JP2006516399A - ポリペプチドを製造するためのシュウ酸欠損Aspergillusniger菌株の使用 - Google Patents

ポリペプチドを製造するためのシュウ酸欠損Aspergillusniger菌株の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、所定の酵素を製造するためのシュウ酸欠損 A. niger 菌株であって、それが由来する野生型菌株と少なくとも同じ量の酵素を同じ培養条件下で産生するシュウ酸欠損 A. niger 菌株に関する。シュウ酸欠損 A.niger 菌株は、好ましくは、それが由来する野生型菌株より多くの酵素を同じ培養条件下で産生するものである。シュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、酵素をコードする遺伝子を含有する発現構築物で形質転換された場合に、それが由来する野生型菌株が、前記シュウ酸欠損菌株と同じ発現構築物で形質転換された場合に同じ培養条件下で産生する量以上の前記酵素を産生するものである。本発明はまた、そのようなシュウ酸欠損 A. niger 菌株を得る方法に関する。本発明は更に、由来する野生型菌株と少なくとも同じ量の酵素を同じ培養条件下で産生するシュウ酸欠損 A. niger 菌株を用いる、酵素の製造方法に関する。

Description

発明の分野
本発明は、ポリペプチドを製造するためのシュウ酸欠損 Aspergillus niger(アスペルギルス・ニガー)菌株、その使用、及び、そのような菌株を得る方法に関する。
発明の背景
シュウ酸は、発酵中に細胞の培養上清に蓄積する望ましくない副産物であり、望ましい化合物の下流側の処理において問題を生じさせる。
Ru1〜Ru4(以下で定義する。)と名付けられた4件のロシアの先行技術文献は、古典的な変異誘発方法を用いてシュウ酸欠損 Aspergillus niger(A. niger)菌株を得る方法を記載している。シュウ酸欠損 A. niger 菌株は、それが由来する親菌株より少ないシュウ酸を産生する菌株と定義される。これらの先行技術文献は、変異誘発因子の選択は重要でないことを明らかにしている。すなわち、変異誘発因子としてUV又は化学物質を、或いは両者を組み合わせて用いれば、シュウ酸欠損 A. niger 菌株が得られる。由来する親菌株より少ないシュウ酸、又は親菌株より多いクエン酸を産生する菌株が、クロマトグラフィーアッセイを用いて選択されている。このような菌株をポリペプチドの製造に用いることは考えられていない。
・Ru1:有機酸を合成する能力が変化した A. niger 変異体を選択する方法に関する。IDKasatkina 及び E.G.Zheltova,Mikrobiologiya,第34巻第3号,511-518ページ,1965年(5-6月)。
・Ru2:RU2089615。新規の A. niger 菌株はクエン酸産生菌の性質を有し、微生物産業において用いることができる(DW1998−249164)。
・Ru3:ニトロソメチル尿素及び紫外線の単独作用及び混合作用の影響下の A. niger (クエン酸産生菌)の変異性。E.Y. Shcherbakova,Z. S.Karadzhova 及び V. P. Ermakova,Mikrobiologiya,第43巻第3号,508-513ページ,1974年(5-6月)。
・Ru4:変異原性因子の影響下の A. niger におけるクエン酸及びシュウ酸の比率の変化。V. M. Golubtsova,E. Y.Shcherbakova,L. Y. Runkovskaya 及び V. P. Ermakova,Mikrobiologiya,第48巻第6号,1060-1065ページ,1979年(11-12月)。
別の刊行物(国際公開第00/50576号パンフレット)には、オキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠損宿主細胞を、ポリペプチド、一次及び二次代謝産物のような望ましい化合物の製造に用いることができることが記載されている。これらの宿主細胞は、それが由来する親細胞より低いオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有する。結果として、これらのオキサロ酢酸ヒドロラーゼ(OAH)欠損細胞は、それが由来する親細胞より少ないシュウ酸を産生する。この特許出願明細書は、オキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠損細胞がポリペプチド産生菌として適していることを明らかにする実験データを示していない。更に、Pedersen 他(Pedersen, H. 他,Metabolic Eng.,(2000)2,34-41)は、グルコアミラーゼ酵素をコードするDNA配列を含有するDNA構築物で形質転換されたオキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠損 Aspergillus niger 菌株が、それが由来する野生型菌株と同じレベルのグルコアミラーゼ酵素を同じ培養条件下で産生することができないこと、すなわち、変異体が産生するグルコアミラーゼの量が野生型より50%少ないことを後に報告している。そのような変異体は、工業的な状況におけるポリペプチド産生菌として適していない。
野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを産生することができ、かつ、工業的な状況におけるポリペプチド産生菌として用いることができるシュウ酸欠損 A. niger 菌株が依然として求められている。
発明の詳細な説明
所定のポリペプチド又は酵素を工業的な状況で製造するのに適したシュウ酸欠損 A. niger 菌株を単離した。これらのシュウ酸欠損菌株は、驚くべきことに、それが由来する野生型菌株と少なくとも同じ量のポリペプチド又は酵素を同じ培養条件下で産生する。これらの変異体は、好ましくは、A. niger 菌株CBS 513.88 が産生する量以上のポリペプチド又は酵素を同じ培養条件下で産生するものである。
本出願明細書では、A. niger 菌株CBS 513.88 を、A. niger 培養において得られる野生型のシュウ酸レベルの基準として、A. niger 培養において得られる野生型のポリペプチドレベルの基準として、また、A. niger 培養において得られる細胞内OAH活性の基準として採用する。シュウ酸欠損 A. niger 菌株は、A. niger 菌株CBS 513.88 より少ないシュウ酸を同じ培養条件下で産生する菌株と定義される。用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、好ましくは、それが由来する野生型菌株が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生するものである。用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、それが由来する野生型菌株が産生する量の1/3以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生するものである。