JP6288332B2 - 新規なグルコース脱水素酵素 - Google Patents
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Description
項1.下記の特性(1)及び(2)を備えるフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
(1)分子量: SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した該酵素のポリペプチド部分の分子量が約88kDaである。
(2)基質特異性: D−グルコースに対する反応性を100%としたときのD−キシロースに対する反応性が1.3%以下である。
項2.更に下記の特性(3)を備える、項1に記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
(3)Km値: D−グルコースに対するKm値が15mM以下。
項3.更に下記の特性(4)を備える、項1又は2に記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
(4)至適活性pH:pH6
項4.更に下記の特性(5)を備える、項1〜3のいずれかに記載のフラビンジヌクレオチド依存性グルコース脱水素酵素。
(5)至適活性温度:45℃
項5.更に下記の特性(6)を備える、項1〜4のいずれかに記載のフラビンジヌクレオチド依存性グルコース脱水素酵素。
(6)pH安定性: pH4.5〜8.0の範囲で安定
項6.更に下記の特性(7)を備える、項1〜5のいずれかに記載のフラビンジヌクレオチド依存性グルコース脱水素酵素。
(7)温度安定性: 45℃の温度で15分間維持した後の残存酵素活性率が90%以上。
項7.
(1)ムコール属に分類される微生物を培養すること、及び
(2)(1)で得られた培養物からグルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質を単離すること、
を含む、項1〜6のいずれかに記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素の製造方法。項8.項1〜6のいずれかに記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を用いるグルコ
ース濃度の測定方法。
項9.項1〜6のいずれかに記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を含むグルコースアッセイキット。
項10.項1〜6のいずれかに記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を含むグルコースセンサー。
1.フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ
フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼとは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する理化学的性質を有する酵素である。本書においては、この酵素活性をグルコースデヒドロゲナーゼ活性といい、特に断りが無い限り、「酵素活性」又は「活性」とは、当該酵素活性を意味する。前記電子受容体は、FGDHが触媒する反応において、電子の授受を担うことが可能である限り特に制限されないが、例えば、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)、フェナジンメトサルフェート(PMS)、1−メトキシ−5−メチルフェナジウムメチルサルフェート、及びフェリシアン化合物等を使用することができる。
<試薬>
50mM PIPES緩衝液pH6.5(0.1% TritonX−100を含む)
24mM PMS溶液
2.0mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)溶液
1M D−グルコース溶液
上記PIPES緩衝液20.5mL、DCPIP溶液1.0mL、PMS溶液2.0mL、D―グルコース溶液5.9mLを混合して反応試薬とする。
反応試薬3mLを37℃で5分間予備加温する。FGDH溶液0.1mLを添加しゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で、600nmの吸光度変化を5分記録し、直線部分から(即ち、反応速度が一定になってから)1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検はFGDH溶液の代わりにFGDHを溶解する溶媒を試薬混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってFGDH活性を求める。ここでFGDH活性における1単位(U)とは、濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1マイクロモルのDCPIPを還元する酵素量である。
活性(U/mL)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1×希釈倍率}/{16.3×0.1×1.0}
なお、式中の「3.1」は反応試薬+酵素溶液の液量(mL)、「16.3」は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm2/マイクロモル)、「0.1」は酵素溶液の液量(mL)、「1.0」はセルの光路長(cm)を示す。
