]
本実施例において、坪量150g/m2のA2グロスコート紙を用いて、トナーの載り量0.5mg/cm2で、全色ともに、濃度1.8が得られた。このトナーの載り量0.5mg/cm2を1色の最大載り量とした。
カラートナー像を形成する際のプロセススピードは100mm/s、定着ローラ51、加圧ローラ52の制御温度(目標温度)は、ともに、160℃とした。
クリアトナー像を形成する際のプロセススピードは300mm/s、定着ローラ51、加圧ローラ52の制御温度(目標温度)は、ともに、160℃とした。
また、本実施例おいて、クリアトナーはカラートナーと同じポリエステル樹脂を用いて、カラー顔料を混ぜずに製造したものを用いた。そのため、ガラス転移点(Tg)は略同一となる。
しかしながら、クリアトナー像を形成する際のプロセススピードはカラートナー像を形成する際のプロセススピードよりも早く、トナーに与えられるエネルギーは少なくなる。そのため、同じガラス転移点のトナーであっても、クリアトナーに与えるエネルギーはカラートナーに与えられるエネルギーよりも少なくなる。そのため、クリアトナーが形成された部分のグロスはカラートナーが形成された部分のグロスより低くなる傾向がある。本実施例において、クリアトナーがカラートナーと比べてマットになるように、2回目の画像形成時に積極的に定着時のエネルギーを減らしてクリアトナーが形成された領域がマットになるようにしている。具体的には、2回目の画像形成条件は、プロセススピードは300mm/sに速めることによって、定着で加熱する熱量を下げて、クリアトナーのグロスを低く抑える構成とした。なお、本実施例においては、クリアトナーを形成した部分の光沢が低くなるように画像形成条件及びカラートナー及びクリアトナーの母体を選択した。もちろん、クリアトナーの母体をカラートナーの母体よりも低いガラス転移点の母体を用いることもできる。その場合、2回定着したカラートナーのグロスよりも、1回定着したクリアトナーのグロスが高くなる。(これについては実施例4に記載している)。
[画像形成動作についての説明]
次に前述したクリアトナーを用いて、画像光沢の部分調整を行うクリアモードの画像形成について説明する。
クリアモードが選択されたとき、コントローラKはシートPにカラートナー像を形成し、定着させた後、カラー画像が定着されたシートPにクリアトナー像を形成し、定着させるように画像形成装置を制御する。つまり、シートPは1回目にカラー画像が形成・定着され、2回目にクリア画像の画像形成・定着される。このように、カラー画像形成とクリア画像形成とが2回に分けられて実行される。このようにクリアモードにおいて、画像形成装置はシートPの一方の面へのトナー像の形成と画像加熱処理を複数回に分けて実行することで成果物を出力する。
具体的に、まず、第1から第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,PdはシートPにカラートナーを用いて1回目の画像形成を行う。カラートナー画像が形成されたシートPは定着装置Fに導入される。これにより、カラートナー画像はシートPに定着(1回目の定着)される。
そして、定着装置Fを出た、1回目の画像形成・定着済みのシートPは、図3の2点鎖線示の第2姿勢に切り換えられたセレクタ13によって反転再給紙機構G側に進路変更される。この反転再給紙機構G側に入ったシートPは、表裏の反転が行われることなく両面搬送パス26を通り、レジストローラ9から、再び、転写ベルト7上に搬送される。
そして、第5の画像形成ステーションPeはカラートナー像が定着されたシートPにクリアトナーを用いてクリア画像を形成する。なお、シートPに対して、第5の画像形成ステーションPeによってクリアトナーを用いて画像形成をした後、第1から第4の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdにおいてカラートナーを用いて画像形成をしてもよい。これにより、1回目の画像形成・定着済みのシートPのカラートナー像が定着された上に、クリアトナー画像、又はカラートナー画像とクリアトナー画像が形成(2回目の画像形成)される。そのシートPは再び定着装置Fに導入され、2回目の画像形成時に形成されたトナー画像がシートPに定着(2回目の定着)される。
定着装置Fの定着ニップ部Nを通ったシートPは定着排紙ローラ56により排出搬送される。そして、片面画像形成モードの場合は、図3の実線に示す第1姿勢に切り換えられているセレクタ13の上側を通り、本体排紙ローラ14に中継ぎされて、排紙口15から機外の排紙トレイ19に排紙される。
反転再給紙機構Gはセレクタ13の姿勢を制御することにより、シートPの表裏の反転を制御する。つまり、シートPを反転させない場合、セレクタ13はシートPをそのまま両面搬送パス26に向わせる。また、シートPを反転させる場合は、セレクタ13はシートPを反転パス20を通ってから、両面搬送パス26に向かわせる。
上記のように、シートPに定着されたカラートナー像(有色トナー像)の上から、その一部にクリアトナー像(透明トナー像)を形成し、これを加熱することで画像光沢の部分調整を行う。
このように、クリアトナー像は、1回目の画像形成によってカラートナーによる画像が転写、定着されたシートPに対し、画像光沢の部分調整を行うために2回目の画像形成により転写、定着される。すなわち、シートPの画像領域のうち部分的にクリアトナーを積層して定着することで画像光沢の部分調整を行うものである。このため、クリアトナー像のトナー濃度として所望の光沢度となるトナー載り量を設定する。なお、クリアトナーの最大載り量は、カラートナーの最大載り量と一致している必要は無く、所望のグロスが得られる載り量を最大載り量として良い。
[前記画像形成条件におけるトナー量とグロスの関係]
本実施例において、クリアトナーを用いて部分的に光沢を調整する。前述の関係より、本実施例においてはシートPの画像領域のうちグロスをアップさせて光沢を高める領域(第2の領域)にクリアトナー像を形成しない。反対に、前記第2の領域とは異なる領域(第1の領域)にクリアトナー像を形成する。これにより、クリアトナーが形成されない第2の領域のグロスは高く、クリアトナーが形成される第1の領域のグロスは低くなる。
このように、第1の領域と第2の領域とでグロス差をもたせることによって、画像の部分的な光沢の調整をする。
このような条件下において、トナー量と光沢の関係について説明する。
