JP6186927B2 - 新規なグルコースオキシダーゼ及びそれをコードするポリペプチド配列 - Google Patents

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Description

本発明はグルコースオキシダーゼ、それをコードするDNA、及び当該酵素の生産菌、当該酵素の製造方法、当該酵素を使用したグルコース測定方法などに関する。
グルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)は、分子状酸素を使ってグルコースをグルコノ−δ−ラクトンと過酸化水素に変換する反応を触媒する酵素であり、種々の給源から入手することができる。例えば、アスペルギルス属の微生物(たとえばAspergillus niger)由来のものなどが市販されている。また、Penucillium amagasakiensisなどの微生物やハチミツ中にも存在することが知られている。
グルコースオキシダーゼは、食品や診断薬などの分野をはじめ産業用酵素として広く用いられている。例えば、食品用途では、酸素の除去及びグルコースの除去等の目的で使用される。また、診断用途ではグルコースに対する特異性が高い点を利用して、血液などのグルコースの定量に使用される。中でも、糖尿病患者の血糖自己測定(SMBG:Self−Monitoring of Blood Glucose)のために、絶縁性の基板上に電極、酵素反応層を形成した電気化学的バイオセンサを用いた簡易型の自己血糖測定器が広く用いられている。
The Enzymes, Vol.XIIB, P.421 (P.D.Boyer, ed.), Academic Press (1975).
上記のような現状の下、本発明者等は、SMBGにおける使用により適した、新規な血糖測定用酵素を開発すべく日夜検討を重ね、優れた基質特異性に加えて、D−グルコースに対する高い親和性を有する、さらにタンパク質当りの比活性が高い酵素を利用することで、測定時間を短縮し、且つ、少量の酵素量で正確な血糖値の測定が可能になるという課題を見出した。よって、本発明は、基質特性、基質への親和性に優れることにより、SMBG用センサへの利用に適した新たな血糖測定用酵素を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、日夜検討を重ね、これまでにグルコースオキシダーゼを生産することが報告されていない多くの微生物についてスクリーニングした結果、新たな微生物がグルコースオキシダーゼ活性を有することを見出した。そして、本発明者等は、当該酵素を単離精製し、その特性を調べた結果、フラビン結合型のグルコースオキシダーゼであり、優れた基質特異性、高いD−グルコースに対する親和性を備えており、SMBG用センサの利用に適していることを見出した。更に、本発明者等は、単離した酵素のアミノ酸配列及び遺伝子配列を決定し、それらの配列がこれまでに報告されているグルコースオキシダーゼのものとは異なる新規な酵素であることを突き止めた。
本発明は、係る知見に基づき、更なる研究と改良を重ねた結果完成したものであり、代表的な本発明は、以下の通りである。
項1
下記の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドからなるグルコースオキシダーゼ;
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチド。
項2
以下の(A)〜(E)のいずれかのDNA:
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(B)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA、
(C)配列番号2に示される塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、且つ、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(D)配列番号2に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、且つグルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(E)配列番号2に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加および/または逆位されている塩基配列であり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(F)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、且つ、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
項3
項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
項4
項3に記載のベクターを含む形質転換体。
項5
項4に記載の形質転換体を培養することを含む、項1に記載のグルコースオキシダーゼの製造方法。
項6
項1に記載のグルコースオキシダーゼをグルコースに作用させることを含む、グルコース濃度の測定方法。
項7
項1に記載のグルコースオキシダーゼを含むグルコースアッセイキット。
本発明のグルコースオキシダーゼ(以下、「GOX」と称する場合もある。)は、グルコースオキシダーゼ活性を有し、D−グルコースとの親和性が高い(即ち、D−グルコースに対するKm値が有意に低い)ため、より少ない酵素量で試料中のD−グルコース濃度をより短時間で測定することを可能にする。また、本発明のGOXは、D−キシロースに対する反応性が有意に低いため、試料中にD−グルコースとD−キシロースが共存する場合であってもグルコース量又は濃度を正確に測定することを可能にする。よって、本発明のGOXはキシロース負荷試験下での血糖値測定に適している。これらの特性を備えるため、本発明のGOXは、D−グルコースを含むあらゆる試料(例えば、血液や食品(調味料や飲料等))におけるグルコース濃度を正確に測定することを可能にする。
精製したTalaromyces sp. RD59338に由来GOX(TaGOX)をSDS−PAGEに供した結果 精製したTalaromyces sp. RD59338に由来GOX(TaGOX)を糖鎖分解処理した後SDS−PAGEに供し、ペプチド部分の分子量を測定した結果
以下、本発明を詳細に説明する。
1.フラビン結合型グルコースオキシダーゼ(GOX)
1−1.グルコースオキシダーゼ活性(GOX活性)
本発明のポリペプチドはグルコースオキシダーゼをコードする。グルコースオキシダーゼとは、分子状酸素を使ってグルコースをグルコノ−δ−ラクトンと過酸化水素に変換する反応を触媒する酵素である。
グルコースオキシダーゼ活性の測定方法としては、種々の方法が知られているが、本書では、4−アミノアンチピリン(以下、4AAとも表す。)を電子受容体として用い、反応前後における555nmの波長における試料の吸光度の変化を指標に活性を測定する方法を適用する。具体的な試薬組成や測定条件は、特にことわらない限り下記のとおりである。
グルコースオキシダーゼ活性の測定方法
<試薬>
100mM MES−Na緩衝液pH5.7
0.5% 4AA溶液
40mM EHSPT溶液
500PU/mL ペルオキシダーゼ(POD)溶液