本発明のFGDHを構成するポリペプチド部分の分子量は、SDS−PAGEで測定した場合に約88kDaである。「約88kDa」とは、SDS−PAGEで分子量を測定した際に、当業者が、通常88kDaの位置にバンドがあると判断する範囲を含むことを意味する。「ポリペプチド部分」とは、実質的に糖鎖が結合していない状態のFGDHを意味する。微生物によって生産された発明のFGDHが糖鎖結合型である場合は、それを熱処理や糖加水分解酵素によって処理することにより、糖鎖を除去した状態(即ち、「ポリペプチド部分」)にすることができる。実質的に糖鎖が結合していない状態とは、熱処理や糖加水分解酵素によって処理された糖鎖結合型FGDHに不可避的に残存する糖鎖の存在を許容する。よって、FGDHが本来的に糖鎖結合型でない場合は、それ自体が「ポリペプチド部分」に相当する。
本発明のFGDHは、基質特異性に優れている。特に、本発明のFGDHは、D−グルコースに対する反応性を基準とした場合に、少なくともD−キシロース、D−ガラクトース及びマルトースに対する反応性が有意に低い。より具体的に、本発明のFGDHは、同一濃度のD−グルコースに対する反応性を100%とした場合に、D−キシロースに対する反応性が1.2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.1%以下であり、更に好ましくは1.0%以下であり、より更に好ましくは0.9%以下であり、特に好ましくは0.8%以下である。
本発明のFGDHのマルトースに対する反応性は、同一濃度のD−グルコースに対する反応性を100%として、通常5%以下であり、好ましくは4%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは2.9%以下である。
本発明のFGDHは、本来の基質であるD−グルコースに対する親和性が高いことが好ましい。親和性が高いことにより、試料中のD−グルコースの濃度が低い場合であっても、上述する触媒反応を進めることができ、より正確なD−グルコース濃度の測定、より短時間での測定、及びより少ない酵素量での測定に資するからである。FGDHのD−グルコースに対する親和性は、Km値によって示される。Km値は、いわゆるミカエリス・メンテン式から求められる値であり、具体的には、上記1−1.に示す活性測定方法においてD−グルコースの濃度を変化させて各濃度における活性を測定し、ラインウィーバー・
バーク・プロットを作成することによって求めることができる。
本発明のFGDHの至適活性pHは、後述する実施例に示す通り、pH約6であることが好ましい。ここで至適活性pHが6であるとは、典型的に至適活性pHが6付近であり、ある程度の許容可能な幅を有することを意味する。本明細書において、至適活性pHは、後述の実施例に示すように、酵素濃度100U/mLでPIPES−NaOHバッファー中を用いて酵素活性を測定することで求められる。
本発明のFGDHの至適活性温度は、45℃であることが好ましい。ここで至適活性温度が45℃とは、典型的に至適活性温度が45℃付近であり、更にある程度の許容可能な幅を有することを意味する。他の観点から、本発明FGDHは、40℃で測定される酵素活性よりも45℃で測定される酵素活性の方が高いことが好ましい。更に別の観点から、本発明のFGDHは、45℃における酵素活性を基準(100%)として、50℃における酵素活性が60%以上であることが好ましく、30℃〜50℃の範囲における酵素活性が60%以上であることがより好ましい。本明細書において、至適活性温度は、後述する実施例に示す通り、酵素濃度0.1U/mLでPIPES−NaOHバッファー(pH6.5)中における酵素活性を測定することにより求められる。
本明細書において、特定のpH条件の下、10U/mLの酵素を25℃で16時間処理した後の残存酵素活性が、処理前の酵素活性と比較して80%以上である場合に、当該酵素は、当該pH条件において安定であると判断する。本発明のFGDHは、pH4.5〜8.0の範囲で安定であることが好ましい。本発明のFGDHは、pH6.0〜8.0の範囲で前記処理をした場合に、残存酵素活性が90%以上であることがより好ましい。
本明細書において、特定の温度条件の下、適当な緩衝液中(例えば酢酸カリウムバッファー(pH5.0))で100U/mLの酵素を15分間処理した後の残存酵素活性が、処理前の酵素活性と比較して実質的な低下が認められない(つまり約90%以上を維持する)とき、当該酵素は当該温度条件において安定であると判断する。本発明のFGDHは、0℃〜45℃において安定であることが好ましい。また、別の観点から、本発明のFGDHは、45℃で15分間熱処理した後の残存酵素活性が、熱処理前の酵素活性と比較して、90%以上であることが好ましく、更に好ましくは91%以上であり、より更に好ましくは92%以上であり、特に好ましくは93%以上である。
本発明のFGDHは、上述する特性を備える限り、その由来は特に制限されないが、例えば、ケカビ科に分類される微生物、より具体的にはムコール(Mucor)属、Absidia属、及びActinomucor属に分類される微生物に由来するものを例示することができる。更に具
体的には、Mucor guilliermondii、Mucor prainii、Mucor javanicus、及びMucor circinelloidesに帰属する微生物に由来するものを例示することができる。より更に具体的には、Mucor guilliermondii NBRC9403に由来するものを例示することができる。Mu
cor guilliermondii NBRC9403を含む多くのMucor属に属する微生物は、NBRC(NI
TE Biological Resource Center)(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門)に保管された菌株であり、所定の手続を経ることによってその分譲を受けることができる。また、土壌や河川・湖沼などの水系又は海洋に存在する微生物や各種動植物の表面または内部に常在する微生物などを単離源することができる。低温環境、火山などの高温環境、深海などの無酸素・高圧・無光環境、油田など特殊な環境に生育する微生物を単離源としてもよい。