まず、A2グロスコート紙(坪量が150g/m2)にカラー画像データ値200%(載り量1.0mg/cm2)で均一に画像を形成する。これを目標温度160℃、プロセススピード100mm/sの条件でシートPにカラートナーを定着し、さらに、目標温度160℃、プロセススピード300mm/sで定着した部分のグロスは45%(60度グロス測定)である。
A2グロスコート紙(坪量が150g/m2)にカラー画像データ値200%(載り量1.0mg/cm2)で均一に画像を形成する。これにクリア画像データ値100%(載り量0.5mg/cm2)で均一に画像を形成し、目標温度160℃、プロセススピード300mm/sの条件でシートPにクリアトナーを定着した部分のグロスは10%(60度グロス測定)である。
なお、グロスの測定方法は、日本電色工業株式会社製ハンディ型光沢計(PG−1M)を用いた(JISZ8741鏡面光沢度−測定方法に準拠)。
[従来手法を用いたときに発生する問題に関する詳しい説明]
特開2002−318482号公報の画像形成方法を用いることによって、光沢差をつけることができる。
しかしながら、特開2002−318482号公報に記載の装置のように、クリアトナーによって部分的にマーキングを行った場合、クリアトナーを用いて画像形成を行わなかったカラートナー部に画像不良が発生した。つまり、クリアトナーによって覆われることなく、2回定着されたカラー画像部に画像不良が発生した。具体的には、クリアトナーに覆われていない部分に0.1mm〜3mm程度のブツブツとした光沢ムラであった。
光沢ムラの原因について検討を重ねた結果、原因は定着ニップ中に入り込んだ少量の空気であることが解った。つまり、定着ニップ中に入り込んだ少量の空気が定着ローラ51と定着されたトナーとの間に挟まり、定着ローラ51と定着されたトナー表面との接触を妨げるために光沢ムラになる現象であることがわかった。そして、定着温度を上げると、その空気が十分に溶けて溶融粘度が下がったトナーを押し退けるために、数ミリの画像不良になることもわかった。この空気は、トナー像の表面の凹凸に平滑な定着ローラ51を押し付けた時に密閉される空気である。
つまり、未定着トナーを定着する際には、空気は未定着トナーの間の隙間から逃げることができるが、2回定着方法を用いると、1回目に定着されたトナー面は平滑なため、空気が逃げられずに、画像不良が発生してしまう。
[画像不良の発生を抑えるクリアモードについての説明]
そこで、本発明者は、未定着トナーを定着する際には、空気は、未定着トナーの間の隙間から逃げることができること、2回目に定着したクリアトナーのマーキングの上には、このような画像不良が発生しないことに着目した。そして、2回目のクリアトナーの画像形成・定着の際に、1回目に定着されたカラートナーの上に、少量のクリアトナーを載せることで画像不良の対策となることを見出した。
すなわち、本来クリアトナーを転写せずにグロスをアップさせる領域に、実質的にグロスをアップさせない程度の少量のクリアトナーを転写することで、前記空気が未定着クリアトナーの隙間から逃げられるようにして画像不良の発生を抑制するものである。
ここで、本実施例における画像形成装置により、1回目の定着で200%のカラートナーを定着し、その上に、クリアトナーを画像形成・定着したときのクリアトナーの画像データを変化させた場合の画像データ対出力画像のグロスの結果を調べた。グロスの測定方法は、前述したハンディ型光沢計及び方法により行った。
表1は200%濃度のカラー画像が定着されたシートPに対して、0%〜100%まで10%刻みでクリアトナーを形成する量を変化させたときの、クリアトナーが定着された部分の光沢及び画像不良の有無を示した表である。なお、クリアトナーの定着スピードは300mm/sである。また、定着ローラ51及び加圧ローラ52の制御温度はともに160℃である。
表1から解るように、カラートナーが定着されたシートPにクリアトナーを0.1mg/cm2以上(画像データの画素値としては20%以上)形成したとき、顕著な画像不良は発生しなかった。繰り返しになるが、2回目の定着速度は1回目よりも遅いため、データ量(載り量)が多くなるグロスGsは小さくなる。
表1からわかるように、クリアトナーの画像濃度レベルが一定以上である領域(本実施例においては、画像データの画素値が20%未満)は未定着クリアトナー量が少ないため、2回目の定着により空気が逃げられずに画像不良を発生する。言い換えると、従来クリアトナーを形成しなかった領域にある少量(本実施例においては、画像データの画素値が20%以上)のクリアトナーを形成することによって、画像不良の発生を抑制できることがわかる。
上記の結果から、画像データの画素値が20%未満の画素の値を20%に変換すれば、画像不良の発生を抑制することができることがわかった。なお、後述する実施例からもわかるように、画像不良が発生する際の画像データの閾値は画像形成条件、トナーの種類等に依存する。そのため、画像形成条件、トナーの種類においては、画像不良の発生を抑制するため画像データの値(本実施例においては20%)は数々の条件を考慮して決定される。言い換えると、画像不良の発生を抑制するためにシートPに形成されるトナーの単位面積あたり量は数々の条件を考慮して決定される。
[グロス差について]
前述の通り、光沢を低くする領域にクリアトナー像を形成するだけでなく、光沢を高くする領域も少量(画像データの画素値が20%以上)のクリアトナー像を形成することによって、画像不良の発生を抑制することが出来ることがわかった。
図6は表1をグラフ化したクリアトナーの載り量とグロスの関係を表す図である。縦軸はクリアトナーが定着された部分のグロスを表す。また、横軸はクリアトナーの載り量を表す。図から解るように、前述の定着条件でクリアトナーを定着すると、クリアトナーの載り量が増加するに伴い、グロスが低くなっているのがわかる。光沢を低くする領域にはクリアトナーが単位面積あたり0.5mg/cm2で形成されている。そのため、画像不良を抑制するため光沢を高くする領域にクリアトナーを形成すると、光沢を低くしたい領域のグロスと近づくことがわかる。
このように、クリアトナーの載せる量が少ない部分にクリアトナーを載せるように変換すると、グロスマークを視認しづらくなる。つまり、クリアトナーを載せずに2回目の定着すると、グロス差は大きくなり、グロスマークを視認しやすくなる。しかしながら、クリアトナーを載せるように変換すると、本来クリアトナーを載せる量が少ない部分にクリアトナーを載せるため、グロスマークが視認しづらくなる。
