JP2008538945A - シンクロ機構 - Google Patents

Abstract

【課題】オフィス椅子の背凭れの「傾斜抵抗」の変化させるために、バネの張力を調整する必要のないシンクロ機構を提供する。
【解決手段】 旋回軸線９の周りで回動可能な背凭れ支持部材４は、一方が基部支持体１に他方が座部支持部材３の後端部１２に回動可能な方法で直接にリンク連結され、背凭れの後方への傾斜Ｓが座部支持部材３の後方領域のリフティングＨ１を生じさせる。同時に座部支持部材３は、座部支持部材３の前方領域をリフティングＨ２させるように、基部支持体１にリンク連結されていることを特徴とする。オフィス椅子のユーザーが背凭れにもたれることによって、自身を「リフティング」することが、本発明の基礎の観念である。
【選択図】図１

Description

本発明は、椅子柱に置かれた基部支持体と、座部支持部材と、背凭れ支持部材とを有するオフィス椅子の座部と背凭れを相関動作させるシンクロ機構に関する。

「シンクロ機構」とは、オフィス椅子の座部の構成におけるアセンブリを意味するもので、座部と背凭れを所定の関連動作させる運動学的な連結構成をいう。一般に、布や革を張った椅子の座部は、オフィス椅子の座部支持部材上に載置されている。背凭れ支持部材は、実際にはシンクロ機構から後方に伸延し、垂直な片持ち梁にオフィス椅子の背凭れを支持している。座部支持部材と背凭れ支持部材は、通常、弾力的に連結され、例えば、背凭れに椅子のユーザーがもたれることによって起こされる背凭れの後傾が、座部の後端部を下方に誘導するようになっている。

このような背凭れの「傾斜抵抗」を変化させるために、シンクロ機構は、通常、同機構に予め負荷を掛けるようにバネ部品が組み入れられている。この予負荷の大きさは、椅子のユーザーの体重による。

本発明の目的は、背凭れの「傾斜抵抗」を変化させるためのバネ張力の調整が必要とされないシンクロ機構を提供することにある。

この目的は、請求項１に記載のシンクロ機構によって達成される。このシンクロ機構では、横軸線の周りで回動可能な背凭れ支持部材は、背凭れの後方への傾斜が座部支持部材の後方領域のリフティングを誘導させるように、一方が基部支持体に他方が座部支持部材の背凭れの後端部に回動可能な方法で直接に連結されている。また、座部支持部材の前方領域が、同時にリフティングを引き起こすように、座部支持部材が基部支持体に連結されるシステムを有している。

本発明の基本的アイディアは、オフィス椅子のユーザーが背凭れにもたれることによって自身を「リフティング」させるということである。公知のバネ張力を調整する制御のように、複雑な制御メカニズム（ウォームギア、ハメバ歯車、ねじ付ロッドなど）を含んでいるものは、必要とされない。これは、シンクロ機構の製造の費用をかなり減少させると共に、信頼性が向上する。

座部支持部材は、その後方領域のみでなく、同時に座部支持部材の前方領域でもリフティングが起こるという事実により、背凭れに対し所定の関係で座部の同時上向きと後向きの同期的運動が催される。設計の選択により、背凭れの開き角は、公知の解決手段と比較すると、かなり広くすることができる。これは、極端な後方位置も同様に可能である。

有利な本発明の実施形態は、従属クレームにおいて与えられる。

特有の効果を有するものは、基部支持体が直線状ガイドを介して座部支持部材の前端部に連結される構成である。これは、背凭れと共に座部の同期された直線運動を容易にすることになる。直線ガイドトラックを有する直線状ガイドのほかに、複数の異なるガイドトラックも、もちろん可能である。前記ガイドの形状、ガイドの位置（例えば、水平物に関するガイドの傾斜角）などは、座部支持部材の同期運動の個々の適用を容易にする。例えば、全く如何なる「傾斜」もなく、絶対的に直状仕様で座部支持部材が背凭れと同期して動くことは可能である。ガイドの適切な設計では、わずかに「傾斜」させるも可能である。他の変形例は、基部支持体と座部支持部材との間の連結ポイントを、座部の前端部からの距離が、より小さくあるいはより大きくなるように配置することにより達成できる。

オフィス椅子が、所定の設計がなされた座部領域を有するとき、つまり、ユーザーが更に後方位置へ背凭れを任意に傾動するように設計された座部領域を有するとき、いわゆる「シャツ剥れ現象」が非常に効果的に阻止できる。

本発明の「自己調整」機構として要求される形態のレバーは、背凭れ支持部材と基部支持体との間を連結する旋回軸線（椅子の長手方向に見られる）が、背凭れ支持部材と座部支持部材との間を連結するヒンジ軸線の後方に位置されているという構成により、好ましく達成される。

