JP5709365B2 - 微生物酵素製剤およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酵素製剤として有用な、活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物およびその製造方法に関する。また本発明はかかる微生物組成物を有効成分とする酵素製剤に関する。さらに本発明は、カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を対象として、微生物組成物におけるカテコールオキシダーゼ活性を向上させる方法に関する。
メラニンは、動物及び植物に広く存在する生体由来の黄色〜黒色の色素である。安全性が高く、且つ紫外線吸収機能、ラジカル捕獲機能、および酸化防止機能などの有用な機能を有することから、化粧品や食品等の添加剤として広く使用されている。
図1に示すように、生体内において、メラニンは、メラニン生成酵素であるチロシナーゼが、チロシン又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アラニン(以下、単に「DOPA」ともいう)等の基質化合物の酸化反応を触媒することによって生成する。具体的には、メラニンは、チロシナーゼが上記基質化合物の酸化を触媒することによって生じるメラニン前駆体(ドーパクロム、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドールなど)が、酸素の影響を受けて重合することにより生合成される。
上記反応において中間体として生成するメラニン前駆体もまた染毛剤、特に空気酸化型染毛剤の色素成分として広く使用されている。これは、メラニン前駆体が、空気中の酸素により速やかに重合してメラニン色素に変換する性質を利用したものである。
かかるメラニン前駆体及びメラニンの製造方法としては、化学合成反応による方法があるが、副反応による収率の低下、目的反応生成物の単離に要する時間的負担、反応溶剤の残留による安全性や環境への悪影響が懸念されるなどといった問題がある。一方、酵素反応によるメラニン前駆体及びメラニンの製造方法としては、例えば特許文献1に、チロシンやDOPA等の基質化合物を、カテコールオキシダーゼ活性を示す細胞を用いて酸化してメラニン前駆体に変換する方法が記載されており、かかる方法によれば、上記化学合成反応の場合に生じる問題がなく、比較的効率よくメラニン前駆体を生成することができる。
しかしながら、かかる酵素反応、特に酵素を産生する微生物を用いてメラニン前駆体を工業的に製造するためには、酵素の反応性をより一層高める必要があり、高い酵素活性を有する微生物酵素製剤の開発が要望されている。
特開2006−158304号公報
上記特許文献1に記載されているチロシナーゼ等の銅を補因子として含むカテコールオキシダーゼは、細胞内で不活性型のアポ酵素として生成されるため、これを酵素製剤として使用するためには、このアポ酵素を活性型のホロ酵素に変換する必要がある。かかる方法としては、まずアポ酵素に銅イオンを取り込ませ、次いで酸処理を施す方法が有効である(特許文献1、実施例3)。しかしながら、本発明者らの試験によると、後述する実験例1に示すように、上記特許文献1の実施例3に記載する手順に従って活性化処理しても、十分な活性化ができないことがわかった。
そこで本発明は、チロシナーゼ等のカテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を対象として、微生物組成物におけるカテコールオキシダーゼ活性を向上させるための方法を提供することを目的とする。また本発明は、メラニン前駆体およびメラニンの製造を効率的に製造するにあたって酵素製剤として有用な微生物組成物、特により多くの活性型カテコールオキシダーゼを含有することで高いカテコールオキシダーゼ活性を有する微生物組成物、およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、当該微生物組成物を有効成分とする酵素製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべき鋭意検討を進めていたところ、カテコールオキシダーゼを産生する微生物、特にチロシナーゼを産生する酵母を、上記の特許文献1に記載する方法で活性化処理する前に、予め冷凍若しくは乾燥処理するか、或いは界面活性剤で処理する等の方法で細胞にダメージを与え、生存率を低下させておくことで、上記目的に適う、高いカテコールオキシダーゼ活性を有する微生物組成物が取得できることを見出した。特にこの効果は、活性化処理前に菌体生存率を0%に近づけておくほど高くなる傾向がある。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
(I)活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物
(I-1)下記(1)および(2)の特徴を有する、活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物:
(1)微生物の生存率が0〜91%、
(2)カテコールオキシダーゼ活性が1.7kU/g以上。
(I-2)カテコールオキシダーゼがチロシナーゼである、(I-1)記載の微生物組成物。
(I-4)微生物が酵母である、(I-1)または(I-2)に記載する微生物組成物。
(II)酵素製剤
(II-1)(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する微生物組成物を有効成分とする酵素製剤。
(III)微生物組成物の製造方法
(III-1)不活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を、細胞障害処理した後に、活性化処理を行うことを特徴とする、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する微生物組成物の製造方法。
(III-2)細胞障害処理が、冷凍処理、乾燥処理および界面活性剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理である、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)上記界面活性剤が陽イオン系界面活性剤である(III-2)に記載する製造方法。
(III-4)上記陽イオン系界面活性剤が第4級アンモニウム塩である(III-3)に記載する製造方法。
(III-5)上記界面活性剤が陰イオン系界面活性剤である(III-2)に記載する製造方法。
(III-6)上記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である(III-2)に記載する製造方法。
(III-7)活性化処理が、不活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を銅イオンと接触させる工程、および酸処理工程を有する処理である、(III-1)乃至(III-6)のいずれかに記載する製造方法。
(IV)微生物組成物のカテコールオキシダーゼ活性を向上させる方法
