JP4948327B2 - 酵素電極、酵素電極の製造方法、およびこれを用いたセンサ、燃料電池 - Google Patents

酵素電極、酵素電極の製造方法、およびこれを用いたセンサ、燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、酵素電極とその製造方法に関する。
酸化還元酵素は、基質と反応する際に、基質と補因子との間で電荷の授受を行うので、この電荷を導電性部材に取り出すことができれば、酵素の特徴を生かしたセンサ、燃料電池を実現することができる。
ところで、酸化還元酵素の酸化還元中心は、3次元構造からなる蛋白質内部の奥深いところに存在することが多い(なお、酸化還元中心は、活性部位、あるいは活性サイトとも呼ばれる。)。そのため、当該活性サイトと導電性部材との間の電子の授受を効率的に検出することは、一般的には困難である。
そこで、酵素と導電性部材との間をメディエータと呼ばれる物質によって電気的に繋ぐ手法が開発されている。メディエータは、酵素を構成するタンパク質の内部に入りこむことができるので、前記活性サイトに近い距離に位置する場合には、酸化還元反応の際に生じた電荷を、メディエータを介して導電性部材にまで取り出すことができる。つまり、酵素反応により生じた電荷は、活性サイトと電子の授受を行ったメディエータの拡散、あるいはメディエータ間の電子ホッピングにより、導電性部材にて検出されることになる。
特許文献1には、メディエータとして機能するフェロセンを、共有結合により酵素本体や酵素の側鎖に導入する技術が示されている。
特開平8−271472号公報
しかしながら、同文献に記載の技術によって酵素に導入されているメディエータは、その導入位置が制御されておらず、酵素内のランダムな位置に導入されている。
このようなメディエータの導入は、たまたま活性サイトの近傍にフェロセンが位置している場合を除き、活性サイトからの効率的な電荷の授受は望めない。特に、酵素センサとして使用する場合のように、被測定物質である基質の濃度を厳密にセンシングする必要があるため、更なる改良が求められている。
そこで、本発明は、酵素内にメディエータを導入する際に、その導入位置を活性サイトの近傍に制御することを目的とする。
よって、本発明は、酵素と導電性部材とを有する酵素電極であって、
前記酵素は酸化還元酵素であり、
前記酸化還元酵素は、該酸化還元酵素の活性部位としての、酸化若しくは還元を受ける酵素の基質、酵素の補欠分子族または補因子を構成し酸化還元を担う原子、から1.6nm以内の距離位置するアミノ酸を有し、
前記アミノ酸は、前記導電性部材に電気的に接続される金属錯体と配位結合しており、
前記金属錯体の中心金属は鉄、コバルト、ルテニウム、オスミウム、クロムのいずれかであることを特徴とする酵素電極提供する。
また、本発明は、酸化還元酵素と導電性部材を有する酵素電極の製造方法であって、
前記導電性部材に金属錯体を固定化する工程と、
前記酸化還元酵素をコードする遺伝子を遺伝子工学により組替えることで、前記酸化還元酵素内の該酸化還元酵素の活性部位としての、酸化若しくは還元を受ける酵素の基質、酵素の補欠分子族または補因子を構成し酸化還元を担う原子、から1.6nm以内の距離にアミノ酸を設ける工程と、
前記アミノ酸と前記金属錯体とを配位結合させる工程と、を有することを特徴とする酵素電極の製造方法を提供する。
第1の本発明によれば、従来は、酵素内のランダムな位置にしか導入できなかったメディエータの導入位置を、実質的に制御できる。
(第1の実施形態:酵素電極)
本発明に係る酵素電極の概念図を図1に示す。
同図において、1000は酵素、1010は該酵素が固定化されている導電性部材、1020は該導電性部材と電気的に接続している金属錯体、1030は酵素内の活性サイトである。そして、1040は酵素内の活性サイトあるいはその近傍に配置されているアミノ酸を示している。1005は、酵素を構成する一部改変されたタンパク質を示している。
本実施形態に係る発明においては、酵素内の活性サイト、あるいはその近傍に、メディエータとして機能する金属錯体と結合するアミノ酸を予め設けておく。当該アミノ酸と当該金属錯体とは化学結合するので、結果として、活性サイトに対するメディエータの位置の制御が実現することになる。
1)アミノ酸、及び酵素について
まず、酵素内の活性サイトあるいはその近傍に配置されているアミノ酸について説明する。
アミノ酸のこのような配置は、例えば遺伝子組換菌を用いる該酵素の発現系において、遺伝子工学的手法を用いた該酵素の組替遺伝子への部位特異的な変異の導入により実現される。
