JP2008527985A - 糸状菌細胞において目的の化合物を産生させるための方法 - Google Patents

糸状菌細胞において目的の化合物を産生させるための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生来のコドンが同義コドンと交換されている(前記同義コドンは生来のコドンと同じアミノ酸をコードし、表1において規定されるコドン使用頻度において生来のコドンより高い頻度を有する)ような最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列を含んでなるヌクレオチド配列であって;場合により、前記ヌクレオチド配列は:次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列、および/またはヌクレオチドの多義コード:v(A/C/G);n(A/C/G/T)を使用して、次のリストの配列:gctnccyycから選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳イニシエータコード配列、好ましくは、5’−GCT TCC TTC−3’のような制御配列を含んでなる。本発明はさらに、コンセンサス翻訳イニシエータ配列:5’−mwChkyCAmv−3’に関し、好ましくは、翻訳イニシエータ配列は:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’からなるリストから選択される。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、糸状菌細胞において目的の化合物を産生させるための方法であって、ここで、目的の化合物をコードするヌクレオチド配列および/またはそれに操作可能に会合した制御ヌクレオチド配列は、目的の化合物をコードするヌクレオチド配列の改善された発現および/または目的の化合物の改善された産生が得られるように改変されている、方法に関する。
[背景技術]
本発明は、目的の化合物を産生させるための改善された方法に関する。タンパク質過剰発現および/または産生のための株を作製することにおいて、今までに多数のアプローチが適用されている。これは、目的の化合物をコードするマルチコピーの遺伝子を伴う株を作製すること、および強力なプロモーター配列を適用することを含むが、これらに限定されない。
それぞれの特定のアミノ酸は、最小で1つのコドンおよび最大で6つのコドンによってコードされる。先の研究は、細胞のポリペプチドをコードする遺伝子におけるコドン使用頻度が、種間で偏りがあることを示している(カナヤ,S(Kanaya,S)、Y.ヤマダ(Y.Yamada)、Y.クドウ(Y.Kudo)およびT.イケムラ(T.lkemura)(1999年)「Studies of codon usage and tRNA genes at 18 unicellular organisms and quantification of Bacillus subtilis tRNAs:gene expression level and species−specific diversity of codon usage based on multivariate analysis」Gene 238:143−155)。先の刊行物は、ポリペプチド産生を改善するための所定の宿主細胞におけるコドン使用の最適化を開示している(例えば、国際公開第97/11086号パンフレットを参照のこと)。より具体的には、国際公開第03/70957号パンフレットは、植物ポリペプチドを産生するための糸状菌における最適化されたコドン使用を説明している。「古典的」コドン最適化のこれらのすべての場合において、生来のコドンは、参照の組の遺伝子由来の最も頻度の高いコドンによって置換されている一方、各アミノ酸に対するコドン翻訳の割合が高くなるように設計される(最適化される)。しかし、この「古典的」コドン最適化は、tRNAがなお利用可能である他のコドンを無視する。
最近、国際公開第03/85114号パンフレットにおいて、遺伝子において最適および非最適コドンの分布を生じるコドン使用の調和について記載され、これらはタンパク質フォールディングを生じることが想定された。遺伝子に対するコドン使用の調和のこの方法を使用することは、宿主生物体における良好(不良)なものによるドナー生物体における良好(不良)なコドンの置換を生じる。それらはより最適なものによって置き換えられないため、しかし、コドン調和(国際公開第03/085114号パンフレット)のこの方法は、非最適コドンを無視する。さらに、該方法は相同遺伝子に適用することができない。
別の刊行物は、改善されたコンセンサス翻訳イニシエータ配列(米国特許第6,461,837B1号明細書);コンセンサス配列5’−nyCnnhCACC(ATG)−3’を使用することによって、宿主細胞におけるポリペプチド産生を改善するためのさらなる方法を説明している。
糸状菌細胞においてポリペプチドを産生させるための改善された方法が依然として必要とされている。
[発明の詳細な説明]
糸状菌細胞における目的の化合物の産生を改善するための新規のアプローチは、タンパク質をコードする配列またはタンパク質コード配列の改変および場合により、翻訳効率および/または目的の化合物の産生の効率に影響を及ぼし得る関連する「非コード」配列または制御配列に基づいて提唱される。
ヌクレオチド配列
本発明の第1の態様に従えば、以下を含んでなるヌクレオチド配列が提供される:
・生来のコドンが同義コドンと交換されている(前記同義コドンは生来のコドンと同じアミノ酸をコードし、表1において規定されるコドン使用頻度において生来のコドンより高い頻度を有する)ような最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列;場合により、前記ヌクレオチド配列は、以下のような制御配列を含んでなる:
・次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列、および/または
次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳イニシエータコード配列。
Figure 2008527985
好適な実施態様に従えば、前記ヌクレオチド配列は、前記ヌクレオチド配列に含まれる前記同義ヌクレオチドコード配列の最適化されたコドン頻度が、少なくとも1つの生来のコドン、好ましくは少なくとも2つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも3つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも4つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも5つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、最も好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されているようなものであり、前記同義コドンは生来のコドンと同じアミノ酸をコードし、表1において規定されるコドン使用頻度において生来のコドンより高い頻度を有する、配列である。
より好適な実施態様に従えば、前記ヌクレオチド配列は、最適化されたコドン頻度が、少なくとも1つの生来のコドン、好ましくは少なくとも2つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも3つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも4つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも5つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、最も好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されているようなものであり、同義コドンは、次のリストの至適百分率:TGC(100%)によるシステイン;TTC(100%)によるフェニルアラニン;CAC(100%)によるヒスチジン;AAG(100%)によるリジン;AAC(100%)によるアスパラギン;CAG(100%)によるグルタミン;TAC(100%)によるチロシン;アラニンはGCT(38%)、GCC(51%)、もしくはGCG(11%)によりコードされる;GAC(64%)によるアスパラギン酸;GAG(74%)によるグルタミン酸;GGT(49%)、GGC(35%)、GGA(16%)によるグリシン;ATT(27%)、ATC(73%)によるイソロイシン;TTG(13%)、CTT(17%)、CTC(38%)、CTG(32%)によるロイシン;CCT(36%)、CCC(64%)によるプロリン;CGT(49%)、CGC(51%)によるアルギニン;TCT(21%)、TCC(44%)、TCG(14%)、AGC(21%)によるセリン;ACT(30%)、ACC(70%)によるスレオニンおよび/またはGTT(27%)、GTC(54%)、GTG(19%)によるバリンを適用する、前記頻度における前記同義コドンの百分率と列挙された至適百分率との間の差分絶対値が修飾後により小さくなるようにコドン頻度を変更する、配列である。
さらにより好適な実施態様に従えば、前記ヌクレオチド配列は、前記ヌクレオチド配列に含まれる最適化されたコドン頻度を伴う前記同義ヌクレオチドコード配列のコドン適応度が、少なくとも70%、80%、90%、95%、好ましくは、96%、97%、98%、最も好ましくは、>98%である適応値を有し、ここで、コドン適応度は、以下の関数:
Figure 2008527985

[ここで、gはヌクレオチドコード配列、|g|はその長さ、g(k)はそのk番目のコドンを表し、
Figure 2008527985

は、コドンc(k)の所望される割合、
Figure 2008527985

はヌクレオチドコード配列gにおける実際の割合である]
によって算出される、配列である。
本発明に関して、ヌクレオチドコード配列および制御配列の両方は、本発明の方法が適用される前のこれらの配列について言及する場合、本明細書において生来または野生型である。一旦、本発明によって修飾されると、それらは、改変型または同義配列と命名される。その結果、同義配列は、一般的に、組換え配列として認識される。因みに、天然に存在する配列は、同義配列と同一であり得る。
本発明に関して、ヌクレオチドコード配列および同義ヌクレオチドコード配列は、産生させようとする目的の化合物を直接コードしてもよい。目的の化合物という用語は、後に「目的の化合物の産生」のセクションにおいて規定される。(同義)ヌクレオチドコード配列によって直接コードされる目的の化合物の例は、ポリペプチドであり、好ましくは、ポリペプチドは、酵素、より好ましくは、細胞外に分泌される酵素である。あるいは、(同義)ヌクレオチドコード配列によってコードされる化合物は、目的の化合物自体でなくてもよいが、特に、目的の化合物の産生に関与し得る。この場合、(同義)ヌクレオチドコード配列によってコードされる化合物は、代謝物の産生に関与する細胞内酵素、トランスポーター、転写因子、構造タンパク質、シャペロンまたはハウスキーピング遺伝子の産物であり得るが、これらに限定されない。
本発明に関して、用語「コドン」は、一般的に、アミノ酸をコードするヌクレオチドトリプレットを指す。本明細書において使用する「同義コドン」は、同一なヌクレオチド配列を有さないが、同一のアミノ酸(AA)をコードするコドンを指す。用語「コドン頻度」、「コドンバイアス」、または「コドン使用頻度」は、異なる対応するコドンがコード配列において使用される頻度として規定される。コドン使用頻度は、コード配列におけるいくらかのコドンが同じアミノ酸をコードするが、前記アミノ酸をコードする異なるコドンの頻度が多様なコード配列間で変動し得るという事実に基づく。
産生のために使用される宿主細胞に相同または異種である(ポリペプチドをコードする)ヌクレオチドコード配列は、例えば、ウイルス、原核細胞、真菌、糸状菌、他の真核生物ならびに哺乳動物、ヒトおよび植物のような高等な真核生物に由来し得る。このような(生来の)ヌクレオチドコード配列は、表1において記載されている(および「表1を使用する「最適化されたコドン頻度」または「最適化されたコドン使用頻度」の算出」の段落においてさらに開示されている)ように、最適コドン頻度に従って改変され、同義ヌクレオチド配列を生じる。生来のコード配列は、以下の群から選択することができる:
・予め決定されたアミノ酸配列をコードする野生型ヌクレオチド配列、
・コドンに対する無作為選択を使用する天然に存在するアミノ酸配列の逆翻訳、
・既知のアミノ酸配列に対して相同性を示す天然に存在しないアミノ酸配列、例えば、シャッフルした配列、
・例えば、融合配列において使用されるべき上記の配列の一部。
最適化されたコドン使用頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列は、好ましくは、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、フザリウム(Fusarium)、クリソスポルム(Chrysosporum)またはペニシリウム(Penicillium)宿主細胞において発現される。より好ましくは、同義ヌクレオチドコード配列は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポルム・ラクナウェンス(Chrysosporum lucknowense)またはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)宿主細胞において発現される。最も好適なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主細胞は、CBS513.88またはその誘導体である。好ましくは、存在する同義コード配列によってコードされる産物の発現は、対応する生来のコード配列の産生と比較して増強され、前記対応する核酸構築物は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する。好ましくは、ヌクレオチドコード配列の改変(本発明の同義ヌクレオチドコード配列を生じる)は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する生来のヌクレオチドコード配列の産生と比較して、所定のコピー数の同義ヌクレオチドコード配列を含んでなる本発明の糸状菌宿主細胞によって産生される目的の化合物の収量の少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、100%、200%、300%、400%、より好ましくは少なくとも500%の増加を生じる。
産生させようとする目的の化合物の収量の増加は、本発明の糸状菌宿主細胞によって産生される化合物の量を測定し、それを、対応する糸状菌宿主細胞によって産生される目的の化合物と比較することによって決定され得る。産生される目的の化合物の収量を決定することは、特に、(同義)ヌクレオチドコード配列から転写されるmRNAの量、mRNAによってコードされるポリペプチドの量、または同義ヌクレオチドコード配列によってコードされるポリペプチドの産生に関与する化合物(例えば、代謝物)の量を測定することによって、達成され得る。mRNAの量を決定するための当業者に既知の方法の例として、ノーザンブロット、定量PCR、リアルタイムPCR、およびマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチドの量は、特に、当業者に既知のタンパク質測定アッセイを使用して決定することができる。ポリペプチドが酵素である場合、ポリペプチドの量は、関係する酵素に特異的な活性アッセイを使用して測定することができる。当業者は、特定の酵素についてどのアッセイを選択するかを知っている。産生させようとする目的の化合物の量を決定するための好適なアッセイは、関係する酵素に特異的な活性アッセイである。
表1において規定される最適コドン使用頻度および生物体の遺伝子間のコドンバイアスを考慮すると、相同なポリペプチドをコードする生来のコードヌクレオチド配列もまた、コドン最適化に供され、相同ポリペプチドについて同じ宿主における生来のヌクレオチド配列の発現よりも多い収量を提供すると考えられる。
本発明に関して、ヌクレオチドコード配列またはコード配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列として規定される。ヌクレオチドコード配列の境界は、一般的に、mRNAの5’末端におけるオープンリーディングフレームの開始部に位置するATG開始コドン、およびmRNAの3’末端におけるオープンリーディングフレームの直ぐ下流に位置する終止コドンによって決定される。ヌクレオチドコード配列としては、DNA、cDNA、RNA、および組換え核酸配列(DNA、cDNA、RNA)配列を挙げることができるが、これらに限定されない。コード配列が真核細胞における発現を目的とする場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列は、通常、コード配列の3’側に位置する。ヌクレオチドコード配列は、翻訳イニシエータコード配列、および場合により、シグナル配列を含んでなる。
ヌクレオチドコード配列の発現を達成するために、ヌクレオチドコード配列は、好ましくは、制御配列と組み合わされる。本発明に関して、制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現に必要または有利なヌクレオチド配列として規定される。ともに存在する場合、制御配列は、ヌクレオチドコード配列に操作可能に会合される。用語「制御配列」は、ヌクレオチドコード配列の発現に必要または有利なすべての遺伝子エレメントを含む。それぞれの制御配列は、ヌクレオチドコード配列に対して生来であってもまたは外来性であってもよい。制御配列として、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、翻訳イニシエータ配列、翻訳イニシエータコード配列、翻訳転写ターミネーターおよび転写ターミネーター配列が挙げられるが、これらに限定されない。制御配列は、例えば、制御配列とポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード領域との連結を容易にする特定の制限部位を導入する目的のためのリンカーを伴って提供され得る。
用語「操作可能に会合」は、本明細書において、制御配列が、(同義)ヌクレオチドコード配列の発現を指令するような(同義)ヌクレオチドコード配列に対する位置に、制御配列が適切に配置される配置形態として規定される。
本発明に関して、用語「翻訳イニシエータコード配列」は、DNAコード配列のオープンリーディングフレームのイニシエータまたは開始コドンのすぐ下流の9個のヌクレオチドとして規定される。イニシエータまたは開始コドンは、AAメチオニンをコードする。イニシエータコドンは、典型的に、ATGであるが、また、GTGのような任意の機能的開始コドンであってもよい。用語「コンセンサス翻訳イニシエータコード配列」は、DNAコード配列のオープンリーディングフレームのイニシエータコドンのすぐ下流の9個のヌクレオチドとして規定され、次のDNA配列:5’−GCTnCCyyC−3’(即ち、配列番号20)(ヌクレオチドの多義コードy(C/T)およびn(A/C/G/T)を使用している)を有する。これは、次の翻訳イニシエータコード配列の16種の変種をもたらす:
Figure 2008527985