用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、最も好ましくは、それが由来する野生型菌株が産生する量の1/5以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生するものである。用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、A.niger 菌株CBS 513.88 が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生するものである。用いるシュウ酸欠損A. niger 菌株は、より好ましくは、A. niger 菌株CBS 513.88 が産生する量の1/3以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生するものである。用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、最も好ましくは、A.niger 菌株CBS 513.88 が産生する量の1/5以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生するものである。本発明の好ましい実施形態によれば、用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、本出願明細書で後に明示する方法を適用することによって得ることができる。
本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、好ましくは、それが由来する野生型菌株より多くの所定のポリペプチドを同じ培養条件下で産生する菌株である。本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、A.niger 菌株CBS 513.88 より多くの所定のポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。
ポリペプチドを検出するシステムとしては、多種多様なものが当業者に知られている。検出システムには、ポリペプチド又は酵素活性を検出するための、考えうるあらゆるアッセイが含まれる。これらのアッセイシステムとしては、例えば、比色測定アッセイ、光度測定アッセイ、濁度測定アッセイ、粘度測定アッセイ、免疫学的アッセイ、生物学的アッセイ、クロマトグラフィーアッセイ及び利用可能な他のアッセイに基づくアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
産生されるポリペプチドが酵素である場合、産生された活性のある酵素の量は、モデル反応における酵素活性を測定することによって決定するのが好ましい(実施例を参照されたい)。
本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、好ましくは、モデル反応で検出されるような検出可能な細胞内OAH活性を有する菌株である(実施例における実験情報を参照されたい)。本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、モデル反応で検出される元の野生型菌株の細胞内OAH活性の0.1〜100%(好ましくは0.5〜90%、より好ましくは0.5〜80%、更により好ましくは1〜50%の範囲、最も好ましくは1〜25%、更に最も好ましくは1〜10%)の範囲にある細胞内OAH活性を有する菌株である。別の好ましい実施形態によれば、シュウ酸欠損 A. niger 菌株は、モデル反応で検出されるCBS 513.88 寄託菌株の細胞内OAH活性の0.1〜100%の範囲にある細胞内OAH活性を有するものである。本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、モデル反応で検出されるCBS 513.88 寄託菌株の細胞内OAH活性の1〜90%の範囲にある細胞内OAH活性を有する菌株である。
OAHはシュウ酸の形成に関係する唯一の分子であると考えられていたので、検出可能なOAH活性を依然として有するそのようなシュウ酸欠損菌株の存在は驚くべきことである。検出可能なレベルのOAH活性を依然として有する変異体は、検出可能なOAH活性を有しないシュウ酸欠損菌株と比較して、いくつかの利点を有する(Pedersen, H. 他,Metabolic Eng.,(2000) 2,34-41)。例えば、そのような変異体は、それが由来する野生型菌株が産生する量以上の所定のポリペプチドを同じ培養条件下で産生することができる。更に、ほぼ確実に、内因性の有機酸代謝経路が乱れていない。
更に別の好ましい実施形態によれば、本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、ポリペプチドをコードする遺伝子を含有する発現構築物で形質転換された場合に、それが由来する野生型菌株が、前記シュウ酸欠損菌株と同じ発現構築物で形質転換された場合に同じ培養条件下で産生する量以上の前記ポリペプチドを産生するという事実を特徴とするものである。
産生されるポリペプチドをコードする遺伝子は、用いるシュウ酸欠損 A. niger 菌株に対して同種であっても異種であってもよい。「異種」という用語は、ポリペプチドが A. niger 細胞にとって生来的なものではないことを意味する。発現構築物に含まれる遺伝子は、好ましくは、A. niger にとって異種の遺伝子である。
好ましい異種ポリペプチドは、ヒト血清アルブミン、ラクトフェリン、キモシン又はホスホリパーゼA2である。本発明の好ましい実施形態によれば、シュウ酸欠損菌株は、前記ポリペプチドをコードするDNA配列を含有するDNA構築物で形質転換されているものである。ポリペプチドは、好ましくは酵素である。産生させることができる酵素は、カルボヒドラーゼ、例えば、セルラーゼ(例えば、エンドグルカナーゼ、β−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ又はβ−グルコシダーゼ)、ヘミセルラーゼ又はペクチン分解酵素(例えば、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、アラバナーゼ、ガラクツロナーゼ、リアーゼ又は糖類分解酵素);ホスファターゼ(例えば、フィターゼ)、エステラ−ゼ(例えば、リパーゼ)、タンパク質分解酵素、オキシドレダクターゼ(例えば、オキシダーゼ)、トランスフェラーゼ、或いはイソメラーゼである。産生される糖類分解酵素は、好ましくはαアミラーゼ(EC 3.2.1.1.、α−1,4−グルカン−4−グルカノヒドロラーゼ又はEC 3.2.1.2)である。DNA配列は、より好ましくは、菌類αアミラーゼをコードするものである。菌類αアミラーゼをコードするDNA配列は、最も好ましくは、A. niger 又は Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼ)に由来するものである。別の実施形態によれば、産生される酵素はプロリン特異的エンドプロテアーゼ(EC 3.4.16.2)である。別の実施形態によれば、産生される酵素はホスホリパーゼA1(PLA1)(EC 3.1.1.32)である。DNA配列は、より好ましくは、菌類PLA1をコードするものである。菌類PLA1をコードするDNA配列は、最も好ましくは、A. niger 又は Aspergillus oryzae に由来するものである。
