JPH07145142A - グルタチオン模倣体を含有する新規グルタチオンアナログおよびパラログパネル - Google Patents

グルタチオン模倣体を含有する新規グルタチオンアナログおよびパラログパネル

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JPH07145142A JP5247238A JP24723893A JPH07145142A JP H07145142 A JPH07145142 A JP H07145142A JP 5247238 A JP5247238 A JP 5247238A JP 24723893 A JP24723893 A JP 24723893A JP H07145142 A JPH07145142 A JP H07145142A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、グルタチオン−S−トランスフェ
ラーゼの阻害剤として有用であるグルタチオンアナログ
およびそれを含むパネルを提供する。 【構成】 構造式(1) 【化1】 で示される化合物のアルキル(1−6C)エステルまた
はアリールアルキル(7−12C)エステルまたはアミ
ド:ここでnは1または2であり;nが1のとき、Xは
任意に1または2個の非隣接ヘテロ原子(O、Sまたは
N)を含有する、モノまたはジ置換あるいは非置換ヒド
ロカルビル(1−20C)部位であり、該置換基は、ハ
ロ、−NO、−NO2、−NR2 、OR、およびSRか
らなる群より選択され、ここでRはHまたは低級アルキ
ル(1−4C)であり;nが2のとき、Xの1つは上記
定義の通りであり、他のXは低級アルキル(1−4C)
であり;Yは 【化2】 からなる群より選択され、ここでmは1または2であ
り;そしてAAcは構造式(1)の残りの部分とペプチ
ド結合を介して結合するアミノ酸である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規グルタチオンアナ
ログであるトリペプチド化合物に関する。さらに、本発
明は、種々の特性を有し、グルタチオントランスフェラ
ーゼ(GST)を特徴づけるのに有用なグルタチオンア
ナログであり、GSTの液相阻害剤としてのトリペプチ
ドパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】グルタチオン(GSH)は、還元形態
で、式γ-Glu-Cys-Glyを有するトリペプチドである。還
元グルタチオンは、細胞において酸化還元状態を維持す
る主要な役割を有し、さらに、多くの機構により、外来
物質の脱毒素化を促進する、グルタチオンS-トランスフ
ェラーゼ(GST)の必須基質でもある。これらの機構
には毒素の求電子部分の、例えば、グルタチオンへの結
合の触媒作用が含まれ、毒素をさらにクリアランスし易
くする。これもまた、基質としてグルタチオンが関連す
る第二の機構は、グルタチオンの酸化に付随する過酸化
物の還元に、起因する。
【0003】Adang, A.E.P.ら、Biochem J (1990) 269:
47-54には、異なる濃度で種々のGSTイソ酵素と相互
作用するGSHトリペプチドアナログが記載されてい
る。これらのアナログは、グリシン、システイン、ある
いは、γ-グルタミン残基のうちすくなくとも1つが、
代替のアミノ酸残基で置換されている、GSHの改変形
態である。
【0004】さらなる改変形態が、例えば、Principat
o, G.B.ら、Enzyme (1989) 41:175-180に記載されてお
り、かれらは、ラット肝臓のグリオキサラーゼII酵素に
対するトリペプチドGSHアナログの効果を研究した。
このグループにより使用されたトリペプチドは、式γ-G
lu-ρ-クロロフェニルカルボニルメチル-Cys-Serのもの
である。Morris, D. Biochem. J. (1960) 76:349-353に
は、γ-Glu-ベンジル-Cys-Valの合成が記載されてる。
3つのGSHアミノ酸の1つのみの置換を含む多くのG
SHのトリペプチドアナログが報告され、商業的に入手
可能である。
【0005】以下に記載されている本発明は、クロマト
グラフィー支持体のアフィニティリガンドとして、なら
びに、グルタチオン-S-トランスフェラーゼの種々のイ
ソ酵素を特徴づけるために使用されるパネルのメンバー
として有用な新規グルタチオントリペプチドアナログに
関する。グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GS
T)は、特異的結合能、基質および阻害剤特異性、なら
びに、組織分布において異なる多くのイソ酵素の形態で
存在する。GSTイソ酵素の個々の補体(complement)
は、特性が異なり、従って、腫瘍組織のような特定の組
織あるいは細胞型に特徴的である。GSTは、組織ある
いは細胞の、毒性物質に対する防御に関連する全代謝の
中枢であるので、GSTの補体の細胞あるいは組織に対
するの特性は、望ましくは腫瘍細胞の場合には、細胞あ
るいは組織の破壊のための、あるいは、正常組織の場合
にはその代謝機能を促進するためのいずれかの方針立案
に重要である。
【0006】種々のGSTイソ酵素は、同じ遺伝子ファ
ミリーからの優先的なダイマー化を考慮しても、理論的
に数十種の異なるダイマーになる可能性のある、4種の
遺伝子ファミリー中の少なくとも15の既知遺伝子にコー
ドされるモノマーの2元性組合せ体により形成されたダ
イマータンパク質である。これらの組合せの可能性から
生じる可変性に加えて、GSTイソ酵素サブユニット
は、ヒト個体群においては多形であり、ファミリーの縦
列繰り返しメンバー中の遺伝子変換事象によるさらなる
変化に提供されると考えれてきた。翻訳後の改変は、こ
の可変性にさらに加える。各細胞および組織は、1つあ
るいは数種の理論的に可能な酵素を含有し得るので、G
ST補体の決定は、非常に重要である。
【0007】本発明は、吸着剤(sorbent)あるいは液相
阻害剤として、ならびに、それらを含むパネルとして有
用な新規グルタチオンアナログを提供することにより、
個々のGST酵素あるいはそれらのセットの特徴づけお
よび操作のための改良法を提供する。
【0008】
【発明の要旨】本発明は、グルタチオン-S-トランスフ
ェラーゼイソ酵素の特徴づけ、細胞および組織のGST
補体の決定、および、治療上の適用に有用な試薬に向け
られている。本発明の化合物は、還元グルタチオンの系
統的な改変形態、および、標的酵素に関する種々の特性
を有するこのようなアナログを含むパネルである。本発
明の化合物はまた、クロマトグラフィーのアフィニティ
リガンド、結合剤、および、酵素阻害剤として有用であ
る。
【0009】本発明のトリペプチドのエステルは、治療
および診断に特に有用であり、アミドは、薬学特性ある
いは生理学的作用を改変し得る部分に誘導体化し得る。
従って1つの局面においては、本発明は以下の式の化合
物のアルキル(1-6C)エステル、アリールアルキル(7-
12C)エステル、およびアミドに向けられている。
【0010】
【化18】
【0011】ここで、nは、1あるいは2であり、ここ
で、nが1のときは、Xは、任意に、1つあるいは2つの非
隣接ヘテロ原子(O、SまたはN)を有する、モノ-または
ジ置換の、あるいは非置換のヒドロカルビル(1-20C)
部分であり、ここで、該置換基は、ハロ、-NO、-NO2、-
NR2、OR、および、SRからなる群より選択され、ここ
で、各Rは独立して、Hあるいは低級アルキル(1-4C)で
あり;そして、nが2であるときは、1つのXは、上記で
定義されたものであり、他のXは、低級アルキル(1-4
C)であり;Yは、
【0012】
【化19】
【0013】からなる群より選択され、ここにおいて、
mは、1あるいは2であり;そして、AAcは、ペプチド結合
を介して、式1の化合物の残りの部分に結合されたアミ
ノ酸である。
【0014】他の局面においては、本発明は、上記で定
義された式1の化合物のシクロアミド形態に向けられて
おり、XはまたHであり得る。
【0015】さらに他の局面では、本発明は、ヒトのグ
ルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)酵素を精
製あるいは特徴づけるための方法に向けられており、該
方法は、該酵素を含有すると考えられる試料を、上記で
定義された構造式(1)の化合物が結合された固体支持
体に、該固体支持体にヒトGSTが吸着される条件下
で、接触させる工程;該試料から該支持体を分離する工
程;および、該ヒトGSTを該支持体から溶出する工
程;を、包含する。
【0016】さらに他の局面では、本発明は、試料中の
GST酵素の存在あるいは不存在を検出するための方
法、および、必要に応じて、それをクラスに特徴づける
方法に向けられており、該方法は、上記で定義された構
造式(1)の化合物で試料を処理する工程;および、試
料中に含有される任意のGSTと構造式(1)の化合物
との複合体の存在あるいは不存在を検出する工程;を、
包含する。
【0017】本発明はさらに、構造式(1)(またはそ
のエステル、塩、アミド、またはそのシクロアミド形
態)の少なくとも5つの異なるトリペプチドグルタチオ
ンアナログを含有するパネルを包含し、このパネルの化
合物は、異なる特性を有する。これらのパネルは、クロ
マトグラフィー支持体パネルとして構成され得、細胞の
GST補体の特徴づけに使用され得る。
【0018】最後に、本発明は、Xが、モノ-、ジ-、あ
るいは、トリ置換アリール(1-20C)、好ましくは、ベ
ンジルであり、ここで置換基が、R'、ハロ、-NO、-N
O2、-NH2、ORおよびSRからなる群より選択され、ここで
Rが、Hあるいはアルキル(1-6C)であり、そして、R’
がアルキル(1-6C)、アルケニル(1-6C)あるいはアル
キニル(1-6C)である、構造式(1)の化合物に向けら
れている。
【0019】
【発明の構成】本発明は、個々に、クロマトグラフィー
リガンドとして、および、GST阻害剤として有用な化
合物、ならびに、種々の特性を有し、例えば、GST酵
素のプロフィールの決定、ならびに、プロフィール、例
えば、GST酵素の決定および未知試料中のGST補体
の決定に有用な、関連化合物のパネルに向けられてい
る。本発明の化合物は、還元グルタチオンの系統的に改
変された形態、および、標的酵素に関して種々の特性を
有するこのようなアナログを含むパネルである。
【0020】アフィニティクロマトグラフィーにより試
験されるときには、これらの異なる吸着剤は、以下のMa
nnervik, B.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. (1985) 82:72
02-7206によって提唱された分類スキームに従った特定
のクラス(単数または複数)の、哺乳類GSTイソ酵素
に選択的に結合する:α(例えば、ヒトαおよびAl-l、
ラット 1-1および2-2)、Mu(ヒトμ、Mla-la、ラット
3-3および4-4)、Pi(ヒトπおよびP1-1、ラット 7-
7)、ならびに、さらに最近に提案されたクラスである
テトラ(ラット 5-5)。GST酵素活性の阻害について
試験されるときは、数種の吸着剤はさらに、GSTイソ
