本明細書において説明する多能のコーティングアプローチは、比較的に緻密なコーティングの直接堆積と組み合わせて光線からのエネルギーを用いて駆動される反応を用いて反応性流れを使用して得られる利点を利用する。特に、光線によって駆動される反応を用いる流れからの反応性堆積(reactive deposition)は、広範囲の組成物のために高い堆積速度を実現する能力を有し、同時に、コーティング形態及び材料特性の両方に関して高い均一性の能力を有する。比較的に緻密なコーティングの直接堆積によって、それに続く処理を簡略化することができ、他のプロセスによって得るのが困難かもしれないコーティング特性を実現することができる。例えば、直接堆積は、基板の融解または変形温度よりも高い流れ温度を有する化合物のコーティングの堆積を可能にする。所望のコーティング微細構造及び他の特性を実現することもまた、直接堆積によって可能になる。特に、緻密化材料の直接形成は、結晶性材料の堆積のための別個の利点に対処したものであり、ここで、特性の例えば結晶粒度、粒子配向、集合組織及びエピタキシーは、コーティングのための特定の所望の特性に適合するように選択できる。アモルファス材料を用いるコーティングの場合、膜密度の高い程度の制御を実現することができる。組成物に関する高速堆積の能力及び多能性が理由となって、こうしたコーティングアプローチは、燃料電池構成要素からエレクトロニクスまでの一連の用途に適しており、同時に、費用効果的である。コーティングプロセスを使用して高い均一性を実現する能力は、パターン形成して、例えば、複雑な構造及び/または集積された装置を形成することができる高品質構造を形成することに対処したものである。より少ない後に続く処理を含む緻密コーティングの直接高速堆積によって、プロセスを非常に効果的にすることができる。
本アプローチは、生成物蒸気またはクラスターは、緻密材料として基板表面の上に直接に堆積して緻密コーティングを形成できるという理解に基づく。従って、多分、コーティングを緻密化/圧密化するために任意のさらなる処理を適用せずに所望の緻密コーティングを直接に形成するようにコーティング条件を選択できるが、追加の処理を依然として実行して、所望のコーティング特性を得ることができる。特に、コーティング材料を、十分に緻密化した材料の約65%密度から最高で十分な密度までの密度で堆積できる。幾つかの具体例においては、得られた緻密コーティングは、ガス吸収/吸着に関して無孔質材料である。このプロセスは、両方を本明細書において参考のために引用する"Coating Formation By Reactive Deposition"と称するBi et al.に付与された同時係属の米国特許出願第09/715,935号、及び"Coating Formation By Reactive Deposition"と称するBi et al.に付与された同第10/414,443号において説明されている光反応性堆積(light reactive deposition)とは異なる。光反応性堆積においては、粒子は、反応性流れ内部で形成され、十分に緻密化した材料と比較して比較的に低い密度を有する煤または雪状のもの、例えば、粉末コーティングとして基板表面の上に堆積する。しかし、光反応性緻密堆積(light reactive dense deposition)は、光反応性堆積のために開発された反応物送達技術を使用して、広範囲の化学組成物を緻密コーティングとして堆積できる。
本明細書において説明するプロセスの場合、粉末コーティングとして堆積しないが、その代わりにより緻密な材料として堆積する生成物蒸気または生成物クラスターを直接に堆積するために、反応性流れ内部の反応条件を選択できることが発見された。下記により十分に説明するように、例えば、反応物/生成物流れパラメータ、光反応帯域に対する基板の位置、不活性希釈剤ガスの相対的濃度及び他の反応パラメータの適切な選択によって、反応パラメータを調節して、より緻密な材料コーティングを堆積することができる。理論によって限定されることを望むわけではないが、より緻密なコーティングは、安定な粒子に形成されなかった生成物蒸気または小さな生成物クラスターの直接堆積から生じることができると考えられている。基板表面は、核形成及び不均一膜成長に必要な条件を提供できる。しかしながら、高温が理由となって基板表面と接触した時に材料へと融合する多分準安定な粒子が形成されているということを除外できない。粒子とクラスターとの間の区別は、ある程度任意としてよいが、一般に粒子は、平均直径少なくとも約1ナノメートルを有し、その結果、粒子は少なくとも約100個の原子を含む構造とみなすことができる。正確な機構にかかわらず、表面の上に堆積する物質は、融合して、一次粒度に関連した特定可能な特徴を有することなく緻密コーティングを形成するという意味で融合するものである。
本アプローチ(光反応性緻密堆積)及び光反応性堆積の両方は、レーザー化学気相成長法またはその他同様なものと呼ばれる他の光/レーザーに基づく堆積アプローチと異なる。レーザー化学気相成長法においては、レーザーは、チャンバ内部でバックグラウンドガスを反応させて、表面に拡散する生成物組成物を形成する。レーザー化学気相成長法は、例えば、本明細書において参考のために引用する"Apparatus For Laser-Induced Chemical Vapor Deposition"と称するRocheに付与された米国特許第4,581,248号においてさらに説明されている。それに反して、光反応性緻密堆積及び光反応性堆積においては、生成物は反応物流れ中で形成され、得られた生成物流れは基板表面に指向され、その結果、流れは表面と交差する。流れを基板に指向することによって、かなりより高い堆積速度を実現することができ、コーティング組成物、密度及び他の特性を、広範囲の材料にわたって制御できる。にもかかわらず、コーティング特性は、均一性及び平滑度に関して化学気相成長法に匹敵することができる。また、光反応性緻密堆積においては、基板は一般に堆積プロセスの最中に流れに対して移動して、生成物流れから基板表面全体またはこの一部分をコーティングする。光反応性堆積によって形成されたコーティングの非常に高い品質は、本明細書において参考のために引用する"High Rate Deposition of High Quality Optical Coatings"と称するBi et al.に付与された同時係属の米国特許出願第10/854,019号においてさらに説明されているが、光反応性緻密堆積のための本アプローチとは異なり、光反応性堆積は、緻密コーティングを形成するためにコーティングの堆積に続いて圧密化工程を含む。
流れる反応系においては、照射ビーム(例えば、光線)によって駆動される反応性堆積は、反応帯域に最も近い照射ビームと交差して、表面の上への生成物組成物の堆積のために構成された生成物流れを形成する流れる反応物流れを有する反応器を含む。幾つかの具体例においては、反応器装置、例えば、光反応性堆積装置は、延在する反応物入口を含み、その結果、反応物/生成物流れを形成する流れるシート内部で粒子の流れが生じる。一般に、反応物流れを照射と交差するように方向づけし、その結果、反応物流れの大部分または全ては照射と交差し、その結果、高収率を得る。延在する反応物入口を使用して、粒子の線または縞を高スループットで少なくとも部分的に基板の上に同時に堆積できる。生成物特性及び/または堆積した緻密コーティングの対応する均一性の制御を犠牲にすることなく高い生成速度を維持できる高反応物スループットを得る仕方が発見された。しかしながら、幾つかの具体例においては、より低い堆積速度を、所望のコーティング形態を表面に得ることの利益となるように使用でき、というのはエピタキシャル成長または他のプロセスは、より遅い堆積速度によって容易になることがあるからである。
特に、下記にさらに説明するように、細長い反応物入口を有する反応器中で、生成速度を少なくとも約50グラム/時間(g/h)の単数または複数の範囲内で容易に実現できる。対応する高いコーティング速度も実現することができる。こうした速度を使用して、広範囲の組成物及び高いコーティング均一性を有する緻密コーティングを実現できる。
光反応性緻密堆積は、光反応性堆積の能力を、緻密コーティングを反応性流れから直接に堆積できる領域に拡張する。光反応性緻密堆積及び光反応性堆積の両方は、レーザー熱分解の場合に一般的な反応物送達及び輪郭がはっきりし、限定された光反応帯域の特徴を取り入れる。下記にさらに説明するように、レーザー熱分解の反応物送達の能力は、広範囲の材料組成物の合成に対処したものである。限定された光反応帯域は、非常に均一な生成物流れ及び反応条件の多能の制御に対処したものである。
粒子の生成のために、レーザー熱分解装置は、後に続く使用のために粒子を集めるためのコレクター系を含んだ。本明細書において説明する直接コーティングアプローチは、フィルター材料からの粒子の後に続く分離のための多孔質フィルター表面の集まりとは異なる。光反応緻密堆積のための本アプローチは、光反応性堆積と同様に、粒子の別個の集まりのない、基板の上への直接コーティングを含む。従って、粒子は、基板表面のコーティングを形成する前に粒子の集まりとして決して分離しない。
光反応性緻密堆積においては、反応条件及び堆積パラメータを選択して、融合種を基板の上に堆積することができる。融合種は、例えば、蒸気反応生成物、クラスター、または準安定な粒子とすることができる。融合種の際立った特徴は、これは、基板の表面で同様な種と組み合わさって比較的に緻密なコーティングを形成するという点である。緻密コーティングは一般に、下にある一次粒度を反映する特徴を有しない。従って、融合種は一般に、粉末コーティングを形成するために表面に集まる粒子の特性に対応する構造、例えば微粒子特徴または細孔を示す粉末コーティングを形成しない。基板は、多孔質または無孔質、可撓性または剛性、平坦または湾曲しているとすることができる。幾つかの具体例においては、基板を、堆積の最中または前に加熱して熱応力を低減して、緻密層への粒子の融合を促進するための後に続く融解プロセスの前に、堆積の最中の粒子の圧縮を促進することができる。光反応性緻密堆積とは異なり、光反応性堆積は、粉末コーティングの形成に関する。
反応物流れを一般に、局在化した反応帯域を通して指向して、基板に向かって指向される生成物流れを生成する。反応帯域は、反応物流れと照射、すなわち、光、ビームとの交差を含む。考察の対象となっている幾つかの具体例においては、反応物入口は1次元において細長くて、反応物の流れるシートを形成する。得られた生成物流れは、平らなコーティングスプレーとして働く。延在する反応物入口を使用して、コーティング材料の線を同時に堆積できる。また、生成物特性または堆積均一性の制御を犠牲にすることなく、より高い生成物生成速度を維持できる。従って、材料の線を堆積することによって、コーティングプロセスをより迅速に実行することができる。反応帯域を、一般に周囲雰囲気から分離されたコーティングチャンバ中に包囲することができる。ポンプをコーティングチャンバに接続して、全流れ及び適切な圧力を系を通して維持することができる。チャンバ中への反応物及び不活性希釈剤の流れは、流れを確立する。一般に、コーティングチャンバは周囲環境から分離されているが、コーティング環境は周囲環境に対して開くことができることは、幾つかの具体例である。
コーティングプロセスを実行するために、生成物流れを遮るように基板を置く。生成物種は表面に付着し、一方、残りの流れ及び任意の残りの生成物種は流れによって運び去られる。光線は、反応物を送達するノズルからの開口部の近くの反応帯域で反応物と交差することができる。コーティングすべき基板表面を、反応帯域の直ぐ向こうに置くことができる。反応帯域とノズルとの間の及び反応帯域と基板との間の距離を、調節可能にすることができる。適切な距離を実験的に評価して、特定の反応パラメータを用いて所望の緻密コーティングを形成することができる。一般に、こうした具体例においては、生成物組成物を、生成した後間もなく、生成物粒子の形成及びクエンチングの前に堆積する。
初めのコーティングプロセスの後に、比較的に緻密な層は、コーティング済み表面に位置する。希望するなら、同じ及び/または異なるコーティング材料の追加の層を逐次加えることができる。また、下記にさらに説明するように、特定の層またはこの一部分をパターン形成できる。幾つかの具体例においては、緻密コーティングを有する基板を加熱して、コーティングをアニール及び/またはさらに緻密化して所望のコーティング層にすることができる。コーティングは比較的に緻密に形成されるので、アニーリング及び/またはさらなる緻密化を、材料及び材料の対応する粒子のための融解、焼結または流れ温度よりもかなりより低い温度で実行することができる。同様に、加熱を一般に、粉末コーティングを緻密層に圧密化するのに必要なもの未満の時間実行することができる。加熱温度は低いので、加熱及び冷却に続いて、一般にアモルファス材料として堆積した材料はアモルファスのままであり、結晶性材料として堆積した材料は多結晶性材料または単結晶材料のままである。
光反応性流れプロセス、例えばレーザー熱分解、光反応性堆積及び光反応性緻密堆積は、光反応帯域において光線と交差して、光反応帯域から下流で生成物流れを形成する限定された流れる反応性流れという共通の特徴を共有する。光反応性流れプロセスにおいては、反応物流れは、反応物を非常に急速な速度で加熱する強い光線、例えばレーザー光線によって熱分解する。レーザー光線は便利なエネルギー源であるが、他の強い焦点を合わせた光源を光反応性堆積において使用できる。強い光源は反応を駆動し、化学反応自体からの熱によって駆動される燃焼反応とは異なる。光源からのエネルギーは、たとえ反応が発熱性でも反応を駆動し、というのは光エネルギーは、小さな反応帯域内部での反応の完了をもたらすからである。光反応性堆積は、熱力学的平衡条件下で形成するのが困難な材料の相の形成に対処することができる。
照射に基づく反応性堆積は、流れる反応物流れの反応を駆動して生成物組成物を形成するための照射に基づくプロセスの特徴を、直接コーティングプロセス中に取り入れる。反応性流れプロセスが強い照射、例えば、光、ビームを取り入れて、コーティングではなく粒子の生成のために反応を駆動する場合、流れ中で例えばサブミクロン粒子を用いた粉末の生成のための照射に基づくプロセスは、レーザー熱分解として周知である。特に、広範囲の反応前駆体を使用して、ガス、蒸気及び/またはエアロゾル形態の組成物を有する反応物流れを生じることができ、広範囲の非常に均一な生成物粒子をレーザー熱分解によって効果的に生成できる。
所望のコーティング材料の生成のための光反応性緻密堆積の成功裏の適用の基本的な特徴は、適切な化学的前駆体及び照射吸収体を含む反応物流れの生成である。化学的前駆体は、十分な照射吸収体とすることができ、その結果、別個の照射吸収体を必要としない。化学的前駆体は、コーティング材料として堆積する生成物組成物のための原子成分を供給する。反応条件を、所望の組成/化学量論及び構造、例えば、結晶性またはアモルファスを有する生成物材料を生成するように変化させることができる。下記にさらに説明するように、レーザー熱分解は、広く様々な生成物粒子の生成のために成功裏に適用されてきた。類推によって、こうした同じ組成物を光反応性緻密堆積を使用して生成することができる。
特に、反応物流れは一般に適切な相対量の前駆体組成物を含んで、単数または複数の所望の組成物を有するコーティングを生成する。他の追加の反応物を使用して、反応物流れ中の酸化/還元環境を調節することができる。同様に、ドープした材料の光反応性緻密堆積による形成のために、反応物流れは、ホスト組成物、ガラスまたは結晶質を形成するための前駆体、及び、所望により、ドーパント前駆体を含むことができる。ドープした材料のこうした反応性アプローチを用いた形成は、ドーパントを材料中に導入するための一般的な工業的アプローチよりも少ない処理工程を含むことができる。
レーザー熱分解のために開発された反応物送達アプローチを、光反応性緻密堆積のために適合させることができる。特に、広範囲の反応前駆体を、ガス状/蒸気及び/またはエアロゾル形態で使用でき、広範囲の非常に均一な生成物組成物を、緻密コーティングの形態での堆積のために効果的に生成できる。特に、光反応性緻密堆積を使用して、所望により単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤及び/または単数または複数の複雑な組成物を含む材料の非常に均一なコーティングを形成できる。便宜上、この用途を、照射駆動プロセス、光駆動プロセス及びレーザー駆動プロセス、例えばレーザー熱分解と互換性があるように言及する。すなわち、本明細書において使用するレーザー熱分解、光反応性堆積及び光反応性緻密堆積は一般に、特に断らない限り、流れ中の全ての対応する照射に基づく合成プロセス及び照射に基づくコーティングアプローチを指す。
光反応性緻密堆積は、基板表面をコーティングするための生成物組成物の生成のためのかなりの利点を有する。まず、光反応性緻密堆積プロセスは、大きな範囲の生成物組成物の生成において使用できる。従って、コーティングの組成物を、広範囲の様式で調節できる。その上、光反応性緻密堆積は、コーティング材料を高い生成速度で生成できる。高い生成速度を維持すると同時に、均一な厚さ及び均一な組成を有する平滑なコーティングを形成することができる。
幾つかの具体例においては、基板、一般に無孔質基板、及び生成物流れを互いに対して移動させて表面にコーティングを生じる。相対的運動の速度を選択して、所望のコーティング厚さを提供できる。この相対的運動を、基板をステージ、コンベヤーまたはその他同様なものの表面にのせることによって成し遂げることができる。ステージまたはコンベヤーにモーターを付け、プログラムして、選択された速度で移動させることができる。ステージまたはコンベヤーの移動は、基板の表面にわたって生成物流れを迅速に通過させて、例えば、表面にわたって均一な緻密コーティングを堆積できる。他にまたは追加の具体例においては、例えば反応物ノズルを移動させることによって固定してよい基板上を、生成物流れを迅速に通過させる。適切な光学的要素をノズルと共に移動させて、生成物流れを迅速に通過させることができる。幾つかの具体例においては、生成物流れ及び基板の両方を、逐次にまたは同時に移動させることができる。
幾つかの具体例においては、装置の内部構成要素を周囲雰囲気に対して開くことなく多数の基板をコーティングするために、系を構成する。例えば、複数の基板を、ステージ、コンベヤーまたはその他同様なものの表面にのせることがきる。1つの基板のコーティングの完了に続いて、ステージはコーティング済み基板をじゃまにならない所に進め、次にコーティングすべき別の基板を位置決めする。次の基板の位置決めの最中に、反応物流れ及び/または光線をしばらく停止することができ、または、基板が堆積のための位置にない時に生成した生成物組成物の適度の量の廃棄物で生成物生成を続けることができる。
緻密化コーティングの直接堆積が理由となって、コーティングは、堆積に続いて材料の流れ温度を超えて加熱しなくてよい。従って、より低い堆積後処理温度を使用できる。こうした状況では、粉末コーティングとして堆積した場合、コーティング材料を流すために使用されると思われるより高い処理温度に耐えられない可能性がある基板を使用できる。基板に適したより広範囲の材料を考えると、基板は、対応して、より広い範囲の機械的及び/または物理的性質を有することができる。例えば、基板は、無機またはケイ素に基づく材料とすることができる。加えて、基板は可撓性とすることができる。可撓性基板をコーティングプロセスの最中に支持体表面に置いて、これらを、固定した形状で保持することができる。特定の例として、可撓性ポリマーを望ましい材料でコーティングすることができる。
表面粗さを生じ得る少なくとも2つの機構が存在する。まず、流れの乱れまたは他の変化は、堆積の不均一性を生じ得る。加えて、反応パラメータ、例えば反応物流れ、チャンバ圧力または光強度の変動は、基板表面にわたってコーティング特性の変化をもたらし得る。こうした変動は、均一性の体系的な変化またはよりランダムな変動が理由となって表面粗さを生じ得る。従って、プロセス安定性を制御して、基板表面にわたってコーティング材料を均一に堆積することは有用となることができる。
堆積プロセスの適切な制御は、基板の表面にわたって及び同等の条件下でコーティングした基板同士の間の平均コーティング厚さに関して、コーティング厚さの非常に高い均一性をもたらすことができる。特に、基板は、1センチメートル縁部を除外して約20%以下の基板にわたる変化を有するコーティング厚さを有することができる。同様に、複数の基板を、2センチメートル縁部を除外して複数の基板の間で平均コーティング厚さの標準偏差約20%以下でコーティングすることができる。加えて、干渉計法によって面積約480×736ミクロンにわたって評価した場合に、コーティングの表面粗さを、約10nmRa(根二乗平均)未満及び約10nmRq(平均)未満であると評価することができる。従って、コーティングは、火炎加水分解堆積によって得られると考えられるものよりも平滑であることができ、化学気相成長法によって得られる平滑度にほぼ匹敵する。光反応性緻密堆積によって適用されるコーティングを、高品質コーティングを形成するために使用される他のコーティング技術と比較して比較的に高い堆積速度で堆積できる。
光反応性緻密堆積は、良質のコーティングを非常に高い速度で生成できる。同時に、反応物組成物、反応の化学及び反応条件、例えば、反応帯域中の有効な温度を広範囲にわたって、例えばほぼ室温(例えば、20℃)〜約3000℃の単数または複数の範囲内で連続的に制御するために使用することができる光強度を制御することによって、光反応性緻密堆積は、極めて広範囲の組成物を有するコーティングを生じることができる。
