JP2008526859A - トリペプチドおよびテトラペプチドチオエーテル - Google Patents
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Abstract
Description
[式中、Zは、S、OまたはCである;
nは、1〜3である;
Zが、SまたはOであり、nが、1である場合、Xは、非置換またはハロ、−NO、−NO2、−NR2、−ORまたは−SR(ここで、Rは、HまたはC1−4アルキルである)でモノまたはジ置換された1または2個の非隣接O、SまたはNヘテロ原子を必要に応じて含むC1−20ヒドロキシカルビルである;
Zが、Sであり、nが、2である場合、一方のXは、上記と同意義であり、他方のXは、C1−4アルキルである;および
Zが、Cであり、nが、3である場合、一方のXは、上記と同意義であり、他の2つのX反応混合物独立して、HまたはC1−4アルキルである;
YCOは、γ−glu、β−asp、glu、asp、γ−glu−gly、β−asp−gly、glu−gly、asp−glyである;および
AAcは、ペプチド結合を介して分子の残りの部分に結合したアミノ酸である]
で示される化合物およびそのC1−10アルキルまたはアルケニルまたはC7−12アラルキルエステル、アミドならびに混合エステル/アミド[WO 95/08563]などの還元型グルタチオン(L−γ−グルタミル−L−システイニルグリシン)の類縁体である種々のトリペプチドおよびテトラペプチド化合物を開示する。
で示される化合物であり、L−γ−グルタミル−S−(フェニルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンと称することもできる。TLK117は、約400 nMのIC50でGST P1−1を阻害する。上記の特許および公報においてTER199として特定されるTLK199は、TLK117のジエチルエステルである。
[式中、Aは、HまたはC1−20アシルである;
R1は、C1−26アルキルまたはC3−26アルケニルである;および
R2は、H、C1−26アルキルまたはC3−26アルケニルである;
R1が、C1−10アルキルまたはC3−10アルケニルであり、R2が、H、C1−10アルキルまたはC3−10アルケニルである場合を除く]
で示される化合物のグルタチオン誘導体を開示する。
[式中、各エステルは、1−25Cである;
YCOは、γ−gluまたはβ−aspである;
G*は、フェニルグリシンである;
Zは、CH2、OまたはSである;および
Xは、6−8Cアルキル、ベンジルまたはナフチルである]
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩のジエステルのリポソーム製剤などの脂質製剤;または式:
[式中、R1およびR2は独立して、直鎖または分枝鎖アルキル基(1−25C)、シクロアルキル基(6−25C)、置換アルキル基(2−25C)、複素環(6−20C)、エーテルまたはポリエーテル(3−25C)から選ばれるか、またはR1−R2(2−20C)は一緒になって、該式とマクロ環を形成する;および
R3は、6−8Cアルキル、ベンジルまたはナフチルである]
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を開示する。
第1の態様において、本発明は、式:
[式中、nは、0または1である;
Wは、L−γ−グルタミルまたはL−γ−グルタミルグリシルである;
Xは、必要に応じて置換されたC5−6シクロアルキル、必要に応じて置換されたC5−6ヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである;
Yは、=O、=N−OHまたは=N−O(必要に応じて置換されたC1−3アルキル)である;および
Zは、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、(フェニル)−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
および該化合物の塩ならびにモノおよびジエステルである。
第4の態様において、本発明は、式:
[式中、Wは、N−α−R1−L−γ−グルタミルまたはN−α−R1−L−γ−グルタミルグリシルである(ここで、R1は、アミン保護基である);および
n、X、YおよびZは、請求項1と同意義である]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、フェニル−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
および該化合物の塩ならびにモノおよびジエステルである。これらの化合物は、本発明の第1の態様の化合物の製造における中間体として有用である。
定義 「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、1−プロペニル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロペンテン−1−イル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルおよびシクロヘキシルメチルなどの炭素原子から1つの水素原子を除去することによって、直鎖、分枝鎖または環式であってよい飽和または不飽和(芳香族的に不飽和ではない)炭化水素から誘導される一価の基を意味する。飽和アルキルおよびC1−C6アルキルが、典型的である。本願における「アルキル」が、慣例の定義よりも広く、一般的に「シクロアルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」と称する基を含むことに留意すべきである。
