JP2002536993A - オキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠陥真菌宿主細胞 - Google Patents

オキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠陥真菌宿主細胞

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Abstract

(57)【要約】 本発明はオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。本発明は更に当該核酸配列を含んで成る核酸構築体、ベクター及び宿主、並びに当該ポリペプチドを生産するための組換方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 発明の分野 本発明はオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単
離された核酸配列に関連する。本発明は更に突然変異宿主細胞、詳しくはオキサ
ロ酢酸ヒドロラーゼ活性の欠損した、それ故シュウ酸産生能力の欠損した真菌突
然変異宿主細胞、例えばアスペルギルス属の細胞に関連する。本発明は更にかか
る突然変異細胞の所望の化合物、例えばポリペプチド、主要及び副次代謝物の生
産のための利用、並びに本発明の突然変異細胞内でかかる化合物を生産するため
の方法に関連する。本発明は更に上記核酸配列を含んで成る核酸構築体、ベクタ
ー及び宿主、並びにオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを生産
するための組換方法に関連する。
【0002】 関連技術の説明 糸状菌は様々な注目の化合物、例えば注目の真菌により通常産生される相同化
合物、例えば主要又は副次代謝物及びポリペプチド、又は異種化合物、例えば注
目の真菌の中に導入された外来DNAによりコードされる異種ポリペプチドの商
業的生産のために幅広く利用されている。かかる産物は注目の真菌の発酵及びそ
の発酵物から得られる所望の産物の収獲により生産される。
【0003】 真菌の種、A.ニガーは所望の化合物、例えばクエン酸及び工業用酵素の商業
的生産のために幅広く利用されている。この種は大量のシュウ酸を産生すること
でよく知られている。多くの理由のため、この種を注目の化合物の商業的生産の
ために用いるとき、シュウ酸の産生は所望されない。例えば、シュウ酸の産生は
大量の炭素を要し、従って所望の化合物の生産のためにだけ必要とされるものと
比べ、余分で高価な炭素源を発酵培地に添加しなければならない。発酵ブロス内
でのシュウ酸の存在は注目の産物の回収が関与する下流処理において問題を引き
起こし、なぜならシュウ酸は回収を妨害するカルシウムとの沈殿物を形成してし
まうからである。また、シュウ酸は毒性の化合物であり、このことはその存在が
、A.ニガーからの食品級製品の生産における著しい問題となることを意味する
【0004】 A.ニガーにおけるシュウ酸の生合成のための経路について2通りの可能性の
ルートが提唱されている。第一のルートはオキサロ酢酸塩+水→シュウ酸+酢酸
塩であり、その反応はオキサロ酢酸ヒドロラーゼにより触媒される(Kubic
ek,C.P.,G. SchreferL−Kunar,W.Wohrer
and M.Rohr(1988)Appl.Environ.Microbi
ol.54,633−637)。第二のルートはグリコキシル酸経路が関与する
(Balmforth,A.J.,A.Thomson(1984):Bioc
hem.J.218 113−118)。
【0005】 商業的A.ニガー発酵の際のシュウ酸の生成の制御は、発酵を低pHで実施する
ことにより試みられており、その場合ほんのわずかなシュウ酸しか生成されない
。しかしながら、低pHでの発酵は望ましくないことがあり、なぜなら通常このpH
はA.ニガーの増殖及び所望の発酵産物の収量にとって最適でないからである。
【0006】 A.ニガー由来の部分精製されたオキサロ酢酸ヒドロラーゼが発表されている
が(Lenzら、PartiaL purification and som
e properties of oxaloacetate from As
pergillus niger,1976,Enr.J.Biochem.6
5:225−236)、この酵素をコードする遺伝子は発表されていない。
【0007】 本発明の目的は、オキサロ酢酸産生の欠損した、それ故シュウ酸産生の欠損し
た細胞、例えば糸状菌細胞、特にA.ニガーの細胞の突然変異体の提供にある。
【0008】 発明の概要 本発明は、 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードす
る単離された核酸配列であって: (a)SEQ ID NO:2のオキサロ酢酸ヒドロラーゼのアミノ酸配列と
少なくとも65%の同一性を有するアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードす
る核酸配列; (b)SEQ ID NO:1のDNA配列のコード部分(ヌクレオチド11
57〜1411、1504〜1651及び1764〜2383から構成)と少な
くとも65%の相同性を有する核酸配列; (c)中ストリンジェンシー条件下で(i)SEQ ID NO:1の核酸配
列、(ii)SEQ ID NO:1のcDNA配列、(iii)少なくとも100ヌ
クレオチドの(i)もしくは(ii)のサブ配列、又は(iv)(i)、(ii)もし
くは(iii)の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列; (d)(a)、(b)又は(c)のアレル変異体;及び (e)(a)、(b)、(c)又は(d)のサブ配列、ここで当該サブ配列は
オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドフラグメントをコードする
ものである; から成る群から選ばれる核酸配列に関連する。
【0009】 更なる重要な観点において、本発明は突然変異細胞を生産するための方法であ
って、本発明の核酸配列又はそのコントロール配列を中断又は欠失させ、もとの
細胞よりも少ない量のオキサロ酢酸ヒドロラーゼを産生する突然変異体を生み出
すことを含んで成る方法に関連する。本発明の方法はこの方法により生産された
突然変異体にも関連する。
【0010】 本発明は更に上記核酸配列を含んで成る核酸構築体、ベクター及び宿主細胞、
並びに上記ポリペプチドを生産するための組換方法に関連する。
【0011】 発明の詳細な説明 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離された
核酸配列 「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性」とは、本明細書では オキサロ酢酸塩+水→シュウ酸+酢酸塩 の反応を触媒する活性と定義する。この酵素はEC3.7.1.1に属するも
のとして分類される。本発明の目的のため、オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性は以
降の材料と方法の章に記載の手順に従って決定される。1単位のオキサロ酢酸ヒ
ドロラーゼ活性は30℃、pH7.5において1分当り1.0μモルのシュウ酸の
産生と定義する。
【0012】 本明細書において用いる「単離された核酸配列」とは、他の核酸配列を本質的
に含まない核酸配列、例えばアガロース電気泳動による決定に従い、少なくとも
約20%の純度、好ましくは少なくとも約40%の純度、より好ましくは少なく
とも約60%の純度、更により好ましくは少なくとも約80%の純度、そして最
も好ましくは少なくとも約90%の純度のものを意味する。例えば、単離された
核酸配列は、その核酸配列をその天然の位置からそれが再生されるであろう別の
部位へと移動させる遺伝子操作において利用される標準のクローニング手順によ
り獲得できうる。クローニング手順は当該ポリペプチドをコードする核酸配列を
含んで成る所望の核酸フラグメントの切除及び単離、このフラグメントのベクタ
ー分子への挿入、そしてこの組換ベクターの宿主細胞への組込みを包含し得、そ
の宿主細胞で当該核酸配列の複数のコピー又はクローンが複製されるようになる
。この核酸配列はゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源、又は任意のそ
れらの組合せのものであってよい。
【0013】 第一の態様において、本発明はSEQ ID NO:2のアミノ酸1〜341
(即ち、成熟ポリペプチド)と少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約7
0%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも約90
%、最も好ましくは少なくとも約95%、そして更に最も好ましくは少なくとも
約97%の同一性を有するアミノ酸配列をもち、且つオキサロ酢酸ヒドロラーゼ
活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関連する(以降、
「相同性ポリペプチド」)。好適な態様において、この相同性ポリペプチドはS
EQ ID NO:2のアミノ酸1〜341とは5個のアミノ酸、好ましくは4
個のアミノ酸、より好ましくは3個のアミノ酸、更により好ましくは2個のアミ
ノ酸、そして最も好ましくは1個のアミノ酸で相違する。本発明の目的のため、
2本のアミノ酸配列間での同一性の度合いはLASERGENETMMEGALI
GNTMソフトウェア(DNSTAR,Inc.,Madison,Wl)を用い
るClustaL法(Higgins,1989,CABIOS 5:151−
153)で、アイデンティティーテーブル及び下記のマルチプルアラインメント
パラメーターを利用して決定する:10のギャップペナルティー及び10のギャ
ップ長ペナルティー。対合アラインメントパラメーターはKtuple=1、ギ
ャップペナルティー=3、ウィンドウ=5及びダイアゴナル=5。
【0014】 好ましくは、本発明の核酸配列はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列又は
そのアレル変異体を含んで成る又はそれから成るポリペプチド、あるいはオキサ
ロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントをコードする。
【0015】 本発明はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコー
ドする核酸配列であって、SEQ ID NO:1とは遺伝子コードの縮重の観
点で相違するものも包含する。本発明は更にオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有
するSEQ ID NO:2のフラグメントをコードする、又は微生物細胞内で
のオキサロ酢酸ヒドロラーゼ遺伝子の不活化に利用するのに十分な長さのSEQ
ID NO:1のサブ配列にも関連する(「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性の
除去又は抑制」の章に記載)。
【0016】 SEQ ID NO:1のサブ配列はSEQ ID NO:1に包含される核
酸配列であるが、但し5′及び/又は3′末端から1又は複数個のヌクレオチド
が欠失しているものである。好ましくは、サブ配列は少なくとも2800個のヌ
クレオチド、より好ましくは少なくとも3000個のヌクレオチド、そして最も
好ましくは少なくとも3200個のヌクレオチドを含む。SEQ ID NO:
2のフラグメントはこのアミノ酸配列のアミノ及び/又はカルボキシ粒物から1
又は複数個のアミノ酸が欠失したポリペプチドである。好ましくは、フラグメン
トは少なくとも270個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも300個の
アミノ酸残基、そして最も好ましくは少なくとも320個のアミノ酸残基を含む
【0017】 アレル変異体とは、同一の染色体座を占めている遺伝子の2以上の択一的な形
態のいずれかを意味する。アレル変異体は突然変異を通じて自然に発生し、そし
て集団内での多形態をもたらしうる。遺伝子の突然変異はサイレント(コードポ
リペプチドに変化なし)であるか、又は改変されたアミノ酸配列を有するポリペ
プチドをコードしうる。ポリペプチドのアレル変異体は遺伝子のアレル変異体に
よりコードされるポリペプチドをいう。
【0018】 相同性ポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列
からは、1もしくは複数個のアミノ酸残基の挿入もしくは欠失、及び/又は1も
しくは複数個のアミノ酸残基の別のアミノ酸残基による置換により、相違しうる
。好ましくは、アミノ酸変化はささいなもの、即ち、タンパク質のフォルディン
グ及び/又は活性に有意な影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換;小さな欠失(
典型的には1〜約30個のアミノ酸);小さなアミノ又はカルボキシル末端の伸
長(例えば、アミノ末端メチオニン残基);約20〜25残基までの小リンカー
ペプチド;又は正味の電荷もしくはその他の機能を変えることにより精製を助長
する小さな伸長(例えばポリヒスチジントラクト、抗原エピトーブ又は結合ドメ
イン)である。
【0019】 保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン及びヒスチ
ジン)、酸性アミノ酸(例えばグルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ
酸(例えばグルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(例えばロイシン、
イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(例えばフェニルアラニン、トリプ
