JP4752594B2 - 車両用ドア構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ドア構造に関する。
車両のサイドドアの内側に前後方向に延びる複数のインパクトビームを設けると共に、サイドドアの前部及び後部を車両のボディと連結する複数のロック機構を設けた構成の車両用ドア構造が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
この車両用ドア構造では、複数のインパクトビームによってサイドドアの横断面(車両上下方向に垂直な断面)が補強される。しかも、車両の側面衝突時には、複数のロック機構がサイドドアの前部と後部をボディと連結し、サイドドアとボディを一体化するので、サイドドアに作用する衝突荷重はインパクトビームを介してボディに伝達(分散)される。これにより、サイドドアの変形を抑制するようにしている。
しかしながら、上記構成の車両用ドア構造では、上述の如くインパクトビームが車両の前後方向に延びる構成であるため、サイドドアの横断面の変形を抑制するためには有効であるが、サイドドアの縦断面(車両前後方向に垂直な断面)の変形を抑制するためには不十分な場合がある。
実開平5−80835号公報
本発明は上記事実を考慮し、サイドドアの縦断面の変形を抑制することができる車両用ドア構造を得ることが目的である。
請求項1に記載の発明に係る車両用ドア構造は、上端側が車両のサイドドアのベルトライン部に連結されると共に下端側が前記サイドドアの下部に連結された縦ビームと、前記サイドドア内に設けられ、ブラケットを介して前記サイドドアに連結されたインパクトビームと、前記サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際に前記縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる連結手段と、を備え、前記連結手段は、筒状に形成され、内側に前記縦ビームの下端部が挿入された状態で当該下端部に取り付けられると共に、前記ロッカ部に係合して前記縦ビームの下端部と前記ロッカ部とを連結する係合位置と前記ロッカ部から離間する離間位置との間で移動可能とされた連結部材と、通常は前記連結部材を前記離間位置に保持すると共に、前記サイドドアが前記荷重で変形した際に前記連結部材を前記係合位置へと移動させる移動手段と、を有し、前記移動手段は、一端部が前記インパクトビームに回転可能に連結され、他端部が前記連結部材に回転可能に連結されたリンク部材であることを特徴としている。
請求項1に記載の車両用ドア構造では、サイドドアの下部とベルトライン部とに連結された縦ビームによってサイドドアの縦断面が補強される。しかも、サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用すると、連結手段が縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる。具体的には、サイドドアが荷重によって変形すると、縦ビームの下端部に取り付けられた連結部材が移動手段によって離間位置から係合位置へと移動される。これにより、連結部材がロッカ部に係合し、連結部材によって縦ビームの下端部とロッカ部とが連結される。このため、上記荷重は縦ビームを介して車両のロッカ部とサイドドアのベルトライン部とに伝達(分散)される。これにより、サイドドアの縦断面の変形を抑制できる。
請求項2に記載の発明に係る車両用ドア構造は、上端側が車両のサイドドアのベルトライン部に連結されると共に下端側が前記サイドドアの下部に連結された縦ビームと、前記サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際に前記縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる連結手段と、を備え、前記連結手段は、筒状に形成され、内側に前記縦ビームの下端部が挿入された状態で当該下端部に取り付けられると共に、前記ロッカ部に係合して前記縦ビームの下端部と前記ロッカ部とを連結する係合位置と前記ロッカ部から離間する離間位置との間で移動可能とされた連結部材と、通常は前記連結部材を前記離間位置に保持すると共に、前記サイドドアが前記荷重で変形した際に前記連結部材を前記係合位置へと移動させる移動手段と、を有し、前記移動手段は、一端部が前記サイドドアのドアアウターパネルに回転可能に連結され、他端部が前記連結部材に回転可能に連結されたリンク部材であることを特徴としている。