15% D−グルコース溶液
上記MES−Na緩衝液30.0mL、4AA溶液0.3mL、EHSPT溶液0.3mL、POD溶液0.3mL、D―グルコース溶液6.0mLを混合して反応試薬とする。
<測定条件>
反応試薬3mLを37℃で5分間予備加温する。GOX溶液0.1mLを添加しゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で、555nmの吸光度変化を5分記録し、直線部分から(即ち、反応速度が一定になってから)1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検はGOX溶液の代わりにGOXを溶解する溶媒を試薬混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってGOX活性を求める。ここでGOX活性における1単位(U)とは、濃度131mMのD−グルコース存在下で1分間に1マイクロモルのHを生成する酵素量である。

活性(U/mL)={−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1×希釈倍率}/{32.8×0.5×0.1×1.0}

なお、式中の3.1は反応試薬+酵素溶液の液量(mL)、32.8は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm/マイクロモル)、0.5は酵素反応で生成したHの1分子から形成するQuinoneimine色素は1/2分子であることによる係数、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)を示す。本書においては、別段の表示しない限り、GOX酵素活性は上記の測定方法に従って、測定される。
本発明のGOXは、フラビンを補欠分子族として要求するフラビン結合型のGOXである。
本発明のGOXは、単離されたGOX又は精製されたGOXであることが好ましい。また、本発明のGOXは、上記保存に適した溶液中に溶解した状態又は凍結乾燥された状態(例えば、粉末状)で存在してもよい。本発明の酵素(GOX)に関して使用する場合の「単離された」とは、当該酵素以外の成分(例えば、宿主細胞に由来する夾雑タンパク質、他の成分、培養液等)を実質的に含まない)状態をいう。具体的には例えば、本発明の単離された酵素は、夾雑タンパク質の含有量が重量換算で全体の約20%未満、好ましくは約10%未満、更に好ましくは約5%未満、より一層好ましくは約1%未満である。一方で、本発明のGOXは、保存又は酵素活性の測定に適した溶液(例えば、バッファー)中に存在してもよい。
1−2.フラビン結合型グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチド
本発明のGOXは、下記(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドで構成されることが好ましい。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチド。
配列番号1で示されるアミノ酸配列とは、実施例5に示される通り、Talaromyces sp. RD59338に由来するGOX(以下、TaGOXとも表す)のアミノ酸配列である。
上記(b)のポリペプチドは、グルコースオキシダーゼ活性を保持する限度で、配列番号1に示されるアミノ酸において、1若しくは数個のアミノ酸配残基が置換、欠失、挿入および/または付加(以下、これらを纏めて「変異」とも表す。)されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
一又は数個の変異は、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)など公知の手法を利用して、後述する本発明のGOXをコードするDNAに変異を導入することによって実施することが可能である。また、紫外線照射など他の方法によってもバリアントGOXを得ることができる。バリアントGOXには、GOXを保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場合などの天然に生じるバリアント(例えば、一塩基多型)も含まれる。
また、GOXの活性を維持するという観点からは、GOXの活性部位又は基質結合部位に影響を与えない部位において上記変異が存在することが好ましい。
上記(c)のポリペプチドは、グルコースオキシダーゼ活性を保持することを限度で、配列番号1に示されるアミノ酸配列と比較した同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましくは、本発明のGOXが有するアミノ酸配列と配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性は、85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。このような一定以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、上述するような公知の遺伝子工学的手法に基づいて作成することができる。
アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出する。
1−3.基質特異性
本発明のGOXは、基質特異性に優れている。特に、本発明のGOXは、D−グルコースに対する反応性を基準とした場合に、少なくともマルトース、D−キシロース、D−ガラクトースに対する反応性が有意に低い。より具体的に、本発明のGOXは、同一濃度のD−グルコースに対する反応性を100%とした場合に、マルトースに対する反応性が0.5%以下、D−キシロースに対する反応性が0.8%以下、D−ガラクトースに対する反応性が0.5%以下であることが好ましい。
GOXの各糖類に対する反応性は、上記1−1.に示すグルコースオキシダーゼ活性の測定方法において、D−グルコースを他の糖(例えば、D−キシロース、D−ガラクトース、又はマルトース)に置き換えて、D−グルコースの場合の活性を比較することにより求めることができる。但し、比較する場合の各糖類の濃度は20mMを基準とする。
以上のような優れた基質特異性を有する本発明のGOXは、試料中のグルコース量を正確に測定するための酵素として好ましい。即ち、本発明のGOXによれば試料中にマルトース、D−ガラクトース、D−キシロースなどの夾雑物が存在する場合であっても目的のD−グルコースの量を正確に測定することが可能である。従って本酵素は、試料中にこのような夾雑物の存在が予想又は懸念される用途(典型的には血液中のグルコース量の測定)に適したものであり、当該用途も含め様々な用途に適用可能であり、汎用性が高い。
1−4.D−グルコースに対する親和性
本発明のGOXは、本来の基質であるD−グルコースに対する親和性が高いことが好ましい。親和性が高いことにより、試料中のD−グルコースの濃度が低い場合であっても、上述する触媒反応を進めることができ、より正確なD−グルコース濃度の測定、より短時間での測定、及びより少ない酵素量での測定に資するからである。GOXのD−グルコースに対する親和性は、Km値によって示される。Km値は、いわゆるミカエリス・メンテン式から求められる値であり、具体的には、上記1−1.に示す活性測定方法においてD−グルコースの濃度を変化させて各濃度における活性を測定し、ラインウィーバー・バーク・プロットを作成することによって求めることができる。