本発明のFGDHの製造方法は、本発明のFGDHの取得が可能である限り特に制限されず、本発明のFGDHを産生する微生物を培養して、その培養上清又は菌体内から各種の精製を実施することにより製造することができる。本発明のFGDHの代表例は、後述する実施例に示す通り、ムコール(Mucor)属に分類される微生物から単離された。よっ
て、本発明のFGDHは、例えば、ケカビ科に分類される微生物、より具体的には、Mucor属、Absidia属、Actinomucor属等)に属する微生物、更に具体的にはMucor guilliermondii、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides等に属する微生物、より
更に具体的には、Mucor guilliermondii NBRC9403から単離することにより製造することができる。
アンモニウム、硫酸ナトリウムなどの塩析処理、あるいは親水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトンなどによる分別沈殿法により沈殿せしめればよい。また、加熱処理や等電点処理も有効な精製手段である。その後、吸着剤あるいはゲルろ過剤などによるゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーを行うことにより、精製されたFGDHを得ることができる。
グルコースデヒドロゲナーゼを用いたグルコースの測定方法は既に当該技術分野において確立されている。よって、公知の方法に従い、本発明のFGDHを用いて、各種試料中のグルコースの量又は濃度を測定することができる。本発明のFGDHを用いてグルコースの濃度又は量を測定する限り、その態様は特に制限されないが、例えば、本発明のFGDHを試料中のグルコースに作用させ、グルコースの脱水素反応に伴う電子受容体(例えば、DCPIP)の構造変化を吸光度で測定することにより実施することができる。より具体的には、上記1−1.に示す方法に従って、実施することができる。本発明に従って、グルコース濃度の測定は、試料に本発明のFGDHを添加すること、又は添加して混合することにより実施することができる。
本発明のFGDHは、グルコースアッセイキットやグルコースセンサー等のグルコースの濃度又は量を測定するための種々の形態のプロダクトとすることができる。
ックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のFGDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
独立行政法人製品評価技術基盤機構に保存されているムコール(Mucor)属の菌株はL
−乾燥標品であったため、アンプルを開封し、復元水100μLを注入し、乾燥菌体を懸濁した後、懸濁液を復元培地に滴下し、25℃で3日間から7日間、静置培養することで菌株を復元させて使用した。復元水としては、滅菌水(オートクレーブで120℃、20分間処理した蒸留水)を用い、復元培地としては、DP培地(デキストリン 2.0%、ポリペプトン 1.0%、KH2PO4 1.0%、アガロース 1.5%)を使用した。
小麦胚芽2g、水2mLを含む培地をオートクレーブで120℃、20分間、滅菌し、水分含量が100%となるように調整した小麦胚芽培地を調製した。この固体培地に実施例1で復元させたムコール(Mucor)属の菌株を一白金耳植菌し、25℃で3日間から7
日間程度、静置培養した。培養後、2mMのEDTAを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を菌体が生育した培地に4ml添加し、ボルテックスで十分に懸濁した。懸濁液に少量のガラスビーズを加えた後、ビーズショッカー(安井器械(株)製)で3,000rpm、3分間、2回の条件で破砕した。破砕液は4℃、2,000×g、5分間の条件で遠心分離し、上清と残渣に分離し、回収した上清を粗酵素液とした。
実施例2で回収した粗酵素液中のGDH活性を、上述したGDH測定方法を用いて調査した。ムコール(Mucor)属の粗酵素について、GDH活性の有無を調査した結果を表1
に示す。活性の有無は、上記1−1.に示す方法に従って実施した。
50mLのDP液体培地を500mL容量の坂口フラスコに入れ、オートクレーブで滅菌し、前培養用の培地とした。そこに実施例1で復元したMucor guilliermondii NBRC9403を一白金耳植菌し、25℃、180rpmで3日間振とう培養し、種培養液を得た。次に、6.0Lの生産培地(イーストイクストラクト 2.0%、グルコース 1
%、pH6.0)を10L容量のジャーファーメンターに入れ、オートクレーブで滅菌し、本培養培地を調整した。そこに50mLの種培養液を植菌し、培養温度25℃、攪拌速度600rpm、通気量2.0L/分、管内圧0.2MPaの条件で3日間培養した。その後、培養液をろ布でろ過し、菌体を回収した。得られた菌体を50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した。
G−25 のゲルを用いて脱塩した。その後、脱塩液に0.5飽和になるように硫酸アンモニウムを徐々に添加し、予め0.5飽和の硫酸アンモニウムを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化した400mLのSPセファロースFastFlow(GEヘルスケア製)カラムにかけ、50mMリン酸緩衝液(pH6.0)のリニアグラジエントで溶出させた。そして、溶出されたGDH画分を分画分子量10,000の中空糸膜(スペクトラムラボラトリーズ製)で濃縮後、濃縮液をSephadex G−25 のゲルを用いて脱塩した。その後、DEAEセファロースFast Flow(GEヘルスケア製)カラムにかけ、精製酵素を得た。