好ましくは、翻訳イニシエータコード配列は、核酸配列:5’−GCT TCC TTC−3’(即ち、配列番号21)を有する。
コンセンサス翻訳イニシエータコード配列を使用して、記載のAA位置において、次のAAが許容される:コードされるポリペプチドにおける+2位のアラニン、+3位のアラニン、セリン、プロリン、またはスレオニン、および+4位のフェニルアラニン、セリン、ロイシンまたはプロリン。本発明において、コンセンサス翻訳イニシエータコード配列は、産生させようとするポリペプチドをコードする核酸配列に対して外来性であってもよい。あるいは、コンセンサス翻訳イニシエータは、真菌宿主細胞に対して生来であってもよい。
本発明に関して、用語「翻訳終結配列」は、オープンリーディングフレームまたはヌクレオチドコード配列の3’末端において翻訳終止コドンから開始し、5’から3’の方向で配向された4個のヌクレオチドとして規定される。好ましくは、翻訳終結配列は、次のリストの配列:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される。より好ましくは、翻訳終結配列は5’−TAAA−3’である。
本明細書において使用される用語「最適化されたコドン頻度」または「最適化されたコドン使用頻度」は、表1において記載されている(および「表1を使用する「最適化されたコドン頻度」または「最適化されたコドン使用頻度」の算出」の段落においてさらに開示されている)ように、コドン使用頻度に従って同義ヌクレオチドコード配列を付与するように全体的もしくは部分的に改変されている生来のヌクレオチドコード配列を指す。コドン頻度を最適化することは、宿主細胞としての任意の糸状菌種において産生させようとする任意の所定のポリペプチドについて任意のコード配列を改善するために使用することができる。好ましくは、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、フザリウム(Fusarium)、クリソスポルム(Chrysosporum)またはペニシリウム(Penicillium)宿主細胞である。より好ましくは、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポルム・ラクナウェンス(Chrysosporum lucknowense)またはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)宿主細胞である。最も好適なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主細胞は、CBS513.88またはその誘導体である。好適な宿主細胞のより網羅的なリストは、「宿主細胞」のセクションにおいて認められる。
ポリペプチド配列のアミノ酸配列が決定されている場合、宿主細胞における発現のための最適化されたコドン頻度を伴うポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または同義ヌクレオチドコード配列を合成することができ、ここで、1つもしくはそれ以上の生来のコドンが、同じアミノ酸をコードする同義コドンと交換されており、前記同義コドンは、表1において記載されている(および「表1を使用する「最適化されたコドン頻度」または「最適化されたコドン使用頻度」の算出」の段落においてさらに開示されている)ように、コドン使用頻度においてより高い頻度を有する。
少なくとも1つの生来のコドン、少なくとも2つの生来のコドン、少なくとも3つの生来のコドン、少なくとも4つの生来のコドン、少なくとも5つの生来のコドン、または少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、もしくは、好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されており、同義コドンは生来のコドンと同じアミノ酸をコードし、表1において規定されるコドン使用頻度において生来のコドンより高い頻度を有する場合、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列あるいは同義コード配列は、最適化されたコドン頻度を有するとみなされる。
少なくとも1つの生来のコドン、少なくとも2つの生来のコドン、少なくとも3つの生来のコドン、少なくとも4つの生来のコドン、少なくとも5つの生来のコドン、または少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、もしくは好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されており、同義コドンは、次のリストの最適百分率:TGC(100%)によるシステイン;TTC(100%)によるフェニルアラニン;CAC(100%)によるヒスチジン;AAG(100%)によるリジン;AAC(100%)によるアスパラギン;CAG(100%)によるグルタミン;TAC(100%)によるチロシン;アラニンはGCT(38%)、GCC(51%)、もしくはGCG(11%)によりコードされる;GAC(64%)によるアスパラギン酸;GAG(74%)によるグルタミン酸;GGT(49%)、GGC(35%)、GGA(16%)によるグリシン;ATT(27%)、ATC(73%)によるイソロイシン;TTG(13%)、CTT(17%)、CTC(38%)、CTG(32%)によるロイシン;CCT(36%)、CCC(64%)によるプロリン;CGT(49%)、CGC(51%)によるアルギニン;TCT(21%)、TCC(44%)、TCG(14%)、AGC(21%)によるセリン;ACT(30%)、ACC(70%)によるスレオニンおよび/またはGTT(27%)、GTC(54%)、GTG(19%)によるバリンを適用する、前記頻度における前記コドンの百分率と列挙された最適百分率との間の差分絶対値が修飾後により小さくなるようにコドン頻度を変更する場合、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列あるいは同義コード配列は、最適化されたコドン頻度を有するとみなされる。
コドン適応度は、すべてのコドンの出現数について正規化された遺伝子における実際のコドンの割合と標的コドンの割合との差異であると規定される。
Figure 2008527985

を、コドンcの所望される割合(または頻度)、および
Figure 2008527985

を先と同様に遺伝子gにおける実際の割合とし、次いで、単一のコドン適応度は以下のように規定される:
Figure 2008527985
従って、コドン適応度{fit(g)}は、0〜100%の間の値に到達することができ、最適配列は100%に近づく。その結果、同義コード配列のコドン適応値が少なくとも70%、80%、90%、95%、好ましくは、96%、97%、98%、最も好ましくは、>98%である場合、同義ヌクレオチドコード配列は、最適化されたコドン頻度を有するとみなされる。
本発明のヌクレオチド配列は、合成ヌクレオチド配列であってもよい。本明細書において使用する用語「合成」遺伝子、DNA構築物、核酸、ポリヌクレオチド、プライマーなどは、天然において見出されないヌクレオチド配列;言い換えれば、単に、特定の生物体に対して異種の配列だけではなく、それが研究室において設計および/または作製されており、それがその天然に存在する供給源、テンプレートまたは相同物の1つに対して同一のヌクレオチド(もしくはおそらくAA)配列を有さないような何らかの方法で変更されているという意味で、異種であるものを意味する。本明細書において使用される合成核酸またはAA配列は、理論的配列または明らかに物理的に作製された実施態様を指すことができる。本発明に従う合成ペプチドは、任意の形態、例えば、紙もしくはコンピュータ読み取り可能なおよび物理的に作製された核酸配列、タンパク質、ペプチド、融合ペプチドまたはマルチペプチドで本発明に含まれることが意図される。
代替的に、天然に存在するヌクレオチド配列は、本発明の特徴を示し得る。そのような配列の使用も本発明に包含されるとみなされる。
用語「合成ヌクレオチド構築物」または「合成核酸」として、天然に存在する配列と比較して、単一もしくは複数のヌクレオチドの変更を伴う全体的に人工のアミノ酸配列または核酸配列から誘導あるいは設計される核酸を挙げることができる。これらの「合成DNA構築物」は、無作為もしくは指向性変異誘発、DNAシャフリング方法、DNA再集成方法、遺伝子合成によって、または当業者に公知の任意の手段(例えば、ヤング(Young)およびドン(Dong)(2004年)、Nucleic Acids Research 32、(7)電子アクセスhttp://nar.oupiournals.Org/cgi/reprint/32/7/e59またはガプタ(Gupta)ら(1968年)、Proc.Natl.Acad.Sci USA,60:1338−1344;スカルプラ(Scarpulla)ら(1982年)、Anal.Biochem.121:356−365;ステマー(Stemmer)ら、(1995年)、Gene 164:49−53を参照のこと)によって作製することができる。
あるいは、合成ヌクレオチド配列をアミノ酸配列から設計してもよい(実施例2を参照のこと)。この逆操作方法を使用すれば、利用され得ない天然に存在するヌクレオチド配列の必要性はなくなる。逆翻訳は、最初に、コドンに対する無作為選択を使用して実施し得る。続いて、得られるヌクレオチド配列を、コドン使用頻度について最適化することができる。
別の好適な実施態様に従えば、本発明に従う最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列は、逆に操作されたヌクレオチドコード配列であり、ここで、最適化されたコドン頻度は、少なくとも1つのコドン、少なくとも2つのコドン、少なくとも3つのコドン、少なくとも4つのコドン、少なくとも5つのコドンもしくは少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、または好ましくは少なくとも95%のコドンが、表1において規定されるコドン使用頻度において、算術平均によって推定されるコドン使用頻度(即ち、1コドンの場合100%、2コドンの場合50%、3コドンの場合33.3%、4コドンの場合25%、および6コドンの場合16.7%)より高い頻度を有するようなものである。
より好適な実施態様に従えば、最適化されたコドン頻度を伴う前記同義ヌクレオチドコード配列は、逆に操作されたヌクレオチドコード配列であり、ここで、ヌクレオチドコード配列のコドン適応度が、少なくとも70%、80%、90%、95%、好ましくは、96%、97%、98%、最も好ましくは、>98%である適応値を有し、ここで、コドン適応度は、以下の関数によって算出される:
Figure 2008527985