「置換C5−6シクロアルキル」は、ハロ、ヒドロキシ、メチル、トリフルオロメチルおよびメトキシ、特に、F、Clまたはメチルから選ばれる1または2個、特に1個の基で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルを意味する。
「置換フェニル」は、ハロ、−CN、−NO2、−OH、必要に応じてハロ−置換されたC1−3アルキル(たとえば、エチル、トリフルオロメチルなど)、必要に応じてハロ−置換されたC1−3アルキルオキシ、ホルミル、カルボキシならびにC1−3アルコキシカルボニルから選ばれる3個までの置換基で置換されたフェニルを意味する。
「C5−6ヘテロアリール」は、2−または3−フリル、2−または3−チエニルまたは2−、3−または4−ピリジニルを意味する。「置換C5−6ヘテロアリール」は、上記置換フェニルと同様にして置換されたC5−6ヘテロアリールを意味する。
「塩」は、「本発明化合物」と題するセクションに記載する。
(1)病気の成長を阻止する、たとえば、その進行を抑止すること;
(2)病気を軽減する、たとえば、病気の退行または治癒を引き起こすこと;
(3)病気の再発を防止すること;および
(4)病気の症状を寛解すること。
本発明の第1の態様の化合物は、式:
[式中、nは、0または1である;
Wは、L−γ−グルタミルまたはL−γ−グルタミルグリシルである;
Xは、必要に応じて置換されたC5−6シクロアルキル、必要に応じて置換されたC5−6ヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである;
Yは、=O、=N−OHまたは=N−O(必要に応じて置換されたC1−3アルキル)である;および
Zは、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、(フェニル)−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
およびその塩ならびにモノおよびジエステルである。
1.Wが、l−γ−グルタミルである;
2.Xが、シクロペンチル、シクロヘキシル、フリル、チエニルまたはピリジニルまたは必要に応じて置換されたフェニル;特に、シクロヘキシルまたは3−チエニル、またはメチル、ヒドロキシまたはメトキシで必要に応じて置換されたフェニル;特に、フェニル、4−クロロフェニルおよび4−ヒドロキシフェニルなどのフェニルが非置換であるか、または4位に1個の置換基を有する場合;
3A.nが、0である;または
3B.nが、1であり、Yが、=O、=N−OHまたは=N−OCH2CH2NH2である;
4.Z−C(=Y)n−置換基が、それが結合するフェニル基の2または4位にある;
5.Zが、ピリジルであるか、または、必要に応じて置換されたフェニルである;
6A.化合物が、二酸である;または
6B.化合物が、ジエステル、特には、C1−6アルキルジエステル、さらに特には、C1−3アルキルジエステル、特に、ジエチルエステルである。
(a1)式:
で示されるトリペプチドまたはテトラペプチドまたはそのモノまたはジエステル(典型的には、R1保護グルタミルアミン基を有する)のシステインイオウ原子を、式:
[式中、Lは、塩素、臭素、またはメタン−、トリフルオロメタン−、ベンゼン−、4−トルエン−、4−ニトロベンゼン−、4−クロロベンゼン−または4−ブロモベンゼンスルホネートなどの必要に応じて置換されたC1−6アルカンまたはベンゼンスルホネート、特に臭素などの脱離基である]
で示される置換ベンジル基でアルキル化する;
;または
(a2)式:
[式中、nが1ならば、Yは=Oである]
で示される必要に応じて保護されたジペプチドまたはトリペプチドまたはグルタミルカルボキシレートにおけるそのモノエステル(典型的には、R1保護グルタミルアミン基を有する)を、式:
で示されるアミノ酸またはそのモノエステルとカップリングさせる;または
(a3)式:
[式中、nが1ならば、Yは=Oである]
で示されるジペプチドまたはそのモノエステルを、グルタミル α−カルボキシレートにおいて必要に応じてエステル化された、必要に応じて保護されたL−γ−グルタミン酸またはL−γ−グルタミルグリシンとカップリングさせる;または
(a4)式:
で示されるトリペプチドまたはテトラペプチドまたはそのモノまたはジエステルを、Z−ボロン酸とカップリングさせて、式:
[式中、nは0である]
で示される化合物またはそのモノまたはジエステルを得る;
の1つ以上を含み;
必要に応じて、ステップ(b)〜(e):
(b)ステップ(a)で製造された化合物において、Wが、N−α−R1−L−γ−グルタミルまたはN−α−R1−L−γ−グルタミルグリシルならば、本発明の第4の態様の化合物を脱保護して、本発明の第1の態様の化合物を得る;
(c)nが1ならば、Yが=Oである化合物を、ヒドロキシルアミンまたはO−(必要に応じて置換されたC1−3アルキル)ヒドロキシルアミンと反応させて、=N−OHまたは=N−O(必要に応じて置換されたC1−3アルキル)である化合物を形成する;
(d1)ステップ(a)またはステップ(b)において製造された本発明の第1の態様の化合物が二酸である場合、該化合物のモノまたはジエステルを形成する;または