(IV-1)カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を、細胞障害処理した後に、活性化処理を行うことを特徴とする、微生物組成物におけるカテコールオキシダーゼ活性を向上させる方法。
(IV-2)細胞障害処理が、冷凍処理、乾燥処理および界面活性剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理である、(IV-1)に記載する方法。
(IV-3)上記界面活性剤処理に使用する界面活性剤が、陽イオン系界面活性剤である(IV-2)に記載する方法。
(IV-4)上記陽イオン系界面活性剤が第4級アンモニウム塩である(IV-3)に記載する方法。
(IV-5)活性化処理が、カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を銅イオンと接触させる工程、および酸処理工程を有する処理である、(IV-1)乃至(IV-4)のいずれかに記載する方法。
(V)メラニン前駆体の製造方法
(V-1)(II-1)記載の酵素製剤の存在下で、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アラニン(DOPA)及びその類縁体からなる群より選ばれる少なくとも1種の基質化合物を酸化してメラニン前駆体に変換する酸化工程と、反応液からメラニン前駆体を回収する回収工程とを含むメラニン前駆体の製造方法。
本発明の微生物組成物は、カテコールオキシダーゼが不活性型(アポ酵素)から活性型(ホロ酵素)へと高い割合で変換されているため、高いカテコールオキシダーゼ活性(触媒活性)を有している。このため、かかる微生物組成物を酵素製剤として用いることにより、例えば染毛剤の色素成分として有用なメラニン前駆体、及び食品や化粧料の添加剤として有用なメラニンを効率よく製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、微生物が有する不活性型カテコールオキシダーゼ(アポ酵素)を活性型(ホロ酵素)へと効率よく変換することができるため、微生物酵素製剤として有用な活性型カテコールオキシダーゼを高い割合で含有する微生物組成物を製造取得することができる。
さらに本発明の方法によれば、不活性型カテコールオキシダーゼ(アポ酵素)を活性型(ホロ酵素)へと効率よく変換することができるため、カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物のカテコールオキシダーゼ活性を向上させることができる。
3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-L-アラニン(L-DOPA)を基質化合物とするメラニンの生合成反応経路を示す図である。
(I)微生物組成物およびその製造方法
本発明の微生物組成物は、活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物の集合体であって、下記(1)および(2)の特徴を備えるものである:
(1)微生物の生存率が0〜91%、
(2)カテコールオキシダーゼ活性が1.7kU/g以上。
なお、ここで微生物の生存率は、好ましくは0〜70%、より好ましくは0〜60%である。またカテコールオキシダーゼ活性は、好ましくは3kU/g以上、より好ましくは5kU/g以上である。
ここで本発明が対象とするカテコールオキシダーゼは、銅を補因子として有する酵素である。すなわち、活性触媒中心に銅イオンが配位していないと十分なカテコールオキシダーゼ活性を示さず、銅イオンが配位することで完全なカテコールオキシダーゼ活性を示すようになる酵素である。本明細書では、前者の銅イオンが配位していない酵素を「不活性型カテコールオキシダーゼ」(アポ酵素)といい、後者の銅イオンが配位した酵素を「活性型カテコールオキシダーゼ」(ホロ酵素)と称する。
かかるカテコールオキシダーゼ(EC1.10.3.1)としては、ジフェノールオキシダーゼ、o-ジフェノラーゼ、フェノラーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ等と称される酵素が含まれる。カテコールオキシダーゼとして、好ましくは、少なくともチロシナーゼ活性を有する酵素である。ここでカテコールオキシダーゼ活性とは、カテコールの酸化によるo-キノンの生成を触媒する活性をいう。
メラニンまたはメラニン前駆体を製造する場合において、カテコールオキシダーゼとして、より好ましくはチロシナーゼを挙げることができる。チロシナーゼは、L-DOPAに対して親和性が高いため、これを基質化合物とすることで、図1に示す反応経路を通じて天然型のメラニン前駆体を効率よく製造することができる。
カテコールオキシダーゼは、どのような生物に由来する酵素であってもよい。発現効率が良く、かつ宿主細胞内で安定であることから、糸状菌に由来するカテコールオキシダーゼであることが好ましい。中でも、反応収率(基質に対する酸化生成物の比率)が高い酵素であることが好ましく、このような酵素を産生する糸状菌としては、アスペルギルス(Aspergillus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、及びペニシリウム(Penicillium)属等が挙げられる。中でも、熱に対して比較的安定であり、かつ安全性が確かめられている点で、アスペルギルス属糸状菌のチロシナーゼが好ましい。具体的には、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)のmelB遺伝子(特許第3903125号公報)、melD遺伝子(特許第4267318号公報)、又はmelO遺伝子(Molecular cloning and nucleotide sequence of the protyrosinase gene, melO, from Aspergillus oryzae and expression of the gene in yeast cells.Biochim Biophys Acta. 1995 Mar 14;1261(1):151-154)でコードされるチロシナーゼ、並びに当該チロシナーゼと実質的に同一である酵素を挙げることができる。
ここで上記遺伝子(melB遺伝子、melD遺伝子又はmelO遺伝子)でコードされるチロシナーゼと「実質的に同一」とは、これらの遺伝子のうちいずれか1つの遺伝子でコードされる酵素(melB、melD、melO)のアミノ酸配列と、アミノ酸配列として70%以上、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上が同一のアミノ酸配列を有し、かつ少なくともチロシナーゼ活性を有していることをいう。このような酵素は、ドーパからドーパクロムへの反応収率が高く、効率的に酸化反応を行うことができる。
本発明が対象とする微生物は、少なくとも上記カテコールオキシダーゼを産生し得るものであればよく、この限りにおいて特に制限されない。すなわち、本発明が対象とする微生物は、(a)本来的に上記酵素を産生し得る微生物であってもよいし、また(b)上記酵素を産生し得る能力が外来的に付与された微生物であってもよい。さらに(c)内在性または外来性の別を問わず、カテコールオキシダーゼ活性を高める処理をされた微生物であってもよい。好ましくは(b)または(c)の微生物である。