トファン及びチロシン)、並びに小アミノ酸(例えばグリシン、アラニン、セリ
ン、トレオニン及びメチオニン)の群内のものである。比活性を概して改変しな
いアミノ酸置換は当業界において公知であり、そしてH.Neurath an
d R.L.Hill,1979,The Proteins,Academi
c Press,New Yorkに記載されている。最もよくある交換はAl
a/Ser,Val/Ile,Asp/Glu,Thr/Ser,Ala/Gl
y,Ala/Thr,Ser/Asn,Ala/Val,Ser/Gly,Ty
r/Phe,Ala/Pro,Lys/Arg,Asp/Asn,Leu/Il
e,Leu/Val,Ala/Glu及びAsp/Gly、並びにそれらの逆で
ある。
【0020】 第二の態様において、本発明はSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチドコ
ード配列(SEQ ID NO:1のヌクレオチド1157−1411,150
4−1651及び1764−2383から構成)と少なくとも約65%、好まし
くは約70%、好ましくは約80%、より好ましくは約90%、更により好まし
くは約95%、そして最も好ましくは約97%の相同性の度合いを有し、活性ポ
リペプチドをコードする、又は微生物細胞内でのオキサロ酢酸ヒドロラーゼ遺伝
子の不活化に利用するのに十分な長さを有する単離された核酸配列(「オキサロ
酢酸ヒドロラーゼ活性の除去又は抑制」の章に記載);又はオキサロ酢酸ヒドロ
ラーゼ活性を有するポリペプチドフラグメントをコードする又は微生物内でのオ
キサロ酢酸ヒドロラーゼの不活化に利用するのに十分な長さのSEQ ID N
O:1のアレル変異体及びサブ配列(「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性の除去及
び抑制」の章に記載)に関連する。本発明の目的のため、2本の核酸間の相同性
の度合いはFastaプログラムパッケージ(Version V20u6)中
のコンピュータープログラムAlignにより、ヌクレオチド配列対比のための
下記の設定によりGAPを用いて決定する:−16のGAPにおけるGAP構築
ペナルティー(第一残基について)及びー4のGAP伸長(他の残基について)
ペナルティー。AlignはE.Myers and W.Miller由来の
プログラムの若干改良されたバージョンである。アルゴリズムはE.Myers
and W.Miller「OptimaL Alignments in
Linear Space」(CABIOS(1988)4:11−17)に記
載されている。
【0021】 第三の態様において、本発明は(i)SEQ ID NO:1の核酸配列、(
ii)SEQ ID NO:1のcDNA配列、(iii)(i)もしくは(ii)のサ
ブ配列、又は(iv)(i)、(ii)もしくは(iii)の相補鎖のサブ配列と中スト
リンジェンシー条件下、より好ましくは中高ストリンジェンシー条件下、更によ
り好ましくは高ストリンジェンシー条件下、そして最も好ましくは超高ストリン
ジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸プローブと同一条件下でオキサロ酢
酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関
連する(J.Sambrook,E.F.Fritsch and T.Man
iatus,1989,Molecular Cloning,A Labor
atory ManuaL,第2版、Cold Spring Harbor,
New York)。SEQ ID NO:1のサブ配列は少なくとも100ヌ
クレオチド、又はより好ましくは少なくとも200ヌクレオチドであってよい。
更に、このサブ配列はオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドフラ
グメントをコードしうる。
【0022】 SEQ ID NO:1の核酸配列又はそのサブ配列、並びにSEQ ID
NO:2のアミノ酸配列又はそのフラグメントは、当業界周知の方法に従って別
の属又は種の株からオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコー
ドするDNAを同定及びクローニングするための核酸プローブのデザインに利用
されうる。詳しくは、かかるプローブは対応の遺伝子の同定及び単離のため、標
準のサザンプロット手順に従い、注目の属又は種のゲノム又はcDNAとのハイ
ブリダイゼーションのために利用されうる。かかるプローブは配列全体よりは相
当に短くてよいが、長さは少なくとも15、好ましくは少なくとも25、そして
より好ましくは少なくとも35ヌクレオチドであるべきである。より長めのプロ
ーブを利用してもよい。DNA及びRNAプローブの双方が使用できる。これら
のプローブは典型的には対応の遺伝子の検出のためにラベル化しておく(例えば
32P, 3H,35S、ビオチン又はアビジンで)。かかるプローブは本発明によ
り包含される。
【0023】 従って、かかるその他の生物から調製したゲノムDNA又はcDNAライブラ
リーは、上記のプローブとハイブリダイズし、且つオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活
性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーニングされうる。
かかるその他の生物に由来するゲノム又はその他のDNAはアガロースもしくは
ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はその他の分離技術により分離されうる。
ライブラリー由来のDNA又は分離したDNAはニトロセルロース又はその他の
担体材料に転写して固定することができる。SEQ ID NO:1又はそのサ
ブ配列と相同性であるクローン又はDNAを同定するため、この担体材料をサザ
ンブロットに使用する。本発明の目的のため、ハイブリダイゼーションとは当該
核酸配列がSEQ ID NO:1に示す核酸配列、その相補鎖又はそのサブ配
列に対応する核酸プローブと、超低乃至超高ストリンジェンシー条件下でハイブ
リダイズすることを示す。これらの条件下で核酸プローブがハイブリダイズする
分子はX線フィルムを用いて検出する。
【0024】 好適な態様において、この核酸プローブはSEQ ID NO:2のポリペプ
チドをコードする核酸配列又はそのサブ配列である。別の好適な態様において、
この核酸プローブはSEQ ID NO:1である。別の好適な態様において、
この核酸プローブはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基123−205から
成るフラグメント又はこのフラグメントの一部をコードするヌクレオチドである
。別の好適な態様において、この核酸プローブは大腸菌株DSM−12660の
中に収容されたプラスミドpHP1の中に含まれている核酸配列であり、ここでこ
の核酸配列はオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードし、
特にSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチドコード領域である。
【0025】 長さが少なくとも100ヌクレオチドの長いプローブの場合、超低乃至超高ス
トリンジェンシー条件は42℃にて、5×SSPE、0.3%のSDS、200
μg/mlの剪断変性サケ精子DNA、並びに超低及び低ストリンジェンシーでは
25%のホルムアミド、中及び中高ストリンジェンシーでは35%のホルムアミ
ド、又は高及び超高ストリンジェンシーでは50%のホルムアミドの中でのプレ
ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、それに続くサザンブロッ
ト手順と定義する。
【0026】 長さ少なくとも100ヌクレオチドの長いプローブの場合、担体材料を最後に
3回、15分づつ、2×SSC、0.2%のSDSを用いて、好ましくは少なく
とも45℃(超低ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも50℃(低
ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも55℃(中ストリンジェンシ
ー)、より好ましくは少なくとも60℃(中高ストリンジェンシー)、更により
好ましくは少なくとも65℃(高ストリンジェンシー)、そして最も好ましくは
少なくとも70℃(超高ストリンジェンシー)にて洗浄する。
【0027】 長さが約15ヌクレオチド乃至約70ヌクレオチドである短いプロブの場合、
ストリンジェンシー条件は、標準のサザンブロット手順に従い、ml当り0.9M
のNaCl、0.09MのTris−HCl pH7.6、6mMのEDTA、0.
5%のNP−40、1XのDenhardt溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム
、1mMの一リン酸ナトリウム、0.1mMのATP及び0.2mgの酵母エキスRN
A中でのBolton and McCarthy(1962,Proceed
ings of the NationaL Academy of Scie
nces USA 48:1390)に従う計算を利用してもとめたTmより5
℃〜10℃低い温度でのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション
及び洗浄後ハイブリダイゼーションと定義する。
【0028】 長さが約15ヌクレオチド乃至約70ヌクレオチドの短めのプローブの場合、
担体材料を6XのSSC+0.1%のSDSの中で15分間1回、そして6Xの
SSCを用いて15分づつ2回、もとめたTmより5℃〜10℃低い温度で洗浄
する。
【0029】 本発明は更に、(a)DNAを中、中高、高又は超高ストリンジェシー条件下
でSEQ ID NO:1の配列、もしくはその相補鎖、又はそれらのサブ配列
とハイブリダイズさせ;そして(b)核酸配列を単離することにより;生産され
た単離された核酸配列に関連する。このサブ配列は好ましくは少なくとも100
ヌクレオチドの配列、例えばオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチ
ドをコードする配列、又は微生物細胞内でのオキサロ酢酸ヒドロラーゼ遺伝子の
不活化に利用するために十分に長い配列である(「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活
性の除去又は抑制」の章に記載)。
【0030】 本発明の単離された核酸配列によりコードされるポリペプチドはSEQ ID
NO:2の成熟ポリペプチドの少なくとも20%、好ましくは少なくとも40
%、より好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも80%、
更により好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも100
%のオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有する。
【0031】 本発明の核酸配列は任意の属の微生物から獲得できうる。本発明の目的のため
、一定の起源との関係で本明細書で用いる「から獲得した」とは、当該核酸配列
によりコードされるポリペプチドがその起源により産生されたか、又はその起源
に由来する核酸配列が挿入された細胞により産生されたことを意味しうる。
【0032】 当該核酸配列は微生物起源から獲得できうる。例えば、これらのポリペプチド
はグラム陽性菌、例えばバチルス(Bacillus)株、例えばBacill
us alkalophilus、Bacillus amyloliquef
aciens、Bacillus brevis、Bacillus circ
ulans、Bacillus coagulans、Bacillus la
utus、Bacillus lentus、Bacillus lichen
iformis、Bacillus megaterium、Bacillus
stearothermophilus、Bacillus subtili
s又はBacillus thuringiensis;又はストレプトマイセ
ス(Streptomyces)株、例えばStreptomyces liv
idans又はStreptomyces murinus;又はグラム陰性菌
、例えば大腸菌又はシュードモナス(Pseudomonas)種から獲得でき
うる。
【0033】 好適な態様において、この核酸配列は真菌細胞から獲得できる。本明細書でい
う「真菌」はAscomycota、Busidiomycota、Chytr
idiomycota及びZygomycotaの間(Hawksworthら
、Ainsworth and Bisby’s Dictionary of
The Fungi,第8版 1995,CAB Internationa
l,University Press,Cambridge,UKに規定)並
びにOomycota(Hawksworthら、1995、前掲、pp.17
1)並びに全ての分裂胞子(mitosporic)真菌(Hawkswort
hら、1995、前掲)を含む。
【0034】 より好適な態様において、真菌細胞は酵母細胞である。本明細書でいう酵母と
は、子嚢胞子酵母(Endomycetales)、担子胞子酵母、及び不完全
菌類に属する酵母(Blastomycetes)を含む。酵母の分類は将来に
わたって変わりうるため、本発明の目的のため、酵母はBiology and
Activities of Yeast (Skinner,F.A.,P
assmore,S.M.,and Davenport,R.R.,eds,
Soc.App.Bacteriol.Symposium Series N
o.9,1980)に記載の定義に従う。
【0035】 より詳しくは、この核酸配列は酵母株、例えば、Candida、Hanse