実施例4で精製したFGDH酵素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Phast Gel 10−15% Phastsystem GEヘルスケア製)に供してその分子量を測定した。タンパク質分子量マーカーとしては、フォスフォリラーゼb(97,400ダルトン)、ウシ血清アルブミン(66,267ダルトン)、アルドラーゼ(42,400ダルトン)、カルボニックアンヒドラーゼ(30,000ダルトン)、トリプシンインヒビター(20,100ダルトン)を用いた。
,000ダルトンであった。結果を図1に示す。
実施例4で精製したFGDH酵素を100℃、10分間、加熱処理して変性させた後、5UのN−グリコシダーゼF(ロシュ・ダイアグノスティクス製)で37℃、6時間処理し、タンパク質に付加している糖鎖を分解した。その後、実施例5と同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定を行った。タンパク質分子量マーカーの移動度より分子量は約88,000ダルトンであった。結果を図2に示す。
実施例4で精製したFGDH酵素について、上記1−1.に示すGDHの活性測定法に従い、基質としてD−グルコースを用いたときの活性と、比較対象の糖を用いたときの見かけの活性とを比較することにより、基質特異性を調査した。比較対象の糖としてはマルトース、D−ガラクトース、D−キシロースをそれぞれ使用した。基質濃度50mM、pH6.5、37℃の条件で測定した。結果を表2に示す。
実施例4で得られた精製酵素液(100U/mL)を用いて、至適pHを調べた。緩衝溶液には50mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.0−pH7.5)を用い、37℃でその見かけの活性を求めた。結果を図3に示す。
実施例4で得られた精製酵素液(0.1U/mL)を用いて、至適温度を調べた。緩衝溶液には42mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5)を用い、25℃、30℃、37℃、45℃、50℃における見かけの活性を求めた。結果を図4に示す。
実施例4で得られたFGDH酵素液(10U/mL)を用いて、pH安定性を調べた。100mM 酢酸−ナトリウム緩衝液(pH3.0−pH5.5:図中四角黒色印でプロット)、100mM リン酸−カリウム緩衝液(pH5.5−pH7.5:図中四角白色印でプロット)、100mM トリス−HCl緩衝液(pH7.5−pH9.0図中三角白色印でプロット)、100mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5−pH7.5:図中三角黒色印でプロット)を用い、25℃、16時間処理した後の見かけの活性の残存率を測定した。結果を図5に示す。
実施例4で得られた精製酵素液(100U/mL)を用いて、熱安定性を調べた。100mM酢酸カリウム緩衝液(pH5.0)を用いて、FGDH酵素液を各温度(4℃、30℃、40℃、45℃、50℃、60℃)で15分間処理した後、見かけの活性の残存率を測定した。結果を図6に示す。
上述したGDHの活性測定法において、基質であるD−グルコースの濃度を変化させて見かけの活性測定を行い、Lineweaver−burk plotによりKm値を算出した。その結果、本発明のFGDHのD−グルコースに対するKm値は、12.2mMであることが判明した。
実施例4で精製した酵素を10mM 酢酸緩衝液(pH5.0)で透析し、250−8
00nmにおける吸収スペクトルを分光光度計U−3210(日立ハイテクノロジーズ社製)により測定した。その結果、波長340〜350nm付近および波長420〜430nm付近に極大を示す2つのピークが確認された。このような吸収スペクトルの形状から、本発明のGDHがフラビン結合型タンパク質であることが強く示唆された。
Claims (6)
- 以下の特性(1)及び(2)を備えるMucor guilliermondii由来のフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
(1)分子量: SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した該酵素のポリペプチド部分の分子量が約88kDaである。
(2)基質特異性: D−グルコースに対する反応性を100%としたときのD−キシロースに対する反応性が1.3%以下である。 - 更に以下の特性(3)を備える、請求項1に記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
(3)Km値: D−グルコースに対するKm値が15mM以下。 - 更に下記の特性(4)を備える、請求項1又は2に記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
(4)至適活性pH:pH6 - 更に下記の特性(5)を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のフラビンジヌクレオチド依存性グルコース脱水素酵素。
(5)至適活性温度:45℃ - 更に下記の特性(6)を備える、請求項1〜4のいずれかに記載のフラビンジヌクレオチド依存性グルコース脱水素酵素。
(6)pH安定性: pH4.5〜8.0の範囲で安定 - 更に下記の特性(7)を備える、請求項1〜5のいずれかに記載のフラビンジヌクレオチド依存性グルコース脱水素酵素。
(7)温度安定性: 45℃の温度で15分間維持した後の残存酵素活性率が90%以上。
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