酵素クラスの選択的あるいは特異的阻害剤としても作用
する。従って、本発明の化合物、パネル、および、方法
は、特定のGSTイソ酵素のレベルを上昇した細胞を標
的する薬剤を設計するための新規戦略になり得る。
【0021】〔本発明の化合物〕本発明の新規化合物に
は、構造式(1)の部分が含まれる。ここにおいて、X
は、任意に1つあるいは2つの非隣接ヘテロ原子(O、
S、あるいは、N)を有する、モノ-あるいはジ-置換の、
または、非置換のヒドロカルビル(1-20C)部分であ
り、そして、他は、存在しないか、あるいは、低級アル
キル(1-4C)である。好ましい実施態様では、nは1であ
り、Xは非置換ヒドロカルビルである。Xの好ましい実施
態様には、メチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ベ
ンジル、およびトリチルが含まれる。シクロアミド形態
では、XはまたHであり得る。
【0022】本明細書では、「ヒドロカルビル」とは、
1-20Cの、直鎖あるいは分枝鎖、または、環状、飽和あ
るいは不飽和、脂肪族あるいは芳香族のヒドロカルビル
残基のことである。1-20のCに加えて、構造上現実的で
あれば、このヒドロカルビルはさらに、1つあるいは2
つの非隣接ヘテロ原子、すなわちO、SまたはNを含有し
得る。従って、このヒドロカルビル基は改変されて、エ
ーテル、ジエーテル、チオエーテル、あるいは、ジチオ
エーテル、または、二級あるいは三級アミンまたはジア
ミンであり得る。このような置換基の例には、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、
ヘキシル、オクチル、ノニル、2,3-ジメチルオクチル、
ドデシル、9,9-ジメチルウンデシル、アリル、2-ブテニ
ル、イソブテニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、
シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、4-メチルベンジ
ル、トリフェニルメチル、メトキシエチル、エチルチオ
エチル、ジエチルアミノプロピルなどが含まれる。
【0023】さらに、このヒドロキシカルビル、あるい
は、1つあるいは2つのヘテロ原子を有するヒドロキシ
カルビルは、任意に1つあるいは2つの置換基で置換さ
れ得る。これらの置換基は、ハロ、すなわち、フルオ
ロ、クロロ、ブロモ、あるいはヨード、または、ヒドロ
キシあるいはスルフィドリル、および/または、アルキ
ルオキシ、または、アルキルチオ、例えばメチルチオ、
ブチルチオ、プロポキシあるいはエトキシ、および/ま
たは、-NO、-NO2、または-NH2、-NH(アルキル)あるい
は-N(アルキル)(アルキル)であり得る。
【0024】AAcは、任意の遺伝子にコードされるアミ
ノ酸であり得る。AAcはまた、ヒドロキシプロリン(H
P)、4-アミノ酪酸(4ABu)、β-アラニン(β-alaある
いはβA)、フェニルグリシン(PGあるいはφG)、バリ
ン、アラニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、トリプト
ファン、チロシン、フェニルアラニン、置換されたファ
ニルアラニンなどの、遺伝子にコードされないアミノ酸
残基であり得る。AAcは、構造式(1)の化合物の残り
の部分に、ペプチド結合を介して結合される。
【0025】Xが置換ベンジルである本発明の化合物に
おいて 、構造式(1)の遊離酸あるいは塩の形態で、
または、エステル、アミド、あるいはシクロアミド形態
のとき、ヒトGSTの種々サブタイプに対する特異性
は、ベンジル部分のパラ置換基を変化させることにより
制御され得る。t-ブチルあるいはメチルまたはベンジル
のような疎水性パラ置換基を有するXの実施態様は、G
ST-Mla-laのようなμ(M1)クラスのヒトGSTに優
先的に結合する。パラ位の電子吸引置換基、例えば、ニ
トロあるいはクロロは、好ましくは、π(P1-1)酵素を
結合する。イソ酵素結合のlog画分に対するハメットシ
グマ/メタ値のプロットは、直線の相関性を示すが、シ
グマ/パラ値が使用されるときは、明白な相関性は現れ
ない。一般に、なんらかの立体的なかさ高い基(bulk)が
GSTを結合するのに必要であるように思われる。非置
換あるいはフッ素化物置換基のみを有するベンジル置換
基は、容易に結合しない。
【0026】本発明の化合物には、アルキルあるいはア
リールアルキルエステル、または、アルキルアミドある
いはアリールアルキルアミドがそれらの塩として含まれ
得、あるいは、環状アミド形態であり得る。遊離カルボ
キシルのアルキルエステルは、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、t-ブタノール、n-ヘキサノール
のような、直鎖あるいは分枝鎖のアルキルアルコール
(1-6C)のエステルである。適切なアルキル(1-6C)ア
ミドは、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミ
ン、イソペンチルアミン、および、イソヘキシルアミン
のような、一級の直鎖あるいは分枝鎖のアルキルアミン
である。アリールアルキルエステルは、7-12のCを有
し、ベンジル、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル
のような、フェニル−低級アルキル誘導体を包含し得
る。フェニル基は、非置換であり得るか、あるいは、メ
チル、クロロなどの、本発明の化合物の特性に実質的に
影響しない、1-2個の置換基により置換され得る。エス
テルおよびアミドは、構造式(1)の基質化合物中の任
意のアルコールあるいはアミノ官能基を適切に保護し
て、従来の方法により調製される。
【0027】化合物は、モノエステルあるいはジエステ
ル、または、モノアミドあるいはジアミド(または、AA
cの選択に依存して、トリエステルあるいはトリアミ
ド)であり得ることは注目されるべきである。従って、
本発明には、1つのみのカルボキシル基がエステル化さ
れているエステル、2つのカルボキシル基がエステル化
されているエステル、あるいは、全ての(2つを超える
場合には)カルボキシル基がエステル化されているエス
テルが含まれる。同様の実施態様が、対応のアミドに適
応される。さらに、化合物は、1つのカルボキシルがエ
ステルであり、そしてもう1つのカルボキシルがアミド
である、混合エステル/アミドとして調製され得る。
【0028】本発明の化合物の塩は、水酸化ナトリウム
あるいは水酸化カリウムのような無機塩基、あるいは、
カフェインあるいはピペリジンのような有機塩基から形
成されて、遊離カルボキシル基の塩基性塩を得るか、ま
たは、有機酸あるいは無機酸から形成されて遊離アミノ
基の酸付加塩が得られ得る。従って、塩は、水酸化ナト
リウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸
化マグネシウムのような無機塩基、あるいは、トリメチ
ルアミン、ピリジン、ピリミジン、リシン、カフェイン
のような有機塩基の塩であり得る。酸付加塩は、塩酸、
臭化水素酸、硫酸、リン酸のような無機酸から形成され
得るか、あるいは、酢酸、プロピオン酸、グリコール
酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン
酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸のよ
うな有機酸から形成され得る。
【0029】塩は、適切な塩基あるいは酸で、約0℃か
ら約100℃で、好ましくは、室温で、水のみの中で、あ
るいは、メタノール、エタノールあるいはジオキサンの
ような不活性な水混和性有機溶媒との組合せのいずれか
の中で、処理することにより、標準的なプロトコルで生
成される。
【0030】構造式(1)の化合物の環状形態は、基質
化合物中の遊離アミノ基および遊離カルボキシル基を架
橋することにより調製される。環状化合物の形成は、本
質的に当該分野に公知である手段により、必要に応じて
適切な保護をなし、ジシクロヘキシルカルボジイミドの
ような脱水剤で通常のように処理することによりなされ
る。
【0031】構造式(1)の化合物のほとんどの実施態
様では、シクロアミドが、Yのアミノ末端に存在する遊
離アミノ基と、AAcにより示されるカルボキシ末端のカ
ルボキシル基とで形成される。しかし、AAcが、側鎖ア
ミノ基(AAcがリシンであるようなもの)を有する限定
された実施態様では、シクロアミド化合物の代替形態も
また、AAcの側鎖アミンおよびYの側鎖カルボキシルに関
して調製され得る。適切な保護基が、当該分野に公知で
あるように、シクロアミド化をするために使用され得
る。
【0032】本発明の化合物は、Y、n、XおよびAAcの固
有名(identitie)を命名することにより、さらに特徴づ
けられ得る。Yを命名するために、構造式(1)のY置換
基の隣に示されているカルボニル基は、便宜上命名に含
まれ;この場合には、「Y-CO」の種々の実施態様には、
γ-Glu、β-Asp、Glu、Asp、γ-Glu-Gly、β-Asp-Gly、G
lu-Gly、および、Asp-Glyが含まれ、1文字アミノ酸コ
ードでは、それぞれに、γE、βD、E、D、γE-G、E-Gお
よびD-Gで示される。
【0033】Xで示される種々の置換基は、標準的な略
語で示され得、本発明の化合物のトリペプチドアナログ
に含まれるものは、n=1のときにはC(X)、あるいは、n
=2のときにはC(X)(X)で示した。n=2のときの構造式
(1)の化合物では、システイン残基のイオウは、正電
荷を有し、スルホニウムイオンとして存在する。
【0034】AAcの表示も、標準的な1文字アミノ酸略
語コード、あるいは、他の適切な、遺伝子にコードされ
ないアミノ酸のための略語であり得る。
【0035】従って、この表示を用いた構造式(1)の
適切な化合物には以下のものが含まれる。
【0036】
【化20】
【0037】構造式(1)のこれらの化合物は、環状化
されるか、あるいは、エステル化/アミド化されて、本
発明の化合物が得られる。
【0038】〔本発明の化合物の特徴〕本発明の化合物
は、グルタチオンを基質として利用するグルタチオン-S
-トランスフェラーゼ(GST)ような酵素の、液相、
あるいは固定化された阻害剤として有用である。このよ
うな阻害は、分析あるいは治療の両方法に望まれ得る。
【0039】治療剤としては、細胞膜透過が、これらの
疎水性形態により最もよく達成されるので、本発明のエ
ステル化化合物が、最も有用である。特に好ましいエス
テルは、ベンジルエステルおよび誘導体化ベンジルエス
テルである。さらに好ましくは、エチルエステルであ
る。
【0040】従って、細胞培養におけるインビトロ使用
には、例えば、スクリーニングアッセイでは、本発明の
好ましい化合物はエステル化形態である。さらに、エス
テルおよびアミドの両方が、治療剤、診断薬、および固
体支持体へ結合するリガンドとして適合するように、本
発明の化合物を改変する好機を提供する。エステルある
いはアミド基は、細胞透過を促進する疎水性部分、他の
基質への結合を促進する反応基のようなさらなる有用な
リガンド、および、抗体あるいはそれらのフラグメン
ト、免疫原性を高めるキャリアなどのようなさらなるリ