かかる微生物としては、大腸菌、酵母、および糸状菌等を挙げることができる。なかでも、安全で、さらに単細胞であり、かつ細胞の沈降速度が速いため、比較的低速回転の遠心分離で反応後の細胞を分離できる点で、酵母を用いることが好ましい。酵母の中でも、特に、菌体が堅牢であるために菌体由来のタンパク質の反応液中への流出が抑えられ、かつ遺伝子操作が容易である点で、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。なお、本発明の微生物組成物は、好ましくは1種単独の微生物からなる集合体である。
(b)の微生物は、例えば、タンパク質の大量発現用に通常用いられているベクターにカテコールオキシダーゼをコードする遺伝子(カテコールオキシダーゼ遺伝子)をクローニングし、当該ベクターを宿主細胞に導入することによって調製することができ、斯くして上記遺伝子を宿主染色体に組み込むか、又はこれをプラスミド状態で有する微生物を取得することができる。
上記(c)の微生物としては下記の微生物を挙げることができる:
(c-1) カテコールオキシダーゼ遺伝子を本来発現させているプロモーターよりも高活性のプロモーターの下でこの遺伝子を発現させている微生物。
(c-2) カテコールオキシダーゼ遺伝子を複数コピー有する微生物。
(c-3) カテコールオキシダーゼ遺伝子の変異体を有することにより高いカテコールオキシダーゼ活性を示す微生物。
(c-1)で使用される高活性のプロモーターとしては、制限されないが、例えば清酒酵母由来のSED1遺伝子プロモーター(特開2003-265177号公報)などを挙げることができる。
(c-2)の微生物は、例えば、カテコールオキシダーゼ遺伝子を複数コピー保持する可能性のある2倍体以上の細胞にカテコールオキシダーゼ遺伝子を導入することによって調製することができる。また、例えばパン酵母等の実用酵母の中には、3倍体や4倍体の細胞も存在するため、これらも好適に使用できる。このようにして、微生物に導入するカテコールオキシダーゼ遺伝子のコピー数を多くすることにより、より高いカテコールオキシダーゼ活性を有する微生物とすることができる。
(c-3)の微生物としては、カテコールオキシダーゼ遺伝子の変異により、カテコールオキシダーゼ活性が高くなった微生物、又はこのような変異カテコールオキシダーゼ遺伝子を導入した微生物を使用することができる。このようにして、天然型酵素より高い活性を示す変異型酵素とすることにより、高いカテコールオキシダーゼ活性を示す微生物とすることができる。
<細胞障害処理>
本発明の微生物組成物は、不活性型カテコールオキシダーゼ、即ち補因子として銅を有しないアポ酵素型のカテコールオキシダーゼを含む微生物組成物に対して、細胞障害処理を施すことによって調製することができる。
ここで細胞障害処理とは、微生物の細胞にダメージを与え、微生物の生存率を低下させるような処理を意味する。好ましくは微生物を死に至らしめるような処理である。
かかる処理としては、制限はされないが、好ましくは、乾燥処理、および界面活性剤処理を例示することができる。また、冷凍処理であってもよい。
ここで冷凍処理は、カテコールオキシダーゼ活性を損なわずに、対象とする微生物組成物を冷凍する処理であればよく、その限りにおいて冷凍方法や冷凍条件は特に制限されない。例えば、液体窒素による瞬間冷凍、ドライアイス等の冷凍材料を用いた冷凍方法、冷凍庫に収容して徐々に冷凍する方法、減圧条件下で凍結乾燥する方法などを制限なく挙げることができる。好ましくは微生物組成物を、冷凍庫等を用いて冷凍して、0℃以下、好ましくは−20〜−10℃の状態で、少なくとも1日以上保存する処理を挙げることができる。
また乾燥処理としては、カテコールオキシダーゼ活性を損なわずに、対象とする微生物組成物を乾燥する処理であればよく、その限りにおいて乾燥方法やその条件は特に制限されない。例えば、天日乾燥、風乾、凍結乾燥、加熱乾燥、通風乾燥、スプレードライによる乾燥などを挙げることができる。好ましくは微生物組成物を30〜90℃の条件で、通風乾燥する方法を挙げることができる。この場合、制限はされないが、微生物中の含水量が少なくとも0-90%程度になるまで乾燥することが好ましい。
界面活性剤処理としては、酵素活性を損なわずに、対象とする微生物組成物の細胞に障害を与えるような化学物質を用いた処理であればよく、その限りにおいて処理方法やその条件は特に制限されない。微生物組成物の細胞に障害を与えるような化学物質としては、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に制限をされず、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤を挙げることができる。好ましくは、陽イオン性界面活性剤である。
界面活性剤処理に用いる陽イオン系界面活性剤としては、特に制限されないが、 好ましくは第4級アンモニウム塩が挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、特に制限をされないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、デシルイソノニルジメチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムカーボネート、ジデシルメチルポリオキシエチレンアンモニウムプロピネートなどを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。好ましくは、塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドである。
なお第4級アンモニウム塩の塩としては、制限をされないが、クロライド塩、炭酸塩、リン酸塩、ブロマイド塩などを挙げることができる。好ましくはクロライド塩である。
界面活性剤処理に用いる陰イオン系界面活性剤としては、特に制限されないが、ラウリル硫酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。
界面活性剤処理に用いる非イオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、オクチルフェノールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ノニルフェノールエトキシレート、オクチルフェノールエトキシレートなどが挙げられる。好ましくはオクチルフェノールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである。
界面活性剤処理に用いる両性イオン系界面活性剤としては、特に制限されないが、
ベタイン、ラウリルベタイン、塩化アルキルポリアミノエチルグリシンなどが挙げられる。
このような界面活性剤を用いた処理には、カテコールオキシダーゼ活性を損なうことなく、対象とする微生物組成物の細胞に障害を与える条件が採用される。例えば、界面活性剤として陽イオン系界面活性剤(好ましくは第4級アンモニウム塩)を用いる場合、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%の濃度で当該界面活性剤を含有する水に、対象とする微生物組成物を浸漬する方法を挙げることができる。この場合の水温としては制限されないが、好ましくは0〜70℃、より好ましくは10〜30℃、処理時間としては、制限されないが、好ましくは0.01〜12時間、より好ましくは1〜60分間を挙げることができる。