nula、Kluyveromyces、Pichia、Saccharomy
ces、Schizosaccharomyces、又はYarrowia株;
又はより好ましくは糸状菌株、例えばAcremonium、Aspergil
lus、Aureobasidium、Cryptococcus、Filib
asidium、Fusarium、Humicola、Magnaporth
e、Mucor、Myceliophthora、Neocallimasti
x、Neurospora、Paecilomyces、Penicilliu
m、Piromyces、Schizophyllum、Talaromyce
s、Thermoascus、Thielavia、Tolypocladiu
m又はTrichoderma株から獲得できうる。
【0036】 好適な態様において、この核酸配列はSaccharomyces carl
sbergensis、Saccharomyces cerevisiae、
Saccharomyces diastaticus、Saccharomy
ces douglasii、Saccharomyces kluyveri
、Saccharomyces norbensis又はSaccharomy
ces oviformis株から獲得される。
【0037】 別の好適な態様において、この核酸配列はAspergillus acul
eatus、Aspergillus awamori、Aspergillu
s foetidus、Aspergillus japonicus、Asp
ergillus nidulans、Aspergillus niger、
Aspergillus oryzae、Fusarium bactridi
oides、Fusarium cerealis、Fusarium cro
okwellense、Fusarium culmorum、Fusariu
m graminearum、Fusarium graminum、Fusa
rium heterosporum、Fusarium negundi、F
usarium oxysporum、Fusarium reticulat
um、Fusarium roseum、Fusarium sambucin
um、Fusarium sarcochroum、Fusarium spo
rotrichioides、Fusarium sulphureum、Fu
sarium torulosum、Fusarium trichothec
ioides、Fusarium venenatum、Humicola i
nsolens、Humicola lanuginosa、Mucor mi
ehei、Myceliophthora thermophila、Neur
ospora crassa、Penicillium purpurogen
um、Trichoderma harzianum、Trichoderma
koningii、Trichoderma longibrachiatu
m、Trichoderma reesei又はTrichoderma vi
ride株から獲得される。
【0038】 より好適な態様において、この核酸配列はアスペルギルス・ニガー、そして最
も好ましくはA.ニガー株BO1 DSM 12665から獲得され、例えばS
EQ ID NO:1に示す核酸配列である。別のより好適な態様において、こ
の核酸配列は大腸菌株DSM−12660の中に収容されたプラスミドpHP1に
含まれる配列である。別の好適な態様において、この核酸配列は、SEQ ID
NO:2の成熟ポリペプチドをコードする、SEQ ID NO:1のヌクレ
オチド1157−1411、1504−1651及び1764−2383から構
成されるヌクレオチド配列である。
【0039】 上記の種に関し、本発明は完全及び不完全な状態の双方、並びにその他の異名
均等物、例えばその種名が知られていようと関係なくアナモルフを包含するもの
と解されるべきであろう。当業者は適当な均等物の種類を容易に認定できるであ
ろう。例えば、このポリペプチドは、種名が知られていようと関係なく、Ben
n and Klich(Benn J.W and M.A.Klich(1
992)Aspergillus,Biology and Industri
al Applications.Butterworth−Heineman
n,USA)による定義に従いアスペルギルス・ニガーの異名均等物、例えばA
.aculeatus、A.awamori、A.carboniarus、A
.ellipticus、A.ficuum、A.foetidus、A.he
teromorphus、A.japonicus、A.phoenicis、
A.pulverulentus、A.tubingensis、A.heli
cothrix、A.atroviolaceus、A.citricus、A
.acidicus又はA.fonsecaeusである微生物から獲得できう
る。
【0040】 これらの種の株は数多くの培養物寄託機関、例えばAmerican Typ
e Culture Collection (ATCC)、Deutsche
Sammlung von Mikroorganismen und Ze
llkulturen GmbH (DSM)、Centraalbureau
Voor Schimmelcultures (CBS)及びAgricu
ltural Research Service Patent Cultu
re Collection、Northern Regional Rese
arch Center (NRRL)で公共的に容易に入手できる。
【0041】 更に、かかる核酸配列はその他の起源、例えば上記のプローブを用いて自然(
例えば、土壌、堆肥、水、等)から単離した微生物から同定及び獲得できうる。
自然環境から微生物を単離する技術は当業界周知である。
【0042】 当該核酸配列はその他の微生物のゲノム又はcDNAライブラリーの同様のス
クリーニングによりかくして誘導できうる。ポリペプチドをコードする核酸配列
がプローブで検出できたなら、その配列を当業者が公知の技術を利用して単離又
はクローニングすることができうる(例えば、Sambrookら、1989、
前掲)。
【0043】 ポリペプチドをコードする核酸配列を単離又はクローニングするのに用いる技
術は当業界において公知であり、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAから
の調製又はそれらの組合せが挙げられる。かかるゲノムDNAからの本発明の核
酸配列のクローニングは、例えば周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は共
有の構造特性を有するクローニングされたDNAフラグメントを検出するための
発現ライブラリーの抗体スクリーニングによって行うことができる。例えば、I
nnisら、1990,PCR:A Guide to Methods an
d Application,Academic Press,New Yor
k参照のこと。PCRの場合、SEQ ID NO:2のアミノ酸123−20
5をコードするヌクレオチド配列に広がる一連のプライヤーを利用することが特
に関係しうる。その他の核酸増幅手順、例えばリガーゼ連鎖反応(LCR)、ラ
イゲーション活性化転写(LAT)及び核酸配列系増幅(NASBA)が利用さ
れうる。核酸配列はアスペルギルスの株、又はその他のもしくは近縁の生物から
クローンでき、そして例えば当該核酸配列のポリペプチドコード領域のアレル又
は種変異体であってよい。
【0044】 本発明の核酸配列の修飾は当該ポリペプチドに実質的に類似するポリペプチド
の合成のために必要でありうる。当該ポリペプチドに「実質的に類似する」とは
、ポリペプチドの非天然形態を意味する。このようなポリペプチドは天然起源か
ら単離したポリペプチドとは若干操作された態様で相違することがあり、例えば
変異体は比活性、熱安定性、至適pH、等で相違する。この変異配列はSEQ I
D NO:1のポリペプチドコード部分、例えばそのサブ配列として示す核酸配
列に基づいて構築されたものでよく、及び/又は当該核酸配列によりコードされ
るポリペプチドとは異なるアミノ酸配列は供しないが、当該酵素を生産させるつ
もりの宿主生物のコドン用法に対応するヌクレオチド置換の導入により、又は異
なるアミノ酸配列を供しうるヌクレオチド置換の導入により構築されうる。ヌク
レオチド置換の一般的な説明については、例えばFordら、1991,Pro
tein Expression and Purification 2:9
5−107を参照のこと。
【0045】 かかる置換は、分子の機能にとって重要な領域外にあり、且つ活性ポリペプチ
ドを未だもたらすように施してよいことが当業者に明らかであろう。本発明の単
離された核酸配列によりコードされるポリペプチドの活性に必須であり、それ故
置換を施すことが好ましくないアミノ酸残基は、当業界公知の手順、例えば部位
特異的突然変異誘発又はアラニン走査突然変異誘発に従って同定されうる(例え
ば、Cunningham and Wells,1989,Science
244;1081−1085参照のこと)。後者の技術では、突然変異を分子内
の全ての正に帯電した残基に導入し、そして得られる突然変異分子をオキサロ酢
酸ヒドロラーゼ活性について試験し、この分子の活性に重要なアミノ酸残基を同
定する。基質酵素相互作用の部位は核磁気共鳴解析、結晶学又は光親和性ラベリ
ングの如き技術による決定に従い、三次元構造の解析によって決定することもで
きる(例えば、de Vosら、1992,Science 255:306−
312;Smithら、1992,Journal of Molecular
Biology 224:899−904;Wlodaverら、1992,
FEBS Letters 309:59−64を参照のこと)。
【0046】 突然変異核酸配列を生産するための方法 本発明は更に突然変異核酸配列を生産するための方法であって、SEQ ID
NO:1の成熟ポリペプチドコード配列又はそのサブ配列の中に少なくとも一
の突然変異を導入することを含んで成り、ここでこの突然変異核酸配列はSEQ
ID NO:2のアミノ酸1〜341から成るポリペプチド又はオキサロ酢酸
ヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントをコードする。
【0047】 一のヌクレオチドを別のヌクレオチドで変換するための当該核酸配列への突然
変異の導入は当業界公知の任意の方法を利用する部位特異的突然変異誘発により
達成される。特に有用なのは、注目のインサートと所望の突然変異を含む2本の
合成プライマーによるスーパーコイル二本鎖DNAベクターを利用する手順であ
る。各々ベクターの対立鎖に相補性であるオリゴヌクレオチドプライマーはPf
uDNAポリメラーゼにより温度サイクリングの間に伸長する。プライマーの合
体により、ゆらぎニックを含む突然変異プラスミドができ上がる。温度サイクリ
ングを経て、この産物をメチル化及びヘミメチル化DNAに特異的なDpnIで
処理して親DNA鋳型を消化し、突然変異含有合成DNAを選別する。その他の
当業界公知の技術も利用してよい。
【0048】 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性の除去又は抑制 本発明は親細胞から突然変異した細胞を生産するための方法にも関連し、この
方法は本発明の核酸配列又はそのコントロール配列を中断又は欠失させ、同一条
件で培養したときに親細胞よりも少ない量の当該核酸によりコードされるオキサ
ロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを産生する、それ故少ない量のシ
ュウ酸を産生する突然変異細胞を得ることを含んで成る。
【0049】 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性及びシュウ酸産生能の低まった株の構築は、細
胞内のオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドの発現に必要な核酸
配列の修飾又は不活化により簡単に達成されうる。修飾又は不活化すべき核酸配
列は、例えば当該ポリペプチド又はオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を発揮するの
に必須なその一部をコードする核酸配列、例えば「オキサロ酢酸活性を有するポ
リペプチドをコードする単離された核酸配列」の章に記載の本発明の核酸配列で
あってよく、又は当該核酸配列はそのコード配列からのポリペプチドの発現のた
めに必要な調節機能を有するものであってよい。かかる調節又はコントロール配
列の例は、プロモーター配列又はその機能性部分、即ち、ポリペプチドの発現を
及ぼすのに十分な部分であってよい。考えられる修飾のためのその他のコントロ
ール配列をこの章の中で更に説明する。
【0050】 当該核酸配列の修飾又は不活化は、細胞を突然変異誘発にかけ、そしてオキサ
ロ酢酸ヒドロラーゼ産生能力の低下した細胞を選別又はスクリーニングすること
により実施できうる。特異的又はランダムでもよいこの突然変異誘発は、例えば
適当な物理又は化学突然誘発因子の利用により、適当なオリゴヌクレオチドの利
用により、又はこのDNA配列をPCR系突然変異誘発にかけることにより実施
してよい。更に、この突然変異誘発はこれらの突然変異誘発因子の任意の組合せ
を利用することにより実施してよい。
【0051】 本目的のために適当な物理又は化学突然変異誘発因子の例には紫外線(UV)
照射、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン(MNNG)、O−メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、エチルメタンスルホ
ネート(EMS)、亜硫酸水素ナトリウム、ギ酸及びヌクレオチド類似体が挙げ
られる。
【0052】 かかる因子を使用する場合、その突然変異誘発は典型的には突然変異すべき細
胞を選定の突然変異誘発因子の存在下で適当な条件下でインキュベーションし、