[ここで、gはヌクレオチドコード配列、|g|はその長さ、g(k)はそのk番目のコドンを表し、
Figure 2008527985

は、コドンc(k)の所望される割合、
Figure 2008527985

はヌクレオチドコード配列gにおける算出された割合である]。
本発明のヌクレオチド配列に存在し得る制御配列に加えて、ヌクレオチドコード配列は、シグナル配列、またはシグナルペプチドコード領域を含んでなり得る。
シグナル配列は、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードし、発現されたポリペプチドを細胞の分泌経路へ指向することができる。ヌクレオチド配列のコード配列の5’末端は、分泌される目的のポリペプチドをコードするコード領域のセグメントを伴う翻訳リーディングフレームにおいて天然に連結されるシグナルペプチドコード領域を本来的に含有し得る。その場合、翻訳イニシエータコード配列はシグナル配列の部分である。あるいは、コード配列の5’末端は、分泌されるタンパク質をコードするコード配列の一部に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含有してもよい。外来性のシグナルペプチドコード領域は、コード配列がシグナルペプチドコード領域を天然には含有しない場合に要求され得る。あるいは、コード配列と正常に会合された天然のシグナルペプチドコード領域に関連するタンパク質の増強された分泌を得るために、外来性のシグナルペプチドコード領域は、単純に天然のシグナルペプチドコード領域を置き換えてもよい。シグナルペプチドコード領域は、アスペルギルス(Aspergillus)種由来のグルコアミラーゼもしくはアミラーゼ遺伝子、リゾムコール(Rhizomucor)種由来のリパーゼもしくはプロテイナーゼ遺伝子、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のα−因子の遺伝子、バチルス(Bacillus)種由来のアミラーゼもしくはプロテアーゼ遺伝子、または仔ウシプレプロキモシン遺伝子から得られる。しかし、発現されるタンパク質を好適な宿主細胞の分泌経路に指向することが可能ないずれのシグナルペプチドコード領域も本発明において使用することができる。糸状菌宿主細胞に好適なシグナルペプチドコード領域は、麹菌(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ遺伝子(EP238023号明細書)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼ遺伝子、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ遺伝子、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)セルラーゼ遺伝子、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)クチナーゼ、カンジダ・アンタクチカ(Candida antactica)リパーゼB遺伝子またはリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ遺伝子ならびにその変異、短縮型、およびハイブリッドシグナル配列から得られるシグナルペプチドコード領域である。
好適な別の実施態様では、本発明の最適化されたコード頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列は、シグナル配列を含んでなる。より好適な実施態様に従って、本発明のシグナル配列は、最適化されたコドン頻度を伴うシグナル配列であって、ここで、少なくとも1つの生来のコドン、または少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、もしくは好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されており、前記同義コドンは、生来のコドンと同じアミノ酸を有し、表1において規定され、「表1を使用する「最適化されたコドン頻度」または「最適化されたコドン使用頻度」の算出」の段落においてさらに開示されるように、コドン使用頻度において、生来のコドンより高い頻度を有する。より好ましくは、本発明のシグナル配列は、次のコンセンサスDNA配列:5’−GCTnCGyyG−3’(即ち、配列番号20)を有する翻訳イニシエータコード配列または、さらにより好ましくは、核酸配列:5’−GCT TCC TTC−3’(即ち、配列番号21)を伴う翻訳イニシエータコード配列を含んでなる。
ヌクレオチドコード配列は、本発明の修飾が適用される前は、タンパク質配列においてアミノ酸をコードしないヌクレオチドを含有する1つもしくはそれ以上のイントロンを含有してもよい。コード配列の発現を最適化する工程の1つは、イントロンを伴わない同義コード配列を使用し得る。実施例2では、生来のヌクレオチド配列に存在するイントロンは、改変型構築物において置き換えられなかった。
あるいはおよび本発明の別の好適な実施態様に従えば、本発明の同義ヌクレオチドコード配列を含んでなるヌクレオチド配列(ここで、改変されていないヌクレオチドコード配列は、本来、1つもしくはそれ以上のイントロンを含んでなった)では、少なくとも1つのイントロンが、ヌクレオチドコード配列において、好ましくは、(必ずしも必要ではないが)本来の位置で、再導入されている。実施例1では、麹菌(A.oryzae)pla1DNA配列の部分であるイントロンが、発現のために使用されたコドン最適化(同義)DNA配列において置き換えられた。
翻訳イニシエータ配列
第2の態様では、本発明は、翻訳イニシエータ配列に関する。翻訳イニシエータ配列は、タンパク質の開始部をコードする核酸領域であり、翻訳イニシエータ配列の生物学的活性は、アミノ酸配列がmRNAのヌクレオチド配列によって特定されるポリペプチドのリボソーム仲介産生を開始すべきである。真核生物では、ATGの前の翻訳イニシエータコンセンサス配列(6−12ヌクレオチド)は、この論題に対する最初の研究(コザック,M.(Kozak,M.)(1987年):「an analysis of 5’−noncoding sequences from 699 vertebrate messenger RNAs」Nucl.Acid Res.15(20):8125−47)により、しばしば、コザックコンセンサス配列と呼ばれる。コザック(Kozak)によって誘導される+4ヌクレオチドを含む本来のコザックコンセンサス配列CCCGCCGCCrCC(ATG)Gは、高等真核生物における翻訳の開始と関連する。本発明に関して、用語「翻訳イニシエータ配列」は、ポリペプチドをコードするDNA配列のオープンリーディングフレームのイニシエータまたは開始コドンのすぐ上流の10個のヌクレオチドとして規定される。イニシエータまたは開始コドンは、AAメチオニンをコードする。イニシエータコドンは、典型的に、ATGであるが、また、GTGのような任意の機能的開始コドンであってもよい。ウラシル、Uが、RNAでは、デオキシヌクレオチドのチミン、Tに取って代わることは当該分野において周知である。
転写イニシエータ配列の生物学的活性は、転写イニシエータ配列のすぐ下流のオープンリーディングフレームの転写された遺伝子産物の量を測定し、この量と、対照転写イニシエータ配列によって制御される同じオープンリーディングフレームから測定される量とを比較することによる定量的方法で決定することができる。遺伝子産物の量は、mRNAの量またはmRNAによってコードされるポリペプチドの量のいずれかを測定することによって、決定され得る。mRNAの量を決定するための当業者に既知の方法の例として、ノーザンブロット、定量PCR、リアルタイムPCR、およびマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。転写イニシエータ配列のすぐ下流のオープンリーディングフレームによってコードされるポリペプチドの量は、特に、当業者に既知のタンパク質測定アッセイを使用して、決定することができる。転写イニシエータ配列のすぐ下流のオープンリーディングフレームによってコードされるポリペプチドが酵素である場合、ポリペプチドの量は、関係する酵素に特異的な活性アッセイを使用して、測定することができる。当業者は、特定の酵素についてどのアッセイを選択するかを知っている。転写イニシエータ配列の生物学的活性を決定するための好適なアッセイは、関係する酵素に特異的な活性アッセイである。
好適な実施態様に従えば、ヌクレオチド配列、好ましくは、本発明の第1の態様のヌクレオチド配列は、翻訳イニシエータ配列を含んでなり、前記翻訳イニシエータ配列は、ヌクレオチドの多義コード:m(A/C);r(A/G);w(A/T);s(C/G);y(C/T);k(G/T);v(A/C/G);h(A/C/T);d(A/G/T);b(C/G/T);n(A/C/G/T)を使用するコンセンサス翻訳イニシエータ配列:5’−mwChkyCAmv−3’(即ち、配列番号16)によって規定される核酸配列を含んでなる。より好ましくは、コンセンサス翻訳イニシエータ配列は、以下のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’(即ち、配列番号17);5’−mwChkyCACA−3’(即ち、配列番号18)または5’−mwChkyCAAG−3’(即ち、配列番号19)から選択されるものである。これらのより好適な配列は、次の配列のいずれか1つに対応する:
Figure 2008527985
より好適な実施態様に従えば、翻訳イニシエータ(initiatior)配列は、5’−CACCGTCAAA−3’(即ち、配列番号22)または5’−CGCAGTCAAG−3’(即ち、配列番号23)である。
本発明は、単離された翻訳イニシエータ配列、単離された翻訳イニシエータ配列と同じ生物学的活性をなお有するその変種およびサブ配列をさらに包含する。
本発明のコンセンサス翻訳イニシエータ配列は、好ましくは、本発明の第1の態様のヌクレオチド配列に含まれる。あるいは、本発明のコンセンサス翻訳イニシエータ配列は、目的の化合物をコードするヌクレオチドコード配列を含んでなる任意のヌクレオチド配列に含まれ得る。ヌクレオチドコード配列は、いずれのコード配列であってもよい。好ましくは、ヌクレオチドコード配列は、先に規定されるような同義コード配列である。
さらに、本発明の別の態様に従えば、「核酸構築物」のセクションにおいて規定される核酸構築物または発現ベクターが提供され、前記核酸構築物または発現ベクターは、本発明のコンセンサス翻訳イニシエータ配列を含んでなる。
本発明のコンセンサス翻訳イニシエータ配列は、前記細胞において産生させようとする任意の化合物をコードする任意の核酸配列を発現させるために、任意の糸状菌細胞において使用することができる。糸状菌細胞は、「宿主細胞」のセクションにおいて規定される。
本発明において、コンセンサス翻訳イニシエータ配列は、好ましくは、産生させよとするポリペプチドをコードする核酸配列に対して外来性であるが、コンセンサス翻訳イニシエータ配列は、真菌宿主細胞に対して生来であってもよい。
当業者は、本発明が、個別または組み合わせで使用することができるいくらかの異なる実施態様に関することを理解するであろう:
・最適コドン頻度および/または以下のような制御配列の改変を使用することによる同義ヌクレオチドコード配列:
・次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された翻訳終結配列、および/または
・次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された翻訳イニシエータコード配列、および/または
翻訳イニシエータ配列であって、前記翻訳イニシエータ配列は、ヌクレオチドの多義コード:m(A/C);r(A/G);w(A/T);s(C/G);y(C/T);k(G/T);v(A/C/G);h(A/C/T);d(A/G/T);b(C/G/T);n(A/C/G/T)を使用するコンセンサス翻訳イニシエータ配列:5’−mwChkyCAmv−3’によって規定される核酸配列を含んでなり、好ましくは、翻訳イニシエータ配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’から選択されるものであり、より好ましくは、翻訳イニシエータ配列は、5’−CACCGTCAAA−3’または5’−CGCAGTCAAG−3’である。
当業者は、本発明が、個別または多様な異なる組み合わせ(これらの組み合わせのいくらかを下記に記載する)で使用することができるいくらかの異なる実施態様に関することを理解するであろう。
好ましくは、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書において開示される本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなる。
さらに好適な実施態様に従えば、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’、および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。
なおさらに好適な実施態様に従えば、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される1つの翻訳イニシエータ配列を含んでなる制御配列と会合する。なおより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次の翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次の翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’と会合する。
なおさらに好適な実施態様に従えば、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’および5’−mwChkyCACA−3’および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり;前記同義コード配列は、次の翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’および/または次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり;前記同義コード配列は、次の翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’および/または次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。
最も好適な実施態様に従えば、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり;前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’、および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり;前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’および5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり;前記同義コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり;前記同義コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり;前記同義コード配列は、次の翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列は、本明細書において開示されるような本発明に従う最適化されたコドン頻度を有する同義コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり;前記同義コード配列は、次の翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。
あるいはおよび本発明の別の好適な実施態様に従えば、本発明のヌクレオチド配列は、コード配列を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される翻訳イニシエータ配列を含んでなる制御配列と会合する。さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’を含んでなる制御配列と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。
あるいはおよび本発明の別のさらに好適な実施態様に従えば、ヌクレオチド配列は、コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、および/または次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される1つの翻訳イニシエータ配列を含んでなる制御配列と会合する。さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、および/または次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’を含んでなる制御配列と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、および/または次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。
あるいはおよび本発明の別のさらに好適な実施態様に従えば、ヌクレオチド配列は、コード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’および5’−mwChkyCACA−3’および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’および/または次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CACCGTCAAA−3’および/または次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。
あるいはおよび本発明の最も好適な実施態様に従えば、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記同義コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列は、コード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’(m,wの多義コードについては既に先に開示されている)から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに・あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される1つの翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−CACCGTCAAA−3’および5’−CGCAGTCAAG−3’から選択される翻訳イニシエータ配列ならびに/あるいは次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’を含んでなる制御配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’ならびに/あるいは次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列と会合する。その上さらにより好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、および/または次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’および/または次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。最も好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、および/または次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、翻訳イニシエータ配列5’−CGCAGTCAAG−3’および/または次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。
あるいはおよび本発明の別の好適な実施態様に従えば、本発明のヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’、および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、本発明のヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、前記コード配列は次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。
あるいはおよび本発明の別の好適な実施態様に従えば、本発明のヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、ならびに/あるいは次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次のリスト:5’−TAAG−3’、5’−TAGA−3’および5’−TAAA−3’から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列を含んでなる制御配列と会合する。より好ましくは、ヌクレオチド配列はコード配列を含んでなり、および/または次の翻訳イニシエータコード配列5’−GCTTCCTTC−3’を含んでなり、前記コード配列は、次の翻訳終結配列5’−TAAA−3’と会合する。
本発明の第1の態様において規定される制御配列に加えて、他の制御配列を使用してもよい。他のそのような制御配列は、適切なプロモーター配列、核酸配列の発現のために宿主細胞によって認識されるヌクレオチド配列であってもよい。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、変異、短縮型、およびハイブリッドプロモーターを含む細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であってもよく、細胞に対して同種または異種のいずれかの細胞外もしくは細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得てもよい。
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、転写を終結するために細胞によって認識される配列であってもよい。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端と操作可能に連結される。細胞において機能的であるいずれのターミネーターも本発明において使用することができる。
糸状菌細胞のための好適なターミネーターは、麹菌(A.oryzae)TAKAアミラーゼ、A.niger(A.ニガー)グルコアミラーゼ(glaA)、A.ニダランス(A.nidulans)アントラニル酸シンターゼ、A.ニガー(A.niger)α−グルコシダーゼ、trpC遺伝子、およびフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼをコードする遺伝子から得られる。
制御配列はまた、適切なリーダー配列、細胞による翻訳に重要であるmRNAの非翻訳領域であってもよい。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端と操作可能に連結される。細胞において機能的であるいずれのリーダー配列も本発明において使用することができる。
糸状菌細胞のための好適なリーダーは、麹菌(A.oryzae)TAKAアミラーゼおよびA.ニダランス(A.nidulans)トリオースリン酸イソメラーゼおよびA.ニガー(A.niger)glaAをコードする遺伝子から得られる。
他の制御配列は、ペニシリウム(Penicillium)IPNS遺伝子、またはpcbC遺伝子、β−チューブリン遺伝子から単離され得る。国際公開第01/21779号パンフレットにおいて引用されるすべての制御配列は、本明細書において参考として援用される。
制御配列はまた、ポリアデニル化配列、核酸配列の3’末端と操作可能に連結され、転写される場合、転写されるmRNAにポリアデノシン残基を添加するためのシグナルとして細胞に認識される配列であってもよい。細胞において機能的であるいずれのポリアデニル化配列も本発明において使用することができる。
糸状菌細胞のための好適なポリアデニル化配列は、麹菌(A.oryzae)TAKAアミラーゼ、A.niger(A.ニガー)グルコアミラーゼ、A.ニダランス(A.nidulans)アントラニル酸シンターゼ、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ、およびA.ニガー(A.niger)α−グルコシダーゼをコードする遺伝子から得られる。
本発明のヌクレオチド配列は、核酸構築物または発現ベクターに含まれ得る。
核酸構築物
第3の態様に従えば、本発明は、先のセクションにおいて規定される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んでなる核酸構築物または発現ベクターに関する:
・最適コドン頻度および場合により、以下のような制御配列の改変を使用することによる同義ヌクレオチドコード配列:
・次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列、および/または
次のリストの配列:
Figure 2008527985

から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳イニシエータコード配列、および/または
翻訳イニシエータ配列、前記翻訳イニシエータ配列は、ヌクレオチドの多義コード:m(A/C);r(A/G);w(A/T);s(C/G);y(C/T);k(G/T);v(A/C/G);h(A/C/T);d(A/G/T);b(C/G/T);n(A/C/G/T)を使用して、コンセンサス翻訳イニシエータ配列:5’−mwChkyCAmv−3’によって規定される核酸配列を含んでなり、
好ましくは、翻訳イニシエータ配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’および5’−mwChkyCAAG−3’から選択されるものである。これらの好適な配列は、次の配列のいずれか1つに対応する:
Figure 2008527985

より好ましくは、翻訳イニシエータ配列は、5’−CACCGTCAAA−3’または5’−CGCAGTCAAG−3’である。
別の好適な実施態様に従えば、核酸構築物または発現ベクターは翻訳イニシエータ配列を含んでなり、前記翻訳イニシエータ配列は、ヌクレオチドの多義コード:m(A/C);r(A/G);w(A/T);s(C/G);y(C/T);k(G/T);v(A/C/G);h(A/C/T);d(A/G/T);b(C/G/T);n(A/C/G/T)を使用して、コンセンサス翻訳イニシエータ配列:5’−mwChkyCAmv−3’によって規定される核酸配列を含んでなり、好ましくは、翻訳イニシエータ配列は:5’−mwChkyCAAA−3’、5’−mwChkyCACA−3’、および5’−mwChkyCAAG−3’からなる群の間で選択される。これらの好適な配列は、次の配列のいずれか1つに対応する:
Figure 2008527985