また、微生物組成物溶液に直接界面活性剤を添加する方法も挙げられる。例えば、界面活性剤として陽イオン系界面活性剤(好ましくは第4級アンモニウム塩)を用いる場合、微生物組成物の溶液に0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%の濃度で当該界面活性剤を添加して処理する方法を挙げることができる。この場合の水温としては制限されないが、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜30℃、処理時間としては、制限されないが、好ましくは0.01〜12時間、より好ましくは0〜60分間を挙げることができる。
以上説明する細胞障害処理を行うことにより、対象とする微生物組成物は細胞にダメージを受け、生存率が80%以下にまで低下する。実験例1に示すように、かかる生存率は低ければ低いほどよく、好ましくは70%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは0%である。かかる細胞障害処理で得られる微生物組成物の生存率によって、その後の活性化処理の効果が異なってくる。このため、微生物酵素製剤の原料として常に均質した活性を有する微生物組成物を取得するという目的からは、かかる細胞障害処理で得られる微生物組成物の生存率は一定に、好ましくは1%未満、より好ましくは0%になるように調整することが好ましい。
<活性化処理>
本発明の微生物組成物は、上記細胞障害処理の後、活性化処理を施すことによって調製される。
ここで活性化処理とは、微生物組成物中に含まれるカテコールオキシダーゼの活性を向上させるための処理をいい、例えば後述する(a)〜(c)の処理を挙げることができる。
(a)微生物組成物を、銅イオンを含む溶液に接触させる処理
前述するように、銅を補因子とするカテコールオキシダーゼ、好ましくはチロシナーゼが活性を示すためには、触媒活性中心に2価銅イオンが配位することが必要である。特に形質転換等の遺伝子操作によりカテコールオキシダーゼの発現量を向上させた微生物においては、酵素の活性触媒中心に2価銅イオンが配位しておらず(不活性型カテコールオキシダーゼ)、十分なカテコールオキシダーゼ活性が得られない場合がある。このため、かかる不活性型カテコールオキシダーゼを有する微生物を、予め2価銅イオンで処理することにより、カテコールオキシダーゼの触媒活性中心に2価銅イオンを配位させることが好ましい。すなわち、上記(a)の処理は、微生物組成物中に含まれる不活性型カテコールオキシダーゼ、即ち活性触媒中心に2価銅イオンが配位していないアポ酵素型のカテコールオキシダーゼに2価銅イオンを配位させる処理である。
かかる処理としては、具体的には、不活性型カテコールオキシダーゼを有する微生物組成物を、0.001〜100mM程度、好ましくは0.1〜2mM程度の硫酸銅を含む水溶液に入れ、0〜70℃程度、好ましくは10〜40℃程度の温度条件下で、0.01〜12時間、好ましくは0.1〜1時間程度静置する方法を挙げることができる。なお、上記硫酸銅に代えて、塩化銅を用いることもできる。
また、微生物組成物の溶液に直接銅イオンを加えてもよい。
(b)微生物組成物を酸性溶液で処理する
カテコールオキシダーゼの中でもチロシナーゼ、特にアスペルギルス・オリゼ由来のチロシナーゼは、pH2〜4程度の酸性溶液で処理することにより、成熟化し、活性化する。従って、微生物として、チロシナーゼ、特にアスペルギルス・オリゼ由来のチロシナーゼを有する微生物を用いる場合は、かかる酸処理を行うことで、酵素を成熟化させ、活性化させることが好ましい。
かかる処理としては、例えば、カテコールオキシダーゼを有する微生物組成物を20〜200mM程度、好ましくは50〜100mM程度の酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH2〜4、好ましくはpH3)に懸濁し、0〜40℃程度、好ましくは10〜30℃で、0.01〜12時間程度、好ましくは0.5〜1時間程度静置する方法を挙げることができる。
また、微生物組成物の溶液に直接酸を加えて酸処理を行ってもよい。かかる処理としては、微生物組成物の溶液に硫酸を添加し、pHを2〜4程度、好ましくはpHから2.8〜3.2、さらに好ましくはpH3に調整し、0〜40℃程度、好ましくは10〜30℃程度の温度条件で、0.01〜12時間程度、好ましくは0.5〜1時間程度静置する方法を挙げることができる。なお、上記硫酸に代えて、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、乳酸などを用いることもできる。
(c)微生物組成物をプロテアーゼで処理する
また、カテコールオキシダーゼは、トリプシン等の特定のペプチド結合を選択的に切断するエンドペプチダーゼのようなプロテアーゼで処理することによっても活性化することができる。これは、プロテアーゼ処理することにより、酵素のN末端及び/又はC末端側の配列が取り除かれることによる。従って、カテコールオキシダーゼを有する微生物をプロテアーゼで処理することで、カテコールオキシダーゼ活性を向上させることが好ましい。
これらの(a)〜(c)の活性化処理のうち、好ましくは(a)および(b)である。これらの活性化処理は1つの処理を単独で行ってもよいし、また2種以上の処理を任意に組み合わせて行うこともできる。例えば、カテコールオキシダーゼの中でもチロシナーゼ、特にアスペルギルス・オリゼ由来のチロシナーゼを有する微生物組成物を用いる場合は、(a)の銅イオン処理に(b)の酸処理を併用することが好ましい。
斯くして調製される本発明の微生物組成物は、微生物全体に占める生存微生物の割合(微生物の生存率)が、前述するように91%以下であることを特徴とする。好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは0%である。
なお、ここで微生物の生存率は、例えば微生物が酵母の場合は、メチレンブルー染色法を用いて測定することができる(「清酒醸造技術」1979年3月30日、p.169、財団法人日本醸造協会発行)。これは、酵母の死滅細胞はメチレンブルーによって青く染色することを利用したものである。具体的には、酵母組成物を0.01%のメチレンブルー溶液を加えて懸濁し、次いで顕微鏡下で酵母細胞のメチレンブルー染色率を求め、その値から酵母の生存率(%)を算出することができる。
また、細胞障害処理後の微生物組成物の溶液を適宜希釈し、あらかじめ顕微鏡にて菌数を数えておき、この溶液を平板培地に塗布し、30〜37℃で24〜72時間培養し、生育したコロニー数を数えて、細胞障害処理前後の生存率の変化を測定してもよい。
また、細胞障害処理前後の微生物組成物の溶液を適宜希釈して平板培地に塗布し、30〜37℃で24〜72時間培養し、生育したコロニー数を数えて細胞障害処理前後の生存率の変化を測定してもよい。
また本発明の微生物組成物は、微生物組成物1gあたりのカテコールオキシダーゼ活性が1.7kU以上であることを特徴とする。好ましくは3〜15kU/g、より好ましくは5〜15kU/gである。