ガンドを含み得る。さらに、化合物は、固定化金属イオ
ンアフィニティクロマトグラフィーによる精製を促進す
るキレート剤、ペプチドの溶解性を変える置換基、また
はポリエチレングリコール付加のような薬物動態学に影
響する置換基のような置換基を含むことにより改変され
得る。
【0041】従って、種々の状況において、構造式
(1)の化合物のエステルおよびアミドは、遊離酸ある
いは塩の形態により明確な利点を提供する。
【0042】構造式(1)の化合物のシクロアミド形態
は、標的GSTに、高められた特異性および選択性の利
点を提供する。一般に環状形態は、クロマトグラフィー
リガンドとしては開鎖形態よりも優れている。さらに、
それらの阻害特性はこの特徴により調節される。
【0043】Xの実施態様として置換ベンジルを有する
本発明の化合物は、種々のGSTに対する化合物の選択
性を系統的に制御する好機を提供する利点がある。例え
ば、本明細書の実施例8に示すように、ヒトGSTのμ
およびπグループの結合特異性は、本発明の特定の化合
物のCys残基のイオウ原子に結合されたベンジル部分の
パラ置換基の特性により制御される。結合特異性は、S-
ベンジルCys部分のパラ置換基のシグマ(メタ)値と相
関性がある。
【0044】〔クロマトグラフィーリガンドおよび分析
試薬としての使用〕本発明の化合物はまた、個々に診断
用クロマトグラフィー支持体、およびクロマトグラフィ
ー用手段として有用である。特徴づけおよび精製のた
め、ならびに診断アッセイのための、アフィニティクロ
マトグラフィーでのこれら化合物の使用は、ヒトGST
の場合には特に重要である。本発明の化合物のパネル
は、組織のGST補体を決定するのに最も都合がよい
が、個々の化合物は、一般的にGSTの存在の検出、お
よびヒトにおける特定の型のGSTの検出、ならびに特
定の型のヒトGSTの精製に使用され得る。従って、以
下の実施例8に示すように、本発明の種々の化合物は、
μ(M1)およびπ(P1)クラスのヒトGSTを結合す
る、それぞれの傾向を有する。
【0045】本発明の化合物群、または遊離酸あるいは
塩として構造式(1)の単独化合物が、リガンドの選択
に依存して、集合的に、ヒトGSTの精製および特徴づ
け、GSTのヒトクラスの精製および同定、または個々
のヒトGST酵素の精製あるいは分離のために、クロマ
トグラフィーリガンドとして使用され得る。
【0046】クロマトグラフィー支持体のアフィニティ
リガンドとしての使用には、構造式(1)を含む化合物
は、セファロース、ポリアクリルアミド、シリカなどの
ような適切な固体マトリックスに標準的な結合方法によ
り結合される。本発明の非環状形態の化合物は、適切な
リンカーに、あるいは直接支持体に誘導体化され得る、
アミノ官能基およびカルボキシル官能基を少なくとも有
する。固体支持体の特性に依存して、アフィニティリガ
ンドの結合は、直接共有結合を用いるか、またはPierce
Chemical Company (Rockford, IL)から入手可能なも
ののような、モノあるいはヘテロ二官能性リンカーの使
用が必要とされ得る。さらに、接近しやすくするために
支持体表面からアフィニティリガンドで距離をおくこと
が望まれ得る。このような距離をおくことは、一般的に
理解されているように、スペーサーアームを使用してな
され得る。さらに、支持体は、特に支持体が、生物学的
試料のクロマトグラフィーに使用されなければならない
ときには、望ましくない相互作用を最少限にするため
に、不活性物質で処理され得る。
【0047】誘導体化クロマトグラフィー支持体は、1
種以上のこのようなリガンドに固体支持体を結合するこ
とで構造式(1)の構造を含む種々の化合物を利用す
る。リガンドは、グラジエントに、混合物としてランダ
ムに、あるいは所望の予め決定されたパターンに整えら
れ得る。さらに、本発明の化合物の組合せは、アフィニ
ティリガンドとして作用する1種以上の化合物と、クロ
マトグラフィー分離あるいは特徴づけを受ける物質の溶
出を行う、アフィニティリガンドに対する競合物として
使用される1種以上の化合物との間で平衡を達成するク
ロマトグラフィーの適用に使用され得る。クロマトグラ
フィー手法を受ける部分の親和性を変える物質が、リガ
ンドおよび溶出剤に使用される。
【0048】構造式(1)を含む化合物で誘導体化され
たクロマトグラフィー支持体は、次に、ヒトGST、あ
るいは、そのリガンドが親和性を有する他の酵素、基質
としてグルタチオンを利用する他の酵素、グルタチオン
と反応する抗体、あるいはリガンドに穏和な親和性で結
合する他の部分を調製分離するために使用され得る。本
発明の化合物に結合されたクロマトグラフィー支持体は
また、グルタチオンと同様の構造を有する物質を含有す
ることが考えられる、生物学的試料あるいは他の試料中
の物質の、存在、不存在、量、あるいは特性の決定をす
る診断に使用され得る。
【0049】このような分離あるいは分析に有用な構造
式(1)の構造を含む適切な化合物は、調製が望まれる
分析物あるいは物質の特性から明白になり得るか、ある
いは、化合物の種々のパネルを調製し、最も有効なアフ
ィニティリガンドに対するパネルをスクリーングするこ
とにより容易に決定され得る。
【0050】構造式(1)の構造を含む化合物はまた、
一般的にヒトGSTの存在あるいは不存在の検出、また
は、特定クラスあるいはそれらのイソ酵素用に使用され
得る。このようなアッセイのプロトコルは、イムノアッ
セイに使用されるプロトコルを模倣する。これらのプロ
トコルは、一般的に、アッセイの特異性が結合特異性に
依存する特異結合パートナーを含む任意のアッセイに適
用され得る。従って、このようなアッセイでは、構造式
(1)の構造を含む化合物は、分析物、この場合には特
定のGSTに、特異的な抗体あるいは他の免疫反応試薬
の役割をなす。このようなプロトコルには、「免疫複合
体」(この場合には、GSTと構造式(1)の構造を含
む化合物との複合体)の形成に対する種々広範囲の検出
方法による、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、直
接結合アッセイなどが含まれる。このような検出方法に
は、蛍光タッグ、酵素標識、放射活性標識、および、そ
れらの組合せが含まれる。
【0051】〔パネル〕本発明のパネルは、構造式
(1)のグルタチオンの、少なくとも5つの異なるトリ
ペプチドアナログで構成される。ここにおいて、X、AA
c、およびYは、上記のように定義されるが、XはさらにH
であり得る。パネルは、最大限に特性が異なる場合に最
も有用である。この多様性は、Y、AAc、およびXの特性
を変えることにより供給され得る。一般的には、X置換
基を用いて、例えば、疎水性を変えることにより、この
ような疎水性の特性範囲が得られ得る。Xはまた、種々
の得られる化合物のハメット定数(シグマ/メタおよび
シグマ/パラ)の変化に便利な置換基である。AAcの変
化から得られる多様性は、いくぶん焦点が合わされてお
らず、Yの多様性により提供される多様性は、その構造
上の制限によって限定される。 ハメット定数は、安息
香酸のイオン化定数に及ぼす置換基の電子的影響を示す
得られた値に類似する値である。この初期の研究の結果
として、異なる置換基の大きな集団に数値が割り当てら
れた。種々の置換基に対するこのような値の表は、例え
ば、Ritchie, C.D.ら、Prog Phys Org Chem (1964) 2:3
23に記載されている。
【0052】本発明の一連のアナログの構築は、例え
ば、Xの実施態様として、パラ位で、ニトロ、クロロ、
メトキシあるいはメチルのような、さらなる置換基でさ
らに置換されたベンジル基を使用することにより、この
パラメーターの値を系統的に変化させることによりなさ
れ得る。
【0053】この立体特性、および、パネルのメンバー
である構造式(1)の化合物の得られる特性はまた、パ
ネルの1つ以上のメンバーの環状化により制御され得
る。
【0054】例えば、適切な二次元パネルを形成する本
発明のグルタチオンアナログトリペプチドの二次元マト
リックスは、AAc成分を小さな疎水性残基から大きな疎
水性残基に、正に荷電された残基に、中性残基に、そし
て最後に負に帯電した残基にすることにより構築され
得、このように後者3つのアナログでは誘導電子効果に
影響する。同様に、X置換基は、第二の次元で小さな疎
水性から大きな疎水性に、正に帯電、中性から負に帯電
される同じ範囲で変化され得る。得られたマトリックス
は、例えば、吸着剤としての使用に適切な化合物を決定
するための使用のための適切なパネルを提供する。
【0055】特に有用なXの実施態様は、置換ベンジル
であり、ここにおいて、疎水性、および、パラ置換基の
電子供与あるいは吸引能力の変化が、ヒトGSTの特定
のクラスを結合する能力と系統的な相関性を有する。
【0056】〔本発明のパネルの使用〕本発明のパネル
は、正常細胞(望ましくない細胞(unwanted cell)に比
較して)および組織に生じるグルタチオン-S-トランス
フェラーゼイソ酵素(GST)の異なる補体(complemen
t)を決定するのに有用である。「GST補体」とは、こ
のような細胞または組織に存在するGSTイソ酵素レベ
ルのパターン、あるいは、このようなGSTの発現レベ
ルの誘発または抑制が操作され得るように遺伝的にプロ
グラムされている細胞または組織を意味する。上記の従
来技術の項に説明されているように、GSTは、サブユ
ニットから形成されるホモあるいはヘテロダイマーであ
り、少なくともそのうちの7つが知られている。さらに
これらのイソ酵素は、広く分類されているが、各クラス
内の個々のメンバーは、遺伝子的多様性により個々は区
別され得る。種々のイソ酵素の特性は、基質特異性、阻
害感受性、特異試薬への結合、および、発現の誘発可能
性を含む、測定可能な一連のパラメーターに関して異な
る。
【0057】〔GSTのプロフィールを決定するための
本発明のパネルの使用:背景〕未知組織試料のGSTイ
ソ酵素補体を決定する、最も容易に理解される方法は、
まず、決定されたまたは決定され得る反応性プロフィー
ルを有する全GSTイソ酵素のリファレンスセットを推
定する。このように十分な高分解分離を仮定し、例えば
高分解クロマトグラフィーフォーカシングに類似する任
意の分析法を用いて、溶出パターンを一連の既知酵素と
比較する。既知イソ酵素の分離および特徴づけの他の方
法には、数種のGSTヒトイソタイプに対して調製さ
れ、候補組織中のこれらのイソタイプのGST成分を評
価するために使用される抗体の使用が含まれ得る(Howi
e, A.F.ら、Carcinogenesis (1990) 11:451-458; Becke
tt,G.J. Clinica Chimica Acta (1984) 141:267-27
3)。ゲル電気泳動分離もまた使用され得る。非変性条
件下での電気泳動後のGSTバンドの位置は、例えば、
Ricci, G.ら、Anal Biochem (1984) 143:226-230の方法
により決定され得る。クロマトグラフィー分離から得ら
れた種々のイソ酵素の位置は、1ークロロ-2,4-ジニトロ
ベンゼン(CDNB)のような、全イソ酵素に共通である基
質を用いて検出され得る。事実、種々の組織でCDNBによ
りアッセイされたように、活性の分布は、Pickett, C.