請求項2に記載の車両用ドア構造では、サイドドアの下部とベルトライン部とに連結された縦ビームによってサイドドアの縦断面が補強される。しかも、サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用すると、連結手段が縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる。具体的には、サイドドアが荷重によって変形すると、縦ビームの下端部に取り付けられた連結部材が移動手段によって離間位置から係合位置へと移動される。これにより、連結部材がロッカ部に係合し、連結部材によって縦ビームの下端部とロッカ部とが連結される。このため、上記荷重は縦ビームを介して車両のロッカ部とサイドドアのベルトライン部とに伝達(分散)される。これにより、サイドドアの縦断面の変形を抑制できる。
請求項3に記載の発明に係る車両用ドア構造は、上端側が車両のサイドドアのベルトライン部に連結されると共に下端側が前記サイドドアの下部に連結された縦ビームと、前記サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際に前記縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる連結手段と、を備え、前記連結手段は、筒状に形成され、内側に前記縦ビームの下端部が挿入された状態で当該下端部に取り付けられると共に、前記ロッカ部に係合して前記縦ビームの下端部と前記ロッカ部とを連結する係合位置と前記ロッカ部から離間する離間位置との間で移動可能とされた連結部材と、通常は前記連結部材を前記離間位置に保持すると共に、前記サイドドアが前記荷重で変形した際に前記連結部材を前記係合位置へと移動させる移動手段と、を有し、前記移動手段は、前記連結部材に設けられたアーム部と、前記連結部材に設けられた引掛部と、前記縦ビームの下端部に設けられ、通常は前記引掛部に係合するピンと、前記連結部材を車両下方へ付勢するスプリングと、を有し、前記サイドドアに前記荷重が作用すると、前記アーム部が押圧されることにより前記ピンに対する前記引掛部の係合状態が解除されることを特徴としている。
請求項3に記載の車両用ドア構造では、サイドドアの下部とベルトライン部とに連結された縦ビームによってサイドドアの縦断面が補強される。しかも、サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用すると、連結手段が縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる。具体的には、サイドドアが荷重によって変形すると、縦ビームの下端部に取り付けられた連結部材が移動手段によって離間位置から係合位置へと移動される。これにより、連結部材がロッカ部に係合し、連結部材によって縦ビームの下端部とロッカ部とが連結される。このため、上記荷重は縦ビームを介して車両のロッカ部とサイドドアのベルトライン部とに伝達(分散)される。これにより、サイドドアの縦断面の変形を抑制できる。
請求項4に記載の発明に係る車両用ドア構造は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両用ドア構造において、前記縦ビームは、車両上下方向に沿って配置されることを特徴としている。
請求項4に記載の車両用ドア構造では、サイドドアの下部とベルトライン部とを縦ビームによって最短距離で連結することができるので、縦ビームの長さ寸法を短くすることができ、これにより、縦ビームの曲げ剛性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明に係る車両用ドア構造は、請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の車両用ドア構造において、前記縦ビームは、車両の座席の車幅方向外側に配置されることを特徴としている。
請求項5に記載の車両用ドア構造では、サイドドアの座席側方の部位が縦ビームによって補強されるので、座席側方でのサイドドアの変形を抑制できる。
請求項6に記載の発明に係る車両用ドア構造は、請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の車両用ドア構造において、前記連結部材は、前記係合位置へと移動された状態では、前記ロッカ部に取り付けられた挿入筒に挿入されることを特徴としている。
以上説明したように、本発明に係る車両用ドア構造では、サイドドアの縦断面の変形を抑制することができる。
<第1の実施形態>
図1には第1の実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車両10の部分的な構成が側面図にて示されている。また、図2には図1の3−3線断面図が示されている。なお、この第1の実施形態は参考例とする。また、図中矢印UPは車両上方向を示し、矢印FRは車両前方向を示し、矢印INは車幅内側方向を示している。