産生されるポリペプチドをコードするDNA配列は、前記DNA配列の高レベルの発現、好ましくは更に前記ポリペプチドの高い分泌レベルを確実にするために、作動可能な形で適当なDNA調節領域に連結してもよい。産生されるポリペプチドが Aspergillus niger にとって生来的である場合は、その生来的な分泌シグナルを用いるのが好ましい。或いは、産生されるポリペプチドが Aspergillus niger にとって生来的でない場合は、産生される異種の遺伝子と融合した Aspergillus niger のグルコアミラーゼ遺伝子を含有する融合構築物を作製するのが好ましい。本発明の好ましい実施形態によれば、Aspergillus oryzae のαアミラーゼ遺伝子の調節領域が用いられる。本発明のより好ましい実施形態によれば、Aspergillus niger のグルコアミラーゼ遺伝子の調節領域が用いられる。本発明の好ましい実施形態によれば、αアミラーゼの分泌シグナルが用いられる。DNA構築物はまた、選択マーカーを含有していてもよい。或いは、選択マーカーは別のDNA構築物に存在していてもよい。これらのマーカーとしては、例えば、amdS 遺伝子(アセトアミダーゼ遺伝子)、栄養要求性マーカー遺伝子(例えば、argB、trpC 又は pyrG)、及び、例えば、フレオマイシン、ヒグロマイシンB又はG418に対する抵抗性を与える抗生物質耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。マーカー遺伝子は、好ましくは、Aspergillus nidulans 由来のアセトアミダーゼ遺伝子である。Aspergillus nidulans 由来のアセトアミダーゼ遺伝子は、より好ましくは、gpdA プロモーターに融合されたものである。A. niger の形質転換方法は当業者に広く知られている(Biotechnology of Filamentous fungi:Technology and Products. (1992) Reed Publishing(米国);第6章:形質転換,113-156ページ)。当業者は、A.niger の形質転換を成功させるために、必ずしも、本明細書中に具体的に例示する、ベクター、選択マーカーシステム、プロモーター及び形質転換プロトコルを用いる必要がないことを理解することができるだろう。形質転換後、典型的には、A. niger の集団をペトリ皿内の固体培地上で培養する。固体培地上の培養後選択された形質転換体は、典型的には、3〜7日間、フラスコで培養して、ポリペプチドの発現の有無を確認する。
工業的な状況においてシュウ酸欠損 A. niger 菌株中でポリペプチドを製造する場合、典型的には、フェドバッチ(fed-batch)発酵プロセスを用いることができる。ポリペプチドは、発酵終了時に、当業者に知られている技術に従って精製することができる。そのような回収技術は、例えば、次に説明する通りである。発酵停止時に宿主を殺す必要がある。これは、致死剤が効果的に作用することができる特定の温度で致死剤を添加することによって達成される。致死剤は、例えば、安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムである。選ばれた致死剤の特性に応じて、ブロスの温度を、当業者に知られている古典的な冷却方法を用いて、この致死剤の対応する作用温度に調節する。発酵培地に分泌されるポリペプチドの場合、ポリペプチドから細胞物質を分離するには、例えば、単純な濾過処理を行う。すなわち、発酵ブロスを、織布を備えたメンブランフィルタープレスを用いて濾過する(メンブランフィルタープレス及び織布は Harborlite から入手することができる)。濾過パフォーマンスを改善するために、適当な濾過助剤をフィルター布の適当なプレコートと共に用いることができる。
残留小粒子を除くために、更なる濾過ステップを、透明な濾液を得ることができるような方法で行うことができる。濾液は、平均細孔サイズが典型的には1〜10ミクロンであるフィルタープレートで濾過することにより、浄化することができる。この場合に適したフィルタープレートとして、数タイプのものが当業者に知られている。次に、微生物の大部分を除くために、細孔サイズが約0.4マイクロメートルのフィルターを用いて、微生物濾過を行ってもよい。これら2つの濾過に関しては、濾過パフォーマンスを改善するために、プレコートを用いてもよい。その後、濾液は、限外濾過(UF)によって、典型的には10〜25倍の倍率で濃縮してもよい。この場合に適したUFメンブランとして数タイプのものがある。UF中に、数千未満(分子の形状にもよる。)の典型的な分子量を有する分子が濾液から除去される。従って、目的のポリペプチドに対する低分子量分子の相対的な量は、UF後、約1/10〜1/25に減少させてもよい。UFの継続時間は、濾液の粘度及び濾過性(これらは原料における自然変動のために変動する。)に応じて異なる。この段階では、限外濾過液に存在するポリペプチドの濃度は、通常、ポリペプチドを、意図する適用法に応じて、液体製剤又は乾燥製剤のいずれかに製剤化するのに十分に高いものとなっている。
高収率のポリペプチドを製造するのに適し、かつ、工業的な状況におけるポリペプチド産生菌として用いることができるシュウ酸欠損 A. niger 菌株を得る方法を開発した。ポリペプチドは、前記 A. niger に対して同種であっても異種であってもよい。異種のポリペプチド又は酵素の場合、本発明の方法が適用される野生型菌株は、本明細書で前述した通り、そのようなポリペプチド又は酵素をコードする遺伝子を発現するように、より早い段階で形質転換されていてもよい。そのようなシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、それが由来する野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。シュウ酸欠損 A. niger 菌株は、好ましくは、それが由来する野生型菌株より多いポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。別の好ましい実施形態によれば、変異体は、A. niger 菌株CBS 513.88 が産生した量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。変異体は、より好ましくは、A. niger 菌株CBS 513.88 が産生した量より多いポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。
本発明の方法は、下記のステップを含むものである。
a)A. niger をUV照射に曝すステップ
b)ステップa)で得た生存コロニーのMTP培養を実現するステップ
c)由来する野生型菌株が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する選択を、MTP培養物内で行うステップ