B.、および、Lu, A.Y.H., Ann Rev Biochem (1989) 58:
743-764によりなされた。
【0058】目的の細胞および組織におけるGSTイソ
酵素分布のパターンを得るためのこれらの直接分離法の
使用は、活性を保持する個々のイソ酵素の単離をなし得
る分離方法の前にあらかじめ決定された反応性のプロフ
ィールを、これらの各イソ酵素が有する場合には、治療
法の設計に有用であって、このような細胞および組織の
GST補体を得るために使用され得る。このような反応
性のプロフィールは、有効な基質である物質、有効な阻
害剤である物質、および、GST活性の誘導物質あるい
は活性化物質である物質を考慮し得る。一旦、GSTイ
ソ酵素が、溶出パターンあるいは電気泳動ゲルの位置に
より同定ならびに定量されると、例えば治療プロトコル
を予測あるいは設計するために、既知で前もって単離さ
れたイソ酵素の反応性のプロフィールと参照される。
【0059】この方法は、容易に理解され得るが、補体
に包含される潜在的な候補であるGSTイソ酵素が多く
存在することにより、およびGSTイソ酵素自身のレパ
ートリーの変化しやすさにより実用的ではない。このよ
うに入手できるGSTイソ酵素集団中の多形性は、例え
ば溶出パターンにおいて、移動度が変化しないタンパク
質であるが、基質特異性あるいは阻害特異性が変化した
タンパク質になるか、またはその逆のタンパク質になる
と考えられる。いずれの場合にも、溶出パターンにおけ
る位置のリファレンスセットの特徴と当てはめた結果は
誤った結果を得る。
【0060】いくぶん改良された結果が、複数の分離法
の使用により得られ得、1つの分離系に比較して、複数
の分離系では、移動度は影響されないことは殆どありそ
うにない。このような系は、一般的に、第一の吸着剤P1
が溶出パターンにおいて4つのイソ酵素ピークをつく
り、そして5つのピークが第二の吸着剤P2で得られる、
1つの仮定の系により説明される。基質特異性パターン
(例えば、基質A、BおよびCに対する)が、P1で与えら
れたピーク(例えば、1.2として同定された)が、吸着
剤P2で分離された特定のピーク(ピーク2.4)として、
基質プロフィールにおいて実質的に同じであることを示
す場合には、次に、吸着剤P1でピーク1.2を提供し、吸
着剤P2でピーク2.4を提供する組織試料は、ピーク1.2お
よび2.4を形成するイソ酵素と同じ反応性のプロフィー
ル(A、BおよびCを有する)を有することが考えられ
る。
【0061】この仮定の系で説明された方法は、親和性
にもとづく吸着剤として、本発明の新規グルタチオント
リペプチドアナログ、またはさらなるアナログとの組合
せたこのような1つの新規トリペプチド、または種々の
特性を有する類似のグルタチオンアナログのパネルとの
組合せを使用することにより適用され得る。有効な特徴
づけを実施するために、少なくとも2つ、そして好まし
くは3つ、さらに好ましくは5つの、このようなアナロ
グが使用されるべきである。パネルのメンバーは、補体
中で種々GSTイソ酵素の区別を確実にするために、十
分に多様である特性を有するべきである。
【0062】分離方法が、酵素活性を保持する場合に
は、潜在薬剤に対する各酵素の反応性が直接決定され得
る。しかし、当該分野の非変性分離は、分離能の欠如あ
るいは構造変化に高度に過敏であるかのいずれかである
ので、有効な治療法のガイダンス用には、ピーク同定を
なすことは非常に問題である。例えば、イオン交換クロ
マトグラフィーは、個々のGSTイソ酵素の精製のため
の工程として使用され得るが、分析手段としては、不十
分あるいは不適切な分離能を有する。当該分野で利用可
能なもう1つの方法、IEFは、タンパク質のインビボ
あるいはインビトロにおける翻訳後の改変による、多く
の他のピークを発生する傾向があり、構造変化と機能変
化に必要な関連がない。
【0063】従って、従来の方法により、個々のイソ酵
素を分離しそして全ての可能な化学療法薬剤に対して、
各イソ酵素について活性プロフィールを決定することに
より、細胞および組織中のGST補体の活性プロフィー
ルを決定することは困難であるが、しかし、本発明の新
規GSHーアナログトリペプチドの利用可能性により促
進される。本発明の化合物は、GST酵素の変性を伴わ
ずに分離を可能にする。 より効果的な方法は、特異結
合活性および反応特性を同時に測定するGSTイソ酵素
補体のプロフィールを利用する。特性調査(survey of c
haracteristics) のプロフィールまたは「SC」プロフ
ィールと称される、これらのプロフィールは、基質特異
性、特異誘導物質に対する応答の誘導など、およびさら
なる結合あるいは電気泳動移動度特徴についての情報を
含む、SCプロフィールのリファレンスセットの決定を
可能にする。これらのプロフィールの比較にコンピュー
ター法を適用することにより、治療に適したガイドを提
供するために必要とされる情報、治療モジュレーターの
設計および付随するプロトコルに必要な情報、ならび
に、提案されたプロトコルの成功あるいは失敗の予測に
必要な情報について、従来技術によるよりも、十分に多
くの標本について得られ得る。SCプロフィールを得る
ために使用され得るパラメーターには、本発明のトリペ
プチドGSHアナログのパネルのメンバーに結合する能
力、あるいは、このようなパネルのメンバーの活性に対
する効果がある。
【0064】細胞および組織の未知試料のGST補体を
決定するこの方法では、パターン認識法が利用される。
この方法と結び付いて、本明細書でSCプロフィールと
称されるものが、一般的には、特異的かつ微分的に種々
のGSTイソ酵素と反応する試薬のパネルに関して決定
される。これは、交差反応イムノアッセイにより得られ
るプロフィールの決定に類似し、候補GSTイソ酵素あ
るいはイソ酵素と試薬パネルの混合物の反応性の任意パ
ターンのことである。従って、SCプロフィールは、種
々の基質回転率;種々の阻害剤の阻害剤濃度の有効レベ
ル;特定の宿主細胞の状況で、GSTイソ酵素の遺伝子
発現を誘導するに必要な誘発物質のレベル;阻害剤ある
いは基質の存在または不存在下での電気泳動移動度;パ
ラログあるいは他のアフィニティカラムからの溶出時
間;または、実際の、古典的な抗体パネルとの結合パタ
ーン;に関して決定され得る。種々の濃度レベルでの、
個々のGSTイソ酵素あるいはイソ酵素の混合物に対し
て得られたSCプロフィールは、本明細書に記載されて
いるさまざまな方法で操作され得て、未知試料のSCプ
ロフィールが比較され得るリファレンスセットを提供す
る。
【0065】一般に、SCプロフィールは、「情報チャ
ンネル」の各パネルに対して値を提供し得、ここにおい
て各情報チャンネルは、抗体に対する結合親和性、基質
親和性、溶出時間などのような、GST補体あるいは標
準の特徴を示す。少なくともいくつかの情報チャンネル
はGST濃度で変化する値に関連するべきである。
【0066】細胞あるいは組織のGST補体の決定は、
それ自体試料の診断および特徴づけに有用である。さら
に、望ましくない組織を弱めるかあるいは破壊するため
の戦略実施態様の設計に使用するには、SCプロフィー
ルは、正常組織と望ましくない組織と間で活性の相違が
決定され得るようなGST活性に関する情報を提供しな
ければならない。従って、望ましくない組織のSCプロ
フィールはリファレンス標準と容易に比較されなければ
ならず、そのことは治療モジュレーターの設計および薬
剤あるいはプロドラッグの選択を助ける反応パターンに
少なくとも部分的に基づかなければならない。この適用
には、少なくともリファレンスプロフィールの一部が、
基質回転速度データ、阻害データ、あるいは、イソ酵素
生産レベルの誘導に関するデータ、または、インシチュ
(in situ)におけるGSTイソ酵素の操作を可能にする
他の任意の反応性に基づかなければならない。本発明の
パネルは、活性に関するこのような効果を決定するため
に使用され得る。これらの標準の反応性に影響する試薬
に関するSCプロフィールの調製とともに、本発明の新
規化合物を用いて、活性が保持されるクロマトグラフィ
ー分離の組合せは、必要とされるデータを得るための1
つの方法である。
【0067】リファレンス標準および未知試料のSCプ
ロフィールは、「特異反応試薬」のパネルについて決定
される。これらの試薬には、パラログ、基質、阻害剤、
誘導物質、抗体、を含む種々の基質、ならびに、反応性
の範囲が電気泳動の移動度あるいは溶出時間として決定
される、ゲル電気泳動あるいはアフィニティクロマトグ
ラフィーのような実際的な方法である「試薬」が含まれ
得る。従って、「特異反応試薬」は、化学反応に影響す
る試薬に限定されず、その試薬に関して、試料の特徴の
パラメーターを得ることを可能にする任意の試薬、ある
いは、方法を含む。
【0068】もちろん、本発明のアナログのパネルは、
結合剤、クロマトグラフィー支持体、あるいは、溶液中
の酵素作用に対する阻害剤としてのいづれかで、「特異
反応試薬」として使用され得る。GSTに触媒される酵
素反応を阻害するパネルのメンバーとして、これらの化
合物の相対的な能力は、アフィニティリガンドとしてト
リペプチドアナログを含有するカラムからの溶出パター
ンとして得られる、特徴的なSCプロフィールとして使
用され得る。
【0069】〔リファレンスSCプロフィールの決定〕
以下に記載するように、いくつかの目的のためのリファ
レンス標準は、特定の被検体の正常組織から直接に調製
され得るが、また、特徴的な反応パターンを有する、予
め単離された種々のGSTイソ酵素につてのSCプロフ
ィールのデータバンクを提供するのに有用である。これ
らの反応パターンを、望ましくない組織の生体組織検査
試料からのパターンに当てはめることにより、治療モジ
ュレーターの適切な設計およびプロドラッグあるいは毒
素の選択がなされ得る。
【0070】その開示が本明細書に参考として援用され
ている、米国特許第4,963,263号および第5,133,866号
は、密接に関連する基質のクロマトグラフィー分離に有
用なパラログ親和性試薬のパネルを記載している。本発
明のパネルは、同様に多様である。本発明のGSHトリ
ペプチドアナログを用いたパラログ型パネルは、各場合
において、天然イソ酵素の活性を維持しているが、精製
形態の種々GSTイソ酵素を分離するためのアフィティ
支持体の調製に都合よく使用され得る。従来技術の逆相
HPLCあるいはウエスタンブロット法とは違って、本発明
の化合物に対する親和性に基づいたクロマトグラフィー
を用いて調製された、分離イソ酵素は、天然に存在する
イソ酵素と実質的に正確に同様の様式で挙動する。次
に、このような精製イソ酵素について、基質反応性、あ
るいは、本発明の化合物により提示されるような活性に
影響する試薬の反応性に関するSCプロフィールが、構
成され得る。これらの精製イソ酵素の多くの特徴的なS
Cプロフィールの有用なデータバンクが、望ましくない
組織から得られた試料と比較するための、数学的あるい
はコンピューター的に入手可能な形態で、維持され蓄え
られ得る。
【0071】構造式(1)の構造を含む少なくとも1つ
のメンバーである、トリペプチドグルタチオンアナログ
パネルは、リファレンスセットにSCプロフィールを提
供する情報パネルの収集のための基礎として使用され得
る。パネルメンバーへの、既知イソ酵素の特異的基質の
結合、あるいは、パネルメンバーの吸着剤への直接結合
は、結合性質の系統的な多様化をさらに増大する。標準
および未知試料のプロフィールは、アフィニティカラム
のような適切な立体配置で本発明のパネルを用いること
により得られ得、そして比較され得る。従って、構造式
(1)を含む少なくとも1つのアナログを包含する多種
のトリペプチドのアナログのパネルが、特に有用であ
り、ここにおいて、Xは、必要に応じて1つあるいは2
つの非近接ヘテロ原子(O、SあるいはN)を有する、モ
ノあるいはジ置換ヒドロカルビル、または、非置換ヒド
ロカルビル(1-20C)部分であり、該置換が、ハロ、N
O、NO2、NR2、OR、および、SRからなる群より選択さ
れ、ここにおいて、RはHあるいは低級アルキル(1-4C)
であり、そして、AAcは、構造式(1)の化合物の残り
の部分に、ペプチド結合を介して結合されたアミノ酸で
ある。
【0072】〔GST補体の決定〕一般に、「未知の」
試料細胞または組織のGST補体を決定するために、二
つの異なるアプローチが行われ得る。第一のアプローチ
では、上述のように、当該分野で現在実施されている一
般的な手法を用いて、試料中に含まれる個々のイソ酵素
がアフィニティ支持体を用いて分離され得、そしてその
活性パターンが個別に試験され得る。試料由来の個々の
イソ酵素が得られ得、次いで個別にその基質特異性、阻
害剤特異性の評価、およびそのイソ酵素の活性または産
生(production)を誘起する物質を同定するための評価が
なされ得る。
【0073】第二の、より労力の少ないアプローチで
は、パターン認識手法が用いられ、上記のように調製し
たリファレンスのセットに対してこれらのパターンをマ
ッチングすることにより、個々の被験体の望ましくない
(unwanted)組織試料および正常組織試料のどちらか、ま
たは両者の試料の即時の読みだし(readout)が成され
る。このアプローチでは、必要な試料の量はより少量で
あり、分離も不必要である。この方法は、GST活性の
ための組織化学的染色を用いた組織切片への応用の際に
も有用である。
【0074】第一のアプローチについては、Vos, R.M.