そして低下したオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性又は生産能を発揮する細胞を選定
することにより実施される。オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性の低下又は消失は以
降の実施例に記載のアッセイの利用により決定されうる。
【0053】 本発明の核酸配列によりコードされるポリペプチドの生産の修飾又は不活性化
は、当該ポリペプチドをコードする核酸配列又はその転写もしくは翻訳のために
必要な調節要素内の1又は複数のヌクレオチドの導入、置換又は除去により達成
されうる。例えば、ヌクレオチドは、停止コドンの導入、開始コドンの除去、又
はオープンリーディングフレームの改変をもたらすように挿入又は除去してよい
。かかる修飾又は不活化は当業界公知の方法に従って部位特異的突然変異誘発又
はPCR系突然変異誘発により成し遂げることができうる。原理的には、この修
飾はin vivoで、即ち、修飾すべき核酸配列を発現する細胞に対して直接
実施してよいが、修飾は下記に例示の通りin vitroで行うのが好ましい
【0054】 選定の宿主細胞による生産能の消失又は抑制を行う好都合な方法の例は遺伝子
置換又は遺伝子中断の技術を基礎とする。例えば、遺伝子中断技術では、注目の
内因性遺伝子又は遺伝子フラグメントに対応する核酸をin vitroで突然
変異させて欠陥核酸配列を作り、それを宿主細胞に形質転換させて欠陥遺伝子を
産生させる。相同性組換によると、欠陥核酸配列を内因性遺伝子又は遺伝子フラ
グメントと置き換えている。欠陥遺伝子又は遺伝子フラグメントは当該ポリペプ
チドをコードする遺伝子が修飾又は破壊されている形質転換体の選別のために利
用されうるマーカーもコードするが所望されうる。
【0055】 他方、核酸配列の修飾又は不活化はポリペプチドコード配列に相補性のヌクレ
オチド配列を用いる確立されたアンチーセンス技術により実施してよい。より詳
しくは、細胞によるポリペプチドの産生は、細胞の中で転写され得、且つ細胞に
より産生されるポリペプチドmRNAにハイブリダイズすることのできる当該ポ
リペプチドをコードする核酸配列に相補性なヌクレオチド配列を導入することに
より抑制又は消失されうる。相補性アンチセンスヌクレオチド配列がポリペプチ
ドmRNAにハイブリダイズすることを可能にする条件下で、翻訳されるポリペ
プチドの量はかくして抑制又は消失する。
【0056】 本発明の方法に従って修飾する細胞は微生物起源のもの、特にオキサロ酢酸ヒ
ドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする本発明の核酸配列についての
起源として「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする
単離された核酸配列」の章で上記した種のいずれかである。好ましくは、この細
胞は、それに対して相同又は異種のいずれかの所望の産物、例えばポリペプチド
又は主要もしくは副次代謝物の産生に適する真菌株である。更により好ましくは
、この細胞はアスペルギルス、特にA.ニガーの細胞である。
【0057】 本発明は更に当該ポリペプチドをコードする核酸配列又はそのコントロール配
列の中断又は欠失を含んで成る親細胞の突然変異細胞に関連し、ここでこの中断
又は欠失は親細胞よりも少ない量のポリペプチドを産生する突然変異細胞をもた
らすものである。
【0058】 このようにして構築したこのポリペプチド欠陥突然変異細胞は相同及び/又は
異種発現産物、例えば相同又は異種ポリペプチド又は主要もしくは副次代謝物の
発現のための宿主細胞として特に有用である。従って、本発明は更に相同又は異
種産物を産生するための方法であって、(a)当該突然変異細胞を当該産物の産
生を誘導する条件下で培養し、そして(b)この産物を回収することを含んで成
る方法に関する。
【0059】 注目の産物の培養及び精製のために利用する方法は当業者に周知方法、例えば
下記の「生産方法」の章に記載の通りにして実施できうる。
【0060】 本質的にシュウ酸を含まない産物を生産するための本発明の方法は、主要代謝
物、特に食品級クエン酸及びその他のクレブス回路酸、並びに相同又は異種ポリ
ペプチド、特に真核生物ポリペプチドの生産において特に注目される。
【0061】 このポリペプチドは突然変異細胞にとって相同又は異種の任意のポリペプチド
であってよい。「ポリペプチド」とは、ここでは特定の長さのコード産物を意味
するものではなく、それ故ペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質を包含する
。「異種」ペプチドとはここではこの突然変異細胞にとって天然ではないポリペ
プチド(又は天然配列を改変するように修飾の施されたタンパク質、又は組換D
NA技術による突然変異細胞の操作の結果として発現が定量的に改変された天然
タンパク質)をいう。この突然変異細胞は相同又は異種ポリペプチドをコードす
る核酸配列の1又は複数のコピーを含んでよい。好適な態様において、この異種
ポリペプチドは細胞外分泌ポリペプチドである。
【0062】 好ましくは、生産すべきポリペプチドはホルモン、ホルモン変異体、レセプタ
ーもしくはその一部、抗体もしくはその一部、又はリポーターである。この酵素
は例えばデンプン分解酵素、脂肪分解酵素、タンパク質分解酵素、セルロース分
解酵素、酵化還元酵素又は植物細胞壁分解酵素から選択され得る。そのような酵
素の例は、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カルボヒ
ドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、ク
チナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌ
クレアーゼ、エステラーゼ、ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコ
アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ
、ヘミセルラーゼ、インペルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リガーゼ、リ
パーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオ
キシダーゼ、フィターゼ、フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダー
ゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、トランスグ
ルタミナーゼ、又はキシラナーゼを包含する。このオキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠
損性細胞はまた、医薬的興味の異種タンパク質、たとえばホルモン、成長因子、
受容体及び同様のものを発現するためにも使用され得る。
【0063】 本発明の突然変異細胞、特に糸状菌突然変異細胞において発現されうる異種ポ
リペプチドをコードする核酸配列は任意の原核、真核生物又はその他の起源から
獲得できうる。本発明の目的のため、一定の起源との関係で本明細書で用いる「
から獲得」とは、当該ポリペプチドがその起源から産生される又は当該起源に由
来する遺伝子の挿入された細胞により産生されることを意味する。
【0064】 本発明の方法において、突然変異細胞、特に突然変異糸状菌細胞は、その細胞
にとって天然(又は「相同」)であるポリペプチド又はその他の産物、例えば主
要もしくは副次代謝物の組換生産のためにも利用できうる。
【0065】 異種ポリペプチドをコードする核酸配列を単離又はクローニングするのに用い
る技術は当業界において公知であり、そしてゲノムDNAからの単離、cDNA
からの調製又はそれらの組合せが含まれる。かかるゲノムDNAからの核酸配列
のクローニングは例えば周知のポリメラーゼ連鎖反応を利用して行うことができ
る。例えば、Innisら、1990,PCR Protocols:A Gu
ide to Methods and Application,Acade
mic Press,New Yorkを参照のこと。このクローニング手順は
当該ポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る所望の核酸フラグメントの
切除及び単離、このフラグメントをベクター分子への挿入、並びにこの組換ベク
ターの突然変異細胞への組込みを含んで成り、その細胞で当該核酸配列の複数の
コピー又はクローンが複製されうる。この核酸配列はゲノム、cDNA、RNA
、半合成、合成起源、又はそれらの組合せであってよい。
【0066】 本発明の方法において、異種ポリペプチドは更に、別のポリペプチドが本発明
のポリペプチド又はそのフラグメントのN末端又はC末端に融合した融合又はハ
イブリドポリペプチドを含む。融合ポリペプチドは一のポリペプチドをコードす
る核酸配列(又はその一部)を別のポリペプチドをコードする核酸配列(又はそ
の一部)と融合させることにより作られる。融合ポリペプチドを生産するための
技術は当業界において公知であり、そして例えばこれらのポリペプチドをコード
するコード配列同志を、それらがイン・フレームとなり、且つ同一のプロモータ
ー及びターミネーターのコントロール下でその融合ポリペプチドが発現されるよ
うにライゲーションすることが挙げられる。ハイブリドポリペプチドは少なくと
も2種のポリペプチドから獲得した部分又は完全ポリペプチド配列の組合せを含
んで成り、ここでその1又は複数は突然変異細胞にとって異種のものであってよ
い。
【0067】 注目の異種ポリペプチドをコードする単離された核酸配列はポリペプチドの発
現を供するように様々な態様で操作されうる。発現はポリペプチドの生産に関与
するあらゆる工程、例えば限定することなく、転写、後転写修飾、翻訳、後翻訳
修飾及び分泌等が含まれるものと理解されるであろう。ベクターに挿入する前の
核酸配列の操作は発現ベクターに依存して所望又は必須となりうる。クローニン
グ方法を利用して核酸配列を修飾するための技術は当業界において周知である。
【0068】 「核酸構築体」は、天然に存在する遺伝子から単離されるか、又は本来は天然
に存在しない態様で組合され、そして並置される、核酸のセグメントを含むよう
修飾されている、一本鎖又は二本鎖での核酸分子として本明細書においては定義
される。用語、核酸構築体とは、その核酸構築体が本発明のコード配列の発現の
ために必要とされるすべてのコントロール配列を含む場合、用語、発現カセット
と類似する。用語“コード配列”は、本明細書において定義される場合、コント
ロールmRNA中に転写され、そして本発明のポリペプチドに翻訳される配列で
ある。コード配列の境界は一般的に、mRNAの5′−末端でのオープンリーデ
ィングフレームのすぐ上流にある翻訳開始コドンATG及び3′−末端でのオー
プンリーディングフレームのすぐ下流にある翻訳終止コドンにより決定される。
コード配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成、組換又はその組合せ
を包含するが、但しそれらだけには限定されない。本明細書に記載の核酸構築体
のコード配列はオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードす
る本発明のヌクレオチド配列であってよく(「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を
有するポリペプチドをコードする単離された核酸配列」の章に定義)、それにお
いてはこの核酸構築体は上記の章又は当該核酸配列の関与するその他の操作で規
定するオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドの生産のために利用
されうる。又は、このコード配列は本発明の突然変異細胞内で産生される異種ポ
リペプチドをコードするものであってよい。
【0069】 用語、“コントロール配列”とは、異種ポリペプチドの発現のために必要であ
るか又は好都合であるすべての成分を包含するよう本明細書において定義される
。個々のコントロール配列は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列に対して
生来のものであり、又は外来性であり得る。そのようなコントロール配列は、リ
ーダー、ポリアデニル化配列、ペプチド配列、プロモーター、シグナル配列、及
び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で
は、コントロール配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含
する。コントロール配列は、異種ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領
域とのコントロール配列の連結を促進する特異的制限部位を導入するためのリン
カーを供給され得る。用語、“作用可能的式に連結される”とは、コントロール
配列が、異種ポリペプチドの生成を指令するよう DNA配列のコード配列に対して
一定の位置に適切に置かれている配置(configuration)として本明細書で定義さ
れる。
【0070】 コントロール配列は、適切なプロモーター配列、すなわち核酸配列の発現のた
めに細胞、特に糸状菌細胞により認識される核酸配列であり得る。プロモーター
配列は、異種ポリペプチドの発現を仲介する転写コントロール配列を含む。プロ
モーターは、突然変異細胞等の細胞において転写活性を示すいずれかの核酸配列
であり得、突然変異、切断された及びハイブリッドのプロモーターを包含し、そ
して細胞に対して相同であるか又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコー
ドする遺伝子から得られる。
【0071】 糸状菌宿主おいて本発明の核酸構築体の転写を指令するための適切なプロモー
ターの例は、アスペルギルス・オリザ TAKA アミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ
(Rhizomucor miehei)のアスパラギン酸プロティナーゼ、アスペルギルス・ニガ
ーの中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガーの酸性安定性α−アミラーゼ
、アスペルギルス・ニガー又はアスペルギルス・アワモリのグルコアミラーゼ(
glaA)、リゾムコル・ミエヘイのリパーゼ、アスペルギルス・オリザのアルカリ
プロテアーゼ、アスペルギルス・オリザのトリオース ホスフェート イソメラ
ーゼ、アスペルギルス・ニジュランスのアセトアミダーゼ、アスペルギルス・オ
リザのアセトアミダーゼ(amdS)、フサリウム・オキシスポラムのトリプシ
ン様プロテアーゼ(米国特許第 4,288,627号に記載される)をコードする遺伝子
から得られたプロモーター、及びその変異体、切断された及びハイブリッドプロ
モーターである。特に好ましいプロモーターは、TAKAアミラーゼ、NA2-tpi(ア
スペルギルス・ニガーの中性α−アミラーゼ及びアスペルギルス・オリザのトリ
オースホスフェート イソメラーゼをコードする遺伝子からのプロモーターのハ
イブリッド)、及びグルコアミラーゼプロモーターである。
【0072】 コントロール配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終
止するために宿主細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列
は、異種ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作用可能式に連結され
る。宿主細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが、本発明におい
て使用され得る。
【0073】 糸状菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、アスペルギルス・オリザ
の TAKA アミラーゼ、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ、アスペルギ
ルス・ニジュランスのアントラニレート シンターゼ、アスペルギルス・ニガー
のα−グルコシダーゼ、及びフサリウム・オキシスポラムのトリプシン株プロテ
アーゼをコードする遺伝子から得られる。
【0074】 コントロール配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち細胞による翻訳のた
めに重要であるmRNAの非翻訳領域であり得る。リーダー配列は、異種ポリペプチ
ドをコードする核酸配列の5’末端に作用可能式に連結される。細胞において機
能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
【0075】 糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギルス・オリザの TAK
A アミラーゼ及びアスペルギルス・ニジュランスのトリオース ホスフェート イ
ソメラーゼをコードする遺伝子から得られる。
【0076】 コントロール配列はまた、ポリアデニル化配列、すなわち核酸配列の3’末端
に作用可能式に連結され、そして転写される場合、転写されたmRNAにポリアデノ
シン残基を付加するためにシグナルとして宿主細胞により認識される配列であり
得る。細胞において機能的であるいずれかのポリアデニル化配列が、発明におい
て使用され得る。
【0077】 糸状菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギルス・オ
リザの TAKA アミラーゼ、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ、アスペ
ルギルス・ニジュランスのアントラニレート シンターゼ、及びアスペルギルス
・ニガーのα−グルコシダーゼをコードする遺伝子から得られる。
【0078】 コントロール配列はまた、細胞分泌路中にコードされたポリペプチドを誘導す
ることができるポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードす
る、シグナルペプチドコード領域でもあり得る。核酸配列のコード配列の5’末
端は、分泌されたポリペプチドをコードするコード領域のセグメントにより翻訳
読取り枠においtを整合して天然において連結されるシグナルペプチドコード領
域を本来含むことができる。他方では、コード配列の5’末端は、そのコード配
列に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。外来
性シグナルペプチドコード領域は、コード配列が通常、シグナルペプチドコード
領域を含まない場合に必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード
領域は、ポリペプチドの増強された分泌を得るために天然のシグナルペプチドコ
ード領域を単純に置換することができる。シグナルペプチドコード領域は、アス
ペルギルス種からのグルコアミラーゼ又はアミラーゼ遺伝子、リゾムコール種か
らのリパーゼ又はプロティナーゼ遺伝子から得られる。しかしながら、細胞の分
泌路中に発現されたポリペプチドを誘導するいずれかのシグナルペプチドコード
領域が、本発明において使用され得る。
【0079】 糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギ
ルス・オリザの TAKA アミラーゼ遺伝子、アスペルギルス・ニガーの中性アミラ
ーゼ遺伝子、リゾムコール・ミエヘイのアスパラギン酸プロティナーゼ遺伝子及
びヒュミコラ・ラヌギノサのセルラーゼ遺伝子から得られるシグナルペプチドコ
ード領域である。
【0080】 コントロール配列は、ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコ
ードするぺプチドコード領域でもあり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素
又はプロポリペプチド(多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポ
リペプチドは一般的に不活性であり、そしてプロポリペプチドからのプロペプチ
ドの触媒的又は自己触媒的分解により成熟した活性ポリペプチドに転換され得る
。プロペプチドコード領域は、リゾムコール・ミエヘイプロテナーゼ及びマイセ
リオフソラ・サーモフィラのラッカーゼコード遺伝子(WO 95/33836)から得られ
る。
【0081】 シグナルペプチド及びプロペプチドの双方がポリペプチドのアミノ末端にある
場合、このプロペプチド領域はポリペプチドのアミノ末端の隣に位置し、そして
シグナルペプチド領域はプロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置する。
【0082】 本発明の核酸構築体はまた、ポリペプチドの発現を指令するために好都合であ
る1又は複数の因子、たとえば転写活性化因子(たとえばトランス−作用因子)
、カペロン(chaperone)及びプロセッシング プロテアーゼをコードする1又は複
数の核酸配列を含んで成る。選択の宿主細胞において機能するいずれかの因子が
本発明において使用され得る。1又は複数のそれらの因子をコードする核酸は、
異種ポリペプチドをコードする核酸配列と必ずしもタンデムで存在しない。
【0083】 宿主細胞の増殖に関して異種ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列
を付加することがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包
含する、化学的又は物理的剌激に応答して遺伝子の発現のターンオン又はターン
オフを可能にするものである。糸状菌においては、TAKAα−アミラーゼプロモー
ター、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ プロモーター、及びアスペ
ルギルス・オリザのグルコアミラーゼ プロモーターが、調節配列として使用さ
れる得る。調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである、重金属に
より増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。それらの場合、異種ポリペ
プチドをコードする核酸配列は、調節配列により作用可能式に連結される。
【0084】 上記の種々の核酸及びコントロール配列は、異種ポリペプチドをコードする核
酸配列の挿入又は置換を可能にするための1又は複数の便利な制限部位を含むこ
とができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では
、異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、前記核酸配列、又は前記配列を含
んで成る核酸構築体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって
発現され得る。発現ベクターを創造する場合、前記コード配列は、そのコード配
列が発現及びたぶん分泌のために適切なコントロール配列と作用可能式に連結さ
れるよう、ベクターに位置する。
【0085】 組換え発現ベクターは、組換え DNA方法に簡単にゆだねられ得、そして核酸配
列の発現をもらたすことができるいずれかのベクター(たとえばプラスミド又は
ウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入されるべ
き細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは線状化された又は
環状化された環状プラスミドであり得る。ベクターは、自主的に複製するベクタ
ー、すなわち染色体外実在物として存在するベクター(この複製は染色体複製に
無関係である)、たとえばプラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、又は人工染
色体であり得る。ベクターは自己複製を確保するためのいずれかの手段を含むこ
とができる。他方では、ベクターは、宿主細胞中に導入される場合、ゲノム中に
組込まれ、そしてそれが組込まれている染色体と共に複製されるものであり得る
。ベクターシステムは、宿主細胞のゲノム中に導入されるべき全体の DNA、又は
トランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベク
ター又はプラスミドであり得る。
【0086】 本発明のベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にす
る1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、殺生物性又は耐ウィルス
性、重金属に対する耐性、原栄養体の独立栄養生物への変換、等を提供する遺伝
子生成物である。糸状菌宿主細胞への使用のための選択マーカーは、amdS(アセ
トアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(
ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ヒグロマイシンホス
ホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5’
−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)及びtr
pC(アントラニル酸シンターゼ)、並びにその同等物を包含する群から選択され
得るが、但しこれらだけには限定されない。アスペルギルス・ニジュランス又は
アスペルギルス・オリザのamdS及びpyrG遺伝子、及びストレプトマイセス・ヒグ
ロスコピカスの bar遺伝子が、アスペルギルス細胞への使用のために好ましい。
【0087】 本発明のベクターは好ましくは、細胞ゲノム中へのベクターの安定した組込み
、又は細胞のゲノムに無関係の細胞におけるベクターの自主的複製を可能にする
要素を含む。
【0088】 導入とは、核酸配列を含んでなるベクターを細胞に、そのベクターが染色体組
み込み物又は自己複製式染色体外ベクターとして維持されるように導入すること
を意味する。組み込むが一般に有利と考えられ、なぜなら核酸配列は細胞内でよ
り安定でありがちだからである。染色体へのベクターの組み込みは相同組換え、
非相同組換え又はトランス転移により起こる。
【0089】 発現ベクターの細胞への導入は、周知の態様に従うプロトプラストの形式、プ
ロトプラストの形質転換及び細胞壁の再生から成る工程を包括する。アスペルギ
ルスの形質転換のための適当な手法は、ヨーロッパ特許238023号及びYeltonなど
.,1984,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 8 1: 1470-14
74に記載されている。フサリウム種を形質転換する適切な方法は、 Malardierな
ど.,1989,Gene 78: 147-156、又はWO96/00787 に記載される。
【0090】 本発明のベクターは、細胞ゲノム中に導入される場合、宿主細胞ゲノム中に組
込まれ得る。組込みのためには、ベクターは、異種ペプチドをコードする核酸配
列、又は相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの安定した組込みの
ためのベクターのいずれか他の要素に依存することができる。他方では、ベクタ
ーは、細胞のゲノム中への相同組換えによる組込みを指令するための追加の核酸
配列を含むことができる。その追加の核酸配列は、染色体中の正確な位置での宿
主細胞ゲノム中へのベクターの組込みを可能にする。正確な位置での組込みの傾
向を高めるためには、組込み要素は好ましくは、十分な数の核酸、たとえば 100