ここでカテコールオキシダーゼ活性は、カテコールオキシダーゼの種類に応じて適切な基質化合物を用いることで測定することができる。
例えば、カテコールオキシダーゼがカテコールオキシダーゼ活性を有する酵素である場合、カテコールオキシダーゼ活性の測定は、基質化合物としてカテコールを用いて、微生物組成物を反応させて、ベンゾキノンの生成を測定することで実施することができる。
また、カテコールオキシダーゼがチロシナーゼ活性を有する酵素である場合、カテコールオキシダーゼ活性の測定は、基質化合物としてL-POPAを用いて微生物組成物を反応させて、得られる反応液の475nmにおける吸光度を測定することにより実施することができる。この場合の微生物組成物のカテコールオキシダーゼ活性(チロシナーゼ活性)は、具体的には、微生物組成物と0.8μmolのL-DOPAを含む溶液(1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0))1mLを、30℃で5分間反応させた場合の475nmにおける吸光度を測定することで実施することができる。この場合、吸光度を1増加させる活性が1Uとなる。微生物組成物のカテコールオキシダーゼ活性(U/g)は、微生物組成物について上記方法で得られる活性(U)を、反応に用いた微生物の重量(g)で除することによって算出することができる。
(II)酵素製剤
前述する本発明の微生物組成物は、そのままの状態で酵素製剤とすることができる。この場合、微生物組成物の形態は、特に制限されず、例えば、水等の極性溶媒またはこれらの混合液に懸濁させた状態であってもよいし、冷凍状態でもよい。また乾燥固体状態に調製したものであってもよいし、粉末状態でもよい。また、担体結合法、包括法、架橋法、光架橋法等の公知の方法で、任意の担体に固定化させた状態のものであってもよい。
本発明の酵素製剤は、前述する本発明の微生物組成物を有効成分とするものであればよく、微生物組成物だけからなるものであってもよいが、酵素の安定性向上、金属イオン除去の目的で、エチレンジアミン四酢酸、またはその塩、水和物等の化合物などを配合してなるものであってもよい。
本発明の酵素製剤は、そのカテコールオキシダーゼ活性、好ましくはチロシナーゼ活性に基づいて、L-DOPA又はその誘導体を基質化合物として、メラニンまたはメラニン前駆体を製造するために好適に使用される。
ここで基質化合物としてのL-DOPA又はその誘導体の具体例としては、 (2)D体又はL体のドーパ〔DOPA;3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アラニン〕、(3)ドーパミン(Dopamine;3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン)、(4)チロシンの低級(C1-4)アルキルエステル、(5)DOPAの低級(C1-4)アルキルエステル、(6)N-アルコキシ(例;アセトキシ)化又はN-アルキル(例;エチル)化されたDOPA等が挙げられ、これらの異性体であってもよい。中でも、天然型メラニン前駆体が得られる点で、L-DOPAが好ましい。これらL-DOPA又はその誘導体は、いずれかを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また上記でいうメラニン前駆体とは、L-DOPA又はその誘導体から製造され、かつ空気中の酸素ですみやかに酸化重合しメラニンを形成する物質であり、具体例としては、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸等のインドリン誘導体、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸等のインドール誘導体などを示す。DOPAはその酸化重合速度が遅いため、本発明にいうメラニン前駆体に含まない。また、チロシンからの酸化反応中間体として、ドーパクロム、インドールキノン等が存在するが、これらは短期間しか安定でなく長期間(例えば1ヶ月)の安定性を有しないため、商品としては利用できない。従って、これらも本発明にいうメラニン前駆体には含まない。更に、メラニン前駆体は、必ずしもモノマーに限られるものではなく、二量体以上のオリゴマーも含まれる。
(III)微生物組成物のカテコールオキシダーゼ活性を向上させる方法
本発明はまた微生物組成物におけるカテコールオキシダーゼの活性を向上させる方法を提供する。
当該方法は、カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を、細胞障害処理した後に、活性化処理を行うことによって実施することができる。
ここで「カテコールオキシダーゼ」、および「カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物」の意味およびその調製方法は、(I)で説明した通りである。また、「細胞障害処理」および「活性化処理」の意味およびその方法についても、前述(I)の通りである。
斯くして、細胞障害処理した後、活性化処理されてなる微生物組成物は、細胞障害処理することなく活性化処理されてなる微生物組成物と比べて、生存率は低下するものの高いカテコールオキシダーゼ活性を有している。具体的には、実験例1に示すように、細胞障害処理することなく活性化処理したチロシナーゼ含有微生物組成物(比較例)は、生存率が96%、チロシナーゼ活性が0.4kU/gであったのに対して、細胞障害処理した後、活性化処理した微生物組成物(実施例1〜3)は、生存率が0〜91%と低下するものの、チロシナーゼ活性は1.7〜11.1kU/gと、4〜30倍もチロシナーゼ活性が向上することが確認された。
かかる方法によれば、高いカテコールオキシダーゼ活性を有する微生物組成物を調製することができ、例えばメラニンやメラニン前駆体の製造に有用な、酵素活性の高い微生物酵素剤として提供することができる。
(IV)酵素製剤を用いたメラニン前駆体の製造方法
本発明はまた(II)で説明する本発明の酵素製剤を用いてメラニン前駆体を製造する方法を提供する。当該方法は、少なくとも下記の2工程を含む方法によって実施することができる。
(a)酸化反応工程
本発明の酵素製剤の存在下で、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アラニン(DOPA)及びその類縁体からなる群より選ばれる少なくとも1種の基質化合物を酸化してメラニン前駆体に変換する工程、
(b)回収工程
(a)で得られた反応液からメラニン前駆体を回収する工程。
<基質化合物>
(a)工程において、基質化合物としては、前述するようにDOPA及びDOPA類縁体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用する。DOPA及びDOPA類縁体は、L体又はD体のいずれであってもよい。DOPA類縁体としては、ドーパミン(Dopamine)や、DOPAメチルエステル、DOPAエチルエステルおよびα−メチルDOPA等が挙げられ、これらの異性体であってもよい。中でも、天然型メラニン前駆体が得られる点で、L-DOPAを用いることが好ましく、酵素に対する親和性の点でもL-DOPAを用いることが好ましい。なお、基質化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