E.ら、Biochem. Pharmacol.(1988)37:1077-1082によっ
て用いられた分離法の改変が用いられ得る。この方法で
は、ラットの全肝臓から得られた細胞質ゾル画分を、S
−ヘキシルGSHセファロースをもちいたアフィニティ
カラムにかけた。このアフィニティカラムは、GST類
全体に対してのアフィニティ試薬として用いられた。溶
出したGST混合物は、濃縮され、そしてモノ-PHR
5/20カラム(Pharmacia FPLC system)を用いたクロ
マトフォーカシングによって分離された。個々のイソ酵
素は別々の画分として集められ、そして分析された。こ
れらの画分は、その溶出プロフィール中の位置、そのサ
ブユニットの分子量、および既知のGST類の大部分に
対しての基質である1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼンに
対しての特異的活性によって同定された。
【0075】本発明の化合物の中から選択されたパラロ
グをアフィニティリガンドとして用いることにより、よ
り温和な条件が用いられ得、そしてGSTイソ酵素のよ
り活性な形態が回収され得る。次いで、これらは基質特
異性などについて、試験される。
【0076】上記のように、種々のGSTイソ酵素の溶
出パターンの特徴を提供するVosなどの任意の分離手
法を単に用いる可能性、および未知のGST補体の細胞
または組織に対しての溶出パターンをあらかじめ決定さ
れた(preset)溶出パターンとマッチングして未知のGS
T補体の性質を決定することの可能性が考慮されるだろ
う。しかし、このアプローチのひとつの問題点は、GS
Tの遺伝的突然変異性(genetic mutability)にあり、そ
のため推測された特徴が保持され、従って同様の反応性
パターンを有することが確実であるような、信頼性のあ
るマッチングを行うことは困難である。イソ酵素の遺伝
的突然変異性およびその翻訳後の改変に対しての鋭敏さ
(sensitivity)は、どの特定のケースにもかなりよくあ
ることで、基質特異性や阻害パターンなど、並びに結合
特性および例えばpIのような物理的特性に対して深刻
な影響を有する。反応性の多様さと、物理的性質あるい
は結合の多様さとの間に相関があるという保証はない。
実際、このような影響は相関づけられないという確率が
高い。上記のように、この問題は、複数のアフィニティ
試薬を用いることにより、軽減し得る。これらも本発明
の化合物で与えられる。
【0077】パターンマッチングのアプローチにおい
て、より信頼性の高いアッセイは、未知の試料の反応性
のプロフィールをリファレンスのSCプロフィールのセ
ットと比較することによって行われる。一般的な分析物
の組成物の決定のためのこのアプローチの応用は、係属
中の同種出願である、1991年4月2日出願の米国特許出願
番号No.07/678,049に記載されており、この開示は本明
細書中に参考として援用される。この出願に記載されて
いる手法によれば、既知の分析物の組成物の試料から得
られたプロフィールのあらかじめ決定されたプロットが
リファレンスとして用いられ、これと試験される試料の
SCプロフィールとが比較され得る。一般に、既知の組
成物の試料のプロフィールを提供するために、2から1
0の、好ましくは4から6の、異なった、特異な反応性
の試薬のパネルが最初に用いられる。この参考の出願で
は、結合試薬のパネルに交差する(across)分析物の候補
による交差反応性がある、特定の結合アッセイが用いら
れ、種々の分析物による既知の結合パートナーに対する
結合の阻害定数を測定することによりプロフィールが得
られた。プロフィールの集合は、次に、未知の試料の対
応するSCプロフィールとの信頼性を有する比較ができ
る多数の手法のうち任意のものにより、数学的に処理さ
れる。
【0078】本発明の治療方法を実行するために必要な
GST補体の決定に使用するためのアナログのSCプロ
フィールは、単離されたGSTイソ酵素または既知の組
成物を含有するそれらの混合物のいずれか、あるいはそ
の両方を用いて決定され得る。特異な反応性の試薬は、
パネルとして、少なくとも1つの、好ましくは3つの、
さらに好ましくは5つの、構造式(1)のGSHアナロ
グを、所望により添加試薬(additional reagent)と共
に、含有しなければならない。このような添加試薬に
は、回転率が測定されている既知の基質の系列が包含さ
れ得る。好適な基質の候補は、例えば、エタクリン酸、
ブロモスルホフタレイン、クメンヒドロペルオキシド、
BCNU、クロラムブシル(chlorambucil)、トランス−
スチルベンオキシドのようなものを包含する。
【0079】SCプロフィールを提供するためのパネル
のメンバーである特異な反応性の試薬としての使用する
ために入手可能なものとしては、多様なレベルでGST
イソ酵素と相互作用する阻害剤もあげられる。これらの
阻害剤は、例えば、ピリプロスト(piriprost)、シバク
ロンブルー、およびヘマチンを包含する。種々のイソ酵
素に対する特異な免疫反応性の抗体、および、パラログ
タイプのアフィニティ試薬が用いられ得る。プロフィー
ルが治療方針の立案のための根拠を提供するためのもの
である場合には、パネルのメンバーの少なくともいくつ
かは、GSTの酵素的活性を記述しなければならない。
【0080】SCプロフィールを得るための他の手法
は、Takeo,K.,らによってJ. Immunol.(1978)121:2305-2
310に記載されたものの類似の手法である。このアプロ
ーチでは、個々のタンパク質に対しての種々の結合試薬
の存在下での分画(differential)電気泳動が、移動度の
値の測定を可能とする。Takeoによって記載されたこの
特定の応用においては、ポリアクリルアミド中でデキス
トラン特異性(dextran-specific)骨髄腫タンパク質の電
気泳動の測定が行われ、デキストランを分離ゲルに添加
すると遅延が起こることが示された。その遅延はハプテ
ンイソマルトースオリゴ糖を添加することにより逆転し
得る。このアプローチを用いると、既知の組成物に対し
て、例えば、遅延試薬の選択に依存した移動度の一連の
系列が得られ得た。この手法は、遅延試薬または移動試
薬として本発明の新規な化合物またはパネルを用いるこ
とによる応用が可能である。
【0081】生検のGST補体の決定のための好ましい
一方法では、Mannervik,B.らのProc. Natl. Acad. Sci.
(1985)82:7202-7206により研究された既知のGST基質
を用いて、一連のHPLCカラムが作成される。これら
の基質は、カラムの支持体へ直接結合するか、またはAd
ang,A.E.P.らによってBiochem. J.(1990)269:47-54に記
載されたGSHアナログ変異体(variant)に付着する。
基質と構造式(1)のGSHアナログとの種々の可能な
組合せから得られた50〜100の異なるカラムの一連
の系列が、候補の吸着剤の系列を表す。これらの吸着剤
は、その性質が最大の多様性を有するものを選択するた
めに、各々を既知のGSTイソ酵素の混合物の分離に用
いることにより、試験される。次に、最大の識別能(dif
ferentiation capacity)を有する4個あるいは5個のカ
ラムが、未知の試料および標準試料中のSCプロフィー
ルを決定するためのパネルのメンバーとして選ばれる。
【0082】このように、それぞれの個別の吸着剤によ
る溶出パターンとして分離を表示するよりもむしろ、各
吸着剤に対しての吸着能がイソ酵素のSCプロフィール
において情報チャンネル(information channel)を表す
ように、データが再配列される。誘導物質、活性化物
質、基質、および阻害剤に関した反応性パターンもま
た、各イソ酵素のために決定され、そして情報チャンネ
ルとして用いられる。既知の各イソ酵素ための完成され
たプロフィールは次に、リファレンスのセットのメンバ
ーとして用いられる。リファレンスのセットの他のメン
バーは、正常組織から得られた試料を用い、そして同じ
情報チャンネルのセットに帰属された値を求めることに
より決定される。未知の、望ましくない組織から得られ
た生検試料の対応するプロフィールは、次に、このリフ
ァレンスのセットと比較される。
【0083】既知の組成物のためのプロフィールは、同
様に決定された未知の試料のプロフィールとの比較のた
めに、コンピューターでアクセス可能な形態で保存され
る。このようにして、未知の試料のGST補体を決定す
るためのキットが提供され得る。このキットには、リフ
ァレンスのプロフィールの決定に用いられる試験パネル
のメンバーと共に、未知の試料のSCプロフィールの決
定のための指示書(instruction)が含まれる。リファレ
ンスのプロフィールにアクセスするために適したソフト
ウェアも含まれ得る。GST補体は、試験される試料を
特徴づけるために用いられ得、そして、もし適切であれ
ば、治療を設計するために用いられ得る。
【0084】疾患組織に対して、処置のための適切な方
針が選択され得る。補体は、望ましくない細胞または組
織に適用された場合に、標準的な処置のプロトコルが成
功するかどうかを決定するために、評価され得、あるい
は、毒素またはプロドラッグの選択および治療上のモジ
ュレーターの含有または非含有を包含する異なるプロト
コルを設計するために用いられ得る。
【0085】〔新規なトリペプチドアナログの合成〕本
発明の新規なトリペプチドアナログ、または、他の、様
々のパネルのトリペプチドアナログのメンバーは、一般
に当該分野で公知の方法を用いて合成され得るが、これ
らの一般的な方法を所望のトリペプチドに適用可能とす
るような改変が用いられる。固相合成の方法論も用いら
れ得るが、これらの短いペプチドのためには液相のペプ
チド合成の方が優っていると考えられる。もともとは固
相合成のために開発されたFmoc試薬が、量にして1
00mg程度のトリペプチドアナログを生成するための
液相法に適用され得る。
【0086】液相のFmoc化学を用いて合成された、
中間体の保護されたジペプチドおよびトリペプチドが、
シリカゲルのクロマトグラフィーで単離され、温和な塩
基中で脱保護され、このようにして酸に不安定な(acid-
labile)チオ抱合体が合成される(Iselin,B.らのHelv. C
hem. Acta.(1955)38:1508-1516)。このアナログは精製
および回収され得る。あるいは粗生成物の混合物は直接
固体支持体に結合して親和性に誘導体化された支持体を
提供し得る(Sundburg,L.らのJ. Chromatog.(1974)90:87
-98)。
【0087】C−末端アミノ酸AAcのエステルが得ら
れないようなこれらの条件下では、このエステルはN−
Fmocで保護されたアミノ酸を合成し(Atherton,E.ら
の「Solid Phase Peptide Synthesis」IRL Press、イギ
リス、オックスフォード、(1989)、47-61ページ)、次
に、濃硫酸の存在下で所望のアルコールで処理してエス
テル化(Benoiton,L.,Can. J. Chem.(1962)40:570-572)
することにより得られる。エステル化されていない物質
が温和な塩基で抽出され、そして所望のN−Fmocア
ミノ酸エステルがエバポレーションによって単離され
る。
【0088】イオウ官能化されたFmocシステイン誘
導体は、システインをFmoc−OSuで処理してpH