より好ましくは、翻訳イニシエータ配列は、5’−CACCGTCAAA−3’または5’−CGCAGTCAAG−3’である。
「核酸構築物」は、本明細書において、天然に存在する遺伝子から単離されるかまたは天然には存在しない様式で組み合わされ、並置される核酸のセグメントを含有するように修飾されている一本鎖もしくは二本鎖のいずれかの核酸分子として規定される。核酸構築物がコード配列の発現のために要求されるすべての制御配列を含有する場合、核酸構築物という用語は、発現カセットまたは発現ベクターという用語と同義である。
核酸構築物または発現ベクターへのその挿入の前のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の操作は、核酸構築物または発現ベクターに依存して、所望もしくは必要とされ得る。クローニング方法を利用して核酸配列を改変するための技術は、当該分野において周知である。
本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列、プロモーター、ならびに転写および翻訳終止シグナルを含んでなる組換え発現ベクターに関する。上記の多様な核酸および制御配列を共に接続して、1つもしくはそれ以上の簡便な制限部位を含んで、そのような部位における、ポリペプチドをコードする核酸配列の挿入もしくは置換を可能にし得る組換え発現ベクターを産生させてもよい。
あるいは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列を含んでなるヌクレオチド配列または核酸構築物を、発現のための適切なベクターに挿入することによって発現され得る。発現ベクターの作製では、コード配列は、コード配列が、発現、および随意の分泌に適切な制御配列と操作可能に化合するような様式で、ベクターに位置する。
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に簡便に供され得、ポリペプチドをコードする核酸配列の発現をもたらし得る任意のベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)であってもよい。ベクターの選択は、典型的に、ベクターと、ベクターを導入しようとする糸状菌細胞との適合可能性に依存する。ベクターは、線状であってもまたは閉環状プラスミドであってもよい。ベクターは、自律的複製型ベクター、即ち、その複製が染色体複製とは独立する細胞外染色体実体として存在するベクター、例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、または人工染色体であってもよい。自律的に維持されるクローニングベクターは、AMA1配列を含んでなり得る(例えば、アレクセンコ(Aleksenko)およびクラッターバック(Clutterbuck)(1997年,Fungal Genet.Biol.21:373−397を参照のこと)。
あるいは、ベクターは、真菌細胞に導入される場合、ゲノムに組込まれ、それが組込まれている染色体と共に複製するものであってもよい。組込みクローニングベクターは、真菌宿主細胞の染色体の無作為または予め決定された標的遺伝子座に組込み得る。本発明の好適な実施態様では、組込みクローニングベクターは、この予め決定された座位へのクローニングベクターの組込みを標的化するための真菌宿主細胞のゲノムにおける予め決定された標的遺伝子座のDNA配列に相同であるDNAフラグメントを含んでなる。標的化組込みを促進するために、クローニングベクターは、好ましくは、宿主細胞の形質転換の前に線状化される。線状化は、好ましくは、少なくとも1つ、但し、好ましくは、クローニングベクターのいずれか一方の末端が標的遺伝子座に相同な配列によって隣接されるように、実施される。標的遺伝子座に隣接する相同配列の長さは、好ましくは少なくとも30bp、好ましくは少なくとも50bp、好ましくは少なくとも0.1kb、なお好ましくは少なくとも0.2kb、より好ましくは少なくとも0.5kb、さらにより好ましくは少なくとも1kb、最も好ましくは少なくとも2kbである。好ましくは、標的遺伝子座に相同であるクローニングベクターにおけるDNA配列が、高度に発現される遺伝子座から誘導され、これは、それが、糸状菌宿主細胞において高い発現レベルが可能である遺伝子から誘導されることを意味する。高い発現レベルが可能な遺伝子、即ち、高度に発現される遺伝子は、本明細書において、例えば、誘導条件下で、そのmRNAが少なくとも0.5%(w/w)の全細胞mRNAを構成し得る遺伝子、あるいは、その遺伝子産物が少なくとも1%(w/w)の全細胞性タンパク質を構成し得るか、または、分泌される遺伝子産物の場合、少なくとも0.1g/lのレベルまで分泌され得る遺伝子として規定される(EP357127B1号明細書に記載される)。多くの好適な高度に発現される真菌遺伝子は、次の例によって示される:アスペルギルス(Aspergilli)またはトリコデルマ(Trichoderma)由来のアミラーゼ、グルコアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、キシラナーゼ、グリセルアルデヒド−リン酸デヒドロゲナーゼもしくはセロビオヒドロラーゼ(cbh)遺伝子。これらの目的のために最も好適な高度に発現される遺伝子は、グルコアミラーゼ遺伝子であり、好ましくは、A.ニガー(A.niger)グルコアミラーゼ遺伝子、麹菌(A.oryzae)TAKA−アミラーゼ遺伝子、A.ニダランス(A.nidulans)gpdA遺伝子、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbh遺伝子、好ましくは、cbh1である。ポリペプチドをコードする1コピーを超える核酸配列を宿主細胞に挿入して、遺伝子産物の産生を増加させてもよい。これは、好ましくは、DNA配列のそのゲノムコピーへの組込みによって、より好ましくは、先の段落において規定した1つの高度に発現される遺伝子座におけるDNA配列の組込みを標的化することによって、行うことができる。あるいは、これは、核酸配列を伴う増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって行うことができ、ここで、選択マーカー遺伝子の増幅されたコピー、およびそれによる核酸配列のさらなるコピーを含有する細胞を、適切な選択可能因子の存在下で細胞を培養することによって、選択することができる。過剰発現させようとするDNA配列のコピー数をさらにより増加するために、国際公開第98/46772号パンフレットに記載の遺伝子変換技術を使用してもよい。
ベクターシステムは、糸状菌細胞のゲノムに導入しようとする全DNAを共に含有する単一のベクターまたはプラスミドあるいは2つもしくはそれ以上のベクターまたはプラスミド、あるいはトランスポゾンであってもよい。
ベクターは、好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1つもしくはそれ以上の選択マーカーを含有する。選択マーカーは、その産物が殺生物剤耐性またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体に栄養非要求性、などを提供する遺伝子である。糸状菌細胞において使用される選択マーカーは、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、bleA(フレオマイシン結合性)、hygB(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびに他の種由来の等価物を含むがこれらに限定されない群から選択され得る。アスペルギルス(Aspergillus)およびペニシリウム(Penicillium)細胞における使用には、A.ニダランス(A.nidulans)または麹菌(A.oryzae)のamdS(EP635574B1号明細書、国際公開第97/06261号パンフレット)およびpyrG遺伝子ならびにストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子が好適である。より好ましくは、amdS遺伝子、さらにより好ましくは、A.ニダランス(A.nidulans)またはA.ニガー(A.niger)由来のamdS遺伝子が使用される。最も好適な選択マーカー遺伝子は、A.ニダランス(A.nidulans)gpdAプロモーターに融合されたA.ニダランス(A.nidulans)amdSコード配列である(EP635574B1号明細書を参照のこと)。他の糸状菌由来のAmdS遺伝子を使用してもよい(国際公開第97/06261号パンフレット)。
上記のエレメントを連結して、本発明の組換え発現ベクターを構築するために使用される手順は、当業者に周知である(例えば、サンブルック(Sambrook)ら、1989年、上掲を参照のこと)。
宿主細胞
第4の態様に従えば、本発明は糸状菌宿主細胞に関する。本発明の糸状菌宿主細胞は、当業者に既知の任意の糸状菌宿主細胞宿主細胞であり得る。
「糸状菌」は、亜門の真菌門(Eumycota)および卵菌門(Oomycota)のすべての糸状形態を含む(ホークスワース(Hawksworth)ら、1995年、上掲により規定される)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、および他の複雑な多糖からなる菌糸体の壁によって特徴付けられる。栄養生長は菌糸伸長により、炭素の異化は偏性好気性である。糸状菌株として、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、オーレオバシディウム(Aureobasidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クリソスポルム(Chrysosporum)フィリバシディウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコーラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ケカビ(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロマイセス(Piromyces)、スエヒロタケ(Schizophyllum)、タラロマイセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、シーラビア(Thielavia)、トイポクラディウム(Tolypocladium)、およびトリコデルマ(Trichoderma)の株が挙げられるが、これらに限定されない。
アスペルギルス(Aspergillus)およびその完全世代の株は、米国菌株保存機関(the American Type Culture Collection)(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、ならびにAgricultural Research Service Patent Culture Collection,Northern Regional Research Center(NRRL)のような多くの培養コレクションにおいて、一般に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)CBS513.88、麹菌(Aspergillus oryzae)ATCC20423、IFO4177、ATCC1011、ATCC9576、ATCC14488−14491、ATCC11601、ATCC12892、P.クリソゲナム(P.chrysogenum)CBS455.95、ペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)ATCC38065、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)P2、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)ATCC36225またはATCC48272、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)ATCC26921またはATCC56765またはATCC26921、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)ATCC11906、クリソスポリウム・ラクナウェンス(Chrysosporium lucknowense)ATCC44006およびそれらの誘導体に容易にアクセスされる。
好ましくは、本発明の糸状菌宿主細胞は、本発明の第3の態様の少なくとも1コピーの核酸構築物を含んでなる。
好適な実施態様に従えば、核酸構築物に存在するコード配列および/または制御配列は、本発明の第1および第2の態様に従うコード配列および/または制御配列の修飾前の糸状菌宿主細胞に対して生来である。
別の好適な実施態様に従えば、核酸構築物に存在するコード配列および/または制御配列は、本発明の第1および第2の態様に従うコード配列および/または制御配列の修飾前の糸状菌宿主細胞に対して異種である。
より好適な実施態様に従えば、本発明の第3の態様の核酸構築物の所定のコピー数を含んでなる本発明の糸状菌宿主細胞は、前記核酸構築物によってコードされる産物の発現が、対応する生来のヌクレオチド配列を含んでなる対応する核酸構築物によってコードされる同じ産物の産生と比較して増強され、前記対応する核酸構築物は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する、糸状菌細胞である。好ましくは、本発明の第3の態様の核酸構築物または発現ベクターに存在するヌクレオチド配列の改変は、対応する生来のヌクレオチド配列を含んでなる対応する核酸構築物の産生と比較して、本発明の第3の態様の核酸構築物の所定のコピー数を含んでなる本発明の糸状菌宿主細胞によって産生される目的の化合物の収量の少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、100%、200%、300%、400%、より好ましくは少なくとも500%の増加を生じ、前記対応する核酸構築物は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する。
産生させようとする目的の化合物の収量の増加は、本発明の糸状菌宿主細胞によって産生される化合物の量を測定し、それを、対応する糸状菌宿主細胞によって産生される目的の化合物と比較することによって決定され得る。産生される目的の化合物の収量を決定することは、特に、(同義)ヌクレオチドコード配列から転写されるmRNAの量、mRNAによってコードされるポリペプチドの量、または同義ヌクレオチドコード配列によってコードされるポリペプチドの産生に関与する化合物(例えば、代謝物)の量を測定することによって、達成され得る。mRNAの量を決定するための当業者に既知の方法の例として、ノーザンブロット、定量PCR、リアルタイムPCR、およびマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチドの量は、特に、当業者に既知のタンパク質測定アッセイを使用して決定することができる。ポリペプチドが酵素である場合、ポリペプチドの量は、関係する酵素に特異的な活性アッセイを使用して測定することができる。当業者は、特定の酵素についてどのアッセイを選択するかを知っている。産生させようとする目的の化合物の量を決定するための好適なアッセイは、関係する酵素に特異的な活性アッセイである。
より好適な実施態様に従えば、本発明の宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、フザリウム(Fusarium)、クリソスポルム(Chrysosporum)またはトリコデルマ(Trichoderma)種からなる群から選択される種、最も好ましくは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クリソスポルム・ラクナウェンス(Chrysosporum lucknowense)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)またはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)からなる群から選択される種に属する細胞である。最も好適なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主細胞は、CBS513.88またはその誘導体である。
宿主細胞は、野生型糸状菌宿主細胞または変種、変異体もしくは遺伝的に改変された糸状菌宿主細胞であってもよい。本発明の好適な実施態様では、宿主細胞は、プロテアーゼ欠損またはプロテアーゼ欠乏株である。これは、「alp」と命名されるアルカリプロテアーゼ遺伝子を欠失しているプロテアーゼ欠損株の麹菌(Aspergillus oryzae)JaL125(国際公開第97/35956号パンフレットもしくはEP429490号明細書において記載されている)、または国際公開第96/14404号パンフレットにおいて開示されているA.ニガー(A.niger)のトリペプチジルアミノペプチダーゼ(TPAP)欠損株であり得る。さらに、国際公開第01/68864号明細書に記載の転写アクチベーター(prtT)の産生の減少を伴う宿主細胞もまた、本発明に従って考慮される。別の特に考慮される宿主株は麹菌(Aspergillus oryzae)BECh2であり、ここで、親株IF04177に存在する3つのTAKAアミラーゼ遺伝子は不活化されている。さらに、2種のプロテアーゼ、アルカリプロテアーゼおよび中性メタロプロテアーゼ11は、遺伝子破壊によって破壊されている。代謝物シクロピアゾン酸およびコウジ酸を形成する能力が、変異によって破壊されている。BECh2は国際公開第00/39322号パンフレットに記載されており、JaL228(国際公開第98/12300号パンフレットに開示されている)から誘導され、またさらに、A1560として米国特許第5,766,912号明細書において開示されるIF04177の変異体であった。
場合により、糸状菌宿主細胞は、野生型細胞と比較して上昇したアンフォールドタンパク質応答(UPR)を含んでなり、目的のポリペプチドの産生能を増強する。UPRは、米国特許出願公開第2004/0186070A1号明細書および/または米国特許出願公開第2001/0034045A1号明細書ならびに/あるいは国際公開第01/72783A2号パンフレットおよび/または国際公開第2005/123763号パンフレットにおいて記載の技術によって増加され得る。より具体的には、HAC1および/またはIRE1および/またはPTC2のタンパク質レベルがモジュレートされ、ならびに/あるいはSEC61タンパク質は、上昇したUPRを有する宿主細胞を得るために操作されている。
あるいは、または上昇したUPRと組み合わせて、宿主細胞は、目的のポリペプチドの産生能を増強するために野生型細胞と比較して、より低いプロテアーゼ発現および/またはプロテアーゼ分泌を示す表現型を得るように遺伝的に改変される。そのような表現型は、プロテアーゼの発現の転写調節因子の欠失および/または改変および/または不活化によって得ることができる。そのような転写調節因子は、例えば、prtTである。prtTのモジュレーションによってプロテアーゼの発現を低下させることは、米国特許出願公開第2004/0191864A1号明細書に記載の技術によって達成され得る。
あるいは、または上昇したUPRならびに/またはより低いプロテアーゼ発現および/もしくはプロテアーゼ分泌を示す表現型と組み合わせて、目的のポリペプチドの産生の収量を増強するために、宿主細胞は、シュウ酸欠損表現型を示す。シュウ酸欠損表現型は、国際公開第2004/070022A2号パンフレットに記載の技術によって得ることができる。
あるいは、または上昇したUPRならびに/またはより低いプロテアーゼ発現および/もしくはプロテアーゼ分泌および/もしくはシュウ酸欠損を示す表現型と組み合わせて、目的のポリペプチドの産生の収量を増強するために、宿主細胞は、野生型細胞と比較して表現型の差異の組み合わせを示す。これらの差異は、グルコアミラーゼおよび/または中性α−アミラーゼAおよび/または中性α−アミラーゼB、α−1、6トランスグルコシダーゼ、プロテアーゼ、およびシュウ酸ヒドロラーゼの低下した発現を含み得るが、これらに限定されない。宿主細胞によって示される前記表現型の差異は、米国特許出願公開第2004/0191864A1号明細書に記載の技術に従う遺伝的改変によって得ることができる。
あるいは、または上記の表現型と組み合わせて、相同組換えによる宿主細胞のゲノムへの核酸構築物の標的化された組込み、即ち、予め決定された遺伝子座における組込みの効率は、好ましくは、宿主細胞の増大した相同組換え能によって増加する。細胞のそのような表現型は、好ましくは、国際公開第2005/095624号パンフレットに記載の欠損hdfAまたはhdfB遺伝子に関与する。国際公開第2005/095624号パンフレットは、上昇した効率の標的化された組み込みを含んでなる糸状菌細胞を得るための好適な方法を開示する。
発現ベクターまたは核酸構築物の糸状菌細胞への導入は、それ自体既知の様式でのプロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換、および細胞壁の再生からなるプロセスに関与し得る。アスペルギルス(Aspergillus)細胞の形質転換に適切な手順については、EP238023号明細書およびエルトン(Yelton)ら、1984年、Proceedings of the National Academy of Sciences USA81:1470−1474に記載されている。フザリウム(Fusarium)種を形質転換するための適切な方法については、メーラディール(Malardier)ら、1989年、Gene78:147156または国際公開第96/00787号パンフレットにより記載されている。使用することができる発現ベクターまたは核酸構築物については、対応するセクションで既に説明した。
目的の化合物の産生
本発明は、目的の化合物を産生させるために使用され得る。目的の化合物は、好ましくは、ポリペプチドである。あるいは、目的の化合物は代謝物であってもよい。この場合、代謝物の合成に関与する酵素をコードするヌクレオチド配列が、本発明に従って改変される。用語「代謝物」は一次および二次代謝物の両方を包含し;代謝物はいずれの代謝物であってもよい。好適な代謝物はクエン酸である。別の好適な代謝物はカロテノイドである。代謝物は、例えば、生合成または代謝経路において、1つもしくはそれ以上の遺伝子によってコードされ得る。一次代謝物は、エネルギー代謝、増殖、および構造に関係する細胞の一次または全体的代謝の産物である。二次代謝物は、二次代謝の産物である(例えば、R.B.ハーバード(R.B.Herbert)、「The Biosynthesis of Secondary Metabolites」チャップマン(Chapman)およびホール(Hall)、ニューヨーク、1981年を参照のこと)。一次代謝物として、アミノ酸、脂肪酸、ヌクレオシド、ヌクレオチド、糖、トリグリセリド、またはビタミンがあり得るが、これらに限定されない。二次代謝物として、アルカロイド、クマリン、フラボノイド、ポリケチド、キニーネ、ステロイド、ペプチド、またはテルペンがあり得るが、これらに限定されない。二次代謝物は、抗生物質、摂食阻害剤、アトラクタント、殺菌剤(bacteriocide)、殺真菌剤、ホルモン、殺虫剤、または殺鼠剤であってもよい。好適な抗生物質は、セファロスポリン系薬剤およびβ−ラクタム系薬剤である。
あるいは、目的の化合物はまた、選択マーカー遺伝子の産物であってもよい。選択マーカー遺伝子は、その産物が殺生物剤耐性またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求株への原栄養性などを提供する遺伝子である。この場合、選択マーカー遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、本発明に従って改変される。選択マーカーとして、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、trpC(アントラニル酸シンターゼ)、ble(フレオマイシン耐性タンパク質)、ならびにそれらの等価物が挙げられるが、それらに限定されない。
目的の化合物がポリペプチドである場合、ポリペプチドは、細胞に対して生来であろうとまたは異種(もしくは非生来)であろうといずれのポリペプチドであってもよい。ポリペプチドをコードするDNA配列およびそれに操作可能に会合する制御DNA配列が既知であれば直ちに、これらの生来または非生来のDNA配列は、本発明に従って改変され(DNA配列のセクションを参照のこと)、適切なDNA構築物または発現ベクターにクローニングされ、選択された宿主に形質転換される。異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、任意の原核生物、真核生物、植物または他の供給源から得ることができる。本発明の目的のために、所定の供給源に関して本明細書において使用する用語「から得る」は、ポリペプチドが、供給源または供給源由来の遺伝子が挿入されている細胞によって産生されることを意味すべきである。