本発明によれば、バネ張力の調整は必要とされないが、作動領域を調整するデバイスを設けることもできる。これは、座部支持部材に本質的に水平にバネ部材を配置するという効果的な方法によって好ましく達成されるが、このバネ部材は、一方が座部支持部材に連結され、他方が、基部支持体に設けられかつ基部支持体を横断するように配置された軸受軸に連結されている。軸受軸は、その回転によって偏心する設計であり、ユーザーは、軸受軸のセンターとバネサスペンションを変位させ、バネ張力を「ハード」と「ソフト」の間で少なくとも２つのセッティング調整を容易にする。

本発明は、従来から公知の解決手段と比較して、建設的で非常に簡素な旋回機構となっている。これは、製造の費用を低減する。さらに、その単純な構成にもかかわらず、いわゆる「シャツ剥れ現象」を低減させる。換言すれば、複雑化やコストの増大方向に向かうことなく、非常に高い着座快適性が達成される。

本発明の１つの実施形態を、図面につき詳細に説明する。

図１において、シンクロ機構は、テーパソケット２によって椅子柱（図示せず）の頂端部に設けられている基部支持体１に特徴がある。シンクロ機構は、本質的にフレーム形の座部支持部材３（図３参照）と、平面的にフォーク形の背凭れ支持部材４と、基部支持体１の両側に設けられた側板部５、６とを有している。全ての図面において、基本的な位置は、背凭れ支持部材４が本質的に垂直の位置にある。

表面が布張りされた座部７は、座部支持部材３上に載置され、詳示しない固定部材で通例の方法で組み立てられている。座部７は、座部支持部材３が如何なる運動しても対応するように、座部支持部材３に確実に固定されている。背凭れ（図示せず）は、背凭れ支持部材４に取り付けられており、最近のオフィス椅子では、高さ調節可能である。また、背凭れは、単一ユニットとして背凭れ支持部材４と連結することもできる。

図から明らかなように、実際の動き関連する限りにおいて、シンクロ機構全体は、中央長手方向平面Ｍ（図４参照）に対して鏡面対称に設計されている。したがって、以下の説明は、常に旋回機構の構成部材は対である。

背凭れ支持部材４は、一方が、基部支持体１の自在軸受８に取り付けられ、背凭れ支持部材４が自在軸受８を介して基部支持体１に直接にヒンジ連結されている。この結果、実際には背凭れを有する背凭れ支持部材４は、自在軸受８を挿通する旋回軸線９の周りで、傾斜方向Ｓ（図２参照）に傾斜可能となる。自在軸受８は、側板部５、６の前端部１０の前に設けられている。

他方、背凭れ支持部材４は、その側板部５、６の前端部１０が座部支持部材３の後端部１２とヒンジ１１を介して連結されている。このようにすれば、背凭れが後傾する結果、座部支持部材３は、傾斜方向Ｓに移動され、側板部５、６によって形成されたレバー構成によりリフティングされる。換言すれば、揺動がヒンジ１１の軸線１３の周りで起こる。

椅子の長手方向１４で見れば、基部支持体１と背凭れ支持部材４との連結部分での旋回軸線９は、座部支持部材３と背凭れ支持部材４との連結部分でのヒンジ軸線１３の後方に設けられることになる。さらに、座部支持部材３と背凭れ支持部材４との連結部分でのヒンジ軸線１３は、基部支持体１と背凭れ支持部材４との連結部分での旋回軸線９の位置より上にある。

基部支持体１は、座部支持部材の前端部１５の方向に向って伸びる２つの袖部１６、１７を有している。図３から明らかなように、袖部１６，１７は、座部支持部材３の前方領域の直線状のスライドガイド１８に各々案内され、軸受軸１９に連結されている。

この構成により、圧力が後方下方の傾斜方向Ｓとなるように背凭れと背凭れ支持部材４に掛かるとき、リフティングＨ１を体験するのは、座部支持部材３の後領域だけではない（図２参照）。座部支持部材３の前領域も、同期様式で持ち上げられる（リフティングＨ２）。換言すれば、座部領域の前方と後方の両方が同時にリフティングする。座部７は、全体的にリフティングされる。

座部表面のパッド（覆い）２０は、成形発泡体でできている（特に図２参照）。パッドは、座部の長手方向１４で互いに配置される２つの異なる座部領域２１、２２に分割され、かつそれらの覆いも異なっている。本実施形態で使用される座面の構成としては、座部前領域２１（覆い２０のトータル長さの約３０％〜４０％）は、覆いの厚さが「スタンダード」であり、座部後領域２２（トータル長さの７０％と６０％間）は、後方に沈むユーザーを戻す（rolling back）という目的で調節可能な覆い（variable upholstery）が設けられている。本実施形態では、座部後領域２２の覆いの厚さは、座部前領域２１の覆いの厚さと比較して、少なくとも２０mmより高くしている。座部前領域２１から座部後領域２２への移行部の状態は、非常にソフトで如何なる隆起線もない滑らかであることが好ましい。特に、良好な結果は、細長い平らなＳ字形の移行領域とすれば達成される。座部前領域２１から座部後領域２２への移行部は、主にユーザーの体重を座部前領域２１にかかるようなノーマルな（「標準的な」）位置に配置されている。圧力が背凭れに掛かるとき、ユーザーの骨盤は、水平なＳ字形上で座部後領域２２に向って転動する。このようにユーザーは、後方下方への背凭れの移動に追従する。換言すれば、ユーザーの後方移動とそれに関連する後領域の座部７への圧力は、座部を「曲がり」やすくすると共に、ローリングの形式でユーザーによって覆い２０に滑りを生じさせる。背凭れとユーザーとの間の非常に同期した連続的な動きは、このような方法で達成される。この結果、いわゆる「シャツ剥れ現象」をかなり減らすことができる。