(d2)ステップ(a)またはステップ(b)において製造された化合物がモノまたはジエステルである場合、該化合物を脱エステル化して、該化合物の二酸を製造する;および
(e)ステップ(a)〜(e)のいずれかで製造した化合物の塩を形成する;
の1つ以上を含む。
トリフェニルメチルなどの多くの標準的S−保護基の1つを用いてペプチド合成を行うことができ、次いで、たとえば、酸分解によって、得られるS−保護ペプチドを脱保護する。典型的には、必要に応じてスカベンジャーの存在下、酸分解的に除去可能なイオウ保護基を除去するのには十分強いが、アミン保護基を除去するのには不十分な強さの酸にS−保護ペプチドを溶解する。適当な酸として、必要に応じてジクロロメタンなどの共溶媒の存在下で、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルホン酸などの他の強酸が挙げられる;適当なスカベンジャーとして、アニソールまたはチオアニソールなどの芳香族エーテルおよび硫化物、クレゾールなどのフェノール、および最も効率的には、トリエチルシランおよびトリイソプロピルシランなどのトリアルキルシランおよびポリ(メチルヒドロシロキサン)などのシランポリマーといったようなシランが挙げられる;および特に適当な脱保護試薬は、ポリ(メチルヒドロシロキサン)の存在下でのトリフルオロ酢酸である。炭化水素またはエーテルなどの非プロトン性非極性溶媒などのアンチソルベントの添加によって、反応混合物からS−脱保護ペプチドを単離することができる
で示される多くのアミノ酸が、分割された形態で市販されており、いくつかの場合、エステルとして市販されている。他には、ラセミ形態で入手可能なものもあるが、アミノ酸分割のための公知の方法のいずれかによって分割することができる。
[式中、Lは、塩素、臭素またはメタン−、トリフルオロメタン−、ベンゼン−、4−トルエン−、4−ニトロベンゼン−、4−クロロベンゼン−もしくは4−ブロモベンゼンスルホネートなどの必要に応じて置換されたC1−6アルカンまたはベンゼンスルホネート、特に臭素などの脱離基である]
で示される置換ベンジル基でアルキル化して、適当なS−アルキル化ペプチドを製造する。これは、グルタミルアミンを保護して副反応を最小化する場合に都合よく行われるが、アミンが非保護の場合でも行うことが可能である。
で示される置換ベンジル基でアルキル化して、本発明の第1の態様のトリペプチドまたはテトラペプチドの中心アミノ酸を形成する;次いで、該ペプチドを慣例のペプチド合成方法によって組み立てる。
本発明の第1の態様の化合物(特に、酸型)は、GST P1−1の非常に強力なインヒビター、典型的には選択的インヒビターである。それらは、インビトロにおいてHL−60細胞の分化の増強においても活性があり、そのうちの1つは、エクスビボにおいてマウス骨髄細胞からの顆粒球/単球コロニー形成を増強することが明らかにされている。したがって、該化合物は、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため(多くの腫瘍組織において高くなるGST、特に、GST P1−1は、化学療法剤に対する腫瘍細胞の耐性に関与するので、GSTインヒビターは、化学療法剤に耐える腫瘍の能力を低下させる)、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため(これもGSTイソ酵素阻害という理由から)、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するためにヒトにおいて治療的に作用することが予測される。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の化合物および必要に応じて医薬的に許容しうる賦形剤などの賦形剤を含む医薬組成物である。
本発明の第3の態様は、典型的には治療有効量で本発明の第1の態様の化合物または本発明の第2の態様の医薬組成物を投与することを含む治療方法、および化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するため;の1つ以上のためのこれらの化合物の使用である。
次の実施例は、本発明方法による有用な中間体の製造および本発明化合物の合成および治療剤としての本発明の第1の態様の化合物の有用性を明らかにする。
4−(2−ピリジル)トルエン、2 mL(1.98 g、11.7 mmol)、N−ブロモスクシンイミド−NBS)2.5 g(14.0 mmol)およびα,α'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)23 mg(0.14 mmol)を35 mLのテトラクロロメタンに懸濁し、24時間還流する。生成物を濾過し、回転蒸発によっって濾液から溶媒を除去する。
等量のクロロホルムおよび水を加え、生成物を抽出する。クロロホルム層を分離し、乾燥し、溶媒を除去する。4−(2−ピリジル)ベンジルブロミド2 gを粘着性の黄色固体で得る。
4−ブロモトルエン171 mg(1 mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸152 mg(1 mmol)、二酢酸パラジウム1 mg(4 μmol)、N−ブチルアンモニウムブロミド322 mg(1 mmol)および2 M水性Na2CO31.9 mL(3.8 mmol)を、電子レンジ可能な圧力バイアルに入れ、150℃にて5分間加熱する。室温に冷却した後、生成物を分液ロートに注ぎ入れ、それぞれ30 mLの水およびジエチルエーテルを加える。抽出後、層を分離し、水性層を別の30 mLのジエチルエーテルで洗浄する。エーテル抽出物を合わせ、乾燥(硫酸マグネシウム)し、溶媒を減圧下で回転蒸発により除去する。2−メトキシ−4'−メチルビフェニル160 mg(81%収率)を固体生成物で得る、NMRによる純度95%。
