JP2008532831A - 衝突により自動車のドアに向かってエネルギーが入力する際の乗員保護のための自動車用の装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結合構造を備えた、衝突により側方から自動車のドアに向かってエネルギーが入力する際の乗員保護のための自動車用の装置を提供する。
【解決手段】 結合構造は少なくとも第1および第2の部分を有し、第1の部分は自動車のドアと固定結合され、第2の部分は自動車のボディのエネルギー吸収部と固定結合され、この両方の部分は、側方から自動車のドアに作用するエネルギー入力の少なくとも一部を自動車のボディ領域に狙い通りに誘導するために、少なくとも1つの共通の継目部分を介して、互いに作用結合させることができる。また、第1および/または第2の部分が少なくとも部分的に変換材を有し、これがエネルギー供給によって機械的な状態変化を、特に形状変化の形で引き起こされて両方の部分を接触させたり連結させることができ、結合構造の第2の部分が、自動車のボディの、自動車のドアを直接取り囲んでいる領域内に取り付けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】 結合構造は少なくとも第1および第2の部分を有し、第1の部分は自動車のドアと固定結合され、第2の部分は自動車のボディのエネルギー吸収部と固定結合され、この両方の部分は、側方から自動車のドアに作用するエネルギー入力の少なくとも一部を自動車のボディ領域に狙い通りに誘導するために、少なくとも1つの共通の継目部分を介して、互いに作用結合させることができる。また、第1および/または第2の部分が少なくとも部分的に変換材を有し、これがエネルギー供給によって機械的な状態変化を、特に形状変化の形で引き起こされて両方の部分を接触させたり連結させることができ、結合構造の第2の部分が、自動車のボディの、自動車のドアを直接取り囲んでいる領域内に取り付けられている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、衝突により自動車のドアに向かってエネルギーが入力する際の乗員保護のための自動車用の装置に関する。
自動車での乗員保護は、自動車の設計および新製品開発の際の主要課題の1つとみなされている。独自の開発目標により、衝撃吸収部がフロント部およびリア部に設置され、この衝撃吸収部が、前面衝突および後面衝突の際に客室をほぼ確実に保護することを可能にする。これに対し側面衝突時の乗員保護の場合、自動車の側面構造は、可能な変形経路が小さく、吸収力が僅かであることから、より大きな問題をはらんでいる。自動車の側面衝突時の乗員に対する危険を軽減するのための既知の解決策は、自動車のドアを強化することである。例えば、高い剛性および/または高いエネルギー吸収力を有した骨組みを自動車のドアに備えることなどである。例えばDE 196 33 637 A1からは、側面衝突保護機構を備えた車両ドアが開示されており、この車両ドアにおいては、ドアフレームがアーチ状に形成された支持バーであり、この支持バーが衝突時にねじれ、いわば捕獲網のような作用の引張負荷下で変形する。
しかしながら、このように縦桁を設けることによってサイドドアを強化することは、激しい衝突でサイドドアに外から力が作用した際に、ドアが車両ボディのドア開口部において内部に押し込まれる虞があり、その結果、乗員の生存空間が著しく狭められ、つまり生存のチャンスが減少することから、乗員の安全にとって十分とはいえない。
さらには、サイドドアに作用する力を車両ボディに伝達するのに適した一連の措置が現在知られている。例えば、ドアとドア開口部とを適切な面積で重ねることによる措置、あるいはドア縁から突き出ているボルトが、衝突時に自動車のボディのドア開口部の補強された空隙内に噛み合うことによる措置である。例えばDE AS 22 15 674からは、自動車のドア用の補強機構が明らかになるが、この補強機構は、基本的にアーチ状に外側に張り出した桁から成り、その端部区間は、外からの衝突によって桁が真っ直ぐ伸びた形に変形されると、ドアフレーム内の相応に堅固な陥凹部に食い込むものである。この桁は、特殊輪郭をつけた鋼板から成ることが好ましく、これは典型的には変形することで適切な形状になるものである。
上記の措置によって生じる自動車の自重増加を回避するため、DE 41 25 299 C2には、重量軽減の理由で、アーチ状に成形された繊維強化複合材製の補強桁機構から成る自動車のドア用の補強機構が記載されている。この場合も、補強装置は完全にドアの内側にあり、衝突時にのみ、それに伴う補強桁の変形により、両側の端部領域がドアから突き出し、この端部領域が再び自動車のボディのドアフレーム内の堅固な支持部側面と作用結合する。