緻密コーティングによって形成される基板表面の個別の装置または構造の生成のために、様々なパターン形成アプローチを使用できる。堆積の最中のコーティングのパターン形成を、下記にさらに説明する。その上、集積回路製造からの従来のアプローチ、例えばフォトリソグラフィ及びドライエッチングを使用して、堆積に続いてコーティングをパターン形成することができる。パターン形成の前または後に、コーティングを熱処理して、コーティングをアニールすることができる。
様々な化学量論及び/または非化学量論的な組成を有する緻密コーティングを、光反応性緻密堆積によって生成できる。同様に、堆積した材料を、例えば、アモルファス構造を含む様々な単数または複数の結晶構造を有して形成することができる。特に、光反応性堆積を使用して、ガラス、すなわち、アモルファス材料、及び結晶性材料(単結晶性または多結晶性)の非常に均一なコーティングを、所望により、例えば、化学量論的な及び/または添加剤/ドーパント成分の複雑なブレンドを含む添加剤/ドーパントを用いて形成できる。考察の対象となっている結晶性材料は、例えば、高誘電体材料を含む。適切な光学的材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、テルル化物ガラス、リン酸塩(P2O5)ガラス、InP、リチウムニオベート、これらの組合せ及びこれらのドープした組成物を含む。ガラスが一般に光学的用途において使用されてきたが、結晶性酸化アルミニウム、例えば、サファイア、及び結晶性SiO2、例えば、石英は、特定の光波長で光学的用途に適しているかもしれない。
光反応性緻密堆積によって適用されるコーティングは、様々な用途のために有用である。例えば、酸化鉄コーティング及び/または炭化鉄コーティングは、電磁遮蔽のために有効となることができる。こうした材料は、本明細書において参考のために引用する"Electromagnetic Shielding"と称するKambe et al.に付与された米国特許第5,938,979号において説明されている。薄い酸化チタン、酸化亜鉛及び他の金属組成物は、紫外光を優先的に吸収し、光触媒的となることができる。従って、こうしたUV吸収体は、自己清浄型窓のような製品において、及びUVフィルターとして有用となることができる。光触媒コーティングは、本明細書において参考のために引用する"Ultraviolet Light Block And Photocatalytic Materials"と称するKambe et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許第6,099,798号において説明されている。
幾つかの用途においては、粒子を使用して、基板の表面に光学的装置を形成する。例えば、高シリカガラスを使用して、ケイ素または他の表面の光導波路、光ファイバーガイド及び光学的装置ガイドを形成できる。光導波路は、これを取り囲む材料と異なる屈折率を有する必要がある。異なる組成及び対応する屈折率を有する層を堆積できる。ドーパントを導入して、屈折率の変化を達成することができる。
特定の光学的装置を形成するために、粒子の1つ以上の層を表面の上に堆積する。表面と接触する層は、下部被覆層である。コア層を下部被覆層の上に置き、上部被覆層をコア層の上に置く。1具体例においては、下部被覆層及び上部被覆層をSiO2から形成し、コア層をドープしたSiO2から形成する。層の複合体を膜と呼ぶことができる。例えば、フォトリソグラフィ及び他の適切なパターン形成アプローチを使用して、コア層をエッチングして所望の光学的装置を形成することができる。また、本明細書において参考のために引用する"Method For Fabricating Hybrid Optical Integrated Circuit"と称するKawachi et al.に付与された米国特許第4,735,677号を参照されたい。
燃料電池用途においては、光反応性緻密堆積を使用して、燃料電池構成要素の一部分、特定の燃料電池構成要素、例えば二極性プレート/相互接続、ガラス/ガラス−セラミックシール、電極または電解質、または複数の燃料電池構成要素及び/または燃料電池積み重ねを形成できる。燃料電池用途のための適切な材料は、特定の機能に依存して結晶性またはアモルファスとしてよい。燃料電池構成要素の形成のためのコーティングプロセスは、本明細書において参考のために引用する"Reactive Deposition for Electrochemical Cell Production"と称するHorne et al.に付与された同時係属の米国特許出願第10/854,931号においてさらに説明されている。
生成物流れを通る基板の追加の迅速な通過によって、多数の層を形成することができる。各コーティング層は高い均一性及び平滑度を有することができるので、多数の層を積み重ねることができ、同時に、層状構造に関する適切な制御を維持し、その結果、幾つかの具体例においては、よく制御された構造を形成する能力に構造上の変化が悪影響を及ぼすことなく、装置を層状構造全体にわたって形成できる。組成は層同士の間で変化し得、すなわち、構造の平面内部で構造の平面及び/または層の一部分と直交して、所望の構造を形成する。従って、多分他のパターン形成アプローチを用いる光反応性緻密堆積を使用して、選択的に変化する組成を有する材料の複雑な変化を有する複雑な構造を形成することが可能である。その上、本明細書において説明するアプローチを使用して、こうした複雑なコーティング構造を高い速度で形成することができる。
効果的なアプローチが、所望の構造の形成のためのコーティングのパターン形成のために開発された。例えば、フォトリトグラフィ及び/または他のエッチングアプローチを使用してコーティング済み基板をエッチングすることによって、特性に影響する組成または他の特性に関するコーティング材料のパターン形成を、堆積の最中及び/または堆積に続いて実行することができる。他の具体例においては、個別のマスクを使用して、コーティング材料の堆積を制御する。個別のマスクは、コーティングのパターン形成のための効果的及び正確なアプローチを提供できる。化学気相成長法及び物理蒸着法の場合、材料の層は、拡散機構を用いて原子または分子レベルから蓄積され、これは、堆積される材料のマスクの下でのブロックされた領域への移動を防ぐために原子または分子レベルでのマスクの結合を必要とする。従って、“マスク”は、マスクに対応する独立した自己支持構造を有しない表面のコーティングであり、“マスク”は、“マスク”に沿って原子レベルでの接触を用いて表面に化学的にまたは物理的に結合する。それに反して、流れに基づく堆積の場合、流れはコーティング構造を表面拡散よりも迅速に蓄積し、その結果、別の平坦な表面に対して置かれた平坦な表面を有するマスクは十分な接触を提供して、マスクを通過するかなりの粒子移動を防ぐ。個別のマスクは、表面に結合しない無傷の自己支持構造を有し、その結果、マスクはコーティングされた表面から無傷で除去できる。従って、本明細書における個別のマスクアプローチは、フォトリソグラフィを気相成長法アプローチのために適合させた先のマスキングアプローチと異なる。
同様のパターン形成アプローチもまた光反応性堆積において使用でき、その結果、同様の構造を2つのアプローチを使用して形成することができる。光反応性緻密堆積は、圧密化を一般にコーティングに関して実行しないという利点を有する。光反応性堆積に基づいて、多層光学的構造は、本明細書において参考のために引用する2001年10月26日に出願され米国を指定した"Multilayered Optical Structures"と称するBi et al.に付与され同時係属であり共通に譲渡されたPCT出願PCT/US01/45762においてさらに説明されている。その上、光反応性堆積を光学的構造の完全な三次元集積のために適合させて、三次元の組成変化を利用することができる。従って、モノリシック光学的構造を1つ以上の層内部に及び層同士の間に完全な集積で形成して、複雑な機能性の能力を有する非常に小型の光学的構造を形成することができる。三次元構造の形成は、本明細書において参考のために引用する"Three Dimensional Engineering of Optical Structures"と称するBi et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第10/027,906号においてさらに説明されている。
反応物流れ内部での生成物合成
光反応性緻密堆積は、緻密コーティング層の直接堆積に対処したものである。光反応性緻密堆積は、レーザー熱分解及び光反応性堆積と同様に光反応性流れプロセスである。こうした光反応性流れプロセスは、生成物形成に関して共通の特徴を共有するが、これらは、光反応帯域から出る反応性流れの取り扱いが異なる。レーザー熱分解は、単独でまたは追加の処理を用いた広範囲の粒子組成物及び構造を有するサブミクロン/ナノスケール粒子の生成のための貴重なツールであることを証明した。同様に、光反応性堆積は、コーティングとしての基板の上の粒子の堆積のために有効であることを示した。下記に詳細に説明する反応物送達アプローチを、流れる反応物系中で、例えば、照射源、例えば、光源を用いて緻密コーティングを生成するために適合させることができる。
流れる反応物系は一般に、流れを反応チャンバを通して指向する反応物送達装置を含む。反応物流れの反応は、反応チャンバ中で起きる。反応帯域は、反応チャンバ内部で狭い領域中に局在化してもしなくてもよい。反応を駆動するための照射ビーム、例えば、光線の使用は、生成物流れの高い均一性を生じる局在化した反応帯域をもたらすことができる。反応帯域を過ぎて、流れは、生成物組成物、未反応の反応物、反応副産物及び不活性ガスを含む。生成物流れは、生成物組成物の少なくとも一部分を流れから緻密コーティングとして集める堆積表面へと続くことができる。
反応の間の流れへの反応物の連続的な供給及び流れからの生成物組成物の除去は、流れる反応物系内部での反応プロセスを特徴付けるが、反応及び/または堆積を、例えば、基板を位置決めするために、反応物組成を変更するために、または、他の処理の考慮すべき事柄及びその他同様なもののために適切な間隔で中断できる。従って、一般に、反応物送達装置に接続した入口ノズルから一般にポンプを通して接続したベントへと通過する流れが存在する。流れは概念上、光反応帯域、光反応帯域から上流の反応物流れ及び光反応帯域から下流の生成物流れに分けることができる。こうした概念上の帯域は一般に、鮮明に規定された境界を有しないかもしれないが、これは、生成物が存在して生成物流れ/流れを形成し、反応前には生成物は反応物流れ/流れ中に存在しないある箇所では明確である。
光反応性緻密堆積は、レーザー熱分解内部での粒子生成のために及び光反応性堆積内部での粉末コーティングの生成のために使用される幾つかの生成物組成物の特徴を取り入れることができる。特に、一連の粒子組成物及び構造を有する粒子を形成する多能性を、組成物及び構造の同等の範囲を有する光反応性緻密堆積による緻密コーティングの形成のために適合させることができる。一般に、流れる反応物系内部の生成物組成物を、反応チャンバ内部で基板の上に緻密コーティングとして堆積できる。
レーザー熱分解は、照射によって規定される狭い反応領域から出た後に生成物粒子の迅速なクエンチングを伴う強い照射、例えば、光によって駆動される流れる化学反応のための標準的な用語になった。名称は、しかしながら、非レーザー源、例えば強いインコヒーレント光または他の照射ビームからの照射をレーザーと置き換えることができるという意味で誤った名称である。また、反応は、熱による熱分解の意味では熱分解ではない。レーザー熱分解反応は、反応物の発熱性の燃焼によって熱的に駆動されるのみではない。実際に、幾つかの具体例においては、レーザー熱分解反応は、可視光放出が反応から観察されない条件下で行うことができ、熱分解火炎とは際立って異なる。光反応性緻密堆積、並びに光反応性堆積は、生成物組成物合成のためのレーザー熱分解と匹敵するプロセスを含むが、流れの幾つかの特性を変更して、緻密コーティング堆積に対処してよい。
反応条件は、レーザー熱分解におけるように、光反応性堆積によって生成する粒子の品質を決定することができる。反応条件の調節を同様に使用して、光反応性緻密堆積内部の生成物組成物を調節できるが、こうしたプロセスの場合、生成物流れを粒子生成の前に基板に指向する。所望の特性を有する組成物及び対応する緻密コーティングを生成するために、光反応性緻密堆積のための反応条件を比較的正確に制御できる。特に、生成物流れ特性は、流れから形成された緻密コーティングの特性に影響を与えるが、他のファクター、例えば基板の温度及びコーティングパラメータも緻密コーティング特性に影響を与える。
例えば、反応チャンバ圧力、流量、反応物の組成及び濃度、照射強度、照射エネルギー/波長、反応流れ中の不活性希釈剤ガスまたは複数のガスのタイプ及び濃度、反応物流れの温度は、例えば、反応帯域中の反応物/生成物の飛行時間及び生成物流れ中で生成物組成物に再結合する原子種の利用可能性を変更することによって、生成物流れの組成及び他の特性に影響することができる。従って、特定の具体例においては、特定の反応条件を制御して、所望の生成物流れ特性を生じることができる。特定のタイプの生成物流れを生成するための適切な反応条件は一般に、特定の装置の設計に依存する。特定の装置において、選択された緻密コーティングを生成するために使用する特定の条件を、適切な実験的な調節と共に本明細書において略述する一般的な原理に基づいて決定できる。その上、反応条件と得られた組成物との間の関係に関する幾つかの一般的な観察を行うことができる。
光出力を増大させることは、反応領域における上昇した反応温度をもたらす。反応領域におけるより高い温度は、ほぼ熱平衡を有するプロセスを用いて得ることができないかもしれないより高いエネルギー相の生成を促進する傾向がある。同様に、チャンバ圧力を増大させることもまた、より高いエネルギー相の生成を促進する傾向がある。また、反応物流れ中の酸素源または他の二次反応物源として役立つ反応物の濃度を増大させることは、増大した量の酸素または他の二次反応物を有する粒子の生成を促進する。
反応物流れの速度は、粒子形成を避けながらコーティングを基板表面に指向して緻密コーティングを堆積する時間に逆に関連する。従って、反応物流れ速度がより大きい場合、基板を光反応帯域からより遠くに位置決めすることができ、同時に、依然として緻密コーティングを得る。コーティングパラメータを決定する際の別の重要なファクターは、生成物流れ内部の生成物組成物の濃度である。生成物流れ内部の凝縮する生成物組成物の全濃度並びに相対的濃度を低減することは、粒子形成の前のより長い時間をもたらし、その結果、基板をある程度光反応帯域からより遠くに置くことができ、同時に、依然として緻密コーティングを得ることができる。凝縮しない、例えば、不活性の組成物を用いて希釈することによって、または、凝縮する生成物対凝縮しない組成物の固定した比を用いて圧力を変化させることによって、凝縮する生成物の相対的濃度を制御することができ、圧力の低減は一般に低減した全濃度を生じる。また、異なる生成物組成物は、生成物流れ内部で異なる速度で粒子を形成する傾向を有する。以上のことをまとめてみると、コーティングパラメータを選択して、融合種が基板表面と交差することを確実にすることができる。
考察の対象となっている材料は、アモルファス材料、結晶性材料及びこれらの組合せを含む。アモルファス材料は、結晶性材料において見い出されるものと非常に同様であることができる短距離秩序を有する。結晶性材料においては、短距離秩序は、結晶性及びアモルファス材料を区別する長距離秩序の基礎的構成要素を構成する。すなわち、アモルファス材料において見い出される短距離秩序基礎的構成要素の並進対称は、結晶格子を規定する長距離秩序を生成する。例えば、シリカガラスは、不規則な結合角で一緒に結合する(SiO4)4−四面体で構成されるアモルファス材料である。四面体の規則性は短距離秩序を提供するが、結合角の不規則性は長距離秩序を妨げる。それに反して、石英は、規則的な結合角で一緒に結合して、結晶格子をもたらす長距離秩序を形成する同じ(SiO4)4−四面体で構成される結晶性シリカ材料である。一般に、結晶形態は、類似したアモルファス形態よりも低いエネルギー状態である。これは、長距離秩序の形成に向かう推進力を提供する。すなわち、十分な原子移動度及び時間を与えられると、長距離秩序を形成することができる。光反応性緻密堆積においては、例えば基板表面の性質を含むコーティングパラメータは、緻密コーティングの結晶性またはアモルファス構造並びにコーティングの組成に影響を与え得る。
所望の組成物を反応プロセスにおいて形成するために、1つ以上の前駆体は、所望の組成物を形成する1つ以上の金属/メタロイド元素並びに任意の二次元素を供給する。二次元素は、例えば、得られる生成物組成物中に取り入れることができる非金属/メタロイド元素、例えば炭素、窒素、ケイ素、リン、セレン及び硫黄を含むと思われる。反応物流れは一般に、ホスト材料を形成するための所望の金属及び、加えてまたは他に、メタロイド元素並びに任意の選択された二次元素及び、所望により、所望の組成物を有する生成物粒子を生成するための適切な比率の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を含むと思われる。反応物流れの組成を単数または複数の反応条件と共に調節して、組成及び構造に関して所望の生成物材料を生じることができる。特定の反応物及び反応条件に基づいて、生成物組成物は、反応物流れと同じ比率の金属/メタロイド元素を有しないかもしれず、というのは元素は、生成物中への取り入れの様々な効率、すなわち、未反応の材料に対する収率を有するかもしれないからである。しかしながら、各元素の取り入れの量は、反応物流れ中のその元素の量の関数であり、取り入れの効率を本明細書における教示に基づいて実験的に評価して、所望の組成物を得ることができる。本明細書において説明する照射駆動反応のための反応物ノズルの設計を、高反応物流れを用いた高収率のために設計する。その上、単数または複数の追加の適切な前駆体は、任意の所望のドーパント/単数または複数の添加剤元素を供給できる。
メタロイドは、金属と非金属との間に位置するかまたはこれらを含んだ化学的性質を示す元素である。メタロイド元素は、ケイ素、ホウ素、ヒ素、アンチモン、及びテルルを含む。アスタチンも、多分メタロイドとみなすことができるが、これは半減期約8時間を有する最長寿命同位体を有して高度に放射性である。Ib、IIb、IIIb、IVb、Vb、VIb、VIIb及びVIIIb族からの元素を遷移金属と呼ぶ。I族のアルカリ金属、II族のアルカリ土類金属及び遷移金属に加えて、他の金属は、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス及びポロニウムを含む。非金属/メタロイド元素は、水素、貴ガス、炭素、窒素、酸素、フッ素、リン、硫黄、塩素、セレン、臭素、及びヨウ素を含む。
光反応性緻密堆積を、ガス/蒸気相反応物を用いて実行することができる。多くの前駆体組成物、例えば金属/メタロイド前駆体組成物を、反応チャンバ中にガス/蒸気として送達できる。ガス状送達のために適切な前駆体組成物は一般に、妥当な蒸気圧、すなわち、所望の量の前駆体ガス/蒸気が反応物流れに入るのに十分な蒸気圧を有する組成物を含む。希望するなら、液体または固体前駆体組成物を保持する容器を加熱して(冷却して)、前駆体の蒸気圧を増大させる(減少する)ことができる。固体前駆体を一般に加熱して、十分な蒸気圧を生成する。キャリヤガスを、液体前駆体を通して通気して、所望の量の前駆体蒸気の送達を促進することができる。同様に、キャリヤガスを、固体前駆体上を通過させて、前駆体蒸気の送達を促進することができる。他にまたは加えて、液体前駆体をフラッシュ蒸発器に指向して、組成物を選択された蒸気圧で供給することができる。非ガス状前駆体の流れを制御するためのフラッシュ蒸発器の使用は、反応チャンバ中への前駆体送達に関する高レベルの制御を提供する。
しかしながら、ガス/蒸気相反応物のみの使用は、便利に使用できる前駆体組成物のタイプに関して困難になり得る。従って、流れる光駆動反応のために、前駆体、例えば金属/メタロイド前駆体を含むエアロゾルを反応チャンバ中に導入するために、技術が開発された。流れる反応系のための改良されたエアロゾル送達装置は、本明細書において参考のために引用する"Reactant Delivery Apparatuses"と称するGardner et al.に付与された米国特許第6,193,936号においてさらに説明されている。こうした反応物送達系を、光反応性緻密堆積のために適合させることができる。幾つかの具体例においては、エアロゾルをガス流れ中に混入させ、これは、単数または複数の不活性ガス及び/または単数または複数のガス状反応物を含むことができる。
エアロゾル送達装置を使用して、組成物を溶媒中に溶解させることによって固体前駆体組成物を送達できる。他に、粉末状前駆体組成物を、エアロゾル送達のために液体/溶媒中に分散させることができる。液体前駆体組成物を、ニート液体、多数の液体分散系または液体溶液からのエアロゾルとして送達できる。エアロゾル反応物を使用して、かなりの反応物スループットを得ることができる。溶媒/分散剤を選択して、得られる溶液/分散系の所望の特性を実現することができる。適切な溶媒/分散剤は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、他の有機溶媒及びこれらの混合物を含む。溶媒は、得られたコーティングが所望の純度レベルを有するように、所望のレベルの純度を有するべきである。幾つかの溶媒、例えばイソプロピルアルコールは、CO2レーザーからの赤外光の重要な吸収体であり、その結果、CO2レーザーを光源として使用する場合、追加の光吸収組成物は反応物流れ内部に必要ないかもしれない。
