本発明は、加工軸線を有する加工機械に、加工軸線に沿って加工したいワークピースを緊締するためのクランプ装置であって、加工軸線を中心として回動可能なクランプヘッドと、該クランプヘッドに配置されたクランプエレメントとが設けられている形式のものに関する。
さらに、本発明は、加工軸線を有する加工機械に関する。
加工機械、たとえば円筒研削機械、フライス削り機械または旋削機械として形成された工作機械は、1つまたはそれ以上の加工軸線を有している。この加工軸線に沿って、加工機械に緊締されたワークピースを加工することができる。この場合、このワークピースはクランプ装置によって加工機械に緊締される。加工機械および加工過程に応じて、ワークピースは加工軸線に沿って緊締されるかまたは加工軸線に対して半径方向に緊締される。
加工軸線に沿って緊締するために、たとえばワークピースを、互いに相対的に加工軸線に沿って調節可能な円錐形のまたは円錐台形の2つのクランプポイントの間に緊締することが知られている。この場合、両クランプポイントは力下で互いに調節可能である。管状のワークピースでは、クランプポイントが部分的にばね圧によって端面側でワークピース内に係合する。クランプポイントを種々異なるワークピースに適合させるために、クランプポイントを、クランプヘッドと、このクランプヘッドに交換可能に配置されたクランプエレメントとから製作することが知られている。この場合、ワークピース平行性は、加工軸線に対するクランプポイントの軸線平行な移動を介して調整される。この場合、クランプ装置は、両クランプポイントと、この両クランプポイントを相対押圧するための調節機構とを有している。
ドイツ連邦共和国特許出願公告第19533456号明細書に基づき、心押台に配置可能なクランプポイントが公知である。このクランプポイントは主軸に支持されている。クランプポイントは一体に形成されていて、円錐形状を有している。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3622725号明細書に基づき、ハウジング内に支承された連行式のクランプポイントまたは主軸が公知である。このクランプポイントまたは主軸も同じく一体に形成されていて、円錐形状を有している。
一体に形成された円錐形のクランプポイントの剛性的なクランプに基づき、不正確に製造されたかまたは硬化歪みによって変形させられたセンタリング部(クランプ面)を有する、たとえば管状のワークピースをクランプポイントの間への緊締時に変形させる危険がある。また、たとえば前述した緊締状況でのクランプポイントまたはワークピースの汚染も著しい変形に繋がり得る。
加工軸線に対して半径方向で緊締するためには、通常、加工軸線を中心として回動駆動可能なクランプチャックが使用される。このクランプチャックは、半径方向に可動の、たとえば固有のレンチによって調節可能なかつワークピースに対してクランプ可能なクランプジョーを備えている。この場合、このクランプジョーは、ワークピースをその外周面からクランプジョーの間にクランプすることができるかまたは、管状のワークピースの事例では、その内周面からクランプジョーの間にクランプすることができるように形成されている。クランプ装置は、この事例では、クランプチャックボディと、半径方向に調節可能なクランプジョーと、このクランプジョーを同時に半径方向に調節するための調節機構とから成るクランプチャックを有している。
この場合、前述したクランプポイントに比べて、クランプチャックボディをクランプヘッドと呼ぶことができ、クランプジョーをクランプエレメントと呼ぶことができ、これによって、クランプ装置が、緊締状況に関係なく、クランプヘッドと、このクランプヘッドに調節可能に配置されたクランプエレメントと、調節機構とを有している。通常、1つのクランプヘッドは、1つの加工機械に使用するために、3つのクランプエレメントを有している。これらのクランプエレメントはワークピースを、クランプエレメントとワークピースとの間に緊締時に形成される3つの接触箇所の間にセンタリングする。
ドイツ連邦共和国実用新案第29624215号明細書に基づき、クランプ装置が公知である。この公知のクランプ装置は、基礎ジョーと載着ジョーとから成る、ジョーガイドにおいて半径方向に調節可能なそれぞれ1つのクランプジョーのための半径方向の少なくとも2つのジョーガイドを備えたクランプチャックボディを有している。
ドイツ連邦共和国実用新案第20320649号明細書に基づき、1つのクランプチャックボディと複数のクランプジョーとを備えたクランプ装置が公知である。クランプジョーは、クランプチャックボディの半径方向のジョーガイド内に運動可能に配置されていて、調節機構によってクランプチャック軸線に対して半径方向に一緒に調節可能である。