本第1の実施形態に係る車両10は、ボディ12の側部に形成された開口部12Aを開閉するフロントサイドドア14を有している。図2に示されるように、フロントサイドドア14は、車幅方向内側に配置されるドアインナーパネル16と車幅方向外側に配置されるドアアウターパネル18(図1では図示省略)とを有している。ドアインナーパネル16とドアアウターパネル18とは上端側を除く周縁部が結合されており、ドアインナーパネル16の上端部とドアアウターパネル18の上端部との間に形成されたスリット状の隙間には、ドアガラス20(図1では図示省略)が挿通されている。また、図1に示されるように、ドアインナーパネル16の前端部と開口部12Aの車両前方側の周壁部との間には、上下一対のヒンジ22が設けられており、フロントサイドドア14は、これらのヒンジ22を介してボディ12に回動可能に支持されている。なお、ドアインナーパネル16の車幅方向内側には、樹脂材料などによって成形されたドアトリム23が取り付けられている。
フロントサイドドア14内(すなわちドアインナーパネル16とドアアウターパネル18との間)の上部には、円筒状に形成されたインパクトビームアッパ24が配設されている。インパクトビームアッパ24は、長手方向がほぼ車両前後方向に沿った状態で配置されており、前端部及び後端部がブラケット26を介してドアインナーパネル16の前端部及び後端部に連結されている。
また、フロントサイドドア14内の下部には、円筒状に形成されたインパクトビームロア28が設けられている。インパクトビームロア28は、上述したインパクトビームアッパ24と同様に、長手方向が車両前後方向に沿った状態で配置されており、前端部及び後端部がブラケット30を介してドアインナーパネル16の前端部及び後端部に連結されている。
さらに、フロントサイドドア14のベルトライン部32には、車体前後方向に沿って延びる閉断面部34が設けられている。閉断面部34は、断面ハット状に形成されたドアインナーパネル16の上部と、断面ハット状に形成されてドアインナーパネル16の上部に接合されたリインフォースメント36とによって形成されている。
この閉断面部34とドアインナーパネル16の下部との間には、ドアインナーパネル16の車幅方向内側において、円筒状に形成された縦ビーム38が掛け渡されている。縦ビーム38は車両上下方向に沿って(ボディ12に対して垂直に)配置されると共に、車両10の図示しない座席12の車幅方向外側(座席12の側方)に配置されている。また、縦ビーム38は、長手方向中間部がフロントサイドドア14の中央部付近に対向するように配置されており、車両10の図示しない座席がシートスライドの最前端位置に配置された状態で、この座席に着座する乗員39(図1の二点鎖線参照)の腰部側方に配置される構成となっている。なお、図1では、二点差線で示される乗員39の腰部の中心に符号S1を付与してある。
この縦ビーム38の上端部は、リインフォースメント36に形成された図示しない貫通孔を介して閉断面部34内に挿入されており、縦ビーム38の上端部には、閉断面部34内に設けられたハット状ブラケット40が取り付けられている。ハット状ブラケット40はボルト42及びナット44によってリインフォースメント36に締結されており、これにより、縦ビーム38の上端部が閉断面部34(ベルトライン部32)に一体的に連結されている。
また、縦ビーム38の下端部には、上述したハット状ブラケット40と同様構成のハット状ブラケット46が取り付けられている。ハット状ブラケット46はボルト48及びナット50によってドアインナーパネル16の下端部に締結されており、これにより、縦ビーム38の下端部がドアインナーパネル16の下端部(フロントサイドドア14の下部)に一体的に連結されている。
さらに、図3に示されるように、縦ビーム38の下端には、ビーム側連結片52が取り付けられている。ビーム側連結片52は、上壁52A、下壁52B、及び縦壁52Cを有する断面コ字状に形成されており、開口側が車幅方向内側を向く状態で、上壁52Aが溶接等の手段により縦ビーム38の下端に固定されている。
一方、フロントサイドドア14の下方には、ボディ12のロッカ部12Bが配設されている。ロッカ部12Bは、ボディ12の下部の両側部に車両前後方向に沿って配置されており、その上部には縦ビーム38の下端に対向する位置に、係合部としてのロッカ側連結片54が取り付けられている。ロッカ側連結片54は、上壁54A、下壁54B、及び縦壁54Cを有する断面コ字状に形成されており、開口側が車幅方向外側を向く状態で、下壁54Bが溶接等の手段によりロッカ部12Bの上部に固定されている。
ロッカ側連結片54の上壁54Aと下壁54Bとの間には、ビーム側連結片52の下壁52Bの先端側が挿入されており、ビーム側連結片52の上壁52Aと下壁52Bとの間には、ロッカ側連結片54の上壁54Aの先端側が挿入されている。なお、ビーム側連結片52の下壁52Aの先端(図3では右側の端部)とロッカ側連結片54の縦壁54Cとの間、及びロッカ側連結片54の上壁54Aの先端(図3では左側の端部)とビーム側連結片52の縦壁52Cとの間には、例えば数ミリ程度の隙間が設けられており、フロントサイドドア14が通常の開閉動作によって閉じられたときには、ビーム側連結片52とロッカ側連結片54とが干渉しないようになっている。
次に、本第1の実施形態の作用について説明する。