エアロゾル送達のための前駆体組成物を一般に、約0.1モルを超える単数または複数の範囲内の濃度で溶液中に溶解させる。一般に、溶液中の前駆体の濃度を増大させることは、反応チャンバを通る反応物のスループットを増大させる。しかしながら、濃度が増大するにつれて溶液はより粘稠になり得、その結果、エアロゾルは所望のものより大きなサイズを有する小滴を有するかもしれない。従って、溶液濃度の選択は、適切な溶液濃度の選択におけるファクターのバランスを含み得る。
前駆体を存在する溶媒と共にエアロゾルとして送達する場合、溶媒は一般に、反応チャンバ中の照射(例えば、光)ビームによって迅速に蒸発することができ、その結果、気相反応が起きることができる。得られた粒子は一般に高度に多孔質ではなく、溶媒を迅速に追い払うことができないエアロゾルに基づく他のアプローチとは異なる。従って、流れる反応系の基本的な特徴は、蒸気反応物のみを用いる反応への代替物または添加としてのエアロゾルの存在によって変化しないことができる。にもかかわらず、反応条件は、エアロゾルの存在によって影響される。光反応性堆積のためのエアロゾル反応物の使用は、本明細書において参考のために引用する"Optical Materials And Optical Structures"と称するHorne et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第10/099,597号において説明されており、こうしたアプローチを、光反応性緻密堆積を実行するために適合させることができる。
複数の金属/メタロイド元素を含む具体例の場合、金属/メタロイド元素を全て蒸気として、全てエアロゾルとしてまたはこれらの任意の組合せとして送達できる。複数の金属/メタロイド元素をエアロゾルとして送達する場合、前駆体を、単一のエアロゾルとしての反応物流れ中への送達のために、単一の溶媒/分散剤内部に溶解させる/分散させることができる。他に、複数の金属/メタロイド元素を、別個にエアロゾルへと形成される複数の溶液/分散系内部に送達できる。便利な前駆体が共通の溶媒/分散剤中に容易に可溶/分散可能ではない場合、複数のエアロゾルの生成は助けになることができる。共通のノズルを通した反応チャンバ中への送達のために、複数のエアロゾルを、共通のガス流れ中に導入することができる。他に、反応物は、反応帯域に入る前に反応チャンバ内部で混合するように、反応チャンバ中へのエアロゾル及び/または蒸気反応物の別個の送達のために複数の反応物入口を使用できる。
加えて、非常に純粋な材料の生成のために、蒸気及びエアロゾル反応物の組合せを使用することが望ましいかもしれない。幾つかの具体例においては、蒸気/ガス反応物を一般に、エアロゾルを送達される組成物のために低コストで容易に入手可能なものよりも高い純度で供給できる。例えば、非常に純粋なケイ素を、容易に蒸発可能な形態で、例えば四塩化ケイ素で送達できる。同時に、幾つかの元素、特に希土類金属は、蒸気形態で便利に送達できない。その上、幾つかの具体例においては、生成物組成物のための材料の大部分を蒸気/ガス形態で送達でき、一方、他の元素をエアロゾルの形態で送達する。他の様式の中でも、単一の反応物入口または複数の入口を通した送達に続いて、蒸気及びエアロゾルを反応のために組み合わせることができる。
生成物組成物は、幾つかの具体例においては、1つ以上の非−(金属/メタロイド)元素をさらに含むことができる。例えば、考察の対象となっている幾つかの組成物は酸化物である。従って、酸素源も反応物流れ中に存在するべきである。酸素源は、これが1つ以上の酸素原子を含むかまたは二次反応物が酸素を供給できる場合、金属/メタロイド前駆体自体とすることができる。反応器中の条件は、酸化物材料を生成するのに十分に酸化的であるべきである。
特に、二次反応物を幾つかの具体例において使用して、反応チャンバ内部の酸化/還元条件を変更する及び/または非金属/メタロイド元素またはこの一部分を反応生成物に提供することができる。酸化物の形成のための酸素源として役立つ適切な二次反応物は、例えば、O2、CO、N2O、H2O、CO2、O3及びその他同様なもの及びこれらの混合物を含む。分子状酸素を空気として供給できる。幾つかの具体例においては、金属/メタロイド前駆体組成物は酸素を含み、その結果、生成物粒子中の酸素の全てまたは一部分は、金属/メタロイド前駆体によって提供される。同様に、溶媒/分散剤としてエアロゾル送達のために使用される液体は同様に、二次反応物、例えば、酸素を反応に提供できる。すなわち、1つ以上の金属/メタロイド前駆体が酸素を含む場合及び/または溶媒/分散剤が酸素を含む場合、別個の二次反応物、例えば蒸気反応物は、生成物組成物のために酸素を供給するために必要ないかもしれない。
1具体例においては、二次反応物組成物は、照射反応帯域に入る前に金属/単数または複数のメタロイド前駆体とかなり反応するべきではなく、というのはこれは、粒子の形成、より均一でないコーティング堆積をもたらし得、及び/または入口ノズルを損傷し得るからである。同様に、複数の金属/メタロイド前駆体を使用する場合、こうした前駆体は、照射反応帯域に入る前にかなり反応するべきではない。反応物が自発的に反応性である場合、金属/メタロイド前駆体及び二次反応物及び/または異なる金属/メタロイド前駆体を、光線に到達する直前に組み合わせられるように、別個の反応物入口中で反応チャンバ中に送達できる。
光反応性緻密堆積を、レーザーまたは他の強い照射源を使用して様々な光学的周波数で照射を用いて実行することができる。便利な光源は、電磁スペクトルの赤外部分で稼働するが、他の波長、例えばスペクトルの可視及び赤外領域を使用できる。エキシマレーザーを紫外源として使用できる。CO2レーザーは、赤外光の特に有用な源である。反応物流れ中に含むための単数または複数の赤外吸収体は、例えば、C2H4、イソプロピルアルコール、NH3、SF6、SiH4及びO3を含む。O3は、赤外吸収体及び酸素源の両方として働くことができる。単数または複数の照射吸収体、例えば単数または複数の赤外吸収体は、照射ビームからエネルギーを吸収し、エネルギーを他の反応物に分配して熱分解を駆動することができる。
一般に、照射ビーム、例えば、光線から吸収されたエネルギーは、単数または複数の制御された条件下で発熱反応によって熱が一般に生じると思われる速度の何倍もの非常に大きな速度で温度を上昇させる。プロセスは一般に非平衡条件を含むが、温度は、吸収領域中のエネルギーに基づいてほぼ説明できる。レーザー熱分解プロセス及び光反応性堆積プロセスと同様の光反応性緻密堆積プロセスは、エネルギー源は反応を開始するが、反応は、発熱反応によって放たれるエネルギーによって駆動される燃焼反応器中のプロセスと質的に異なる。従って、粒子の集まりのための光駆動プロセスをレーザー熱分解と呼ぶが、これは従来の熱分解ではなく、というのは反応は、反応によって放たれるエネルギーによってではなく、照射ビームから吸収されたエネルギーによって駆動されるからである。特に、少しでも反応物流れを照射ビームと反応物流れとの交差からノズルに向かって後ろへ下げた場合、反応物の自発的な反応は一般に大幅に進行しない。必要ならば、反応帯域は制限されたままであるように、流れを修正できる。
不活性遮蔽ガスを使用して、反応物チャンバ構成要素と接触する反応物及び生成物分子の量を低減することができる。不活性ガスも、キャリヤガスとして及び/または反応調整剤として反応物流れ中に導入することができる。適切な不活性ガスは一般に、例えば、Ar、He及びN2を含む。
本明細書において説明する反応物送達構成に基づく生成物生成速度は、少なくとも約50g/hの単数または複数の範囲内の、他の具体例においては少なくとも約100g/hの単数または複数の範囲内の、さらなる具体例においては少なくとも約250g/hの単数または複数の範囲内の、追加の具体例においては少なくとも約1キログラム/時間(kg/h)の単数または複数の範囲内の及び一般に上昇して最高少なくとも約10kg/hまでの単数または複数の範囲内の生成物生成速度を生じることができる。一部分は緻密コーティング中に取り入れられる生成物組成物中に取り入れられる流れ中の金属/メタロイド原子核の一部分によって評価して、一般に、こうした高い生成速度を実現することができ、同時に、比較的に高い反応収率を得る。一般に、反応生成物収率は、制限的反応物に基づいて少なくとも約30%の単数または複数の範囲内、他の具体例においては少なくとも約50%の単数または複数の範囲内、さらなる具体例においては少なくとも約65%の単数または複数の範囲内、他の具体例においては少なくとも約80%の単数または複数の範囲内及び追加の具体例においては一般に反応物流れ中の金属/メタロイド原子核である制限的反応物に基づいて、少なくとも約95%の単数または複数の範囲内とすることができる。当業者であれば、こうした特定の値の範囲内の生成物生成速度及び収率の追加の値は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。
生成物堆積
光反応性緻密堆積においては、生成物組成物の非常に均一な流れは、コーティングすべき基板に向かって指向される。得られたコーティングを緻密コーティングとして基板にわたって形成することができ、または選択された構造に従ってパターン形成できる。加えて、緻密コーティングをそれに続いて処理、例えば熱処理またはエッチングによって修正できる。コーティングパラメータを変化させて、所望のコーティング特性を得ることができる。
光反応性緻密堆積は、強い照射源、例えば、光源を使用して、流れる反応物流れからの所望の組成物の合成を駆動するコーティングアプローチである。光反応性緻密堆積は、同じ化学組成及び構造の十分に緻密化した材料の密度と比較して、比較的に緻密なコーティング層の堆積をもたらすことができる。一般に、基板表面に到達する流れ内部での生成物組成物は、蒸気生成物、生成物クラスターまたは準安定な粒子となることができ、これらは、その準安定な性質が理由となって基板の表面で融合する。生成物組成物は、表面との相互作用の前に十分に形成されていないことさえも可能であり、その結果、反応性中間体の組合せの完了は基板表面の環境中で起きる。一般に、正確な機構は周知ではないかもしれず、というのは反応物特性及びコーティングの性質のみを観察できるからである。緻密コーティングが形成されるので、生成物流れの特定の特性を、基板表面との相互作用時に生成物組成物の融合する性質に関して推論することができる。
光反応性緻密堆積は驚くべきことに、2つの異なるコーティング領域の間のギャップを補う。特に、光反応性緻密堆積は、化学気相成長法アプローチの利点を流れる反応器堆積アプローチの利点と組み合わせる。驚くべきことに、光反応性堆積アプローチは、得られるコーティングの高品質及び高い均一性を維持できる。特に、光反応性緻密堆積は、緻密コーティングを直接に形成することから化学気相成長法を用いて利用できる簡略化された処理を取り入れる。しかしながら、光反応性緻密堆積は、密度を一連の比較的に高い密度にわたって制御できるという点で、化学気相成長法にまさる利点を有する。さらに重要なことに、光反応性緻密堆積は、均一性及び特性に関してコーティングの品質を犠牲にすることなく、非常に高い速度で生成物をコーティングに送達できる。
一方、光反応性緻密堆積は、驚くべきことに、光反応性堆積のような流れアプローチを緻密コーティング堆積の形式に拡張する。光反応性堆積、火炎加水分解及びその他同様なものにおいては、比較的に低い密度を有する非常に多孔質の構造である煤または雪状のものとして粒子を堆積する。粒子は、流れ内部の核形成及びクエンチングプロセスから生じる。光反応性緻密堆積の場合、粒子形成プロセスは、全コーティングプロセスにとって基本的とみなされてきた。それに反して、化学気相成長法アプローチは、生成物材料をコーティング表面の上に堆積するための拡散タイプまたは凝縮プロセスに依拠する。従って、コーティングプロセスの様々な他の概念上のモデルは、光反応性緻密堆積を使用した緻密コーティングの直接堆積の概念を生じない。他のアプローチは、本プロセスから離れて教示している。にもかかわらず、このような緻密コーティングは、適切に修正した光反応性堆積装置において観察されてきた。
他の流れ方法と比較して、光反応性緻密堆積は、結晶性材料の堆積に関して追加の利点を提供する。粒子の堆積の場合、組成物の短距離秩序は、コーティングにおける相互作用の前に粒子において固定される。表面の粒子同士の間の相互作用は一般に、粒子をその隣にあるものに対して配列するのに十分なエネルギーをもっていない。従って全構造は、結晶性粒子の場合でさえもいかなる長距離秩序も有しない。流れ中の反応パラメータは、粒子はアモルファスまたは結晶性であるかどうかを決定する。光反応性堆積によって形成された粉末コーティングを緻密化するための圧密化プロセスは、材料の配列を変更するために有効かもしれないし有効でないかもしれない。
光反応性緻密堆積においては、得られたコーティングは、アモルファス(短距離秩序のみ)、多結晶性(中間距離秩序(intermediate range order))または単結晶性(長距離秩序)であり得る。光反応性緻密堆積において形成する様々なコーティング材料に影響を与えるパラメータは、粒子堆積におけるパラメータと非常に異なる。光反応性緻密堆積においては、生成物組成物は、融合形態、すなわち、取り囲む組成物と強く相互作用する形態で基板表面に到達する。配列することは、材料の化学組成自体によってかなり影響され、というのは特定の材料は、アモルファス材料よりも結晶性材料を形成するはるかに強い動的な傾向を有し、逆もまた同様であるからであるが、結晶性材料が平衡で安定な形態かもしれない。その上、基板構造はコーティング構造に影響を与え得る。特に、基板表面のキンクまたは他の不規則性は、天然であろうと人工的に引き起こされようと、コーティングを形成する時に生成物材料の結晶化を促進し得る。コーティングプロセスを調節して、結晶性材料のエピタキシャルまたは他の単結晶成長を促進することができる。蒸気相からの拡散プロセスは一般に堆積中に含まれないので、結晶形成に適した条件下での適切な材料の堆積は、化学気相成長法またはその他同様なものを用いるよりも実現するのが実際に容易かもしれない。特に、堆積速度、生成物流れ速度、不活性ガス濃度、基板の温度、流れの温度、光反応帯域に対する基板の相対的方向づけ及び他の反応パラメータを実験的に調節して、得られるコーティングの結晶化度特性を選択できる。
重要な問題は、非緻密コーティングを形成する光反応性堆積形態プロセスを区別するプロセス特徴の特定を含む。レーザー熱分解を光反応性堆積に拡大する際に、粒子形成は比較的に迅速であり、その結果、非緻密コーティングの直接堆積はプロセスに固有であると考えられていた。しかしながら、コーティングパラメータを調節して、緻密コーティングの直接堆積をもたらすことができることが発見された。特に、1つ以上のコーティングパラメータを調節して、緻密コーティングの直接コーティングを促進することができた。特に、基板を光反応帯域のより近くに置くことができ、光強度を増大させることができ、流れ速度を増大させることができ及び/または生成物流れ内部の生成物の相対的または全濃度を低減することができる。他のコーティングパラメータもコーティングプロセスの性質に影響することがある。任意の特定の反応器装置のためのコーティングパラメータに関するこうした予測的な傾向と共に、反応パラメータを本明細書における教示に基づいて調節して、緻密コーティング堆積を実行することができる。
光反応性緻密堆積は、反応生成物が後に基板の上に堆積する反応帯域で照射ビームと交差する流れる反応物流れを含む。レーザー熱分解において生成した粒子はそれに続く使用のために集められるが、光反応性緻密堆積においては、得られた生成物組成物は、緻密コーティングが形成される基板表面に直接に指向する。他の光に基づく緻密コーティングアプローチとは異なり、光反応性緻密堆積は、コーティングプロセスを実行するために拡散または凝縮プロセスに依拠するのではなく、制限された流れを基板表面に指向することを含む。制限された流れの使用は、全てのまたはかなりの比率の流れが光線を通過することに対処したものである。基板へのこの指向された流れは、高収率で劇的に増大した堆積速度をもたらすことができ、同時に、驚くべきことに、得られるコーティングの改良された均一性に対処する。
非常に均一な粒子の生成を生じることができるレーザー熱分解の特性は、コーティング形成に関連した処理特徴に対する適切な配慮を用いた高い均一性を有するコーティングの生成において対応して実現できる。特に、輪郭のはっきりしたレーザー反応帯域は、均一なコーティング特性をもたらす均一な生成物流れをもたらすことができる。光線の形状を制御して、非常に均一な加熱及び流れ条件下で生成物組成物を生成できる。均一な生成物組成物配合物は、均一な堆積及び再現性のある堆積をもたらす。得られたコーティングの均一性は、機械的性質のみならず材料の機能特性、例えば触媒特性に関することができる。反応物送達のためのフラッシュ蒸発器の使用は、化学的送達の均一性を改良することができ、これは、生成物流れ及び対応するコーティングの均一性をさらに改良する。その上、層を形成するために基板を2次元で走査することを必要とする他の方法とは異なり、細長い反応物入口は、生成物流れを通る1または数回の通過を用いた均一なコーティング層の堆積に対処したものであり、その結果、多数の縞を一緒にとじる必要はない。
光反応性堆積においては、基板のコーティングを反応チャンバ内部で実行することができる。反応物送達系を、様々な組成を有するコーティング材料の生成のために構成することができる。従って、広範囲のコーティング材料を基板表面に形成することができる。基板は反応帯域からの流れを遮り、生成物組成物をその表面の上に直接に捕捉する。上記に言及したように、コーティングパラメータを適切に調節して、緻密コーティングをもたらすことができる。
工業的な量の粒子の生成を促進する細長い反応物入口を取り入れたレーザー熱分解装置設計が開発された。特に、反応チャンバ及び反応物入口は光線に沿ってかなり細長くて、反応物及び生成物のスループットの増大に対処したものである。光線を細長い反応物流れに沿って方向づけすることによって、生成物粒子のシートが生じる。この設計は、本明細書において参考のために引用する"Efficient Production of Particles by Chemical Reaction"と称するBi et al.に付与された米国特許第5,958,348号において説明されている。
この反応物送達装置設計をコーティングプロセスのために適合させる際に、細長い反応物入口のサイズを、コーティングすべき基板のサイズに基づいて選択できる。幾つかの具体例においては、反応物入口は、直径または基板にわたる他の寸法、例えば幅よりもある程度大きく、その結果、全基板を生成物流れを通る1回の通過においてコーティングすることができる。一般に、細長い反応物入口を有し流れる反応物を用いる反応器装置を設計して、チャンバ壁の汚染を低減し、生成容量を増大させ、資源を効果的に利用する。チャンバ設計が理由となって、細長い反応チャンバは、堆積の最中に性能特性を損なうことなく、反応物及び生成物の増大したスループットに対処することができる。チャンバの任意の死容積は、未反応の化合物及び/または反応生成物によって汚染され得る。その上、遮蔽ガスの適切な流れは、反応物及び生成物を反応チャンバを通る流れ内部に制限することができる。反応物の高スループットは、照射(例えば、光)エネルギーを効果的に利用する。
ガス状/蒸気反応物及び/またはエアロゾル反応物の送達を、下記にさらに説明するように、細長い反応チャンバ設計のために適合させることができる。工業的容量のレーザー熱分解装置のための追加の具体例及び他の適切な特徴は、本明細書において参考のために引用する"Particle Production Apparatus"と称するMosso et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/362,631号において説明されている。レーザー熱分解による粉末の工業的生成のためのこうした設計を、光反応性緻密堆積による高品質コーティング材料の迅速なコーティングのために適合させることができる。
光反応性緻密堆積の場合、多数のファクター(例えば、利用する出発物質、所望の反応生成物、反応条件、堆積効率、及びその他同様なもの、及びこれらの組合せ)に依存して、生成物組成物の生成及び/または堆積の速度を実質的に変化させることができる。従って、1具体例においては、生成物生成の速度を、約5グラム/時間の反応生成物〜約10キログラム/時間の所望の反応生成物の単数または複数の範囲内で変化させることができる。特に、本明細書において説明する装置を使用して、コーティングを、最高少なくとも約10キログラム/時間(kg/hr)までの単数または複数の範囲内の、他の具体例においては少なくとも約1kg/hrの単数または複数の範囲内の生成物生成速度で、さらなる具体例においては少なくとも約250グラム/時間(g/hr)の単数または複数の範囲内のより低い生成速度を用いて及び追加の具体例においては少なくとも約50g/hrの単数または複数の範囲内で成し遂げることができる。当業者であれば、こうした明白な生成速度の間に位置する生成速度は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。生成物生成の模範的な速度(生成されるグラム/時間の単位で)は、約5以上、10、50、100、250、500、1000、2500、5000、または10000の単数または複数の範囲内を含む。