クランプジョーの剛性的な調節を生ぜしめる調節機構に基づき、このような形式のクランプ装置では、ワークピースの変形がクランプ過程時に生ぜしめられる。この場合、このことは、加工後のワークピースのクランプ外し時に形状・寸法精度に不利に作用する。なぜならば、ワークピースが、いずれにせよ、その当初の形状を再びとるからである。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19934375号明細書に基づき、クランプ装置が公知である。この公知のクランプ装置は、半径方向に調節可能なかつワークピースに対してクランプ可能な2つのクランプジョーを備えたクランプチャックを有している。クランプジョーは、それぞれ加工軸線に対して平行に延びる旋回軸線を中心として制限されて旋回可能に配置されている。この場合、旋回可能なクランプジョーは、加工軸線に対して平行に延びる旋回軸線を中心とした旋回によって、ワークピースの周面に制限されて適合することができる。しかし、この場合、加工軸線に沿った軸方向での可変の形状付与によるワークピースへの適合は不可能である。これによって、このクランプ形式では、ワークピースへのクランプジョーの点接触が生ぜしめられる。これによって、クランプ装置のクランプジョーがワークピースに点接触する領域に著しい変形が生ぜしめられ、これに相俟って、クランプ外し後のワークピース形状および寸法付与の相応に好ましくない結果が生ぜしめられる。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3620260号明細書に基づき、クランプ装置が公知である。この公知のクランプ装置は、半径方向に調節可能なかつワークピースに対してクランプ可能なクランプジョーを備えたクランプチャックを有している。この場合、ワークピースは2つのクランプポイントの間にクランプされる。クランプチャックは一方のクランプポイントに対して同心的に配置されている。両ポイントの間にクランプされたワークピースの偏心率を補償することができるようにするためには、クランプチャックがクランプポイントに対して半径方向にも軸方向にも自由に移動可能に配置されている。これによって、すでに両クランプポイントの間へのワークピースの緊締時に生ぜしめられる変形を補償することはできない。
したがって、公知先行技術では、たとえば極めて精密なかつ先行する加工段で正確に正確に製造されたワークピース、特に管状のかつ/または肉薄のワークピースの場合、このワークピースが緊締時に変形させられることが不利である。なぜならば、クランプエレメントがワークピースに緊締時にその形状を強制付与するかもしくはワークピースがクランプエレメントの位置ひいてはクランプヘッドとワークピースとの間の点接触面または線接触面の位置に相応して変形させられるからである。さらに、不正確に既製されたワークピースの場合には、このワークピースがその外周面または内周面の形状に相応してクランプヘッドとワークピースとの間の点接触面の領域でセンタリングされ、たとえば製造したいワークピースに方向付けられた有利な加工軸線に相応してセンタリングされないという問題が生ぜしめられる。
したがって、本発明の課題は、緊締時の、特に不正確に既製されたワークピースの変形が回避され、たとえば汚染作用下で緊締される正確に既製されたワークピースの変形が回避されるクランプ装置を開発することである。
この課題を解決するために本発明のクランプ装置の構成では、クランプエレメントが、クランプヘッドに浮動配置されているようにした。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプエレメントが、クランプされていない状態でかつクランプされた状態の直前まで旋回運動を実施するようになっている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプエレメントが、加工軸線に対して平行に延びるそれぞれ1つの旋回軸線を中心として旋回可能に配置されている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプエレメントが、加工機械に緊締したいワークピースの全周にわたって規則的に分配されて配置されている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプエレメントが、それぞれ2つのクランプ面を有している。