酵素の反応速度論から判断して、Km値が低いほど、酵素は基質に対する親和性が高く、基質濃度が低い場合でも基質との複合体を形成することができ、より早い速度で触媒反応を進めることができる。本発明のGOXのD−グルコースに対するKm値は、3.8mM以下である。
1−5.分子量
本発明のGOXを構成するポリペプチド部分の分子量は、約65kDaである。SDS−PAGEで測定した場合には通常60−70kDaである。「60−70kDa」とは、SDS−PAGEで分子量を測定した際に、当業者が、通常60kDaから70kDaの間の位置にバンドがあると判断する範囲を含むことを意味する。「ポリペプチド部分」とは、実質的に糖鎖が結合していない状態のGOXを意味する。なお、実質的に糖鎖が結合していない状態のGOXは、精製した酵素を加熱処理して変性させた後、エンドグリコシダーゼ等でタンパク質に付加している糖鎖を分解することにより得られる。
SDS−PAGEでの分子量の測定は、一般的な手法及び装置を用い、市販される分子量マーカーを用いて行うことができる。なお、本発明のGOXは糖鎖を含み、糖鎖部分を含んだ分子量はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で測定することができる。この場合には80−90kDaの分子量を示す。
1−6.由来
本発明のGOXは、上述する特性を備える限り、その由来は特に制限されない。本発明
のGOXは、例えば、タラロマイセス(Talaromyces)属に帰属する微生物に由来し得る。タラロマイセス属に属する微生物としては、特に制限されないが、例えば、Talaromyces sp. RD59338を例示することができる。該菌株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構に保管された菌株であり、所定の手続を経ることによってその分譲を受けることができる。
本発明のGOXが由来する他の生物としては、例えば、土壌や河川・湖沼などの水系又は海洋に存在する微生物や各種動植物の表面または内部に常在する微生物等を挙げることができる。低温環境、火山などの高温環境、深海などの無酸素・高圧・無光環境、油田など特殊な環境に生育する微生物を単離源としてもよい。
本発明のGOXには、微生物から直接単離されるGOXだけでなく、単離されたGOXを蛋白質工学的な方法によりアミノ酸配列等を改変したものや、遺伝子工学的手法により改変したものも含まれる。例えば、前述の、タラロマイセス(Talaromyces)属に分類される微生物等から取得した酵素に改変を加えることによって、上述する特性を備えるように改変した酵素であってもよい。
2.フラビン結合型グルコースオキシダーゼをコードするDNA
本発明のDNAは、上記1−2.に示されるGOX活性を有するポリペプチドをコードするDNAであり、具体的には以下の(A)〜(F)のいずれかである。
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNA;
(B)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA;
(C)配列番号2に示される塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列をからなり、且つ、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(D)配列番号2に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含み、且つグルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(E)配列番号2に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列であり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(F)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、且つ、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
本書において「タンパク質をコードするDNA」とは、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られるDNA、即ち、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAのことをいう。従ってコドンの縮重によって相違するDNAも含まれる。
本発明のDNAは、それがコードするアミノ酸配列を有するタンパク質が、グルコースオキシダーゼ活性を備える限り、配列番号2に示される塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である塩基配列を有する。
塩基配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムAdvanced BLAST 2.1において、プログラムにblastnを用い、各種パラメータはデフォルト値に設定して検索を行うことにより、ヌクレオチド配列の相同性の値(%)を算出する。
本発明のDNAは、それがコードするタンパク質がグルコースオキシダーゼ活性を有する限り、配列番号2に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであっても良い。ここで「ストリンジェントな条件」とは、一般には、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって、例えば、Molecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)を参照して設定することができる。
本書では、「ストリンジェントな条件」とは、以下に示す条件を言う。
ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mLの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる。
このような条件でハイブリダイズするDNAの中には途中にストップコドンが発生したものや、活性中心の変異により活性を失ったものも含まれ得るが、それらについては、市販の活性発現ベクターに組み込み、適当な宿主で発現させて、酵素活性を公知の手法で測定することによって容易に取り除くことができる。
上記(E)及び(F)のDNAに関し、「数個」とは、グルコースオキシダーゼ活性が維持される限りにおいて、例えば、全DNAの約20%未満に相当する数であり、好ましくは約15%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。