ここで、「活性サイトの近傍」とは、酸化還元酵素において酸化若しくは還元を受ける酵素の基質若しくは酵素の補欠分子族、補因子を構成し、酸化還元を担う原子からの距離が、1.6nm以内、好ましくは1.29nm以内に位置する原子という意味である。なお、活性サイトの位置は、X線結晶解析、もしくは、核磁気共鳴スペクトルにより定まるものである。例えば、酵素がグルコースオキシダーゼの場合は、フラビンアデニンジヌクレオチドが活性サイトであり、西洋ワサビペルオキシダーゼの場合は、ヘム、ラッカーゼであれば、銅原子が活性サイトである。また、この酸化還元を担う原子とは、活性サイトの中でも特に酸化還元を担う原子のことであり、例としては、フラビンアデニンジヌクレオチドであればフラビン環の1位、10位の窒素原子、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドであれば、ニコチンアミドの4位の炭素、ピロロキノリンキノンであれば、4位、5位の酸素原子、ヘムであれば鉄原子を指す。また、1.6nm、1.29nmの距離の意味は、たんぱく質の活性中心から1.6nmを超えると、急激に電子移動速度が低下するという報告 (Qijin Chi他 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2005 年、102巻、16203頁)、1.29nmという電子移動距離が生理的な二つの酸化還元中心間の距離として決定されたもののなかで最も長い距離の一つであるという報告(Arthur Oubrie 他 The Journal of Biological Chemistry 2002年、277巻、3727頁)に基づく。
アミノ酸としては、例えばヒスチジンが挙げられる。
酵素として、西洋ワサビペルオキシダーゼを用い、当該西洋ワサビペルオキシダーゼの活性サイトであるヘムの近傍に、ヒスチジンを設けた例を実施例1において詳述している。
また酵素として、グルコースオキシダーゼを用い、当該グルコースオキシダーゼの活性サイトであるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の近傍に、ヒスチジンを設けた例を実施例2において詳述している。
本実施形態においては、酵素としては、上記西洋ワサビペルオキシダーゼやグルコースオキシダーゼの他に、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、チオレドキシンレダクターゼを含む他の酸化還元酵素全般が適用される。
酵素内の活性サイト近傍等に配置するアミノ酸としては、金属錯体と配位結合するものであれば特に制限されないが、例えば、ヒスチジンやシステイン、あるいは、金属中心への配位能を持つ非天然のアミノ酸などが挙げられる。
なお、本実施形態における活性サイトは、酵素内で電荷の授受が行われる部位を意味し、例としては、酸化還元中心、あるいは、その酸化還元中心から電荷を受け取る部位が挙げられる。
酸化還元中心としては、以下の2つの概念が包含される。
グルコースオキシダーゼのFADのように酵素に保持されているものと、グルコースでヒドロゲナーゼのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のように基本的に酵素内に保持されているのではないものである。
また、人為的にアミノ酸が導入される位置は、活性サイトと、酵素を構成するタンパク質により間接的に接触する位置でもよいし、活性サイトに対して、近傍に位置するのであれば、所定の空間を隔てた位置であってもよい。また、必要であれば活性サイトの近傍に配置されたアミノ酸と結合する金属錯体から、電極へ電荷を輸送するための中継となる金属錯体と結合するアミノ酸をさらに酵素内に導入しても良い。
2)金属錯体
本実施形態に適用される金属錯体としては、以下のものが挙げられる。
例えば、金属中心として、鉄、コバルト、ルテニウム、オスミウム、クロム、配位子として、ビピリジン、ターピリジン、イミダゾールの複素環式化合物、シクロペンタジエニル、およびこれらの誘導体などである。この金属錯体は、導電性部材との間で高速の電荷の授受を行うものが望ましい。このために、例えば、π共役分子を配位子とした金属錯体を用いても良い。この金属錯体の中心金属は、1つでも良いし、複数でも良い。複数の場合は、同一の元素であっても良いし、複数種類の元素を含んでも良い。複数種類の元素を含む場合には、それぞれの金属中心の電位関係を考慮し、望ましい方向へ電子が輸送されるように配置することが重要である。
なお、金属錯体は、脱離基を有することにより、ヒスチジン等のアミノ酸と配位結合することが可能である。この脱離基の例としては、ハロゲン、四フッ化ホウ素、六フッ化リンが挙げられる。