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプ面が、加工機械に緊締したいワークピースの全周にわたって規則的に分配されて配置されている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、加工機械に緊締したいワークピースの全周にわたって規則的に分配された3つのクランプエレメントが設けられており、該クランプエレメントが、ワークピースの全周にわたって規則的に分配された共通して6つ(または付加的な2つの旋回軸線で12個)のクランプ面を有している。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプヘッドが、管状のワークピース内に少なくとも部分的に端面側で導入可能なほぼ円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントを有しており、該クランプポイントの対称軸線が、加工軸線に合致しており、クランプエレメントが、クランプポイントの錐面に浮動配置されている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプヘッドが、管状のワークピース内に少なくとも部分的に端面側で導入可能なほぼ円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントを有しており、該クランプポイントの対称軸線が、加工軸線に合致しており、クランプエレメントが、クランプポイントの錐面に配置された切欠き内に浮動配置されている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプヘッドが、管状のワークピース内に少なくとも部分的に端面側で導入可能なほぼ円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントを有しており、該クランプポイントの対称軸線が、加工軸線に合致しており、クランプエレメントが、円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントの錐面の少なくとも一部を形成している。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプエレメントが、ワークピースの緊締のために、半径方向に調節可能にクランプヘッドに配置されている。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、クランプヘッドが、ほぼ円筒状のクランプチャックボディを有しており、該クランプチャックボディの対称軸線が、加工軸線に合致しており、クランプエレメントが、クランプチャックボディに加工軸線に対してほぼ半径方向に移動可能に配置されたクランプジョーを有している。
本発明によるクランプ装置の有利な構成によれば、加工軸線を中心として回動可能に配置されたクランプヘッドが駆動可能である。
さらに、前述した課題を解決するために本発明の加工機械の第1の構成では、請求項8から10までのいずれか1項記載のクランプ装置が設けられており、該クランプ装置が、加工軸線において反対の側に位置するように配置された2つのクランプポイントを有しており、両クランプポイントが、管状のワークピースを両クランプポイントの間に緊締するために設けられているようにした。
さらに、前述した課題を解決するために本発明の加工機械の第2の構成では、請求項12記載のクランプ装置が設けられており、該クランプ装置が、クランプヘッドを有しており、該クランプヘッドが、ワークピースを、クランプヘッドのクランプチャックボディに加工軸線に対してほぼ半径方向に移動可能に配置されたクランプジョーの間に緊締するために設けられているようにした。
この場合、浮動配置という概念は、クランプ装置の少なくともクランプされていない状態において、ワークピースの緊締のために行われるクランプヘッド(クランプポイント)と一緒のまたはクランプヘッド(クランプチャック)に対して相対的なクランプエレメントの運動に対して付加的に、クランプエレメントの運動に対する付加的な自由度を含んでいる。このような自由度は、たとえばワークピースの緊締のために必要となる各運動に対して法線方向への個々のクランプエレメントの移動可能性、共通のまたはそれぞれ1つの固有の旋回軸線を中心としたクランプエレメントの旋回可能な配置またはこれらの組合せを含んでいてよい。
本発明によるクランプ装置は、クランプチャックに浮動配置されたクランプジョーを備えたクランプチャックとして形成することができるだけでなく、たとえばクランプポイントの錐面に浮動配置されたクランプエレメントを備えたクランプポイントとして形成することもできる。