そこで、光沢を低くするクリアトナーが0.5mg/cm2で形成される部分の光沢と光沢を高くする領域のグロス差ΔGsについて、光沢を高くする領域のクリアトナーの載り量を変えてグロスを測定する。
表2は画像データの値が0%から100%まで10%刻みでクリアトナーが定着されたときのグロスGsとグロスGsとクリアトナーが100%で定着されたときのグロスとの差ΔGsを表にしたものである。一般に、グロス差ΔGsが小さくなると、グロスマークを打ったところと、打っていないところの差が識別できなくなってしまう。
ΔGsが、いくつであれば、グロス差があると言えるかに関して、20人の被験者を集めて、アンケート調査を行った。その結果を表3に示す。
グロス差が8%以上ある場合はクリアマーキングを9割以上が識別できた。しかし、これが8%未満となると、7割以下しか識別できなかった。
したがって、画像光沢の部分調整のためのクリアトナー像を形成する第1の領域とは異なる第2の領域に、画像不良を抑制するためにクリアトナー像を形成する。このとき、前記第1の領域と前記第2の領域のグロス差は少なくとも8%である場合、光沢差を認識することができる。そのため、光沢差が8%以上となるように、予め決められた量のクリアトナーを積層させることが好ましい。
表2からわかるように、クリアトナーの載り量が20%であれば、画像不良を抑制し(表1参照)、グロスアップする領域とのグロス差ΔGsも18%となってクリアマーキングを明確に識別できる。
以上のような実験結果から画像不良を抑制するために、従来クリアトナーを形成しなかった領域にクリアトナーを形成すればよいことがわかった。そのため、本実施例において、クリア画像データを変換するクリア変換テーブルを用いて、入力されるクリア画像データの値が20%以下の画素をクリア画像データの値を20%に変換する。
[フローチャートをクリアモードの説明]
図7は本実施例におけるクリアモードが選択されたときの画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップS101はクリア画像データを取得するためのステップである。クリア画像データは例えばパソコン、スキャナ等から送られてくる。コントローラKはパソコン、スキャナ等から送られてくるクリア画像データを取得する。このとき、コントローラKは透明トナー像を形成する領域を取得する領域取得手段、及び透明トナーの単位面積あたりの量を取得する取得手段として機能する。
ステップS102はクリア画像データ変換テーブルを用いてS101において取得したクリア画像データを変換するためのステップである。コントローラKは取得したクリア画像データのすべての画素値のうち閾値(本実施例では20%)以下の値を閾値(本実施例では20%)に変換する。
ステップS103はS102において変換された変換後のクリア画像データをメモリHに格納するステップである。コントローラKは変換後のクリア画像データをメモリHに格納する。
ステップS104はメモリHに格納された画像データに基づき画像形成を実行するステップである。コントローラKはメモリHに格納したクリア画像データに基づき、画像形成装置に透明画像を形成するように制御する。
図8は本実施例において用いた、入力画像信号(クリア画像データの値)が示す画像濃度に対する出力画像濃度(変換後のクリア画像データの値)の関係を規定したクリア変換テーブルである。また、図9はこのようなクリア画像の変換を行った結果、感光ドラム上に形成されるトナーの載り量とクリア画像データの関係を表す図である。
したがって、クリア画像データの画素値が0〜20%までの範囲では、クリア変換テーブルによって、クリア画像データの画素値が20%になるように変換する。このように変換されたデータを用いることによって、領域取得手段としてのコントローラKによって取得された透明トナー像を形成すべき領域(画像領域)を除くトナー像形成可能な領域のうち、上記例では有色トナー像が定着された領域であるかどうかは関係なく透明トナー像を形成したが、少なくとも有色トナー像が定着された領域に所定量の透明トナーが載せられる。載せるべき単位面積あたりの透明トナーの量は前記画像領域に載せるべき単位面積あたりの透明トナーの量よりも少なくするようにコントローラKは前記透明トナー像形成手段としての画像形成ステーションPeを制御する。
このように、クリア画像データの画素値がゼロであるときを含め、クリアトナーの画像データが設定値未満であるとき、出力画像濃度が変換テーブルに規定した設定濃度となるようにクリアトナーを載せることで画像不良の発生を防止することができる。なお、入力画像データによって指定された透明トナーを形成すべき領域(画像領域)に形成される透明トナーの量が20%未満である場合においては、その領域の画像データの値は20%に変換される。そのため最終的に出力される印刷物において、透明トナーを載せるように指定された画像領域には20%以上の透明トナーが形成される。また、透明トナーを載せるように指定された領域を除く領域(つまり、画像データの値が0%の領域)についても、画像データは20%に変換される。そのため最終的に出力される印刷物において、画像領域を除く領域(画像データの値が0%の領域)には20%の透明トナーが形成される。そのため、画像領域と画像領域を除く領域に形成される単位面積あたりの透明トナーの量を比較すると、画像領域を除く画像形成可能な領域に形成される単位面積あたりの透明トナーの量は画像領域に形成される単位面積あたりの透明トナーの量よりも少なくすることができる。
一方、クリア画像データの値が20%以上の画素にあっては、図8に示すように、入力画像データの画像濃度レベルが上昇するに連れて出力画像濃度が高濃度となるようにしている。これにより、光沢度が階調的に変化するようになる。また、入力画像データの値が20%未満の部分について詳しく述べる。制御手段としてのコントローラKは入力画像データの値が20%未満の部分(つまり、画像領域に形成される透明トナー像のうち単位面積あたり所定量未満の透明トナーを載せるべき領域)の画像データの値を20%に変更する。これにより、入力画像データの値が20%未満の部分に単位面積あたり所定量以上の透明トナーが選択的に載せられるようにコントローラKは透明トナー像形成手段としての透明画像形成ステーションPeを制御する。ここで、画像形成可能な領域とは、各画像形成ステーションがシート上にトナー像を形成することが出来る領域のことを指す。
