JP4903717B2 - トリペプチドおよびテトラペプチドスルホン - Google Patents

トリペプチドおよびテトラペプチドスルホン Download PDF

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Description

本発明は、トリペプチドおよびテトラペプチドスルホン、それを含む医薬組成物、その医薬的使用ならびにその製造に関する。
米国特許No.5599903;5763570;5767086;5786336;および5955432;欧州特許公報No.0 645 397;およびPCT国際公開公報No.WO 95/08563およびWO 96/40205は、式:
Figure 0004903717
[式中、Zは、S、OまたはCである;
nは、1〜3である;
Zが、SまたはOであり、nが、1である場合、Xは、非置換またはハロ、−NO、−NO2、−NR2、−ORまたは−SR(ここで、Rは、HまたはC1−4アルキルである)でモノまたはジ置換された1または2個の非隣接O、SまたはNヘテロ原子を必要に応じて含むC1−20ヒドロキシカルビルである;
Zが、Sであり、nが、2である場合、一方のXは、上記と同意義であり、他方のXは、C1−4アルキルである;および
Zが、Cであり、nが、3である場合、一方のXは、上記と同意義であり、他の2つのX反応混合物独立して、HまたはC1−4アルキルである;
YCOは、γ−glu、β−asp、glu、asp、γ−glu−gly、β−asp−gly、glu−gly、asp−glyである;および
AAcは、ペプチド結合を介して分子の残りの部分に結合したアミノ酸である]
で示される化合物およびそのC1−10アルキルまたはアルケニルまたはC7−12アラルキルエステル、アミドならびに混合エステル/アミド[WO 95/08563]などの還元型グルタチオン(L−γ−グルタミル−L−システイニルグリシン)の類縁体である種々のトリペプチドおよびテトラペプチド化合物を開示する。
該化合物は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)イソ酵素を特徴付けるのに有用な試薬として、細胞および組織のGST補体を決定するのに有用な試薬として、クロマトグラフィー親和性リガンド、結合試薬および酵素インヒビターとして、および治療的に、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞において顆粒球−マクロファージ(GM)前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するための使用などの種々の用途を有すると記載されている。
上記の特許および公報においてTER117として特定され、γ−Glu−Cys(Bz)−フェニルGly、γE−C(Bz)−φG、γE−C(Bz)−PG、γE−C(ベンジル)−φGおよびベンジル PGなどの種々の名称を付けられているTLK117は、これらの化合物の1つである。TLK117は、式:
Figure 0004903717
で示される化合物であり、L−γ−グルタミル−S−(フェニルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンと称することもできる。TLK117は、約400 nMのIC50でGST P1−1を阻害する。上記の特許および公報においてTER199として特定されるTLK199は、TLK117のジエチルエステルであり、TLK261およびTLK262はそれぞれ、ジメチルおよびジイソプロピルエステルである。
米国特許出願No.2003/0100511およびPCT国際公開No.WO 00/44366は、式:
Figure 0004903717
[式中、各エステルは、1−25Cである;
YCOは、γ−gluまたはβ−aspである;
G*は、フェニルグリシンである;
Zは、CH2、OまたはSである;および
Xは、6−8Cアルキル、ベンジルまたはナフチルである]
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩のジエステルのリポソーム製剤などの脂質製剤;または式:
Figure 0004903717
[式中、R1およびR2は独立して、直鎖または分枝鎖アルキル基(1−25C)、シクロアルキル基(6−25C)、置換アルキル基(2−25C)、複素環(6−20C)、エーテルまたはポリエーテル(3−25C)から選ばれるか、またはR1−R2(2−20C)は一緒になって、該式とマクロ環を形成する;および
R3は、6−8Cアルキル、ベンジルまたはナフチルである]
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を開示する。
Townsendら、Mol.Cancer Ther.、1(12)、1089−1095 (2002)は、式:
Figure 0004903717

で示される化合物、すなわち、米国特許No.5556942およびPCT国際公開No.WO 95/09866に開示される、式:
Figure 0004903717

で示される、GST活性化抗ガン剤であるTER286と称されるカンホスファミドのGST媒介切断の2つの生成物の1つとしての「ビニルスルホン」を開示する。
骨髄の3つの主要血液成分(白血球、赤血球および血小板)のうちの1つ以上を不十分なレベルでしか産生しない前白血病の一形態である骨髄異形成症候群などの多くの病気が、骨髄の枯渇を特徴とする。血液細胞レベルおよび骨髄における新しい血液細胞の生成の減少である骨髄抑制もまた、多くの標準的化学療法剤の一般的な毒性作用である。
TLK199は、インビトロでHL−60前骨髄球性白血病細胞の分化を誘発すること、インビトロおよびインビボで細胞毒性剤の活性を増強すること、および正常ヒト末梢血中の造血前駆細胞の3つの系統すべてのコロニー形成を刺激することが明らかにされている。前臨床試験において、TLK199は、正常動物ならびにシスプラチンまたはフルオロウラシルを用いる治療によって白血球細胞が枯渇している動物において血液細胞の産生を増加させることが明らかにされている。このような効果は、MDSを治療する新たなアプローチを提供することができる。TLK199は、現在、MDSの治療について第二相臨床試験において評価されている。2004および2005年度米国血液学会において報告された、この試験の暫定的結果は、TLK199が良好な耐容性を示し、多系列の血液学的改善もたらすことを実証した。これらの結果は、化学療法誘発性血球減少症の治療におけるTLK199の潜在的な役割を示唆する。
腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するためにヒトにおいて使用するためのGST P1−1の強力なインヒビターを開発することが望まれている。
(発明の開示)
第1の態様において、本発明は、式:
Figure 0004903717
[式中、Xは、L−γ−グルタミルまたはL−γ−グルタミルグリシルである;
Yは、H、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアラルキルである;および
Zは、C5−9アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアラルキルである]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、フェニル−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
およびその化合物(およびそのモノおよびジエステル)の塩である。
該化合物(特に酸型)は、インビトロにおいて、GST P1−1のインヒビター、典型的には選択的インヒビターである。ジエステル型において、該化合物は、インビトロにおいて、HL−60細胞からのGSTπの免疫沈降に有効であること、インビトロにおいて、HL−60細胞に対して細胞毒性であることも明らかにされている。それらは、インビトロにおいて、HL−60細胞の分化の増強においても活性があり、その1つは、エクスビボにおいて、マウス骨髄細胞からの顆粒球/単球コロニー形成を増強することが明らかにされている。このことおよびTLK117、TLK199および関連化合物との構造的類似性から、したがって、本発明化合物は、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するためにヒトにおいて治療的に作用することが予測される。
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の化合物および必要に応じて1つ以上の賦形剤を含む医薬組成物である。
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の化合物または本発明の第2の態様の医薬組成物を投与することによる、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するため;の1つ以上のための治療方法、特にヒトにおける治療方法、ならびに腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するため;の1つ以上のための医薬の製造における本発明の第1の態様の化合物の使用である。
第4の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の化合物の製造方法である。
第5の態様において、本発明は、式:
Figure 0004903717