金属錯体が導電性部材に結合している場合には、この金属錯体の分子長を変化させることで酵素と導電性部材との間の距離を制御することができる。これにより、以下の二因子のバランスをとることができる。(a)分子長を短縮すると、酵素の活性サイトから導電性部材への電荷輸送の高速化を行うことができる。(b)分子長を増大させると導電性部材との相互作用により酵素の活性が低下することを防ぐことができる。分子長を変化させる方法の具体例としては、配位子の分子設計を行う方法、多核錯体の段階を増大させることが挙げられる。
3)導電性部材
導電性部材は、例えば、金、白金などの金属電極やカーボン電極、インジウムスズ酸化物電極などを適用できる。
なお、前記金属錯体と導電性部材とは、電気的に接続されていればよく、例えば、両者間に何らかの物質を介在させて、互いに電気的に接続していても、直接接続していてもよい。また、必要に応じて、物理的、化学的に結合していても良い。
また、導電性部材への酵素の固定化も、直接酵素が導電性部材に接触していてもよいし、金属錯体を介して固定化されていても良いし、ポリマーや、反応性の官能基を持つ架橋剤などにより、実質的に固定化を実現してもよい。
(第2の実施形態:酵素電極の製造方法)
次に、本実施形態に係る酵素電極の製造方法について、図2を用いて説明する。
まず、金属錯体が固定化されている導電性部材を用意する(S1)。
この工程S1では、例えば以下のようにして、前記導電性部材が用意される。
まず、導電性部材を、導電性物質をそのまま使用する方法や、ガラスや、ポリマーといった絶縁性物質上に導電性層を形成する手法を用いて調製する。この導電性層の形成手法の例としては、蒸着、スパッタリング、印刷などが挙げられる。
次に、導電性部材に金属錯体を固定する。この例として、以下の2手法を挙げる。1.配位子の官能基として、導電性部材あるいは導電性部材の表面に固定された物質に結合しうる基を持った金属錯体の溶液と、導電性部材を接触させる方法。2.導電性部材あるいは導電性部材の表面に固定された物質に結合しうる官能基を持った配位子の溶液と導電性部材を接触させ、固定化させる。その後に、脱離基をもった金属錯体の中心金属を含む化合物の溶液と導電性部材を接触させ固定化させる方法。
次に、酵素をコードする遺伝子を遺伝子工学的に組替えて、該酵素内の活性サイト、あるいはその近傍の制御された位置にアミノ酸を設ける(S2)。
より具体的には、該酵素をコードする遺伝子における、活性サイト近傍のアミノ酸に対して、目的のアミノ酸をコードするコドンに置換、若しくは目的のアミノ酸をコードするコドンを挿入する。例えば、制御された位置にヒスチジンを設けるには、ヒスチジンをコードするコドンであるCAT若しくはCACを、酵素内の活性サイト近傍のアミノ酸をコードするコドンに置換するか、挿入する。このように人為的に位置を制御して、アミノ酸を配置することで、最終的には、金属錯体を活性サイト近傍に配置できることになる。
なお、酵素内に位置を制御してアミノ酸を人為的に導入するということに関しては、上記実施形態1で説明した技術的事項が、本実施形態においても適用される。
次に、該アミノ酸と該金属錯体とを配位結合させる(S3)。
具体的には、例えば、該酵素の溶液を脱離基を有する金属錯体を固定した導電性部材に接触させることで行う。
こうして、酵素電極が得られる。
(第3の実施形態:センサ)
前述の第1の実施形態で説明した酵素電極を用いて構成されるセンサについて、図3を用いて説明する。
同図において、2000は酵素電極、2010は対電極であり、これらは、2020のリード線を通して外部装置2030に接続されている。また、酵素電極と対電極とは、電解質2040中に配置されている。
また必要に応じて、参照電極や電解質を保持する機構を適用することもできる。
このときに酵素電極を介して、外部装置2030で取得される電気信号によって、電解質中に存在する被検物質の有無、濃度を調べることができる。こうして、酵素電極を利用したセンサが実現できる。なお、電気信号としては、電流、電荷量、電圧、電位、インピーダンスが含まれる。また、外部装置から酵素電極に電位、電圧等を印加しておくこともできる。予め、電気信号と特定の基質の濃度等の関係をデータベースに記憶しておき、取得される信号と、当該データベース内の情報とを比較することも可能である。
(第4の実施形態:燃料電池)
前述の第1の実施形態で説明した酵素電極を用いて構成される燃料電池について、図4を用いて説明する。
同図において、3000はアノード、3010はカソードであり、酵素電極は、これらのうち少なくとも一方として用いられ、他方が対向電極となっている。これらは、リード線3020を通して3030の負荷に接続されている。
アノードとカソードは、3040の電解質中に配置されている。また、必要に応じて、さらに電解質を保持する機構を用いてもよい。電解質中に燃料が存在するときにアノードとカソードとの間に生じる起電力によって、負荷に電流を流し仕事を行わせることができる。