〜1,500 個の塩基対、好ましくは 400〜1,500 個の塩基対、及び最とも好ましく
は 800〜1,500 個の塩基対を含むべきであり、ここでそれらの要素は相同組換え
の確立を高めるためにその対応する標的配列とひじょうに相同性である。その組
込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配列と相同であるいずれかの配列で
あり得る。さらに、組込み要素は、非コード又はコード核酸配列であり得る。他
方では、ベクターは、非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組込まれ得る。
【0091】 自主複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてベクターの
自主的な複製を可能にする複製起点を含んで成る。
【0092】 本発明の方法は当該突然変異細胞を獲得するための特定の順序に限定されない
。オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドの生産に関与する遺伝子
の修飾は、異種ポリペプチドの生産のための細胞の構築における任意の段階にお
いて親細胞の中に導入することができうる。細胞は異種ポリペプチドをコードす
る遺伝子の導入の前に本発明の方法を利用してオキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠陥に
既にされていることが好ましい。
【0093】 組換発現ベクターを構築するために本明細書に記載の要素をライゲーションす
るために用いる手順は当業者に周知である(例えば、J.Sambrook,E
.F.Fritsch,and T.Maniatus,1989,Molec
ular Cloning,A Laboratory Manual、第2版
、Cold Spring Harbor,New York 参照のこと)。
【0094】 本発明はまた、オキサロ酢酸ヒドロラーゼ欠陥突然変異細胞、特に糸状菌突然
変異細胞を獲得するための方法であって、(a)親細胞、特に親糸状菌細胞にオ
キサロ酢酸ヒドロラーゼの産生に関与する遺伝子の少なくとも一つの修飾を含ん
で成る第一核酸配列及び異種ポリペプチドをコードする第二核酸配列を導入し;
そして(b)同一条件下で培養したときに親細胞よりも少ない量のオキサロ酢酸
ヒドロラーゼを産生するこの修飾核酸配列を含んで成る工程(a)由来の突然変
異体を同定することを含んで成る方法に関連する。
【0095】 本発明はまた、異種ポリペプチドを産生するための細胞、特に糸状菌細胞のオ
キサロ酢酸ヒドロラーゼ突然変異体に関連し、ここでこの細胞はオキサロ酢酸ヒ
ドロラーゼ活性を有するポリペプチドの産生に関与する遺伝子の少なくとも一の
修飾を含んで成る第一核酸配列及び異種ポリペプチドをコードする第二核酸配列
を含んで成り、ここで当該突然変異体は同一条件下で培養したときにその親細胞
よりも少ない量のオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを産生す
るものである。
【0096】 本発明の別の観点において、この突然変異細胞は更に所望の産物、例えば注目
の異種ポリペプチドの産生、回収及び/又は用途にとって有害でありうるタンパ
ク質をコードする1又は複数の核酸配列の修飾を含みうる。この修飾は1又は複
数の第三の核酸配列の発現を抑制又は消失させ、同一条件下で培養したときにこ
の第三の核酸配列が修飾されていない突然変異細胞よりも多い量の異種ポリペプ
チドを産生しうる修飾第三核酸配列を有する突然変異細胞をもたらす。この第三
の核酸配列は任意のタンパク質又は酵素をコードしうる。例えば、この酵素はア
ミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルアミヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ
、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリ
コシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルフ
ァ−ガラクトシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルフ
ァ−グルコシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、
リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペ
ルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、
タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ及びキシラナ
ーゼであってよい。この第三の核酸配列は好ましくはタンパク質分解酵素、例え
ばアミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、又はプロテアーゼをコードす
る。
【0097】 更なる観点において、本発明は本発明の方法により産生されるオキサロ酢酸ヒ
ドロラーゼ活性を本質的に有さないタンパク質産物に関連する。
【0098】 本発明は更に、SEQ ID NO:1の核酸配列、そのサブ配列又はその相
同体(「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離
された核酸配列」の章に記載)を含む、当該配列の発現のための核酸構築体、組
換発現ベクター及び宿主細胞に関連する。この構築体及びベクターは本明細書に
記載の通りにして構築できうる。この宿主細胞は核酸配列の発現のために適当な
任意の細胞、特に本発明の核酸配列の起源として「オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活
性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸配列」の章に記載の任意の
細胞であってよい。特に、宿主細胞は糸状菌細胞、例えばアスペルギルスの細胞
、例えばA.ニガー又はA.オリザ、又はフサリウムの細胞である。
【0099】 真菌細胞は、プロトプラスト形成、そのプロトプラストによる形質転換、及び
それ自体既知である態様での細胞壁の再生を含有する方法により形質転換され得
る。アスペルギルス宿主細胞の形質転換のための適切な方法は、ヨーロッパ特許
238023号及びYeltonなど.,1984,Proceedings of the National Academy of Sci
ences USA 8 1: 1470-1474に記載されている。フサリウム種を形質転換する適切
な方法は、 Malardierなど.,1989,Gene 78: 147-156、又はWO96/00787 に記
載される。酵母は、Becker and Guarente,Abelson,J.N.and Simon,M.I.,ed
itors,Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods in Enzymol
ogy,Vo1ume 194,pp182-187,Academic Press, Inc.,New York; Itoなど.,1
983,Journal of Bacteriology 153: 163; 及びHinnenなど.,1978,Proceeding
s of the National Academy of Sciences USA 75: 1920により記載される方法を
用いて形質転換され得る。
【0100】 生成方法 本発明はまた、(a)本発明のヌクレオチド配列を保有する宿主細胞を当該ポ
リペプチドの生産を誘導する条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを
回収することを含んで成る、本発明のヌクレオチド配列によりコードされるポリ
ペプチドを生産するための方法にも関する。
【0101】 本発明はまた、(a)宿主細胞を、当該ポリペプチドの生産を誘導する条件下
で培養し、ここで当該宿主はSEQ ID No:1の成熟ポリペプチドコード
領域内に少なくとも一の突然変異を有する突然変異核酸配列を含んでなり、ここ
で当該突然変異核酸配列はSEQ ID No:2のアミノ酸1〜341から成
るポリペプチドをコードし;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含
んで成る、本発明のポリペプチドを生産するための方法にも関する。
【0102】 本発明の生産方法において、細胞は、当業界において知られている方法を用い
て、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。たとえば
、細胞は、適切な培地において、及びポリペプチドの発現及び/又は単離を可能
にする条件下で行なわれる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培
養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給−バッチ、又は固体状態発酵を
包含する)により培養され得る。培養は、当業界において知られている方法を用
いて、炭素及び窒素源、及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において行なわ
れる(たとえば、細菌及び酵母についての参考文献; Bennett,J.W.and LaSure
,L.,editors,More Gene Manipulations in Fungi,Academic Press,CA,199
1を参照のこと)。適切な培地は、商業的供給者から入手でき、又は公開された
組成(たとえば、American Type Culture Collectionのカタログにおける)に従
って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地中に分泌される場合、ポリペプチド
は培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細
胞溶解物から回収される。
【0103】 ポリペプチドは、そのポリペプチドに対して特異的である、当業界において知
られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特異的抗体の使用
、酵素生成物の形成、又は酵素基質の消出を包含する。たとえば、酵素アッセイ
は、ポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。
【0104】 得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得
る。たとえば、ポリペプチドは、従来の方法、たとえば遠心分離、濾過、抽出、
噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により栄養培
地から回収され得る。
【0105】 得られるポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、たとえば
クロマトグラフィー(たとえば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマ
トフォーカシング、及びサイズ排除)、電気泳動法(たとえば分離用等電点電気
泳動)(IEF)、示差溶解性(たとえば硫酸アンモニウム沈殿)、SDS-PAGE、又は
抽出(たとえば、 Protein Purification,J.-C.Janson and Lars Ryden,editor
s,VCH Publishers,New York,1989を参照のこと)(但し、それらだけには限定
されない)により精製され得る。
【0106】 用途 本発明は更にオキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを利用する
方法に関連する。
【0107】 本発明のポリペプチドは診断用酵素として、例えば食品又はその他の製品にお
けるシュウ酸の検出のために利用されうる。
【0108】 本発明のヌクレオチド配列は細胞、例えばヒドロラーゼを通常産生する微生物
細胞によるオキサロ酢酸ヒドロラーゼ、それ故シュウ酸の生産の改変のために利
用されうる。特に、このヌクレオチド配列は注目の細胞のオキサロ酢酸ヒドロラ
ーゼ、それ故シュウ酸の生産能を抑制又は消失させるために利用されうる。
【0109】 本発明を以下の非限定的な実施例で更に詳しく説明する。
【0110】 実施例 緩衝剤及び基質として用いた化学品は少なくとも同薬級の商品とした。
【0111】 株: アスペルギルス・ニガーBO1(DSM 12665) 大腸菌DH5αD.M.Woodcockら、(1989) Nucleic Acids Res.17,3469−3478
【0112】 培地及びアッセイ バッファーA:50mMのトリス/HCl pH7.5,2mMのMnCl2 , 20mMのDTT,5%のスクロース
【0113】 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性アッセイ:1000mlの0.1MのMOPS、
pH7.5、2mMのMnCl2 25mlの40mMのオキサロ酢酸塩、5〜100mlの
サンプル。吸収は255nmで測定した。活性は吸収の低下速度及びオキサロ酢酸
塩の吸収係数からもとめた(1.1mM−1cm−1,Lenzら、Partia
l purification and some properties o
f oxalacetase from Aspergillus niger
.1976,Eur.J.Biochem.65:255−236)。アッセイ
は30℃で実施した。
【0114】 タンパク質アッセイ:タンパク質濃度はBioRad(Hercules,C
A,USA)Bio−Rad Protein Assay)cat.No.5
00−0006を用い、製造者の仕様書に従い、且つ標準品として牛血清アルブ
ミンを用いて測定した。