好適な一実施形態において、本発明のGOXをコードするDNAは、単離された状態で存在するDNAである。ここで「単離されたDNA」とは、天然状態において共存するその他の核酸やタンパク質等の成分から分離された状態であることをいう。但し、単離されたDNAは、天然状態において隣接する核酸配列(例えばプロモーター領域の配列やターミネーター配列など)など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。例えば染色体DNAの場合の「単離された」状態とは、好ましくは、天然状態において共存する他のDNA成分を実質的に含まない。一方、cDNA分子など遺伝子工学的手法によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない。同様に、化学合成によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない。尚、それと異なる意味を表すことが明らかでない限り、本明細書において単に「DNA」と記載した場合には単離された状態のDNAを意味する。本発明のDNAには、上記(A)〜(F)のDNAと相補的なDNA(cDNA)も含まれる。
本発明のDNAは、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報(特に、配列番号2)を基に、化学的DNA合成法により製造、取得することができる、例えば、公知の標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって容易に調製することができる(Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)等参照)。化学的DNA合成法としては、フォスフォアミダイト法による固相合成法を例示することができる。この合成法には自動合成機を利用することができる。
標準的な遺伝子工学的手法としては、具体的には、本発明のGOXが発現される適当な起源微生物より、常法に従ってcDNAライブラリーを調製し、該ライブラリーから、本発明のDNA配列(例えば、配列番号2の塩基配列)に特有の適当なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択することにより実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 78, 6613 (1981);Science122, 778 (1983)等〕。
cDNAライブラリーを調整するための起源微生物は、本発明GOXを発現する微生物であれば特に制限れないが、好ましくは、タラロマイセス属に分類される微生物である。より具体的には、Talaromyces sp. RD59338を例示することができる。
上記の微生物からの全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの取得とそのクローニング等は、いずれも常法に従って実施することができる。本発明のDNAをcDNAライブラリーからスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の方法に従うことができる。例えば、cDNAによって産生されるポリペプチドに対して、該ポリペプチド特異抗体を使用した免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローンを選択する方法、目的のヌクレオチド配列に選択的に結合するプローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション等やこれらの組合せ等を適宜選択して実施することができる。
DNAの取得に際しては、PCR法〔Science130, 1350 (1985)〕またはその変法によるDNA若しくはRNA増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから全長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE法〔Rapid amplification of cDNA ends;実験医学、12(6), 35 (1994)〕、特に5’−RACE法〔M.A. Frohman, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998 (1988)〕等の採用が好適である。
PCR法の採用に際して使用されるプライマーも配列番号2の塩基配列に基づいて適宜設計し合成することができる。尚、増幅させたDNA若しくはRNA断片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例えばゲル電気泳動法、ハイブリダイゼーション法等によることができる。
本発明のDNAを使用することにより、本発明のGOXを容易に大量に、安定して製造することができる。
3.組換え発現ベクター
本発明のベクターは、上記2.で説明する本発明のGOXをコードするDNAが組み込まれたベクターである。ここで「ベクター」とは、それに挿入された核酸分子を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子(キャリアー)であり、適当な宿主細胞内で本発明のDNAを複製可能であり、且つ、その発現が可能である限り、その種類や構造は特に限定されない。即ち、本発明のベクターは発現ベクターである。ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。ベクターの具体例としては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。また、糸状菌を宿主とする場合に適したベクターや、セルフクローニングに適したベクターを使用することも可能である。
大腸菌を宿主とする場合は、例えば、M13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)など)を使用することができる。酵母を宿主とする場合は、pYepSec1、pMFa、pYES2等を使用することができる。昆虫細胞を宿主とする場合は、例えば、pAc、pVL等が使用でき、哺乳類細胞を宿主とする場合は、例えば、pCDM8、pMT2PC等を使用することができるが、これらに限定される訳ではない。
発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。本発明のDNAのベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
4.形質転換体
本発明は、宿主細胞に本発明のDNAが導入された形質転換体に関する。本発明のDNAの宿主への導入手段は特に制限されないが、例えば、上記3.で説明するベクターに組み込まれた状態で宿主に導入される。宿主細胞は、本発明のDNAを発現してGOXを生産することが可能である限り、特に制限されない。具体的には、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、カビ、昆虫細胞、植物培養細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができる。
宿主が原核細胞の場合は、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属などが例として挙げられ、それぞれ、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)C600、エシェリヒア・コリHB101、エシェリヒア・コリDH5α、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ブレビバチルス・チョウシネンシス(Brevibacillus choshinensis)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)などが例として挙げられる。また、ベクターとしてはpBR322、pUC19、pBluescriptなどが例として挙げられる。