[クリア画像データが2値の場合についての説明]
なお、本実施例において、前述のように、クリアトナーの画像濃度レベルが設定値未満のときは所定の設定濃度となるようにしたが、設定値以上のときは入力画像信号が示す画像濃度レベルに応じてクリアトナーを載せる例を示した。しかし、入力画像信号が示す画像データが設定値以上であったとき、入力信号が示す画像濃度レベルに関わらず出力画像濃度が前記設定濃度よりも濃い(クリアトナー載り量が多い)所定濃度となるように設定してもよい。
すなわち、クリア画像データを2値に変換するものである。クリアマーキングは色画像のように細かい色調の変化がつけられない。このため、クリア画像がある部分と無い部分の2値で画像を表現する場合もある。
この場合、パソコン等から送られてくる画像データは、0と1の2値データである。この2値の画像データを0〜255(0〜100%)のデータに変換することで、上記した画像形成方法で同様に出力することができる。
このときのクリア画像の変換テーブルは、下記、表4のような変換テーブルを用いれば良い。
表4にあっては、画像データが0のときは、グロスアップさせるために画像不良が発生しない程度の少量のクリアトナーを載せる(クリアトナーの画像濃度20%)。一方、画像データが1のときは、マットにするために設定されたクリアトナーを載せる(クリアトナーの画像濃度100%)。
上記のように2値データにより画像光沢の部分調整を行うようにしても画像不良の発生は防止できる。そして、2値データで処理することにより、変換テーブルを単純化することができる。これにより、領域取得手段としてのコントローラKは入力された2値画像データの値が0の領域(画像領域を除く領域)を取得する。コントローラKは2値画像データが0の領域のうち少なくとも有色トナー像が定着された領域(本例においては有色トナー像が定着された領域以外にも透明トナーを形成する)に載せる透明トナーの量を変更する。つまり、コントローラKは入力された2値の画像データの値0を百分率で表現された画像データの値20%変換し、コントローラKは入力された2値の画像データの値1を百分率で表現された画像データの値100%変換する。これにより、コントローラKは2値の画像データの値が0の領域(つまり、画像領域を除く画像形成可能な領域)に載せるべき単位面積あたりの透明トナーの量(20%)が2値の画像データの値が0の領域(つまり、画像領域)に載せるべき単位面積あたりの透明トナーの量(100%)よりも少なくなるように透明トナー像形成手段としての画像形成ステーションPeを制御する。
以上、説明したように、カラートナーとクリアトナーによって画像形成を行い定着する画像形成装置100において、一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生せず、良好な画像が得られる画像形成装置100を提供することができる。
〔第2実施形態〕
次に本実施例に係る装置の動作について図10を参照して説明する。なお、本実施例の装置の基本構成は前述した実施例1と同一であるため重複する説明は同一符号を付すことで説明を省略する。以下に、本実施例の特徴となる構成について説明する。
本実施例において、画像形成装置100はクリア画像の変換テーブルをカラー画像の画像情報をもとに変更する。
なぜなら、実施例1において述べたように、カラートナー部が2回定着されることによって画像不良が発生する。つまり裏返すと、カラートナー部が無ければ画像不良が発生することは無い。
そこで本実施例において、カラー画像データをもとに、カラー画像が無い画素では、従来と同じくクリア変換テーブルを用いないでそのまま出力する。一方、カラー画像がある画素は、実施例1と同様にクリア変換テーブルを用いて変換する。
すなわち、カラー画像が無い画素は、マットにする領域にのみクリアトナーを載せ、グロスアップさせる領域には従来と同様にクリアトナーを載せない。つまり、このようにしてグロスアップしても、カラー画像がない部分では画像不良は生じない。このような構成にすることによって、画像不良が起きない画素に、クリアトナーを無駄に載せることがなくなる。そのため、クリアトナーの消費量を抑えることができる。
[フローチャートを用いたクリアモードの説明]
図10は本実施例におけるクリアモードが選択されたときの画像形成装置100の動作を説明するためのフローチャートである。以下に図10に示すフローチャートに従い、画像形成装置100の動作について説明する。
ステップS201はカラー画像データ及びクリア画像データを取得するためのステップである。コントローラKはパソコン等から送られてくるカラー画像データ及びクリア画像データを取得する。
ステップS202は1画素ごとにカラー画像があるか無いかを判断するために、シートPに形成するすべてのカラー画像データのうち最初の画素を指定するためのステップである。
ステップS203は指定された画素のカラー画像データの値が閾値以上(本実施例において1以上)かを判定するためのステップである。コントローラKは指定された画素のカラー画像データが1以上のとき(つまり、カラー画像がある場合)、S204のステップを実行する。また、コントローラKは指定されたカラー画像データの画素値が0であるとき(つまり、シートPにカラートナー像が形成されない場合)、S206のステップを実行する。
ステップS204は指定された画素に対応するクリア画像データの画素値を変換するためのステップである。実施例1同様に、指定された画素に対応するクリア画像データの画素値をクリア画像データ変換テーブル(図8)を用いて変換する。つまり、指定された画素に対応するクリア画像データの画素値が閾値(本実施例では20%)以下である場合、その値を20%に変換する。
ステップS205はS204において変換した透明画像データをメモリHに格納するためのステップである。コントローラKはS204において変換したクリア画像データの値をメモリHに格納する。
ステップS206はS203において、指定された画素のカラー画像データの画素値が0であるときに実行されるステップである。前述のように、指定された画素のカラー画像データが0である場合、画像不良が発生しないため、対応するクリア画像データの画素値を変換しない。
ステップS207はシートに形成すべき画像データのすべての画素に対して上記の処理を実行したかを判定するためのステップである。すべての画素に対して上記の処理を実行し終えた場合、S209の処理を実行する。また、すべての画素に対して上記の処理を実行し終えていない場合、S208の処理を実行する。