<酸化反応>
(a)工程において、酸化反応は、上記基質化合物を水に溶解した状態で行ってもよいし、また水に完全に溶解させることなく非溶解状態で行ってもよい。
酸化反応開始時の基質化合物の濃度は、溶解及び非溶解にかかわらず、通常10〜60 mM程度、好ましくは15〜40 mM程度である。当該濃度は、溶解及び非溶解状態にかかわらず、基質化合物の含有量を意味する。
また反応液のpHは、前述する酵素製剤が基質化合物の酸化反応を触媒できる範囲であればよく、特に限定されない。通常pH4〜9程度であり、好ましくはpH5〜7程度である。余りに低pHであると基質化合物の酸化が進行せず、逆に余りに高pHであると生成したメラニン前駆体が蓄積せずに重合してしまうが、上記範囲であれば、メラニン前駆体の重合を抑えて反応液中に効率よくメラニン前駆体を蓄積させることができる。
反応液のpHは、緩衝液を用いることにより上記範囲に維持することもできるが、塩濃度が高いとメラニン前駆体の重合によるメラニンの生成(メラニン化)が促進される場合がある。このため、KOH、NaOHのような強アルカリ及びH2SO4のような強酸を少量添加することにより、反応液中のpHを上記範囲に調整しコントロールすることが好ましい。
反応液中の酵素製剤の配合量は、1molのL-DOPAを基質化合物とした場合の酸化活性が、5×105U/mol以上となる範囲内で、少なければ少ないほど良い。尚、酵素製剤の活性は、酵素製剤と0.8μmolのDOPAを含む溶液1mLを30℃で5分間反応させた場合の475nmにおける吸光度を光路長1 cmあたり1増加させる活性を1Uとして計算される。反応液への酵素製剤の投入量は、通常反応液の体積に対して20容量%以下が好ましく、10容量%以下がより好ましい。上記の範囲内であれば、反応後の菌体分離を容易に行えることにより、メラニン前駆体の収率を高くすることができる。
反応温度は、酵素製剤が基質化合物の酸化反応を触媒できる範囲であればよく、特に限定されないが、通常15〜35℃程度に調整することが好ましく、20〜30℃程度に調整することがより好ましい。上記範囲内であれば、十分に酸化反応が進行するとともに、酵素が失活し難く、またメラニン化が進行し難い。
反応開始直後は、酸化反応に大量の酸素が必要であるため、大量に通気することが好ましい。但し、攪拌速度が速すぎると微生物が損傷するため、反応液中の酸素濃度を監視し、酸素濃度が低下しなくなれば通気量および攪拌速度を減少することが好ましい。反応液中の酸素濃度は0.1〜8 ppm程度に調整することが好ましく、1〜2 ppm程度に調整することがより好ましい。通気や撹拌により反応液中に大量の泡が生じる場合は、シリコーン樹脂のような消泡剤を添加してもよい。また、密閉容器で反応を行うことにより、発泡を防ぐこともできる。
反応は、バッチ式又は連続式の何れであってもよい。未反応の基質化合物と生成物を分離できる点でバッチ式が好ましい。バッチ式の場合の反応時間は、通常10分〜2時間程度とするのが好ましく、30分〜1時間程度とするのがより好ましい。余りに長時間反応させると生成したメラニン前駆体の重合反応(メラニン化)が進行してしまうためメラニン前駆体の収率が低下するが、上記程度の反応時間であれば、基質化合物を十分メラニン前駆体に変換できるとともに、メラニン化を最小限に抑えることができる。
<メラニン前駆体の回収>
斯くして調製されたメラニン前駆体を含む反応液(メラニン前駆体含有溶液)には、メラニン前駆体のほかに、使用した酵素又は微生物、更には通気及び撹拌により細胞が破損して生じたタンパク質又は細胞から流出したタンパク質や、メラニン前駆体が重合したメラニンも含まれる。従って、必要に応じて、反応液からメラニン前駆体以外の成分を除去してもよい。例えば酵素や微生物細胞の除去は、限外ろ過等のろ過、遠心分離等の手段により行うことができる。また、タンパク質やメラニンの除去は、限外ろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー等の手段により行うことができる。
なお、調製されたメラニン前駆体は、必要に応じてさらに、(i)pH調整処理、(ii)水溶性有機溶媒の添加、(iii)無機塩の添加、(iv)緩衝液による処理、(v)酸化防止剤の添加等の処理を行ってもよい。かかる処理を行うことで、メラニン前駆体溶液中の5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸のいずれかの濃度を高めることができる。これらの処理は、2種以上を組み合わせて用いてもよく、特に上記(i)pH調整時に(ii)〜(v)のいずれか1以上を組み合わせると、より効率的に5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸の濃度を高めることができる。
また、メラニン前駆体含有溶液は、さらに必要に応じて、逆浸透膜濃縮、減圧濃縮、スプレードライ、凍結乾燥等の公知の方法で水分を除去するか又は乾燥することで、濃縮状態または乾燥状態(乾燥粉末)に調製することもできる。また、メラニン前駆体含有溶液にそのまま、または濃縮後、防腐を目的としてエタノール等の低級アルコールを添加することもできる。
なお、この場合、エタノールの濃度が高いほど、高い防腐効果が得られる反面、メラニン前駆体含有溶液中に含まれ得る無機塩類の溶解度が低下し、低温保管時の不溶物析出の可能性が高まる。これを考慮すると、好ましいエタノール濃度は18〜22重量%である。この範囲でエタノールを含むことによって不溶物の析出防止と防腐効果を同時に満たすことができる。より好ましくは19〜21重量%、最も好ましくは20重量%程度である。なお、当該メラニン前駆体含有溶液には、本発明の効果が妨げられない限りにおいて、水およびエタノール以外の極性溶媒が含まれていてよい。かかる極性溶媒としては、例えばメタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の炭素数1〜6の低級アルコール、およびアセトン等を挙げることができる。
メラニン前駆体含有溶液は、制限されないが、それに含まれるメラニン前駆体(好ましくは、5,6-ジヒドロキシインドール)の濃度が、好ましくは0.8〜1.2重量%、より好ましくは0.9〜1.1重量%、さらに好ましくは1重量%程度になるように調整されることが好ましい。かかる5,6-ジヒドロキシインドールの含有量は、HPLC分析法で、5,6-ジヒドロキシインドール標準品を用いて、絶対検量線法により測定(定量)することができる。
またメラニン前駆体含有溶液は、塩化物イオン濃度が300ppm以下になるように調整することが好ましい。塩化物イオン濃度を300ppm以下にすることで、これを金属製の容器に収納した場合でも金属を腐食させる危険性を低下させることができる。好ましくは100ppm以下、より好ましくは20〜60ppmである。当該塩化物イオン濃度は、HPLC分析法により測定することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例、比較例および実験例等を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