この方法により、4−シアノフェニルボロン酸から4'−(4−シアノフェニル)ベンジルブロミドを製造し、3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸から4'−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンジルブロミドを製造する。
これらの製造例の方法により、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリール、必要に応じて置換されたベンゾイルまたは(必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリール)カルボニルで置換されたその他のベンジルブロミドを容易に製造することができる。
製造例3は、S−アルキル化システインの製造を記載する。
アルゴンを通気することによって脱気した9 mLのテトラヒドロフランおよび9 mLの1 M水性NaOHの混合物に、N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−L−システイン1.0 g(4.52 mmol)を溶解する。5 mLのテトラヒドロフラン(THF)中の4−(ブロモメチル)ビフェニル1,12 g(4.53 mmol)の溶液を加え、アルゴン通気下、溶液を室温にて8時間撹拌する。減圧下、回転蒸発によりTHFを除去し、残渣を水に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄する。6 M水性HClで水性相をpH 3まで酸性化し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機抽出物を水、飽和水性NaHCO3、水および食塩水で洗浄し、次いで、乾燥し、濃縮して、1−44 g N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイン(82%収率)を白色固体で得る。
この製造例の方法により、その他の(必要に応じて保護された)S−アルキル化システインを容易に製造することができる。
アセトニトリル/水にアミン保護ペプチドを溶解し、10倍過剰の重炭酸ナトリウムを加え、次いで、わずかに過剰の4−(ブロモメチル)ビフェニルを加え、次いで、完了まで窒素下に反応物を維持することによって、330 mgのN−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−L−システイニル−D−フェニルグリシンから、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン、1Aを塩酸塩として製造する。反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄し、水性相を分離し、塩酸でpH2−3まで酸性化し、次いで、酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、体積を減少させて、N−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンを得る。アミン保護スルフィド約300 mgを2 mLの95:5 トリフルオロ酢酸(TFA):ジクロロメタンおよび一滴の水に溶解し、45℃にて一夜撹拌し、プレパラティブHPLCにより精製して、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンを得る。L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンを塩酸塩として単離する。
同様の方法により、モノおよびジエステルである化合物などの本発明の第1の態様の他のトリペプチドおよびテトラペプチドを容易に製造することができる。
エタノールとクロロトリメチルシランとのエステル化によって、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン、30 mgから、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステル、1Bを塩酸塩として製造し、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルを得る、正確な質量605、MS(m/z) 606(M+H)。L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルを塩酸塩として単離する。
同様の方法により、本発明の第1の態様の化合物の他のエステル、特に、ジエステルを容易に製造することができる。
15 mLのエタノールに酸を懸濁し、クロロトリメチルシラン、2.02 mL(5当量)を加え、混合物を50℃にて18時間加熱することによって、D−シクロヘキシルグリシン500 mg(3.1 mmol)から、D−シクロヘキシルグリシンエチルエステルを製造する。揮発成分を減圧除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水性NaHCO3および食塩水2回で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発して、401 mgのD−シクロヘキシルグリシンエチルエステルを油状固体で得る。