ステップS208はすべての画素に上述の処理を実行するために、指定された画素の次の画素を指定するステップである。
ステップS209はすべての画素に対して上述の処理が実行された時に実行されるステップである。このとき、コントローラKはメモリHに格納されたクリア画像データに基づき、クリア画像をシートに形成するように画像形成装置100を制御する。
以上のステップにより、カラー画像領域において、グロスアップさせる領域の画像不良の発生が防止される。
上記のように構成することで、画像不良が対策できるとともに、無駄なクリアトナーの消費を抑えることもできる。
以上、説明したように、カラートナーとクリアトナーによって画像形成を行い定着する画像形成装置100において、一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生せず、良好な画像が得られる画像形成装置100を提供することができる。
〔第3実施形態〕
次に本実施例に係る装置の動作について図11を参照して説明する。なお、本実施例の装置の基本構成は前述した実施例1と同一であるため重複する説明は同一符号を付すことで説明を省略する。以下に、本実施例の特徴となる構成について説明する。
本実施例では、カラー画像データの画素値及び画像を形成するシートPに応じて、クリア画像データの変換を実行する。
本実施例ではカラートナーの画像データがある画素について検討した。その結果、前述した画像不良は、カラートナー載り量、紙種によって、画像不良が発生し始めるカラー画像データの画素値が異なることがわかった。
例えば、A0グロスコート紙に画像を形成する場合、カラー画像データの画素値が150%を超えるときに、クリアトナーを形成しないで、2回目の定着を行うと、クリアトナーで覆われていない部分に画像不良が発生することがわかった。つまり、A0グロスコート紙において、カラー画像データの画素値が150%それ以下の場合には、クリアトナーで覆われていない部分に画像不良が発生しないことがわかった。
そこで、同様に他の種類のシートPについても画像不良が発生開始するカラー画像データの画素値について調べた。表5はグロスアップさせる領域にクリアトナーを載せない状態において、画像不良が発生開始するカラー画像データの画素値をまとめた表である。
表5からわかるように、少量のクリアトナーを形成しなくとも、カラー画像データの画素値が小さいとき(シートPに形成されるトナーの量が少ないとき)、カラートナー部を2回定着しても画像不良は生じない。これは、カラー画像データの画素値が小さい(シートP上に載っているトナー量が少ない)領域では、トナーが記録材としての紙の繊維内にあり、2回定着時でも前記繊維とローラとの隙間から空気が逃げることができるため画像不良が発生しないと考えられる。一方、カラー画像データの画素値が大きくなると(シートPに形成されるカラートナー量が多いと)、トナーは紙の繊維の隙間を埋め、1回目の定着によってトナー面が平滑になっている。このため、2回目の定着時にローラとトナー層との間の空気が逃げられずに、画像不良が発生してしまうと考えられる。
このように、画像を形成するシートPによって異なるものの、シートPに形成するカラートナーの量が少ない場合においては、少量のクリアトナーを形成しなくとも、画像不良が発生しないことがわかった。そのため、2回定着しても画像不良が発生しないカラートナーの量のときは、クリアトナーを形成しない。このような構成にすることによって、画像不良が起きない画素に、クリアトナーを無駄に載せることがなくなる。そのため、クリアトナーの消費量を抑えることができる。
[フローチャートを用いたクリアモードの説明]
図11は本実施例におけるクリアモードが選択されたときの画像形成装置100の動作を説明するためのフローチャートである。以下に図11に示すフローチャートに従い、画像形成装置100の動作について説明する。
以下の例では、画像を形成するシートPはA0グロスコート紙とする。そのときに画像不良が発生開始するカラー画像データの画素値は150%であるとする。
ステップS301はカラー画像データ及びクリア画像データを取得するためのステップである。コントローラKはパソコン等から送られてくるカラー画像データ及びクリア画像データを取得する。
ステップS302は画像を形成するシートPの情報を取得し、シートPに応じてステップS304において用いる閾値を変更するステップである。コントローラKは画像を形成するシートPの情報(本実施例においてはA0グロスコート紙)を取得し、前記ステップS304において使用する閾値(本実施例では150%)を設定する。
ステップS303は1画素ごとにカラー画像があるか無いかを判断するために、シートPに形成するすべてのカラー画像データのうち最初の画素を指定するためのステップである。
ステップS304は指定された画素のカラー画像データの値が閾値以上(本実施例において150%以上)かを判定するためのステップである。コントローラKは指定された画素のカラー画像データが150%以上のとき、ステップS305のステップを実行する。また、コントローラKは指定された画素のカラー画像データが150%未満であるとき、ステップS307のステップを実行する。
ステップS305は指定された画素に対応するクリア画像データを変換するためのステップである。実施例1同様に、指定された画素に対応するクリア画像データの値をクリア画像データ変換テーブル(図8)を用いて変換する。つまり、指定された画素に対応するクリア画像データの値が閾値(本実施例では20%)以下である場合、値を20%に変換する。
ステップS306は前記ステップS305において変換した透明画像データをメモリHに格納するためのステップである。コントローラKは前記ステップS305において変換したクリア画像データの値をメモリHに格納する。
ステップS307は前記ステップS304において、指定された画素のカラー画像データの値が150%未満であるときに実行されるステップである。前述のように、指定された画素のカラー画像データが150%未満である場合、画像不良が発生しないため、クリア画像データの値を変換しない。
ステップS308はシートPに形成すべき画像データのすべての画素に対して上記の処理を実行したかを判定するためのステップである。すべての画素に対して上記の処理を実行し終えた場合、ステップS310の処理を実行する。また、すべての画素に対して上記の処理を実行し終えていない場合、ステップS309の処理を実行する。