9とし、そして次にこの混合物を適切なアルキル化剤で
処理することによる、一容器内の調製により合成され
る。
【0089】この合成は、反応式1で示されるように行
われる。
【0090】
【化21】
【0091】システイン誘導体のC−末端アミノ酸への
カップリングは、水溶性のカルボジイミドEDC(Sheeh
an,J.らのJ. Org. Chem.(1961)26:2525-2528)およびH
OBT(Konig, W.らのChem. Ber.(1970)103:788-798)
(望ましくないラセミ化を遅らせ、反応の速度を上げる
ために添加される)と共にDMF中で行われる。カップ
リングが完了した後(通常、室温で約1時間)、混合物
は減圧下で濃縮(reduced)され、KHCO3溶液中に注が
れる(John Hughes,私信)。この工程により、DMF、E
DC、およびEDC尿素の大部分と、カップリングしな
かったFmoc−システインの一部が抽出される。この
液体をデカントすると、得られるゴム状の残渣が残る。
この粗製ジペプチドをEtOAc中に溶解し、1N塩酸
および水で洗浄し、カップリングしていないC−末端ア
ミノ酸エステルの残りすべて、および、残留しているE
DCおよびEDC尿素を除去する。この溶液を濃縮し、
ジペプチドをクロマトグラフィーで精製する。
【0092】回収されたジペプチドを、25%のピペリ
ジン−DMF溶液で30分間処理し、Fmoc基を除去
する。Fmocの除去によって生じたジベンゾフルベン
またはそのピペリジン付加物は、次のカップリングの結
果には影響しない(Atherton,E.らのJ. Chem. Soc. Perk
in Trans(1981)1:538-546)。しかし、過剰のピペリジン
はすべて除去しなければならない。この除去は、脱ブロ
ック(deblocked)物質中にピペリジン臭が検出されなく
なるまでDMFとの共沸を繰り返すことにより行われ
る。次にグルタミン酸誘導体との第二のカップリングを
行い、その後ジペプチドの場合と同様のワークアップ(w
orkup)を行う。
【0093】市販のグルタミン酸α−ベンジルエステル
から、良好な収率および純度でFmoc−グルタミン酸
α−ベンジルエステルが合成される。Fmoc−グルタ
ミン酸α−tertブチルエステルも市販されており、使用
し得るが、これは別の(separete)酸処理工程をワークア
ップ中に必要とする。保護されたトリペプチドのうちの
いくつかにはこの工程における溶解度に問題があり、不
純な、部分的に脱保護された生成物がしばしば得られ
る。
【0094】グルタミン酸誘導体のジペプチドへのカッ
プリングとワークアップとによって生成された物質は、
いくつかのクロマトグラフィーの移動物質を含有する。
最後のカラムから最初に溶出する物質は、蛍光物質であ
り、これはジベンゾフルベンであることが示唆される。
推定の所望の生成物は、他のUV吸収物質と共に、次に
溶出する。このUV吸収物質は、おそらくジベンゾフル
ベンのピペリジン付加物である。最終のワークアップ中
に同様の生成物が生じ、そして脱ブロックされたトリペ
プチドから分離されるので、これらの混入物はこの段階
では除去されない。
【0095】保護されたトリペプチド(および不純物)
は、単離されるとすぐに、減圧下で乾燥され、そして
0.25NのNaOH溶液(3:1のエタノール:水)
で18時間処理される。この処理により、Fmocおよ
びエステル保護基が除去される。t−ブチル保護グルタ
ミン酸を用いた場合、塩基処理に先だって、t−ブチル
基を除去するために3NのHCl溶液(エタノ−ル/水
の3/1(v/v)溶液)で3時間処理する。この酸は、ロ
ータリーエバポレーションおよびエタノールおよび水と
の共沸により除去され、上記と同様の塩基処理で残りの
保護基を除去する。塩基処理を一晩行った後、水を添加
し、ヘキサンで抽出することにより、脱保護反応の有機
副生成物が除去される。ペプチドの水溶液を酸性にし、
そして濃縮して固体にする。このペプチドをエタノール
に溶解し、塩を除去するために濾過する。これをエバポ
レートして泡状とし、高真空下に一晩置く。
【0096】この化合物をHPLC、TLCおよびFA
Bマススペクトル装置で分析する。ほとんどの場合、T
LC分析では良好な結果が得られるが、HPLCの結果
では分離していない。この理由の一つとして、用いられ
る分析条件がより疎水性の(S−アルキルC−末端バリ
ン、β−アラニン、および4ABu)ペプチドのいくつ
かに適するように最適化されていないことがあげられ
る。
【0097】塩基による最終の脱保護の間に、少量のラ
セミ化が、特にフェニルグリシンアナログに起こり得る
(Bodansky,M.らの「Practical Methods in Peptide Sy
nthesis」、Springer Verlag、ベルリン(1984))。これ
は、Adang,A.ら(Biochem. J.(1989)264:721-724)によっ
て以前用いられたナトリウム−アンモニア条件下で起こ
るラセミ化よりも少ない。
【0098】上記で説明した手法を用いて、表1のアナ
ログは調製された。
【0099】
【表1】
【0100】さらに、構造式(1)の他の化合物(それ
らの化合物のシクロアミド形態、並びに、それらのエチ
ルエステルおよびベンジルエステルを包含する)を調製
した。
【0101】
【実施例】以下の実施例は、本発明を例示するためのも
のであり、限定することを意図しない。
【0102】(実施例1)9−フルオレニルメトキシカ
ルボニル−4−アミノ酪酸エチルエステル Fmoc−Osu45g(0.1339M、0.94当
量)を、脱イオン水300mLおよびテトラヒドロフラ
ン(THF)200mLに4−アミノ酪酸(4−AB
u)14.75g(0.143M、1当量)およびNa
2CO3 20gを溶かした溶液に、ゆっくりと加えた。
pHをモニターし、pHが8より上になるようにNa2
CO3をさらに加えた。反応物を2時間撹拌し、次いで
濃HClで酸性にした。得られた濁った懸濁液を酢酸エ
チル(EtOAc)600mLで抽出し、その後、有機
層を0.5NのNaOH 300mLでさらに抽出し
た。氷水500mL中に濃HCl 20mLを加えた溶
液に、水層をすばやく注ぎ入れた。得られた白色の懸濁
液をEtOAc 300mLで抽出し、Na2SO4 50
gで乾燥し、蒸発させて、Fmoc−4−ABu 35
g(収率76%)を白色の粉末として得た。これを無水
エタノール500mLに溶解し、濃H2SO4 40mL
を加えた。4時間後、この溶液は半固体の白色塊となっ
た。これを水2L中に注ぎ入れ、濾過した。この白色物
質をEtOAc 500mLに溶解し、0.5Nの Na
OH 200mLで一回抽出し、乾燥し、蒸発させて、
f 0.71(20%MeOH/CH2Cl2)、mp83
−86°の総化合物30g(収率79%)を得た。C21
23NO4の分析計算値:C,71.37;H,6.5
6;N,3.96。実測値;C,71.42;H,6.
67;N,3.72。
【0103】(実施例2)9−フルオレニル(floureny
l)メトキシカルボニルフェニルグリシンエチルエステル
の合成 同様の合成手順により、フェニルグリシン20gからF
moc−フェニルグリシン33.7g(収率68%)を
得た。この生成物19gを、Rf 0.95(同じTLC
系)、mp130−133°の生成物10g(収率57
%)に変換した。C2523NO4の分析計算値:C,7
4.80;H,5.77;N,3.49。実測値;C,
74.72;H,5.91;N,3.20。
【0104】(実施例3)9−フルオレニルメトキシカ
ルボニルアスパルギン酸ジメチルエステル Fmoc−Osu 45g(0.134M、0.96当
量)を、水400mLおよびジオキサン200mLにア
スパラギン酸20g(0.15M、1当量)およびNa
2CO3 20gを溶かした溶液に加えた。少量のNa2
3を加えて、pHを約9に維持しながら、混合物を2
時間撹拌した。次に、この白濁した混合物を濃HCl
40mLを含有する氷水500mL中に注ぎ入れた。白
色固体をEtOAc 500mLで抽出し、これをヘキ
サン500mLと混合した。この混合物を一晩冷却し、
次の日に撹拌して、濾過と空気乾燥によりFmoc−ア
スパラギン酸38g(収率71%)を結晶として得た。
この生成物10g(0.28M)をメタノール200m
Lに溶解し、濃H2SO4 20mLを加えた。この溶液
を一晩静置した。この混合物を水1L中に注ぎ入れ、濾
過した。得られた白色固体を乾燥し、EtOAcに再溶
解した。ヘキサンをゆっくりと加え、そして冷却するこ
とにより、mp78−80°の生成物9g(収率83
%)を白色の針状物として得た。[a]d=−13.9
°。C2121NO4の分析計算値:C,65.78;
H,5.52;N,3.65。実測値;C,66.1
8;H,5.68;N,3.69。
【0105】(実施例4)9−フルオレニルメトキシカ
ルボニル−S−ヘキシルシステイン A. システイン塩酸塩20g(0.127M、1当
量)およびNa2CO320gをアルゴン気流下で水80
0mlに溶解した。CH3CN 200mLを加え、次い
で、Na2CO3 5gを少量づつ加えて、pHを約9に
維持しながら、Fmoc−Osu 42g(0.122
M、0.96当量)を少量づつ加えた。この反応液をさ
らに2時間撹拌し、1−ヨードヘキサン 18.6mL
(26.8g、0.126M、0.99当量)をCH3
CN 200mLに溶かした溶液を加えた。この反応液
をさらに2時間攪拌し、氷水1Lと濃HCl 50mL
の混合溶液中に注ぎ入れた。この白色の混合物をEtO
Ac 600mLで抽出し、この有機層を1NのKOH
500mLずつで2回抽出した。これらの各抽出液をす
ぐに、水500mLと濃HCl 30mLとの混合溶液
に別々に滴下し、得られた濁った混合物をそれぞれEt
OAc 500mlで抽出した。これらをそれぞれNa2
SO4で乾燥し、蒸発させた。総収量は24.6g(4
5%)であった。2番目の画分(3.5g)を静置して
結晶化し、mp101−103°、Rf=0.57、
[a]d=−14.3°であった。C2123NO4Sの分
析計算値:C,65.42;H,6.01;N,3.6
3。実測値;C,65.53;H,5.74;N,2.
91 B. 他のS−官能化Fmocシステイン誘導体をA項
に記載した方法で調製した。
【0106】(実施例5)Fmoc−グルタミン酸α−
ベンジルエステルの合成 グルタミン酸α−ベンジルエステル25g(0.105
M)およびNa2CO425gを水400mLに溶解し、
テトラヒドロフラン(THF)200mLを加えた。F
moc−Osu(0.101M、0.96当量)34g
を少量づつ撹拌しながら加え、必要に応じてNa2CO3
を加えてpHを約9に維持した。1時間後、反応物を水
500mLに注ぎ入れ、濃HClで酸性にした。この白
色の懸濁液をEtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥
し、蒸発させて、固体の塊とした。これを温EtOAc
500mLに溶解し、ヘキサン300mLを加えた。
一晩冷却し、採取および空気乾燥することにより、3
8.7g(収率83%)の白色結晶を得た。これはmp
110−112°、[a]d=−13.8°であった。
M/e(相対感度):460.2(19),363.4(8),345.4(19),307.
2(10),289.2(12),238.2(12),191.2(10),178.2(89),165.