【0115】 実施例1 オキサロ酢酸ヒドロラーゼの精製(EC 3.7.1.1) アスペルギルス・ニガーBO1を振濁フラスコの中で、30℃にて、以下の培
地の中で発酵させた:スクロース20g/L,NaNO3 15gL,KH2 PO 4 1.5g/L,MgSO4 ・7H2 O 1g/L,NaCl 1g/L,Ca
Cl2 ・2H2 O 0.1g/L,微量溶液0.5ml/L。微量溶液:ZnSO 4 ・7H2 O 14.3g/L,CuSO4 ・5H2 O 2.5g/L,NiC
2 ・6H2 O 0.5g/L,FeSO4 ・7H2 O 13.8g/L,Mn
Cl2 6g/L。pHは約0.5g/Lのバイオマス濃度が達成されるまで2.5
とした。次いでpHを2MのNaOHの添加により6にシフトさせ、そして細胞を
バイオマス濃度が約5g/Lに達するまで増殖させた。細胞を濾過により集め、
0.9%(W/V)のNaClで洗い、そして液体窒素の中で凍結させた。凍結
細胞を乳鉢の中で液体窒素を伴って破壊し、次いでバッファーAに懸濁した。そ
の懸濁物を遠心分離し(15min、40,000g、4℃)、そしてその上清
液を単離した。硫酸アンモニウムを45%飽和となるまで加え(277g/L)
、そして形成された懸濁物を遠心分離し(15min、40,000g、4℃)
、そしてその上清液は廃棄した。そのパレットをバッファーAに溶解し、そして
0.45μmのフィルターで濾過した。
【0116】 硫酸アンモニウムをサンプルに50mS/cmの導電率となるまで加えた。次に
そのサンプルをバッファーAに溶解した0.5mの硫酸アンモニウムで平衡にし
たPhenyl Sepharose High Performance カ
ラム(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsal
a)に、その製造者の仕様書に従って載せた。このカラムを同バッファーで洗い
、次いでバッファーAに溶解した0.5mの硫酸アンモニウムから純粋なバッフ
ァーAに至る線形塩勾配を用いて溶出させた。
【0117】 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有する画分をプールした。この溶液を2mMの
MnCl2 、20mMのDTT、5%のスクロースで4mS/cmの導電率にまで希
釈し、次いでバッファーAで平衡にしたQ Sepharose High P
erformance カラム(Amersham Pharmacia Bi
otech,Uppsala)に載せた。このカラムをバッファーAで洗い、次
いでバッファーAと溶解した0Mから0.5Mに至るNaClの線形塩勾配を用
いて溶出させた。オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有する画分をプールした。
【0118】 これらのサンプルを10mMのNaH2 PO4 pH7.2、0.1mMのMnCl2
、5%のスクロース、10mMのDTTで平衡にしておいたPD−10カラム(A
mersham Pharmacia Biotech,Uppsala)に載
せ、そして同バッファーで溶出させた。そのサンプルを10mMのNaH2 PO4
pH7.2、0.1mMのMnCl2 、5%のスクロース、10mMのDTTで平衡に
したEcono−Pac HTPカラムに載せた。そのカラムを10mMのNaH 2 PO4 pH6.8、0.1mMのMnCl2 、5%のスクロース、10mMのDTT
で洗い、次いで10mMのNaH2 PO4 pH6.8、0.1mMのMnCl2 、5%
のスクロース、10mMのDTTから400mMのNaH2 PO4 pH6.8、0.1
mMのMnCl2 、5%のスクロース、10mMのDTTに至る線形勾配で溶出させ
た。オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するサンプルをSDS−PAGEのため
に用いた。
【0119】 実施例2 オキサロ酢酸ヒドロラーゼの画分のタンパク質配列の決定 実施例1の精製オキサロ酢酸ヒドロラーゼを標準の方法を利用して12.5%
のゲル上でのSDS−PAGEゲル電気泳動にかけた(Laemmli,U.K
.1970.Cleavage of structural protein
s during the assembly of the head of
bacteriophage T4.Nature.227:680−685
)。タンパク質をエレクトロブロッティングによりPVDF膜にブロットし、そ
してその膜をクマジ−ブリリアントブルーR−250により、Ploughら(
Plough M,Jensen AL and Barkholt V.19
89:Anal Biochem,181:33−39)に記載の通りにして染
色した。38〜40kDの見かけ上の分子量の範囲内の4本のタンパク質バンド
を切り出し、そしてPerkin Elmer−Applied Biosys
tems,Norwalk,CT,USA由来のProcise−494タンパ
ク質シーケンサーを用い、その製造者の仕様書に従ってアミノ末端配列決定した
。以下の配列が得られた。
【化1】
【0120】 実施例3 オキサロ酢酸ヒドロラーゼをコードする遺伝子のクローニング 実施例2で決定されたタンパク質配列をデーターベースサーチのために用い、
そしてアスペルギルス・ニガーEST配列が回収できた(EMBL,T8275
2,AN752)。このESTは実施例2由来の4本の配列と100%の同一性
をもってアライニングできるタンパク質配列をコードする。このEST配列を下
記のPCRプライマーのデザインのために用いた。
【化2】
【0121】 これらのプライマーをLeachら(J.Leach,D.B.Finkel
stein and J.A.Rambosek(1986)Fungalge
nt.newsl.,33,32−33)に本質的に記載の通りにして、Per
kin Elmer(Norwalk,CT,USA)由来のamplitaq
taqポリメラーゼを用いてその製造者の仕様に従い調製したA.ニガーBO
1からDNAを増幅するために用いた。PCR反応はMJ PCT 150キャ
ピラリーPCRサイクラー(MJ Research,Watertown,M
A,USA)の中で、10μlの容量において、94℃で10秒の変性温度、5
5℃で10秒のアニーリング温度及び72℃で30秒の伸長温度のサイクルを3
0回運転して、変性温度からアニーリング温度に至る温度勾配を−0.5℃/秒
として、行った。
【0122】 得られる219bpのフラグメントをpCRIIベクター(Invitrogen
,Carlsbad,CA,USA)の中に、その製造者の仕様書に従ってライ
ゲーションし、そして大腸菌DH5αにSambrook(J.Sambroo
kら(1989)Molecular cloning:a laborato
ry manual、第2版、Cold Spring Harbor Lab
oratory Press)に記載の通りにして形質転換させた。予測のサイ
ズのインサートを含むクローンを次のプライマーを用いて配列決定した。
【化3】
【0123】 DNA配列分析はABI PRISM 377 DNAシーケンサーをABI
PRISM BigDye Terminator Cycle Seque
ncing Ready Reaction Kit(Perkin Elme
r Applied Biosystems,Foster City,CA,
USA)と共に、その製造者の推奨に従って用いることで行った。その配列はフ
ラグメントが所望の配列であることを確証した。
【0124】 制限地図はSambrookらのプロトコールに従い、プローブとして219
bpのインサートを用いるサザンブロット分析により確立した。この制限地図から
、この遺伝子は5kbのBgLIIフラグメント上にあると考えられた。
【0125】 次にこの遺伝子を逆PCRによりクローニングした。A.ニガーBO1由来の
ゲノムDNAをBgLIIで消化し、そして4kbから6kbに範囲するフラグメント
をアガロースゲルから回収した。そのDNAをT4 DNAリガーゼを用いて1
6℃でライゲーションした。このライゲーション混合物を下記のプライマーを用
いるPCR反応において鋳型として用いた。
【化4】
【0126】 増幅のためにExpand High Fidelityポリメラーゼ(Bo
ehringer Mannheim,Mannheim,Germany)を
その製造者の推奨に従って用いた。反応におけるMgCl2 の濃度は1mMとした
。その他の条件は上記の通りである。5kbのフラグメントができた。このフラグ
メントをBgLIIで消化し、そしてその消化したフラグメントをBamHI及び
HincIIで消化したpUC19(C.Vanisch−Perronら(19
85)Gene 33,103−119)にライゲーションした。そのライゲー
ション混合物を大腸菌DH5αに形質転換させた。1.3kb及び3.7kbのイン
サートサイズを有するコロニーが認められた。各クラスのコロニー一つをMBリ
バースプライマー及びM13フォワード(−20)プライマーを用いて配列決定
した。このようにして、BgLII近位配列が決定され、そして下記のプライマー
をこの5kbBgLIIフラグメントのPCR増幅のためにデザインした。
【化5】
【0127】 これらのプライマーを逆PCRと同じPCR条件を利用してゲノムA.ニガー
BO1DNAを増幅するのに用いた。作製された5kbフラグメントをpCRIIに
ライゲーションし、pHPIを作った。オキサロ酢酸ヒドロラーゼ遺伝子を鋳型と
してのpHPIと、下記のプライマーを用いて配列決定した。
【化6】
【化7】
【0128】 そのDNA配列をSEQ ID NO:1に示す。この配列をコード配列につ
いて及びイントロンの存在についてコンピューターソフトウェアNetgene
2(S.M.Hebsgaard,P.G.Korning,N.Tolst
rup,J.Engelbrecht,P.Rouze,S.Brunak,1
996,Nuleic Acids Research 24:3439−34
52)を用いて解析し、3つのエキソンの存在を示唆した(SEQ ID NO
:1の備考を参照のこと)。これら3つのイントロンから推定した341残基タ
ンパク質配列をSEQ ID NO:2に示す。
【0129】 疑問配列としてこのタンパク質配列(oah)を用いるデーターベースサーチ
は、アスペルギルス・ニジュランス(Swiss prot P28298)及
びニューロスポラ・クラッサ(Swiss prot P28299)由来のイ
ソクエン酸イソメラーゼ、並びにストレプトマイセスヒグロスコピカス(Swi
ss prot P11435)由来のカルボキシビニルカルボキシホスホネー
トホスホリルムターゼ及びバチルス・スプリチス(Swiss prot P5
4528)由来のヒポセティカルタンパク質との配列相同性を示した。
【0130】
【表1】
【0131】 プラスミドpHPIを保有する大腸菌株はDSM 12660として寄託した。
【0132】 実施例4 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ遺伝子の中断 pHPIをNruI及びBstEIIで消化し、そして6.6kbのフラグメントが
単離された。アスペルギルス・ニガーpyrG遺伝子を保有するプラスミド、p
JRoy10(図1)をNcoIで消化し、そして5’へこみ末端をDNAポリ
メラーゼIのクレノウフラグメントで埋め、次にBstEIIで消化した。294
8bpのフラグメントが単離され、そしてpHPIのフラグメントにライゲーション
した。そのライゲーション混合物を大腸菌DH5αの形質転換のために用いた。
所望のプラスミドを保有するコロニーを同定し、そしてそのプラスミドをpHP3
と命名した(図2)。プラスミドpHP3を保有する大腸菌株をDSM 1266
1として寄託した。
【0133】 pyrG欠陥A.ニガーBO1誘導体JRoy3(BO1はpyrG遺伝子領
域の欠失フラグメントによる形質転換及びFOAでの選別によりpyrGネガテ
ィブとなっている)をpHP3の5kbのEcoRI−NotIフラグメントでEP
特許EP0531372B1に記載の方法に従い形質転換した。275の形質転
換体を2回再単離し、次いで96穴マイクロタイター皿の中で34℃にして、pH
6.0で48hrかけ、 培地、グルコース20g/L,NaNO3 15g/L,KH2 PO4 1.5g
/L,MgSO4 ・7H2 O 1g/L,NaCl 1g/L,CaCl2 ・2
2 O 0.1g/L,微量溶液0.5ml/Lの中で増殖させた。微量溶液:Z
nSO4 ・7H2 O 14.3g/L,CuSO4 ・5H2 O 2.5g/L,
NiCl2 ・6H2 O 0.5g/L,FeSO4 ・7H2 O 13.8g/L
,MnCl2 6g/L。その上清液をSigma(St.Louis,MO,U
SA)シュウ酸(cat.No.591−C)キットを用いてシュウ酸について
アッセイした。8の形質転換体がシュウ酸を生産しないことがわかった。そのう
ち6つをサザンブロット分析に、2つのシュウ酸産生形質転換体BO1及びJR
oyを陽性コントロールとして一緒にかけた。実施例3に記載の219bpのES
T PCRフラグメントをプローブとして用いた。同じサンプルの別のブロット
をpJRoy10のNcoI−BstEIIフラグメントでプロービングした。サ
ザンブロットは6つのシュウ酸陰性株がオキサロ酢酸遺伝子内で中断されており
、陽性コントロールは完全なオキサロ酢酸遺伝子を含むことを示した。
【0134】 実施例5 オキサロ酢酸陰性株の発酵 オキサロ酢酸陰性株の一つを、攪拌、温度制御、pH制御及び通気の備ったバッ
チ発酵槽の中で増殖させた。その培地はグルコース16g/L,(NH42SO 4 7.5g/L,KH2 PO4 1.5g/L,MgSO4 ・7H2 O 1g/L
,NaCl 1g/L,CaCl2 ・2H2 O 0.1g/L,微量溶液0.5
ml/Lである。微量溶液:ZnSO4 ・7H2 O 14.3g/L,CuSO4
・5H2 O 2.5g/L,NiCl2 ・6H2 O 0.5g/L,FeSO4
・7H2 O 13.8g/L,MnCl2 6g/L。そのpHをバイオマスが0.