宿主が酵母の場合は、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、キャンデイダ(Candida)属、ピキア(Pichia)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属などが例として挙げられ、それぞれ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、キャンデイダ・ウチリス(Candida utilis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、クリプトコッカス・エスピー(Cryptococcus sp.)などが例として挙げられる。ベクターとしてはpAUR101、pAUR224、pYE32などが挙げられる。
宿主が糸状菌細胞である場合は、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、コレトトリカム(Colletotrichum)属などが例として挙げられ、それぞれ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)、コレトトリカム・ヒエマリス(Colletotrichum hiemalis)等を例示することができる。また、本発明のGOXが単離されたタラロマイセス(Talaromyces)属に帰属する微生物を宿主とすることも好ましい。即ち、形質転換体では、通常、外来性のDNAが宿主細胞中に存在するが、DNAが由来する微生物を宿主とするいわゆるセルフクローニングによって得られる形質転換体も好適な実施形態である。
本発明の形質転換体は、好ましくは、上記3.に示される発現ベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって調製される。形質転換は、一過性であっても安定的な形質転換であってもよい。トランスフェクション及びトランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、Hanahanの方法、酢酸リチウム法、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法、等を利用して実施することができる。
本発明の形質転換体は、本発明のGOXを産生する能力を有するため、それを用いて効率的に本発明のGOXを製造することが可能となる。
5.フラビン結合型グルコースオキシダーゼの製造方法
本発明のGOXは、典型的には、本発明のGOXの生産能を有する微生物を培養することで製造される。培養に供される微生物は、本発明のGOXを産生する能力を有する限り特に制限されず、例えば、上記1.に示すタラロマイセス属に帰属する野生型の微生物及び上記4.に示す形質転換体を好適に利用することができる。
上記のタラロマイセス(Talaromyces)属に分類される微生物は、例えば、NBRC(NITE Biological Resouce Center)(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門)に保管された菌株であり、所定の手続を経ることによってその分譲を受けることができる。
培養方法及び培養条件は、本発明のGOXが生産される限り特に限定されない。即ち、GOXが生産されることを条件として、使用する微生物の生育に適合した方法及び条件を適宜設定できる。以下に、培養条件として、培地、培養温度、及び培養時間を例示する。
培地としては、使用する微生物が生育可能な培地であれば、特に制限されない。例えば、グルコース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。使用する微生物の生育を促進するためにビタミン、アミノ酸などを培地に添加してもよい。
タラロマイセス(Talaromyces)属に分類される微生物を培養して本発明のGOXを得る場合は、その微生物の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよい。多くの場合は液体培養で行い、工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。ただし、生産性を考えた場合に、固体培養で行った方が有利な場合もある。
培地のpHは、培養する微生物の生育に適していればよく、例えば約3〜8、好ましくは約5〜7程度に調整し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約25〜35℃程度で、1〜15日間、好ましくは3〜7日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
上記のような条件で培養した後、培養液又は菌体よりGOXを回収することが好ましい。GOXを菌体外に分泌する微生物を用いる場合は、例えば培養上清をろ過、遠心処理等することによって不溶物を除去した後、限外ろ過膜による濃縮、硫安沈殿等の塩析、透析、各種クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて分離、精製を行うことにより本酵素を得ることができる。タラロマイセス属に属する微生物が産生するフラビン結合型グルコースオキシダーゼは基本的に分泌型のタンパク質である。
他方、菌体内から回収する場合には、例えば菌体を加圧処理、超音波処理、機械的手法、又はリゾチーム等の酵素を利用した手法等によって破砕した後、必要に応じて、EDTA等のキレート剤及び界面活性剤を添加してGDHを可溶化し、水溶液として分離採取し、分離、精製を行うことにより本酵素を得ることができる。ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。
精製は、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、さらに硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどの塩析処理、あるいは親水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトンなどによる分別沈殿法により沈殿処理、加熱処理や等電点処理、吸着剤あるいはゲルろ過剤などによるゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等を適宜組み合わせて実施することができる。
カラムクロマトグラフィーを用いる場合は、例えば、セファデックス(Sephadex)ゲル(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)などによるゲルろ過、DEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)、オクチルセファロースCL−6B(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)等を用いることができる。該精製酵素標品は、電気泳動(SDS−PAGE)的に単一のバンドを示す程度に純化されていることが好ましい。