[式中、Xは、N−α−R1−L−γ−グルタミルまたはN−α−R1−L−γ−グルタミルグリシルである(ここで、R1は、アミン保護基である);および
YおよびZは、本発明の第1の態様の化合物と同意義である]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、フェニル−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
およびその化合物(およびそのモノおよびジエステル)の塩である。これらの化合物は、本発明の第1の態様の化合物の製造における中間体として有用である。
本発明の好ましい実施態様は、本出願の明細書および請求項2−20に記載の特徴、ならびに医薬組成物、方法およびこれらの化合物の用途によって特徴付けられる。
(発明の実施の形態)
定義
「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、1−プロペニル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロペンテン−1−イル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルおよびシクロヘキシルメチルなどの炭素原子から1つの水素原子を除去することによって、直鎖、分枝鎖または環式であってよい飽和または不飽和(芳香族的に不飽和ではない)C1−C10、好ましくはC1−6炭化水素から誘導される一価の基を意味する。飽和アルキルおよびC1−C6アルキルが、典型的である。本願における「アルキル」が、慣例の定義よりも広く、一般的に「シクロアルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」と称する基を含むことに留意すべきである。
「置換アルキル」は、3個までのハロゲン原子および/または−CN、−NO2、−ORおよび−NR2(ここで、各Rは独立して、HまたはC1−3アルキルである)から選ばれる置換基で置換されたアルキルである。したがって、たとえば、置換アルキル基は、トリフルオロメチルおよび3−クロロプロピルなどの基を含む。好ましい置換C5−6シクロアルキル基は、ハロ、ヒドロキシ、メチル、トリフルオロメチルおよびメトキシ、特にフルオロ、クロロまたはメチルから選ばれる1または2個、好ましくは1個の基で置換されたシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
「ヘテロアルキル」は、3−オキサペンチルなどの直鎖基;2−テトラヒドロフラニル、2−ピロロジニル、3−ピペリジニル、2−ピペラジニル、4−ジヒドロピラニルおよび3−モルホリニルなどの5または6個の環原子を含む単環式環;およびテトラヒドロフラン−2−イルメチルおよびピペリジン−3−イルエチルなどの基といったような、1または2個のメチレン基が、O、S、SO2またはNR(ここで、Rは、HまたはC1−3アルキルである)によって置換された「アルキル」(前記と同意義)を意味する。好ましいC5−6シクロヘテロアルキル基は、2−および3−テトラヒドロフラニル、3−および4−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロチオピラニルおよびそのS,S−ジオキシドならびに2−、3−および4−ピペリジニルといったような、環メチレン基の1個が、O、S、SO2、NHまたはN−メチルによって置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。「置換ヘテロアルキル」は、前記置換アルキルと同様の様式で置換されたヘテロアルキルである。
「アリール」は、炭素原子から1個の水素原子を除去することによって、6−14個の環炭素原子を含む芳香族炭化水素から誘導される一価の基を意味し、単環式(フェニルなど)、縮合多環式(ナフチルなど)または結合多環式(ビフェニルイルなど)であってよい。
「置換アリール」は、ハロ、−CN、−NO2、−OH、必要に応じてハロ置換されたC1−3アルキル(たとえば、エチル、トリフルオロメチル)、必要に応じてハロ置換されたC1−3アルキルオキシ、フェノキシ、(C5−6ヘテロアリール)オキシ、ホルミル、カルボキシ、C1−3アルコキシカルボニルおよび−NR2(ここで、各Rは独立して、HまたはC1−3アルキルである)から選ばれる3個までの置換基で置換されたアリールを意味する。
「アラルキル」は、ベンジルおよびフェネチルなどの、アリールで置換されたアルキルを意味する。「置換アラルキル」は、アリールとアルキルの一方または両方が、前記置換アリールおよび置換アルキルと同様の様式で置換されたアラルキルを意味する。
「ハロゲン」または「ハロ」は、F、ClまたはBrを意味する。
「ヘテロアリール」は、1〜4個の環炭素原子が、O、S、NまたはNR(ここで、Rは、HまたはC1−3アルキルである)によって置換された、炭素原子から1個の水素原子を除去することによって、5−14個の環炭素原子を含む芳香族炭化水素から誘導される一価の基を意味し、5または6個の環原子を含む単環式(フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリダジニルおよびピリミジニルなど);縮合二環式(ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリルおよびキノリニルなど);または結合二環式、特に、4−(2−ピリジル)フェニルなどの(C5−6ヘテロアリール)フェニルであってよい。好ましいC5−6ヘテロアリール基は、2−および3−フリル、2−および3−チエニルならびに2−、3−および4−ピリジニルである。「置換ヘテロアリール」は、前記置換アリールと同様の様式で置換されたヘテロアリールを意味する。
「ヘテロアラルキル」は、2−ピロリルメチルなどのヘテロアリールで置換されたアルキルを意味する。「置換ヘテロアラルキル」は、前記置換アルキルと同様の様式で置換されたヘテロアラルキルを意味する。
「塩」は、「本発明化合物」と題するセクションに記載する。
「アミン保護基」は、本発明の第1の態様の化合物の残りの部分に影響を及ぼすことなく、本発明化合物の合成中に、該化合物またはそれに至る中間体のグルタミル α−アミン基を保護することができ、続いて、除去しうる基である。一般的なこのような基は、酸分解によって都合よく除去しうるtert−ブトキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルである;ベンジルオキシカルボニルは、触媒的水素添加によって都合よく除去することもできる。アミン保護基は、有機合成、特にペプチド合成業界において公知である。このような基およびその除去条件は、Synthesis of Peptides and Peptidomimetics、Workbench edition、M.Goodman編、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、Germany、2004ならびにProtective groups in organic synthesis、3版、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts編、John Wiley & Sons、Inc.、New York、New York、U.S.A.、1999などの書籍に記載されており、当業者には周知である。
「治療有効量」は、本治療方法の1つによる治療を達成するために、哺乳動物、特にヒトに投与された場合に、治療処置の目的である病気の治療を成し遂げるのに十分である量を意味する。哺乳動物における病気を「治療する」または病気の「治療」は、以下の1つ以上を含む:
(1)病気の成長を阻止する、たとえば、その進行を抑止すること;
(2)病気を軽減する、たとえば、病気の退行または治癒を引き起こすこと;
(3)病気の再発を防止すること;および
(4)病気の症状を寛解すること。
本発明化合物およびその製造
本発明の第1の態様の化合物は、式:
Figure 0004903717
[式中、Xは、L−γ−グルタミルまたはL−γ−グルタミルグリシルである;
Yは、H、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアラルキルである;および
Zは、C5−9アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアラルキルである]
で示される化合物;
およびそのC1−10アルキル、フェニル−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステル;
およびその化合物(およびそのモノおよびジエステル)の塩である。
好ましい本発明の第1の態様の化合物には、1つ以上の以下の特徴を有する化合物が包含される:
1.Xが、L−γ−グルタミルである;
2.Yが、必要に応じて置換されたC5−6シクロアルキル、必要に応じて置換されたC5−6シクロヘテロアルキル、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールである;特には、Yが、シクロペンチル、シクロヘキシル、チエニル、フリル、ピリジニルまたは必要に応じて置換されたフェニルである;さらに特には、1または2個のフルオロ、クロロ、メチル、ヒドロキシ、メトキシまたはトリフルオロメチル基で必要に応じて置換されたシクロヘキシルまたはフェニルである(たとえば、フェニルが、非置換または置換されており、該置換基の1つが、4位にある場合、特には、置換基がただ1つである場合など)である;