ここでいう、負荷とは、例えば薬剤を供給するためのポンプであり、電気信号を発信するための発信機である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の方法は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1で形成される酵素電極の概念図を図5に示す。
同図において、5000はガラス基板、5010は金電極であり、これらは導電性部材を構成している。この導電性部材に金/チオール結合を通してコバルト錯体5020が固定化されている。そして、末端のコバルト(5030)に、西洋ワサビペルオキシダーゼ(5040)の分子に導入されたヒスチジン残基(5050)が結合している。この導入されたヒスチジン残基は、西洋ワサビペルオキシダーゼの活性サイトであるヘム(5060)の近傍(5070)に導入されている。このために、酵素反応を通じてヘムに取り出された電子は、高速でコバルト錯体を通じて導電性部材に移動することが可能となる。
実施例1では、この酵素電極の調製および過酸化水素センサとしての使用例を以下の各項目に分けて記述する。
1.電極上に固定化する金属錯体配位子の合成
2.特定位置にヒスチジンを導入した西洋ワサビペルオキシダーゼの調製
3.酵素電極の調製
4.過酸化水素の測定
1.電極上に固定化する金属錯体配位子の合成
以下の式(1)に示す錯体配位子の合成法を記述する。
Figure 0004948327
等モルの2−アセチルピリジン、4−メチルチオベンズアルデヒドのエタノール溶液に半分の体積の1.5M水酸化ナトリウム水溶液を加え反応させた後、ろ過、水、メタノールで洗浄、乾燥し中間生成物を得た。
窒素雰囲気下、カリウム−tert−ブトキサイドのテトラヒドロフラン溶液に、0.1mLの2−アセチルピリジンを加え、室温で攪拌する。0.16gの前記中間生成物を加え、室温で反応させた後に、過剰量の酢酸アンモニウム、エタノールを加え、還流を行う。その後、溶液を減圧溜去、生成物を水洗し、クロロホルムからメタノールで再沈殿させることにより式(1)に示す配位子を得た。
2.特定位置にヒスチジンを導入した西洋ワサビペルオキシダーゼの調製
活性サイトの近傍に、アミノ酸であるヒスチジンを特定の位置に導入し、そのヒスチジンと配位結合する金属錯体を用いた酵素電極について説明する。
西洋ワサビ(Armoracia rusticana)の苗より常法に従いcDNAを調製する。
cDNAを鋳型として用い、合成オリゴヌクレオチド
5’−AATAATGGATCCCAACTTACCCCTACCTTCTACGACAATTCA−3’(BamHI)[配列番号1]、および、
5’−AATAATCTCGAGAGAGTTGGAGTTCACCACCCTACAATTCAA−3’(XhoI)[配列番号2]、
をプライマーとして用い、PCR増幅反応を行い、約920塩基対の増幅産物を得る。
増幅産物のDNA塩基配列を解析することにより、このPCR増幅産物[配列番号3]は、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペルオキシダーゼをコードする遺伝子(prxC1a)を含むことを確認することができる。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびXhoIで消化切断し、約920塩基対のDNA断片をpGEX−6P−1(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)の同じ制限酵素サイトに挿入する。こうすることによって、GST融合ペルオキシダーゼ発現ベクターpGEX−prxC1aを作製する。
精製したpGEX−prxC1aに対して、市販のキットを用い、部位特異的変異を導入することによって、変異型ペルオキシダーゼ発現ベクターpGEX−mprxC1aを作製する。
ペルオキシダーゼ遺伝子に対して導入する部位特異的変異は、以下の全ての条件に適合するアミノ酸を選択し、これらのアミノ酸をコードする遺伝子を、ヒスチジンをコードする遺伝子に置換することによって行う。
1.ペルオキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列において、電荷の授受が行われる部位であるヘムの物理的近傍に位置するアミノ酸であること。
2.酵素表面近傍に位置するアミノ酸であること。
3.該アミノ酸のヒスチジンへの置換により、酵素のペルオキシダーゼ活性を低減させないもの。
4.置換されたヒスチジンの側鎖であるイミダゾール基により酵素外部に配置される金属錯体と結合させる目的に利用できること。