ステップS309はすべての画素に上述の処理を実行するために、指定された画素の次の画素を指定するステップである。
ステップS310はすべての画素に対して上述の処理が実行された時に実行されるステップである。このとき、コントローラKはメモリHに格納されたクリア画像データに基づき、クリア画像をシートPに形成するように画像形成装置を制御する。
以上のステップにより、カラー画像領域において、グロスアップさせる領域の画像不良の発生が防止される。
なお、本実施例において、前記ステップS304において判定に用いる閾値は前記ステップS302において取得したシートPの種類に応じて変更したが、ユーザが設定できるようにしても良い。
上記のような構成とすることで、画像不良が対策できるとともに、無駄なクリアトナーの消費をより抑えることもできる。
以上、説明したように、カラートナーとクリアトナーによって画像形成を行い定着する画像形成装置100において、一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生せず、良好な画像が得られる画像形成装置100を提供することができる。
〔第4実施形態〕
本実施例においては、カラー画像を形成する装置とクリア画像を形成する装置は別の装置である。また、クリアトナーはカラートナーよりもTgが低い(溶けやすい)トナーを用いた。そのため、実施例1〜3とは異なり、クリアトナーが形成された部分のグロスはクリアトナーが形成されていない部分のグロスよりも高くなる傾向がある。
以下に、本実施例に係る装置について図12乃至図15を参照して説明する。なお、本実施例の装置の基本構成は前述した実施例1と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施例の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施例1〜3と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
本実施例では、カラー画像を形成する第1の画像形成・定着に図12に示すようなフルカラー画像形成装置を用いる。そして、クリアトナーによる第2の画像形成・定着には、図13に示すクリアの画像形成のみを行う画像形成装置を用いた。
図12のフルカラー画像形成装置は、実施例1において説明した画像形成装置から、クリアの画像形成ステーションを無くした構成であり、実施例1において説明した非クリアモードと同様の動作をする。なお、カラートナーはガラス転移点(Tg)が55℃のトナーを用いた。
図13の画像形成装置では、クリアトナーは懸濁重合法によって製造したものを用いた。離型剤として、ワックスを内包するため、定着装置Fは、実施例1において用いた図3の定着器から定着ローラ51にオイルを塗布する手段を除いた構成となっている。なお、図13の画像形成装置のプロセススピードは100mm/sとした。定着ローラ51、加圧ローラ52の制御温度(目標温度)は、ともに、160℃とした。シートは坪量150g/m2のA2グロスコート紙を用いた。なお、クリアトナーはガラス転移点(Tg)が45℃のトナーを用いた。
その結果、クリアトナーで画像形成を行った後の画像上で、カラートナーよりも、クリアトナーの方がグロスを高くなった。このため、本実施例では2回目のクリアトナーの画像形成に際し、グロスアップして光沢を出す部位にクリアトナーを載せるようにする。
図14は1回目の定着で200%のカラートナーを定着し、その上に、クリアトナーを画像形成・定着したときのクリア画像データの値とグロスの関係を示す図である。なお、図14には、画像不良の発生範囲もあわせて示してある。
この構成において、クリア画像データの値が25%以上のとき。画像不良が発生しなかった。つまり、クリア画像データの値が25%未満の場合、画像不良が発生する。そのため、実施例1と同様に、入力されたクリア画像データの値が25%未満の場合、クリア画像データ変換テーブルを用いて、値を25%に変換する。なお、クリアトナーの画像データの値が25%の時、シートに定着されるクリアトナーの載り量は0.15mg/cm2である。
クリア画像データの値が25%である時のグロスは50%である。また、クリア画像データの値が100%である時のグロスは70%である。そのため、クリア画像データの値が25%未満の画素に対応するデータを25%に変換することにより、画像不良は発生しない。また、実施例1において述べたように、光沢差を視認することができる。
[フローチャートを用いたクリアモードの説明]
本実施例は実施例1と同様に図7に示したフローチャートに従い、入力されるクリア画像データを変換する。なお、ステップS102において変換に用いるクリア変換テーブルは図15に示したものを用いる。
図15は本実施例において用いるクリア変換テーブルである。図15に示すように、クリア画像データのとして25%を規定し、クリアトナー画像データが設定値以下のときはクリアトナー画像データが25%となるようにする。すなわち、シートの画像領域のうち、グロスアップをしない領域には本来クリアトナーを載せないが、その状態で2回目の定着を行うと、画像不良を発生するおそれがある。そのため、そのような領域に少量のクリアトナーを載せる(本実施例では画像データ25%)ことで画像不良の発生を抑制する。このように、本実施例では図15に示すクリア変換テーブルを用いて画像形成したところ、画像不良もなく良好な画像が得られた。実施例1〜3と本実施例を比較してわかるように、画像形成条件が異なれば、画像不良が発生する際の条件が変わる。
以上、説明したように、カラートナーとクリアトナーによって画像形成を行い定着する画像形成装置において、一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生せず、良好な画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
〔第5実施形態〕
実施例1から4では画像形成装置においてクリア画像データの変換を行った。しかしながら、必ずしもクリア画像データの変換は画像形成装置本体において実行される必要は無い。本実施例では、画像形成装置に接続された外部装置としてのパーソナルコンピュータ(以下PCと略す。)がクリア画像データの変換を実行する。PCにはクリア画像データの変換を実行するためのプログラムがHDDにインストールされている。PCはインストールされたプログラムに従い各種処理を実行する。これにより実施例1から4と同様に画像不良を抑制することができる。以下に、PCの概略構成を説明する。