用語「異種ポリペプチド」は、本明細書においては、野生型細胞によって産生されない(非生来)ポリペプチドとして規定される。用語「ポリペプチド」は、本明細書においては、特定の長さのコードされた産物を指すことを意図するのではなく、従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質を包含する。ポリペプチドはまた、細胞に対して生来であるポリペプチドである、例えば、最適化された核酸配列によってコードされる、およびポリペプチドの産生に関与する核酸配列に対して外来性である1つもしくはそれ以上の制御配列をさらに含んでなり得る組換えポリペプチドであってもよい。ポリペプチドは、野生型ポリペプチドであってもよく、またはその変種であってもよい。ポリペプチドはまた、少なくとも2つの異なるポリペプチド(ここで、1つもしくはそれ以上のポリペプチドは、細胞に対して異種であり得る)から得られる部分的もしくは完全なポリペプチド配列の組み合わせを含有するハイブリッドポリペプチドであってもよい。ポリペプチドは、上記のポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子および操作された変体をさらに含む。
好ましくは、ポリペプチドは糸状菌宿主細胞の外側に分泌される。好適な実施態様では、ポリペプチドは、抗体もしくはその一部、抗原、凝固因子、酵素、ホルモンもしくはホルモン変種、受容体もしくはその一部、調節タンパク質、構造タンパク質、レポーター、または輸送タンパク質、細胞内タンパク質、分泌プロセスに関与するタンパク質、フォールディングプロセスに関与するタンパク質、シャペロン、ペプチドアミノ酸トランスポーター、グリコシル化因子、転写因子である。好適な実施態様では、ポリペプチドは細胞外環境に分泌される。
より好適な実施態様では、酵素は、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、デキストラナーゼ、エステラーゼである。
さらにより好適な実施態様では、ポリペプチドは、カルボヒドラーゼ、例えば、セルラーゼ、例えば、エンドグルカナーゼ、β−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼまたはβ−グルコシダーゼ、ヘミセルラーゼまたはペクチン分解酵素、例えば、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、ガラクトシダーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、アラバナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アラビノキシランヒドロラーゼ、ガラクツロナーゼ、リアーゼ、またはデンプン分解酵素;ヒドロラーゼ、イソメラーゼ、またはリガーゼ、ホスファターゼ、例えば、フィターゼ、エステラーゼ、例えば、リパーゼ、タンパク質分解酵素、酸化還元酵素、例えば、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、またはイソメラーゼである。より好ましくは、所望される遺伝子はフィターゼをコードする。さらにより好適な実施態様では、ポリペプチドは、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、エンドプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼカタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、またはグルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、モノオキシゲナーゼである。
別のさらにより好適な実施態様では、ポリペプチドは、ヒトインスリンまたはそのアナログ、ヒト成長ホルモン、エリスロポエチン、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)またはインスリノトロピンである。
ポリペプチドはまた、例えば、シャペロン、プロテアーゼもしくは転写因子のような細胞内タンパク質または酵素であってもよい。この例は、Appl.Microbiol.Biotechnol.1998年10月;50(4):447−54(「Analysis of the role of the gene bipA,encoding the major endoplasmic reticulum chaperone protein in the secretion of homologous and heterologous proteins in black Aspergilli.」プント PJ(Punt PJ)、バンゲメレン IA(van Gemeren IA)、ドリント−クイジュヴェンホヴェン J(Drint−Kuijvenhoven J)、ヘッシング JG(Hessing JG)、バンムイジュゥ−ハートベルト GM(van Muijlwijk−Harteveld GM)、ベイジェルスベルゲン A(Beijersbergen A)、ヴェリップス CT(Verrips CT)、バンデンホンデル CA(van den Hondel CA))に記載されている。チャペロン、プロテアーゼまたは転写因子のようなこのポリペプチドが、タンパク質産生の制限要因であることが公知であった場合、これを使用して、例えば、タンパク質生産者としての宿主細胞の効率を改善することができる。
あるいは、細胞内ポリペプチドは、カロテノイドのような所定の二次代謝物または抗生物質(antibiotica)の産生に関与する酵素である。
本発明はまた、細胞に対して生来であるポリペプチドの組換え産生のために使用してもよい。対応する先のセクションにおいて規定されるコードヌクレオチド配列および/または制御ヌクレオチド配列を改変する場合、生来のポリペプチドは組換え産生され得る。例えば、コード配列は、生来または天然に存在するヌクレオチド配列の発現レベルを改善するように、任意のアミノ酸をコードするために先に規定されるような最適化されたコドン頻度を使用することによって改変される。場合により、得られる同義コード配列を、異なるプロモーターの制御下に配置して、ポリペプチドの発現を増強し、本発明のシグナル配列の使用によって細胞の外側への目的の生来のポリペプチドの輸出を促進し、細胞によって正常に産生されるポリペプチドをコードする遺伝子のコピー数を増加することができる。本発明はまた、用語「異種ポリペプチド」の範囲内で、そのような発現が細胞に対して生来でない遺伝子エレメントの使用、または糸状菌細胞において天然には存在しない様式で機能するように操作されている生来のエレメントの使用に関与するような程度で、細胞に対して生来のポリペプチドのそのような組換え産生を包含する。異種ポリペプチドをコードする核酸配列を単離またはクローニングするために使用される技術は当該分野において公知であり、ゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、またはそれらの組み合わせを含む。
本発明の方法では、異種ポリペプチドもまた、別のポリペプチドがポリペプチドまたはそのフラグメントのN末端もしくはC末端で融合される融合あるいはハイブリッドポリペプチドを含み得る。融合ポリペプチドは、1つのポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)を別のポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)に融合させることによって、産生される。
融合ポリペプチドを産生させるための技術は当該分野において公知であり、ポリペプチドをコードするコード配列を、それらがフレーム内にあって、融合されたポリペプチドの発現が同じプロモーターおよびターミネーターの制御下にあるように連結することを含む。ハイブリッドポリペプチドは、少なくとも2つの異なるポリペプチドから得られる部分的または完全なポリペプチド配列の組み合わせを含んでなり得、ここで、1つもしくはそれ以上は、変異真菌細胞に対して異種であってもよい。目的の異種ポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、ポリペプチドの発現を提供するための様々な方法で操作され得る。発現は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、および分泌を含むがこれらに限定されないポリペプチドの産生に関与する任意の工程を含むことが理解される。ベクターへのその挿入前のポリペプチドをコードする核酸配列の操作は、発現ベクターに依存して所望または必要であり得る。クローニング方法を利用して核酸配列を改変するための技術は、当該分野において周知である。
上記のセクションに記載の目的の化合物は、本発明によって提供される糸状菌宿主細胞において提供され得る。
従って、別の態様に従えば、本発明は、本発明の糸状菌宿主細胞において目的の化合物を産生させる方法に関し、以下を含んでなる:
(a)目的の化合物の産生に適する栄養培地において、糸状菌宿主細胞を培養すること;および
(b)糸状菌宿主細胞の栄養培地から目的の化合物を回収すること。
本発明の糸状菌宿主細胞は、当該分野において既知の方法を使用する目的の化合物の産生に適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、適切な培地において、ならびに目的の化合物を発現させるおよび/または単離することが可能な条件下で実施される実験室あるいは産業発酵槽における振盪フラスコ培養、小規模または大規模発酵(連続、バッチ、流加、もしくは固体発酵を含む)によって、培養することができる。培養は、炭素および窒素源および無機塩を含んでなる適切な栄養培地において、当該分野において既知の手順(例えば、ベネット,J.W.(Bennett,J.W.)およびラシュア,L.(LaSure,L.)編、「More Gene Manipulations in Fungi」Academic Press、カリフォルニア州、1991年を参照のこと)を使用して行われる。適切な培地は販売者から入手可能であり、または(例えば、米国菌株保存機関(the American Type Culture Collection)のカタログにおいて)公開された組成物を使用して、調製してもよい。目的の化合物が栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは、培地から直接回収することができる。目的の化合物が分泌されない場合、それは、細胞溶解物から回収される。
得られる目的の化合物は、当該分野において既知の方法によって単離することができる。例えば、ポリペプチドは、遠心分離、ろ過、抽出、噴霧乾燥、エバポレーション、または沈殿を含むがこれらに限定されない従来の手順によって、栄養培地から単離することができる。次いで、単離された目的の化合物は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除)、電気泳動手順(例えば、分取等電点電気泳動、差分溶解性(differential solubility)(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出(例えば、「Protein Purification」、編者:J.−C.ヤンソン(J.−C.Janson)およびラーズ・ライデン(Lars Ryden)、VCH Publishers、ニューヨーク、1989年を参照のこと)を含むが、これらに限定されない様々な既知の手順によって、さらに精製することができる。
目的の化合物は、ポリペプチドに特異的である当該分野において既知の方法を使用して、検出することができる。これらの検出方法は、特異的抗体の使用、酵素生成物の形成、酵素基質の消失、またはSDS PAGEを含み得る。例えば、目的の化合物が酵素である場合、酵素アッセイを使用して、活性を決定することができる。酵素活性を決定するための手順は、多くの酵素について当該分野において公知である。
本発明の方法では、本発明の第3の態様の核酸構築物の所定のコピー数を含んでなる本発明の糸状菌宿主によって産生される目的の化合物の収量は、好ましくは、対応する生来のヌクレオチド配列を含んでなる対応する核酸構築物の産生と比較して、少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、100%、200%、300%、400%、より好ましくは少なくとも500%、増加し、前記対応する核酸構築物は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する。好ましくは、本発明の糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、フザリウム(Fusarium)、クリソスポルム(Chrysosporum)またはペニシリウム(Penicillium)宿主細胞である。より好ましくは、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポルム・ラクナウェンス(Chrysosporum lucknowense)またはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)宿主細胞である。最も好適なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主細胞は、CBS513.88またはその誘導体である。
好適な別の実施態様では、本発明の第3の態様の核酸構築物の所定のコピー数を含んでなる本発明の糸状菌宿主によって産生される目的の化合物の収量は、好ましくは、1リットルあたり0.1g、0.2g、0.3g、0.4g、より好ましくは、0.5gおよびなお最も好ましくは、1リットルあたり0.5gを超える目的の化合物である。目的の化合物の産生は、特異的アッセイによって決定することができる。好ましくは、本発明の糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、フザリウム(Fusarium)、クリソスポルム(Chrysosporum)またはペニシリウム(Penicillium)宿主細胞である。より好ましくは、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クリソスポルム・ラクナウェンス(Chrysosporum lucknowense)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)またはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)宿主細胞である。最も好適なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主細胞は、CBS513.88またはその誘導体である。
あるいは、および別の好適な実施態様に従えば、ポリペプチドが、(β−ラクタム)抗生物質またはカロテノイドのような所定の代謝物の産生に関与する酵素である場合、本発明の糸状菌宿主細胞は、所定の代謝物の産生のために使用される。
本発明のさらなる態様に従えば、目的の化合物を産生させるための方法の対応するセクションにおいて規定されるヌクレオチド配列のいずれか1つの使用、目的の化合物を産生させるための方法の対応するセクションにおいて規定される核酸構築物または発現ベクターの使用および目的の化合物を産生させるための方法の対応するセクションにおいて規定される糸状菌宿主細胞のいずれか1つの使用が提供される。
ヌクレオチド配列を産生させるための方法;最適化されたコドン頻度の算出
本発明のさらなる態様に従えば、本発明の第1の態様のヌクレオチド配列を産生させるための方法が提供され、以下の工程を含んでなる:
・本発明の第1の態様において規定される最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列を提供すること、および場合により、
・場合により、前記同義ヌクレオチドコード配列を、本発明の第1の態様で規定される制御配列に連結させること。
最適化されたコード頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列を提供するために、最適化されたコード頻度を、本発明によって提供される方法によって算出することができる。この方法については、以下において概要を述べる。
以後、グループ1アミノ酸(AA)と呼ばれるアミノ酸については、ただ1つの可能性が存在する。グループ1は、常にATGによってコードされるメチオニンおよび常にTGGによってコードされるトリプトファン(tryptophane)からなる。
以後、グループ2 AAと呼ばれるアミノ酸は、0%または100%の極端な頻度に従う最適化に供され、ストラテジーは明白である。グループ2 AAに対するすべてのコドンは、以下に列挙されるコドンに特異的に変更される。より具体的には:
・システインは、常にTGCによって;
・フェニルアラニンはTTCによって;
・ヒスチジンはCACによって;
・リジンはAAGによって;
・アスパラギンはAACによって;
・グルタミンはCAGによって;
・チロシンはTACによってコードされる。
以後、グループ3 AAと呼ばれる他のすべてのAAは、表1において規定されるいくらかのコドンによってコードされ得;各コドンは好適なコドン頻度で存在する:
・アラニンはGCT、GCC、GCA、またはGCGによって;
・アスパラギン酸はGAT、GACによって;
・グルタミン酸はGAA、GAGによって;
・グリシンはGGT、GGC、GGA、GGGによって;
・イソロイシンはATT、ATC、ATAによって;
・ロイシンはTTA、TTG、CTT、CTC、CTA、CTGによって;
・プロリンはCCT、CCC、CCA、CCGによって;
・アルギニンはCGT、CGC、CGA、CGG、AGA、AGGによって;
・セリンはTCT、TCC、TCA、TCG、AGT、AGCによって;
・スレオニンはACT、ACC、ACA、ACGによって;
・バリンはGTT、GTC、GTA、GTGによってコードされる。
以下の規則が、所定のコード配列におけるグループ3 AAに対して最適化されたコドン頻度の算出に適用される:
グループ3 AAおよびそれらの異なる対応するコドンについて、所定のコード配列内のそれぞれの可能なコドンの最適な発生の算出は、好ましくは、以下の方法論に従って実施される:
i.それぞれのグループ3 AAのそれぞれについて、所定の配列においてコードされる残基の総数を合計する、
ii.それぞれのAAおよび該AAをコードするコドンについて、該AAについての総数に、表1における最適コドン分布を乗じ、一般的に10進数を含有し得る生のコドン分布を求める、
iii.数字を取り出すことによって、生のコドン分布(ii)の値を丸め、丸められたコドン分布を求める、
iv.AAのそれぞれについて、丸められたコドン分布(iii)において示されるAAの総数を合計する、
v.所定の配列(i)においてコードされる残基の総数を、丸められたコドン分布(iv)において示されるAAの総数で引くことによって、丸められたコドン分布におけるそれぞれのAAのそれぞれについての残基の失われた総数を算出する、
vi.それぞれのコドンについて、減法によって、生のコドン分布(ii)と丸められたコドン分布(iii)との間の10進数の差異を算出する、
vii.それぞれのコドンについて、10進数の差異(vi)および表1における最適コドン分布を乗じ、それぞれのコドンに対するウェイト値を得る、
viii.それぞれのAAのそれぞれについて、失われた残基の量(v)、最も高いウェイト値を有するコドンのそれぞれの量(vii)を選択する、
ix.ポリペプチドをコードする所定の配列内の最終最適コドン分布の算出は、丸められたコドン分布(iii)およびそれぞれのコドンについて失われた残基(viii)の選択された量を合計することによって、算出される。
続いて、所定の配列における総数が、算出される最終最適コドン分布より高いコドンでは、算出される異なる対応するコドンへの置換のために、選択が行われる。また、頻度において増加すべきコドンでは、頻度において減少すべき他の異なる対応するコドン候補から選択が行われる(実施例1を参照のこと)。別の好適な方法では、所定のヌクレオチド配列におけるコドン置換えの選択および算出のためのコンピュータアルゴリズムを使用することが考慮され得る。好適な別の実施態様では、コドン置換えの選択および算出は、算出されるコドン頻度および二次構造の基準ならびに所定のRNA−タグまたは制限部位の封入のような他の特徴に従って行われ得、所定のヌクレオチド配列が回避される。「二次構造」は、一本鎖である場合、二本鎖ヘアピン構造またはループを形成する傾向を有する核酸配列の領域を指す。そのような構造は、転写および翻訳を妨げ得る。国際公開第01/55342号パンフレットでは、二次構造を形成するそれらの可能性について核酸を評価する仕方の可能な方法が提供される。いくらかのソフトウェアプログラムが二次構造を推定することができる。好適な実施態様では、二次構造は最短距離法によって決定される。この方法の説明については、フライヤー(Freier)ら(Proc Natl Acad Sci USA 1986年、83,9373−9377)により記載されており、RNA:RNA二次構造を指すエネルギーパラメータを使用する。この方法の適用は、Clone Manager 7プログラム(Sci.Ed.Central:Scientific&Educational software、バージョン7.02)において行われ得る。
別の好適な方法に従えば、表1に従う最適化されたコドン頻度が、コード配列の特定の部分のみに適用される。本発明のより好適な実施態様では、所定のヌクレオチド配列におけるコドンの置換は、置換えのための候補の無作為選択、および新規の対応するコドン候補の無作為選択を行った後、最終最適コドン分布に従って実施される。
別の好適な方法に従えば、アミノ酸配列のみに基づいて、算出された最適コドン分布が適用される。アミノ酸配列は、最適化されたコドン頻度を伴う改変型コード配列への算出された最適コドン分布に従って、コドンの適切な選択によって、ヌクレオチド配列に逆翻訳される(実施例2)。改変型コード配列の設計後、それは、二次構造特徴、ATリッチストレッチおよび所望されない制限部位について、確認され得る。そのような態様が観察される場合、当業者は、コードされたポリペプチドを変更することなく特定の問題を回避するために、改変型コード配列の特定のコドンを交換または置き換える仕方を知っている。好適な実施態様では、これは、二次構造のための特定の基準を考慮するコンピュータアルゴリズム、ATリッチ領域を回避すること、GCリッチ領域を回避すること、制限部位の導入などによって行うことができる。別の実施態様では、逆翻訳は、ヌクレオチド配列において配置するのに必要なそれぞれのコドンの位置の無作為選択によって行われる。
所望される改変を伴うヌクレオチド配列を提供するために、一般的な分子生物学的方法を適用することができる。これらのクローニング方法を利用してヌクレオチド配列を改変するための技術は、当該分野において周知である。そのような方法として、例えば、無作為もしくは指向性変異誘発、DNAシャフリング方法、DNA再集成方法、遺伝子合成、および当業者に公知の他の手段(例えば、ヤング(Young)およびドン(Dong)(2004年)、Nucleic Acids Research 32、(7)電子アクセスhttp://nar.oupiournals.Org/cgi/reprint/32/7/e59またはガプタ(Gupta)ら(1968年)、Proc.Natl.Acad.Sci USA,60:1338−1344;スカルプラ(Scarpulla)ら(1982年)、Anal.Biochem.121:356−365;ステマー(Stemmer)ら、(1995年)、Gene 164:49−53を参照のこと)が挙げられる。
なお別の好適な実施態様に従えば、本発明の第2の態様に従う翻訳イニシエータ配列を伴うヌクレオチド配列を提供することによって、本発明の第2の態様のヌクレオチド配列を産生させる方法が提供される。クローニング方法を利用して核酸配列を改変するための技術は、当該分野において周知である。
なお別の実施態様に従えば、以下による本発明の第1および第2の態様の組み合わされた特徴を示す同義ヌクレオチドコード配列を含んでなるヌクレオチド配列を産生させるための方法が提供され:
・上記の方法を使用する本発明の第1の態様において規定される最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列を提供すること、
・上記の方法を使用して、本発明の第2の態様に従って、翻訳イニシエータ配列を伴うヌクレオチド配列を提供すること、および場合により
・場合により、前記同義ヌクレオチドコード配列を、本発明の第1の態様で規定される制御配列に連結させること。
以下の実施例によって本発明についてさらに説明するが、これは、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
実験の情報