本第1の実施形態では、図2に示されるように、フロントサイドドア14に別の車両56(二点鎖線参照)が衝突した際、すなわち車両10の側面衝突時には、フロントサイドドア14内に車両前後方向に沿って設けられたインパクトビームアッパ24及びインパクトビームロア28によって、フロントサイドドア14の横断面(車両上下方向に垂直な断面)の変形が抑制されると共に、フロントサイドドア14のベルトライン部32の閉断面部34とフロントサイドドア14の下部とに連結された縦ビーム38によって、フロントサイドドア14の縦断面(車両前後方向に垂直な断面)の変形が抑制される。
しかも、上記側面衝突によってフロントサイドドア14に車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際には、フロントサイドドア14が上記荷重によって車幅方向内側に所定量(本第1の実施形態では、数ミリ)変位することで、図4に示されるように、縦ビーム38の下端に固定されたビーム側連結片52の下壁52Bの先端が、ボディ12のロッカ部12Bの上部に固定されたロッカ側連結片54の縦壁54Cに係合し、縦ビーム38の下端部とロッカ部12Bとが連結される。このため、縦ビーム38がボディ12のロッカ部12Bとフロントサイドドア14の閉断面部34とに支持されると共に、上記衝突荷重が縦ビーム38を介してロッカ部12Bと閉断面部34とに伝達(分散)される。
したがって、上記衝突荷重のエネルギーのうち、車両10を衝突荷重の作用方向(図2の矢印IN方向)へ移動させるエネルギーが増加し、フロントサイドドア14を変形させるエネルギーは低減する。これにより、フロントサイドドア14の変形が一層抑制されるので、フロントサイドドア14の車室内側への侵入量及び侵入速度を大幅に低減できる。
しかも、本第1の実施形態では、縦ビーム38が車両上下方向に沿って(ボディ12に対して垂直に)配置されている。したがって、フロントサイドドア14のベルトライン部32と下部とを縦ビーム38によって最短距離で連結することができるので、縦ビーム38の長さ寸法を短くすることができる。これにより、縦ビーム38の曲げ剛性及び強度を向上させることができると共に、縦ビーム38の軽量化を図ることができる。
ところで、車両10の図示しない座席がシートスライドの最後端位置に配置された状態では、乗員39は、図1に実線で示されるように車両10のBピラー12Cに近い位置に配置されるので、上述の如き側面衝突時においても、Bピラー12Cによって乗員39を保護することができる。これに対し、車両10の図示しない座席がシートスライドの最前端位置に配置された状態では、図1に二点鎖線で示されるように、乗員39の腰部(符号S1参照)が、一般的に側面衝突によって変形し易い部位であるフロントサイドドア14の中央部付近に配置されるが、本第1の実施形態では、縦ビーム38の長手方向中間部がフロントサイドドア14の中央部付近に対向して配置されている。したがって、側面衝突によって縦ビーム38が車室内側へ移動した際には、縦ビーム38が樹脂製のドアトリム23を介して乗員39の腰部に接触し、乗員39を車室内側へと移動させる。すなわち、乗員39は、人体耐性として比較的に強い腰部を押されて車室内側へと移動されるので、側面衝突による乗員39の負担を軽減することができる。
なお、上記第1の実施形態では、車両10の図示しない座席がシートスライド機構を備えている場合について説明したが、座席がシートスライドを備えていない場合には、縦ビーム38を乗員39の腰部側方に配置することが好ましい。この点は、以下に説明する本発明の他の実施形態においても同様である。
また、上記第1の実施形態では、縦ビーム38が円筒状に形成された構成としたが、本発明はこれに限らず、縦ビームが、例えば角断面やハット状断面のビーム形状に形成された構成としてもよい。
さらに、上記第1の実施形態では、縦ビーム38の上端部がリインフォースメント36に形成された図示しない貫通孔を介して閉断面部34内に挿入された構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば、図5に示されるような構成としてもよい。図5に示される変形例では、リインフォースメント36には車幅方向内側へ開口する凹部36Aが形成されており、縦ビーム38の上端部はこの凹部36A内に挿入されている。また、リインフォースメント36の車幅方向内側にはハット状ブラケット40が設けられている。ハット状ブラケット40は縦ビーム38の上端部に溶接されると共に、ボルト42及びナット44によってリインフォースメント36に締結されている。この構成の場合、ハット状ブラケット40(縦ビーム38の上端部)のリインフォースメント36への締結作業が容易である。
またさらに、上記第1の実施形態では、縦ビーム38が車両10に対して垂直に配置された構成としたが、本発明はこれに限らず、縦ビーム38が車両10に対して斜めに配置された構成としてもよい。この点は、以下に説明する本発明の他の実施形態においても同様である。