d)上記野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生する変異体を選択する第2の選択を、ステップc)で得た変異体内で行うステップ
好ましい実施形態によれば、本発明の方法は下記のステップを含む。
a)発酵終了時の発酵培地におけるシュウ酸産生量が、マイクロタイタープレート(MTP)の場合に少なくとも15mMであるか、又はフラスコ培養の場合に少なくとも30mMである培養条件を確立するステップ
b)A. niger をUV照射に曝すステップ
c)ステップb)で得た生存コロニーのMTP培養を、ステップa)で保持した培養条件下で実現するステップ
d)由来する野生型菌株が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する選択を、MTP培養物内で行うステップ
e)上記野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生する変異体を選択する第2の選択を、ステップd)で得た変異体内で行うステップ
別の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は下記のステップを含む。
a)発酵終了時の発酵培地におけるシュウ酸産生量が、マイクロタイタープレート(MTP)の場合に少なくとも15mMであるか、又はフラスコ培養の場合に少なくとも30mMである培養条件を確立するステップ
b)A. niger の分生胞子(conidiospore)をUV照射に曝すステップ
c)ステップb)で得た生存コロニーのMTP培養を、ステップa)で保持した培養条件下で実現するステップ
d)由来する野生型菌株が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する選択を、MTP培養物内で行うステップ
e)上記野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生する変異体を選択する第2の選択を、ステップd)で得た変異体内で行うステップ
別の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は下記のステップを含む。
a)A. niger をUV照射に曝すステップ
b)ステップa)で得た生存コロニーのMTP培養を実現するステップ
c)由来する野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生する変異体を選択する選択を、MTP培養物内で行うステップ
d)上記野生型菌株が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する第2の選択を、ステップc)で得た変異体内で行うステップ
これらの方法の各ステップは更に、下記の特徴を有する。
本発明の好ましい実施形態によれば、第1のステップでは、まず、発酵終了時の発酵培地におけるシュウ酸産生量が、MTPの場合に少なくとも30mMであるか、又はフラスコ培養の場合に少なくとも100mMである培地において A. niger のコロニーを培養する。発酵時間は少なくとも3日である。更に、この培地のpHを手動補正する必要がないというのが、この方法の好ましい実施形態である。このステップの培地のpHは3〜7、好ましくは3.5〜6.5、より好ましくは4〜6の範囲に維持される。この培地のpHは、最も好ましくは、pH5〜6の範囲に維持される。そのようなpH値では、シュウ酸の産生量が高いことが知られている。培地のpHは、濃度が0.1〜1M、より好ましくは0.15〜0.55Mの範囲にある2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)の溶液で緩衝化されているのが好ましい。MES濃度は、最も好ましくは0.5Mである。窒素源は、このステップの培地中に存在する。窒素源として好ましいのは、細胞による取込みの結果として発酵培地の酸性化が引き起こされない窒素源である。このステップの培地の窒素源は、より好ましくは尿素である。本発明の好ましい実施形態によれば、このステップで用いる培地はフラスコ規定培地2(FDM2)である(実施例1を参照されたい)。本発明の好ましい実施形態によれば、このステップで用いる A. niger 菌株はWT2又は A.niger 菌株CBS 513.88 である(実験情報を参照されたい)。
第2のステップでは、A. niger をUV照射に曝して、生存率が0.01%〜60%の範囲にあるようにする。生存率は、好ましくは0.05%〜50%である。生存率は、より好ましくは0.1%である。分生胞子が、A. niger を物理的又は化学的な手段で変異誘発させる材料として好ましいことは、当業者によく知られている。しかしながら、変異体は菌糸体細胞からも得ることができる。本明細書中に記載の選択方法は、分生胞子又は菌糸体細胞から得た変異体を選択するために適用してもよい。
第3のステップでは、第2のステップで得た生存集団のMTP培養を、少なくとも3日間行う。
第3のステップのMTP培養が終了した時点で、変異体は、シュウ酸産生量に基づく第4のステップ(シュウ酸選択ステップ)で選択することができる。好ましくは、由来する野生型菌株が産生する量の1/3以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する。より好ましくは、由来する野生型菌株が産生する量の1/5以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する。
培地に存在するシュウ酸を定量するのに用いることができるアッセイは実施例に説明されている。実際的な理由により、最良の変異体(シュウ酸産生量が最も低い菌)が更なる解析用に留保される。好ましくは、5〜50個の変異体が更なる解析用に留保される。典型的には、フラスコ培養において7日後に、これらの選択した変異体が野生型菌株よりはるかに少ないシュウ酸を産生することを確認することができる。図7に示すケースでは、野生型菌株の発酵培地で見出されたシュウ酸が40〜45mMであるのに対して、変異体の発酵培地で見出されたシュウ酸は5mM未満である。7日間の発酵の後、選択した変異体による培地の酸性化の程度が、野生型菌株によるそれより小さいかどうかを更に確認することができる。変異体で測定された低レベルのシュウ酸が、選択した変異体の発育不良及び/又は低い代謝活性の結果でないこともまた、産生されたバイオマスの測定及び残存グルコース濃度の測定を、発酵期間中、種々の間隔で行うことによって確認することができる。