なお、培養液からのグルコースオキシダーゼ活性を有するタンパク質の採取(抽出、精製など)にあたっては、グルコースオキシダーゼ活性、マルトース作用性、熱安定性などのうちいずれか1つ以上を指標に行ってもよい。
各精製工程では原則としてGOX活性を指標として分画を行い、次のステップへと進む。但し、予備試験などによって、適切な条件を予め設定可能な場合にはこの限りでない。
本発明のGOXを精製標品とする場合は、例えば比活性が50−200(U/mg)の状態に精製することが好ましい。また、最終的な形態は液体状であっても固体状(粉体状を含む)であってもよい。
組換えタンパク質として本酵素を得ることにすれば種々の修飾が可能である。例えば、本酵素をコードするDNAと他の適当なDNAとを同じベクターに挿入し、当該ベクターを用いて組換えタンパク質の生産を行えば、任意のペプチドないしタンパク質が連結された組換えタンパク質からなる本酵素を得ることができる。また、糖鎖及び/又は脂質の付加や、あるいはN末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。以上のような修飾により、組換えタンパク質の抽出、精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
6.グルコースの測定方法
グルコースオキシダーゼを用いたグルコースの測定方法は既に当該技術分野において確立されている。よって、公知の方法に従い、本発明のGOXを用いて、各種試料中のグルコースの量又は濃度を測定することができる。本発明のGOXを用いてグルコースの濃度又は量が測定可能である限り、その態様は特に制限されないが、例えば、本発明のGOXを試料中のグルコースに作用させ、グルコースの酸化反応に伴う電子受容体(例えば、4AA)の構造変化を吸光度で測定することにより実施することができる。より具体的には、上記1−1.に示す方法に従って、実施することができる。本発明に従った、グルコース濃度の測定は、試料に本発明のGOXを添加すること、又は添加して混合することにより実施することができる。グルコースを含有する試料は、特に制限されないが、例えば、血液、飲料、食品等を挙げることができる。グルコース濃度又は量の測定が可能である限り、試料に添加する酵素の量は特に制限されない。
後述するセンサの形態でのグルコース濃度の測定は、例えば、以下のようにして実施することができる。恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として本発明のGOXを固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
7.グルコースアッセイキット
本発明のグルコースアッセイキットは、本発明のGOXを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明のGOXに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明のGOXは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。
8.グルコースセンサ
本発明はまた、本発明のGOXを用いるグルコースセンサを提供する。本発明のグルコースセンサは、電極として、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化することで作製することができる。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがある。その他、フェロセン又はその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のGOXをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングすることができる。
センサを用いたグルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として本発明のGOXを固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例の記載はいかなる面においても本発明を限定しない。
実施例1 菌株の復元
独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター国際連携課から、Talaromyces sp. RD59338株を入手した。入手した菌株は、グリセロールストックであったため、保存菌体及び胞子を復元培地に滴下し、25℃で3日間から7日間、静置培養することで菌株を復元させた。復元培地としては、DP培地(デキストリン2.0%、ポリペプトン1.0%、KHPO 1.0%、アガロース1.5%)を使用した。
実施例2 培養上清の回収
DP培地100mLをオートクレーブで121℃、20分間滅菌し、実施例1で復元させたTalaromyces sp. RD59338株を一白金耳植菌し、25℃、180rpmで7日間振とう培養した。培養後、培養液上清を回収し、粗酵素液とした。
実施例3 グルコースオキシダーゼ活性の確認
実施例2で得た粗酵素液中のグルコースオキシダーゼ活性を、上記1−1.に示したグルコースオキシダーゼ活性測定方法を用いて測定した。その結果を表1に示す。
表1に示す通り、Talaromyces sp. RD59338由来の粗酵素液にGOX活性が存在することが確認された。
実施例4 Talaromyces sp. RD59338由来GOX(TaGOX)の精製
60mLのDP液体培地を200mLバッフル付三角フラスコに入れ、オートクレーブで滅菌し、前培養用の培地とした。予めDPプレート培地で復元したTalaromyces sp. RD59338を前培養培地に一白金耳植菌し、25℃、180rpmで2日間振とう培養し、種培養液とした。
次に、7.0LのDP培地を10L容ジャーファーメンターに入れ、オートクレーブで滅菌し、本培養培地とした。60mLの種培養液を本培養培地に植菌し、培養温度25℃、攪拌速度400rpm、通気量6.0L/分、管内圧0.2MPaの条件で3日間培養した。その後、培養液を濾布で濾過し、濾過液を回収した。
濾過液を分画分子量30,000のUF膜(ミリポア(株)製)を用いて濃縮し、濃縮液に連続してリン酸緩衝液(50mM、pH6.0)を添加することによってバッファーを置換した。続いて、濃縮液に硫酸アンモニウム(宇部興産(株)製)を40%(w/v)徐々に添加して、室温で30分間攪拌した後、ろ過助剤を用いて余分な沈殿を除去した。次に、予め40%(w/v)の硫酸アンモニウムを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化した200mLのPSセファロースFastFlow(GEヘルスケア製)カラムに濾過液をチャージし、20%エチレングリコールを含む50mMリン酸緩衝液(pH6.0)に段階的に置換してタンパク質を溶出させた。そして、溶出されたGOX画分を分画分子量10,000の中空糸膜(スペクトラムラボラトリーズ製)で濃縮後、50mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したDEAEセファロースFast Flow(GEヘルスケア製)カラム酵素液を通液し、精製酵素を得た。得られた精製酵素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Nu−PAGE 4−15% Invitrogen製)に供した。この際、タンパク質分子量マーカーとしてNovex BenchMark Protein ladderを用いた。結果を図1に示す。