同様の方法により、L−γ−グルタミル−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−(4−クロロフェニル)グリシン、化合物11Aを塩酸塩として製造する。
5 mLの水、5 mLのTHFおよび10 mLの0.5 Mリン酸ナトリウム(pH 4.5)中、L−γ−グルタミル−S−[(4−ベンゾイルフェニル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン108 mg(0.18 mmol)をO−(2−アミノエチル)ヒドロキシルアミンジヒドロクロリド26 mg(0.18 mmol)で処理することによって、L−γ−グルタミル−S−({4−[(2−アミノエトキシイミノ)(フェニル)メチル]フェニル}メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシン、化合物10Aを製造する。混合物を50℃にて一夜加熱し、塩酸緩衝液を用いるHPLCにより生成物を精製し、それぞれ約45 mgのL−γ−グルタミル−S−({4−[(2−アミノエトキシイミノ)(フェニル)メチル]フェニル}メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンの2つの異性体(オキシム窒素にて)を塩酸塩として単離する。
化合物10Aおよびそのジエチルエステル10は、二塩酸塩として単離され、オキシム窒素における2つの異性体として存在する。異性体は分離される。
当業者の技術および本明細書の開示にしたがって、当業者に公知の方法を用いて、本発明のその他の化合物を同様に製造することができる。
これらの実施例は、予測的インビトロアッセイにおいて、本発明化合物(ならびに比較化合物TLK117およびTLK199ならびにTLK137の一方または他方)の効果を説明する。
EMD Biosciences、Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア、U.S.A.から、組換えヒトGST P1−1、A1−1およびM1−1イソ酵素ならびにウサギポリクローナル抗ヒトGSTπ抗体を入手した。Dakoctyomation、Inc.、カーピンテリア、カリフォルニア、U.S.A.から、マウス抗ヒトGSTπ抗体を入手した。Rockland Immunochemicals、Inc.、ギルバートビル、ペンシルバニア、U.S.A.から、IRDye800複合,親和性精製ヤギ抗ウサギIgG抗体を入手した。National Cancer Institute、ベセスダ、メリーランド、U.S.A.から、ヒトガン細胞系HL−60(前骨髄骨髄性白血病)を入手した。Invitrogen、Inc.、カールスバッド、カリフォルニア、U.S.A.から、RPMI 1−40 培地およびイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)を入手した。Promega Corporation、マディソン、ウィスコンシン、U.S.A.から、CellTiter−Glo(登録商標)アッセイキットを入手し、使用説明書にしたがって用いた。BD Biosciences、Inc.、サンホセ、カリフォルニア、U.S.A.から、フィコエリトリン複合抗CD11b抗体およびフィコエリトリン複合イソタイプコントロール抗体を入手した。StemCell Technologies、Inc.、バンクーバー、カナダから、MethoCult(登録商標)M3234メチルセルロース培地(ウシ胎児血清、ウシ血清アルブミン、rh インスリン、h トランスフェリン、2−メルカプトエタノールおよびL−グルタミンを補足した、メチルセルロースの2.5%IMDM溶液)を入手し、使用説明書にしたがって希釈した(1%メチルセルロース濃度まで)。
この実施例は、インビトロにおけるグルタチオンS−トランスフェラーゼイソ酵素GST P1−1、A1−1およびM1−1のインヒビターとしての本発明化合物の効果を説明する。TLK199(これらのアッセイで試験されたTLK117のジエチルエステル)が、ヒトにおける骨髄刺激活性および動物モデルにおける化学増強活性を示しているので、GST P1−1の阻害は、本発明の第3の態様の治療方法における効力の予測であるとみなされる。
この実施例は、インビトロにおけるHL−60ヒト白血病細胞系に対する本発明化合物の細胞毒性を説明する。
96ウエルプレートに、10%ウシ胎児血清(FBS)および1%L−グルタミンを補足したRPMI 1−40培地150 μL中の1500細胞/ウエルにて、対数期細胞を播種し、空気/5% CO2下、37℃にて4−5時間インキュベートした。試験化合物(ジエチルエステル、化合物1B−12BおよびTLK199)をDMSOに溶解し、連続的に希釈した(予測されるCC50に近い中間点を含む範囲にわたる8種類の濃度)。補足したRPMI 1−40培地中でさらに1:50希釈を行った後、50 μLの希釈化合物を加えて、最終DMSO濃度0.5%を達成した。次いで、細胞を72時間(倍加時間のおよそ3倍)インキュベートした。次いで、遠心分離(1200 rpm、20℃にて5分間)により細胞を集め、100 μLの培養上清を除去し、同量の CellTiter−Glo試薬と交換した。一定の撹拌をしながら室温にて10分間インキュベートした後、プレートから、照度計により、観察された発光に比例する生存細胞の数を読み取った。すべてのアッセイを三複製ウエルおよびDMSOコントロールで行った。発光/濃度曲線から、CC50(成長を50%阻害する濃度)を計算した。このアッセイの結果を後記第2表に示す。