発泡体は、後方に伸びることができるように、後部座面端部２３の方向に自由であることが好ましい。

「覆い」のコンセプトは、使用する材料に関係なく、いかなる型式でも柔軟な座面設計とすることを意味するものと理解されるべきである。成形された発泡体のほかに、何か他の弾力ある材料を使うこともできる。例えば、バネパケット（spring packets）のようなものや、シリコンクッションと発泡体を合わせたような材料の組み合わせも使われる。例えば、２つのゾーン発泡体を使用することも、同様に可能である。

本実施形態で示された背凭れの「傾斜抵抗」の固さは、「ハード」から「ソフト」の２段階の間で切り換えることができる。このために、引張バネ２４は、座部支持部材３に本質的に水平に設けられ、その前端部２５は偏心した軸受軸１９に、その後端部２６は座部支持部材３に取り付けられている。軸受軸１９は、側部に設けられた作動部材２７によって第１の位置から第２の位置に、軸線の周りで回動できる（図４参照）。軸受軸１９（図４参照）の偏心の設計により、引張バネ２４の前方取り付け位置は、軸受軸１９が回動するとき、同様に変化する。したがって、引張バネ２４は、当初の応力が変化することになる。これにより多少固い傾斜抵抗が、軸受軸１９の位置と関連して達成される。引張バネ２４の数は、１つに限定されるものではない。設計によっては、更なる引張バネ２４を、平行に設けることもできる。

背凭れの傾斜を抑えることは、提示した機構から明らかであるが、作動レバー２８によってどのように動作されるかについては、ここでは詳述を省略する。

本発明は、構成が簡素化した、椅子の座部と背凭れ部を相関動作させるシンクロ機構を提供できる。

斜め下方から示すシンクロ機構の斜視図である。 シンクロ機構の横断面図である。 斜め上方から示すシンクロ機構の斜視図である。 シンクロ機構の平断面図である。

符号の説明

１…基部支持体、
２…テーパソケット、
３…座部支持部材、
４…背凭れ支持部材、
５…側板部、
６…側板部、
７…座部、
８…自在軸受、
９…旋回軸線、
１０…側板部の前端部、
１１…ヒンジ、
１２…座部支持部材の後端部、
１３…ヒンジ軸線、
１４…椅子の長手方向、
１５…座部支持部材前端部、
１６…袖部、
１７…袖部、
１８…スライドガイド、
１９…軸受軸、
２０…覆い、
２１…座部前領域、
２２…座部後領域、
２３…座面後領域、
２４…引張バネ、
２５…バネ前端部、
２６…バネ後端部、
２７…作動部材、
２８…作動レバー。

Claims (4)

1. 椅子柱上に置かれた基部支持体（１）と、座部支持部材（３）と、背凭れ支持部材（４）とを有するオフィス椅子の座部と背凭れを相関動作させるシンクロ機構であって、
   前記背凭れ支持部材（４）は、一方が前記基部支持体（１）に、他方が前記座部支持部材（３）の後端部（１２）に回動可能な方法で直接的にリンク連結された横軸線（９）の周りで回動可能とされ、
   前記背凭れの後方への傾斜（Ｓ）が前記座部支持部材（３）の後方領域のリフティング（Ｈ１）を生じさせ、それによって前記座部支持部材（３）の前方領域のリフティング（Ｈ２）を同時に引き起こすように、前記座部支持部材（３）が前記基部支持体（１）にリンク連結されているシンクロ機構。
2. 前記基部支持体（１）は、ガイド（１８）を介して前記座部支持部材（３）に連結されている請求項１に記載のシンクロ機構。
3. 前記ガイド（１８）は、直線状をしたガイドである請求項２に記載のシンクロ機構。
4. 前記基部支持体（１）と前記背凭れ支持部材（４）とを連結する旋回軸線（９）が、前記椅子の長手方向（１４）において、前記座部支持部材（３）と前記背凭れ支持部材（４）とを連結するヒンジ軸線（１３）の後方に設けられている請求項１〜３のいずれか１つに記載のシンクロ機構。

Images