また、上記第1の実施形態では、縦ビーム38の下端に取り付けられたビーム側連結片52が、車両10のロッカ部12Bに取り付けられたロッカ側連結片54(係合部)に係合することで、縦ビーム38の下端部とロッカ部12Bとが連結される構成としたが、本発明はこれに限らず、縦ビーム38の下端部を直接ロッカ部12Bに係合させる(ロッカ部12Bの一部を係合部とする)構成としてもよい。
さらに、上記第1の実施形態では、フロントサイドドア14内にインパクトビームアッパ24とインパクトビームロア28とが配設された構成としたが、本発明はこれに限らず、インパクトビームアッパ24とインパクトビームロア28の一方又は両方が省略された構成としてもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成・作用については前記第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成・作用については前記第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
図6には、本発明の第2の実施形態が示されている。この実施形態では、縦ビーム38は、フロントサイドドア14の内部(ドアインナーパネル16の車幅方向外側)に配置されており、上端部がベルトライン部32の閉断面部34に溶接されると共に、下端部がドアインナーパネル16の下部に溶接されたブラケット60に溶接されている。なお、この実施形態では、リインフォースメント36はドアインナーパネル16の車幅方向内側に配置されている。
また、この縦ビーム38の下端部には連結部材としてのエクステンション62が取り付けられている。エクステンション62は下端側が絞り加工された有底円筒状に形成されており、内側に縦ビーム38の下端部が挿入されている。このエクステンション62は縦ビーム38に対して相対的に車両下方へ軸線方向移動できるようになっており、ドアインナーパネル16の下部に形成された貫通孔63を介してフロントサイドドア14の下方に突出できるようになっている。
エクステンション62の外周部には、車幅方向外側へ突出する連結部62Aが設けられている。この連結部62Aには移動手段を構成するリンク部材64の一端部が支軸66によって回動可能に連結されている。リンク部材64の他端部は、インパクトビームロア28の外周部に突設されたアーム部28Aに支軸68によって回動可能に連結されている。このため、エクステンション62は通常はリンク部材64及びインパクトビームロア28によって図6に示される位置(離間位置)に保持されており、この状態では、エクステンション62の下端部は、車両10のロッカ部12Bから離間している。
また、ロッカ部12Bの上壁には、エクステンション62に対向する位置に、エクステンション62が貫通可能な貫通孔65が形成されており、ロッカ部12Bの内部には、円筒状に形成された挿入筒70が取り付けられている。挿入筒70はエクステンション62と同軸的に配置された状態でロッカ部12Bのリインフォースメント72に溶接されており、その内径寸法は、エクステンション62の外径寸法よりも大きく形成されている。
ここで、図7に示されるように、車両10の側部に別の車両56が衝突し、フロントサイドドア14に車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用すると、ドアアウターパネル18が車幅方向内側に変形すると共に、インパクトビームロア28がドアアウターパネル18に押されて車幅方向内側に変形する。このため、インパクトビームロア28のアーム部28Aに他端部が連結されたリンク部材64が車幅方向内側へ移動され、リンク部材64の一端部が連結部62Aに連結されたエクステンション62が、上記離間位置よりも車両下方に設定された係合位置(図7に示される位置)へ移動されるようになっている。この状態では、エクステンション62の下端部がロッカ部12Bの挿入筒70内に挿入され、縦ビーム38の下端部とロッカ部12Bとがエクステンション62を介して連結される構成となっている。
この第2実施形態においても、前述した第1の実施形態と基本的に同様の作用効果を奏する。
なお、上記第2の実施形態では、リンク部材64の他端部がインパクトビームロア28に回動可能に連結された構成としたが、本発明はこれに限らず、リンク部材64の他端部がドアアウターパネル18の内壁面に回動可能に連結された構成としてもよい。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、前記第1の実施形態及び第2の実施形態と基本的に同様の構成・作用については前記第1の実施形態及び第2の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