DE 196 39 519 A1からは、クロスビーム構造を、側面衝突時の車両乗員の保護機構として備える客室を読み取ることができ、このクロスビーム構造が、衝突時に車両のドアと中央コンソールの間の横の結合を生じさせるので、客室内に食い込んでくる車両のドア部分から座席部分を保護することになる。クロスビーム構造は、衝突時にのみ火薬式または圧搾空気式の作動装置により、堅固な横の結合を形成しながら展開して延ばされることによって出現し、それ以外のときは座席、ドア、および中央コンソールの上張り中に組み込まれて、関節で曲がるように形成されている。
上記する公知の技術より、本発明の課題は、乗員保護を最適化し、側面衝突または側面衝突に類した衝突状況の際に、乗員保護の向上を図ることのできる安全システムを提示することである。最終的に、衝突による自動車のドアの変形によって乗員スペースが減少し過ぎること、またはドア部分が中に食い込む際に乗員に負傷させることを防ぐために、衝突時に側方から自動車のドアに作用する変形エネルギーを、狙い通りに確実に自動車のドア部分から逃がすように、安全システムを改善することが特に重要である。
本発明の基礎となる課題の解決策は、請求項1に提示されている。本発明のアイディアの有利な改良された特徴から、特に実施形態の例を参照して、従属請求項および明細書の主題を読み取ることができる。
結合構造を備えた、衝突により自動車のドアに向かってエネルギーが入力する際の乗員保護のための自動車用の装置であって、この結合構造が、少なくとも2つの部分を第1および第2の部分として有しており、そのうち、第1の部分は自動車のドアと固定結合されており、第2の部分は自動車のボディのエネルギー吸収部と固定結合されており、この両方の部分が、少なくとも1つの共通の継目部分を介して、側方から自動車のドアに作用するエネルギー入力の少なくとも一部を、自動車のボディ領域に狙い通りに誘導するために互いに作用結合させることの可能な装置において、第1および/または第2の部分が少なくとも部分的に変換材を有しており、その変換材が、エネルギー供給によって、機械的な状態変化を、特に形状変化の形で引き起こし、この変化によって、両方の部分を接触させ、かつ/または互いに連結させることができるように、また結合構造の第2の部分が、自動車のボディの、自動車のドアを直接取り囲んでいる領域内に取り付けられているように形成されている。
自動車のドアを貫いて張り出している側面衝突用桁を備え、この側面衝突用桁が、衝突の際に、側方のより堅固なボディ領域に食い込み、それによって自動車のドアに向けられた衝突エネルギーを、極端な場合は作用方向を横切る方向にそらせるという、公報DE-AS 2 215 674およびDE 196 33 637 A1に基づく、自動車のドアの剛性を高めるための冒頭に述べた既知の解決策とは異なり、ここに提示する解決策は、自動車のドアと結合された少なくとも1つの堅固な結合構造を提供し、この結合構造は、自動車のドアと、縁部領域においてのみ局所的に結合されており、衝突の際には、自動車のドアと結合されている第1の部分が、閉まっている自動車のドアを直接取り囲むボディの堅固なフレーム構造内に取り付けられた結合構造の第2の部分と緊密かつ堅固に結合することによって、衝突時に自動車のドア上に安定している作用を構築する。意外にも、自動車のドアの通常は内側にあって張り出している高価な側面衝突用桁構造を設置せずに、自動車のドアの周りに分散させて取り付けた1つまたは複数の結合構造を設けるだけで、側方から自動車のドアに作用する衝突エネルギーの入力を、効果的に、脇から、結合構造を介して堅固なボディフレーム領域内にそらせることができ、その際、自動車のドアが変形し過ぎず、つまり少なくとも、側面衝突用桁を設置している場合よりも大きく変形しないことが実証できた。特に、自動車のドアの周りに適切に取り付けられた2つ、3つ、またはそれ以上の結合構造が、衝突およびそれに伴う連結の際に、ボディフレーム内に自動車のドアを固定して張りわたす手段として作用し、これにより自動車のドアがかなりの自己剛性を獲得し、外部からドアに作用するエネルギー入力を大幅に食い止め、さらに結合構造を介して堅固なボディフレーム内に誘導することができる。この認識は、側面衝突保護に用いられる措置の大幅な簡略化に役立ち、従来の解決策に比べて、保護特性が同じまたは改善されている場合に、重量およびコストの削減に決定的な寄与を果たしている。