3.Zが、C5−9アルキル、またはそれぞれが1〜3個のハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、トリフルオロメチルまたは−R、−OR、−COORまたは−NR2基(ここで、Rは、C1−3アルキルである)で必要に応じて置換されたフェニル、1−または2−ナフチル、2−、3−または4−ビフェニルイルまたは2−、3−または4−(C5−6ヘテロアリール)フェニルである;特には、それぞれがフルオロ、クロロ、シアノ、ヒドロキシ、メトキシ、メチルまたはトリフルオロメチルで必要に応じて置換されたフェニルまたは2−、3−または4−ビフェニルイルまたは2−、3−または4−(C5−6ヘテロアリール)フェニルである;
4A.化合物が、二酸である;または
4B.化合物が、ジエステル、特には、C1−6アルキルジエステル、さらに特には、C1−3アルキルジエステルである。
一般に、より多くの数のこれらの特徴を有する化合物が、より少ない数のこれらの特徴を有する化合物よりも好ましい;特に、すべての特徴よりも少ない特徴を有する化合物に対して、これらの特徴の1つを追加すると、一般に、その特徴を含まない化合物よりも好ましい化合物がもたらされる。
本発明化合物の適当な塩(非排他的リストとして、BergeらのJ.Pharm.Sci.、66:1(1971)を参照)は、無機塩基(たとえば、水酸化ナトリウム、カリウムおよびカルシウム)または有機塩基(たとえば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン)がカルボキシル基と反応して形成されるもの、および無機酸(たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびクロロスルホン酸)または有機酸(たとえば、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸または酒石酸およびメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸といったような置換ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸および置換ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸および置換ナフタレンジスルホン酸ならびにカンファースルホン酸)が反応して本発明化合物のアミン基の酸付加塩を形成するように反応する場合に形成されるものである。これらの塩が、医薬的に許容しうる酸および塩基と形成されるのが好ましい。本発明化合物のための適当な塩は、酸付加塩、特に、塩酸塩などの無機酸との塩である。
本発明方法による本発明の第1の態様の化合物の製造は、
(a)式:
Figure 0004903717
[式中、Xは、L−γ−グルタミルまたはL−γ−グルタミルグリシル、またはN−α−R1−L−γ−グルタミルまたはN−α−R1−L−γ−グルタミルグリシル(ここで、R1は、アミン保護基である)である;および
YおよびZは、本発明の第1の態様の化合物と同意義である]
で示される化合物(スルフィド化合物);
またはそのC1−10アルキル、フェニル−C1−3アルキルまたは(C5−6ヘテロアリール)−C1−3アルキル モノおよびジエステルを酸化して、本発明の第1または第5の態様の化合物を得る;
(b)Xが、N−α−R1−L−γ−グルタミルまたはN−α−R1−L−γ−グルタミルグリシルである場合、本発明の第5の態様の化合物である得られるスルホンを脱保護して、本発明の第1の態様の化合物を得る;そして、必要に応じて、
(c)ステップ(a)またはステップ(b)において製造された本発明の第1の態様の化合物が二酸である場合、該化合物のモノまたはジエステルを形成する;または
(d)ステップ(a)またはステップ(b)において製造された化合物がモノまたはジエステルである場合、該化合物を脱エステル化して、該化合物の二酸を製造する;および
(e)ステップ(a)〜(d)のいずれかで製造した化合物の塩を形成する;
ことを含む。
ステップ(a)において、イオウ原子を酸化して、本発明の第1の態様の化合物(グルタミル アミン基が保護されていない場合)または本発明の第5の態様の化合物(グルタミル アミン基がR1−保護されている場合)を製造する。
典型的には、スルフィド化合物を適当な溶媒に溶解し、酸化剤を加え、次いで、酸化が完了するのに十分な時間および十分な温度に反応混合物を保持する。適当な溶媒/酸化剤の組み合わせとして、酢酸/ペルオキシ酢酸、および酢酸/過酸化水素/ペルオキシ酢酸などのC2−3アルカン酸/過酸化水素/ペルオキシアルカン酸の組み合わせ、および溶媒および酸化剤の両方としてのC2−3ペルオキシアルカン酸またはペルオキシトリフルオロ酢酸の使用が挙げられる。要すれば、ジメチルスルフィドなどの試薬で過剰の酸化剤を失活させた後、濃縮によって簡単に本発明の第1(または第5)の態様の化合物を単離する。特に適当な溶媒/酸化剤の組み合わせとして、エステル(たとえば、酢酸イソプロピル)などの非極性非プロトン性溶媒に溶解したスルフィド化合物および水溶液中の酸化剤を用いる二相系で酸化が起こる組み合わせが挙げられる。これらの二相性酸化に適当な酸化剤として、たとえば、過硫酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウムなどの化ホウ酸塩および過硫酸塩が挙げられ、特に適当な酸化剤は、OXONE(登録商標)(2KHSO5.KHSO4.K2SO4)などのモノ過硫酸カリウムである。水性および非水性相を分離し、酸化剤の完全な除去を行うために非水性相を洗浄した後、濃縮によって非水性相から本発明の第1(または第5)の態様の化合物を単離する。
任意のステップ(b)において、本発明の第5の態様の化合物のR1−保護アミン基を脱保護して、本発明の第1の態様の化合物を製造する。
分子の残りの部分に影響を及ぼさない、アミン保護基を除去するための適当な方法のいずれかによって、本発明の第5の態様の化合物を脱保護することができる。アミン保護基が、酸分解的に除去されうる基である場合、必要に応じてジクロロメタンの存在下、トリフルオロ酢酸などの強酸の使用によって都合よく脱保護される。アミン保護基が、触媒的に除去されうる基である場合、触媒的還元または異性化によって都合よく脱保護されるが、一般的に触媒的に除去可能であるとみなされるベンジルオキシカルボニルなどの基でも、酸分解的に除去することもできる。
触媒的還元のために、典型的には、たとえば、水の存在下での酢酸イソプロピルなどの、特に水の存在下でのC1−4アルカノールなどの適当な溶媒または極性プロトン性溶媒または非極性非プロトン性溶媒に化合物を溶解し、典型的には、パラジウムブラック、パラジウム/硫酸バリウムおよびパラジウム/炭素などのパラジウム触媒などの還元触媒の存在下、水素またはシクロヘキセンもしくは1,4−シクロヘキサジエンなどの水素供与体と接触させる。触媒的異性化のために、典型的には、第2級アミンなどの求核性アリル基スカベンジャーの存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのゼロ価のパラジウム錯体を用いる。触媒を除去した後、酸付加塩として都合よく本発明の第1の態様の化合物を単離する(任意のステップ(e)において)。
任意のステップ(c)および(d)において、本発明の第1の態様の化合物をエステル化する(二酸およびエステルが望ましい場合)か、または脱エステル化(エステルおよび二酸が望ましい場合)する。これらのエステル化または脱エステル化は、簡便であり、当業者に公知の方法のいずれかによって行うことができる;特に簡便なエステル化技術として、室温と所望のエステルを生成するアルコールの沸騰温度の間の温度にて、クロロトリエチルシランなどのハロシランの存在下、そのアルコールを溶媒として用いて、本発明の第1の態様の二酸化合物と所望のエステルを生成するアルコールとを反応させることが挙げられる。
任意のステップ(e)において、本発明の第1の態様の化合物の塩を形成する。これは、典型的には酸付加塩である(上記「塩」の定義参照)。これは、本発明の第1の態様の化合物が形成された後すぐに都合よく行われ、たとえば、炭化水素またはジクロロメタンといったようなハロゲン化炭化水素などの非プロトン性溶媒などの塩のためのアンチソルベントになる溶媒を添加し、次いで、特に、無水酸単独の形態または非プロトン性溶媒中の塩化水素ガスなどの、塩を形成するために選ばれた酸を添加することによって達成される。たとえばジエチルエーテル、メチル tert−ブチルエーテルおよびテトラヒドロフラン、特に、メチル tert−ブチルエーテルといったようなエーテルなどの塩のためのさらなるアンチソルベントを要すれば、または望ましければ加えてもよい。
このプロセスのための出発物質(スルフィド化合物)は、必要に応じてモノまたはジエステル化され、必要に応じてグルタミル アミンで保護され、Z−CH2−基でアルキル化されたシステインイオウを有するトリペプチドおよびテトラペプチドである。
当業者に公知の都合よいペプチド合成法によって、これらのS−アルキル化グルタチオン類縁体を都合よく製造することができる。