これらの条件を満たすアミノ酸のセットとして、たとえば配列番号4で表されるアミノ酸配列における、31番目のアルギニン、73番目のセリン、176番目のグルタミンを挙げることが出来る。こうして、酵素内の活性サイトであるヘムに対して、約0.95nmという近傍に、位置を制御してヒスチジンを配置できる。
これらのアミノ酸のヒスチジンへの置換は、市販キット付属のマニュアルに従い、プライマーを設計し、塩基の置換をすることによって行う。
変異型GST融合ペルオキシダーゼ発現ベクターpGEX−mprxC1aを、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
得られた形質転換体を、抗生物質アンピシリンを添加したLB培地でプレ・カルチャーした後、その一部を、LB−Amp培地に添加し振とう培養する。その後IPTGを添加してさらに培養を続け、形質転換体を集菌、PBSに再懸濁、菌体を破砕し、遠心分離して粗酵素抽出液を取得する。
粗酵素抽出液からGST融合ペルオキシダーゼをグルタチオン・セファロースビーズで精製する。予めBSAを吸着させることで非特異的吸着を抑える前処理を行ったグルタチオンセファロースを、粗酵素抽出液に添加し攪拌することで、GST融合ペルオキシダーゼをグルタチオンセファロースに吸着させる。
吸着後、遠心分離でグルタチオンセファロースを回収し、PBSで洗浄した後、グルタチオンを添加し攪拌することで、吸着した融合タンパク質を溶出する。遠心分離して上清を回収した後、PBSに対して透析し、GST融合ペルオキシダーゼを精製する。このGST融合ペルオキシダーゼをGST融合プロテアーゼで消化し、GST部位を切断した後、グルタチオン・セファロースに通してGST融合プロテアーゼとGSTを除去する。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、配列番号5で表されるアミノ酸配列を含む変異型ペルオキシダーゼの最終精製物を得る。
ペルオキシダーゼ活性は、以下のようにして決定できる。
例えば2,2’−azino−di−[3−ethylbenzthiazoline−6−sulfonate]diammonium salt(ABTS)を発色剤として用いる。そして、420nmにおける吸光度変化を測定することにより決定する。
3.酵素電極の調製
市販のスライドグラスをアセトン中で超音波洗浄、窒素気流下で乾燥した後、チタン/金を20/200nmの厚さで蒸着して、導電性基板を調製した。基板を切断後、過酸化水素水/濃硫酸の3/7溶液中に20分間浸漬し、水洗、窒素気流で乾燥した。
(a)この基板を式(1)の配位子のクロロホルム溶液に浸漬、クロロホルムで洗浄、窒素気流下乾燥する。
(b)次に、この基板を塩化コバルト(II)水溶液に浸漬、水洗、窒素気流下乾燥をおこなう。
(c)次に4’,4’’’’−(1、4−Phenylene)bis(2,2’:6’,2’’−terpyridine)のクロロホルム溶液に浸漬を行い、クロロホルムで洗浄、窒素気流下で乾燥する。
さらに、b,cの工程を、b−c−b−c−bと繰り返すことで、導電性基板に固定化された金属錯体を得る。
先に記述した、ヒスチジンを導入した西洋ワサビペルオキシダーゼの緩衝液を調製し、この金属錯体固定化導電性部材を浸漬することで金属錯体に酵素を固定化する。酵素の固定化量は、水晶振動子マイクロバランス法等により、見積もることができる。その後、緩衝液で洗浄し、錯体に配位していない酵素を除くことで酵素電極を調製する。
こうして、酵素内の活性サイト近傍に配置されたヒスチジンと、金属錯体の金属中心であるコバルト原子とが配位結合することにより、結果として、メディエータとして機能する金属錯体の位置を、活性サイトに対して位置を制御して配置できる。
4.過酸化水素濃度の測定
調製した酵素電極を作用電極とし、白金線を対電極、銀/塩化銀電極を参照電極として3電極セルを構成し、ポテンショスタットに接続、電解液として0.1Mのリン酸緩衝液を使用する。測定前に、既知濃度の過酸化水素の緩衝溶液を用い、作用電極に500mV vs Ag/AgClの電位を印加して定常電流(触媒電流)を観測、検量線を作成する。その上で、電解液に未知濃度の過酸化水素を含む物質を添加し、同様の電位を印加して定常電流を観測することで濃度を測定する。
(実施例2)
実施例2で形成される酵素電極の概念図を図6に示す。
同図において、6000はシリコン基板、6010は金電極であり、これらは導電性部材を構成している。この導電性部材に金/チオール結合を通してコバルト錯体6020が固定化されている。そして、末端のコバルト(6030)に、グルコースオキシダーゼ(6040)の分子に導入されたヒスチジン残基(6050)が結合している。また、グルコースオキシダーゼ内には、さらに金属錯体を結合するためのヒスチジンが導入されており、6060は、これにコバルト錯体が結合されたものをさす。この6060のコバルト錯体を固定化しているヒスチジンは、グルコースオキシダーゼの活性サイトであるFAD(6070)の近傍(6080)に導入されている。このために、酵素反応を通じてFADに取り出された電子は、高速でコバルト錯体を通じて導電性部材に移動することが可能となる。