調製例 カテコールオキシダーゼ産生微生物(melB産生酵母)の調製
カテコールオキシダーゼとしてチロシナーゼ(melB)、微生物として酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いて、カテコールオキシダーゼ産生微生物を調製した。なお、チロシナーゼ(melB)は麹菌Aspergillus oryzaeから単離された酵素である(特許第3903125号公報)。そのアミノ酸配列、並びにそれをコードするmelB遺伝子のクローニング方法およびその塩基配列も、上記特許第3903125号公報に記載されている。
(1)チロシナーゼ遺伝子(melB遺伝子)のクローニング
特許第3903125号公報の記載に従って、麹菌Aspergillus oryzaeからmelB遺伝子をクローニングした。具体的には、麹菌「Aspergillus oryzae OSI-1013」株(受託番号FERM P-16528、平成9年11月20日に日本国茨城県つくば市東1-1-1 つくばセンター 中央第6に住所を有する独立行政法人産業技術総合研究所・特許生物寄託センター(旧:工業技術院生命工学工業技術研究所・特許微生物寄託センター)に寄託)を蒸米に接種し、製麹した麹を1.5g秤量し、液体窒素中で完全に破砕した。日本ジーン社製ISOGENを用いて、これから240μgの全RNAを抽出した。120μgの全RNAからタカラバイオ株式会社製Oligotex-dT30<Super>を用いて、1μgのmRNAを精製した。このmRNAを、Clontech社製SMART cDNA Library Construction KitによりcDNAライブラリーを作成し、PCRによりmelB cDNAのみを増幅した。得られたPCR産物はアガロースゲル電気泳動で、目的の約1.8Kbpのバンドのみが増幅されていることを確認した。また、塩基配列解析の結果、正常にイントロン配列が取り除かれていることも確認した。なお、特許第3903125号公報の配列番号2に記載されているmelB遺伝子の塩基配列のうち、1〜1436番目の塩基配列はプロモーター領域、3636〜4174番目の塩基配列はターミネーター領域に相当し、1437〜3635番目の塩基配列は、melB cDNAに相当するコーティング領域に相当する。
(2)酵母への組み込み
上記(1)で得られたmelB cDNAを、酵母Saccharomyces cerevisiae用発現ベクター(特開2003-265177号公報)に発現可能な状態で接続した。具体的には、特開2003-265177号公報の記載に準じて、SED1プロモーターとADH1ターミネーターを持つ上記発現ベクターのプロモーター直下のSmaI部位に、上記(a)で取得したmelB cDNAを挿入した。URA3マーカー内部に存在するStuI部位で切断することにより得られるmelB cDNAを含む断片を導入用カセットとして精製した。
これを定法に従って、酵母(Saccharomyces cerevisiae)に導入し、melB産生酵母を調製した。なお、酵母は、清酒の醸造に用いられる実用酵母・協会9号由来のウラシル要求性株については、日本醸造教会から入手できる清酒の醸造に用いられる実用酵母・協会9号の5−フルオロオロチジン酸耐性を利用した公知の陽性選択方法により取得することができる。
比較例 melB産生酵母のチロシナーゼ活性化
調製例に記載する方法で得られたmelB産生酵母(組換え酵母)を常法により培養し、遠心分離によって菌体を回収し、次いで蒸留水で洗浄した。次いで、菌体(湿重量約100mg)に0.1mMの硫酸銅を含む水溶液1mLを加え、40℃で20分間保持した。その後、遠心分離により菌体を回収し、これに50mMの酢酸緩衝液(NaOAc-HCl)(pH3.0)1mLに懸濁し、室温で10分間静置した。その後、遠心分離により菌体を回収し、過剰な銅イオンを除去するため20mMのEDTA溶液(KOHを使用してpH5に調整)で洗浄し、遠心分離して菌体を回収した。
斯くして活性化処理された菌体を水1mLに懸濁し、実験例1の菌体生存率およびチロシナーゼ活性の測定に供した。
実施例1 melB産生酵母の冷凍処理およびチロシナーゼ活性化
調製例に記載する方法で得られたmelB産生酵母(組換え酵母)を常法により培養し、遠心分離によって菌体を回収し、次いで蒸留水で洗浄した。次いで、菌体(湿重量約100mg)を−20℃冷凍庫内で冷凍し4ヶ月間保存した。
冷凍保存後、室温に戻すことにより解凍した菌体(湿重量約100mg)を用いて、比較例と同様に活性化処理を行った。具体的には上記菌体に0.1mMの硫酸銅を含む水溶液1mLを加え、40℃で20分間保持した。次いで、遠心分離により菌体を回収し、これに50mMの酢酸緩衝液(NaOAc-HCl)(pH3.0)1mLに懸濁し、室温で10分間静置した。その後、遠心分離により菌体を回収し、20mMのEDTA溶液(KOHを使用してpH5に調整)で洗浄し、遠心分離して菌体を回収した。
斯くして活性化処理された菌体を水1mLに懸濁し、実験例1における菌体生存率およびチロシナーゼ活性の測定に供した。
実施例2 melB産生酵母の乾燥処理およびチロシナーゼ活性化
調製例に記載する方法で得られたmelB産生酵母(組換え酵母)を常法により培養し、遠心分離によって菌体を回収し、次いで蒸留水で洗浄した。次いで、菌体(湿重量約100mg)をシャーレに薄く広げ、60℃の通風乾燥機に入れ、3時間通風することにより乾燥させた。
斯くして乾燥した菌体を用いて、比較例と同様に活性化処理を行った。具体的には菌体を0.1mMの硫酸銅を含む水溶液1mLを加え、40℃で20分間保持した。次いで、遠心分離により菌体を回収し、これに50mMの酢酸緩衝液(NaOAc-HCl)(pH3.0)1mLに懸濁し、室温で10分間静置した。その後、遠心分離により菌体を回収し、20mMのEDTA溶液(KOHを使用してpH5に調整)で洗浄し、遠心分離して菌体を回収した。
斯くして活性化処理された菌体を水1mLに懸濁し、実験例1における菌体生存率およびチロシナーゼ活性の測定に供した。
実施例3 melB産生酵母の界面活性剤処理およびチロシナーゼ活性化
調製例に記載する方法で得られたmelB産生酵母(組換え酵母)を常法により培養し、遠心分離によって菌体を回収し、次いで蒸留水で洗浄した。次いで、菌体(湿重量約100mg)を、表1に記載する各種濃度(0.1、0.4、0.8および2.0重量%)に調製した界面活性剤(塩化ベンザルコニウム)の水溶液(15℃)に、0.5時間浸漬した。
浸漬後、遠心分離によって菌体を回収し、次いで蒸留水で洗浄した菌体(湿重量約100mg)を用いて、比較例と同様に活性化処理を行った。具体的には菌体を0.1mMの硫酸銅を含む水溶液1mLを加え、40℃で20分間保持した。次いで、遠心分離により菌体を回収し、これに50mMの酢酸緩衝液(NaOAc-HCl)(pH3.0)1mLに懸濁し、室温で10分間静置した。その後、遠心分離により菌体を回収し、20mMのEDTA溶液(KOHを使用してpH5に調整)で洗浄し、遠心分離して菌体を回収した。
斯くして活性化処理された菌体を水1mLに懸濁し、実験例1における菌体生存率およびチロシナーゼ活性の測定に供した。
実験例1
比較例および実施例1〜3でそれぞれ調製した活性化処理菌体について、菌体の生存率(%)および菌体のチロシナーゼ活性を測定した。