この装置のさらなる特殊性は、結合構造内に変換材を狙い通りに設置することにより、理想的な場合、1つには自動車のドアの機能性が損なわれない、つまりドアをこれまで通りに自由に開閉できることである。第1に、自動車のドアを閉めた状態で、結合構造が、自動車のドアと自動車のボディの間で同一平面上にあることが、衝突時に、結合構造にエネルギー入力が作用する際の堅固な支持機能を生じさせる。第2に、連結および解除が反復可能なため、先進的な、例えば光学センサまたはレーダに基づくセンサの形態の、いわゆる衝突前センサとの接続が可能である。このセンサは、技術的限界により、検知した状況の危機性についての誤った情報を送る可能性があり、衝突が間近に迫った場合の通知の確実性を確保するため、分析および評価のために比較的高い費用を必要とし、この分析および評価が、連結などのための反応時間をさらに低下させるが、その際、前述の連結の可逆性は、あり得る誤った情報を許容可能にし、結果的に、総合的な安全性の向上を可能にする。この要件に対応する結合構造の実現のために、複数の実施形態が提供される。
最も簡単な場合、第1および第2の部分を、完全または部分的に変換材から作製し、それらの部分を、衝突時に適切に活性化させることが考えられる。原理的には、既知の多くの様々な変換材、好ましくは圧電セラミックス、電歪セラミックス、形状記憶合金(SMA)のような固体の変換材を使用することが可能である。このような変換材は、自動車のドアおよび自動車のボディの内部領域と結合する部分が、結合構造に適した形態に成形されることを前提として、直接的な設置が可能である。
しかしそれだけでなく、例えば圧電ポリマー、電気レオロジー流体、ポリマーゲル、および磁気レオロジー流体のような流動性の変換材も知られており、これらの流動性変換材は、必要に応じて適切に選択されたカプセルに入った状態で、同様に結合構造の範囲内における設置および使用に適している。
提案した結合構造内に変換材を設置することによって、衝突時に互いに作用結合する部分の剛性および減衰挙動を、したがって衝突および乗員にとって重要なボディ-座席システムの剛性および減衰挙動を、狙い通りに調整することができる。例えば形状記憶材料から成る変換材は、狙い通りの通電およびそれに伴って生じる所定の方法における加熱によって、その形状を変化させることができ、同時に材料の剛性および/または減衰特性にも影響を及ぼすことができる。この特性は、本発明による装置において、形状記憶材料から成り、少なくとも継目部分を介して分離可能な2つの部分または部分領域を有する結合構造が、衝突状況の場合に電気エネルギーを狙い通りに供給することによって、両方の部分を互いに緊密かつ堅固に作用結合させ、それらの部分を介して自動車のドアに作用する衝突エネルギーを結合構造に沿って自動車のドアと直接境を接している堅固なボディフレーム領域に狙い通りに誘導するように活性化可能であることによって、有利に利用される。
結合構造に沿って狙い通りに力を誘導する機能と並んで、変換材の設置は、狙い通りに変換材に作用する電気や熱などの形態のエネルギーを能動的に制御することによって、自動車の中にいる乗員に対する生理的負荷を減少させるという前提条件の下で、変換材の剛性挙動または減衰挙動を変化させることを可能にする。設置した変換材の剛性挙動または減衰挙動の調節または制御は、例えば自動車の中にいる乗員の頸部への加速度を減少させるなど様々な目標機能に基づいて実施することができる。この目標機能は、原理的に自動車内の乗員の年齢、体重、性別、身長、およびその時々の座席位置に依存する。
勿論この装置は、自動車のサイドドアにしか効果的に設置できないのではなく、むしろこの結合構造は、リアハッチの堅固化にも適している。
衝突時における自動車のドアの堅固性(安定性)をさらに改善するために、さらなる実施形態の例では、自動車のドアの外壁および/または内壁に当然外から気づかないように取り付けられ、結合構造の第1の部分と結合されている板状要素または平面部材によって、自動車のドアをさらに補強または強化し、このようにして、衝突時に平面要素に作用する力のすべての入力を、直接的に、結合構造の第1の部分および第1の部分と結合された第2の部分を介して、堅固なボディフレームの領域に誘導する。このような平面部材に対する代替案として、内部にある桁構造によってドアの剛性を高めることもできる。自動車のドア全体を貫いて張り出している側面衝突用桁とは異なり、上記の意味において提案された桁構造は、コンパクトにのみ形成され、自動車のドアの、例えばそれぞれの下隅領域のような部分領域だけを堅固化することができる。これに関するさらなる説明は、示された実施形態の例に関する説明から読み取ることができる。
自動車のドアの剛性を改善させる追加的な平面要素および桁構造は、強靭で、できるだけ軽い材料、例えば軽金属から作製され、または繊維強化プラスチックからも作製される。このコンポーネントも、衝突時の減衰挙動および剛性挙動に影響を及ぼすように、変換材の使用が考えられる。
サイドドアの場合、結合構造のうち堅固なボディの内部領域と結合している部分は、それぞれ車両の座席の下側の領域で、ボディと固定して作用結合しているのが特に有利であることが判明した。車両ボディの内部空間に設けられた結合構造をこのように固定すると、特に結合構造が、減衰挙動および剛性挙動を調整できる前述の変換材から作製されている場合、衝突の状況下で車両の各座席にいる乗員を、生理的に特に保護する作用がある。