WT1:このA.niger(A.ニガー)株を野生型株として使用する。この株は、寄託番号CBS513.88でCBS Instituteに寄託される。
WT2:このA.niger(A.ニガー)株は、グルコアミラーゼをコードする遺伝子(glaA)の欠失を含んでなるWT1株である。WT2は、EP0635574B1号明細書に記載のように、「マーカー遺伝子を含まない(MARKER−GENE FREE)」アプローチを使用して、構築した。本特許では、CBS513.88のゲノムにおけるglaA特異的DNA配列を欠失する仕方について、広範に説明する。該手順により、最終的に外来性のDNA配列を全く有さない、マーカー遺伝子を含まない(MARKER−GENE FREE)(?)glaA組換えA.ニガー(A.niger)CBS513.88株が得られた。
WT3:このA.ニガー(A.niger)株は、シュウ酸欠損A.ニガー(A.niger)株を生じる変異を含んでなるWT2株である。WT3は、EP1590444号明細書に記載の方法を使用することによって構築した。本特許出願では、シュウ酸欠損A.ニガー(A.niger)株をスクリーニングする仕方について広範に説明する。株WT3は、EP1590444号明細書の実施例1および2の方法に従って構築したが、株WT3は、EP1590444号明細書の変異株22(EP1590444号明細書でFINALと呼ばれる)である。
A.ニガー(A.niger)振盪フラスコ発酵
A.ニガー(A.niger)株を、国際公開第99/32617号パンフレットの実施例:「A.ニガー(A.niger)振盪フラスコ発酵」に記載のように、20ml前培養培地において前培養した。1晩増殖後、10mlのこの培養物を、α−アミラーゼ発酵のために、発酵培地1(FM1)およびホスホリパーゼA1発酵のために発酵培地2(FM2)のに移した。発酵は、全体的に国際公開第99/32617号パンフレットに記載のように、100ml発酵ブロスを伴うバッフル付500mlフラスコにおいて、34℃および170rpmで、示された日数の間、実施される。
このFM1培地は、1リットルあたり:70gのグルコース、25gのカゼイン加水分解物、12.5gの酵母抽出物、1gのKH2PO4、2gのK2SO4、0.5gのMgSO4.7H2O、0.03gのZnCl2、0.02gのCaCl2、0.01gのMnSO4.4H2O、0.3gのFeSO4.7H2O、10mlのPen−Strep(Invitrogen、カタログ番号10378−016)を含有し、4N H2SO4でpH5.6に調整される。
FM2培地は、1リットルあたり:82.5gのグルコース1H2O、25gのMaldex15(Boom Meppel、オランダ)、2gのクエン酸、4.5gのNaH2PO4.1H2O、9gのKH2PO4、15gの(NH4)2SO4、0.02gのZnCl2、0.1gのMnSO4.1H2O、0.015gのCuSO4.5H2O、0.015gのCoCl2.6H2O、1gのMgSO4.7H2O、0.1gのCaCl2.2H2O、0.3gのFeSO4.7H2O、30gのMES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸)、pH=6を含有する。
PLA1ホスホリパーゼ活性
A.ニガー(A.niger)培養ブロスにおけるホスホリパーゼPLA1活性(pla1)を分光学的に決定するために、人工基質:1,2−ジチオジオクタノイルホスファチジルコリン(diC8、基質)を使用する。pla1は、A1位でスルフィド結合を加水分解し、チオ−オクタン酸を解離させる。チオ−オクタン酸は、4,4ジチオピリジン(発色試薬、4−DTDP)と反応し、4−チオピリドンを形成する。4−チオピリドンは、4−メルカプトピリジンと互変異性平衡であり、334nmの波長を有する照射を吸収する。該波長での消光変化を測定する。1単位は、37℃およびpH4.0で1分間あたり1,2−ジチオジオクタノイルホスファチジルコリンから1nmolチオ−オクタン酸を遊離させる酵素の量である。
基質溶液は、66mlエタノールあたり1gのdiC8結晶を溶解し、264ml酢酸緩衝液を添加することによって、調製する。酢酸緩衝液は、0.2%Triton−X100を含有する0.1M酢酸緩衝液、pH3.85を含んでなる。発色試薬は、11mM 4,4−ジチオジピリジン溶液である。それは、2mlのEppendorfサンプルカップに5.0mgの4,4−ジチオジピリジン秤量し、1.00mlエタノールに溶解することによって調製した。1.00mlのミリQ水を添加した。
真菌α−アミラーゼ活性
A.ニガー(A.niger)培養ブロスにおけるα−アミラーゼ活性を決定するために、供給者のプロトコルに従って、Megazyme cereal alpha−amylase kit(Megazyme,CERALPHA alpha amylase assay kit、カタログ参照K−CERA、2000−2001年)を使用する。測定される活性は、過剰のグルコアミラーゼおよびα−グルコシダーゼの存在下で、非還元末端をブロックしたp−ニトロフェニルマルトヘプタオシドの加水分解に基づく。形成されるp−ニトロフェノールの量は、サンプル中に存在するα−アミラーゼ活性に対する測定値である。
実施例1.麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1をコードするpla1遺伝子およびA.ニガー(A.niger)α−アミラーゼをコードするamyA遺伝子のアスペルギルス(Aspergillus)発現構築物の構築
ホスホリパーゼA1タンパク質をコードするpla1遺伝子のDNA配列は、特開平10−155493−A/1号公報において開示され、また、受託番号E16314下でEMBL Nucleotide Sequence Database(http://www.ebi.ac.uk/embl/index.html)から回収することができる。生来の麹菌(A.oryzae)pla1遺伝子のゲノム配列を配列番号1として示す。pla1の対応するコード配列を配列番号2として示す。配列番号2の翻訳された配列は、配列番号3として割り当てられ、麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1を表す。
α−アミラーゼタンパク質をコードするamyA遺伝子のDNA配列は、Curr Genet.1990年3月、17(3):203−212(コールマン DR(Korman DR)、ベイリス FT(Bayliss FT)、バーネット CC(Barnett CC)、カルモナ CL(Carmona CL)、コダマ KH(Kodama KH)、ロイヤー TJ(Royer TJ)、トンプソン SA(Thompson SA)、ウォード M(Ward M)、ウィルソン LJ(Wilson LJ)、バーカ RM(Berka RM)によるアスペルギルス・ニガー変種アワモリ(Aspergillus niger var.awamori)由来の2種のα−アミラーゼ遺伝子のクローニング、特徴付け、および発現)において開示され、また受託番号AB109452下でEMBL Nucleotide Sequence Database(http://www.ebi.ac.uk/embl/index.html)から回収することができる。生来のA.ニガー(A.niger)amyA遺伝子のゲノム配列を配列番号28として示す。amyAの対応するコード配列を配列番号29として示す。配列番号29の翻訳された配列は、配列番号30として割り当てられ、A.ニガー(A.niger)α−アミラーゼタンパク質を表す。
pla1構築物のアスペルギルス(Aspergillus)種における発現解析のために、ゲノムpla1遺伝子とA.ニガー(A.niger)グルコアミラーゼプロモーターとの融合を、クローニング部位の導入を伴う翻訳開始部位において行った。そのようにするために、ゲノムpla1遺伝子の増幅のためのPCRを、配列番号4および配列番号5として同定されるオリゴヌクレオチド、ならびにテンプレートとして、国際公開04/070022号パンフレットにおいて記載のpGBFIN11においてクローニングされるpla1遺伝子構築物を使用して実施し、フラグメントAとして同定される1.1kbフラグメントを作製した。さらに、SnaBIクローニング部位を導入した。第2のPCRを、配列番号6および配列番号7として同定されるオリゴヌクレオチドならびにテンプレートとしてpGBFIN−23ベクター(国際公開第99/32617号パンフレットに記載されている)を使用して実施し、フラグメントBとして同定される0.4kbのglaAプロモーターフラグメントを作製した。得られるフラグメントAおよびBの両方を、PCR、配列番号5および配列番号6として同定されるオリゴヌクレオチド、ならびに上記のフラグメントAおよびBを使用する配列重複伸長(Gene.1989年4月、15;77(1):51−9、ホ SN(Ho SN)、ハント HD(Hunt HD)、ホートン RM(Horton RM)、プーレン JK(Pullen JK)、ピーズ LR(Pease LR)「Site−directed mutagenesis by overlap extension using the polymerase chain reaction」に記載のSOE−PCR)によって融合し;1.4kbのフラグメントCを作製した。ゲノムpla1遺伝子およびglaAプロモーターの部分を含んでなるこのフラグメントCを、SfiIおよびSnaBIで消化し、SfiIおよびNruI消化pGBFIN−30ベクター(図1)に導入し、pGBFINPLA−1a(図2)を作製した。導入および消化されたPCRフラグメントCの配列を配列解析によって確認し、その配列を配列番号8に示す。A.ニガー(A.niger)amyA構築物のアスペルギルス(Aspergillus)種における発現解析のために、ゲノムamyAプロモーターおよびamyA cDNA配列を含有するフラグメントを、上記と同様なストラテジーにおけるPCRを使用して増幅および融合した。適切な制限部位を両末端に導入し、発現ベクターにおけるクローニングを可能にした。5’末端にXhoI部位を導入し、3’末端にPacI部位を導入した。α−アミラーゼプロモーターおよびcDNA配列を含んでなるこのフラグメントを、XhoIおよびPacIで消化し、XhoIおよびPacI消化pGBFIN−12ベクター(国際公開第99/32617号パンフレットに記載の構築およびレイアウト)に導入し、pGBFINFUA−1(図4)を作製した。導入されたPCRフラグメントの配列を配列解析によって確認し、その配列を配列番号31に提示する。
実施例2:A.ニガー(A.niger)における麹菌(Aspergillus oryzae)のホスホリパーゼA1酵素の産生を改善するための改善されたDNA配列の構築のための本発明の方法の使用
2.1.A.ニガー(A.niger)における発現のための麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1コード配列のコドン頻度またはコドン使用頻度の改善
本発明の方法を、麹菌(A.oryzae)のPLA1遺伝子のコドン使用の改善に、以後適用した。この方法は、任意のヌクレオチド配列のコドン使用の改善のための同じ様式で適用することができる。pla1のヌクレオチドコード配列を配列番号2として示す。
PLA1をコードする生来の麹菌(A.oryzae)遺伝子のコドン使用および合成の最適化された変種を以下の表2に示す。生来および最適化された合成pla1遺伝子では、それぞれのコドンの正確な数ならびにアミノ酸あたりの分布が与えられる。さらに、第3のカラムは、最適化のための標的である提唱される最適分布を提供する。
グループ1アミノ酸では、ただ1つの可能性が存在する。グループ1は、常にATGによってコードされるメチオニンおよび常にTGGによってコードされるトリプトファン(tryptophane)からなる。
グループ2アミノ酸は、0%または100%の極端な頻度に従う最適化に供され、ストラテジーは明白である。グループ2AAのすべてのコドンは、2つの可能なコドンの最適変種へ特異的に変更される。より具体的には、システインでは、コドンTGTがTGCによって;フェニルアラニンでは、TTTがTTCによって;ヒスチジンでは、CATがCACによって;リジンでは、AAAがAAGによって;アスパラギンでは、AATがAACによって;グルタミンでは、CAAがCAGによって;チロシンでは、TATがTACによって置き換えられる。
グループ3アミノ酸は、表1において示されるいくらかのコドンによってコードされ得;各コドンは好適なコドン頻度で存在し:アラニンではGCT、GCC、GCA、GCG;アスパラギン酸ではGAT、GAC;グルタミン酸ではGAA、GAG;グリシンではGGT、GGC、GGA、GGG;イソロイシンではATT、ATC、ATA;ロイシンではTTA、TTG、CTT、CTC、CTA、CTG;プロリンではCCT、CCC、CCA、CCG;アルギニンではCGT、CGC、CGA、CGG、AGA、AGG;セリンではTCT、TCC、TCA、TCG、AGT、AGC;スレオニンではACT、ACC、ACA、ACG;バリンではGTT、GTC、GTA、GTGが以下の方法論に従って最適化される。
グループ3アミノ酸(AA)およびそれらのコードするコドンについて、所定のコード配列内のそれぞれの可能なコドンの最適な発生の算出は、以下の方法論に従って実施される:
i.それぞれのグループ3 AAのそれぞれについて、所定の配列においてコードされる残基の総数を合計する、カラムA1(表3)を参照のこと、
ii.それぞれのAAおよび該AAをコードするコドンについて、該AAについての総数に、表1における最適コドン分布を乗じ、一般的に10進数を含有し得る生のコドン分布を求める、カラムA2(表4)を参照のこと、
iii.数字を取り出すことによって、生のコドン分布(ii)の値を丸め、丸められたコドン分布を求める、カラムA3(表4)を参照のこと、
iv.AAのそれぞれについて、丸められたコドン分布(iii)において示されるAAの総数を合計する、カラムA4(表3)を参照のこと、
v.所定の配列(i)においてコードされる残基の総数を、丸められたコドン分布(iv)において示されるAAの総数で引くことによって、丸められたコドン分布におけるそれぞれのAAのそれぞれについての残基の失われた総数を算出する、カラムA5(表3)を参照のこと、
vi.それぞれのコドンについて、減法によって、生のコドン分布(ii)と丸められたコドン分布(iii)との間の10進数の差異を算出する、カラムA6(表4)を参照のこと、
vii.それぞれのコドンについて、10進数の差異(vi)および表1における最適コドン分布を乗じ、それぞれのコドンに対するウェイト値を得る、カラムA7(表4)を参照のこと、
viii.それぞれのAAのそれぞれについて、失われた残基の量(v)、最も高いウェイト値を有するコドンのそれぞれの量(vii)を選択する、カラムA8(表4)を参照のこと、
ix.ポリペプチドをコードする所定の配列内の最終最適コドン分布の算出は、丸められたコドン分布(iii)およびそれぞれのコドンについて失われた残基(viii)の選択された量を合計することによって、算出される、カラムA9(表4)を参照のこと。
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続いて、pla1コード配列における総数が、算出される最終コドン分布より高かったコドンでは、算出される異なる対応するコドンへの置換のために、無作為選択を行った。また、pla1コード配列において増加すべきであるコドンについて、頻度において減少すべきである他の異なる対応するコドン候補から無作為選択を行った。
これにより、表2に示される改変型コード配列(または同義コード配列もしくは最適化された合成配列)が生じる。上記のプロセスから生じる最適化された合成pla1配列を図6に示す。ここで、本発明の改変型コード配列と生来およびゲノムpla1配列のアラインメントを見出すことができる。この改変型コード配列では、生来の配列の3つのイントロンを、それらの本来の位置(配列番号1に示される)に配置し、配列番号11に示されるような最適化された合成配列を生じた。改変型コード配列における二次構造を、有害な二次構造の可能な発生についてのClone Manager 7プログラム(Sci.Ed.Central:Scientific&Educational software、バージョン7.02)を使用して、確認した。
2.2:改変された翻訳終結配列の選択
麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1をコードする生来のpla1遺伝子は、「TAG」終止コドン、続いて、導入されるSnaBI制限部位のTACGTAを含有する。多くの合成構築物では、5’−TAGT−3’翻訳終結配列は、TAAAに続いてSnaBI制限部位の同じTACGTAによって置き換えられる。この置き換えは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号35の配列において行われている。この結果として、発現構築物pGBFINPLA−1d、pGBFINPLA−1e、pGBFINPLA−1f、pGBFINPLA−1gおよびpGBFINPLA−1hは、本発明に従う改変型翻訳終結配列を有する。
2.3:改変型翻訳開始配列の選択
A.ニガー(A.niger)における酵素の過剰発現のために、pGBFIN発現構築物を使用して、強力なglaAプロモーターが適用される。PglaAのATG開始コドンを含む翻訳開始配列は、5’−CACCTCAGCA ATG−3’である。PglaAの翻訳開始配列は、5’−CACCGTCAAA−3’または5’−CGCAGTCAAG−3’に改変されている。これにより、EcoRI部位の下流にそれぞれ配列番号25および26において同定され得るようなグルコアミラーゼプロモーター配列を生じる。この置き換えは、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13および配列番号14の配列において実施した。この結果として、発現構築物pGBFINPLA−1b、pGBFINPLA−1c、pGBFINPLA−1e、pGBFINPLA−1fおよびpGBFINPLA−1gは、本発明に従う改変型翻訳終結配列を有する。米国特許第6,461,837B1号明細書に記載の翻訳イニシエータ配列は、発現構築物pGBFINPLA−1hを生じる配列番号35の配列において試験されている。
2.4:改変型翻訳開始コード配列の選択
翻訳開始コード配列の改変は、コドン最適化および/または翻訳開始コード配列の改善と組み合わせることができる。ただ1つのコドンが最適であり、即ち、コドンはアラニンをコードするGCTによって置き換えられるため、コード配列における第2のコドンの置換は明白である。第3のコドンは、4つの選択肢:それぞれセリン、プロリン、スレオニン、およびアルギニンをコードするTCC;CCC;ACC;GCCを有する。TTCを選択した。第4のコドンは、フェニルアラニンに対するTTC、セリンに対するTTC、ロイシンに対するCTC、またはプロリンに対するCCCのいずれかであり得る。TCCを選択した。これは、開始コドンを含む改変型翻訳開始コード配列として5’−ATGGCTTCCTTC−3’をもたらす。これにより、EcoRI部位の下流かつ翻訳開始コード配列を伴う配列番号27において同定され得るようなグルコアミラーゼプロモーター配列を生じる。この改変型配列は、配列番号14において使用される。この結果として、発現構築物pGBFINPLA−1gは、本発明に従う改変型翻訳開始コード配列を有する。
2.5:2.1〜2.4において作製される少なくとも1つの改変の組み合わせ
産生させようとするポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現は、コドン使用頻度、ならびに/あるいはコンセンサス翻訳イニシエータコード配列ならびに/あるいはコンセンサス翻訳イニシエータ配列および/または最適翻訳終結配列を含んでなる制御DNA配列を最適化することによって、改善され得る。一連の8つの構築物(表5)を分析して、本発明の多くの実施態様を試験した。