具体的に、このことは、クランプヘッドと、このクランプヘッドに交換可能に配置されたクランプエレメントとを有するクランプポイントとして形成された本発明によるクランプ装置では、クランプエレメントが、上述したように、クランプヘッドに浮動支承されている、すなわち、クランプエレメントが、それぞれクランプヘッドに対して相対的に、クランプポイントの、緊締のために必要となる調節方向に対して少なくとも1つの横方向に、有利にはある程度の範囲内で並進移動可能であり、かつ/または少なくとも1つの軸線を中心として旋回可能であることを意味している。
クランプチャックボディならびにこのクランプチャックボディに半径方向に調節可能なクランプジョーとして形成された本発明によるクランプ装置では、このことは、具体的に、クランプジョーが、それぞれクランプヘッドに対して相対的に、緊締のために必要となる調節方向に対して少なくとも1つの横方向に、有利にはある程度の範囲内で並進移動可能であり、かつ/または加工軸線に交差するかまたは加工軸線に対して斜めに延びる少なくとも1つの軸線を中心として旋回可能であることを意味している。
本発明によるクランプ装置は公知先行技術に比べて、クランプエレメントをクランプヘッドに浮動配置することによって、クランプエレメントを、加工機械に緊締したいワークピースの、付与された形状に適合させることができるという利点を有している。これによって、加工後のクランプ外し時にワークピースが、正確に製造されたジオメトリを有している。このことは、特に管状のかつ/または肉薄のワークピースの場合に有利である。なぜならば、このワークピースは緊締時にクランプエレメントによって容易に変形させられ得るからである。この場合、たとえば、特に軸方向に可変の形状を備えたワークピースの緊締のために、クランプジョーが、それぞれ加工軸線に交差する1つの軸線、加工軸線に対して斜めの1つの軸線または複数の軸線を中心として旋回可能であることが可能となる。
本発明の有利な構成は、クランプエレメントが、クランプされていない状態でかつ最終的なクランプ位置の直前まで旋回運動を実施することができることを提案している。この場合、クランプヘッドへのクランプエレメントの浮動配置は、クランプヘッドへのクランプエレメントの少なくとも一種の旋回可能な配置を含んでいる。付加的には、浮動配置は、ワークピースの緊締のために必要となるその都度の運動に対して法線方向への個々のクランプエレメントの移動可能性を含んでいてよい。
本発明の有利な構成は、クランプエレメントが、加工軸線に対して平行に延びるそれぞれ1つの旋回軸線を中心として旋回可能に配置されていることを提案しており、これによって、各クランプエレメントが、加工軸線に対して平行に延びる固有の旋回軸線を中心とした旋回運動を実施することができる。この旋回軸線のほかに、旋回可能なクランプエレメントは、付加的に別の2つの旋回軸線を中心として旋回可能に配置することができる、すなわち、浮動式の6点クランプから浮動式の12点クランプに拡張することができる。
本発明の別の有利な構成は、クランプエレメントが、加工機械に緊締したいワークピースの全周にわたって規則的に分配されて配置されていることを提案している。全周にわたるクランプエレメントの規則的な分配によって、ワークピースの可能な限り高い均一な緊締が、緊締状況に基づくワークピースの可能な限り僅かな変形を伴って達成される。
本発明の別の有利な構成は、クランプエレメントが、緊締したいワークピースの周方向に、有利には互いに間隔を置いて配置された、加工機械に緊締されたワークピースに接触可能なそれぞれ2つのクランプ面を有しており、両クランプ面が、クランプヘッドへのクランプエレメントの浮動配置に基づき、加工機械へのワークピースの緊締時に、このワークピースの既存の形状に当て付けられることを提案している。この場合、クランプ面という概念は、一方向への無限小の伸長を有するような面、たとえば接触線も含んでいる。
本発明の別の有利な構成は、クランプ装置の全てのクランプエレメントのクランプ面が、加工機械に緊締したいワークピースの全周にわたって規則的に分配されて配置されていることを提案している。全周にわたって規則的に分配された、クランプヘッドへのクランプエレメントの浮動配置に基づき規則的にワークピースに当て付けられるクランプ面によって、クランプ装置への緊締時のワークピースの変形の危険が一層減少させられる。
本発明の有利な構成は、加工機械に緊締したいワークピースの全周にわたって規則的に分配された3つのクランプエレメントが設けられており、これらのクランプエレメントが、ワークピースの全周にわたって規則的に分配された共通して6つのクランプ面を有していることによって特徴付けられている。
本発明の付加的な有利な構成は、クランプヘッドが、管状のワークピース内に少なくとも部分的に端面側で導入可能なほぼ円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントを有しており、このクランプポイントの対称軸線が、加工軸線に合致しており、この場合、クランプエレメントが、クランプポイントの錐面に浮動配置されていることを提案している。