適当なS−アルキル化システインが、ペプチド合成のために容易に入手できない場合、トリフェニルメチルなどの多くの標準的S−保護基の1つを用いてペプチド合成を行うことができ、次いで、たとえば、酸分解によって得られるS−保護ペプチドを脱保護する。典型的には、必要に応じてスカベンジャーの存在下、酸分解的に除去可能なイオウ保護基を除去するのには十分強いが、アミン保護基を除去するのには不十分な強さの酸にS−保護ペプチドを溶解する。適当な酸として、必要に応じてジクロロメタンなどの共溶媒の存在下で、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルホン酸などの他の強酸が挙げられる;適当なスカベンジャーとして、アニソールまたはチオアニソールなどの芳香族エーテルおよび硫化物、クレゾールなどのフェノール、および最も効率的には、トリエチルシランおよびトリイソプロピルシランなどのトリアルキルシランおよびポリ(メチルヒドロシロキサン)などのシランポリマーといったようなシランが挙げられる;および特に適当な脱保護試薬は、ポリ(メチルヒドロシロキサン)の存在下でのトリフルオロ酢酸である。炭化水素またはエーテルなどの非プロトン性非極性溶媒などのアンチソルベントの添加によって、反応混合物からS−脱保護ペプチドを単離することができる
次いで、S−脱保護ペプチドのチオレートアニオンを式:Z−CH2−Lで示される化合物(ここで、Lは、ハロゲン(塩素または臭素)または必要に応じて置換されたアルカンまたはアレーンスルホネートなどの脱離基である)でアルキル化して、適当にS−アルキル化されたペプチドを製造する。これは、グルタミルアミンが保護され、副反応が最小化される場合に都合よく行われるが、アミンが非保護である場合でも行うことが可能である。
典型的には、適当な溶媒(たとえば、C1−6アルカノール、1,2−エタンジオールまたは1,3−プロパンジオールなどのジオール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランなどのエーテルなど)中の強塩基[たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩またはアルコキシドまたは水酸化アンモニウム;またはテトラメチルグアニジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン)などの有機アミン塩基など]の溶液に、S−脱保護ペプチドを溶解して、チオレートアニオンを形成し、式:Z−CH2−Lで示される化合物を(典型的には過剰で)加え、完了まで反応混合物を適切な温度および時間にて保持する。都合のよい反応条件は、20%テトラヒドロフラン水溶液および約10倍過剰の重炭酸ナトリウムの使用である。
スルフィド化合物を以下のように製造することもできる:
適切なZ−CH2−基で(必要に応じて保護された)システインをアルキル化し、次いで、標準的ペプチド合成法、すなわち、最初に式:
Figure 0004903717

で示されるアミノ酸、次いで、(必要に応じて保護された)L−γ−グルタミンまたはL−γ−グルタミルグリシンとカップリングさせるか;または最初に(必要に応じて保護された)L−γ−グルタミンまたはL−γ−グルタミルグリシン、次いで、式:
Figure 0004903717
で示されるアミノ酸とカップリングさせることによってトリペプチドまたはテトラペプチドを形成する。
D−フェニルグリシン、D−(4−クロロフェニル)グリシン、D−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、D−(3−チエニル)グリシンおよびD−シクロヘキシルグリシンなどの式:
Figure 0004903717
で示される多くのアミノ酸が、分割された形態で(いくつかの場合、エステルとして)市販されている。他には、ラセミ形態で入手可能なものもあるが、アミノ酸分割のための公知の方法のいずれかによって分割することができる。アミノ酸合成の公知の方法によって製造できるものもある。
スルフィド化合物を、出発アミノ酸の状態に応じて、二酸(これは、グルタミルα−カルボキシならびにアミンの中間体保護を含むが)またはモノもしくはジエステルとして製造してもよい。スルフィド化合物を二酸として製造する場合、モノまたはジエステル化(典型的には、アミン保護しながら)した後に、スルフィドをスルホンに酸化してもよく、エステル化条件は、典型的には、本発明の第1の態様の化合物のエステル化のために用いた方法と同様である。
当業者であれば、その技術および本明細書の記載(実施例を含む)を考慮して、困難なく本発明の第1および第5の態様のカップリングを製造することができる。
化合物および方法の使用
本発明の第1の態様の化合物(特に、酸型)は、GST P1−1の典型的に選択的なインヒビターである。それらは、インビトロにおいてHL−60細胞の分化の増強においても活性があり、そのうちの1つは、エクスビボにおいてマウス骨髄細胞からの顆粒球/単球コロニー形成を増強することが明らかにされている。したがって、該化合物は、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため(多くの腫瘍組織において高くなるGST、特に、GST P1−1は、化学療法剤に対する腫瘍細胞の耐性に関与するので、GSTインヒビターは、化学療法剤に耐える腫瘍の能力を低下させる)、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため(これもGSTイソ酵素阻害という理由から)、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するためにヒトにおいて治療的に作用することが予測される。
本発明の第5の態様の化合物および本発明の第4の態様の方法は、本発明の第1の態様の化合物の製造に有用である。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の化合物および必要に応じて医薬的に許容しうる賦形剤などの賦形剤を含む医薬組成物、典型的には治療有効量でこれらの化合物またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む治療方法、およびガンの治療のため、ならびにガンの治療のための医薬の製造のためのこれらの化合物の使用である。
化合物は、治療される患者および患者の病気の性質に適当な経路のいずれかによって投与することができる。投与経路として、静脈内、腹腔内、筋肉内および皮下注射などの注射による投与、局所適用を介する経粘膜または経皮デリバリーによる投与、点鼻スプレー、座薬などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、あるいは経口投与してもよい。これらの化合物を含む医薬組成物は、必要に応じて、リポソーム製剤、乳剤、粘膜を通して薬剤を投与するように設計された製剤または経皮製剤であってもよい。これらの投与方法のそれぞれのための適当な製剤は、たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、20 ed.、A.Gennaroら、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、Pennsylvania、U.S.A.、2003に見出すことができる。典型的な組成物は、経口剤または静脈内注入のための液剤のいずれかであり、該化合物を含み、典型的には1つ以上の医薬的に許容しうる賦形剤も含む。典型的な投与剤形は、錠剤、静脈内注入のための液剤および静脈内注入のための溶液に戻して用いる凍結乾燥粉末である。
本発明の第1の態様の化合物の治療有効量は、約10〜2000 mg/m2体表面積、特に50〜1000 mg/m2である。投与は、1〜35日間隔;たとえば、1〜5週間隔、特に1、2、3または4週間隔、あるいは数日間(たとえば、5または7日)の1日に1回などのより多い頻度で、2、3または4週間毎に投与を繰り返して、もしくは6〜72時間の持続注入で、2、3または4週間毎に投与を繰り返して、約250〜1000 mg/m2の投与を行うことができる。典型的な処方は、3週間毎に5日間の1日1回投与を含む。
製造例および実施例
次の実施例は、本発明方法による有用な中間体の製造および本発明化合物の合成および治療剤としての本発明の第1の態様の化合物の有用性を明らかにする。
製造例1および2は、システインまたはトリペプチドおよびテトラペプチド(スルフィド化合物)のシステインのS−アルキル化のための試薬の製造を記載する。便宜上、この試薬をベンジルブロミド(α−ブロモトルエン)の誘導体と命名する。
製造例1:4−(2−ピリジル)ベンジルブロミドの製造
4−(2−ピリジル)トルエン、2 mL(1.98 g、11.7 mmol)、N−ブロモスクシンイミド−NBS)2.5 g(14.0 mmol)およびα,α'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)23 mg(0.14 mmol)を35 mLのテトラクロロメタンに懸濁し、24時間還流する。生成物を濾過し、回転蒸発によっって濾液から溶媒を除去する。
等量のクロロホルムおよび水を加え、生成物を抽出する。クロロホルム層を分離し、乾燥し、溶媒を除去する。4−(2−ピリジル)ベンジルブロミド2 gを粘着性の黄色固体で得る。
製造例2:4−(2−メトキシフェニル)ベンジルブロミドの製造
4−ブロモトルエン171 mg(1 mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸152 mg(1 mmol)、二酢酸パラジウム1 mg(4 μmol)、N−ブチルアンモニウムブロミド322 mg(1 mmol)および2 M水性Na2CO31.9 mL(3.8 mmol)を、電子レンジ可能な圧力バイアルに入れ、150℃にて5分間加熱する。室温に冷却した後、生成物を分液ロートに注ぎ入れ、それぞれ30 mLの水およびジエチルエーテルを加える。抽出後、層を分離し、水性層を別の30 mLのジエチルエーテルで洗浄する。エーテル抽出物を合わせ、乾燥(硫酸マグネシウム)し、溶媒を減圧下で回転蒸発により除去する。2−メトキシ−4'−メチルビフェニル160 mg(81%収率)を固体生成物で得る、NMRによる純度95%。