シュウ酸選択ステップの前又は後に変異体に適用することができる第2の選択ステップは次の通りである。由来する野生型菌株が産生する量以上のポリペプチドを同じ培養条件下で産生する変異体を選択する。変異体は、好ましくは、上記野生型菌株より多くの所定のポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。別の好ましい実施形態によれば、変異体は、A. niger 菌株CBS 513.88 が産生した量以上の所定のポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。変異体は、より好ましくは、A. niger 菌株CBS 513.88 より多くの所定のポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。この最後のステップを行うために、前のステップで得た変異体と、野生型の対照とを、適当な培地で少なくとも3日間、液体培養する。培養は、好ましくは少なくとも5日間行う。培養終了時には、産生されたポリペプチドの量を、本出願明細書で既に説明した、前記ポリペプチドの検出システムを用いて測定してもよい。好ましくは、産生されるポリペプチドが酵素である場合、産生された活性のある酵素の量は、モデル反応における酵素活性を測定することによって決定するのが好ましい(実施例を参照されたい)。
必要に応じて更に第6のステップを適用して、モデル反応で検出されるような検出可能な細胞内OAH活性を有するシュウ酸欠損 A. niger 菌株を選択してもよい。モデル反応は、好ましくは、実施例の実験情報に記載の反応である。このステップは、より好ましくは、モデル反応で検出される元の野生型菌株の細胞内OAH活性の0.1〜100%、好ましくは0.5〜90%、より好ましくは0.5〜80%、更により好ましくは1〜50%、最も好ましくは1〜25%、更に最も好ましくは1〜10%の範囲にある細胞内OAH活性を有するシュウ酸欠損 A. niger 菌株の選択を可能にするものである。別の好ましい実施形態によれば、シュウ酸欠損 A. niger 菌株は、モデル反応で検出されるCBS 513.88 寄託菌株の細胞内OAH活性の0.1〜100%の範囲にある細胞内OAH活性を有するものである。本発明のシュウ酸欠損 A. niger 菌株は、より好ましくは、モデル反応で検出されるCBS 513.88 寄託菌株の細胞内OAH活性の1〜90%の範囲にある細胞内OAH活性を有する菌株である。
本発明はまた、所定のポリペプチドを製造するためのシュウ酸欠損 A. niger 菌株の使用に関する。従って、本発明はまた、本出願明細書で定義されるシュウ酸欠損 A. niger 菌株を用いる、所定のポリペプチドの製造方法に関する。そのような菌株は、由来する野生型菌株と少なくとも同じ量の前記ポリペプチドを同じ培養条件下で産生する。菌株は、好ましくは、上記野生型菌株より多くの前記ポリペプチドを同じ培養条件下で産生するものである。別の好ましい実施形態によれば、菌株は、CBS 513.88 の A. niger 菌株と少なくとも同じ量の前記ポリペプチド又は酵素を同じ培養条件下で産生するものである。菌株は、より好ましくは、CBS 513.88 の A. niger 菌株より多くの前記ポリペプチド又は酵素を同じ培養条件下で産生するものである。
〔実験情報〕
(菌株)
WT1:A. niger 菌株を、シュウ酸レベル、所定のポリペプチドのレベル及び細胞内OAH活性のレベルに関する対照として用いる。この菌株はCBS機関に寄託番号CBS 513.88 の下に寄託されている。
WT2:ゲノムに組み込まれた A. oryzae α−アミラーゼ遺伝子を含有する発現カセットの数コピーを保有するWT1菌株。この遺伝子は既に他の文献(Wirsel 他 (1989),Mol. Microbiol.,3:3-14)に記載されているものである。A. oryzae α−アミラーゼ遺伝子によってコードされる本来のシグナル配列は、A. niger 由来のグルコアミラーゼ遺伝子のシグナル配列によって置き換えられた。WT2は、欧州特許出願公開第635574号明細書及び国際公開第98/46772号パンフレットに記載の、当業者に既知の技術によって構築選択された。
〈OAH活性アッセイ〉
種々の A. niger 菌株の振盪フラスコ発酵を、以下の記載のように行った。細胞を、500ml無バッフル振盪フラスコ内の100ml OAH培養培地中で3日間、30℃、170rpmで培養した。OAH培地は下記表1に規定した通りである。その後、NaCOを添加してpHを8に変更し、細胞を更に15〜18時間培養した。菌糸体を濾過によって集め、0.9%(w/v)NaClで洗浄し、液体窒素で凍結し、−80℃で貯蔵した。凍結細胞を液体窒素下、乳鉢中で粉砕し、その後、抽出緩衝液(100mM MOPS緩衝液(pH7.5)(MOPS=モリホリノプロパンスルホン酸)、2mM MnCl、20mM DTT、5%スクロース)に懸濁した。懸濁液を、Eppendorf 遠心分離器5417R内で、4℃、14,000rpmで20分間遠心分離した。925μlのアッセイ緩衝液(アッセイ緩衝液:100mM MOPS(pH7.5)/2mM Mn2+)を25℃で予備加熱し、この予備加熱された混合物に25μlの40mM オキサロ酢酸溶液を加えた。オキサロ酢酸溶液は、0.053gのオキサロ酢酸を10mlのアッセイ緩衝液に溶解することによって調製した。遠心分離後得られた懸濁液の50μlを、予備加熱された混合物に加えた。OAH活性を、Pedersen 他,2000,Mol. Gen. Genet.,263:281-286 に記載の方法に従って測定した。要するに、オキサロ酢酸は基質として用いられる。酵素活性は、20秒の時間間隔で3分間、255nmで測定した吸光度の減少速度(δA/分)、及びオキサロ酢酸の吸収係数から決定した。アッセイは25℃で行った。
Figure 2006516399
〈タンパク質アッセイ〉
サンプル中のタンパク質含有量を、製造者の使用説明書(Pierce,製品番号23236)に従って、ウシ血清アルブミンを標準物質として用いるクマシープラスタンパク質アッセイによって測定した。
実施例1では、シュウ酸欠損 A. niger 菌株が、それが由来する親菌株が産生するレベルと少なくとも同じレベルで、同じ培養条件下で産生することができる酵素として、αアミラーゼを例示する。
〔実施例1:高ポリペプチド産生菌であるシュウ酸欠損 Aspergillus niger 変異体の作製方法〕
シュウ酸欠損 A. niger 変異体をWT2から作製した。
(1.成長培地)
培養は、振盪速度220rpmの回転振盪機において、96ウエルマイクロタイタープレート(MTP)中で、又は、1つのバッフルを有する300mlフラスコ中で、34℃で行った。
フラスコ前培養物に、1ml当たり17000個の胞子を接種した。100mlの培養液に、10mlの前培養物を接種した。
Figure 2006516399
Figure 2006516399
フラスコ規定培地2(FDM2),pH6: FDM2培地は、15グラム/リットルの(NHSOの代わりに15グラム/リットルの尿素が存在する点を除いて、FDM1と同じ組成を有するものだった。この培地は、MESを、1リットル当たり30グラムではなく、1リットル当たり100グラム含有していた。
Figure 2006516399
(2.A. niger 培養上清におけるシュウ酸検出アッセイ)
Sigma diagnostics から入手可能な市販のキット(Sigma,シュウ酸診断キット,カタログ番号591,2000-2001年)を用いて、シュウ酸定量を行った。最終アッセイ体積を、製造者が推奨する体積から48μlまで減少させて、アッセイを384ウエルMTPで行った。Beckman Multimek 96 を用いてすべての液体輸送を行い、BMG分光蛍光計で550nmにおける吸光度を読み取った。シュウ酸アッセイの標準曲線を図1に示す(光学濃度(OD)がシュウ酸濃度の関数として示されている)。これらの条件の下で、アッセイが2.5mMまで直線的に上昇することが判明した。