生じた生成物組成物の全てが基板表面に堆積するわけではない。一般に、堆積効率は、生成物流れのシートに対して基板を移動させることに基づく具体例の場合、生成物流れを通る基板の相対的速度に依存する。堆積効率に影響する他のファクターは、例えば、生成物組成物、流れの温度、基板温度並びに流れに対する基板の位置及び方向づけを含む。相対的基板運動の中程度の速度で、約15以上〜約20%の単数または複数の範囲内のコーティング効率を実現することができ、すなわち生成した生成物組成物の約15〜約20%は基板表面に堆積する。常用の最適化は、この堆積効率をさらに増大させることができる。生成物流れを通る基板のより遅い相対的運動で、少なくとも約40%の単数または複数の範囲内の及び追加の具体例においては80%以上もの単数または複数の範囲内の堆積効率を実現することができる。一般に、実現可能な生成物生成速度及び堆積効率を用いて、堆積速度を、少なくとも約5g/hrの単数または複数の範囲内で、他の具体例においては少なくとも約25g/hrの単数または複数の範囲内で、さらなる具体例においては少なくとも約100g/hr〜約5kg/hrの単数または複数の範囲内で及びさらに他の具体例においては約250g/hr〜約2.5kg/hrの単数または複数の範囲内で得ることができる。当業者であれば、こうした明白な速度の間の堆積速度は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。生成物堆積の模範的な速度(堆積したグラム/時間の単位で)は、約0.1以上、0.5、1、5、10、25、50、100、250、500、1000、2500、または5000の単数または複数の範囲内を含む。
他にまたは加えて、本発明は、コーティング済み基板のための所望の仕様に依存して、互いに対する基板及び生成物流れの移動の速度を実質的に変化させることができることを提供する。従って、1具体例においては、速度を絶対目盛で測定でき、少なくとも約0.001インチ/秒の単数または複数の範囲内で、他の具体例においては少なくとも約0.05インチ/秒、さらなる具体例においては、約1インチ/秒〜約12インチ/秒、またはさらに変化させることができる。当業者であれば、追加の範囲及びこうした明白な範囲内の下位範囲は予測されており、本開示内に包含されることは認識できよう。さらに、別の具体例においては、速度をコーティングされる基板に関する尺度で測定でき、約0.05枚の基板/分〜約1枚の基板/秒の単数または複数の範囲内で変化させることができる。
中程度のウェーハ/基板サイズの場合、基板表面の少なくとも実質的な部分を十分な厚さでコーティングして、2ミクロン/分の単数または複数の範囲内の、他の具体例においては少なくとも約5ミクロン/分の単数または複数の範囲内の、幾つかの具体例においては少なくとも約20ミクロン/分の単数または複数の範囲内の、及びさらなる具体例においては少なくとも約100ミクロン/分の単数または複数の範囲内の速度で緻密コーティングを形成することができる。当業者であれば、こうした明白な範囲内の追加の範囲は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。
光反応性緻密堆積によって形成されたコーティングは一般に、比較的に高い密度を有する。本明細書において使用する緻密コーティングは、十分に緻密化したバルク形態のコーティング材料の十分な密度の少なくとも約65%、さらなる具体例においては少なくとも約75%、追加の具体例においては少なくとも約85%、及び他の具体例においては少なくとも約95%である密度を有するコーティングを指す。また、幾つかの具体例においては、光反応性緻密堆積を用いて直接に適用された緻密コーティングは、堆積したままでほぼ十分な、すなわち、100%の密度を有する。緻密コーティングは多孔質でも多孔質でなくてもよい。一般に、多孔質の性質の存在は、コーティングの密度と相関する。任意のガスが材料中に吸収されるかを決定することによって、コーティング多孔性をガスを用いて評価することができる。微粒子のためのBET測定プロセスを、このために適合させることができる。他に、固体表面の多孔性の測定のための別のアプローチは、例えば、本明細書において参考のために引用する"Miniporopermeameter"と称するHeller et al.に付与された米国特許第5,373,727号において説明されている。
生成物流れのシートを使用する適切な具体例の場合、相対的基板運動の選択された速度は一般に、所望のコーティング均一性を得ながらの所望の速度での基板の移動によって制限される、選択された堆積速度及び所望のコーティング厚さの関数である。基板を生成物流れを通して迅速に通過させる具体例においては、基板を固定したノズルに対して移動させることができ、及び/またはノズルを固定した基板に対して移動させることができる。光反応性緻密堆積を用いて実現可能な高い堆積速度が理由となって、極めて高いコーティング速度を容易に実現できる。光反応性緻密堆積によるこうしたコーティング速度は、同じコーティング均一性で競合する方法によって実現可能な速度よりも劇的に速い。特に、嵩密度の約60%の粉末密度を仮定して、生成物生成速度約10kg/hrで、堆積効率わずか約7.5%でさえも、約1秒で約5ミクロンの緻密コーティングの厚さで8インチ円形ウェーハをコーティングできる。当業者は、簡単な幾何学上の原理を用いて、以下の変数のうちの任意の1つを、コーティング速度、堆積速度、所望の厚さ及び基板表面のコーティングの密度の群からの他の変数のうちの1つ以上に基づいて計算できる。
特に、反応チャンバ内部で生成物流れを通して基板を移動させるアクチュエータアームに基づく装置設計は、本明細書において説明するように、8インチウェーハ全体を約1秒以下でコーティングする速度で基板をまっすぐに移動させることができる。一般に、実現可能な迅速な速度を利用する特に考察の対象となっている具体例においては、基板を、少なくとも約0.1センチメートル/秒(cm/s)の単数または複数の範囲内の、追加の具体例においては少なくとも約0.5cm/sの単数または複数の範囲内の、他の具体例においては少なくとも約1cm/sの単数または複数の範囲内の、さらなる具体例においては約2cm/s〜約30cm/sの単数または複数の範囲内の、及び他の具体例においては約5cm/s〜約30cm/sの単数または複数の範囲内の速度でコーティングする。当業者であれば、こうした明白な速度同士の間に位置するコーティング速度は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。
その上、迅速な生成速度を、複数のコーティングを形成するために有利に使用でき、コーティング同士の間の追加の処理はあってもなくてもよい。各コーティングは、層全体または層の一部分を被覆することができる。組成を層内部または層同士の間で変化させることができる。層同士の間で組成をかなり変化させる場合、コーティングを始動する前に生成物流れが安定化するために数秒待つことが望ましいかもしれない。
生成物流れのシートを生じるための細長い反応チャンバ100の設計を、図1に概略で示す。このチャンバを、他の反応器構成要素に関して簡単のためにいかなるコーティング構成要素も示さずに示し、関連コーティング具体例に関して下記にさらに説明するようにコーティングのために適合させることができる。反応物入口102は主チャンバ104に至る。反応物入口102は一般に、主チャンバ104の形状に適合する。主チャンバ104は、未堆積の生成物材料、任意の未反応のガス及び不活性ガスの除去のために反応物/生成物流れに沿って出口106を含む。遮蔽ガス入口108は、反応物入口102の両側に位置する。遮蔽ガス入口を使用して、反応物流れの側面の表面を一面に覆う不活性ガスを形成して、チャンバ壁と反応物または生成物との間の接触を妨げる。
細長い反応チャンバ104及び反応物入口102の寸法を、非常に効率のよい生成物組成物生成のために設計できる。反応物入口102のための妥当な寸法は、数キロワットの範囲内の出力を有するCO2レーザーと共に使用する場合、約5mm〜約1メートルである。反応帯域は、反応チャンバ内部の反応物流れと光線経路との交差の近くに位置する。
管状区画110、112は、主チャンバ104から延在する。管状区画110、112はそれぞれ窓114、116を保持して、反応チャンバ100を通る光線通路118を規定する。管状区画110、112は、管状区画110、112中への不活性ガスの導入のために不活性ガス入口120、122を含むことができる。
反応物入口102は一般に、反応物送達系に接続する。図2を参照すると、反応物送達装置の具体例130は、液体、固体または気体とすることができる前駆体化合物の源132を含む。液体または固体反応物の場合、1つ以上のキャリヤガス源134からの任意のキャリヤガスを前駆体源132中に導入して、反応物の送達を促進することができる。前駆体源132は、液体保持容器、固体前駆体送達装置または他の適切な容器とすることができる。キャリヤガス源134からのキャリヤガスは、例えば、赤外吸収体、不活性ガスまたはこれらの混合物とすることができる。他の具体例においては、前駆体源132は、やむを得ずキャリヤガスを使用することなく選択された蒸気圧の前駆体を送達できるフラッシュ蒸発器である。フラッシュ蒸発器は、選択された分圧の前駆体蒸気を反応チャンバ中に送達でき、適切な場合に、反応チャンバに至る他の成分は加熱されて、反応チャンバに入る前に蒸気の凝縮を低減するかまたは無くすことができる。従って、複数のフラッシュ蒸発器を使用して、複数の蒸気反応物を反応チャンバ中に正確に送達することができる。
管類142の単一の部分においてガス/蒸気を組み合わせることによって、前駆体源132からのガス/蒸気を、赤外吸収体源136、不活性ガス源138及び/またはガス状反応物源140からのガスと混合できる。ガス/蒸気を、反応チャンバから十分な距離で組み合わせ、その結果、ガス/蒸気は反応チャンバに入る前に十分に混合する。管142中の組み合わせられたガス/蒸気はダクト144を通過して、反応物入口、例えば図1の102と流体連通しているチャネル146に入る。
追加の反応物前駆体を、液体反応物送達装置、固体反応物送達装置、フラッシュ蒸発器、ガスボンベまたは他の適切な容器若しくは複数の容器とすることができる第2の反応物源148から蒸気/ガスとして供給できる。図2に示すように、第2の反応物源148は、追加の反応物を管142を経由してダクト144に送達する。他に、第2の反応物源は、第2の反応物を第2のダクト中に送達でき、その結果、2つの反応物は別個に反応チャンバ中に送達され、ここで反応物は反応帯域でまたはこの近くで組み合わせられる。従って、複雑な材料及び/またはドープした材料の形成のために、反応物/前駆体送達のためにかなりの数の反応物源及び、所望により、別個の反応物ダクトを使用できる。例えば、25もの反応物源及び/またはダクトは予測されているが、原理上は、さらに大きな数を使用する可能性がある。マスフローコントローラ150を使用して、図2の反応物送達系内部でのガス/蒸気の流れを調節することができる。追加の反応物/前駆体を同様に複雑な材料の合成のために提供できる。
上記に言及したように、反応物流れは1つ以上のエアロゾルを含むことができる。エアロゾルは、反応チャンバ内部でまたは反応チャンバへの注入の前に反応チャンバの外部で形成することができる。反応チャンバに注入する前にエアロゾルを生成する場合、エアロゾルを、ガス状反応物のために使用するもの、例えば図1の反応物入口102と同等の反応物入口を通して導入することができる。複雑な材料の形成のために、追加のエアロゾル発生器及び/または蒸気/ガス源を組み合わせて、反応物流れ内部の所望の組成物を供給することができる。
エアロゾル反応物を送達するために構成された反応物送達ノズルの具体例を、図3及び4に示す。入口ノズル160は、反応チャンバにその下面162で接続する。入口ノズル160は、下面162にボルト締めして入口ノズル160を反応チャンバに固定するプレート164を含む。入口ノズル160は、内部ノズル166及び外部ノズル168を含む。内部ノズル166は例えば、ツインオリフィス内部混合アトマイザー170をノズルの頂部に有することができる。適切なガスアトマイザーは、スプレイング・システムズ、ホイートン、IL(Spraying Systems, Wheaton, IL)から入手可能である。ツインオリフィス内部混合アトマイザー170はファン形状を有して、エアロゾル及びガス状組成物の薄いシートを生成する。液体を、管172を通してアトマイザーに供給し、反応チャンバに導入するためのガスを管174を通してアトマイザーに供給する。ガスと液体との相互作用は、小滴形成を助ける。
外部ノズル168は、チャンバ区画176、漏斗区画178及び送達区画180を含む。チャンバ区画176は、内部ノズル166のアトマイザーを保持する。漏斗区画178は、エアロゾル及びガス状組成物を送達区画180中に指向する。送達区画180は、図3の挿入物に示す矩形の反応物開口部182に至る。反応物開口部182は、レーザー熱分解または光反応性堆積のための反応チャンバ中への反応物入口を形成する。外部ノズル168は、外部ノズル中に集まるいかなる液体も除去するためのドレイン184を含む。外部ノズル168は、反応物開口部182を取り囲む遮蔽ガス開口部188を形成する外部壁186によって被覆される。不活性遮蔽ガスを、管190を通して導入する。エアロゾルを1つ以上のエアロゾル発生器を用いて細長い反応チャンバ中に導入するための追加の具体例は、本明細書において参考のために引用する"Reactant Delivery Apparatuses"と称するGardner et al.に付与された米国特許第6,193,936号において説明されている。
二次反応物化合物の例えば酸素源は、存在する場合、反応帯域に入る前に金属/メタロイド前駆体と大幅に反応するべきではなく、というのはこれは一般に生成物生成の制御の損失をもたらすと思われるからである。しかしながら、反応前駆体を、別個のノズル及び/または特定のノズル表面の別個の入口を通して反応物チャンバ中に送達でき、その結果、反応物は反応帯域の近くにあるまで組み合わせられない。
光反応性緻密堆積を、レーザーまたは他の強い焦点を合わせた照射源、例えばアーク灯を使用して様々な光学的周波数を用いて実行することができる。幾つかの望ましい光源は、電磁スペクトルの赤外部分で稼働する。CO2レーザーは、光の特に便利な源である。反応物流れ中に含むための赤外吸収体は、例えば、C2H4、水、イソプロピルアルコール、NH3、SF6、SiH4及びO3を含む。O3及びイソプロピルアルコールは、赤外吸収体及び酸素源の両方として働くことができる。照射吸収体、例えば赤外吸収体は、照射ビームからエネルギーを吸収し、エネルギーを他の反応物に分配して反応を駆動することができる。
一般に、光線から吸収されたエネルギーは、制御された条件下で発熱反応によって熱が一般に生じると思われる速度の何倍もの非常に大きな速度で温度を上昇させる。プロセスは一般に非平衡条件を含むが、温度は、吸収領域中のエネルギーに基づいてほぼ説明できる。光反応性緻密堆積においては、反応プロセスは、エネルギー源は反応を開始するが、反応は、発熱反応によって放たれるエネルギーによって駆動される燃焼反応器中のプロセスと質的に異なる。燃焼反応器においては、一般に、境界を有する輪郭のはっきりした反応帯域は存在しない。反応帯域は大きく、反応物の滞留時間は長い。より低い熱勾配が一般に燃焼反応器において存在する。
それに反して、レーザー/光駆動反応は極めて高い加熱速度を有する。生成物組成物は一般に、反応帯域中の照射出力及び流れ中の照射吸収体の量に依存する。反応物流れの組成及び反応帯域中の光強度を制御することによって、反応生成物を再現性をもって制御できる。反応帯域における有効な温度を、広範囲にわたって、例えば、ほぼ室温(例えば、20℃)〜約3000℃の単数または複数の範囲内で制御できる。光反応性緻密堆積においては、反応帯域は主に光線及び反応物流れの重なりにおいてであるが、反応帯域は、反応の正確な性質に依存して、光線の向こうに数ミリメートル延在してよい。
不活性遮蔽ガスを使用して、反応物チャンバ構成要素と接触する反応物及び生成物分子の量を低減することができる。不活性ガスはまた、キャリヤガスとして及び/または反応調整剤として反応物流れ中に導入することができる。適切な不活性遮蔽ガスは、例えば、Ar、He及びN2を含む。
流れる反応器のための反応物送達装置を、光反応性緻密堆積のために適合させることができる。反応チャンバ中への反応物送達入口を一般に、堆積プロセスのための所望の寸法を有する生成物流れをもたらす寸法を用いて反応物流れを送達するために構成する。例えば、幾つかの具体例においては、反応物入口は、基板の直径とほぼ同じサイズまたはこれよりもわずかに大きな長さを有し、その結果、生成物流れを通る1回の通過を用いて過度の量の生成物を無駄にすることなく基板の寸法全体に沿って基板をコーティングできる。
一般に、基板を、反応帯域から流れる生成物組成物を受けるようにのせる。反応帯域から基板までの距離を選択して、所望のコーティング結果を生じることができる。一般に、照射ビーム縁部、すなわち、照射強度は最大ビーム強度の1/e2の係数である箇所の下流の位置から測定して、反応物流れベクトルに対して約15センチメートル(cm)以下の単数または複数の範囲内で同軸に、他の具体例においては約0.5mm〜10cmの単数または複数の範囲内、及びさらなる具体例においては約2mm〜約8cmの単数または複数の範囲内に、基板/ウェーハを置く。当業者であれば、基板距離の明白な範囲内の追加の範囲は考えられており、本開示の範囲内にあることは理解されよう。コーティングプロセスは一般に、輪郭のはっきりした生成物流れを所望の基板位置に指向できるという意味で動的である。
反応チャンバ内部で基板コーティングを実行するための装置250を、図5に概略で示す。反応/コーティングチャンバ252を、反応物供給系254、照射源256及び排気機構258に接続する。排気機構258をポンプ260接続することができるが、反応物流れ自体からの圧力は、系を通る流れを維持できる。弁262を使用して、ポンプ260への流れを制御できる。弁262を使用して、ポンピング速度及び対応するチャンバ圧力を調節することができる。収集系、フィルター、スクラバーまたはその他同様なもの264を、チャンバ252とポンプ260との間に置いて、基板表面の上にコーティングしなかった生成物組成物を除去することができる。
基板266は反応帯域268からの流れと接触して、基板を生成物組成物でコーティングできる。基板266を、ステージ、コンベヤー、またはその他同様なもの270の表面にのせて、基板266を流れを通して迅速に通過させることができる。特に、ステージ270を、アクチュエータアーム272または他のモーターを付けた装置に接続して、ステージ270を移動させて、基板を生成物流れを通して迅速に通過させることができる。様々な構成を使用して、生成物が反応帯域から出る時にコーティングを基板表面にわたって迅速に通過させることができる。図5に示すように、アクチュエータアーム272はステージ270を並進運動させて、基板266を生成物流れを通して迅速に通過させる。
流れる反応装置からの導管に対して基板を位置決めするためのステージの具体例を、図6に示す。生成物流れ274は、回転するステージ276に向かって生成物組成物を指向する。図7に示すように、4つの基板278をステージ276表面にのせる。ステージ及びチャンバに対する対応する修正を用いて、より多くのまたはより少ない基板を可動のステージ表面にのせることができる。モータを使用して、ステージ276を回転させる。ステージ、コンベヤーまたはその他同様なもののための他の設計を使用して、基板を生成物流れを通して迅速に通過させることができる。
ステージ276の移動は、生成物流れ274の通路内部で1つの特定の基板278の表面にわたって生成物流れを迅速に通過させる。ステージ276を使用して、各基板への1つ以上のコーティングの適用のために逐次基板を生成物流れを通過させることができる。ステージ276は、ステージ276表面の基板の温度の制御に対処する熱制御特徴を含むことができる。他の設計は、ステージの直線移動または他の運動を含む。
別の具体例を、図7及び8の拡大図に示す。右向きの矢印によって示すように、基板280を反応物ノズル282に対して移動させる。反応物ノズル282を基板280のすぐ上に位置させる。光路284は、光線を経路284に沿って指向する適切な光学的要素によって規定される。光路284はノズル282と基板280との間に位置して、基板280の表面のすぐ上の反応帯域を規定する。
図7及び8を参照すると、緻密コーティング286は、基板が反応帯域を通過して走査されるにつれて形成される。一般に、基板280はコンベヤー/ステージ288表面で運ばれることができる。図5に示すように、コンベヤー/ステージ288をアクチュエータアームに接続することができる。他の具体例においては、ローラー及びモータ、連続ベルトコンベヤー、または周知の設計を含む基板を並進運動させるための様々な設計のいずれでも使用して、基板を運ぶことができる。
幾つかの具体例においては、コンベヤー288の位置を調節して、基板286から反応帯域までの距離を変更することができる。基板から反応帯域までの距離の変化は、それに対応して、基板に当る生成物流れの温度を変更する。基板に当る生成物流れの温度は一般に、得られるコーティングの特性を変更する。基板と反応帯域との間の距離を実験的に調節して、所望のコーティング特性、例えばコーティング密度を生じることができる。加えて、基板を支持するステージ/コンベヤーは熱制御特徴を含むことができ、その結果、希望に応じて基板の温度をより高いまたはより低い温度に調節できる。