図8には、本発明の第3の実施形態が示されている。この実施形態では、縦ビーム38は、前記第2の実施形態と同様にフロントサイドドア14の内部(ドアインナーパネル16の車幅方向外側)に配置されている。この縦ビーム38は、上端部がハット状ブラケット80、ボルト82、及びナット84によってベルトライン部32の閉断面部34に連結されると共に、下端部がハット状ブラケット86、ボルト88、及びナット90によってドアインナーパネル16の下部に連結されている。また、この縦ビーム38の下端部には、連結部材としてのエクステンション92が取り付けられている。このエクステンション92は、前記第2の実施形態に係るエクステンション62と基本的に同様の構成とされている。但し、このエクステンション92は、図9に示されるように、上端部から下端側へ向けて切り込まれたガイド溝94を有している。このガイド溝94はエクステンション92の軸線方向中間部で斜め上方へ向けて屈曲しており、ガイド溝94の下端部には引掛部96が形成されている。この引掛部96内には縦ビーム38の下端部外周に突設された円柱状のピン98が挿入されている。エクステンション92は、通常はピン98が引掛部96に係合することで離間位置に保持されている。
また、エクステンション92の上端部には、径方向に突出するフランジ部100が設けられており、このフランジ部100の上方には捩りコイルスプリング102が設けられている。捩りコイルスプリング102は軸心部に縦ビーム38が挿通された状態で縦ビーム38に取り付けられており、捩りコイルスプリング102の上端部には、縦ビーム38の外周に形成された鍔部104が係合している。この捩りコイルスプリング102は、鍔部104とフランジ部100との間に圧縮された状態で設けられており、エクステンション92を車両下方へと付勢している。
さらに、図10に示されるように、フランジ部100の車両前方側端部には、アーム部106の基端部が接続されており、このアーム部106の先端部は、図9に示されるようにインパクトビームロア28に対向して配置されている。
ここで、図8に示されるように、車両10の側部に別の車両56が衝突し、フロントサイドドア14に車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用すると、ドアアウターパネル18が車幅方向内側に変形すると共に、インパクトビームロア28がドアアウターパネル18に押されて車幅方向内側に変形する(図10の矢印A参照)。このため、インパクトビームロア28がエクステンション92のアーム部106を車幅方向内側へ押圧し、エクステンション92が軸線周り一方(図10の矢印B方向)へ回転される。このようにエクステンション92が軸線周り一方へ回転されると、縦ビーム38のピン98とガイド溝94の引掛部96との係合状態が解除される。このため、エクステンション92は、ピン98がガイド溝94内を相対的に移動することで車両下方への移動を許容され、捩りコイルスプリング102の付勢力によって図11に示される係合位置へと移動される。この状態では、エクステンション92の下端部がロッカ部12Bの挿入筒70内に挿入され、縦ビーム38の下端部とロッカ部12Bとがエクステンション92を介して連結される構成となっている。
この第3実施形態においても、前記第1の実施形態及び第2の実施形態と基本的に同様の作用効果を奏する。
また、前記各実施形態では、本発明の車両用ドア構造を車両10のフロントサイドドア14に適用した場合について説明したが、本発明の車両用ドア構造を車両のリヤサイドドアやスライドドアに適用した場合でも、前記各実施形態と基本的に同様の作用効果を得ることができる。
1実施形態(参考例)に係る車両用ドア構造が適用された車両の部分的な構成を示す側面図である。 図1の3−3線断面図である。 1の実施形態に係る車両用ドア構造の縦ビームの下端部及び車両のロッカ部に設けられた係合部の構成を示す縦断面図である。 1の実施形態に係る車両用ドア構造の縦ビームの下端部が車両のロッカ部に設けられた係合部に係合した状態を示す縦断面図である。 1の実施形態の変形例に係る縦ビームを含む周辺部材の構成を示す横断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車両のドアの縦断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車両のドアに別の車両が衝突した状態を示す縦断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車両のドアの縦断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車両のドアの下部及び当該車両のロッカ部の構成を示す縦断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る車両用ドア構造の連結部材を含む周辺部材の構成を示すが適用された車両のドアの横断面図である。 本発明の第の実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車両のドアの下部及び当該車両のロッカ部の構成を示す縦断面図である。