(3.シュウ酸産生量を最大化する培養条件の確立)
この節を通して用いられた野生型菌株はWT1である。
pHは、シュウ酸産生における最も重要なパラメーターとして、文献に記載されている。高いシュウ酸産生を達成するために、A. niger 培養液のpHは6付近の値に維持される必要がある(Kubicek, C. P. 他,Appl. Environ. Microbiol. (1988),54,633-637;及び Ruljter, G. J. G. 他,Microbiology (1999),145,2569-2576)。pHが4未満になると、シュウ酸産生量は急激に低下する(Ruljter, G. J. G.,van de Vondervoort, P. J. I.,及び Visser, J.,1999,Microbiology,145,2569-2576)。いくつかの有機酸がこの菌によって産生されるので、A. niger 培養において6付近のpHを維持することはほとんど不可能である。FDM1培地において培養pHがどの程度重要であるかを評価するために、三つ組のフラスコ培養を、滅菌水酸化ナトリウムの添加による手動のpH補正を毎日行って、又は行わずに、野生型 A. niger 菌株を用いて行った。FPM1培地における48時間の前培養をFDM1培地の接種前に行った。FDM1培地には、A. niger 成長中の培地の酸性化を緩衝化するために、15M MES(30g/L)が存在した。
図2から明らかなように、培地に存在する緩衝剤は、A. niger による有機酸の産生を相殺するのに十分ではなかった。図3は、シュウ酸収量が培養pHによって大きく影響されたことを示している。pHが補正された培養では、pHが補正されなかった培養より約5倍多いシュウ酸が産生された。
シュウ酸欠損菌株のスクリーニング中は、シュウ酸欠損菌株を選択することができるように、また、野生型レベルのシュウ酸を産生する菌株からシュウ酸欠損菌株を容易に区別することができるように、A. niger は、シュウ酸産生量が最大になる条件で培養される。実際的な理由により、手動のpH補正は、非常に多数の変異体が依然として評価されている最初のスクリーニング段階では、シュウ酸産生量を最大化するために選択しうる手段ではない。培養pHを補正しなくてもシュウ酸産生レベルが改善されるように、FDM1培地において、培地中のMES濃度及び窒素源の性質という2つのパラメーターを調節した。
図4に示されるように、MES濃度を増大させ、かつ、硫酸アンモニウムを尿素に置き換えたことは、最大シュウ酸濃度に対して大きな影響を及ぼし、その最大シュウ酸濃度には、pH補正を行わない A. niger 培養において到達することができた。図5には、発酵培地の組成に応じて6日間又は7日間の発酵の後に到達した最大シュウ酸濃度が示されている。
1M MESは A. niger の成長に悪影響を及ぼしたので、中間の0.5M MESが選ばれた。従って、スクリーニング時のフラスコ培養のために最終的に選ばれた成長培地は、MES濃度が0.5Mであり、硫酸アンモニウムが尿素によって置き換えられたFDM1であった。以下、その培地をFDM2という。
図5は、FDM2においてpH補正なしに到達したシュウ酸濃度が、pH補正を行ったFDM1で到達したシュウ酸濃度と同等であったことを示している(図3と比較されたい)。こうして、pH補正はもはや必要でなくなった。
(4.第1の選択:シュウ酸産生)
A. niger の分生胞子を、ポテトデキストロース寒天(PDA)培地(Difco,ポテトデキストロース寒天,培養培地,カタログ番号213400,1996-1997年)上で胞子形成しているWT2コロニーから集めた。1ml当たり4×10個の分生胞子を含有する懸濁液10mlを、0.1783J/cmのエネルギーが与えられるまで、254nmのUV照射に曝した(Sylvania,15ワットブラックライトブルー管,モデル FT15T8/BLB)。最初のコロニー数の0.1%の生存体が得られた。変異誘発後の胞子溶液をPDA培地に置床し、10000個の生存体を、Genomic Solutions Flexys コロニー選択装置を用いて選択し、96ウエルマイクロタイタープレート(MTP)に入れて更に成長させた。「マスタープレート」と呼ばれるこれらのMTPを、強い胞子形成が明らかになるまで、34℃でインキュベートした。
マスタープレートを、Genomic Solutions Flexys コロニー選択装置を用いて、40μlのFPM1を含有するMTPにレプリカプレートし、34℃で48時間インキュベートした。その後、170μlのMDM1を加え、MTPを34℃で更に7日間インキュベートした。
10000個の個々の培養物の上清について、シュウ酸の存在をアッセイした。採用された培養条件下では、WT1菌株及びWT2菌株の培養物において到達したシュウ酸濃度は40mMの範囲内にあった。成長培地におけるシュウ酸濃度が12mM未満である変異体を、更なる選択処理のために選択した。255個の変異体が留保された。この第2の選択は、偽陽性のものを排除することができるように、第1の選択より厳格に行った。
第2の変異体選択は、四つ組のMTP培養及びシュウ酸アッセイからなるものだった。採用した条件は、上述した条件と同じだった。下記の表5第2列には、変異体の中で産生量が最も低い菌、及び野生型のMTP培養物において到達したシュウ酸濃度が示されている。
Figure 2006516399
1U/mlは、1時間当たり1gの可溶性デンプンを生成物に変換するために必要とされるαアミラーゼの量である。この生成物の形成は、pH5.5及び30℃でヨウ素を添加した後、620nmにおける吸収を追跡することによって測定されている。ヨウ素とのインキュベーション時間は15〜25分である。
図6は、選択した変異型菌株が成長時にMDM1成長培地を酸性化する程度が、野生型菌株と比較して小さいことを示している。
(5.第2の選択:αアミラーゼ産生)
第2の選択ステップとして、次に、前のパラグラフで得た34個の変異体を、αアミラーゼを産生する能力との関係で選択した。
34個の変異体及びWT2を、前のパラグラフの場合と同じように成長させ、α−アミラーゼ産生量との関係で解析した。
培養上清に存在するα−アミラーゼ活性を、Megazyme から入手したαアミラーゼアッセイキット(Megazyme,CERALPHA αアミラーゼアッセイキット,カタログ参照番号 K-CERA,2000-2001年)を用いて測定した。表5第3列には、WT2及び34個の変異体で検出された平均αアミラーゼ産生量が示されている。
図7には、34個の変異体及び野生型のαアミラーゼの平均産生量が、シュウ酸産生量の関数として示されている。34個の変異体のすべてが、由来する野生型菌株より著しく多いα−アミラーゼを産生したことが、表5第3列及び図7において認めることができる。前のパラグラフで見出されたシュウ酸変異体のすべてを、由来する野生型と同じ量以上の酵素を同じ培養条件下で産生することができる変異体として留保した。
変異体15、19及び22を更なる選択のために選択した。
(6.第3の選択:OAH活性)