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果、単一のバンドが得られたことから、GOXが十分に精製されていることを確認した。分子量マーカーと比較した移動度から、TaGOXの分子量は80,000−90,000ダルトンであることが判明した。
実施例5 単離されたGOXのペプチド部分の分子量
実施例4で精製したTaGOXを100℃、10分間、加熱処理して変性させた後、500UのEndoglycosidase H(ニューイングランドバイオラボ製)で37℃、16時間処理し、タンパク質に付加している糖鎖を分解した。その後、実施例4と同様の方法でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定を行った。分子量マーカーは、実施例4と同じものを使用した。結果を図2に示す。その結果、精製したTaGOXのポリペプチド部分の分子量は約65,000ダルトンであることが判明した。実施例4で示すとおり、TaGOXの分子量は糖鎖を含んで80,000〜90,000ダルトンであることから、全分子量中の19%〜28%は糖鎖部分の分子量であることが判明した。また、糖鎖部分の分子量は発現に用いる宿主生物を選択することにより、変化させることが可能である。
実施例6 基質特異性
上記1−1.に示したGOXの活性測定法に従い、実施例4で精製したTaGOXについて、D−グルコース、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースを基質とした場合の活性を測定した。D−グルコースを基質とした場合の活性を100%とし、それと比較した他の糖に対する活性を求めた。各糖の濃度は20mMとした。結果を表2に示す。
表2の結果から、TaGOXの基質特異性は、D−グルコースに対する活性値を100%とした場合、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースに対する見かけの活性は、いずれも1.0%以下であり、TaGOXは基質特異性に優れていることが示された。
実施例7 Km値の測定
基質であるD−グルコースの濃度を変化させて、上記1−1.に示したGOXの活性測定法に従って、精製したTaGOXの酵素活性測定を行い、基質濃度と反応速度のグラフを作成した。これに基づいてLineweaver−burk plotを作成し、Km値を算出した。その結果、TaGOXのD−グルコースに対するKm値は、3.8mMであり、D−グルコースに対する親和性が高いことが判明した。
実施例8 ペプチド部分配列の解析
実施例4で示したSDS−PAGEゲルからゲル断片を切り出し、nano−LC−MS/MS解析を行った。nano―LC−MS/MS解析は日本バイオサービスに解析を依頼した。解析の結果、TaGOXは、Talaromyces variabilisと最も相同性の高いGOXである事が判明した。
実施例9 GOXをコードするDNAの単離
(1)染色体DNAの抽出
実施例2で示した、Talaromyces sp. RD59338の培養液をブフナー漏斗及びヌッチェ吸引瓶を用いて培養液をろ過し、菌体を得た。そのうち、約0.3gの菌体を液体窒素中で凍結させ、乳鉢を用いて菌糸を粉砕し、Extraction buffer(1% hexadecyltrimethylammonium bromide、0.7M NaCl、50mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA、1% メルカプトエタノール)12mLに懸濁した。室温で30分回転撹拌を続けた後、等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)溶液を加えて攪拌、遠心分離(1,500g、5分、室温)して上清を得た。得られた上清に等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)溶液を加えて攪拌し、その後遠心分離(1,500g、5分、室温)を行った。その結果得られた上清に等量のイソプロパノールを穏やかに加えた。この処理によって析出した染色体DNAを遠心分離(20,000g、10分、4℃)して得られた沈殿を70%エタノールで洗浄し、真空乾燥した。このようにして得られた染色体DNAを再び4mLのTEに溶解し、10mg/mLのRNase A(シグマアルドリッチジャパン株式会社)を200μL加えた後、37℃で、30分間インキュベートした。次いで、20mg/mLのProteinase K,recombinant,PCR Grade(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)溶液40μLを加えて37℃で、30分間インキュベートした後、等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)溶液を加えた。攪拌後、遠心分離(1,500g、5分、室温)し、上清を得た。この洗浄操作を2回繰り返した後、得られた上清に等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)溶液を加えて攪拌し、その後遠心分離(1,500g、5分、室温)を行った。その結果得られた上清に対して、その1/10容量の3M NaOAc(pH4.8)と2.5倍容量のエタノールを加えて遠心処理(20,000g、20分、4℃)を行うことにより回収した。回収された染色体DNAを70%エタノールで洗浄した後、真空乾燥させ、最後に400μLのTE溶液に溶解して濃度約1mg/mLの染色体DNA溶液を得た。
(2)合成プライマーの設計
公知のTalaromyces属に由来するGOXのアミノ酸配列やその他公知のアミノ配列を参考にして、比較的アミノ酸配列が保存されていると判断できる領域に基づいて、ミックス塩基を含有する縮重プライマー、TaGOXdgF、TaGOXdgR(配列番号3、4)を合成した。
(3)PCR法によるTaGOX遺伝子部分配列の取得
上記(1)で調製した染色体DNAを鋳型として、DNAポリメラーゼKOD−Fx−neo(東洋紡製)を用いて推奨する条件のもとでPCRを行った。プライマーには、上記(2)で作製したプライマー(配列番号3、4)を使用した。そのPCR反応液をアガロースゲル電気泳動に供したところ、約1500bp程度の長さに相当するバンドが確認されたので、この増幅されたDNA断片を精製し、クローニングキットTarget Clone−Plus(東洋紡製)を用いて、そのプロトコールに従って操作を行い、ベクターpTA2にクローニングし、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α株コンピテントセル(東洋紡製)に形質転換し、形質転換体を取得した。該形質転換体をLB培地で培養し、プラスミドを抽出し、当該酵素遺伝子に相当する領域の塩基配列解析を実施した。シークエンス反応はBigDyeTM Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)を用い、製品の使用説明書に従ってシークエンス反応を行った。解析にはABI PRISM 310シークエンサー(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)を使用した。当該酵素遺伝子の塩基配列解析を実施するためには、上記で使用したプライマー(配列番号3、4)を使用した。その塩基配列解析の結果、約1500bpのTaGOXの部分配列を取得した。