実施例2では、この酵素電極の調製およびグルコースセンサ、生物燃料電池としての使用例を以下の各項目に分けて記述する。
1.酵素固定化用金属錯体の合成(6060を構成するコバルト錯体)
2.特定位置へヒスチジンを導入したグルコースオキシダーゼの調製
3.酵素電極の調製
4.グルコース濃度の測定
5.生物燃料電池の動作
1.酵素固定化用金属錯体の合成
以下の式(2)に示す錯体の合成法を記述する。
Figure 0004948327
等モルの2,2’:6’,2’’−terpyridine、塩化コバルト(II)をエチレングリコール溶媒中、窒素雰囲気下還流を行うことで反応させる。反応溶液を空冷した後、強攪拌中の500mLのジエチルエーテルに滴下し、生じた沈殿を水、ジエチルエーテルで洗浄乾燥し式(2)に示す錯体を得る。
2.特定位置へヒスチジンを導入したグルコースオキシダーゼの調製
Penicillium amagasakiense(ATCC 28686)を、ジャガイモ、グルコースを含む寒天プレートに接種し、25℃で培養することにより、培養細胞を得る。得られた培養細胞をリン酸緩衝液に懸濁した後、遠心分離して回収することにより洗浄する。この培養細胞より常法に従いcDNAを調製する。このcDNAを鋳型として、合成オリゴヌクレオチド
5’− AATAATCATATGGCCTACCTGCCTGCCCAACAGATTGATGTCCAG −3’ (NdeI) [配列番号6]、および、
5’− AATAATCGGCCGCTAGGCACTTTTGGCATAGTCATCCAAAAT −3’(EagI)[配列番号7]、
をプライマーとして、PCR増幅反応を行い、約1,700塩基対の増幅産物を得る。
増幅産物のDNA塩基配列を解析することにより、このPCR増幅産物[配列番号8]は、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるグルコースオキシダーゼをコードする遺伝子を含むことを確認することができる。
このDNA増幅産物を制限酵素NdeIおよびEagIで消化切断し、約1,700塩基対のDNA断片をpET−21a(+)(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入する。こうすることによって、グルコースオキシダーゼ発現ベクターpET21−GOXを作製する。
精製したpET21−GOXに対して、市販のキットを用い、部位特異的変異を導入することによって、変異型グルコースオキシダーゼ発現ベクターpET−mGOXを作製する。
グルコースオキシダーゼ遺伝子に対して導入する部位特異的変異は、次のように行う。
すなわち、以下の条件のうち、1から3、または2から4のそれぞれ全ての条件に適合するアミノ酸を選択し、これらのアミノ酸をコードする遺伝子を、ヒスチジンをコードする遺伝子に置換することによって行う。また、可能であれば、一つのアミノ酸で1から4の全ての条件に適合していても良い。
1.グルコースオキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列において、電荷の授受が行われる部位であるフラビンアデニンジヌクレオチドの物理的近傍に位置すること。
2.ヒスチジンへの置換によりグルコースオキシダーゼ活性を低減させないこと。
3.置換されたヒスチジンの側鎖であるイミダゾール基により金属原子と錯体を形成することが可能であること。
4.酵素表面近傍に位置するアミノ酸の中から、ヒスチジンへの置換により酵素外部に配置される金属錯体と結合させる目的に利用できること。
これらの条件を満たすアミノ酸のセットとして、以下のものを挙げることができる。
たとえば配列番号9で表されるアミノ酸配列における、108番目のスレオニン−231番目のアスパラギン酸−61番目のセリン−6番目のグルタミン、である。また、112番目のグリシン−221番目のアスパラギン−177番目のセリン−150番目のアラニンである。更にまた、111番目のアスパラギン−231番目のアスパラギン酸−61番目のセリン−6番目のグルタミンを挙げることが出来る。
本実施例においては、108番目のスレオニン−231番目のアスパラギン酸−61番目のセリン−6番目のグルタミンの4アミノ酸を置換した例について記述する。
これらのアミノ酸のヒスチジンへの置換は、市販キットに付属のマニュアルに従い、プライマーを設計し、塩基の置換をすることによって行う。