符号の説明
10 車両
12 ボディ
12B ロッカ部
14 フロントサイドドア
28 インパクトビームロア(移動手段)
32 ベルトライン部
38 縦ビーム
54 ロッカ側連結片(係合部)
62 エクステンション(連結部材)
64 リンク部材(移動手段)
92 エクステンション(連結部材)
94 ガイド溝(移動手段)
96 ピン(移動手段)
102 捩りコイルスプリング(移動手段)

Claims (6)

  1. 上端側が車両のサイドドアのベルトライン部に連結されると共に下端側が前記サイドドアの下部に連結された縦ビームと、
    前記サイドドア内に設けられ、ブラケットを介して前記サイドドアに連結されたインパクトビームと、
    前記サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際に前記縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる連結手段と、
    を備え、
    前記連結手段は、
    筒状に形成され、内側に前記縦ビームの下端部が挿入された状態で当該下端部に取り付けられると共に、前記ロッカ部に係合して前記縦ビームの下端部と前記ロッカ部とを連結する係合位置と前記ロッカ部から離間する離間位置との間で移動可能とされた連結部材と、
    通常は前記連結部材を前記離間位置に保持すると共に、前記サイドドアが前記荷重で変形した際に前記連結部材を前記係合位置へと移動させる移動手段と、
    を有し、
    前記移動手段は、一端部が前記インパクトビームに回転可能に連結され、他端部が前記連結部材に回転可能に連結されたリンク部材であることを特徴とする車両用ドア構造。
  2. 上端側が車両のサイドドアのベルトライン部に連結されると共に下端側が前記サイドドアの下部に連結された縦ビームと、
    前記サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際に前記縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる連結手段と、
    を備え、
    前記連結手段は、
    筒状に形成され、内側に前記縦ビームの下端部が挿入された状態で当該下端部に取り付けられると共に、前記ロッカ部に係合して前記縦ビームの下端部と前記ロッカ部とを連結する係合位置と前記ロッカ部から離間する離間位置との間で移動可能とされた連結部材と、
    通常は前記連結部材を前記離間位置に保持すると共に、前記サイドドアが前記荷重で変形した際に前記連結部材を前記係合位置へと移動させる移動手段と、
    を有し、
    前記移動手段は、一端部が前記サイドドアのドアアウターパネルに回転可能に連結され、他端部が前記連結部材に回転可能に連結されたリンク部材であることを特徴とする車両用ドア構造。
  3. 上端側が車両のサイドドアのベルトライン部に連結されると共に下端側が前記サイドドアの下部に連結された縦ビームと、
    前記サイドドアに車幅方向内側へ向いた所定値以上の荷重が作用した際に前記縦ビームの下端部を車両のロッカ部に連結させる連結手段と、
    を備え、
    前記連結手段は、
    筒状に形成され、内側に前記縦ビームの下端部が挿入された状態で当該下端部に取り付けられると共に、前記ロッカ部に係合して前記縦ビームの下端部と前記ロッカ部とを連結する係合位置と前記ロッカ部から離間する離間位置との間で移動可能とされた連結部材と、
    通常は前記連結部材を前記離間位置に保持すると共に、前記サイドドアが前記荷重で変形した際に前記連結部材を前記係合位置へと移動させる移動手段と、
    を有し、
    前記移動手段は、前記連結部材に設けられたアーム部と、前記連結部材に設けられた引掛部と、前記縦ビームの下端部に設けられ、通常は前記引掛部に係合するピンと、前記連結部材を車両下方へ付勢するスプリングと、を有し、前記サイドドアに前記荷重が作用すると、前記アーム部が押圧されることにより前記ピンに対する前記引掛部の係合状態が解除されることを特徴とする車両用ドア構造。
  4. 前記縦ビームは、車両上下方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両用ドア構造。
  5. 前記縦ビームは、車両の座席の車幅方向外側に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の車両用ドア構造。
  6. 前記連結部材は、前記係合位置へと移動された状態では、前記ロッカ部に取り付けられた挿入筒に挿入されることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の車両用ドア構造。
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