[PCのハードウエア構成について]
PC1000は画像形成装置100と接続されることによって画像形成システムを構成する。本実施例においてPC1000と画像形成装置100はEthernet(登録商標)I/Fを介して相互に通信可能に接続されている。PC1000は画像形成装置100に対して印刷命令を送信可能な外部端末である。そのため、MFPに対して印刷命令を送信可能な他の端末をPC1000の代替として用いてもよい。例えばWS(Work Station)やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な情報端末であってもよい。
図16は情報処理装置としてのPCの一例であるPC1000のハードウエア構成を示すブロック図である。以下にPC1000のハードウエア構成について説明する。
CPU1001(Central Possessing Unit)、RAM1002(Random Access Memory)、ROM1003(Read Only Memory)はバス1004に接続されている。同様に、HDD1005(Hard Disk Drive)、ネットワークコントローラ1006、ビデオコントローラ1007、I/Oコントローラ1008はバス1004に接続されている。なお、バス1004に接続されている各種ユニットはバス1004を介して相互に通信することができる。CPU1001は例えばROM1003に保存されているプログラムをRAM1002に展開して実行する。また、CPU1001はバス1004を介して、HDD1005、ネットワークコントローラ1006、ビデオコントローラ1007、I/Oコントローラ1008に対して制御命令等を送信する。また、CPU1001はバス1004を介して、HDD1005、ネットワークコントローラ1006、ビデオコントローラ1007、I/Oコントローラ1008からの状態を示す信号及び画像データ等のデータを受信する。このようにしてCPU1001はPC1000を構成する各種ユニットを制御することができる。
PC1000は画像形成装置100とEthernet(登録商標)I/F1012を介して接続される。PC1000がEthernet(登録商標)I/F1012を介して画像形成装置100と通信する場合、通信経路はLAN(Local Aria Network)内部に限るものではなく、インターネットを経由しても良い。また、PC1000には入力デバイスとしてのキーボード1010、マウス1011がPS/2 I/F1009を介して接続されている。また、PC1000には表示手段としてのディスプレイ1014が接続されている。
本実施例において、CPU1001はHDD1005にインストールされた基本ソフトであるOS(Operatin System)に従いPC1000を構成する各種ハードウエアを制御する。これにより、ユーザはPC1000を構成するハードウエアを意識することなく、GUI(Graphical User Interface)を操作することによって、PC1000に所望の動作を実行させることができる。また、ユーザはOS上で実行されているHDD1005にインストールされたアプリケーションプログラムから外部の画像形成装置100に対して印刷命令を送信することができる。印刷命令を画像形成装置100に対して送信する際、画像形成装置100の機種によって制御方法が異なる。そのため、PC1000は画像形成装置100の機種に対応するドライバプログラムを用いて画像形成装置100に応じた制御命令を生成する。HDD1005にインストールされたドライバプログラムはOSの一部に組み込まれることによって、接続された周辺機器に応じた制御命令を作成することができる。本実施例において、クリア画像データの変換はHDD1005にインストールされたドライバプログラムが実行するものとする。
以上がPC1000のハードウエア構成の一例に対する説明である。
[PCに接続されたディスプレイに表示される画面の例]
以下にPC1000から画像形成装置100に対して印刷命令を送信する際に、PC1000に接続されたディスプレイ1014に表示される操作画面について説明する。図17はPC1000がディスプレイ1014に表示させる画面の一例を示す図である。ユーザはディスプレイ1014に表示された各項目をマウス等の入力装置を用いて各種設定を行うことができる。グロスマークをシートPに形成する際、画像形成装置100に対して送信するカラー画像データとは別にグロスマークを形成するために必要な画像データを送信する必要がある。図17に示す設定画面において、ユーザはクリアトナーを用いてグロスマークをシートPに形成する際に必要な画像データの設定を行うことができる。また、ユーザは画像データを変換することなくクリアトナー像を形成する「光沢差優先モード」と画像データを変換することによって光沢ムラを抑制する「画質優先モード」のいずれかを設定することができる。
画面に表示される各ボタンB101からB105はPC1000に接続されたマウス1011を用いて選択することができる。図17に示す画面では、画像形成装置100で透明トナー像を形成するために用いるクリア画像データの設定及びモードの設定を行うことができる。
ユーザはボタンB101を選択することによりクリア画像データを設定することができる。ボタンB101が選択された場合、HDD1005に保存された画像データをクリア画像データとして設定することができる。設定されたクリア画像データは画像データ取得手段としてのCPU1001によって取得される。図17に示す画面ではクリア画像データとして、「aaa.tiff」が設定されている。
次に、モードの設定について説明する。本実施例において、ディスプレイ1014に2つのモードが選択可能に表示されている。ボタンB102は第一のモードとしての光沢差優先モードを選択するためのボタンである。ボタンB103は第二のモードとしての画質優先モードを選択するためのボタンである。このように、表示制御手段としてのCPU1001はビデオコントローラ1007に対して図17に示すような画面をディスプレイ1014に表示させるような命令を送信する。ユーザはディスプレイ1014に選択可能に表示されたモードのうち1つを選択することができる。ユーザはクリア画像データ及びモードを設定した後、OKボタンB105を押すことにより、画像形成装置100に対して透明トナー像を形成させることができる。これにより、モード取得手段としてのCPU1001はユーザによって選択されたモードを取得することができる。また、キャンセルボタンB104を押すことにより、これらの設定は破棄される。