しかしながら、変換材を使用した結合構造の前述の実施形態は、必ずしも例えば電気エネルギーの供給のような、外部から加えられるエネルギーによる各材料の活性化が前提条件となるのではなく、同様に、前述の形態の結合構造を、有利な形で、完全に受動的に利用することも可能である。形状記憶材料から作製された結合構造は、材料固有の特性(例えば、超弾性または材料のヒステリシス)を適切に利用して、剛性および/または減衰の推移を、製造技術または材料技術的に調整することが可能であり、それによって最終的には、側面衝突の際に車両ボディに、また最終的には車両の座席にいる乗員に作用するエネルギー入力を予め設定可能に適合させることが可能である。
同様に、上の説明に類似して、材料もしくは部材の特性を、準静力学的に狙い通りに調整することも考えられる。例えば形状記憶金属を使用する場合、材料のヒステリシスの可変調整のために、熱による活性化を利用することが考えられる。
さらに、継目を結合させるために、衝突エネルギー自体を利用することが考えられる。例えば衝突エネルギーを、結合構造の部分の連結に利用することができる。活性化している要素はその後、ドアの開放および乗員の救出を可能にするため、または容易にするために、部分の分離を引き起こす。
同様に、衝突エネルギーを変換材の活性化に利用することも考えられる。形状記憶金属の場合、機械的エネルギーを熱エネルギーに変換することができ、次いでこの熱エネルギーによって、形状記憶効果の本来の活性化が達成される。
それだけでなく、より複合的に形成された結合構造を提供する実施形態の例も当然考えられる。例えば結合構造の第1および第2の各部分を二重に形成することが考えられ、その結果、互いに作用結合する第1および第2の部分の平行な配置が可能になる。第1の部分は、内部に分離したバーが延びている管として実施することができ、その際、両方のコンポーネントを、それぞれ異なる材料から作製することができる。代替案として、または前述の変形形態と組み合わせて、第2の部分は、長手方向に2つに分かれた領域を有することもでき、その際、一方の領域は変換材から成り、もう一方は通常の材料から成る。これまでに述べた考察は、最終的に衝突エネルギーを自動車のドアの領域から効果的に誘導または吸収するという点で結合構造を最適化させる上で、結合構造の形態の多様性にはほとんど制限がないことを示している。
衝突により自動車のドアに向かってエネルギーが入力する際の乗員保護のための装置をさらに明確にするため、図を参照しながら一つの実施形態の例について以下に詳述する。
以下に本発明を、一般的な発明概念に限定せず、図面を参照しながら実施形態の例に基づいて具体的に説明する。
図1は、自動車の前部および後部ドア1、2を備えた自動車の概略側面図を示している。自動車の前部ドア1は、通常通り、その前方縁部3に沿って、Aピラー4周りを旋回可能に枢着されている。自動車の前部ドア1と同様に、自動車の後部ドア2は、その前方縁部5に沿って旋回可能に、自動車のBピラー6に枢着されている。しかし、自動車のドア1、2の剛性を高めるための以下に述べる措置が、自動車のドアがそれぞれ自動車の堅固なボディにどう懸架されているかとは無関係と見なすことができ、このボディとは、閉じた状態で自動車のドアを完全に取り囲んでいるボディフレームの各領域であり、これらの領域は、自動車の前部ドア1の場合、Aピラー4と、屋根縁部8と、Bピラー6と、床枠部7の各領域から成る。
本解決策によれば、自動車のドアの剛性を改善するために、衝突時に、自動車のドア1、2を規定の局所的位置で堅固なボディフレームと固定結合させ、それによって、自動車のドアを、いわゆる結合構造9を介して、本来的に固定的に、自動車のドアを取り囲む堅固なボディフレーム構造中に張りわたすことが提案された。個々の結合構造9はそれぞれ2つの部分から成っており、そのうち、第1の部分T1は自動車のドアと固定結合されており、第2の部分T2は自動車のドアと直接向き合っているボディフレームの領域と固定結合されている。両方の部分T1およびT2は、通常稼働の際には互いの結合が外れているので、通常のドア機能が損なわれることはない。両方の部分は、衝突時にのみ繋ぎ合わされ、または嵌め合わされ、好ましくは相互に連結される。
両方の部分T1およびT2を解除可能に固定的に連結させるために、両方の部分の少なくとも一方が変換材を有しており、この変換材は、エネルギーの供給によって、形状変化の形での機械的な状態変化を引き起こし、この変化によって両方の部分T1およびT2を接触させ、好ましくは互いに連結させることができる。