1(23),154.1(57),136.1(48)。1H NMR(400mH
z)、PPM:1.9 (m, 1H), 2.2 (m, 1H), 2.4 (M, 2
H), 4.1 (t, 1H),4.4 (d, 2H), 4.43 (m, 1H), 5.1 (s,
2H), 5.6 (d, 1H), 7.3 (m, 9H), 7.5 (d,2H), 7.7 (d,
2H), 9.4-9.6 (ブロードS, 1H)。13C(100mH
z)、PPM:27.5, 30.0, 47.3, 53.5, 67.3, 67.7,
120.2, 125.0, 127.3, 128.5, 128.8,129.2, 135.2, 14
1.5, 143.6, 143.9, 156.3, 171.4, 177.8:C2725
6の分析計算値:C,70.57;H,5.48;
N,3.05。実測値;C,69.71;H,5.5
8;N,2.88。
【0107】(実施例6)γ−グルタミルS−ベンジル
システイニルβ−アラニンの合成 β−アラニンエチルエステル塩酸塩1.5g(9.76
mmol、1当量)をDMF 50mLに加え、DIP
EA 1.8mLを加えた。Fmoc−S−ベンジルシ
ステイン3.5g(8.1mM,0.83当量)を加
え、溶液をかき混ぜて溶解させた。次に、EDAC 2
gおよびHOBT 250mgを加え、かき混ぜ固体を
溶解させた。この混合物を1時間静置し、減圧下で濃縮
し、約5mL量の流動性の油状物を得た。ここに10w
/v%のKHCO3を含有する水100mLを加え、こ
の混合物を振盪し、濾過して液体を除去した。残渣をE
tOAc100mLに溶解し1NのHCl 50mLと
水50mLで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。この溶液
を濾過し、減圧下で濃縮して泡状物を得た。これを、2
x6cmのシリカゲルの充填床(bed)を用いて、CH2
2によりクロマトグラフにかけた。最初のUV吸収物
質が現れるまで、このカラムから溶出させ、次いで、1
%メタノールから3%メタノールまで勾配をかけて10
0mLで溶出させた。3%メタノールの部分を2回加え
た後、強いUV吸収バンドが溶出した。これらの純度を
TLCで確認し、プールして、減圧下で蒸発させ、Fm
oc−Cys(S−ベンジル)−β−アラニンエチルエ
ステル4.6g(収率83%)を得た。この半量(4m
mol)をDMF 30mLとピペリジン10mLの混
合物に溶解し、30分間静置した。この溶液を減圧下で
濃縮して、固体とした。この工程をDMF 50mLで
2回繰り返した。得られた白色固体を高真空下に1時間
置き、次に、DMF 50mLに溶解した。第二のカッ
プリング工程のために、Fmoc−グルタミン酸(α)
ベンジルエステル(v)1.6g(3.5mmol、
0.9当量)を加え、次にEDAC 0.8g(4.2
mmol、1.05当量)およびHOBT 200mg
(1.4mmol)を加えた。この混合物を1時間静置
し、減圧下で濃縮し、5mL量とした。これを10%K
HCO3水溶液100mLに注ぎ入れ、振盪した。液体
を流し出して、残渣を酢酸エチル100mLに溶解し
た。有機層を1NのHCl 50mL、次いで水50m
Lで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。これをタール状に
なるまで濃縮し、保護されたジペプチドの場合と同様の
方法でクロマトグラフにかけた。保護されたトリペプチ
ド1.2g(収率42%)が得られた。この物質を無水
エタノール30mLに溶解し、1NのNaOH溶液10
mLを加えた。この混合物を18時間静置し、水40m
Lとヘキサン40mLと共に、分液漏斗に注いだ。振盪
して層を分離し、水相をさらに40mLのヘキサンで洗
浄した。数滴の濃HClを加えることで水層のpHを約
3に調整し、この濁った溶液を減圧下で濃縮して固体と
し、高真空下に数時間静置した。残渣を 20mLの無
水エタノールで2回洗浄した。エタノール−NaClス
ラリーを濾過し、透明な溶液を蒸発させてタール状物を
得た。この重量は620mgであった(保護されたトリ
ペプチドからの収率は89%、Fmoc−Cys(ベン
ジル)−OHからの収率は19%)。酢酸エチル/ピリ
ジン/水/酢酸=5/5/3/1(v/v)でTLCプ
レートにかけ、ニンヒドリンスプレーと加熱により検出
した(Stewart, J.らの「Solid Phase PeptideSynthesi
s」(1984) 53-124頁、Pierce Chemical Co.,ロックフォ
ード(Rockford)、イリノイ)。Rfは0.66であっ
た。HPLC分析からUV吸収物質のエリア積分値によ
り純度74%であることが示された。ファーストアトム
ボムバードメントマススペクトル法(FABMS)から
イオンピークは434.2M/eであることが示され、
これはトリペプチドのモノナトリウム塩と一致する。他
のより大きなマスピークも存在し、これは脱保護が不完
全なペプチドにある程度起因し得る。市販の遊離アミノ
C−末端アミノ酸エステルの代わりにFmocで保護さ
れたC−末端アミノ酸エステルを用いた場合、この物質
は上記の保護されたジペプチドの脱ブロックの場合と同
様の手順で脱ブロックされ、次に、上記したように第一
のカップリング反応を続ける。
【0108】(実施例7)セファロース樹脂への誘導化 エポキシセファロースTM 6B(Pharmacia)0.66g
を15分間、10mLの水で膨潤させ、15mLの焼結
ガラス漏斗中で10mLの水で2回すすいだ。5mLエ
タノールおよび10mL水中の100−500mgの粗
トリペプチド溶液をポリコーンキャップを備えた20m
Lのシンチレーションバイアル中で6NNaOHでpH
11−12に調節した。すすいだ樹脂を加えて、37゜
C水浴で一晩緩やかに攪拌した。pHを翌日チェック
し、必要であれば6NNaOHでpH11−12に戻し
た。さらに一日攪拌した後、樹脂を濾過し(ペプチド含
有溶液を濃HClで酸性化し、蒸発させ、保存した)、
10mLの水で3回すすいだ。官能化されていないエポ
キシ基は、樹脂を約0.1mLのエタノールアミンを含
有する10mLの水に1時間浸漬することによりキャッ
プした。そして、この樹脂を10mLの水で3回すす
ぎ、このサンプルを分析用に採取した。残りを0.1MNa
OAcと0.5MNaClとのpH4.0の緩衝液10
mLですすぎ、続いて0.1Mトリスクロライドと0.
5MNaClとのpH8.0の緩衝液10mLですすい
だ。この樹脂をこのpH8緩衝液中で4℃で保存した。
【0109】(実施例8)本発明の化合物のアフィニテ
ィ吸着剤としての使用 YCOがγ-Glu、AAcがGly、そしてXがパラ位にニトロ、ク
ロロ、メトキシおよびメチル置換基を有するベンジルで
ある、構造式(1)の一連の化合物を構成した。適切な
アナログを上述したようにセファロース樹脂に誘導化
し、3種の組み換えヒトGST酵素の分離にアフィニテ
ィ吸着剤として用いた。HPLCを、支持体に結合した
酵素の相対量を測定するのに用いた。表2に結果を示し
た。
【0110】
【表2】
【0111】πおよびμのイソ酵素の百分率をそれらの
シグマ(メタ)値に対してプロットすると、良好な一次
の相関が得られた。しかしながら、シグマ(パラ)値を
用いたときには、相関があまりなかった。シグマ(メ
タ)値は純粋に誘起効果の測定であるが、シグマ(パ
ラ)値は、置換基が結合点の隣の環原子に電荷を部分的
に配置し得るような共鳴に依存する。
【0112】本発明の種々の化合物によるラット肝臓の
細胞質ゾルGSTのイソ酵素のアフィニティ精製後の溶
出画分中のタンパク質およびGST(CDNB−結合)
活性の回収を表3に示した。
【0113】
【表3】
【0114】従来のS−L−GSHおよびHxGSH吸
着剤は高い結合性および広範囲のイソ酵素認識を示し
た。この新規吸着剤は、より少量のGSTイソ酵素を保
持し、新規吸着剤のうち3種のタンパク質回収は従来の
吸着剤の半分未満であった。
【0115】HxGSHと比べて、新規吸着剤はタンパ
ク質回収とCDNB−結合活性との直接的関連を示さな
かった。例えば、γE−C(Bz)−βAおよびγE−
C(Bz)−A吸着剤はHxGSHに対して比較すると
33%および16%のタンパク質回収を与えたが、溶出リガ
ンドの阻害性能に対しての補正後のCDNB−結合活性
は、はるかに高かった(それぞれ52%および33
%)。これに対してγE−C(Cu)−G吸着剤では活
性は50%減少するのに対して、タンパク質回収の減少
はは最も少なかった。異なったGSTイソ酵素がそれぞ
れ異なるCDNBに対しての特異的活性を示すことはよ
く知られている。タンパク質回収と活性回収との間の不
一致は、それぞれの吸着剤の溶出画分中のイソ酵素組成
物の違いによる。この仮説は、溶出画分のSDS/PA
GEおよび逆相HPLC分析により支持される。
【0116】表3に挙げられた吸着剤からの画分は、S
DS/PAGEにより分析し、続いて銀染色された。S
−L−GSHおよびHxGSH吸着剤は、先に観測され
たラット肝臓GSTサブユニットの電気泳動バンドパタ
ーンに対応したタンパク質を結合する。新規吸着剤は異
なったバンドパターンを示した。例えば、上述したγE
−C(Bz)−βA溶出液は、μ−クラスイソ酵素と仮
定される、高度に濃縮されたバンドを示した。πクラス
GST7-7はラット肝臓細胞ゾル中で低レベルであるの
で、このイソ酵素が高いレベルを示すことが知られてい
る、他のラットの組織も試験した。γE−C(Hx)−
φG吸着剤から溶出したラット腎臓細胞質ゾルのタンパ
ク質のGSTゲルパターンは、ラットGSTサブユニッ
ト7がこの溶出液の特有の成分であるという、同じ分子
量移動を示し、この吸着剤がπ選択性試薬であることを
示す。
【0117】他のGSH−依存酵素、グリオキサラーゼ
Iと同様の分子移動を有するタンパク質もまた、γE−
C(Bz)−AおよびγE−C(Bz)−βA吸着剤か
らの溶出液中に存在したが、他の吸着剤からの溶出液中
には検出されなかった。これらの実験において、先にグ
リオキサラーゼIを結合することが示されたHxGSH
は、検出可能レベルの、このGSH依存酵素を全く示さ
なかった。グリオキサラーゼIは、金属依存酵素である
ことが知られており、緩衝剤中のEDTAの存在は、結
合活性を妨げ得る。
【0118】アフィニティ溶出タンパク質のSDS/P
AGEで得られた、適切に分画された純度の高さは、観
測されたバンドが正にGSTであることを示唆した。こ
の結論の独立した確証は、高分解能で、異なった吸着剤
からの溶出液中のGSTイソ酵素の逆相HPLC分析に
よって与えられる。精製したGST標準と比較すること
によって、新規吸着剤から溶出したイソ酵素が既知のG
STイソ酵素に相当することが示された。これらの手順
は、GSTサブユニット3が14分で、サブユニット4が17
分で、サブユニット7が18分で、サブユニット2が23分
で、サブユニット6が25分で、サブユニット1aおよび1b
が37分および40分で、そしてサブユニット8が42分で溶
出することを示した。サブユニット3,4および6はμクラ
スイソ酵素であり、サブユニット1a,1b,2および8はαク
ラスイソ酵素であり、そしてサブユニット7はπクラス
イソ酵素である。S−L−GSHおよびHxGSH吸着
剤は、予想されるとおり、θクラスイソ酵素である5-5
以外の全てに結合した。
【0119】γE−C(Cu)−Gはイソ酵素2の比率
を増加させたが、なお全てのイソ酵素にいくらかの割合
で結合した。これに対して、他の吸着剤は、イソ酵素の
結合において非常に選択的であった。例えば、γE−C
(Bz)−βAは、μクラスイソ酵素3および4を選択的
に結合し、SDS/PAGEの結果を確証した。
【0120】ラット細胞質ゾルのGSTイソ酵素用の種
々の新規吸着剤の特異性を表4にまとめた。リガンドの
ある種の構造的改変は、いずれのイソ酵素とも効果的に
結合しない吸着剤を提供した。これらのいくつかを補足
のために挙げた。
【0121】
【表4】
【0122】先に定義したH−部位(疎水性ポケット)
を測定するためのCys残基の系統的な変更が、イソ酵
素に結合可能なリガンドをもたらした。Adangら(1990)
はCys部分に結合した基の系統的な改変によるいかな
る類似体も検討しなかった。この基の変更は、いくつか
の場合にはタンパク質回収のレベルおよびイソ酵素結合
の特異性に効果を有する。例えば、グルタチオンのS−
結合部分の、αクラス基質であるクメンヒドロペルオキ
シド構造と同様の構造への変更は、αクラスのイソ酵素
2-2に優先的な吸着剤を生成した。Alaを末端アミノ酸と
して用いたときには、Cys上のプロピル部分およびベ
ンジル部分の両方が、μクラスイソ酵素に特異的な吸着
剤を与えた(表4)。イソ酵素4に高度に特異的である
ベンジル吸着剤と比較して、プロピル吸着剤は、イソ酵
素3および4の両方を捕らえるという理由もあって、G
STタンパク質をより保持する。Hisを末端アミノ酸
として用いたとき、ベンジル部分は全く結合性を与えな
かったが、プロピル部分は、高いμクラス特異性となっ
た。これらの吸着剤と比較して、ValおよびAsp置
換吸着剤のCys部分の変更は、低い結合性に効果を持
たなかった。従って、末端アミノ酸で決定される吸着剤
の全ての特異性を改変する上で、Cys置換は重要であ
り得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マシュー エイチ. リトル アメリカ合衆国 カリフォルニア 94956, ポイント レイズ ステイション,ピー. オー. ボックス 1116