光反応性緻密堆積装置の特定の具体例を図9〜11に示す。図9を参照すると、プロセスチャンバ300は、CO2レーザーに接続した光管302及びビームダンプ(図示せず)に接続した光管304を含む。入口管306は、蒸気反応物及びキャリヤガスを送達する前駆体送達系に接続する。入口管306は、プロセスノズル308に至る。排気輸送管310は、プロセスノズル308からの流れ方向に沿ってプロセスチャンバ300に接続する。排気輸送管310は、生成物ろ過チャンバ312に至る。生成物ろ過チャンバ312は、ポンプコネクタ314においてポンプに接続する。
プロセスチャンバ300の拡大図を図10に示す。基板キャリア316は、プロセスノズル308よりも上に基板を支持する。基板キャリア316はアーム318に接続し、これは、光線がプロセスノズル308からの前駆体流れと交差する反応帯域から出た生成物流れを通して基板を移動させるために基板キャリアを並進運動させる。アーム318は、管を用いて遮蔽された直線並進器を含む。光入口320を使用して、光線をプロセスノズル308と基板との間に指向する。この具体例においては、プロセスノズルからの妨げられない流れは、排気輸送管310に至る排気ノズル322に直接に進むと思われる。
基板キャリア316及びプロセスノズル308の拡大図を図11に示す。プロセスノズル308の末端は、前駆体送達のための開口部324並びに前駆体及び生成物流れの広がりを制限するための前駆体開口部を取り囲む遮蔽ガス開口部326を有する。基板キャリア316は、ブラケット330を用いてプロセスノズル308に接続する支持体328を含む。円形ウェーハ332をマウント334中に保持でき、その結果、ウェーハ332はマウント334内部でトラック336に沿って滑って、ウェーハ332を反応帯域からの流れ中に移動させる。後部遮蔽338は、ウェーハ332の背面への生成物組成物の無制御の堆積を防ぐ。トラック336はアーム318に接続する。
任意のコーティング構成の場合、流れと基板との交差は流れの軌道をそらす。従って、反応チャンバ出口の位置を変更して、基板が理由となる流れの方向の変化を引き起こすことが望ましいかもしれない。例えば、チャンバ設計を変更して、反射した流れを出口に指向する及び/または出口の位置を従って変更することが望ましいかもしれない。他の流れ構成の1特定の例を、下記の具体例に示す。
光反応性緻密堆積装置の別の特定の具体例を図12に示す。装置350は、CO2レーザー光源352、反応物送達系354、反応チャンバ356、及び排気系358を含む。図13を参照すると、概略図を、ドープしたシリカガラスを形成するための幾つかの特定の反応物を用いて示すが、本明細書における開示に基づいて他の反応物をさらに含むかまたはこれと置き換えることができる。
反応物送達系354を、図13に概略で示す。図13に示すように、反応物送達系354は、混合下位系366と接合するガス送達下位系362及び蒸気送達下位系364を含む。ガス送達下位系362は、反応チャンバ中へのガスの送達のために1つ以上のガス源、例えばガスボンベまたはその他同様なものを含むことができる。図13に示すように、ガス送達下位系362は、ホウ素前駆体源370、酸素源前駆体372、不活性ガス源374、及び光吸収ガス源376を含む。ガスはガスマニホルド378において組み合わされ、ここでガスを混合できる。ガスマニホルドは、安全のために圧力逃がし弁380を有することができる。不活性ガス源374も使用して、光を外部光源からチャンバ356中に指向するために使用する窓/レンズ382、384に隣接するチャンバ内部に不活性ガスを供給することができる。
蒸気送達下位系364は、複数のフラッシュ蒸発器390、392、394を含む。各フラッシュ蒸発器は液体リザーバに接続して、液体前駆体を適切な量で供給することができる。適切なフラッシュ蒸発器は、例えば、MKSエクイップメント(MKS Equipment)から入手可能であり、または、容易に入手可能な構成要素から製造できる。図13に示すように、フラッシュ蒸発器390、392、394はそれぞれケイ素前駆体、ゲルマニウム前駆体及びリン前駆体を供給する。フラッシュ蒸発器は、選択された分圧の特定の前駆体を送達するようにプログラムすることができる。フラッシュ蒸発器からの蒸気を、蒸気を共通の供給ライン398に指向するマニホルド396に指向する。蒸気前駆体を、共通の供給ライン398内部で混合する。
ガス送達下位系362からのガス成分及び蒸気送達下位系364からの蒸気成分を、混合下位系366内部で組み合わせる。混合下位系366は、ガス送達下位系362及び蒸気送達下位系364からの流れを組み合わせるマニホルドとすることができる。混合下位系366においては、入力を方向づけして、様々な圧力での様々な蒸気及びガスの組み合わせた流れの混合を改良することができる。混合ブロックは斜めになった末端を有して、より低い圧力の源中への逆流を低減する。導管400は、混合下位系366から反応チャンバ356に至る。
別個の遮蔽ガス系406を、反応チャンバ356中の移動するノズル組立体への不活性遮蔽ガスの送達のために使用できるが、不活性ガス源374を使用して、移動するノズルの外部区画に不活性ガスを供給できる。ノズルの外部区画からの遮蔽ガスは、光反応帯域中への反応物前駆体流れのためのガイドとして役立つ。
熱コントローラ408を使用して、伝導ヒーターまたはその他同様なものによって蒸気送達下位系、混合系366及び導管400の全体にわたって熱を制御して、前駆体蒸気のいかなる凝縮も低減するかまたは無くすことができる。適切な熱コントローラは、オメガ・エンジニアリング(スタンフォード、CT)(Omega Engineering (Stamford, CT))からのモデルCN132である。全前駆体流れを、ユナイテッド・インスツルメンツ(ウエストベリ、NY.)(United Instruments (Westbury, NY.))からのDX5コントローラによって制御する/監視することができる。DX5装置を、1つ以上の蒸気/ガス前駆体の流れを制御するマスフローコントローラ(マイクロリスCorp.、ビラリカ、MA)(Mykrolis Corp., Billerica, MA)と連結することができる。系の自動化を、ブルックス−PRIオートメーション(チェルムズフォード、MA)(Brooks-PRI Automation (Chelmsford, MA))からのコントローラを用いて組み込むことができる。
反応チャンバ356は、チャンバ構造420、ウェーハマウント422及び移動するノズル系424を含む。図14を参照すると、チャンバ構造420を、スタンド430の表面に置く。チャンバ構造420は、掛け金434で確実に閉じるふた432を含む。チャンバ構造420はまた、レーザー352からの光を受けるように位置する窓436、及び光が出るための窓438を含み、これは、パワーメータ(図示せず)に接続することができる。窓436は、レンズ、例えば円柱形のレンズを含むことができる。チャンバ構造420は、シールされた口440、442を通る移動するノズル系424と連結する。チャンバ構造420は、4つのベント450、452、454、456を通して排気系356と連結する。図15を参照すると、チャンバ構造320は、移動するノズル系424と共に導管402において反応物送達系352に接続する反応物口458をさらに含む。図16を参照すると、バッフル460、462は、流れをベント450、452、454、456に導く。
ウェーハマウント422は、アルミニウムウェーハマウント476内部のブラケット474中にウェーハ472を支持するウェーハホルダー470を含む。図17を参照すると、ウェーハホルダー470を装置から分離させて示す。ウェーハホルダー470は、ウェーハを保持するための3つのピン476を含むが、希望に応じて異なる数のピンを使用できる。断面図を、ピン476によるウェーハ/基板472の支持を表す図18に示す。コーティングプロセスの最中の生成物の流れを矢印で示す。ピン476から離れて、ウェーハホルダー470及びウェーハ472は、小さなギャップを有するほぼ平坦な連続的な表面を形成し、その結果、ウェーハの縁部に沿ったコーティング堆積の縁部効果を低減するかまた無くす。ウェーハホルダーの形成のための適切な材料は、例えば、酸化アルミニウムまたはモリブデンを含む。
図15を参照すると、二位置シャッター478は、選択的に開き、閉じて、ウェーハ472を露出する(開く)かまたは遮蔽する(閉じる)ことができる。アルミニウムウェーハマウント476は、チャンバ構造420に接続するマウント486によって支持されるOリングシール484を通してDCモータ482に接続するシャフト480を含む。この構造を用いて、ウェーハ472を回転させることができる。例えば、ウェーハを、例えば、90度または180度、コーティングラン同士の間で、または希望するならコーティングラン内部で、または連続的にコーティングランの全体にわたって回転させることができる。幾つかの具体例においては、適切なモータは、ウェーハを約数百回転/分の速度で回転することができる。
図14〜16を参照すると、移動するノズル系424は、移動するマウント500及び駆動系502を含む。移動するマウント500は、取り付けブラケット504、506、ノズル508及び鏡マウント5100、512を含む。取り付けブラケット504、506は、ノズル508及び鏡マウント510、512に接続する。ノズル508は、フランジ514、516で取り付けブラケット504、506に接続する。ノズル508はまた、漏斗区画520及び金属格子524を有する矩形の区画522を含む。漏斗区画は、オリフィス526から矩形の区画522に広がる。可撓性管528は反応物口458を有してオリフィス526に接続し、その結果、ノズルが移動するにつれて、ノズルは、反応物送達系に接続したままである。特定の具体例においては、矩形の区画は、図19の平面図に概略で示すように、寸法0.08インチ×4.65インチを有する矩形の断面を有するが、長さまたは幅の他の比を使用できる。金属格子524は、漏斗区画520からの流れを分けて、矩形の区画522におけるより均一な流れを提供する。流れる反応器のためのノズル設計は、本明細書において参考のために引用する"Reactant Nozzles Within Flowing Reactors"と称するGardner et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第10/119,645号においてさらに説明されている。図15を参照すると、鏡マウント510、512はそれぞれ、取り付けブラケット504、506から延在する。鏡マウント510、512はまたそれぞれ、例えば、放物線状のまたは円柱形の焦点を合わせる銅鏡とすることができる鏡530、532を含む。鏡を水冷できる。鏡530、532の間の光路を図15の矢印で示す。鏡マウント510、512は、支持ブラケット534、536において駆動系502に接続する。
図14を参照すると、駆動系502は、二重直線マニピュレーター540及びモータ542を含む。1具体例においては、モータは、マニピュレーターアームに結合する磁石を移動させ、その結果、これはマニピュレーターアームの移動を制御する。マニピュレーターアームの移動は、ブラケット/ノズル系の移動をもたらす。運動の間中の速度及び加速度を正確に制御できる。適切なモータは、パシフィック・サイエンティフィック(ロックフォード、IL)(Pacific Scientific (Rockford, IL))からのモデルP22NRXB−LNN−NF−00である。二重直線マニピュレーター540は、モータ連結ロッド546を有するモータ連結ブラケット544を含む。図20に示すように、モータ連結ブラケットは、第1のシャフト548及び第2のシャフト550に接続する。第1のシャフト548は、停止体560及び第1の支持シャフト562を含み、第2のシャフト550は、停止体564及び第2の支持シャフト566を含む。停止体560、564は、停止体560、564が口440、442と接触する時に、二重直線マニピュレーター540の運動を制限する。支持シャフト562、566はそれぞれ、Oリングを用いて密閉された口440、442を通って滑る。さらに、不活性ガスは並進器アームの背面から流れて、チャンバをパージし、アームを生成物組成物に関してより清浄に保つことができる。図15に示すように、支持シャフト562、566はそれぞれ、支持ブラケット534、536において、移動するノズル系424に接続する。
支持シャフトは、移動するノズル系424を支持する。その上、チャンバ420は、移動するノズル系を支持するのを助けるための支持トラックを含むことができる。例えば、ガイドレールを、チャンバの各側に含ませることができる。ガイドレールは、並進運動の最中の均一性を確実にするのを助ける。幾つかの具体例においては、アームは、ガイディングレール上を転がるフランジ付きルロンベアリング(flanged rulon bearing)を含む。
1具体例においては、図14に概略で示すように、排気系358は導管580を含む。導管580は、それぞれベント450、452、454、456に接続するチャネル586、588、590、592を含む。排気系358は、フィルター594、2つのインラインソーダソブル(登録商標)(W.R.グレース)(Sodasorb(登録商標) (W.R. Grace))塩素トラップ596、598及びポンプ600をさらに含む。導管580は、フィルター594に接続し、ソーダソブル(登録商標)トラップ596、598をフィルター594とポンプ600との間に置いて、塩素がポンプを損傷するのを防ぐ。第2の塩素トラップ598からのラインは直接にポンプに進むことができる。適切なポンプはエドワーズ(Edwards)からの乾式回転ポンプ、例えばモデルQDP80である。
堆積プロセスの最中の基板の温度を調節して、特定の目的を実現することができる。例えば、基板を堆積プロセスの最中に冷却でき、というのは比較的に低温の基板は、生成物組成物をその表面で凝縮できるからである。しかしながら、幾つかの具体例においては、堆積プロセスの最中に、基板を例えば〜約500℃に加熱する。
光反応性堆積の性能のための装置特徴の多くを、本明細書における開示に基づく光反応性緻密堆積の性能のために適合させることができる。光反応性堆積によるコーティングの形成のための装置、ケイ素ガラス堆積及び光学的装置は、一般に、本明細書において参考のために引用する"Coating Formation By Reactive Deposition"と称するBi et al.に付与された同時係属の米国特許出願第09/715,935号において、及び、本明細書において参考のために引用する"Coating Formation By Reactive Deposition"と称するBi et al.に付与された同時係属の米国特許出願第10/414,443号においてさらに説明されている。
反応帯域中に至る流れのシートとしての輪郭のはっきりした反応物流れは、反応からの熱が理由となって反応帯域の後で広がる傾向がある。基板を反応帯域の近くで反応帯域に対して迅速に通過させる場合、流れの広がりはかなりのものであるべきではない。照射ビームからウェーハまでの距離の範囲の一般的な説明は、上記に与えた。
コーティング材料の組成物を段階的にまたは個別に変化させて、2つの組成物または個別の組成物の相違を有する個別の層の間の組成物の漸進的な変化を含むことができる様々な組成物を有する層を生成することができる。得られた遷移材料は、第1の組成物から第2の組成物への組成物の段階的変化を有することができる。一般に、第1の組成物及び第2の組成物は、隣接する層の組成物(または同じ層における隣接する組成物)であり、その結果、遷移材料は2つの隣接する層の間の組成物の漸進的な遷移を提供する。遷移材料は2つの層を有することができるが、遷移材料は一般に少なくとも3つの層、他の具体例においては少なくとも4つの層及びさらなる具体例においては5層〜100層の単数または複数の範囲内を有する。当業者であれば、こうした特定の範囲内の単数または複数の追加の範囲は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。総厚さを希望に応じて選択することができる。考察の対象となっている幾つかの具体例の場合、段階的遷移材料内部の各層は一般に約100ミクロン未満、他の具体例においては約25ミクロン未満、さらなる具体例においては約500nm〜約20ミクロンの単数または複数の範囲内の及び追加の具体例においては約1ミクロン〜約10ミクロンの単数または複数の範囲内の厚さを有する。当業者であれば、層数及び層厚さの特定の範囲内の追加の範囲は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。段階的遷移材料内部の層は、ほぼ等しい厚さを有しても有しなくてもよい。同様に、組成物の段階的変化は、遷移材料の層同士の間で同等の段階を取っても取らなくてもよい。
基板表面の個別の装置または他のパターン形成された構造の生成のために、材料の組成物は一般に、光学的構造内部の異なる位置では異なる。組成物変化を導入するために、堆積プロセス自体を操作して、特定の構造を生成することができる。他に、選択された構造の形成のための堆積に続いて様々なパターン形成アプローチを使用できる。1つ以上のコーティング層の堆積に続くパターン形成を、下記にさらに説明する。
本明細書において説明する堆積アプローチを使用して、基板表面に堆積する生成物の組成物を堆積プロセスの最中に変化させて、基板表面の選択された位置で特定の組成物を有するコーティング材料を堆積させて、コーティング材料の得られる組成物をx−y平面に沿って変化させることができる。例えば、生成物流れを通して基板を迅速に通過させる間に生成物組成物が変化する場合、異なる縞または格子位置における異なるコーティング組成物を有する縞または格子を基板表面に形成することができる。光反応性緻密堆積を使用して、生成物組成物を形成するために反応する反応物を調節することによって、または反応条件を変化させることによって、生成物組成物を変化させることができる。幾つかの具体例においては、反応物流れは、生成物の組成を変更するために変化させることができる蒸気及び/またはエアロゾル反応物を含むことができる。同様に、ドーパント濃度を、流れ中のドーパント元素の組成及び/または量を変化させることによって選択できる。反応条件はまた、得られる生成物特性に影響し得る。例えば、反応チャンバ圧力、流量、照射強度、照射エネルギー/波長、反応流れ中の不活性希釈剤ガスの濃度、反応物流れの温度は、生成物材料の組成及び他の特性に影響し得る。
基板を生成物流れを通して迅速に通過させる間に反応物流れ組成または反応条件を変化させることによって、生成物組成物変化を導入することができるが、特に、より大幅な組成の変化を課する場合、異なる組成物を含む異なる堆積工程同士の間で堆積を停止することが望ましいかもしれない。例えば、基板の一部分を第1の組成物でコーティングし、残りの部分を別の組成物でコーティングするために、基板を生成物流れを通して迅速に通過させて、堆積が終了する指定された箇所まで第1の組成物を堆積することができる。基板を次に、いかなるコーティングも実行することなく残りの距離を並進運動させる。反応物流れまたは反応条件を変化させることによって、生成物の組成を次に変化させ、生成物流れを安定化させるための短い時間の後に基板を反対方向に迅速に通過させて、第1の組成物に対して補足的なパターンで第2の組成物をコーティングする。
堆積プロセスを、基板表面の2つを超える組成物及び/またはより精巧なパターンの堆積のために一般化することができる。より精巧なプロセスにおいては、生成物流れが安定化する間に及び/または基板を位置決めする間に、シャッターを使用して、堆積を阻むことができる。精密に制御されたステージ/コンベヤーは、特定の組成物の堆積のために基板を正確に位置決めし、迅速に通過させることができる。シャッターは迅速に開き、閉じて、堆積を制御できる。パターン内部の組成物の様々な位置の間に間隔を置くために、ギャップを使用しても使用しなくてもよい。特に、ボイドは緻密コーティング中に残り得、その結果、希望するなら、トラフまたはボイドは一体的に層構造の一部分となり得る。選択されたボイドを有する緻密な高品質コーティングを直接に形成するこの能力は、光反応性緻密堆積の類のない特徴であると思われる。
他の具体例においては、個別のマスクを使用して、生成物組成物の堆積を制御する。個別のマスクは、コーティング材料のパターン形成のための効果的な及び正確なアプローチを提供することができる。化学気相成長法及び物理蒸着法の場合、材料の層は、原子または分子レベルから蓄積し、これは、原子または分子レベルでのマスクと下にある基板との密接な結合を含んで、堆積される材料のマスクの下でのブロックされた領域への移動を防ぐことができる。従って、コーティング済みマスクは、マスクに対応する独立した自己支持構造を有しない表面のコーティングであり、コーティング済みマスクは、コーティング済みマスクに沿って原子レベルでの接触を用いて表面に化学的にまたは物理的に結合する。それに反して、本明細書において説明するような生成物堆積の場合、生成物は基板表面に高い速度で直接に流れ、その結果、別の平坦な表面に対して置かれた平坦な表面を有するマスクは十分な接触を提供して、堆積プロセスの時間枠にわたるマスクを通過するかなりの生成物移動を防ぐ。コーティング済みマスクは光反応性緻密堆積において有効に使用できるが、物理的マスクは、光反応性緻密堆積を使用して表面をパターン形成するためのコーティング済みマスクの効果的な代替物を提供する。物理的マスクは、表面に結しない無傷の自己支持構造を有し、その結果、マスクはコーティングされた表面から無傷で除去できる。従って、本明細書における個別のマスクアプローチは、フォトリソグラフィを気相成長法アプローチのために適合させた先のマスキングアプローチと異なる。