Figure 2008527985
実施例3:A.ニガー(A.niger)におけるα−アミラーゼ酵素の産生を改善するための改善されたDNA配列の構築のための本発明の方法の使用
3.1.A.ニガー(A.niger)における発現のためのα−アミラーゼコード配列amyAのコドン頻度またはコドン使用頻度の改善
本発明の方法を、A.ニガー(A.niger)のamyA遺伝子のコドン使用の改善に、以後適用した。この方法は、任意のヌクレオチド配列のコドン使用の改善のための同じ様式で適用することができる。生来のamyAのヌクレオチドコード配列を配列番号29として示す。
x.A.ニガー(A.niger)の生来のamyA遺伝子のコドン使用および合成の最適化された変種を以下の表6に示す。生来および最適化された合成amyA遺伝子では、それぞれのコドンの正確な数ならびにアミノ酸あたりの分布が与えられる。さらに、第3のカラムは、最適化のための標的である提唱される最適分布を提供する。
Figure 2008527985
Figure 2008527985
Figure 2008527985
続いて、完全に新規のヌクレオチドコード配列が、本来のamyAペプチドにおけるそれぞれのアミノ酸についての提唱される数の同義コドン(表6)の無作為分布によって作製される。
生来のamyA遺伝子は「TGA」終止コドンを含有する。作製されるすべてのamyA構築物において、5’−TGA−3’翻訳終結配列を、5’−TAAA−3’に続いてPacI制限部位の5’−TTAATTAA−3’によって置き換えた。
これにより、表6に示される改変型コード配列(または同義コード配列もしくは最適化された合成配列)が生じる。上記のプロセスから生じる最適化された合成amyA配列を配列番号32に示す。改変型コード配列における二次構造を、有害な二次構造の可能な発生についてのClone Manager 7プログラム(Sci.Ed.Central:Scientific&Educational software、バージョン7.02)を使用して、確認した。
3.2:改変型翻訳開始配列の選択
本実施例では、A.ニガー(A.niger)におけるαアミラーゼ酵素の過剰発現のために、pGBFINに基づく発現構築物を使用して、強力なamyAプロモーターが適用される。PamyAのATG開始コドンを含む翻訳開始配列は、5’−GGCATTTATG ATG−3’または5’−GAAGGCATTT ATG−3’であり、どのATGが開始コドンとして選択されるかに依存する。PamyAの翻訳開始配列は、5’−CACCGTCAAAATG−3’に改変されている。この置き換えは、配列番号33および配列番号34の配列において行われている。この結果として、発現構築物pGBFINFUA−2およびpGBFINFUA−3は、本発明に従う改変型翻訳開始配列を有する。
3.3:3.1および3.2において作製される少なくとも1つの改変の組み合わせ
発現させようとするポリペプチドをコードする配列の発現は、コドン使用頻度ならびに/あるいはコンセンサス翻訳イニシエータ配列および/または最適翻訳終結配列を含んでなる制御DNA配列を最適化することによって、改善され得る。一連の3つの構築物(表7)を構築して、本発明の多くの実施態様を試験した。
Figure 2008527985
実施例4.改変型発現ベクターの構築およびA.ニガー(A.niger)におけるそれらの試験
4.1.実施例2.1〜2.5に従う麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1を発現する改変型pla1発現ベクターの構築
pGBFINPLA−1aのクローニングされたEcoRI−SnaBIフラグメントのDNA配列を、配列番号8として示す。グルコアミラーゼプロモーターの翻訳開始配列の変種を含んでなるEcoRIフラグメントのDNA配列を、配列番号9および配列番号10として示す。これらの改変型遺伝子フラグメントを完全に合成し、配列解析によって配列を確認した。
発現ベクターにおけるこれらの改変型配列変種をクローニングするために、すべての合成遺伝子フラグメントをEcoRIで消化し、EcoRI消化pGBFINPLA−1aベクター(図2)の大きなフラグメントに導入して、pGBFINPLA−1aの変種発現ベクターを作製した。EcoRIフラグメントの適切な配向を確認した後、変種発現構築物を、表8において以下に記載のようにpGBFINPLA1bおよびpGBFINPLA−1cと命名した。図3はまた、プラスミドpGBFINPLA−1bおよびpGBFINPLA−1cの代表的マップを提供している。
グルコアミラーゼプロモーターの部分、pla1シグナル配列、ホスホリパーゼA1の成熟ペプチドおよび終止コドンの周りの翻訳終結配列を含んでなる他の5つの合成配列変種のDNA配列を、配列番号11〜配列番号14および配列番号35として示す。これらの5つの改変型遺伝子フラグメントを、重複ポリヌクレオチドの設計および合成ならびに多くの重複ポリヌクレオチド由来の二本鎖配列の以後の集成によって、完全に合成した。配列を、配列解析によって確認した。
発現ベクターにおけるこれらの改変型配列変種をクローニングするために、すべての合成遺伝子フラグメントをEcoRIおよびSnaBIで消化し、EcoRIおよびNruI消化pGBFINPLA−1aベクター(図2)の大きなフラグメントに導入して、以下の表8に示される変種発現ベクターpGBFINPLA−1dからpGBFINPLA−1hを作製した。プラスミドpGBFINPLA−1dからpGBFINPLA−1hの代表的マップを図3に提供する。
Figure 2008527985
プラスミドpGBFINPLA−1aからpGBFINPLA−1fおよびpGBFINPLA−1hのpla1コード配列の翻訳された配列は、配列番号3において同定されるアミノ酸配列に従い、野生型麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1を表す。プラスミドpGBFINPLA−1gのpla1コード配列の翻訳された配列は、配列番号15において同定されるアミノ酸配列に従い、改変型シグナル配列を伴う麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1を表す。
4.2.実施例3.1〜3.3に従うA.ニガー(A.niger)α−アミラーゼを発現する改変型amyA発現ベクターの構築
pGBFINFUA−1(図4)のXhoI−PacIフラグメントのDNA配列を、配列番号31として示し、野生型amyAプロモーターおよび野生型amyA cDNA配列を含んでなり、改変型翻訳終止配列(TAAA)を伴う。α−アミラーゼプロモーターの翻訳開始配列の変種を含んでなるDNA配列を、配列番号33として示す。α−アミラーゼエンコーディングamyA遺伝子に対するコドン最適化コード配列と組み合わされたα−アミラーゼプロモーターの翻訳開始配列の変種を含んでなるDNA配列を、配列番号34として示す。これらの改変型遺伝子フラグメントをインビトロで完全に合成し、配列解析によって配列を確認した。
発現ベクターにおけるこれらの改変型配列変種をクローニングするために、すべての合成遺伝子フラグメントをXhoIおよびPacIで消化し、XhoIおよびPacI消化pGBFINFUA−1ベクター(図4)の大きなフラグメントに導入して、変種発現ベクターを作製した。正確なフラグメントの組込みを確認した後、変種発現構築物を、表9において以下に記載のように、pGBFINFUA−2およびpGBFINFUA−3と命名した。
Figure 2008527985
プラスミドpGBFINFUA−1からpGBFINFUA−3のamyAコード配列の翻訳された配列は、配列番号30において示されるようなアミノ酸配列に従い、野生型A.ニガー(A.niger)α−アミラーゼを表す。
4.3.pGBFINPLAベクターを使用する麹菌(A.oryzae)ホスホリパーゼA1およびpGBFINFUAベクターを使用するA.ニガー(A.niger)α−アミラーゼの野生型および改変型発現構築物のA.ニガー(A.niger)における発現
先の段落において調製したpGBFINPLAおよびpGBFINFUA発現構築物を、以下に記載のような形質転換および図5に示されるストラテジーに従って、A.ニガー(A.niger)に導入した。
WT2において8つのpGBFINPLAベクター(表8)およびWT3において3つのpGBFINFUAベクター(表9)を導入するために、形質転換および形質転換体の以後の選択を、国際公開第98/46772号パンフレットおよび国際公開第99/32617号パンフレットに記載のように行った。簡単に説明すると、pGBFIN構築物の線状DNAを単離し、A.ニガー(A.niger)を形質転換するために使用した。形質転換体をアセトアミド培地上で選択し、標準的手順に従ってコロニーを精製した。コロニーを、glaA遺伝子座における組込みおよびPCRを使用するコピー数について診断した。より小さな予想されるコピー数(低コピー:1〜2)を伴うそれぞれのpGBFIN構築物の5〜10個の独立した形質転換体を選択し、例えば、それぞれPLA−1a−1、PLA−1b−2およびFUA−1−1、FUA−3−1のような形質転換プラスミドの番号を使用して、命名した。
選択されたPLAおよびFUA株ならびにA.ニガー(A.niger)WT2およびWT3を使用して、タンパク質産物のそれぞれについての上記のような100mlの培地中、34℃および170rpmで、500mlバッフル付振盪フラスコを使用するインキュベーターシェーカーにおいて、振盪フラスコ実験を実施した。2、3、4、5および/または6日間の発酵後、サンプルを採取した。第1の工程では、pla1およびamyA過剰発現を、A.ニガー(A.niger)WT2およびWT3の形質転換体ならびにWT2およびWT3自体のノーザンブロット解析によって測定した。回収した菌糸体を、RNAの単離(国際公開第99/32617号パンフレットに記載されている)およびノーザンブロット解析の標準的手順(サンブルック(Sambrook)ら、1989年)に従うノーザンブロット解析に使用した。野生型pla1遺伝子のすべての形質転換体について(但し、WT2自体についてではない)、強力かつ比較可能なハイブリダイゼーションシグナルが、pla1 mRNAレベルについて検出された(データ示さず)。これは、pGBFINPLA−1aからpGBFINPLA−1cのすべての形質転換された株においてグルコアミラーゼプロモーターによるpla1遺伝子の転写制御が無傷(intact)であり、野生型glaAプロモーターと比較して変化していないことを示す。さらに、pla1改変型構築物のpla1過剰発現を、A.ニガー(A.niger)WT2の関係するPLA形質転換体およびWT2自体のノーザンブロット解析によって測定した。改変型合成pla1遺伝子のすべての形質転換体について(但し、WT2自体についてではない)、強力かつ比較可能なハイブリダイゼーションシグナルが、検出された(データ示さず)。これは、pGBFINPLA−1dからpGBFINPLA−1hのすべての形質転換された株におけるグルコアミラーゼプロモーターによる最適化されたpla1遺伝子の転写制御が無傷(intact)であり、合成pla1遺伝子が発現されたことを示す。
同様の方法において、生来および改変型構築物のamyA過剰発現を、すべての3つの発現構築物において使用されるグルコアミラーゼターミネーターの3’−非翻訳領域に位置する(ユニバーサル)プローブを使用して、A.ニガー(A.niger)WT3の関係するFUA形質転換体およびWT3自体のノーザンブロット解析によって測定した。amyA構築物のすべての形質転換体について、強力かつ比較可能なハイブリダイゼーションシグナルを検出した(データ示さず)。これは、pGBFINFUA−1からpGBFINFUA−3のすべての形質転換された株におけるα−アミラーゼプロモーターによる最適化されたamyA遺伝子の転写制御が無傷(intact)であり、合成amyA遺伝子が発現されたことを示す。
ホスホリパーゼA1ポリペプチドの産生を、すべてのA.ニガー(A.niger)PLA形質転換体において測定した。図7において認められるように、ホスホリパーゼ産生に対する改変型翻訳開始部位(変種1および変種2)の使用のポジティブな効果は、グルコアミラーゼプロモーターを使用して、観察することができる。同様に、ホスホリパーゼ産生に対するコドン使用頻度および翻訳終止配列の改変のポジティブな効果が観察された。結果の概要を以下の表10に示す。これは、どのようにして、本発明の単一の改変または改変の組み合わせ、例えば、変種1、2もしくは米国特許第6,461,837B1号明細書に記載の変種のような改変型翻訳開始配列、および/または改変されたコドン使用頻度および/または改変された翻訳終止配列を使用して、A.ニガー(A.niger)におけるホスホリパーゼA1の産生の収量を改善することができるかを明白に示す。
Figure 2008527985
図8から認められ得るように、マルチコピー(2)状態においても、明らかに改善が認められ得る。これは、どのようにして、本発明の単一の改変または改変の組み合わせ、例えば、改変型翻訳開始配列および/または改変型コドン使用頻度および/または改変型翻訳終止配列を、A.ニガー(A.niger)におけるホスホリパーゼA1の改善された産生に使用することができるかを明白に示した。
α−アミラーゼの産生を、すべての3種の異なるA.ニガー(A.niger)FUA形質転換体において測定した。図9において認められるように、α−アミラーゼ産生に対する改変型翻訳開始部位(変種1)の使用のポジティブな効果は、α−アミラーゼプロモーターを使用して、観察することができる。さらに、改善されたα−アミラーゼ産生に対する改変型翻訳開始部位(変種1)と改変型コドン使用頻度および改変型翻訳終止配列の組み合わせのポジティブおよび相乗効果が観察された。これらの結果は、ホスホリパーゼ産生およびα−アミラーゼ産生の両方が本発明の方法を使用して改善され得るため、改変の普遍的効果を明白に示す。さらに、複数のプロモーターが、本発明の改変型翻訳開始部位を使用して、改善され得る。明らかに、これらの実施例は、どのようにして、本発明の単一または組み合わせの改変、例えば、改変型翻訳開始配列、改変型コドン使用頻度および/または改変型翻訳終止配列を、A.ニガー(A.niger)におけるα−アミラーゼもしくは糸状菌における他の任意のタンパク質の改善された産生に使用することができるかを示す。
発現ベクターpGBFIN−30のプラスミドマップを示す。グルコアミラーゼプロモーターにおいて独特なSfiIおよびEcoRIクローニング部位、続いて、HindIIIおよびNruIクローニング部位を伴うglaAプロモーターに関連するglaAフランキング領域が示される。pGBFIN−30ベクターは、AscI−XhoI部位が単一のNruI制限部位によって置き換えられているpGBFIN−23(構築は国際公開第99/32617号パンフレットに記載されている)に由来する。大腸菌(E.coli)DNAは、A.ニガー(A.niger)株の形質転換前に、制限酵素NotIによる消化によって取り出すことができる。 発現ベクターpGBFINPLA−1aのプラスミドマップを示す。図2はまた、プラスミドpGBFINPLA−1bおよびpGBFINPLA−1cの代表的マップを提供する。glaAプロモーターに関連するglaAフランキング領域およびホスホリパーゼA1をコードする麹菌(A.oryzae)ゲノムpla1遺伝子が示される。大腸菌(E.coli)DNAは、A.ニガー(A.niger)株の形質転換前に、制限酵素NotIによる消化によって取り出すことができる。 発現ベクターpGBFINPLA−1dからpGBFINPLA1hのプラスミドマップを示す。glaAプロモーターの変種配列に関連するglaAフランキング領域およびホスホリパーゼA1をコードする麹菌(A.oryzae)ゲノムpla1遺伝子が示される。大腸菌(E.coli)DNAは、A.ニガー(A.niger)株の形質転換前に、制限酵素NotIによる消化によって取り出すことができる。 発現ベクターpGBFINFUA−1のプラスミドマップを示す。図4はまた、プラスミドpGBFINFUA−2およびpGBFINFUA−3の代表的マップを提供する。すべてのクローンは、pGBFIN−12(国際公開第99/32617号パンフレットにおいて記載される)発現ベクターに由来する。amyAプロモーターの変種配列に関連するglaAフランキング領域およびα−アミラーゼをコードするA.ニガー(A.niger)amyA cDNA配列が示される。大腸菌(E.coli)DNAは、A.ニガー(A.niger)株の形質転換前に、制限酵素NotIによる消化によって取り出すことができる。 単一の相同組換えを介する組み込みの略図を表す。発現ベクターは、選択可能なamdSマーカー、およびpla1遺伝子に接続されたglaAプロモーターを含んでなる。これらの特徴は、ゲノムglaA遺伝子座において組込みを指令するために、glaA遺伝子座の相同領域(それぞれ、3’glaAおよび3’’glaA)によって隣接される。 生来のpla1コード配列、生来のpla1ゲノム配列および合成の最適化されたpla1コード配列のアラインメントを示す。ゲノム配列中のイントロンがpla1ゲノム配列において示される。改変型pla1コード配列において変更されているコドンを枠で示す。改変されているヌクレオチドを灰色で示す。 生来のpla1コード配列、生来のpla1ゲノム配列および合成の最適化されたpla1コード配列のアラインメントを示す。ゲノム配列中のイントロンがpla1ゲノム配列において示される。改変型pla1コード配列において変更されているコドンを枠で示す。改変されているヌクレオチドを灰色で示す。 8つの異なる構築物(pGBFINPLA−1a−h)を発現するA.ニガー(A.niger)株の培養ブロスにおけるホスホリパーゼA1活性を示す。生来(pGBFINPLA−1a)または改変型pla1構築物(pGBFINPLA−1b−h)を発現するA.ニガー(A.niger)株の培養ブロスにおける平均ホスホリパーゼA1活性が示され、ここで、翻訳開始配列および/または翻訳終結配列および/またはコドン使用頻度が本発明の方法に従って改変されている。ホスホリパーゼ活性は任意単位[AU]で示され、少なくとも5つの独立して単離および培養される形質転換体の平均であり、示されるように命名され(表6)、示される培養時間後に測定される。 3つの異なる構築物を発現するA.ニガー(A.niger)株の培養ブロスにおけるホスホリパーゼA1活性を示す。生来(pGBFINPLA−1a)または改変型pla1構築物を発現する3つのA.ニガー(A.niger)株の培養ブロスにおけるホスホリパーゼA1活性が示され、ここで、翻訳開始配列および翻訳終結配列(pGBFINPLA−1b)ならびに翻訳開始配列、翻訳終結配列およびコドン使用頻度(pGBFINPLA−1e)が本発明の方法に従って改変されている。ホスホリパーゼは2コピーpla1形質転換体について任意単位[AU]で示され、示されるように命名され(表6)、示される培養時間後に測定される。 3つの異なる構築物を発現するA.ニガー(A.niger)株の培養ブロスにおけるα−アミラーゼ活性を示す。生来(pGBFINFUA−1)または改変型amyA構築物を発現するA.ニガー(A.niger)株の培養ブロスにおけるα−アミラーゼ活性が示され、ここで、本発明に従って、翻訳開始配列および翻訳終結配列が改変され(pGBFINFUA−2)、翻訳開始配列、翻訳終結配列およびコドン使用頻度が改変型(pGBFINFUA−3)。α−アミラーゼ活性は相対単位[AU]で示され、4日目における10株のFUA1グループのうち、7つの1コピー株の平均を100%と設定する。示される1グループあたり10個の形質転換体は、独立して単離および培養された形質転換体であり、表9において示されるように命名され、示されるような培養時間において測定される。