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造式(1) 【化1】 で示される化合物のアルキル(1−6C)エステルまた
    はアリールアルキル(7−12C)エステルまたはアミ
    ド:ここでnは1または2であり;nが1のとき、Xは
    任意に1または2個の非隣接ヘテロ原子(O、Sまたは
    N)を含有する、モノまたはジ置換あるいは非置換ヒド
    ロカルビル(1−20C)部位であり、該置換基は、ハ
    ロ、−NO、−NO2、−NR2 、OR、およびSRか
    らなる群より選択され、ここでRはHまたは低級アルキ
    ル(1−4C)であり;nが2のとき、Xの1つは上記
    定義の通りであり、他のXは低級アルキル(1−4C)
    であり;Yは 【化2】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸である。
  2. 【請求項2】前記nが1であり、前記Xが置換または非
    置換ヒドロカルビルである、請求項1に記載のエステル
    またはアミド。
  3. 【請求項3】少なくとも1つの前記Xが、置換または非
    置換のメチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ベンジ
    ルまたはトリチルである、請求項2に記載のエステルま
    たはアミド。
  4. 【請求項4】前記AAcがバリン、アラニン、β−アラ
    ニン、4−アミノ酪酸、アスパラギン酸、フェニルグリ
    シン、ヒスチジン、トリプトファン、チロシン、フェニ
    ルアラニン、または置換フェニルアラニンである、請求
    項1から3のいずれかの項に記載のエステルまたはアミ
    ド。
  5. 【請求項5】前記Yが 【化3】 である、請求項1から4のいずれかの項に記載のエステ
    ルまたはアミド。
  6. 【請求項6】環状形態である、請求項1から5のいずれ
    かの項に記載のエステルまたはアミド。
  7. 【請求項7】前記エステルがエチルエステルまたはベン
    ジルエステルである、請求項1から6のいずれかの項に
    記載のエステル。
  8. 【請求項8】前記エステルまたはアミドがモノエステル
    またはモノアミドである、請求項1から7のいずれかの
    項に記載のエステルまたはアミド。
  9. 【請求項9】前記エステルまたはアミドがジエステルま
    たはジアミドである、請求項1から7のいずれかの項に
    記載のエステルまたはアミド。
  10. 【請求項10】構造式(1) 【化4】 で表される化合物の環状アミド形態、そのアルキル(1
    −6C)エステル、アリールアルキル(7−12C)エ
    ステル、またはそのアミド、あるいはそれらの塩:ここ
    で、該シクロアミド結合はYのアミノ基およびAAcの
    カルボキシル基またはYのカルボキシル基およびAAc
    のフリーアミノ基から形成され;ここでnは1または2
    であり;nが1のとき、XはH、または、任意に1また
    は2の非隣接ヘテロ原子(O、S、またはN)を含有す
    るモノまたはジ置換あるいは非置換ヒドロカルビル(1
    −20C)部位であり、そして、該置換基はハロ、−N
    O、−NO2、−NR2、OR、およびSRからなる群か
    ら選択され、ここでRはHまたは低級アルキル(1−4
    C)であり;nが2のとき、Xの1つは上記定義の通り
    であり、他のXは低級アルキル(1−4C)であり;Y
    は 【化5】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸である。
  11. 【請求項11】前記nが1であり前記Xが置換または非
    置換ヒドロカルビルである、請求項10の環状アミド形
    態の化合物。
  12. 【請求項12】少なくとも1つの前記Xが、置換または
    非置換の、メチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ベ
    ンジル、またはトリチルである、請求項11に記載の環
    状アミド形態の化合物。
  13. 【請求項13】前記AAcがバリン、アラニン、β−ア
    ラニン、4−アミノ酪酸、アスパラギン酸、フェニルグ
    リシン、ヒスチジン、トリプトファン、チロシン、フェ
    ニルアラニン、または置換フェニルアラニンである、請
    求項10から12のいずれかの項に記載の環状アミド形
    態の化合物。
  14. 【請求項14】前記Yが 【化6】 である、請求項8−11のいずれかの項に記載の環状ア
    ミド形態の化合物。
  15. 【請求項15】環状アミド形態がモノエステルまたはモ
    ノアミドである、請求項10−14のいずれかの項に記
    載の環状アミド形態の化合物。
  16. 【請求項16】環状アミド形態がジエステルまたはジア
    ミドである、請求項10−14のいずれかの項に記載の
    環状アミド形態の化合物。
  17. 【請求項17】サンプルからヒトグルタチオン−S−ト
    ランスフェラーゼ(GST)酵素を精製または同定する
    方法であって、該方法は、該サンプルと、構造式(1) 【化7】 の化合物、そのアルキル(1−6C)エステル、アリー
    ルアルキル(7−12C)エステルあるいはそのアミ
    ド、またはそれらの環状アミド形態を含有する塩と結合
    した固体支持体とを、該ヒトGSTが該支持体に吸着す
    る条件下で接触させる工程、該サンプルから該固体支持
    体を分離する工程、および溶出液を供給することにより
    該固体支持体から該ヒトGSTを溶出させる工程、を包
    含する方法:ここでnは1または2であり;nが1のと
    き、Xは、任意に1または2の非隣接ヘテロ原子(O、
    S、またはN)を含有する、モノまたはジ置換あるいは
    非置換ヒドロカルビル(1−20C)部位であり、そし
    てここで、該置換基はハロ、−NO、−NO2、−N
    2、OR、およびSRからなる群より選択され、ここ
    でRはHまたは低級アルキル(1−4C)であり;nが
    2のとき、Xの1つは上記定義の通りであり、他のXは
    低級アルキル(1−4C)であり;Yは 【化8】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸である。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の方法であって、該溶
    出溶液が構造式(1) 【化9】 の化合物、そのアルキル(1−6C)エステル、アリー
    ルアルキル(7−12C)エステルあるいはそのアミ
    ド、またはそれらの環状アミド形態を含有する塩の化合
    物を含有し;ここでnは1または2であり;nが1のと
    き、Xは、任意に1または2の非隣接ヘテロ原子(O、
    S、またはN)を含有する、モノまたはジ置換あるいは
    非置換ヒドロカルビル(1−20C)部位であり、そし
    てここで、該置換基はハロ、−NO、−NO2、−N
    2、OR、およびSRからなる群より選択され、ここ
    でRはHまたは低級アルキル(1−4C)であり;nが
    2のとき、Xの1つは上記定義の通りであり、他のXは
    低級アルキル(1−4C)であり;Yは 【化10】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸である;但し、構造式(1)の該化合物はS−ヘ
    キシルグルタチオンでない。
  19. 【請求項19】前記サンプルが細胞または組織を含有す
    る、請求項17に記載の方法。
  20. 【請求項20】サンプル中にGST酵素が存在するか存
    在しないかを検出する方法であって、該方法は、該サン
    プルと構造式(1) 【化11】 の化合物、そのアルキル(1−6C)エステル、アリー
    ルアルキル(7−12C)エステル、あるいはそのアミ
    ド、またはそれらの環状アミド形態を含有する塩の化合
    物とを、該GST酵素と該化合物との間で錯体が形成さ
    れる条件で処理する工程、および、該錯体の存在または
    非存在を検出する工程、を包含する方法:ここでnは1
    または2であり;nが1のとき、Xは、任意に1または
    2の非隣接ヘテロ原子(O、S、またはN)を含有す
    る、モノまたはジ置換あるいは非置換ヒドロカルビル
    (1−20C)部位であり、そして、該置換基はハロ、
    −NO、−NO2、−NR2、OR、およびSRからなる
    群より選択され、ここでRはHまたは低級アルキル(1
    −4C)であり;nが2のとき、Xの1つは上記定義の
    通りであり、他のXは低級アルキル(1−4C)であ
    り;Yは 【化12】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸である。
  21. 【請求項21】構造式(1) 【化13】 の少なくとも5つの異なったトリペプチドグルタチオン
    類似体、またはアルキル(1−6C)エステル、アリー
    ルアルキル(7−12C)エステル、あるいはそのアミ
    ド、またはそれらの環状アミド形態を含有する塩の化合
    物を含有するパネル:ここでnは1または2であり;n
    が1のとき、Xは、H、任意に1または2の非隣接ヘテ
    ロ原子(O、S、またはN)を含有する、モノまたはジ
    置換あるいは非置換ヒドロカルビル(1−20C)部位
    であり、そして、該置換基はハロ、−NO、−NO2
    −NR2、OR、およびSRからなる群より選択され、
    ここでRはHまたは低級アルキル(1−4C)であり;
    nが2のとき、Xの1つは上記定義の通りであり、他の
    Xは低級アルキル(1−4C)であり;Yは 【化14】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸であり;該化合物は異なった性質を有する。
  22. 【請求項22】前記異なった性質がXの疎水性、Xのハ
    メット定数、およびAAcの疎水性よりなる群から選択
    される性質の多様性を包含する、請求項21に記載のパ
    ネル。
  23. 【請求項23】前記化合物の少なくとも1つがシクロア
    ミド形態、あるいは、エステルまたはアミドである、請
    求項21に記載のパネル。
  24. 【請求項24】少なくとも1つのGST酵素を含有する
    可能性のある細胞または組織サンプルのGST補体を決
    定する方法であって、該方法は、請求項20のパネルの
    化合物へ誘導される支持体を含有し、特性調査(SC)
    プロフィールを得るようなクロマトグラフィー支持体の
    パネル中の各々の支持体に関して溶出特性を決定する工
    程、そして、該組織および細胞から得た、結果として得
    られるSCプロフィールを既知のGST補体の組織また
    は細胞から得た対照SCプロフィールのセットと比較す
    る工程、を包含する方法。
  25. 【請求項25】構造式(1) 【化15】 の化合物、そのアルキル(1−6C)エステル、アリー
    ルアルキル(7−12C)エステル、あるいはそのアミ
    ド、またはそれらの環状アミド形態を含有する塩であ
    り:ここでnは1または2であり;nが1のとき、X
    は、モノ、ジ、またはトリ置換ベンジルであり、ここ
    で、該置換基はR’、ハロ、−NO、−NO2、−N
    2、OR、およびSRからなる群より選択され、ここ
    でR’はアルキル(1−6C)、アルケニル(1−6
    C)、またはアルキニル(1−6C)であり、RはHま
    たはアルキル(1−6C)であり;nが2のとき、Xの
    1つは上記定義の通りであり、他のXは低級アルキル
    (1−4C)であり;Yは 【化16】 からなる群より選択され、 ここでmは1または2であり;そしてAAcは構造式
    (1)の残りの部分とペプチド結合を介して結合するア
    ミノ酸である。
  26. 【請求項26】前記AAcがバリン、アラニン、β−ア
    ラニン、4−アミノ酪酸、アスパラギン酸、フェニルグ
    リシン、ヒスチジン、トリプトファン、チロシン、フェ
    ニルアラニン、または置換フェニルアラニンである、請
    求項25に記載の化合物。
  27. 【請求項27】前記Yが 【化17】 である、請求項25に記載の化合物。
  28. 【請求項28】前記化合物が環状形態であり、および/
    あるいは、エステルまたはアミドである、請求項26か
    ら27に記載の化合物。
  29. 【請求項29】請求項26から28のいずれかの項に記
    載のエステルがエチルエステルまたはベンジルエステル
    である、化合物。
  30. 【請求項30】前記化合物がエステルまたはアミドであ
    る、請求項28に記載の化合物。
  31. 【請求項31】前記エステルまたはアミドが、モノエス
    テルまたはモノアミドである、請求項30に記載の化合
    物。
  32. 【請求項32】前記エステルまたはアミドが、ジエステ
    ルまたはジアミドである、請求項30に記載の化合物。
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