図1に示された、結合構造9が自動車の前部および後部ドア1、2に取り付けられている位置が、原則的に、自動車のそれぞれのドアの周縁部に沿った、結合構造9が取り付けられるすべての好ましい場所を示している。自動車のドアの自己堅固性を明らかに改善させるには、たった1つの結合構造9を、好ましくは自動車のドアの右下隅の領域(例えば結合構造V6またはV7の場所を参照)に取り付けるだけで十分である。堅固性要件およびドアの設計に応じて、1つまたは複数のこのような結合構造を、自動車のドア周りの図1に示された領域に取り付けることができる。例えば自動車の前部ドアを、自動車のドアを取り囲むボディフレーム内部に完全に張りわたすには、結合構造V2、V5、V8、V11を取り付ければ十分である。勿論、自動車の前部ドアに関しても後部ドアに関しても、提案された結合構造V1〜V11のさらなる任意の組合せの可能性が考えられる。
それぞれの結合構造を、図2aに示された追加的に自動車のドアに取り付けられる堅固化要素10と組み合わせるのが特に有利であることが分かった。図2aは、図2bおよび図2cに示されているのと同様に、自動車の前部ドア1を概略的に示しており、このドアは、略示され他の部分は示されていない自動車のボディのBピラー6および床枠部7と作用結合されている。堅固化要素10は、好ましくは平面要素として形成され、自動車のドアの外壁内にあって、自動車のドアの外壁を堅固化することができる。堅固化する平面要素10を、自動車のドアの外壁または内壁の一部として形成することも考えられる。
結合構造9の、それぞれ自動車のドアと結合される部分T1は、正しくこの堅固化要素10と結合される。図2aに基づく実施形態の例では、自動車のドア1の右下の部分領域が、平面要素10によって補強されており、この平面要素には、3つの結合構造V6、V7、およびV8が取り付けられている。図2bに基づく実施形態の例では、平面要素10は、自動車のドアの下方領域において長手方向の全体に延びており、結合構造V4、V5、およびV6を介して、床枠部7と結合されている。
平面要素10の形態の代替案として、自動車のドア剛性を、内側にある桁構造11によって改善することも考えられ、この桁構造は、図2cに基づく実施形態の例では、それぞれ自動車のドアの前下隅および後下隅領域を斜めに走って堅固化することができる。この場合にも、桁構造11は、それぞれ結合構造V3およびV4ならびにV6およびV7と結合されている。
このような結合構造V1〜V11を複数個設けることによって、衝突時に、変換材を様々に付勢することによって、結合構造9のそれぞれの部分T1およびT2の間の結合剛性を、それぞれの事故状況に応じて個別に選択することが可能である。例えば乗員をできるだけ最適に保護することを保証するために、自動車のドアの平面剛性に影響を及ぼすことが可能である。事故の状況は、適切な衝突前センサによって検知することができ、結合構造内にある変換材を個別に付勢することによって、自動車のドア内で、個別に設定可能な剛性を生じさせることができる。
必要に応じて追加的に設けられた堅固化要素10は、このコンポーネントの形状挙動および剛性挙動にも狙い通りに影響を及ぼすために、変換材から、または少なくとも部分的に変換材から作製することも可能である。原則的に、変換材を付勢することによって、それぞれのコンポーネントの減衰挙動および剛性挙動に影響を及ぼすことができ、それにより、衝突エネルギーが自動車のドアに作用する動力学に影響を及ぼすことが可能である。このようにして、衝突により乗員に生理的に作用する力のモーメントを、明らかに減少させることができる。
したがって本解決策による装置は、衝突時に自動車のドアが、その周縁部に沿った規定の点で、自動車のドアを取り囲む堅固なボディと、固定されたまたはインテリジェントに制御可能な堅い結合を結ぶ場合、自動車のドアの自己堅固性を著しく上昇させることができるという認識に基づくものである。
1 自動車の前部ドア
2 自動車の後部ドア
3 自動車のドアの前方側縁部
4 Aピラー
5 自動車の後部ドアの前方側縁部
6 Bピラー
7 床枠
8 屋根縁部
9 結合構造
10 堅固化要素、平面要素
11 桁構造
2 自動車の後部ドア
3 自動車のドアの前方側縁部
4 Aピラー
5 自動車の後部ドアの前方側縁部
6 Bピラー
7 床枠
8 屋根縁部
9 結合構造
10 堅固化要素、平面要素
11 桁構造
Claims (16)
- 結合構造を備え、衝突により側方から自動車のドアに向かってエネルギーが入力する際の乗員保護のための自動車用の装置であって、前記結合構造が、少なくとも2つの部分を第1および第2の部分として有しており、そのうち、第1の部分は自動車のドアと固定結合されており、第2の部分は自動車のボディのエネルギー吸収部と固定結合されており、前記両方の部分が、側方から自動車のドアに作用するエネルギー入力の少なくとも一部を自動車のボディ領域に狙い通りに誘導するために、少なくとも1つの共通の継目部分を介して、互いに作用結合させることの可能な装置において、