更なる選択として、細胞内OAH活性を、前のパラグラフで選択した3つの変異体(15、19、22)において測定し、また、対照として、WT1及びWT2において測定した。一部の菌株については、図8に示すように、測定を2回(A、B)行った。OAH活性を測定するために行った試験を実験データの形で記載する。変異体15及び22は検出可能なOAH活性を示し(図8)、その活性はWT1又はWT2の約10〜20%だった。驚くべきことに、変異体19は、WT2のOAH活性に類似した高いOAH活性を示した。驚くべきことに、これら3つのシュウ酸欠損変異体は比較的高いOAH活性を依然として有する。更に、それらはまた、良好な酵素産生能力を有する。
〔実施例2:A. niger シュウ酸欠損変異体の解析〕
(1.成長培地)
Figure 2006516399
(2.A. niger シュウ酸欠損変異体の解析)
変異体18、22、15、23、19、33を、FPM1における48時間の前培養段階の後、FDM2培地で成長させ、そのシュウ酸産生量及びいくつかの成長パラメーター(残存グルコース量、pH及び形成バイオマス量)に関して解析した。FDM2培地を用いて得た結果により、これらの変異体のシュウ酸産生レベルが、野生型菌株と比較して低いことが確認された(図9)。
野生型及び変異型菌株の成長中のFDM2培地に存在する残存グルコース量は、Sigma Diagnostics から入手したグルコースアッセイキット(Sigma,グルコース診断キット,カタログ番号 510-A,2000-2001年)を用いて測定した。図10から明らかなように、グルコースは、7日間の培養の後、いくつかの変異体培養物でほぼ完全に消費されていた。このことは、選択した変異体で見出された低いシュウ酸レベルが低い代謝活性を反映しているわけではなかったことを示唆している。変異体23のみは、低下した代謝活性を有するようであった。
培養液のpHもまた追跡した。以前に観測されたように(実施例1を参照されたい)、培養培地の酸性化は、変異体では、野生型の培養の場合より進行しなかった(図11を参照されたい)。
最後に、変異体の低下したシュウ酸産生が発育不良のためではなかったことを確かめるために、バイオマス形成を、培養物中に形成されたバイオマスの乾燥重量を種々の培養時間で測定することによって追跡した。フラスコを、検討される各々の時間間隔で処理し、バイオマス乾燥重量を含むフラスコの総重量を測定した。
図12から明らかなように、変異体は様々な成長プロフィルを示したが、7日間の培養の後は、親菌株のWT2と同じバイオマスレベルに到達する傾向を示した。変異体23は、低レベルのバイオマス形成を示した唯一の変異体であったが、このレベルは依然として、WT2の元である野生型菌株WT1が到達したレベルに匹敵するものだった。変異体23は、更なる解析用のシュウ酸欠損変異体として留保されなかった。変異体の胞子形成能力を目視評価した。変異体の胞子形成レベルは、それが由来する野生型菌株の胞子形成レベルに匹敵するものであることが見出された。1つの変異体のみが、より低い胞子形成能力を有するようであった。
後述の実施例では、変異体22が、種々の酵素を製造するためのシュウ酸欠損 A. niger 菌株として用いられた。この変異体はWT2から、更に遡れば、WT1から得られたものである。他の酵素をこの変異体で発現させるために、αアミラーゼ遺伝子の全コピーを、アセトアミド遺伝子を選択マーカー遺伝子として用いて、欧州特許出願公開第635574号に記載の方法に従って欠失させた。外来の酵素コード遺伝子を保有しないこの変異体は、後述の実施例ではFINALと名付けられる。続いて、FINALは、後述の実施例に記載する通り、発現させる対応する酵素をコードする遺伝子を含有する発現構築物で形質転換した。特定の酵素をWT1において発現させるために、FINALに導入された発現構築物はまた、後述の実施例に記載する通り、WT1にも導入した。コピー数を確認した。プロリン特異的エンドプロテアーゼ及びPLA1の産生に関して、変異体22を試験し、WT1と比較した。変異体22は、試験された酵素のすべてについて、それが由来するWT1と同じ量又はそれより多い量を同じ培養条件下で産生した。
〔実施例3:WT1及びFINAL菌株におけるプロリン特異的エンドプロテアーゼ産生量の比較〕
用いられた、プロリン特異的エンドプロテアーゼをコードする遺伝子は、既に他で公表されている(国際公開第02/45524号パンフレット)。国際公開第02/45524号パンフレットに記載のプロリン特異的エンドプロテアーゼをWT1及びFINALで発現させるために、国際公開第02/45524号パンフレットに示す構築物(pGBFIN11-EPO)を、国際公開第02/45524号パンフレットに記載のような同時形質転換によってこれらの菌株に導入した。
推定保有コピー数が類似した形質転換体を選択し、500mlのバッフル付き振盪フラスコを用いて、インキュベーター振盪機において、34℃及び170rpmで、欧州特許出願公開第635574号明細書に記載のような培地100ml中で振盪フラスコ実験を行った。4日間の発酵の後、サンプルを採取し、プロリン特異的エンドプロテアーゼ活性を測定した。プロリン特異的エンドプロテアーゼのタンパク質分解活性は、Z−Gly(グリシン)−Pro(プロリン)−pNA を基質として用いて、pH5及び約37℃で、適当な時点で分光光度法によって測定した。1Uのプロリン特異的エンドプロテアーゼは、pH5及び37℃において、1分当たり1マイクロモルのZ−Gly(グリシン)−Pro(プロリン)−pNA を変換する酵素量と定義される。
図13は、推定保有コピー数が異なる A. niger 形質転換体のプロリン特異的エンドプロテアーゼ活性が42U/l〜135U/lの範囲内にあることを示している。推定保有コピー数が1の菌株は42U/l〜46U/lの活性を有し、推定保有コピー数が2の菌株及び3の菌株の活性とよく相関している。本発明者らは、FINALが、WT1と少なくとも同じ量のプロリン特異的エンドプロテアーゼを同じ培養条件下で産生すると推論した。
〔実施例4:WT1及びFINAL菌株におけるホスホリパーゼA1(PLA1)産生量の比較〕
本発明者らは、A. oryzae 由来のPLA1をWT1及びFINALにおいて発現させることを選択した。この酵素をコードする遺伝子は既に公表されている(Watanabe I 他,Biosci. Biotechnol. Biochem. (1999),第63巻第5号,820-826ページ)。この遺伝子は、プロリン特異的エンドプロテアーゼ遺伝子を pGBFIN11-EPO にクローニングする技術と同じ、国際公開第02/45524号パンフレットに記載の技術を用いて、pGBNFIN11 にクローニングされた。この構築物は、国際公開第02/45524号パンフレットに記載のような同時形質転換によってこれらの菌株に導入された。振盪フラスコにおけるPLA1の発現に関して、WT1及びFINALの3つの独立した形質転換体を試験した。推定保有コピー数が類似した形質転換体を、500mlのバッフル付き振盪フラスコを用いて、インキュベーター振盪機において、34℃及び170rpmで、欧州特許出願公開第635574号明細書に記載のものと同じ培地100ml中で培養した。2日間、3日間、4日間、5日間の発酵の後、サンプルを採取し、PLA1活性を測定した。Aspergillus niger(PLA1)由来のホスホリパーゼPLA1活性を、人工基質の1,2−ジチオジオクタノイルホスファチジルコリン(diC8,基質)を用いて、分光光度法で測定する。PLA1はA1位のスルフィド結合を加水分解して、チオオクタン酸を解離させる。チオオクタン酸は4,4−ジチオピリジン(発色試薬,4−DTDP)と反応して、4−チオピリドンを形成する。4−チオピリドンは、334nmの波長を有する放射線を吸収する4−メルカプトピリジンとの間で、互変異性の平衡状態にある。その波長における吸光変化を測定する。1ユニットは、37℃及びpH4.0において、1分当たり1nmolのチオオクタン酸を1,2−ジチオジオクタノイルホスファチジルコリンから遊離させる酵素量である。