2−メトキシ−4'−メチルビフェニル160 mg(0.81 mmol)、NBS158 mg(0.91 mmol)およびAIBN1 mg(0.006 mmol)を7 mLのテトラクロロメタンに懸濁し、24時間還流する。生成物を濾過し、回転蒸発により濾液から溶媒を除去する。等量のジエチルエーテルおよび水を加え、生成物を抽出する。エーテル層を分離し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、溶媒を除去する。4−(2−メトキシフェニル)ベンジルブロミド128 mgを油状物で得る。
この方法により、2−シアノフェニルボロン酸から4'−(2−シアノフェニル)ベンジルブロミドを得る。
これらの製造例の方法により、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたC5−6ヘテロアリールで置換されたその他のベンジルブロミドを容易に製造することができる。
製造例3は、S−アルキル化システインの製造を記載する。
製造例3:N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システインの製造
アルゴンを通気することによって脱気した9 mLのテトラヒドロフランおよび9 mLの1 M水性NaOHの混合物に、N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−L−システイン1.0 g(4.52 mmol)を溶解する。5 mLのテトラヒドロフラン(THF)中の4−(ブロモメチル)ビフェニル1,12 g(4.53 mmol)の溶液を加え、アルゴン通気下、溶液を室温にて8時間撹拌する。減圧下、回転蒸発によりTHFを除去し、残渣を水に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄する。6 M水性HClで水性相をpH 3まで酸性化し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機抽出物を水、飽和水性NaHCO3、水および食塩水で洗浄し、次いで、乾燥し、濃縮して、1−44 g N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイン(82%収率)を白色固体で得る。
この製造例の方法により、その他の(必要に応じて保護された)S−アルキル化システインを容易に製造することができる。
製造例4〜6は、いくつかの「スルフィド化合物」の製造を記載する。
製造例4:L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンの製造
アセトニトリル/水にアミン保護ペプチドを溶解し、約10倍過剰の重炭酸ナトリウムを加え、わずかに過剰の4−(ブロモメチル)ビフェニルを加え、次いで、完了まで窒素下に反応物を維持することによって、330 mgのN−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−L−システイニル−D−フェニルグリシンから、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンを塩酸塩として製造する。反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄し、水性相を分離し、塩酸でpH2−3まで酸性化し、次いで、酢酸エチルで抽出する。有機相を無水MgSO4で乾燥し、濾過し、体積を減らして、N−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンを得る。アミン保護スルフィド化合物、約300 mgを2 mLの95:5 トリフルオロ酢酸(TFA):ジクロロメタンおよび1滴の水に溶解し、45℃にて一夜攪拌し、プレパラティブHPLCにより精製して、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンを得る。L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンを塩酸塩として単離する。要すれば、アミン保護スルフィド化合物を直接酸化ステップ(a)に付して、本発明の第5の態様の化合物を製造することができる。
同様の方法によって、L−γ−グルタミル−S−{[4−(2−ピリジル)フェニル]メチル}−L−システイニル−D−フェニルグリシンなどの化合物およびそのアミン保護類縁体などの化合物を製造することができる。
同様の方法によって、モノおよびジエステルであるスルフィド化合物その他のスルフィド化合物を容易に製造することができる。
製造例5:L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルの製造
エタノールおよびクロロトリメチルシランでエステル化して、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルを得ることによって、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシン30 mgから、L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルを塩酸塩として製造する。L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルを塩酸塩として単離する。
同様の方法によって、L−γ−グルタミル−S−{[4−(2−ピリジル)フェニル]メチル}−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステルなどの化合物を製造する。同様の方法によって、その他のスルフィド化合物のエステル、特にジエステルを用に製造することができる。
製造例6:L−γ−グルタミル−S−[(4−ビフェニルイル)メチル]−L−システイニル−D−シクロヘキシルグリシンの製造
15 mLのエタノールにD−シクロヘキシルグリシンを懸濁し、クロロトリメチルシラン2.02 mL(5当量)を加え、混合物を50℃にて18時間加熱することによって、該酸500 mg(3.1 mmol)から、D−シクロヘキシルグリシンエチルエステルを製造する。揮発成分を減圧除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水性NaHCO3および食塩水(2回)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発して、401 mgのD−シクロヘキシルグリシンエチルエステルを油状固体で得る。
N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイン588 mg(1.9 mmol)を5 mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)860 mg(1.2当量)およびジ(イソプロピル)エチルアミン990 μL(3当量)を加える。3分後、4 mLのDMFに溶解したD−シクロヘキシルグリシンエチルエステル360 mg(1当量)を加え、混合物を室温にて2時間撹拌し、次いで、粗N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−シクロヘキシルグリシンエチルエステルを単離する。ジペプチドを10 mLの20% TFA/ジクロロメタンに溶解し、室温にて2時間撹拌し、次いで、揮発物を減圧除去することによって、粗生成物を単離する。粗S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−シクロヘキシルグリシントリフルオロアセテートを直接次のステップに用いるか、またはさらに処理してもよい。
N−α−(tert−ブトキシカルボニル)−O−α−tert−ブチル−L−γ−グルタミンを2 mLのDMFに溶解し、HBTU、1−4 mg(1.2当量)およびジ(イソプロピル)エチルアミン330 μL(5当量)を加える。5分後、2 mLのDMFに溶解した粗S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−シクロヘキシルグリシントリフルオロアセテート200 mg(0.38 mmol)を加え、混合物を室温にて2時間撹拌する。混合物に0.1 N水性クエン酸を注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出する。有機層を食塩水で4回洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、揮発物を除去して、N−α−( tert−ブトキシカルボニル)−O−α−tert−ブチル−L−γ−グルタミル−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−シクロヘキシルグリシンを褐色油状物で得る。これを10 mLの20% TFA/ジクロロメタンに溶解し、室温にて24時間撹拌する。揮発物を減圧除去し、生成物を逆相HPLCにより精製し、次いで、L−γ−グルタミル−S−(4−ビフェニルイルメチル)−l−システイニル−D−シクロヘキシルグリシンを塩酸塩47 mgとして単離する。要すれば、保護スルフィド化合物を直接酸化ステップ(a)に付すこともできる。