Claims (25)

  1. ・生来のコドンが同義コドンと交換されている(前記同義コドンは生来のコドンと同じアミノ酸をコードし、表1において規定されるコドン使用頻度において生来のコドンより高い頻度を有する)ような最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列を含んでなるヌクレオチド配列であって;場合により:
    ・次のリストの配列:
    Figure 2008527985

    から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳終結配列、および/または
    次のリストの配列:
    Figure 2008527985

    から選択される5’から3’方向へ配向された1つの翻訳イニシエータコード配列、
    を含んでなる、ヌクレオチド配列。
    Figure 2008527985
  2. 最適化されたコドン頻度は、少なくとも1つの生来のコドン、好ましくは少なくとも2つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも3つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも4つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも5つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、最も好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されているようなものであり、前記同義コドンは生来のコドンと同じアミノ酸をコードし、表1において規定されるコドン使用頻度において生来のコドンより高い頻度を有する、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
  3. 最適化されたコドン頻度は、少なくとも1つの生来のコドン、好ましくは少なくとも2つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも3つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも4つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも5つの生来のコドン、より好ましくは少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、最も好ましくは少なくとも95%の生来のコドンが同義コドンと交換されているようなものであり、同義コドンは、次のリストの最適百分率:TGC(100%)によるシステイン;TTC(100%)によるフェニルアラニン;CAC(100%)によるヒスチジン;AAG(100%)によるリジン;AAC(100%)によるアスパラギン;CAG(100%)によるグルタミン;TAC(100%)によるチロシン;アラニンはGCT(38%)、GCC(51%)、もしくはGCG(11%)によりコードされる;GAC(64%)によるアスパラギン酸;GAG(74%)によるグルタミン酸;GGT(49%)、GGC(35%)、GGA(16%)によるグリシン;ATT(27%)、ATC(73%)によるイソロイシン;TTG(13%)、CTT(17%)、CTC(38%)、CTG(32%)によるロイシン;CCT(36%)、CCC(64%)によるプロリン;CGT(49%)、CGC(51%)によるアルギニン;TCT(21%)、TCC(44%)、TCG(14%)、AGC(21%)によるセリン;ACT(30%)、ACC(70%)によるスレオニンおよび/またはGTT(27%)、GTC(54%)、GTG(19%)によるバリンを適用する、前記頻度における前記同義コドンの百分率と列挙された最適百分率との間の差分絶対値が修飾後により小さくなるようにコドン頻度を変更する、請求項1または2に記載のヌクレオチド配列。
  4. 最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列のコドン適応度は、少なくとも70%、80%、90%、95%、好ましくは、96%、97%、98%、最も好ましくは、>98%である適応値を有し、ここで、コドン適応度は、以下の関数:
    Figure 2008527985

    [ここで、gはヌクレオチドコード配列、|g|はその長さ、g(k)はそのk番目のコドンを表し、
    Figure 2008527985

    は、コドンc(k)の所望される割合、
    Figure 2008527985

    はヌクレオチドコード配列gにおける実際の割合である]
    によって算出される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列。
  5. アミノ酸配列から逆行分析される、請求項4に記載のコドン適応度を伴う同義ヌクレオチドコード配列。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の同義ヌクレオチドコード配列を含んでなるヌクレオチド配列であって、
    同義ヌクレオチドコード配列はシグナル配列を含んでなる、ヌクレオチド配列。
  7. 少なくとも1つのイントロンおよび請求項1〜6のいずれか一項に記載の同義ヌクレオチドコード配列を含んでなるヌクレオチド配列。
  8. 好ましくは、翻訳イニシエータ配列を含んでなる請求項1〜7のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列であって、
    前記翻訳イニシエータ配列は、ヌクレオチドの多義コード:m(A/C);r(A/G);w(A/T);s(C/G);y(C/T);k(G/T);v(A/C/G);h(A/C/T);d(A/G/T);b(C/G/T);n(A/C/G/T)を使用して、コンセンサス翻訳イニシエータ配列:5’−mwChkyCAmv−3’(即ち、配列番号16)によって規定される核酸配列を含んでなり、好ましくは、コンセンサス翻訳イニシエータ配列は、次のリスト:5’−mwChkyCAAA−3’(即ち、配列番号17)、5’−mwChkyCACA−3’(即ち、配列番号18)、および5’−mwChkyCAAG−3’(即ち、配列番号19)から選択されるものである、ヌクレオチド配列。
  9. 翻訳イニシエータ配列は5’−CACCGTCAAA−3’(即ち、配列番号22)または5’−CGCAGTCAAG−3’(即ち、配列番号23)である、請求項8に記載のヌクレオチド配列。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列を含んでなる核酸構築物。
  11. 請求項10に記載の核酸構築物の少なくとも1つのコピーを含んでなる糸状菌宿主細胞。
  12. 核酸構築物に存在するコード配列および/または制御配列は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコード配列および/または制御配列の改変前は宿主細胞に対し生来である、請求項11に記載の糸状菌宿主細胞。
  13. 核酸構築物に存在するコード配列および/または制御配列は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコード配列および/または制御配列の改変前は宿主細胞に対し異種である、請求項11に記載の糸状菌宿主細胞。
  14. 請求項10に記載の核酸構築物の所定のコピー数を含んでなる請求項11〜13のいずれか一項に記載の糸状菌宿主細胞であって、
    ここで、前記核酸構築物によってコードされる産物の発現は、対応する生来のヌクレオチド配列を含んでなる対応する核酸構築物によってコードされる同じ産物の産生と比較して増強され、前記対応する核酸構築物は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する、糸状菌宿主細胞。
  15. アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、フザリウム(Fusarium)、クリスポルム(Chrysporum)またはペニシリウム(Penicillium)種である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の糸状菌宿主細胞。
  16. アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、またはトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、またはクリソスポルム・ラクナウェンス(Chrysosporum lucknowense)、またはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)である、請求項15に記載のアスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、クリソスポルム(Chrysosporum)またはペニシリウム(Penicillium)宿主細胞。
  17. 請求項11〜16のいずれか一項に記載の糸状菌宿主細胞を使用することによって、目的の化合物を産生させ、場合により、それを精製するための方法であって:
    ・目的の化合物の産生に適する栄養培地において、前記糸状菌宿主細胞を培養すること;および
    ・糸状菌宿主細胞の栄養培地から目的の化合物を回収すること、
    を含んでなる、方法。
  18. 請求項10に記載の核酸構築物の所定のコピー数を含んでなる本発明の糸状菌宿主細胞によって産生される目的の化合物の収量は、対応する生来のヌクレオチド配列を含んでなる対応する核酸構築物を含んでなる対応する糸状菌宿主細胞によって産生される同じ目的の化合物の産生と比較して、少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、100%、200%、300%、400%、より好ましくは少なくとも500%、増加し、前記対応する核酸構築物は、対応する糸状菌宿主細胞において同じコピー数で存在する、請求項17に記載の方法。
  19. 請求項15または16に記載の糸状菌細胞における目的の化合物の産生は、1リットルあたり0.1g、0.2g、0.3g、0.4g、より好ましくは0.5g、最も好ましくは、1リットルあたり0.5gを超える目的の化合物の産生を生じる、請求項17に記載の方法。
  20. 目的の化合物を産生させるための方法における請求項1〜9のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列のいずれか1つの使用。
  21. 目的の化合物を産生させるための方法における請求項10に記載の核酸構築物の使用。
  22. 目的の化合物を産生させるための方法における請求項11〜16のいずれか一項に記載の糸状菌宿主細胞のいずれか1つの使用。
  23. ヌクレオチド配列を産生させるための方法であって、以下の工程:
    ・請求項1〜7に記載の最適化されたコドン頻度を伴う同義ヌクレオチドコード配列を提供すること、および場合により、
    ・前記同義ヌクレオチドコード配列を、請求項1に記載の制御配列に操作可能に連結すること、
    を含んでなる、方法。
  24. 請求項8または9に記載のヌクレオチド配列を産生させるための方法。
  25. 請求項23または24に記載のヌクレオチド配列を産生させるための方法。
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