第1および/または第2の部分が少なくとも部分的に変換材を有しており、前記変換材が、エネルギー供給によって、機械的な状態変化を、特に形状変化の形で引き起こし、前記変化によって両方の部分を接触させ、かつ/または互いに連結させることができ、結合構造の第2の部分が、自動車のボディの、自動車のドアを直接取り囲んでいる領域内に取り付けられていることを特徴とする装置。 - 結合構造の前記第1の部分が、自動車のドアが閉まっている状態において、前記第2の部分と直接向き合って配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 少なくとも1つの結合構造が、自動車のドアの以下の個々の領域のうちの1つであって自動車のドアを取り囲む自動車のボディに配置されていること、
前記領域とは、
Aピラー沿いの下方、中央、または上方の領域、
Bピラー沿いの下方、中央、または上方の領域、
床枠沿いの前方、中央、または後方の領域、および
屋根縁沿いの前方または後方の領域、であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。 - 自動車のドアが、少なくとも前記結合構造の領域において、自動車のドアを堅固化する要素を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
- 自動車のドアを堅固化する前記要素が、自動車のドアの外壁および/または内壁を補強する平面要素、もしくは自動車のドアの内部を延びる桁状の支持構造であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
- 結合構造の前記第1の部分が、前記堅固化する要素と結合されていることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
- 前記堅固化する要素が、少なくとも一部分が変換材から成ることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
- 前記第1および第2の部分が、継目部分において、それぞれ互いに同形に形成された継目輪郭を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
- 第1および第2の部分の同形の前記継目輪郭が、継目部分において前記第1の部分が前記第2の部分を少なくとも部分的に取り囲む、または前記第2の部分に部分的に食い込むように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
- 前記結合構造の第1および第2の部分が、自動車のドアを閉めた際に継目部分において相互に接触できるようになっていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
- 接触した第1および第2の部分が、互いに連結でき、および解除できることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
- 前記変換材が、以下の材料、すなわち圧電セラミックス、圧電ポリマー、電歪セラミックス、電気レオロジー流体、ポリマーゲル、磁気レオロジー流体、形状記憶合金、形状記憶ポリマーのうちの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の装置:。
- 第1および/または第2の部分もしくは第1および/または第2の部分の少なくとも部分的領域が変換材から成っており、前記変換材は、衝突により自動車のドアに向かってエネルギーが入力する直前および最中に、両方の部分が解除可能に固定的に作用結合されるような形状変化を引き起こすことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
- 自動車の表面または中にある接近センサが、回避不可能な衝突状況を検知してシグナルを発し、前記シグナルによって、前記変換材の少なくとも部分的な領域が活性化されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
- 前記機械的な状態変化が、変換材の振動挙動および/または減衰挙動に影響を及ぼす作用を達成することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
- 前記変換材のためのエネルギー供給が、衝突エネルギーに依存していないことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
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