こうした具体例においては、緻密コーティングの形成は対応して、個別のマスクを用いて遮蔽された基板において生成物流れを指向することを含む。個別のマスクは、選択された位置で開口部を有する表面、一般に平坦な表面を有する。個別のマスクは、開口部における以外は表面をブロックし、その結果、流れからの生成物組成物は開口部を通して表面に堆積できる。従って、マスクは、開口部の配置を選択することによって、組成物を表面でパターン形成することに対処したものである。幾つかの具体例においては、適切な個別のマスクは、生成物流れよりも狭いスリットを有するマスクを含み、その結果、堆積プロセスを非常に正確に制御できる。スリットの移動は、1つ以上の組成物を用いて所望の正確に制御されたパターンを形成できる。個別のマスクの使用の後に、これを除去し、再使用できる。
幾つかの具体例においては、複数のマスクを使用して、単一の層に沿ってコーティング材料を堆積することができる。例えば、第1のマスクを通したパターンの堆積に続いて、第2の補足的なマスクを使用して、第1のマスクを用いた堆積の最中に被覆されないままだった表面の少なくとも一部分上に材料を堆積することができる。さらなる補足的なマスクを使用して、複雑なパターンを形成でき、同時に、層にわたって様々な化学組成を有するコーティングを有する単一の層またはこの一部分を完成させる。選択されたボイドは、希望に応じて、複数の物理的マスクの使用に続いて残ることができる。
従って、光反応性緻密堆積を使用して、一連の有効なアプローチを利用して、層内部及び様々な層におけるコーティング材料の化学組成を変化させて、材料内部の選択された位置で選択された組成を有する三次元構造を形成する。すなわち、コーティング材料の特性、例えば光学的、電磁及び/または物理的性質、及び/または化学組成を三次元構造内部で3つの軸、x、y及びzの全てに沿って変化させて、所望の組立体を形成することができる。光反応性堆積プロセスの最中の、材料、特に光学的材料の組成物のパターン形成は、本明細書において参考のために引用する"Three Dimensional Engineering of Optical Structures"と称するBi et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第10/027,906号においてさらに説明されており、こうしたアプローチを、本明細書における教示を使用して光反応性緻密堆積のためにさらに適合させることができる。
コーティングの組成物
光反応性緻密堆積の性能を使用して、レーザー熱分解によって生成できる粒子と匹敵する組成物を有する緻密コーティングを生成でき、このことは、広範囲の組成物に及ぶ。特に、組成物は、任意のドーパントまたは添加剤組成物を用いて結晶性またはアモルファス材料を形成する1つ以上の金属/メタロイド元素を含むことができる。加えて、単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を使用して、粒子の光学的、化学的及び/または物理的性質を変更することができる。反応物流れ中への単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の取り入れは、緻密コーティング材料中の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の分布をもたらす。
一般に、緻密コーティング材料は一般に、多数の様々な元素を含む組成物を含み、様々な相対的比率で存在するとして特徴付けることができ、ここで、数及び相対的比率を、粒子の適用の関数として選択できる。様々な元素の典型的な数は、例えば、約2元素〜約15元素の単数または複数の範囲内の数を含み、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15の数は予測されている。幾つかの具体例においては、元素の幾つかまたは全ては、金属/メタロイド元素とすることができる。相対的比率の一般的な数は、例えば、約1〜約1,000,000の単数または複数の範囲内の値を含み、約1、10、100、1000、10000、100000、1000000の数及びこれらの適切な和は予測されている。加えて、元素状材料は予測されており、ここで、元素は、その元素状非イオン化形態、例えば金属/メタロイド元素であり、すなわち、M0である。
他にまたは加えて、このようなサブミクロン/ナノスケール粒子は、以下の式を有するとして特徴付けることができる:
AaBbCcDdEeFfGgHhIiJjKkLlMmNnOo、
[式中、各A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、及びOは独立して存在するかまたは存在せず、A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、及びOのうちの少なくとも1つは存在し、1A族元素、2A族元素、3B族元素(元素のランタニド系統群及び元素のアクチニド系統群を含む)、4B族元素、5B族元素、6B族元素、7B族元素、8B族元素、1B族元素、2B族元素、3A族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素、及び7A族元素を含む元素の周期表の元素からなる群から独立して選択され;各a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、及びoは、約1〜約1,000,000の単数または複数の範囲内の値から独立して選択され、化学量論的に実現可能であり、約1、10、100、1000、10000、100000、1000000の数及びこれらの適切な和は予測されている。]。材料は、結晶性、アモルファスまたはこれらの組合せとすることができる。すなわち、元素は、貴ガス以外の周期表からの任意の元素とすることができる。本明細書において説明するように、全ての無機組成物、並びに別個の本発明のグループ分けとして無機化合物の全ての下位の組、任意の特定の組成物を除いた例えば全ての無機化合物またはこれらの組合せ、組成物の群、種類、下位種類を単独でまたは一緒に及びその他同様なものは予測されている。
幾つかの組成物を特定の化学量論/組成に関して説明するが、化学量論は一般に 近似的な量のみである。特に、材料は、汚染物、欠陥及びその他同様なものを有し得る。同様に、幾つかのアモルファス材料は本質的にブレンドを含むことができ、その結果、様々な成分の相対量は、材料が混和性である範囲にわたって連続的に調節可能である。他の具体例においては、相分離したアモルファス材料を、平均組成物での材料の不混和性が理由となって様々な領域で異なる組成物を用いて形成することができる。その上、対応する化合物の元素が複数の酸化状態を有するアモルファス及び結晶性材料の場合、材料は複数の酸化状態を含み得る。従って、化学量論を本明細書において説明する際に、実際の材料は、同じ元素の少量の他の化学量論も含んでよく、例えばSiO2は若干のSiO及びその他同様なものも含む。
幾つかの具体例においては、コーティング材料は、例えば、ケイ素、元素状金属、及び金属/メタロイド組成物、例えば、金属/メタロイド酸化物、金属/メタロイド炭化物、金属/メタロイド窒化物、金属/メタロイドリン化物、金属/メタロイド硫化物、金属/メタロイドテルル化物、金属/メタロイドセレン化物、金属/メタロイドヒ化物及び混合物及びこれらの組合せを含むことができる。特にアモルファス材料においては、特定の材料内部で非常に様々な元素組成が可能である。光反応性緻密堆積は、広範囲の組成物を用いた緻密コーティングの生成に関して多能であるが、1具体例においては、特定の特性が理由となって、単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の導入のための特定のホスト材料は望ましい。光学的材料の場合、特に考察の対象となっている幾つかの材料は、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、リン酸塩ガラス、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、インジウムリン、リチウムニオベート、タンタル酸リチウム、テルル化物ガラス、酸化アルミニウム、酸化チタン、ガリウムヒ素、これらの組合せ及びこれらのドープ版を含む。幾つかの金属/メタロイド酸化物は、光学的用途のために及び/または均一なガラス層への圧密化の能力のために特に望ましい。ドーピングのための適切なガラス形成ホスト酸化物は、例えば、TiO2、SiO2、GeO2、Al2O3、P2O5、B2O3、TeO2、CaO−Al2O3、V2O5、BiO2、Sb2O5及び組合せ及びこれらの混合物を含む。他の金属/メタロイド酸化物は、結晶形態で望ましい光学的性質を有し、例えばLiNbO3、LiTaO3、Y3Al5O12(YAG)及び希土類、特にNd、ドープしたYAGである。緻密コーティング形成に関して本明細書において説明するアプローチは、単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を用いても用いなくてもよい金属/メタロイド酸化物粒子の形成に特に適している。同様に、光反応性緻密堆積は、下記にさらに説明するように、非酸化物材料のための緻密コーティングのための適切なアプローチである。
その上、光反応性緻密堆積は、一連の用途のための誘電体材料の堆積のために有効となることができる。誘電体材料の性質は、特定の用途に依存する。半導体製造のための従来の誘電体材料は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2、誘電率約3.6)及び窒化ケイ素(誘電率約7)を含む。より小さな集積された装置を形成するために、より低い誘電体材料が望ましい。幾つかの機能装置を形成するために、より高い誘電体材料が望ましい。低誘電体材料に関して、光反応性緻密堆積を使用して多孔性の選択された程度を有して酸化ケイ素を堆積できる。多孔質酸化ケイ素は空気を細孔内部に有し、これは、有効により小さな誘電率をもたらし、同時に、緻密層の制御された機械的性質を有する。高誘電体材料の用途を下記にさらに説明する。高誘電体材料の形成のために考察の対象となっている組成物は、例えば、Al2O3、ドープした酸化アルミニウム(例えば、Zr、Si、Ti及び/またはHfをドープした)、Ta2O5、ジルコン酸チタン酸鉛、ジルコニウムオキシナイトライド、BaTiO3、LaをドープしたBaTiO3、CaCu3Ti4O12、元素状銀、元素状白金及びその他同様なものを含む。
特に考察の対象となっている他の具体例においては、燃料電池用途に適用可能な緻密コーティングのために、光反応性緻密堆積を使用できる。光反応性緻密堆積を一連の燃料電池製品のために使用できるが、これは、セラミック層を有する燃料電池の形成のために特に考察の対象となっている。燃料電池構造は一般に、電解槽の積み重ねを含み、各セルは、アノード及びセパレーター/電解質によって分離されたカソードを含む。セルは、積み重ね中の隣接するセル同士の間の電気接続を提供する電気的相互接続または二極性プレートを有して直列で積み重ねられる。適切な燃料電池タイプの場合、光反応性緻密堆積を使用して、アノード、カソード、電解質及び/または相互接続並びにこれらの一部分を形成できる。燃料電池はまた、光反応性緻密堆積を用いて形成してよい不活性支持材料を有してよい。電極のための触媒層の形成のために、若干の制限された多孔性を光反応性緻密堆積を使用して制御された様式で導入して、触媒層中への反応物、すなわち、燃料または酸化剤の適切な浸透に対処することができる。しかしながら、電解質層は一般に、他の反応物を伝導することなくイオンの選択的な伝導に対処するために、無孔質または選択的に多孔質である。同様に、相互接続層は導電性であるが、任意の反応物に関して無孔質である、とはいえ、こうした材料は一般に輪郭をもって、燃料/酸化剤がセルに入るための及び副産物がセルから除去されるための流れチャネルを提供する。
溶融炭酸塩型燃料電池において使用するため、アノード触媒はニッケル及び/またはコバルトをドープしたニッケルとすることができる。同様に、溶融炭酸塩型燃料電池におけるカソードの場合、触媒は、酸化ニッケルまたはリチウムニッケルオキサイドとすることができる。固体電解質型燃料電池の場合、様々な材料がアノード触媒に適している。特に、イットリウム安定化済みジルコニア(YSZ)を有する複合体を使用でき、ここで、YSZは電極内部でイオン導体として機能する。チタニアをドープしたイットリア安定化済みジルコニアは、イオン導体として及び導電体として機能することができる。特定の適切な複合体は、例えば、Niを有するYSZまたはコバルトを有するドープしたニッケル、モリブデン、鉄及び/またはチタンまたは銅を有するYSZ及び酸化セリウムを含む。固体電解質型燃料電池において使用するための適切な触媒金属酸化物は、例えば、セリア、La1−xM′xCr1−yM″yO3[式中、M′は、ストロンチウム、イットリウムまたはこれらの組合せであり、M″は、ニッケル、ランタン、マンガン、チタン、バナジウムまたはこれらの組合せである。]、La1−xM′xTi1−yM″yO3[式中、M′は、ストロンチウム、イットリウムまたはこれらの組合せであり、M″は、ニッケル、ランタン、マンガン、クロム、またはこれらの組合せである。]、La1−xM′xNi1−yM″yO3[式中、M′は、ストロンチウム、イットリウムまたはこれらの組合せであり、M″は、チタン、ランタン、マンガン、クロム、またはこれらの組合せである。]、La1−xM′xCu1−yM″yO3[式中、M′は、ストロンチウム、イットリウムまたはこれらの組合せであり、M″は、ニッケル、ランタン、マンガン、クロム、またはこれらの組合せである。]、またはLa1−xM′xFe1−yM″yO3[式中、M′は、ストロンチウム、イットリウムまたはこれらの組合せであり、M″は、モリブデン、ニッケル、ランタン、マンガン、クロム、またはこれらの組合せである。]を含む。
溶融炭酸塩型燃料電池の場合、金属炭酸塩電解質を、適切な前駆体及び反応条件を使用して堆積できる。特に、アルカリ炭酸塩を金属酸化物と共堆積できる。特に、アルカリ炭酸塩及びLiAlO2の混合物を、LiNO3、KNO3及びAl(NO3)2の前駆体を使用して酸素環境中で堆積でき、リチウム濃度を炭酸塩共融点になるように選択する。固体電解質型燃料電池の場合、電解質は一般にイットリウム安定化済みジルコニアである。エアロゾル送達を使用した光反応性堆積のための適切なイットリウム前駆体は、例えば、塩化イットリウム(YCl3)、硝酸イットリウム(Y(NO3)3)及びその他同様なもの及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なジルコニウム前駆体は、例えば、塩化ジルコニル(ZrOCl2)、硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
導電性元素は、元素状金属、伝導性炭素、伝導性金属化合物またはこれらの組合せを含むことができる。特に、元素状金属粒子、例えば元素状銅、銀または金を電極内部に共堆積して、電気伝導率を増大させることができる。同様に、黒鉛炭素または他の伝導性炭素を光反応性緻密堆積によって堆積して、電気伝導率を与えることができる。こうした炭素材料は、酸素または他の酸化剤が存在しないならば、後に続く処理の最中に加熱することができる。その上、金属組成物の例えばドープしたランタンクロマイトを使用して、電気伝導率を与えることができる。ドープしたランタンクロマイトは、固体電解質型燃料電池相互接続において使用されている。同様に、こうした材料を、適切な流れチャネルを有するコーティングまたは層として相互接続/二極性プレートおいて使用できる。可溶の化合物をコーティングして、それに続く化合物の溶解に続いて流れチャネルを形成できる。例えば、金属塩化物または金属窒化物を、任意のさらなる反応物無しでエアロゾルを使用して堆積できる。化合物を、上記に説明したようにパターン形成できる。
加えて、緻密コーティング材料は、1つ以上のドーパント/添加剤をアモルファス材料及び/または結晶性材料内部に含むことができる。単数または複数のドーパント/添加剤組成物の複雑なブレンドとなり得る単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、一般に非化学量論的な量で含まれる。ドーパント/添加剤は一般に金属またはメタロイド元素であるが、考察の対象となっている他の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、フッ素、塩素、窒素及び/または炭素を含み、これらは、金属/メタロイド成分に関して酸化物中の酸素または他の陰イオンと置き換わる。こうした陰イオンの単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、幾つかの陽イオンドーパントのように、酸化物の酸素が結合した網目構造を引裂く傾向があるので、こうしたものは、酸化物ガラスの流れ温度を下げる傾向があり、こうした単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、屈折率及び誘電率を下げる傾向がある。単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を一般に、例えば、全電気的中性を維持するために、材料内部の他の成分と置き換えることができる。単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、得られる材料に望ましい特性を与えることができる。単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の量を選択して、所望の特性を生じることができ、同時に、材料に対する適切な化学的安定性を維持する。結晶性材料においては、格子位置で単数または複数のドーパント/添加剤元素をホスト元素と置き換えることができ、単数または複数のドーパント/添加剤元素は先に占有されていない格子位置に存在することができ及び/または単数または複数のドーパント/添加剤元素は格子間位置において位置することができる。結晶構造が単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の取り入れに影響を与える結晶性材料内部の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤と異なり、アモルファス材料内部の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、ホスト材料内部に溶解して固体混合物を形成する組成物としてより振る舞うことができる。従って、材料の全組成物は、得られる組み合わせた材料の処理パラメータ及び安定性を含む化学的性質に影響を与える。ホストアモルファス材料内部の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の溶解度は、緻密コーティング材料中に均一に組み込むことができる特定のドーパント/添加剤の量に影響を与え得る。
ドーパント、例えば希土類ドーパントは、一般に組成物中の金属/メタロイドの約15モル%未満の単数または複数の範囲内、さらなる具体例においては約10モル%未満の単数または複数の範囲内、幾つかの具体例においては約0.001モル%〜約5モル%の単数または複数の範囲内、及び他の具体例においては組成物中の金属/メタロイドの約0.025〜約1モル%の単数または複数の範囲内を占める。当業者であれば、本開示は同様に、こうした特定の範囲内の範囲を包含することは認識できよう。添加剤組成物は、一般により高い量で含まれる点以外はドーパント組成物と同様であるが、依然として組成物の少数成分である、すなわち、組成物の約50モル%未満の単数または複数の範囲内であり、この範囲内の任意の及び全ての限界点は予測されている。アモルファス材料の場合、単数または複数の添加剤は、調整剤またはガラス形成体と調整剤との間の中間組成物とすることができる。調整剤は、酸化物ガラス内部の酸素網目構造を引裂いて、ガラス特性、例えば流れ温度、熱膨張率、化学的耐久性及び屈折率を修正できる。従って、単数または複数の添加剤は、単数または複数のドーパントと同じ目的の多くのために有用となることができる。ドープした及びドーピングは、便宜上、それぞれ、ドーパント及び/または添加剤を有する材料及びドーパント及び/または添加剤を取り入れるプロセスを指すことができる。適切な単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、例えば、他の適切な単数または複数の元素の中でも単数または複数の希土類金属を含む。希土類ドーパントは、屈折率、感光性、蛍光及び常磁性のような特性の望ましい修正を与えることができる。
幾つかの具体例においては、例えば、ホスト材料中に1つ以上の金属/メタロイド元素及び、所望により、アモルファスホスト材料中に1つ以上の選択されたドーパント/添加剤を含む複雑な組成物を用いて、緻密コーティングを形成することができる。同様に、結晶性材料を、結晶性ホスト材料内部の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を用いて形成することができる。光反応性緻密堆積を使用して粒子を直接に堆積して粉末コーティングを形成し、それに続いて粉末コーティングをガラス、多結晶性または結晶性材料の均一な層に圧密化することによって、ドープした材料を形成することができる。他に、下記にさらに説明するように、圧密化された均一な材料中への取り入れのための形成に続いて、任意の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を粉末コーティングに導入することができる。