同様の方法によって、L−γ−グルタミル−S−(4−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−(4−クロロフェニル)グリシンを塩酸塩として製造する。
合成例1:L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、1Aの合成
酢酸に溶解した100 mg(0.2 mmol)のL−γ−グルタミル−S−(フェニルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシン塩酸塩(TLK117塩酸塩)に、酢酸中の過酢酸の32%溶液200 μL(0.95 mmol)を加える。反応混合物を室温にて維持し、次いで、LCMSにより反応を処理する。反応の完了時、反応混合物を減圧濃縮して固体を得、次いで、50%アセトニトリル/水を加え、濾過し、残渣をさらなるで洗浄する。濾液を凍結乾燥し、次いで、残渣および濾液をプレパラティブHPLCにより精製し、生成物含有画分を再度凍結乾燥する。アセトニトリル/水に溶解し、凍結乾燥し、メタノール/エーテルでトリチュレートし、減圧乾燥した後、L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、1Aを固体生成物で得る。LCによる純度96%(ELSD検出)。プロトンNMRスペクトル(DMSO−d6)は、所望の構造に一致する。2.3−2.5倍過剰の過酢酸を用い、溶媒比および量をわずかに変更して、より大きなスケールでさらに2つのロット(それぞれ0.4 mmolおよび11 mmol)を同様に製造する。
合成例2:L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジエチルエステル、1Bの合成
3 mLの酢酸に溶解した123 mg(0.22 mmol)のL−γ−グルタミル−S−(フェニルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシンジエチルエステル塩酸塩に、酢酸中の過酢酸の32%溶液225 μL(1.06 mmol)を加える。
反応混合物を室温にて維持し、次いで、LCMSにより反応を処理する。反応の完了時、反応混合物を減圧濃縮して固体を得、次いで、メタノール/ジメチルスルホキシド/水を加え、プレパラティブHPLCにより精製し、生成物含有画分を再度凍結乾燥する。L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジエチルエステル、1Bを固体生成物で得る。プロトンNMRスペクトル(DMSO−d6)は、所望の構造に一致する。
合成例3:L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジイソプロピルエステル、1Dの合成
6 mLのイソプロピルアルコールに懸濁した309 mg(0.61 mmol)のL−γ−グルタミル−S−(フェニルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシン塩酸塩に、767 μLのクロロトリメチルシラン(6.05 mmol)を加える。反応混合物を窒素下室温にて撹拌すると、徐々に白い沈澱が形成される。混合物を50℃に加熱し、さらなる300 μLのクロロトリメチルシランを加え、反応混合物を高温で維持する。数時間後、反応が85%完了しているのが確認される(残りはモノエステルである);形成した沈澱を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥し(240 mg収率)、メタノールに溶解し、溶媒として95:5 水/アセトニトリル+0.01%塩酸を用いるプレパラティブHPLCにより精製する。ジイソプロピルエステル87 mg(0.16 mmol)を2 mLの酢酸に溶解し、82 μLの過酢酸溶液(2.5当量)を用いて酸化する。反応の完了時、2 mLのメタノールを加え、溶媒として95:5 水/アセトニトリル+0.01%トリフルオロ酢酸を用いるプレパラティブHPLCにより精製し、生成物含有画分を凍結乾燥する。L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジイソプロピルエステル塩酸塩を固体生成物で得る。HPLCによる純度98%。プロトンNMRスペクトル(DMSO−d6)は、所望の構造に一致する。
合成例4:L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン ジメチルエステル、1Cの合成
合成例3の方法を用い、エステル化において、イソプロパノールの代わりにメタノールを用い、ジイソプロピルエステルと同様の方法でジメチルエステルを酸化し、精製のために溶解/凍結乾燥を3サイクル行うことによって、500 mg(0.98 mmol)のL−γ−グルタミル−S−(フェニルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシン塩酸塩から、L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジメチルエステル、1Cを塩酸塩として製造する。HPLCによる純度98%。
合成例5:L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、11Aの合成
アセトニトリル/水にアミン保護ペプチドを溶解し、約10倍過剰の重炭酸ナトリウムを加え、わずかに過剰の4−(ブロモメチル)ビフェニルを加え、次いで、完了まで反応物を窒素下に維持することによって、330 mgのN−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−L−システイニル−D−フェニルグリシンから、3ステップでL−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、11Aを塩酸塩として製造する。反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄し、水性相を分離し、塩酸でpH2−3に酸性化し、次いで、酢酸エチルで抽出する。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、濾過し、体積を減らして、N−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンを得る。アミン保護スルフィド約300 mgを2 mLの95:5 トリフルオロ酢酸:ジクロロメタンおよび1滴の水に溶解し、45℃にて一夜撹拌し、プレパラティブHPLCにより精製して、L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンを得る。前記合成例と同様の方法で、脱保護スルフィドを酸化して、L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンエステル、11Aを塩酸塩で得る。HPLCによる純度92%。
合成例6:L−γ−グルタミル−3−[(2−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、4Aの合成
合成例5の方法を用い、保護ペプチドのためのアルキル化剤として2−(ブロモメチル)−ビフェニルを用いて、500 mgのN−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−L−システイニル−D−フェニルグリシンから、3ステップでL−γ−グルタミル−3−[(2−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、4Aを塩酸塩として製造する。HPLCによる純度99%。
合成例7:L−γ−グルタミル−3−[(2−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジエチルエステル、4Bの合成
合成例3のように、エタノールおよびクロロトリメチルシランでエステル化し、次いで、ジエチルエステルを酸化することによって、143 mgのL−γ−グルタミル−S−(2−ビフェニルイルメチル)−L−システイニル−D−フェニルグリシン塩酸塩(実施例6における中間体)から、L−γ−グルタミル−3−[(2−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシンジメチルエステル、4Bを塩酸塩として製造する。HPLCによる純度94%。
合成例8:L−γ−グルタミル−3−[(2−ナフチルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、3Aの合成
合成例5の方法を用い、保護ペプチドのためのアルキル化剤として2−(ブロモメチル)ナフタレンを用いて、N−α−(ベンジルオキシカルボニル)−L−γ−グルタミル−L−システイニル−D−フェニルグリシンから、3ステップでL−γ−グルタミル−3−[(2−ナフチルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、3Aを塩酸塩として製造する。HPLCによる純度92%。
同様の方法によって、L−γ−グルタミル−3−[(5−ニトロフラン−2−イルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン、14Aを塩酸塩として製造する。HPLCによる純度99%
代表的本発明の第1の態様の化合物を下記第1表に示す:
第1表:本発明の第1の態様の二酸化合物