本発明の付加的な有利な構成は、クランプヘッドが、管状のワークピース内に少なくとも部分的に端面側で導入可能なほぼ円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントを有しており、このクランプポイントの対称軸線が、加工軸線に合致しており、この場合、クランプエレメントが、クランプポイントの錐面に配置された切欠き内に浮動配置されていることを提案している。
本発明の付加的な有利な構成は、クランプヘッドが、管状のワークピース内に少なくとも部分的に端面側で導入可能なほぼ円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントを有しており、このクランプポイントの対称軸線が、加工軸線に合致しており、この場合、クランプエレメントが、円錐形のまたは円錐台形のクランプポイントの錐面の少なくとも一部を形成していることを提案している。
本発明の特に有利な構成は、クランプエレメントが、ワークピースの外周面からクランプエレメントの間にワークピースを緊締するためにまたは、管状のワークピースの場合、択一的にワークピースの内周面からクランプエレメントを取り囲んでワークピースを緊締するために、半径方向に調節可能にクランプヘッドに配置されていることを提案している。
本発明の特に有利な構成は、クランプヘッドが、ほぼ円筒状のクランプチャックボディを有しており、このクランプチャックボディの対称軸線が、加工軸線に合致しており、この場合、クランプエレメントが、クランプチャックボディに加工軸線に対してほぼ半径方向に移動可能に配置されたクランプジョーを有していることを提案している。この場合、半径方向に移動可能なクランプジョーと一緒に旋回軸線(この旋回軸線を中心としてクランプジョーが旋回可能に配置されている)も加工軸線に対して半径方向に移動させられる。
本発明の付加的な特に有利な構成は、加工軸線を中心として回動可能に配置されたクランプヘッドが駆動可能であることを提案している。このことは、たとえば旋削機械または円筒研削機械に相俟って本発明によるクランプ装置を使用するために必要となる。
本発明の特に有利な構成は、加工軸線を有する加工機械を提案している。この加工機械は、加工軸線において互いに反対の側に位置するように配置された前述したような2つのクランプポイントを有している。両クランプポイントの間には、たとえば管状のワークピースを緊締することができる。この場合、有利には、両クランプポイントの一方が駆動可能である。この場合、第2のクランプポイントは第1のクランプポイントによってワークピースを介して駆動される。
本発明の特に有利な別の構成は、加工軸線を有する加工機械を提案している。この加工機械は、加工軸線を中心として駆動可能な上述したクランプヘッドを有している。このクランプヘッドは、ワークピースを、クランプヘッドのクランプチャックボディに加工軸線に対してほぼ半径方向に移動可能に配置されたクランプジョーの間に緊締するために設けられている。
いま、本発明を実施例につき詳しく説明する。
図1および図2に示したクランプ装置1’は、円筒状のクランプチャックボディ2から成るクランプヘッド3’を有している。このクランプヘッド3’は、クランプジョー4として形成されたクランプエレメント5’を備えている。クランプジョー4はクランプチャックボディ2に加工軸線6に対して半径方向に調節可能に配置されている。このためには、クランプジョー4が、半径方向に延びる溝13内に配置されている。円筒状のクランプチャックボディ2の対称軸線は加工軸線6に合致している。クランプチャックボディ2内に配置された調節機構(図示せず)によって、全てのクランプジョー4を同時に加工軸線6に対して半径方向に調整することができる。半径方向に調節可能なクランプジョー4によって、たとえばこのクランプジョー4がワークピースの外周面に外側から到達してこのワークピースに当て付けられるかまたは、たとえば管状のまたは環状のワークピースの場合には、端面側でワークピース内に係合し、このワークピースの内周面に内側から到達してこのワークピースに当て付けられることにより、ワークピースを加工軸線6に対して半径方向に緊締することができる。各クランプジョー4は2つのクランプ面7’を有している。さらに、各クランプジョー4は、両クランプ面7’をワークピースの緊締時にこのワークピースに当て付けることができるように、クランプチャックボディ2に浮動配置されている。これによって、ワークピースの緊締時の変形が回避される。