変異型グルコースオキシダーゼ発現ベクターpET−mGOXを、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
得られた形質転換体を抗生物質アンピシリンを添加したLB培地で一晩プレ・カルチャーした後、その一部をLB−Amp培地に添加、振とう培養する。その後IPTGを添加し、さらに培養する。IPTG誘導した形質転換体を集菌、PBSに再懸濁し、凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心分離して封入体を含む固形夾雑物を取得する。封入体を含む固形夾雑物を、NaClおよびEDTAを含むTris−HCl緩衝液(pH8.0)で2回洗浄後、さらにTriton X−100を含むTris−HCl緩衝液(pH8.0)で洗浄する。つぎに尿素水溶液で洗浄することにより夾雑タンパク質を除き封入体を精製する。
精製された封入体をジチオスレイトールを含む8M 尿素水溶液に懸濁、氷浴上静置し可溶化する。
可溶化されたタンパク質を透析チューブに入れ、グルタチオン、グリセロール、FADを含むTris−HCl緩衝液(pH8.0)に対して透析することにより、リフォールディングさせる。
リフォールディングされたタンパク質溶液を遠心することにより、凝集したタンパク質を除去し、上清に含まれるタンパク質を、酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したゲルろ過カラムにかけることにより分画する。グルコースオキシダーゼ活性画分を分取することにより、配列番号10で表されるアミノ酸配列を含む変異型グルコースオキシダーゼの精製標品とする。
グルコースオキシダーゼ活性は、例えば25℃、酸素飽和条件下に、酢酸ナトリウム緩衝液中でのグルコースの酸化に伴い生成する過酸化水素量を測定することにより決定することができる。例えば2,2’−azino−di−[3−ethylbenzthiazoline−6−sulfonate]diammonium salt(ABTS)を発色剤として用い420nmにおける吸光度変化によって、決定することが可能である。
3.酵素電極の調製
シリコン基板上にチタン/金を20/200nmの厚さで蒸着して、導電性基板を調製した。基板を切断後、過酸化水素水/濃硫酸の3/7溶液中に20分間浸漬し、水洗、窒素気流で乾燥した。
(a)この基板を式(1)の配位子のクロロホルム溶液に浸漬、クロロホルムで洗浄、窒素気流下乾燥する。
(b)次に、この基板を塩化コバルト(II)水溶液に浸漬、水洗、窒素気流下乾燥をおこなう。
(c)次に4’,4’’’’−(1、4−Phenylene)bis(2,2’:6’,2’’−terpyridine)のクロロホルム溶液に浸漬を行い、クロロホルムで洗浄、窒素気流下で乾燥する。
さらに、b,cの工程を、b−c−bと繰り返すことで、導電性基板に固定化された金属錯体を得る。
先に記述した、ヒスチジンを導入したグルコースオキシダーゼの緩衝液を調製し、この金属錯体固定化導電性部材を浸漬することで金属錯体に酵素を固定化する。酵素の固定化量は、水晶振動子マイクロバランス法等により、見積もることができる。その後、緩衝液で洗浄し、錯体に配位していない酵素を除く。さらに、化合物(2)の0.1Mリン酸緩衝液中に浸漬することで酵素電極を調製する。
こうして、酵素内の活性サイト近傍に配置されたヒスチジンと、金属錯体の金属中心であるコバルト原子とが配位結合することにより、結果として、メディエータとして機能する金属錯体の位置を、活性サイトに対して位置を制御して配置できる。
4.グルコース濃度の測定
調製した酵素電極を作用電極とし、白金線を対電極、銀/塩化銀電極を参照電極として3電極セルを構成し、ポテンショスタットに接続、電解液として0.1Mのリン酸緩衝液を使用する。必要な場合は、不活性ガスをバブリングすることで、溶液から酸素を除去する。測定前に、既知濃度のグルコースの緩衝溶液を用い、作用電極に500mV vs Ag/AgClの電位を印加して定常電流(触媒電流)を観測、検量線を作成する。その上で、電解液に未知濃度のグルコースを含む物質を添加し、同様の電位を印加して定常電流を観測することで濃度を測定する。
5.生物燃料電池の動作
調製した酵素電極をアノードとし、白金線をカソードとして生物燃料電池を構成する。アノード、カソードから取り出したリード線に、負荷、例えば、液晶表示装置を接続する。燃料であるグルコース、酸素を含んだ電解液をアノード、カソード間に導入することで、起電力を発生し、液晶表示装置を駆動させる。
実施例の効果
本発明の酵素電極においては、分子生物学的手法を用いて西洋ワサビペルオキシダーゼの活性サイトであるヘム、グルコースオキシダーゼ活性サイトであるのFADの近傍に金属錯体に配位可能なヒスチジンを導入する。このヒスチジンに対し、脱離基として塩素を分子内に有するコバルト錯体を結合させることで、活性サイトの近傍にメディエータとして機能するコバルト錯体を固定化する。