Figure 0004903717

Figure 0004903717
Figure 0004903717

#は、化合物のスルホニルイオウへのAの結合点を意味する。
前述の方法の1つによって、化合物1A−12Aのジエチルエステル1B−12Bを製造し、質量分析によって分析し、各化合物についてその質量に対応する質量ピーク(M/z)を得る。典型的には、M+H:プラスのイオン化またはM−H:マイナスのイオン化である。二酸1Aのジメチルおよびジイソプロピルエステル1Cおよび1Dも製造し、質量分析によって分析し、各化合物についてその質量に対応する質量ピークM+H:プラスのイオン化を得る。
当業者の技術および本明細書の開示にしたがって、当業者に公知の方法を用いて、本発明のその他の化合物を同様に製造することができる。
インビトロアッセイ実施例
これらの実施例は、予測的インビトロアッセイにおいて、本発明化合物(ならびに比較化合物TLK117およびTLK199の一方または他方および「ビニルスルホン」およびそのジエチルエステル)の効果を説明する。
EMD Biosciences、Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア、U.S.A.から、組換えヒトGST P1−1、A1−1およびM1−1イソ酵素ならびにウサギポリクローナル抗ヒトGSTπ抗体を入手した。Dakoctyomation、Inc.、カーピンテリア、カリフォルニア、U.S.A.から、マウス抗ヒトGSTπ抗体を入手した。Rockland Immunochemicals、Inc.、ギルバートビル、ペンシルバニア、U.S.A.から、IRDye800複合,親和性精製ヤギ抗ウサギIgG抗体を入手した。National Cancer Institute、ベセスダ、メリーランド、U.S.A.から、ヒトガン細胞系HL−60(前骨髄骨髄性白血病)を入手した。Invitrogen、Inc.、カールスバッド、カリフォルニア、U.S.A.から、RPMI 1−40 培地およびイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)を入手した。Promega Corporation、マディソン、ウィスコンシン、U.S.A.から、CellTiter−Glo(登録商標)アッセイキットを入手し、使用説明書にしたがって用いた。BD Biosciences、Inc.、サンホセ、カリフォルニア、U.S.A.から、フィコエリトリン複合抗CD11b抗体およびフィコエリトリン複合イソタイプコントロール抗体を入手した。StemCell Technologies、Inc.、バンクーバー、カナダから、MethoCult(登録商標)M3234メチルセルロース培地(ウシ胎児血清、ウシ血清アルブミン、rh インスリン、h トランスフェリン、2−メルカプトエタノールおよびL−グルタミンを補足した、メチルセルロースの2.5%IMDM溶液)を入手し、使用説明書にしたがって希釈した(1%メチルセルロース濃度まで)。
インビトロ実施例1:グルタチオンS−トランスフェラーゼイソ酵素の阻害
この実施例は、インビトロにおけるグルタチオンS−トランスフェラーゼイソ酵素GST P1−1、A1−1およびM1−1のインヒビターとしての本発明化合物の効果を説明する。TLK199(これらのアッセイで試験されたTLK117のジエチルエステル)が、ヒトにおける骨髄刺激活性および動物モデルにおける化学増強活性を示しているので、GST P1−1の阻害は、本発明の第3の態様の治療方法における効力の予測であるとみなされる。
アッセイ緩衝液(水溶液中、100 mM KH2PO4/K2HPO4、0.1 mM EDTA、pH 6.5)中、それぞれ最終濃度0.02、0.011および0.0083ユニット/mLで組換えヒトGST P1−1、A1−1およびM1−1イソ酵素を用いた[1ユニットは、20℃およびpH 6.5にて、1分間に1 μmolの1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(CDNB)を還元型グルタチオン(GSH)に結合させる酵素の量である]。100 mMの貯蔵水溶液としてGSHを製造し、100 mMの貯蔵エタノール溶液としてCDNPを製造し、両方をアッセイ緩衝液で希釈して、適切な濃度(最終濃度が評価する酵素の2×Kmになること)にした。試験化合物(二酸、化合物1A−12AおよびTLK117)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、DMSOで希釈して、アッセイに適した濃度(予測されるIC50(酵素活性を50%阻害する濃度である)に近い中間点を含む範囲にわたる8種類の濃度)にした。各アッセイのために、試験化合物およびGSHをイソ酵素に加えた。イソ酵素/化合物/GSH溶液にCDNB溶液を添加した後ただちに、SpectraMaxプレートリーダー(Molecular Devices、Inc.、サニーベール、カリフォルニア、U.S.A.)により340 nmにおける吸光度を5分間継続して記録した。試験化合物の種々の濃度における吸光度/時間曲線の勾配から、各化合物のGST阻害活性を計算した。アッセイは、二複製ウエルおよびDMSOコントロールにおいて、2%に維持した最終DMSO濃度で行った。これらのアッセイの結果を後記第2表に示す。
インビトロ実施例2:HL−60細胞における細胞毒性
この実施例は、インビトロにおけるHL−60ヒト白血病細胞系に対する本発明化合物の細胞毒性を説明する。
96ウエルプレートに、10%ウシ胎児血清(FBS)および1%L−グルタミンを補足したRPMI 1−40培地150 μL中の1500細胞/ウエルにて、対数期細胞を播種し、空気/5% CO2下、37℃にて4−5時間インキュベートした。試験化合物(ジエチルエステル、化合物1B−12BおよびTLK199)をDMSOに溶解し、連続的に希釈した(予測されるCC50に近い中間点を含む範囲にわたる8種類の濃度)。補足したRPMI 1−40培地中でさらに1:50希釈を行った後、50 μLの希釈化合物を加えて、最終DMSO濃度0.5%を達成した。次いで、細胞を72時間(倍加時間のおよそ3倍)インキュベートした。次いで、遠心分離(1200 rpm、20℃にて5分間)により細胞を集め、100 μLの培養上清を除去し、同量の CellTiter−Glo試薬と交換した。一定の撹拌をしながら室温にて10分間インキュベートした後、プレートから、照度計により、観察された発光に比例する生存細胞の数を読み取った。すべてのアッセイを三複製ウエルおよびDMSOコントロールで行った。発光/濃度曲線から、CC50(成長を50%阻害する濃度)を計算した。このアッセイの結果を後記第2表に示す。
インビトロ実施例3:GSTπ免疫沈降アッセイ
この実施例は、GSTπ免疫沈降を引き起こすことにおける本発明化合物の有利な効果を説明する。TLK199(これらのアッセイで試験されたTLK117のジエチルエステル)が、ヒトにおける骨髄刺激活性および動物モデルにおける化学増強活性を示しているので、これらの結果は、本発明の第3の態様の治療方法における効力の予測であるとみなされる。
T75フラスコに、10%ウシ胎児血清、1 mM グルタミンおよび20 μMゲンタマイシンを補足したRPMI−1−40培地20 mL中の6 × 105細胞/mLにて、HL−60細胞を播種し、5% CO2雰囲気中、37℃にて一夜培養した。0.1% DMSOを含む培養培地中、0.1% DMSOまたは20 μMの試験化合物(ジエチルエステル、化合物1B−12BおよびTLK199)で2時間細胞を処理した。処理に続いて、遠心分離により細胞を集め、リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した。細胞ペレットを1 mLの溶解緩衝液(50 mM Tris、pH 8.0、120 mM NaCl、0.5% NP−40界面活性剤、100 mM NaF;使用前にプロテアーゼおよびホスファターゼインヒビター(Roche Diagnostics、インディアナポリス、インディアナ、U.S.A.)を加えたもの)に再懸濁し、緩やかに撹拌しながら4℃にて30分間インキュベートした。13,000 rpmで10分間遠心分離することによって細胞溶解液を清澄化して、細胞残骸を除去した。免疫沈降のために、1 mg/mLの総タンパク質を含む細胞溶解液500 μLに、2.1 μgのマウスモノクローナル抗ヒトGSTπ抗体を加えた。4℃にて一夜インキュベートした後、混合物に30 μLのプロテインA/Gアガロースビーズ(Pierce、ロックフォード、IL)を加え、4℃にて1時間インキュベートした。次いで、遠心分離によりビーズを集め、細胞溶解液中で3回洗浄し、10 μLの非還元ドデシル硫酸リチウムサンプル緩衝液(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア、U.S.A.)に再懸濁した。懸濁したサンプルを95℃にて5分間加熱し、4−12%ゲルSDS−PAGE、次いで、ウサギポリクローナル抗ヒトGSTπ抗体およびIRDye 800複合,親和性精製ヤギ抗ウサギIgG抗体を用いるウエスタンブロット分析に付した。GSTπタンパク質のバンドを視覚化し、バンド強度をOdyssey赤外線走査装置(Li−Cor、リンカーン、ネブラスカ、U.S.A.)で定量した。化合物処理サンプルからのバンド強度をその対応するDMSOコントロールと比較し、阻害パーセントで表した。結果を後記第2表に示す。
第2表:本発明二酸化合物によるGSTイソ酵素阻害およびHL−60細胞毒性および本発明ジエチルエステル化合物のGSTπ免疫沈降