(4)TaGOX遺伝子全長配列の取得
上記のようにして得られた、塩基配列に基づき、開始コドンを含むN末端方向の遺伝子配列取得のために、遺伝子の外側方向に向けた2種類のインバースPCR用プライマー、TaGOXinvF及びTaGOXinvR(配列番号5、6)を新たに設計した。このインバースPCR用プライマーを用い、上記(1)で得た染色体DNAを制限酵素XbaIで処理し、ライゲーションを行ったものを鋳型としてDNAポリメラーゼKOD−FX−neo(東洋紡製)を用いて推奨する条件のもとで、Inverse PCRを行った。これにより、増幅される断片の配列解析を、上記記載と同様にして行い、開始コドンと終止コドンと推測される配列を含む上流及び下流の塩基配列を明らかにした。
(5)N末端及びC末端の決定
N末端の決定は、公知の情報を最大限に活用し、アミノ酸配列の相同性、塩基配列の長さなどの観点から(4)で得られた配列と多角的な比較を行い、開始コドンを判断した。また、C末端の決定も同様の方法にて判断した。さらに、決定したDNA配列にはイントロンが含まれていないことが予測された。
(6)公知のGDHとのアミノ酸配列比較
上記(5)で明らかにしたアミノ酸配列と公知のGOXとの同一性を解析した結果を表3に示す。アミノ酸配列解析は、上記1−2.で説明した方法に従い、BLASTを用いて算出した。表3にはBLAST検索の結果、配列の同一性が高かったものを列挙してある。
表3に示すように、TaGOXは公知のGOXとの相同性が80%未満である、新規なGOXであることが判明した。
(7)Talaromyces sp. RD59338由来のGOX(TaGOX)のアスペルギルス・オリゼでの発現及び酵素活性の確認
(5)での判断結果に基づき、開始コドンを含む領域にアニーリングするプライマー、TaGOX_F(配列番号7)及び終止コドンを含む領域にアニーリングするプライマー、TaGOX_R(配列番号8)を設計した。TaGOX_F及びTaGOX_Rには制限酵素SpeI認識サイトを付加しており、SpeIにより消化、ライゲーションを行うことにより発現ベクターにクローニングすることが可能である。上記(1)で抽出した染色体DNAを鋳型として、KOD−FX−neo(東洋紡製)を用いて推奨する条件の下でPCRをいった。これにより、増幅される断片を精製し、クローニングキットTarget Clone−Plus(東洋紡製)を用いて、そのプロトコールに従って操作を行い、ベクターpTA2にクローニングし、pTaGOXベクターを作製した。pTaGOXベクターを制限酵素SpeIにより消化し、TaGOX遺伝子断片を切り出し、同じく制限酵素SpeIにより消化したAspergillus oryzae発現ベクターpTNEとライゲーションすることによりEF1 promoterの直下に同方向になるように遺伝子断片を挿入しpTNETaGOXを作製した。作製した発現ベクターpTNETaGOXをアスペルギルス・オリゼに形質転換を行った。方法は、Biosci. Biotech.Biochem.,61(8)1367−1369.1997に記載の方法に準じて実施し、宿主にはNS4株を用い、選択マーカーにはniaD遺伝子を用いた。なお、本菌株は、Biosci. Biotech.Biochem.,61(8)1367−1369.1997に記載されているもので(独)酒類総合研究所より得たものである。形質転換体の選抜は硝酸イオン(NO)の資化性により選抜し、得られた形質転換体は最小培地に3度の植え継ぎを行うことにより核の純化を行った。純化された形質転換体を酵素生産培地(5%酵母エキス、2%ダイズペプチド、5%マルトース)を含む培地に植菌し、30℃で3日間培養した後、培養液上清の活性を確認したところ、TaGOXが発現されていることが確認された。なお、形質転換前の宿主にGOX活性は認められなかった。
(8)組換えGOXの精製と野生型GOXの特性比較
(7)で取得された形質転換体を10L容ジャーファーメンター(BMS10−PI/バイオット)を使用して培養した。酵素生産培地にて、培地液量7.0L、攪拌数600rpm、温度30℃、通気量1.0vvmの条件で培養した。培養液からの酵素の精製は、実施例4に示す方法で行った。精製された酵素を実施例6、実施例7で示す方法で基質特異性、Kmを測定した。さらにタンパク質濃度の測定は、Bio−Rad Protein assay(バイオラッド社製)によりBSAを対象にして行いタンパク質濃度を算出し、Vmaxを算出した。また、対照として、アスペルギルス・ニガーに由来するGOX(GLO−201(東洋紡製))についても測定を行った。
表4に示すように、野生株由来TaGOX、組換えTaGOX、および、アスペルギルス・ニガー由来GOXの基質特異性はほぼ同じであり、マルトース、D−キシロース、D−ガラクトースに対する作用性はいずれも1%未満でほぼ同等であった。
表5に示すように、Kmに関しては、野生株由来TaGOXと組換えTaGOXの値はほぼ同じであり、アスペルギルス・ニガー由来GOXと比較して有意に低かった。Vmaxに関しては、野生型由来GOXの値はアスペルギルス・ニガー由来GOXと比較して同等であり、組換えTaGOXのVmaxは前2者と比較して有意に高かった。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
本発明のGOXは基質特異性に優れ、本来の基質であるD−グルコースに対する親和性が高いことにより、試料中のD−グルコースの濃度が低い場合であっても、上述する触媒反応を進めることができ、より正確なD−グルコース濃度の測定、より短時間での測定、及びより少ない酵素量での測定が可能である。従って本発明のGOXは血糖値の測定などに好適といえる

Claims (7)

  1. 下記の(a)または(c)のポリペプチドからなるグルコースオキシダーゼ;
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなり、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチド。
  2. 以下の(A)〜(C)のいずれかのDNA:
    (A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNA、
    (B)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA、
    (C)配列番号2に示される塩基配列との同一性が90%以上である塩基配列からなり、且つ、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
  3. 請求項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
  4. 請求項3に記載のベクターを含む形質転換体。
  5. 請求項4に記載の形質転換体を培養することを含む、請求項1に記載のグルコースオキシダーゼの製造方法。
  6. 請求項1に記載のグルコースオキシダーゼをグルコースに作用させることを含む、グルコース濃度の測定方法。
  7. 請求項1に記載のグルコースオキシダーゼを含むグルコースアッセイキット。
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