[フローチャートを用いたPCの動作説明]
HDD1005に保存されたドライバプログラムに応じて、PC1000が画像処理を実行する手順についてフローチャートを用いて説明する。クリア画像データ及びモードが設定され、OKボタンB105が押された場合のPC1000は以下のように動作する。図18はPC1000が実行するプログラムを示すフローチャートである。以下に各ステップについて詳述する。
ステップS401は図17に示す画面をディスプレイ1014に表示させ、表示されたクリア画像データ及びモードを取得するためのステップである。CPU1001はビデオコントローラ1007に対して図17に示す画面をディスプレイ1014に表示させる。これに伴い、ユーザはマウス1011又はキーボード1010を利用してモード及びクリア画像データを設定することができる。ユーザがOKボタンB105を押すことにより、CPU1001はクリア画像データ及びモードを取得する。
ステップS402は前記ステップS401において取得したモードに応じて実行する処理を変更するためのステップである。CPU1001は前記ステップS401において選択されたモードが「画質優先モード」のとき、ステップS403の処理を実行する。また、CPU1001は前記ステップS401において選択されたモードが「光沢差優先モード」のとき、ステップS405の処理を実行する。
ステップS403は前記ステップS401において「画質優先モード」が選択された場合に実行させるステップである。CPU1001は前記ステップS401において取得されたクリア画像データのすべての画素に対応するデータの値をクリア変換テーブル(図8)に基づき変換させる。なお、クリア画像変換テーブルはROM1003に保存されているものとする。
ステップS404は前記ステップS403において変換されたクリア画像データをRAM1002に保存するためのステップである。CPU1001は前記ステップS403において変換したクリア画像データをRAM1002に保存する。
ステップS405は前記ステップS401において「光沢差優先モード」が選択されたときに実行されるステップである。CPU1001は前記ステップS401において取得したクリア画像データをRAM1002に保存する。
ステップS406は前記ステップS404又はS405においてRAM1002に保存されたクリア画像データを画像形成装置100へ送信するステップである。CPU1001はRAM1002に保存されたクリア画像データをEthernet(登録商標)I/F1012を介して画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は受信したクリア画像データに基づき、カラートナー像が定着されたシートPを覆うように透明トナー像をシートPに形成する。
このように「画質優先モード」が選択されるときクリア画像データに対して変換を行う。これにより、画像形成装置本体100で画像処理を実行するのと同等の効果を得ることができる。また、本実施例においては、「光沢差優先モード」と「画質優先モード」を選択可能に実行することができる。これにより、ユーザの意図に応じた画像形成を行うことができる。
ここで、「画質優先モード」が選択された際に実行される前記ステップS403の処理は実施例1に示した図7の前記ステップS102の処理に対応するものである。本実施例においては図7の前記ステップS102に対応する処理をPC1000において実行した。なお、「画質優先モード」が選択された際に実行される処理は図10又は図11に示す光沢ムラを抑制ための画像処理に対応する処理を実行してもよい。
また、この特徴的な処理を実行させるためのプログラムは情報処理システム若しくは情報処理装置に対して遠隔から供給されてもよい。また、情報処理システムに含まれる情報処理装置が情報処理システムの外部の情報処理装置に保存されているプログラムコードを読み出して実行してもよい。
つまり、PC1000にインストールされるプログラム自体も前述の処理を実現させるものである。なお、プログラムによってPC1000が前述の処理を実行する限りにおいて、プログラムの形態を限定しない。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
プログラムはブラウザを用いてインターネットのホームページからダウンロードしてもよい。すなわち、該ホームページからプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードしてもよいのである。また、前述の処理を実行するためのプログラムを構成するプログラムを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、プログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバは構成要件となる可能性がある。
また、プログラムファイルを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布してもよい。この場合、所定条件をクリアしたユーザにのみ、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報で暗号化されたプログラムを復号して実行し、プログラムをPC1000にインストールしてもよい。
なお、そのプログラムの指示に基づき、PC1000上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ってもよい。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、PC1000に挿入された機能拡張ボードやPC1000に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行ってもよい。
〔他の実施の形態について〕
前述した各実施形態では、ゴムローラ対を用いた定着装置Fを使用した例を示したが、これに限する必要はない。定着ベルトを用いた定着器や、加圧ローラの代わりに加圧ベルトを用いたベルト定着器を用いても同様の効果が得られる。