この実施例は、GSTπ免疫沈降を引き起こすことにおける本発明化合物の有利な効果を説明する。TLK199(これらのアッセイで試験されたTLK117のジエチルエステル)が、ヒトにおける骨髄刺激活性および動物モデルにおける化学増強活性を示しているので、これらの結果は、本発明の第3の態様の治療方法における効力の予測であるとみなされる。
T75フラスコに、10%ウシ胎児血清、1 mM グルタミンおよび20 μMゲンタマイシンを補足したRPMI−1−40培地20 mL中の6 × 105細胞/mLにて、HL−60細胞を播種し、5% CO2雰囲気中、37℃にて一夜培養した。0.1% DMSOを含む培養培地中、0.1% DMSOまたは20 μMの試験化合物(ジエチルエステル、化合物1B−12BおよびTLK199)で2時間細胞を処理した。処理に続いて、遠心分離により細胞を集め、リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した。細胞ペレットを1 mLの溶解緩衝液(50 mM Tris、pH 8.0、120 mM NaCl、0.5% NP−40界面活性剤、100 mM NaF;使用前にプロテアーゼおよびホスファターゼインヒビター(Roche Diagnostics、インディアナポリス、インディアナ、U.S.A.)を加えたもの)に再懸濁し、緩やかに撹拌しながら4℃にて30分間インキュベートした。13,000 rpmで10分間遠心分離することによって細胞溶解液を清澄化して、細胞残骸を除去した。免疫沈降のために、1 mg/mLの総タンパク質を含む細胞溶解液500 μLに、2.1 μgのマウスモノクローナル抗ヒトGSTπ抗体を加えた。4℃にて一夜インキュベートした後、混合物に30 μLのプロテインA/Gアガロースビーズ(Pierce、ロックフォード、IL)を加え、4℃にて1時間インキュベートした。次いで、遠心分離によりビーズを集め、細胞溶解液中で3回洗浄し、10 μLの非還元ドデシル硫酸リチウムサンプル緩衝液(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア、U.S.A.)に再懸濁した。懸濁したサンプルを95℃にて5分間加熱し、4−12%ゲルSDS−PAGE、次いで、ウサギポリクローナル抗ヒトGSTπ抗体およびIRDye 800複合,親和性精製ヤギ抗ウサギIgG抗体を用いるウエスタンブロット分析に付した。GSTπタンパク質のバンドを視覚化し、バンド強度をOdyssey赤外線走査装置(Li−Cor、リンカーン、ネブラスカ、U.S.A.)で定量した。化合物処理サンプルからのバンド強度をその対応するDMSOコントロールと比較し、阻害パーセントで表した。結果を後記第2表に示す。
(*ビフェニルカルボキシレートにおけるエステル化を含む、化合物6についてのトリエチルエステル)
NM−測定値なし;ブランク−化合物作成せず
この実施例は、本発明化合物、特にジエステルに適した製剤を説明する。
以下を合わせ、混合物を打錠して錠剤を形成するか、または硬ゼラチンカプセルに充填して、250 mgの化合物4Aを含む経口投与用固形製剤を製造する:
化合物4A 25.0% w/w
ステアリン酸マグネシムウム 0.5% w/w
デンプン 2.0% w/w
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.0% w/w
微結晶セルロース 71.5% w/w
錠剤は、要すれば、フィルム形成剤(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、色素(たとえば、二酸化チタン)および可塑剤(たとえば、ジエチルフタレート)の懸濁液を適用し、溶媒を蒸発させてフィルムを乾燥することによってコーティングしてもよい。
あるいは、化合物を医薬的に許容しうる塩として、たとえば、上記リン酸緩衝生理食塩水のリン酸緩衝液などの適当な緩衝液に溶解し、この溶液を滅菌し、適当な滅菌バイアルに分配し、溶液を凍結乾燥して水を除去し、バイアルを密封することによって、凍結乾燥製剤を製造することができる。凍結乾燥製剤を、滅菌水を加えることによって戻し、戻した溶液を0.9%塩化ナトリウム静脈内注入液または5%デキストロース静脈内注入液などの溶液で、投与用にさらに希釈することができる。
この実施例は、本発明化合物に適した治療方法を説明する。
前記製剤例に記載した静脈内製剤中の化合物は、初期用量50 mg/m2で骨髄異形成症候群を患う患者に30分間かけて静脈内投与し、この用量を100 mg/m2、200 mg/m2、400 mg/m2および600 mg/m2に増加させる。化合物は、3週間毎に5日間1日1回投与する。
Claims (26)
- 式:
[式中、nは、0または1である;
Wは、L−γ−グルタミルまたはL−γ−グルタミルグリシルである;
Xは、必要に応じて置換されたC5−6シクロアルキル、必要に応じて置換されたC5−6ヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである;
Yは、=O、=N−OHまたは=N−O(必要に応じて置換されたC1−3アルキル)である;および