緻密コーティングを、光反応性緻密堆積を使用して複雑な組成物を用いて生成できる。反応物組成物を適切に導入して、所望のホスト材料を形成することによって、材料を所望の組成物を用いて形成することができる。組成物を修正する元素、例えばほぼ化学量論的な量で導入される元素並びに単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を、ホスト材料の形成の最中に適切なホスト材料中に導入することができ。特に、反応物流れの組成を変化させることによって、選択された元素を所望の量で導入することができる。反応器中の条件も、所望の材料を生成するために選択できる。
アモルファスコーティング、例えば、ガラスに関して、様々な材料が考察の対象となっているが、シリカ(SiO2)に基づくガラスが、その既存の工業的用途が理由となって考察の対象となっている。シリカと組み合わせてアモルファスホスト材料を形成するのに適した他のガラス形成材料は、例えば、Al2O3、Na2O、B2O3、P2O3、GeO2、及びその他同様なもの及びこれらの組合せを含む。従って、複数のガラス形成組成物を組み合わせて、所望の特性、例えば屈折率を有するブレンドされたガラスホスト組成物を形成することができる。ブレンドされたガラスホスト材料にさらなる材料をドープして、材料の特性をさらに調節できる。幾つかの非シリカガラスも光学的用途に非常に適しており、例えばジャーミネート(germinate)、ホスファート、アルミノカルシネート及びテルル化物である。幾つかの結晶性材料も、望ましい光学的性質を有する。
単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を導入して、緻密コーティングの特性、例えば光学的性質及び物理的性質を変化させることができる。例えば、単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を導入して、材料の屈折率を変化させることができ並びに他のドーパントの放出/利得帯域幅、及び吸収効率に影響を与える。光学的用途の場合、選択された周波数範囲の光を用いて稼働する特定の光学的装置を形成するために、屈折率を変化させることができる。単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を導入して、材料の処理特性を変更することもできる。単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤はまた、生じるガラスの物理的性質の例えば熱膨張率及び/または化学的耐久性を変更することができる。ドーパント/添加剤はまた、材料内部で相互作用できる。例えば、幾つかの単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤、例えばP2O5及びAl2O3を導入して、他の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の溶解度を増大させる。ドープした材料は、光学的装置の製造において有用である。本明細書において説明する技術を使用して、ドープした材料を、プレーナ光学的装置、電気的装置、電気化学的電池構成要素並びに他の装置及び構成要素中に配合することができる。
1具体例においては、考察の対象となっている材料は、複数のドーパント/添加剤を有する光学ガラスを形成するアモルファス組成物を含む。幾つかの具体例においては、1つまたは複数のドーパント/添加剤は希土類金属を含む。材料の光学的及び電気的性質の修正が理由となって、希土類金属は望ましいものとなり得る。加えて、希土類の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、光学的増幅器及び他の光学的装置の製造のための材料の適用を変更することができる発光特性に影響を与えることができる。希土類金属は、周期表のIIIb族の遷移金属を含む。特に、希土類元素は、Sc、Y及びランタニド系列を含む。他の適切な単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、アクチニド系列の元素を含む。光学ガラスの場合、ドーパント/添加剤として考察の対象となっている希土類金属は、Er、Yb、Nd、La、Ce、Tb、Dy、Ho、Sm、Eu、Gd、Pr、Tm、Sc、Y、及びその他同様なもの及びこれらの組合せを含む。適切な非希土類金属ドーパント/添加剤は、例えば、Al、Ga、Mg、Sr、Zn、Bi、Sb、Zr、Pb、Li、Na、K、Ba、W、Si、Ge、P、B、Te、Ca、Rb、Sn、In、Ti、Au、Ag、Ta、Mo、Nb、及びその他同様なもの及びこれらの組合せを含む。また、特定の第1列遷移金属は、スペクトルの可視または赤外領域における発光特性を有する。ドーパント/添加剤として望ましい光学的性質を有する適切な第1列遷移元素は、例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuを含む。発光の波長は、遷移金属の酸化状態に依存する。この酸化状態は一般に、堆積プロセスの最中に酸素分圧を調節することによって制御できる。
様々な材料が、レーザー熱分解を使用してサブミクロン/ナノスケール粒子として形成されている。こうした材料の幾つかを、以下の説明において説明する。光反応性緻密堆積を使用して、こうした材料を緻密コーティングとして直接に形成することができる。本明細書における説明に基づいて、一連の追加の材料を光反応性緻密堆積によって生成できる。
例えば、酸化ケイ素サブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Silicon Oxide Particles"と称するKumar et al.に付与された米国特許第6,726,990号において説明されている。この特許出願は、アモルファスSiO2の生成を説明している。酸化チタンサブミクロン/ナノスケール粒子及び結晶性二酸化ケイ素サブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Metal (Silicon) Oxide/Carbon Composites"と称するBi et al.に付与された米国特許第6,387,531号において説明されている。特に、この出願は、アナターゼ及びルチルTiO2の生成を説明している。
加えて、サブミクロン/ナノスケール酸化マンガン粒子が形成されている。こうした粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Metal Oxide Particles"と称するKumar et al.に付与された米国特許第6,506,493号において説明されている。この出願は、MnO、Mn2O3、Mn3O4及びMn5O8の生成を説明している。
また、酸化バナジウムサブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Vanadium Oxide NanoParticles"と称するBi et al.に付与された米国特許第6,106,798号において説明されている。同様に、銀バナジウムオキサイドサブミクロン/ナノスケール粒子は、両方とも"Metal Vanadium Oxide Particles"と称するHorne et al.に付与された米国特許第6,225,007号、及びReitz et al.に付与された米国特許第6,394,494号、並びに"High Rate Batteries"と称するGhantous et al.に付与された米国特許第6,503,646号において説明されており、この3つの全てを本明細書において参考のために引用する。
その上、リチウムマンガンオキサイドサブミクロン/ナノスケール粒子は、後に続く熱処理と共にまたは熱処理無しでレーザー熱分解によって生成されており、これは、"Composite Metal Oxide Particles"と称するKumar et al.に付与された米国特許第6,607,706号、"Reaction Methods for Producing Lithium Metal Oxide Particles"と称するKumar et al.に付与された米国特許第6,482,374号、及び"Lithium Manganese Oxides and Batteries"と称するHorne et al.に付与された米国特許第6,136,287号において説明されている通りであり、この3つの全てを本明細書において参考のために引用する。リチウムコバルトオキサイド、リチウムニッケルオキサイド、リチウムコバルトニッケルオキサイド、リチウムチタンオキサイド及び他のリチウム金属酸化物の生成は、本明細書において参考のために引用する"Lithium Metal Oxides"と称するKumar et al.に付与された米国特許第6,749,648号において説明されている。
酸化アルミニウムサブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Aluminum Oxide Particles"と称するKumar et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/136,483号において説明されている。特に、この出願は、γ−Al2O3の生成を開示している。ドープした結晶性及びアモルファスアルミナと共にレーザー熱分解/光反応性堆積によるデルタ−Al2O3及びシータ−Al2O3を形成することは、本明細書において参考のために引用する"Aluminum Oxide Powders"と称するChiruvolu et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/969,025号において説明されている。
アモルファス酸化アルミニウム材料を、他のガラス形成体、例えばSiO2及び/またはP2O5と組み合わせることができる。例えば、光学ガラス形成のための酸化アルミニウムのための適切な金属酸化物の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、酸化セシウム(Cs2O)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化タリウム(Tl2O)、酸化リチウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)、及びその他同様なもの及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。ガラスの単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、例えば、ガラスの屈折率及び/または多孔性に影響し得る。赤外放射体のための適切な金属酸化物ドーパント/添加剤は、例えば、酸化コバルト(CO3O4)、Er2O3、CrO2、Tm2O3、Nd2O3、Yb2O3、Pr2O3、Dy2O3、Ho2O3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
加えて、酸化スズサブミクロン/ナノスケール粒子はレーザー熱分解によって生成されており、これは、本明細書において参考のために引用する"Tin Oxide Particles"と称するKumar et al.に付与された米国特許第6,200,674号において説明されている通りである。酸化亜鉛サブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Zinc Oxide Particles"と称するReitzに付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/266,202号において説明されている。特に、ZnOサブミクロン/ナノスケール粒子の生成を説明している。
希土類金属酸化物粒子、希土類をドープした金属/メタロイド酸化物粒子、希土類金属/メタロイド硫化物及び希土類をドープした金属/メタロイド硫化物のサブミクロン/ナノスケール粒子及び対応するコーティングは、本明細書において参考のために引用する"High Luminescence Phosphor Particles"と称するKumar et alに付与された米国特許第6,692,660号において説明されている。蛍リン光体の形成のための適切なホスト材料は、ZnO、ZnS、Zn2SiO4、SrS、YBO3、Y2O3、Al2O3、Y3Al5O12及びBaMgAl14O23、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤として蛍リン光体粒子を活性化するための模範的な非希土類金属は、例えば、マンガン、銀、鉛、及びその他同様なもの及びこれらの組合せを含む。金属酸化物蛍リン光体を形成するための模範的な希土類金属は、例えば、ユウロピウム、セリウム、テルビウム、エルビウム及びその他同様なもの及びこれらの組合せを含む。一般に、重金属イオンまたは希土類イオンを蛍リン光体中の活性化剤として使用する。蛍リン光体用途の場合、粒子は一般に結晶性である。
鉄、酸化鉄及び炭化鉄の生成は、本明細書において参考のために引用する"Nanocrystalline α-Fe, Fe3C, and Fe7C3 produced by CO2 laser pyrolysis," J. Mater. Res. Vol. 8, No. 7 1666-1674 (July 1993)と称するBi et al.による発表において説明されている。銀金属のサブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用する"Metal Vanadium Oxide Particles"と称するReitz et al.に付与された米国特許第6,394,494号において説明されている。レーザー熱分解によって生成するサブミクロン/ナノスケール炭素粒子は、本明細書において参考のために引用する"Nanoscale carbon blacks produced by CO2 laser pyrolysis," J. Mater. Res. Vol. 10, No. 11, 2875-2884 (Nov. 1995)と称するBi et al.による参考文献において説明されている。
低速レーザー熱分解による硫化鉄(Fe1−xS)サブミクロン/ナノスケール粒子の生成は、本明細書において参考のために引用するBi et al., Material Research Society Symposium Proceedings, vol. 286, p. 161-166 (1993)において説明されている。硫化鉄のレーザー熱分解生成のための前駆体は、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)及び硫化水素(H2S)だった。蒸気送達のための他の適切なガス状硫黄前駆体は、例えば、ピロスルフリルクロライド(S2O5Cl2)、塩化硫黄(S2Cl2)、塩化スルフリル(SO2Cl2)、塩化チオニル(SOCl2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切な硫黄前駆体は、例えば、硫酸アンモニウム((NH4)2S)、硫酸(H2SO4)、及びその他同様なもの、及び水中に可溶の任意のこれらの組合せを含む。他の金属/メタロイド硫化物材料を同様に生成できる。
金属ボレートを、1つ以上の金属前駆体及びホウ素前駆体を使用して同様に形成できる。具体的な例として、TiB2は電池用途における潜在的な有用性を有する。適切なチタン前駆体は、例えば、四塩化チタン(TiCl4)、チタンイソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。適切なホウ素前駆体は、例えば、三塩化ホウ素(BCl3)、ジボラン(B2H6)、BH3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
酸化セリウムを、上記に説明したレーザー熱分解装置を使用して生成できる。エアロゾル送達のための適切な前駆体は、例えば、硝酸第一セリウム(Ce(NO3)3)、塩化第一セリウム(CeCl3)、シュウ酸第一セリウム(Ce2(C2O4)3)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。同様に、酸化ジルコニウムを上記に説明したレーザー熱分解装置を使用して生成できる。エアロゾル送達のための適切なジルコニウム前駆体は、例えば、塩化ジルコニル(ZrOCl2)、硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
チップキャパシタのための誘電体材料のコーティングの堆積は、本明細書において参考のために引用する"Reactive Deposition For The Formation Of Chip Capacitors"と称するBryanに付与された同時係属の米国特許出願第10/219,019号において説明されている。適切な誘電体材料は、所望により他の金属酸化物と混合したチタン酸バリウム(BaTiO3)の大部分を含む。適切な単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を有するセラミックチップキャパシタ中への取り入れに適した他の誘電体酸化物は、例えば、SrTiO3、CaTiO3、SrZrO3、CaZrO3、Nd2O3−2TiO3、La2O3−2TiO2、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上を含む。
ケイ酸アルミニウム及びアルミニウムチタネートの三元サブミクロン/ナノスケール粒子の生成を、本明細書において参考のために引用する"Metal Vanadium Oxide Particles"と称するReitz et al.に付与された米国特許第6,394,494号において説明されている銀バナジウムオキサイドサブマイクロ/ナノスケール粒子の生成と同様の手順に従って、レーザー熱分解によって実行することができる。ケイ酸アルミニウムの生成のための適切な前駆体は、蒸気送達のために、塩化アルミニウム(AlCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)、及びその他同様なものの混合物、及びこれらの組合せ、並びに、エアロゾル送達のために、テトラ(N−ブトキシ)シラン及びアルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH3)2)3)の混合物、テトラエトキシシラン及び硝酸アルミニウム、またはテトラエトキシシラン及び塩化アルミニウム、またはテトラエトキシシラン及びアルミニウムイソプロポキシド、及びその他同様なものの混合物、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。同様に、アルミニウムチタネートの生成のための適切な前駆体は、エアロゾル送達のために、硫酸中に溶解させた硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)及び二酸化チタン(TiO2)粉末の混合物、アルミニウムイソプロポキシド及びチタンイソプロポキシド(Ti(OCH(CH3)2)4)の混合物、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
複雑な陰イオンを有する金属/メタロイド組成物のコーティングと共にサブミクロン/ナノスケール粒子を形成することは、本明細書において参考のために引用する"Phosphate Powder Compositions And Methods For Forming Particles With Complex Anions"と称するChaloner-Gill et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/845,985号において説明されている。適切な多原子陰イオンは、例えば、リン酸塩(PO4 −3)、硫酸塩(SO4 −2)、ケイ酸塩(SiO4 −4)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。リン酸塩陰イオンを形成するための適切なリン前駆体、硫酸塩陰イオンを形成するための硫黄前駆体及びケイ酸陰イオンを形成するためのケイ素前駆体は上記に検討した。適切な陽イオンは、例えば、金属及びメタロイド陽イオンを含む。リン酸塩ガラスを様々な情況において使用できる。ガラスのためのリン酸塩組成物は、例えば、リン酸アルミニウム(AlPO4)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。蒸気送達のための適切なガス状リン酸塩前駆体組成物は、例えば、ホスフィン(PH3)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、オキシ塩化リン(POCl3)、P(OCH3)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なリン前駆体は、例えば、(C2H5O)3P、(C2H5O)3PO、リン酸アンモニウム((NH4)3PO4)、リン酸アンモニウム−二塩基((NH4)2HPO4)、リン酸アンモニウム−一塩基((NH4)H2PO4)、リン酸(H3PO4)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含み、これらは全て水中に中程度に可溶である。
炭化ケイ素及び窒化ケイ素のレーザー熱分解による合成は、本明細書において参考のために引用する"Particle Dispersions"と称するReitz et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/433,202号において説明されている。他の金属/メタロイド炭化物及びメタ/メタロイド窒化物を同様に生成できる。