Figure 0004903717

NM−測定値なし*−ジエチルエステル作成せず
本発明の二酸化合物は、GST P1−1の強力なインヒビターであり、一般に、2つの他の人GSTイソ酵素であるGST A1−1およびGST M1−1よりもGST P1−1に対して選択的である。すべてのジエチルエステルが、HL−60細胞において良好な細胞毒性を示し、免疫沈降アッセイで測定されたように、多くが、GSTπの有意な阻害を示す。
いくつかの本発明のジエチルエステル化合物は、そのHL−60の細胞の分化を増強する能力についても試験した。これは、インビトロにおけるHL−60ヒト白血病細胞系の分化を刺激する本発明化合物の有利な効果を説明する。このアッセイにおいて分化を増強するTLK199が、ヒトにおける骨髄刺激活性を示しているので、これらの結果は、ヒトにおける骨髄刺激の効力の予測であるとみなされる。空気/5% CO2下、インビトロ実施例2で用いた補足RPMI 1−40培地2 mLおよび最終DMSO濃度0.1%でDMSOに溶解した試験化合物中、対数期細胞(1×105細胞/mL)を37℃にて24時間インキュベートした。遠心分離(1250 rpm、20℃にて5分間)により細胞を集め、氷冷した2%FBS含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)2 mLで洗浄し、次いで、10 μLのフィコエリトリン複合抗CD11b抗体または10 μLのフィコエリトリン複合イソタイプコントロール抗体で染色した。30分間氷上で静置した後、細胞を氷冷した2%FBS含有PBS2 mLに再懸濁した。遠心分離(1250 rpm、20℃にて5分間)により細胞を集め、0.4 mLの2%FBS含有PBSに再懸濁した。FACSCaliburアナライザー(BD Biosciences)を用いるフローサイトメトリーによって、顆粒球および単球のマーカーであるCD11bの特異的細胞表面発現を検出した。アッセイは三複製およびDMSOコントロールにて行った。分化の程度は、DMSOコントロールからの多様なシグナルとして表した。いくつかの試験化合物が、HL−60細胞の分化を増強した。
これらの結果およびこれらの化合物のTLK199との構造的類似性から、化合物、特にジエステルは、腫瘍細胞において化学療法剤の細胞毒性効果を増強するため、腫瘍細胞において選択的毒性を付与するため(これもGSTイソ酵素阻害という理由から)、骨髄細胞においてGM前駆体の産生を高めるため、骨髄の分化を刺激するため、化学療法剤の骨髄抑制作用を緩和するため、および骨髄において造血を調節するためにヒトにおいて治療的に作用することが予測される。
製剤例
この実施例は、本発明化合物、特にジエステルに適した製剤を説明する。
以下を合わせ、混合物を打錠して錠剤を形成するか、または硬ゼラチンカプセルに充填して、250 mgの化合物4Aを含む経口投与用固形製剤を製造する:
化合物4A 25.0% w/w
ステアリン酸マグネシムウム 0.5% w/w
デンプン 2.0% w/w
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.0% w/w
微結晶セルロース 71.5% w/w
錠剤は、要すれば、フィルム形成剤(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、色素(たとえば、二酸化チタン)および可塑剤(たとえば、ジエチルフタレート)の懸濁液を適用し、溶媒を蒸発させてフィルムを乾燥することによってコーティングしてもよい。
化合物をたとえば、医薬的に許容しうる塩として濃度1% w/vのリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、溶液を滅菌濾過し、次いで、滅菌容器に封入することによって、たとえば、250 mgの本発明化合物を含む静脈内投与用製剤を製造する。
あるいは、化合物を医薬的に許容しうる塩として、たとえば、上記リン酸緩衝生理食塩水のリン酸緩衝液などの適当な緩衝液に溶解し、この溶液を滅菌し、適当な滅菌バイアルに分配し、溶液を凍結乾燥して水を除去し、バイアルを密封することによって、凍結乾燥製剤を製造することができる。凍結乾燥製剤を、滅菌水を加えることによって戻し、戻した溶液を0.9%塩化ナトリウム静脈内注入液または5%デキストロース静脈内注入液などの溶液で、投与用にさらに希釈することができる。
あるいは、米国特許出願No.2003/0100511(たとえば、実施例4および5)の方法によって、該公報の化合物9の代わりに本発明化合物を用いて、リポソーム製剤を製造し、該公報に記載のように凍結乾燥することができる。
治療例
この実施例は、本発明化合物に適した治療方法を説明する。
前記製剤例に記載した静脈内製剤中の化合物は、初期用量50 mg/m2で骨髄異形成症候群を患う患者に30分間かけて静脈内投与し、この用量を100 mg/m2、200 mg/m2、400 mg/m2および600 mg/m2に増加させる。化合物は、3週間毎に5日間1日1回投与する。
本発明は、特定の態様および実施例とともに記載されているが、当業者には、専門技術および本発明の開示から、特別に開示された物質および方法の等価物もまた、本発明に適用することができること;およびこのような等価物が特許請求の範囲に包含されることが意図されることは明らかである。

Claims (14)

  1. 式:
    Figure 0004903717
    [式中、
    Zは、フェニル、クロロ、シアノフェニルもしくはピリジルで必要に応じて置換されたフェニル;またはZは、ナフチル、キノリルもしくはベンゾトリアゾリルである;および
    Yは、フェニル、4−クロロフェニルまたはシクロヘキシルである]
    で示される化合物;
    またはそのC1−10アルキル モノまたはジエステル;
    または該化合物(またはそのC1−10アルキル モノまたはジエステル)の塩。
  2. Yが、フェニルである請求項1に記載の化合物。
  3. Yが、4−クロロフェニルである請求項1に記載の化合物。
  4. Yが、シクロヘキシルである請求項1に記載の化合物。
  5. Zが、フェニルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
  6. Zが、クロロで置換されたフェニルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
  7. Zが、フェニル、シアノフェニルもしくはピリジルで置換されたフェニルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
  8. Zが、ナフチルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
  9. Zが、キノリルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
  10. Zが、ベンゾトリアゾリルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
  11. 二酸である請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
  12. C1−10アルキル モノまたはジエステルである請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
  13. L−γ−グルタミル−3−[(フェニルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−[(2−ナフチルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−[(2−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[(2’−シアノ−4−ビフェニルイル)メチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[(8−キノリル)メチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[4−(2−ピリジル)フェニルメチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[(1−イソキノリル)メチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[(1−メチルベンゾトリアゾール−5−イル)メチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−{[2−(1−ナフチル)エチル]スルホニル}−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−フェニルグリシン;
    L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−シクロヘキシルグリシン、および;
    L−γ−グルタミル−3−[(4−ビフェニルイルメチル)スルホニル]−L−アラニル−D−(4−クロロフェニル)グリシン
    およびそのジエチルエステル;
    およびその化合物(およびそのジエチルエステル)の塩から撰ばれる請求項1に記載の化合物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物および賦形剤を含む医薬組成物。
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