基質溶液は、66mlのエタノールに264mlの酢酸緩衝液を加えたものに、1gの diC8 結晶を溶解することによって調製される。酢酸緩衝液は、0.2% Triton-X100を含有する0.1M酢酸緩衝液(pH3.85)を含むものである。発色試薬は11mM4,4−ジチオピリジン溶液である。これは、5.0mgの4,4−ジチオピリジンを2mlのエッペンドルフサンプルカップに計り取り、1.00mlのエタノールに溶解することによって調製した。1.00mlのミリQ水を加えた。結果を図14に示す。WT1の形質転換体の培養物におけるPLA1活性が4〜5日後に低下したことが示されている。しかしながら、FINALの形質転換体のPLA1活性は発酵中に蓄積し、活性の低下を観測することはできなかった。本発明者らは、FINALが、それが由来する野生型の対応菌株より多いPLA1を同じ培養条件下で産生すると推論した。
シュウ酸アッセイの標準曲線を示す図である。測定された光学濃度は、溶液中に存在するシュウ酸の濃度の関数として与えられる。 pH補正を行った、又は行わなかったFDM1培地における発酵中の野生型 A. niger の培養上清のpHの推移を示す図である。 pH補正を行った、又は行わなかったFDM1培地における野生型 A. niger の発酵中に得られた平均シュウ酸産生量を示す図である。 アンモニウム又は尿素を窒素源として用い、かつ、pH補正を行わなかったFDM1培地における野生型 A. niger の発酵中に得られた平均シュウ酸産生量を、MES濃度の関数として示す図である。 pH補正を行わなかったFDM2培地における野生型 A. niger の発酵中に得られた平均シュウ酸産生量を示す図である。 MDM1培地における、野生型 A. niger 及びいくつかの選択したシュウ酸欠損 A. niger の発酵中のpHの推移を示す図である。 FDM2培地における発酵後、野生型及び34個の変異体によって産生された平均αアミラーゼ量を、シュウ酸産生量の関数として示す図である。 3つのシュウ酸欠損 A. niger 変異体及び野生型において測定されたOAH活性を示す図である。 pH補正を行わなかったFDM2培地における野生型及びシュウ酸欠損 A. niger の発酵中に得られた平均シュウ酸産生量を示す図である。 FDM2培地における野生型及びシュウ酸欠損 A. niger の発酵中に存在した残存グルコースの濃度を示す図である。 FDM2培地で発酵した野生型及びシュウ酸欠損 A. niger の培養上清のpHの推移を示す図である。 FDM2培地における野生型及びシュウ酸欠損 A. niger の発酵中に産生されたバイオマス量の推移を示す図である。 プロリン特異的エンドプロテアーゼをコードする遺伝子の推定保有コピー数が同じであるWT1及びFINAL(変異体22)におけるプロリン特異的エンドプロテアーゼの産生量を示す図である。 振盪フラスコ内のWT1及びFINAL(変異体22)におけるホスホリパーゼA1の産生量を示す図である。

Claims (11)

  1. 所定の酵素を製造するためのシュウ酸欠損 A. niger 菌株であって、それが由来する野生型菌株と少なくとも同じ量の前記酵素を同じ培養条件下で産生するシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  2. 前記野生型菌株より多くの前記酵素を同じ培養条件下で産生する、請求項1に記載のシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  3. モデル反応で検出される前記野生型菌株の細胞内OAH活性の1%〜25%の範囲にある細胞内OAH活性を有する、請求項1又は2に記載のシュウ酸欠損菌株。
  4. シュウ酸欠損 A. niger 菌株であって、酵素をコードする遺伝子を含有する発現構築物で形質転換された場合に、それが由来する野生型菌株が、前記シュウ酸欠損菌株と同じ発現構築物で形質転換された場合に同じ培養条件下で産生する量以上の前記酵素を産生することを特徴とするシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  5. 前記遺伝子が異種の遺伝子であることを特徴とする、請求項4に記載のシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  6. A. niger 菌株CBS 513.88 が産生した量以上の、好ましくはそれより多い酵素を同じ培養条件下で産生する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  7. 前記酵素が菌類αアミラーゼである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  8. 前記菌類αアミラーゼが Aspergillus oryzae 又は A. niger に由来する、請求項7に記載のシュウ酸欠損 A. niger 菌株。
  9. 由来する野生型菌株が産生する量以上の酵素を同じ培養条件下で製造するのに適したシュウ酸欠損 A. niger 菌株を得る方法であって、
    a)A. niger をUV照射に曝すステップと、
    b)a)で得た生存コロニーのMTP培養を、a)で保持した培養条件下で実現するステップと、
    c)前記野生型菌株が産生する量の半分以下のシュウ酸を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する選択を、MTP培養物内で行うステップと、
    d)前記野生型菌株が産生する量以上の酵素を同じ培養条件下で産生する変異体を選択する第2の選択を、ステップc)で得た変異体内で行うステップと、
    を含む方法。
  10. モデル反応で検出される前記野生型菌株の細胞内OAH活性の1%〜25%の範囲にある細胞内OAH活性を有するように、ステップd)で選択した変異体を更に選択する追加のステップe)を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 所定の酵素を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシュウ酸欠損 A. niger 菌株、或いは請求項9又は10に記載の方法によって得ることができるシュウ酸欠損 A. niger 菌株の使用。

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