このことは、続くワークピースの加工およびクランプ外しの後に形状・寸法精度に有利に作用する。浮動配置は、図1および図2に示した本発明によるクランプ装置1’の実施例では、クランプジョー4が、それぞれ加工軸線6に対して平行に延びる第1の旋回軸線8’と、この第1の旋回軸線8’に対して垂直に延びる、加工軸線6とそれぞれの第1の旋回軸線8’とを含む平面に対して法線方向に延びるそれぞれ1つの第2の旋回軸線14とを中心として旋回可能に支承されていることによって達成される。ピン12は、旋回軸線8’を中心としたクランプジョー4の旋回運動を制限する。また、クランプジョー4を加工軸線6に対して法線方向にならびにそれぞれクランプジョー4の各調節方向に対して法線方向で加工軸線6に対して半径方向に並進移動可能に配置することも可能である。加工軸線に対して半径方向へのクランプジョー4の1回の調節時には、旋回軸線8’,14がクランプジョー4と一緒に加工軸線6に対して半径方向に移動させられる。
図3および図4に示した本発明によるクランプ装置1’’は、円錐台形のクランプ先端部、つまり、クランプポイント9として形成されたクランプヘッド3’’を有している。このクランプヘッド3’’は、それぞれ加工軸線6に対して平行に延びる固有の旋回軸線8’’を中心として旋回可能なクランプエレメント5’’を備えている。このクランプエレメント5’’は、クランプポイント9の錐面11に形成された切欠き10内に浮動配置されている。図3および図4に示した実施例では、この浮動配置は、クランプエレメント5’’が、加工軸線6に対して平行に延びる旋回軸線8’’を中心として旋回可能であることによって達成されている。また、この旋回軸線8’’が加工軸線6に対して平行に延びておらず、加工軸線6に共通の一点で交差していることも可能である。円錐台形のクランプポイント9の対称軸線は、通常事例では、加工軸線6に合致しているものの、加工軸線6に対して平行にずらされて延びていてもよい。図3a)に概略的に点線の円によって示した管状のワークピースを緊締するためには、互いに加工軸線6において反対の側に位置する2つのクランプポイント9が設けられている。両クランプポイント9は調節機構(図示せず)によって力下で互いに近づく方向に運動することができる。この場合、クランプポイント9は加工軸線6の方向で端面側で管状のワークピース内に係合する。クランプエレメント5’’は、クランプポイント9に近づく方向でも、クランプポイント9から離れる方向でも凸状にまたは凹状に形成されている。これによって、クランプエレメント5’’が同じくそれぞれ2つのクランプ面7’’を有している。両クランプ面7’’は、クランプヘッド3’’へのクランプエレメント5’’の浮動配置に基づき、2つのクランプポイント9の間への1つのワークピースの緊締時にこのワークピースに当て付けられる。これによって、管状のワークピースのクランプ時の変形が回避される。
クランプエレメント5’,5’’の旋回運動は、たとえばクランプされていない状態で、1つのワークピースの緊締を妨害する、加工軸線6から遠く離れる方向への旋回を阻止するために、適切な手段によって制限することができる。このような手段は、たとえば図1および図2に示した、旋回運動を制限するピン12または図3および図4に示した、旋回運動を制限するねじ12または切欠き10と、この切欠き10内に配置されたクランプエレメント5’’との間の遊びである。この遊びには、図3および図4に示したクランプ装置1’’では、切欠き10と、この切欠き10内に配置されたクランプエレメント5’’とへの形状付与によって影響を与えることができる。
本発明は、特に加工機械、たとえば工作機械の製作および運転の分野にならびにこのような形式の機械に用いられるクランプ装置の製作時に産業的に使用可能である。この場合、両クランプシステムが、アウタクランプであってもよいし、インナクランプであってもよいことが重要である。このクランプ方法は、特に正確なワークピースが要望される場合に有利に使用される。このワークピースは不正確な管形状を有しているかまたは損傷されたクランプ面を有しているかまたは硬化法またはこれに類するものによって変形されている。当然ながら、正確に前加工されたワークピースがクランプされてもよい。利点は、たとえば汚物がクランプ面の間に到達するかまたはクランプ面が、先行する搬送によって損傷されている場合にプロセス安全性にある。
1’,1’’ クランプ装置、 2 クランプチャックボディ、 3’,3’’ クランプヘッド、 4 クランプジョー、 5’,5’’ クランプエレメント、 6 加工軸線、 7’,7’’ クランプ面、 8’,8’’ 旋回軸線、 9 クランプポイント、 10 切欠き、 11 錐面、 12 ピン、 13 溝、 14 旋回軸線