(1)菌体の生存率(%)の測定
酵母の死滅細胞はメチレンブルーによって青く染色する。そこでメチレンブルー染色法を用いて(「清酒醸造技術」1979年3月30日、p.169、財団法人日本醸造協会発行)、顕微鏡下で酵母細胞のメチレンブルー染色率を求め、それから酵母細胞全体に占める生菌の割合(酵母生存率)(%)を算出した。メチレンブルーによる菌体の染色は、細胞障害処理後の溶液を100倍希釈し、希釈溶液100μLと0.01%メチレンブルー溶液900μLを懸濁し、5分以内に顕微鏡で観察することで行った。
(2)菌体のチロシナーゼ活性の測定
菌体のチロシナーゼ活性の測定は、基質としてL-DOPAを用いて、次のようにして行った。
(i)菌体の一部を水に懸濁し、その0.1mLに30℃の10mM L-DOPA(0.005Nの塩酸に溶解)0.8mL及び1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)0.1mLを添加し(合計1mL)、30℃で5分間反応させる。
(ii)次いで、15,000rpmで30秒間遠心分離を行うことにより菌体を取り除き、上清の475nmにおける吸光度を測定する。なお、このとき、菌体量は、反応後の反応液の475nmにおける吸光度が0.1〜0.3に収まるように調整する。
なお、チロシナーゼ活性1Uは、0.8μmolのL-DOPAを含む溶液1mLを30℃で5分間反応させた場合の475nmにおける吸光度を1増加させる活性を意味する。菌体のチロシナーゼ活性(kU/ g)は、下式に示すように、反応液(菌体除去後の上清)のチロシナーゼ活性(kU)を、反応に用いた菌体の重量(g)で除して算出した。
Figure 0005709365
(3)結果
実施例1〜3で調製した菌体、および比較例で調製した菌体について測定した生存率(%)とチロシナーゼ活性(1kU/g)を表1に示す。
Figure 0005709365
この結果から、melB産生酵母に、銅処理および酸処理を用いたチロシナーゼ活性処理を施す前に、細胞障害処理として、冷凍処理(実施例1)、乾燥処理(実施例2)または界面活性剤(塩化ベンザルコニウム)処理(実施例3)を行うことにより、酵素を効率的に活性化させることが分かる。その活性化と、細胞障害処理による菌体生存率との間には、ほぼ負の相関関係があり、細胞障害処理によって細胞がダメージを受け菌体生存率が低下するほど、その後の活性化処理によってチロシナーゼが効率的に活性化されることが判明した。
また、実施例3の結果からわかるように、0.4%以上の界面活性剤の使用で菌体生存率が0%になり、それ以上の濃度の殺菌剤を使用しても、得られる菌体のチロシナーゼ活性は同じでチロシナーゼ活性は向上しなかった。このことから、活性化処理によるチロシナーゼ活性の向上に影響するのは、細胞障害処理の種類よりも、むしろ細胞障害処理による菌体生存率の低下(菌体全体に占める死菌の割合の増加)であると考えられた。
実験例2
実験例1で、塩化ベンザルコニウムを用いた界面活性剤処理が、活性化処理の前処理として有効であることが判明したので、ここでは実施例3で使用した塩化ベンザルコニウム0.1〜2重量%に代えて、表2に示す種々の第4級アンモニウム塩(0.5重量%)を用いて、実施例3に記載する方法で活性化処理菌体を調製し、実験例1と同様にして菌体の生存率(%)と菌体のチロシナーゼ活性(kU/g)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005709365
この結果より、塩化ベンザルコニウム同様に、細胞障害性のある陽イオン系界面活性剤(第4級アンモニウム塩)を用いた前処理により、その後の活性化処理によって、チロシナーゼが効率的に活性化されることが判明した。
実験例3
実験例2で、陽イオン系界面活性剤(第4級アンモニウム塩)を用いた界面活性剤処理が、活性化処理の前処理として有効であることが判明したので、ここでは実施例3で使用した塩化ベンザルコニウム0.1〜2重量%に代えて、表3に示す種々の界面活性剤(0.3重量%)をアルカリ性条件下で用いて、実施例3に記載する方法で活性化処理菌体を調製し、実験例1と同様にして菌体の生存率(%)と菌体のチロシナーゼ活性(kU/g)を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 0005709365
これらの結果から、カテコールオキシダーゼ含有微生物組成物について、活性化処理に先だって、冷凍処理、乾燥処理および界面活性剤処理など、菌体を死に至らしめるような細胞障害性を与える処理を行うことで、その後の活性化処理により、カテコールオキシダーゼが効率的に活性化されることが確認された。

Claims (8)

  1. 不活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を、冷凍処理、乾燥処理および界面活性剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの細胞障害処理した後に、活性化処理を行うことを特徴とする、下記の特徴を有する、活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物の製造方法
    (1)微生物の生存率が0〜91%、
    (2)カテコールオキシダーゼ活性が1.7kU/g以上
  2. カテコールオキシダーゼがチロシナーゼである、請求項1に記載する製造方法。
  3. 微生物が酵母である、請求項1または2に記載する製造方法。
  4. 上記界面活性剤が陽イオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載する製造方法。
  5. 活性化処理が、不活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を銅イオンと接触させる工程、および酸処理工程を有する処理である、請求項乃至のいずれかに記載する製造方法。
  6. カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を、冷凍処理、乾燥処理および界面活性剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの細胞障害処理した後に、活性化処理を行うことを特徴とする、微生物組成物におけるカテコールオキシダーゼ活性の向上方法。
  7. 活性化処理が、不活性型カテコールオキシダーゼを含有する微生物組成物を銅イオンと接触させる工程、および酸処理工程を有する処理である、請求項に記載する方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載する製造方法により得られる微生物組成物を有効成分とする酵素製剤の存在下で、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アラニン(DOPA)及びその類縁体からなる群より選ばれる少なくとも1種の基質化合物を酸化してメラニン前駆体に変換する酸化工程と、反応液からメラニン前駆体を回収する回収工程とを含むメラニン前駆体の製造方法。
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