その結果、従来の酵素分子中にメディエータがランダムに導入された酵素を用いた酵素電極と比較して、酵素の活性サイトからメディエータ分子への電子移動が高速化する。
これによって、本酵素電極では、酵素の活性中心からの電子の取出が、酵素反応の律速段階となっているような系において、律速段階を解消することができる。その結果、従来よりも高いターンオーバー数、電流値、積算電荷量を示す酵素電極を得ることができる。この特性は、以下のように利用することが可能である。
1.この電極は、酵素の活性中心からの電子の取出が、酵素反応の律速段階となっているような系、すなわち基質濃度が高く、基質の拡散過程が律速段階となりにくい系において、高い電流を与えることができる。この特性を利用して、この電極を例えばセンサに応用した場合には、測定濃度範囲の上限の高いセンサを提供することができる。また、燃料電池に応用した場合には、電流密度およびそれに比例して向上する出力密度の高い燃料電池を提供することができる。
2.この電極は、酵素の活性中心からの電子の取出を高速化することで、酵素1分子あたりの電流値を高くすることができる。すなわち、少ない酵素量で必要とされる電流値を与えることができるため、酵素の使用量を低下させ、電極の製造に必要な資源、コストの削減に寄与する。
3.この電極は、酵素の活性中心からの電子の取出を高速化することで、酵素1分子あたりの電流値を高くすることができる。すなわち、少ない酵素量で必要とされる電流値を与えることができる。このため、酵素固定化電極において、従来の電極と、同じ固定化密度の電極の場合には、一定の出力電流値、電荷量を維持したまま電極面積を低減することができる。これを利用して、電極面積を低減することで、バックグラウンド電流を減少させ、シグナル/ノイズ比を向上させることができる。また、デバイスを小型化することができる。これによって、低ノイズのセンサや小型のセンサ、燃料電池を提供することができる。
本発明に係る酵素電極を説明するための図である。 本発明に係る酵素電極を製造する工程を説明するための図である。 本発明に係るセンサを説明するための図である。 本発明に係る燃料電池を説明するための図である。 本実施例に係る酵素電極を説明するための図である。 本実施例に係る酵素電極を説明するための図である。
符号の説明
1000 酵素
1010 導電性基板
1020 金属錯体
1030 活性サイト
1040 アミノ酸
1005 酵素を構成する、一部改変された部位をもつタンパク質

Claims (6)

  1. 酵素と導電性部材とを有する酵素電極であって、
    前記酵素は酸化還元酵素であり、
    前記酸化還元酵素は、該酸化還元酵素の活性部位としての、酸化若しくは還元を受ける酵素の基質、酵素の補欠分子族または補因子を構成し酸化還元を担う原子、から1.6nm以内の距離位置するアミノ酸を有し、
    前記アミノ酸は、前記導電性部材に電気的に接続される金属錯体と配位結合しており、
    前記金属錯体の中心金属は鉄、コバルト、ルテニウム、オスミウム、クロムのいずれかであることを特徴とする酵素電極。
  2. 遺伝子工学的に前記酸化還元酵素をコードする遺伝子を組替えて、前記酸化還元酵素内の活性部位またはその近傍に前記アミノ酸が人為的に導入されていることを特徴とする請求項1に記載の酵素電極。
  3. 前記アミノ酸がヒスチジンであることを特徴とする請求項1乃至2に記載の酵素電極。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の酵素電極と、前記酵素電極が有する前記導電性部材に電圧を印加するための手段を有することを特徴とする酵素センサ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の酵素電極と、前記酵素電極に対向する対向電極と、前記酵素電極および前記対向電極の間に配置された電解質を収容するための空間と、を有することを特徴とする燃料電池。
  6. 酸化還元酵素と導電性部材を有する酵素電極の製造方法であって、
    前記導電性部材に金属錯体を固定化する工程と、
    前記酸化還元酵素をコードする遺伝子を遺伝子工学により組替えることで、前記酸化還元酵素内の該酸化還元酵素の活性部位としての、酸化若しくは還元を受ける酵素の基質、酵素の補欠分子族または補因子を構成し酸化還元を担う原子、から1.6nm以内の距離にアミノ酸を設ける工程と、
    前記アミノ酸と前記金属錯体とを配位結合させる工程と、を有することを特徴とする酵素電極の製造方法。
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