5g/Lの濃度に達するまで2.5とした。この時点でpHをpH6.0にシフトさ
せた。発酵ブロスをシュウ酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、酢酸
塩、グリセロール、エタノール及びグルコースについて分析した(Nissen
,T.L.,U.Schulze,J.Nielsen,and J.Vill
adsen.1997.Flux distributions in ana
erobic,glucose−limited continuous cu
ltures of Saccharomyces cerevisiae.M
icrobiol.143:203−218)。副産物のうち、クエン酸塩、ピ
ルビン酸塩、コハク酸塩およびグリセロールのみが検出でき、そしてこれらの副
産物の最大濃度はそれぞれ0.74g/L,0.81g/L,0.14g/L及
び0.13g/Lであった。グルコースに基づくバイオマス収率は0.58g/
gであり、比増殖速度は0.23h-1であった。
【0135】 微生物材料の寄託 下記の生物材料をブダペスト条約に従い、DSMZ−Deutsche Sa
mmlung von Mikroorganismen und Zellk
ulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38
124 Braunschweig,Germany)に寄託し、そして以下の
受託番号が付与された: 寄託ref. 受託番号 寄託日 NN049454 DSM 12660 1999−02−03 NN049455 DSM 12661 1999−02−03 NN049047 DSM 12665 1999−02−03
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例4に記載のプラスミドpHP3の構築を示す。
【図2】 実施例4に記載のプラスミドpHP3の構築を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/02 C12P 21/02 C C12P 7/48 C12R 1:685 21/02 1:19 //(C12N 1/15 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:685) 5/00 A (C12N 1/21 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA03 AA05 AA11 BA08 BA77 BA80 CA03 CA09 CA20 DA01 DA02 DA06 DA11 DA12 EA04 GA11 GA19 GA25 GA27 HA12 4B050 CC04 DD03 EE01 FF04E FF09E FF11E GG01 LL02 LL05 4B064 AD10 AG01 CA01 CA02 CA19 CC01 CC06 CC07 CC12 CC24 CD02 CD09 DA10 4B065 AA26X AA58X AA62X AA62Y AA72X AA87X AB01 AC14 AC20 BA02 BA16 BA24 BB03 BB15 BC02 BC03 BC08 BD01 BD14 BD15 BD18 CA24 CA28 CA42

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコー
    ドする単離された核酸配列であって: (a)SEQ ID NO:2のアミノ酸1〜341と少なくとも65%の同
    一性を有するアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードする核酸配列; (b)SEQ ID NO:1のヌクレオチド1157〜1411、1504
    〜1651及び1764〜2383から構成されるヌクレオチド配列と少なくと
    も65%の相同性を有する核酸配列; (c)中ストリンジェンシー条件下で(i)SEQ ID NO:1の核酸配
    列、(ii)SEQ ID NO:1のcDNA配列、(iii)少なくとも100ヌ
    クレオチドの(i)もしくは(ii)のサブ配列、又は(iv)(i)、(ii)もし
    くは(iii)の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列; (d)(a)、(b)又は(c)のアレル変異体; (e)(a)、(b)、(c)又は(d)のサブ配列、ここで当該サブ配列は
    オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドフラグメントをコードする
    ものである; から成る群から選ばれる核酸配列。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含んで成るポリペ
    プチドをコードする、請求項1記載の核酸配列。
  3. 【請求項3】 SEQ ID NO:1の核酸配列と少なくとも65%の相
    同性を有する、請求項1記載の核酸配列。
  4. 【請求項4】 SEQ ID NO:1の核酸配列を有する、請求項1記載
    の核酸配列。
  5. 【請求項5】 大腸菌株DSM12660に収容されたプラスミドpHP1の
    中に含まれている、請求項1記載の核酸配列。
  6. 【請求項6】 単離された核酸配列であって、(a)DNAを中ストリンジ
    ェンシー条件下で(i)SEQ ID NO:1の核酸配列、(ii)SEQ I
    D NO:1のcDNA、(iii)少なくとも100ヌクレオチドの(i)もしく
    は(ii)のサブ配列、又は(iv)(i)、(ii)もしくは(iii)の相補鎖とハイ
    ブリダイゼーションさせ;そして(b)当該核酸配列を単離することにより生産
    された核酸配列。
  7. 【請求項7】 適当な発現宿主内での前記ポリペプチドの産生を指令する1
    又は複数のコントロール配列に作用可能式に連結された請求項1〜6のいずれか
    1項記載の核酸配列を含んで成る核酸構築体。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の核酸構築体、プロモーター、並びに転写及び
    翻訳停止シグナルを含んで成る組換発現ベクター。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の核酸構築体を含んで成る組換宿主細胞。
  10. 【請求項10】 オキサロ酢酸ヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを生
    産するための方法であって、(a)請求項9記載の宿主細胞を当該ポリペプチド
    の産生に適した条件下で培養し、そして(b)当該ポリペプチドを回収すること
    を含んで成る方法。
  11. 【請求項11】 突然変異細胞を生産するための方法であって、請求項1〜
    6のいずれか1項記載の核酸又はそのコントロール配列を中断又は欠失させ、も
    との細胞よりも少ない量のオキサロ酢酸ヒドロラーゼを産生する突然変異体を生
    み出すことを含んで成る方法。
  12. 【請求項12】 (a)親細胞、特に糸状菌細胞に、オキサロ酢酸デヒドロ
    ラーゼの産生を司る少なくとも一の遺伝子の修飾を含んで成る核酸配列を導入し
    ;そして (b)同一条件下で親細胞よりも少ない量のオキサロ酢酸デヒドロラーゼを産
    生する工程(a)由来の突然変異細胞を同定する; ことを含んで成る請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12のいずれか1項記載の方法により生産
    された突然変異細胞。
  14. 【請求項14】 糸状菌細胞である、請求項13記載の突然変異細胞。
  15. 【請求項15】 アスペルギルス(Aspergillus)、例えばA.
    ニガー(A.niger)、アクレモニウム(Acremonium)、オーレ
    オバシジウム(Aureobasidium)、クリプトコッカス(Crypt
    ococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フサリウ
    ム(Fusarium)、ジッベレラ(Gibberella)、ヒュミコラ(
    Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(M
    ucor)、ミセリオフソラ(Myceliophthora)、ミロセシウム
    (Myrothecium)、ネオカリマスティックス(Neocallima
    stix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロマイセス(Pa
    ecilomyces)、ペニシリウム(penicillium)、ピロマイ
    セス(Piromyces)、シゾフィルム(Schizophyllum)、
    タラロマイセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoa
    scus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Toly
    pocladium)、又はトリコデルマ(Trichoderma)株の細胞
    である、請求項14記載の突然変異細胞。
  16. 【請求項16】 前記突然変異細胞が親細胞よりも、同一条件下で培養した
    ときに少なくとも約25%少ない量のオキサロ酢酸ヒドロラーゼ又はシュウ酸を
    産生する、請求項11〜15のいずれか1項記載の突然変異細胞。
  17. 【請求項17】 前記突然変異細胞がオキサロ酢酸ヒドロラーゼ又はシュウ
    酸を産生しない、請求項6記載の突然変異細胞。
  18. 【請求項18】 前記突然変異細胞が1又は複数の第三の核酸配列の1又は
    複数の修飾を更に含んで成り、ここで当該修飾は当該1又は複数の第三の核酸配
    列の発現を抑制又は消失させるものである、請求項1〜17のいずれか1項記載
    の突然変異細胞。
  19. 【請求項19】 前記第三の核酸配列がアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、
    カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチターゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナ
    ーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキ
    シリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼ、ベータ−ガ
    ラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ−グルコシダーゼ、ベータ−グル
    コシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、アンノシダーゼ、ムタナ
    ーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリ
    フェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグ
    ルタミナーゼ及びキシラナーゼから成る群から選ばれる酵素をコードする、請求
    項18記載の突然変異細胞。
  20. 【請求項20】 前記突然変異細胞が更にプロテアーゼをコードする1又は
    複数の遺伝子の修飾を含んで成る、請求項11〜19のいずれか1項記載の突然
    変異細胞。
  21. 【請求項21】 相同産物を生産するための方法であって、(a)請求項1
    1〜20のいずれか1項記載の突然変異細胞を当該産物の産生が誘導される条件
    下で培養し、そして(b)当該産物を回収することを含んで成る方法。
  22. 【請求項22】 前記相同産物がクエン酸である、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 異種ポリペプチドをコードする核酸配列を更に含んで成る
    、請求項11〜20のいずれか1項記載の突然変異細胞。
  24. 【請求項24】 異種ポリペプチドを生産するための方法であって、(a)
    請求項23記載の突然変異細胞を当該ポリペプチドの産生が誘導される条件下で
    培養し、そして(b)当該ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
  25. 【請求項25】 前記異種ポリペプチドがホルモン、ホルモン変異体、酵素
    、レセプター又はその一部、抗体又はその一部、又はリポーターである、請求項
    24記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記酵素がオキシドリダクターゼ、トランスフェラーゼ、
    ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、又はリガーゼ、好ましくはアミノペプ
    チターゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチターゼ、カタラー
    ゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトラ
    ンスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ−ガラク
    トシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ−グルコ
    シダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、
    アンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダ
    ーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌ
    クレアーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼである、請求項25記載
    の方法。
  27. 【請求項27】 診断酵素としての請求項1〜6のいずれか1項記載の核酸
    配列によりコードされるオキサロ酢酸デヒドロラーゼの利用。
  28. 【請求項28】 大腸菌株DSM 12260又はDSM 12661の実
    質的に純粋な培養物。
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