Zは、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、(フェニル)−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
および該化合物の塩ならびにモノおよびジエステル。 - nが、0である請求項1に記載の化合物。
- nが、1である請求項1に記載の化合物。
- Yが、=Oである請求項3に記載の化合物。
- Wが、L−γ−グルタミルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
- Xが、シクロペンチル、シクロヘキシル、チエニル、フリル、ピリジニルまたは必要に応じて置換されたフェニルである請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
- Xが、シクロヘキシルである請求項6に記載の化合物。
- Xが、1または2個のフルオロ、クロロ、メチル、ヒドロキシ、メトキシまたはトリフルオロメチル基で必要に応じて置換されたフェニルである請求項6に記載の化合物。
- フェニルが、非置換である請求項8に記載の化合物。
- フェニルが置換され、置換基の1つが4位にある請求項8に記載の化合物。
- ただ1つの置換基がある請求項10に記載の化合物。
- −C(=Y)n−Z置換が、フェニル基の2または4位にある請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
- −C(=Y)n−Z置換が、フェニル基の2位にある請求項12に記載の化合物。
- −C(=Y)n−Z置換が、フェニル基の4位にある請求項12に記載の化合物。
- Zが、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、ヒドロキシ、メトキシまたはトリフルオロメチル基で必要に応じて置換されたフェニルである請求項14に記載の化合物。
- 二酸またはその塩である請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物。
- ジエステルまたはその塩である請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物。
- C1−6アルキルまたはベンジルジエステルまたはその塩である請求項17に記載の化合物。
- C1−6アルキルジエステルまたはその塩である請求項18に記載の化合物。
- ジエチルエステルまたはその塩である請求項19に記載の化合物。
- L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(2−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(2'−シアノ−4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(2'−メトキシ−4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(3'−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(4'−カルボキシ−4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(4'−シアノ−4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−{[4−(2−ピリジル)フェニル]メチル}−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(4−ベンゾイルフェニル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−({4−[(2−アミノエトキシイミノ)(フェニル)メチル]フェニル}メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシン;
L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−(4−クロロフェニル)グリシン;および
L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−シクロヘキシルグリシン;
から選ばれる請求項1に記載の化合物およびそのジエチルエステル;
およびその塩およびそのジエチルエステル。 - 請求項1〜21のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬組成物。
- さらに賦形剤を含む請求項22に記載の医薬組成物。
- 腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するため;の1つ以上のための医薬の製造における請求項1〜21のいずれか1つに記載の化合物の使用。
- 請求項1〜21のいずれか1つに記載の化合物または請求項22または23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することによる、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するため;の1つ以上のための治療方法。
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