ホウ素及びリンをドープしたアモルファスシリカ(SiO2)を含む粉末コーティングの形成は、本明細書において参考のために引用する"Coating Formation By Reactive Deposition"と称するBi et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第09/715,935号において説明されている。ドープしたシリカ粉末コーティングを、ガラス層に圧密化した。アモルファス粒子及び粉末コーティングのための希土類金属及び他のドーパント並びに粉末コーティング、特に、エルビウムをドープしたケイ酸アルミニウム及びアルミニウム−ランタン−シリケート粉末コーティング及びガラスのための複雑なガラス組成物は、本明細書において参考のために引用する2002年3月15日に出願された"Optical Materials And Optical Devices"と称するHorne et al.に付与された同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第10/099,597号において説明されている。
光学的用途のための特に考察の対象となっている幾つかのホストガラス形成材料及び/または単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤のために、適切な前駆体を、前駆体材料の代表的な一覧として説明できる。このような代表的な一覧は後に続く。
蒸気送達のための適切なケイ素前駆体は、例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)、トリクロロシラン(Cl3HSi)、トリクロロメチルシランCH3SiCl3、テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4、また、エチルシラン及びテトラエチルシランとして周知である)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。適切なホウ素前駆体は、例えば、三塩化ホウ素(BCl3)、ジボラン(B2H6)、BH3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。蒸気送達のための適切なリン酸塩前駆体組成物は、例えば、ホスフィン(PH3)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、オキシ塩化リン(POCl3)、P(OCH3)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。適切なゲルマニウム前駆体は、例えば、GeCl4、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。適切なチタン前駆体は、例えば、四塩化チタン(TiCl4)、チタンイソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。適切な液体アルミニウム前駆体は、例えば、アルミニウムs−ブトキシド(Al(OC4H9)3)、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3、トリメチルアンモニアアルミニウムAl(CH3)3NH3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。多数の適切な固体アルミニウム前駆体組成物が入手可能であり、このような組成物は、例えば、塩化アルミニウム(AlCl3)、アルミニウムエトキシド(Al(OC2H5)3)、アルミニウムイソプロポキシド(Al[OCH(CH3)2]3)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。適切なテルル前駆体は、例えば、Te(C2H5)2、Te(CH3)2、Te(C3H7)2、Te(C4H9)2、Te(C3H4)2、Te(CH3C3H4)2、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
希土類金属前駆体に関して、蒸気送達のための適切な前駆体は、例えば、エルビウムヘプタフルオロジメチルオクタンジオネート、Er(C11H19O2)3、Yb(C11H19O2)3、Pr(C11H19O2)3、Nb(C11H19O2)3、Tm(C11H19O2)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。他の望ましい金属の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤のための幾つかの代表的な前駆体は、例えば、液体亜鉛前駆体組成物、例えばジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)、ジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。ガス状送達の十分な蒸気圧を有する適切な固体亜鉛前駆体は、例えば、塩化亜鉛(ZnCl2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。蒸気送達のための適切なリチウム前駆体は、例えば、固体、例えば酢酸リチウム(Li2O2CCH3)、液体、例えばヘキサン中に溶解するリチウムアミド(LiNH2)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
エアロゾル生成のための適切なケイ素前駆体は、例えば、エーテル中に可溶の四塩化ケイ素Si(Cl4)、四塩化炭素中に可溶のトリクロロシラン(Cl3HSi)、アルコール中に可溶のコロイドシリカ、Si(OC2H5)4、Si(OCH3)4、(CH3)3SiOSi(CH3)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。同様に、エアロゾル送達のための適切なホウ素前駆体は、例えば、水及び様々な有機溶媒中に可溶のアンモニウムボレート((NH4)2B4O7)、B(OC2H5)3、B(C2H5)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なリン前駆体は、例えば、全て水中に中程度に可溶のリン酸アンモニウム((NH4)3PO4)、リン酸アンモニウム−二塩基((NH4)2HPO4)、リン酸アンモニウム−一塩基((NH4)H2PO4)及びリン酸(H3PO4)、並びにアルコール及びエーテル中に可溶のOP(OC2H5)3、P(OC2H5)3、OP(OCH3)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なアルミニウム前駆体は、例えば、多くの有機溶媒中に可溶の塩化アルミニウム(AlCl3・6H2O)、並びに水中に可溶の硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)及びアルミニウムヒドロキシクロライド(Al2(OH)5Cl・2H2O)、並びにAl(C2H5)3、Al(OC4H9)3、Al(C5H7O2)3、Al(C18H35O2)3、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なチタン前駆体は、例えば、Ti(N(CH3)2)4)、TiO2OH、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なゲルマニウム前駆体は、例えば、Ge(OC2H5)3、Ge(OCH3)4、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なテルル前駆体は、例えば、アルコール中に可溶のTeCl4、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。
同様に、希土類の単数または複数のドーパント/添加剤前駆体をエアロゾルとして供給できる。エアロゾル送達に適した幾つかの代表的な希土類前駆体を、適切な溶媒と共に下記に提出する。塩化イットリウム(YCl3)及び硝酸イットリウム(Y(NO3)3)は水中に可溶である。塩化ランタン(LaCl3及びLaCl3・7H2O)及び硝酸ランタン六水和物(La(NO3)3・6H2O)は水中に可溶である。ツリウムクロライド(TmCl3及びTmCl3・7H2O)は水中に可溶である。塩化イッテルビウム(YbCl3及びYbCl3・6H2O)は水中に可溶である。塩化プラセオジム(PrCl3及びPrCl3・7H2O)及び硝酸プラセオジム六水和物(Pr(NO3)3・6H2O)は水中に可溶である。塩化ネオジム(NdCl3及びNdCl3・6H2O)及び硝酸ネオジム六水和物(Nd(NO3)3・6H2O)は水中に可溶である。塩化エルビウム(ErCl3及びErCl3・6H2O)は水中に可溶である。他の適切な希土類の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、例えば、Er(NO3)3、CeCl3及びCe(NO3)3を含む。
他の非希土類金属の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤もエアロゾルによって送達できる。例えば、塩化亜鉛(ZnCl2)及び硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)は、水及び幾つかの有機溶媒、例えばイソプロピルアルコール中に可溶である。溶液からのエアロゾル送達のための適切なリチウム前駆体は、例えば、水及びアルコール中に可溶の酢酸リチウム(LiCH3CO2)及び硝酸リチウム(LiNO3)、ある程度水、アルコール及び幾つかの他の有機溶媒中に可溶の塩化リチウム(LiCl)、ある程度水及びアルコール中に可溶の水酸化リチウム(LiOH)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。エアロゾル送達のための適切なビスマス前駆体は、例えば、希水性酸溶液中に可溶の硝酸ビスマス(Bi(NO3)3)、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。三塩化アンチモン(SbCl3)はアルコール中に可溶である。アジ化バリウム(Ba(N3)2及びBa(N3)2・Η2O)及び塩化バリウム(BaCl2)は水中に可溶である。エアロゾル送達に適した他のバリウム化合物は、例えば、Ba(C2H3O2)2、Ba(C2H3O2)2・Η 2O、Ba(C2H3O2)2・H2O及びこれらの組合せを含む。適切なアンチモン前駆体は、例えば、Sb(C2H5)3、Sb(OC2H5)3、Sb2(C4H4O6)3・6H2O及びこれらの組合せを含む。
上記に言及したように、フッ素の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤は、幾つかの用途のために考察の対象となっている。ホスファートコーティングシリカガラスの場合、特に考察の対象となっているフッ化物前駆体は、例えば、三フッ化リン(PF3)を含み、これはガスであり、その結果、これはレーザー熱分解/光反応性堆積チャンバ中への蒸気送達に適している。蒸気及び/またはエアロゾル送達のための他のフッ化物前駆体は、例えば、(C2H5O)3SiF、(C2H5O)2SiF2、(C2H5O)SiF3、(C2H5)2SiF2、C2H5SiF3、C6H5SiF3、H2SiF6・xH2O、SiF4、Si4F3Cl、SiF2Cl2、SiFCl3、HPO2F2、HPF6・6H2O、(i−C3H7O)2POF、H2PO3F、CF4、CF3COCF3・H2O、AlF3、SnF2、SnF4、GeF2、GeF4、GeF3Cl、GeF2Cl2、GeFCl3、TiF4、FCH2CO2H、C2F6、CCl2F2、BF3・2H2O、[(CH3)2N]2BF、C6H5BF2、(4−CH3C6H4)BF2、(4−CH3C6H4)BF2、HBF4、及びその他同様なもの、及びこれらの任意の2つ以上の組合せを含む。塩素の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を、金属/メタロイド元素の塩化物としてまたはフッ素と同様の化合物中に導入できる。炭素及び窒素の単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤を、他の前駆体と関連する元素として導入でき、炭素をエチレンまたは他の炭化水素として供給できる。
一般に、コーティング材料の組成の選択は、材料の用途に基づく。同様に、任意のドーパント/添加剤は同様に選択される。緻密コーティングの得られた特性は組成に依存し、これは、任意のドーパント/添加剤及び単数または複数の相、例えば、コーティングの結晶化度またはアモルファス性質、並びにコーティング厚さ及び空間的広がりを含む。幾つかの用途のための望ましい特性を、特定の組成物に関してまたはより一般に上記にいくらか詳しく説明した。
コーティング特性
光反応性緻密堆積は、高品質緻密コーティングの高速形成のための多能のアプローチである。コーティングは比較的に緻密に形成されるが、幾つかの具体例における密度は、十分に緻密なバルク材料の密度未満となり得る。密度を制御することによって、幾つかの制限された多孔性を緻密コーティング内部に導入できる。しかしながら、コーティングは比較的に緻密なので、コーティングは一般に機械的安定性を有する。機械的に安定な層内部に若干の多孔性を選択するためのこの多能性は、例えば、低誘電体材料並びに燃料電池電極の形成のために有用となり得る。同時に、コーティングを、特定のコーティングにわたって並びに同等の条件下で実行する異なる基板表面でのコーティング同士の間の両方で、平滑な面及び高い程度の均一性を有して形成できる。
緻密コーティングの相対密度を、同じ組成物の十分に緻密化した材料に対して評価する。一般に、光反応性緻密堆積を使用して形成した緻密コーティングの場合の相対密度は、少なくとも約0.65の単数または複数の範囲内、他の具体例においては約0.7〜約0.99の単数または複数の範囲内、幾つかの具体例においては約0.75〜約0.98及びさらなる具体例においては約0.80〜約0.95の単数または複数の範囲内である。当業者であれば、こうした特定の範囲内の追加の範囲は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。光反応性緻密堆積は、十分に緻密化した材料とほぼ同じ密度を有する緻密コーティングを形成できる。コーティングの前及び後に基板に重みをつけ、重量をコーティングの体積で割ることによって、緻密コーティングの密度を評価することができる。一般に、単結晶性材料または結晶性領域の場合、コーティングの密度は、ほぼバルク材料の密度であると予想されると思われるが、不完全性はこの密度を変更し得る。多結晶性及びアモルファス材料の場合、密度はより大きな変化を有し得る。密度の減少は、表面の測定可能な多孔性と関連することがあるし関連しないことがある。
加えて、材料の密度を、エッチレートの評価によって間接的に評価することができる。広範囲のエッチングアプローチは、対応する材料に関して当分野において周知である。密度に関連した情報のためにエッチレートを使用する例は、例えば、"Method of Densifying Silicate Glasses"と称するKernに付与された米国特許第3,850,687号、"Method for Detecting Crystal Defects in a Silicon Single Crystal Substrate"と称するMajima et al.に付与された米国特許第5,766,976号、及び"Method of Measuring Crystal Defects in thin Si/SiGe Bilayers"と称するBedell et al.に付与された米国特許第6,803,240号において説明されており、この3つの全てを本明細書において参考のために引用する。幾つかの具体例においては、エッチレートを、同等の組成及び既知の密度を有する材料のエッチレートと比較することができる。
特定の目的を得るために、コーティングの特徴を、コーティングの層の組成並びに基板表面の材料の位置に関して変化させることができる。一般に、装置を形成するために、コーティング材料を、基板表面の特定の位置に局在化することができる。加えて、コーティング材料の多数の層を制御された仕方で堆積して、様々な組成を有する層を形成することができる。同様に、コーティングは均一な厚さを生じることができるか、または、基板の異なる部分を異なる厚さのコーティング材料でコーティングすることができる。例えば、粒子ノズルに対する基板の迅速な通過速度を変化させることによって、より厚いコーティングを受ける基板の一部分の多数の迅速な通過を行うことによって、または、例えば、マスクを用いて層をパターン形成することによって、異なるコーティング厚さを適用できる。コーティング材料の選択的な堆積のためのアプローチは上記に説明した。他にまたは加えて、層は、堆積に続いてエッチングまたはその他同様なものによって輪郭をもつことができる。
従って、材料の層は、本明細書において説明するように、他の層と同じ平坦な広がりを有しない特定の層を含んでよい。例えば、幾つかの層は、基板表面全体またはこの大きな部分を被覆してよいが、他の層は、基板表面のより小さな部分を被覆する。このようにして、層は1つ以上の局在した装置を形成できる。平坦な基板に沿った任意の特定の箇所で、構造を通る断面図は、表面に沿った別の箇所と異なる数の特定可能な層を示してよい。光反応性緻密堆積装置を使用して、厚いコーティングを形成できる。しかしながら、アプローチは、適切なコーティング厚さは一般に中程度または小さい用途のための高品質コーティングを形成するための利点を有し、非常に薄いコーティングを適切に形成することができる。厚さを、構造が最大表面積を有する投影面(project plane)と直交するように測定する。幾つかの用途の場合、緻密コーティングは、約2000ミクロン以下の単数または複数の範囲内の、他の具体例においては、約500ミクロン以下の単数または複数の範囲内の、追加の具体例においては、約50ナノメートル〜約100ミクロンの単数または複数の範囲内の及びさらなる具体例においては、約100ナノメートル〜約50ミクロンの単数または複数の範囲内の厚さを有する。当業者であれば、こうした明白な範囲内の単数または複数の追加の範囲及び下位範囲は予測されており、本開示内に包含されることは認識できよう。
本明細書において説明するアプローチは、層内部及び同等の条件下で形成された層同士の間の非常に高い均一性を有する緻密コーティング層の形成に対処したものである。緻密コーティング層の厚さを、例えば、断面の調査を用いる走査型電子顕微鏡(SEM)、例えば日立(Hitachi)から入手可能なSEM装置、分光光度法に基づく膜分析装置、例えばフィルムテクTM4000(サイエンティフィック・コンピューティング・インターナショナル、カールズバッド、CA)(Film TekTM 4000 (Scientific Computing International, Carlsbad, CA))、またはプリズムカップリングに基づく装置、例えば2010プリズムカップラー(メトリコンCorp.、ペニントン、NJ)(2010 Prism Coupler (MetriconCorp., Pennington, NJ))を用いて測定することができる。緻密コーティング材料の層にわたって厚さ変化を測定するために、厚さを、例えば、メトリコンプリズムカップラーを使用して膜にわたって9箇所で測定できる。加えてまたは他に、SEM分析を、断面上で、例えば、第1の方向に沿って約10箇所及び直交する方向にわたって約10箇所で実行することができる。フィルムテクTM分光光度法装置を用いて、装置を自動化して、所望の数の箇所で、一般に9以上、及びさらなる具体例においては、10、20、30以上の箇所で測定できる。平均及び標準偏差を、こうした測定から得ることができる。こうした測定装置の幾つかは、光学ガラス材料を用いる使用に適しているのみである。コーティング層の厚さ及び厚さ均一性を評価する際に、縁部に沿って1センチメートル帯を除外する。幾つかの具体例においては、面積少なくとも約25平方センチメートルを有する基板表面の厚さの1つの標準偏差は、約0.5ミクロン未満の単数または複数の範囲内、他の具体例においては約0.35ミクロン未満及びさらなる具体例においては約0.075〜約0.25ミクロンとすることができる。加えて、同等の条件下でコーティングした複数の基板同士の間の平均厚さの標準偏差は、約0.1ミクロン未満、他の具体例においては約0.08ミクロン未満及びさらなる具体例においては約0.04〜約0.06ミクロンとすることができる。当業者であれば、上記の明白な範囲内の層内及び異なるウェーハの層同士の間の厚さの追加の偏差は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。
その上、基板表面の緻密コーティングのための非常に低い表面粗さを実現することができる。表面粗さを一般に、比較するために表面の特定の区域に対して評価する。時間及び分解能の問題が理由となって、様々な技術が特定の区域上での表面粗さの評価に特に適していることができる。例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して、基板の約20ミクロン×20ミクロンの面積上で根二乗平均表面粗さを評価することができ、これを本明細書においてRAFMと呼ぶ。適切なAFM装置は、例えば、デジタル・インスツルメンツ(サンタバーバラ、CA)モデルナノスコープ(登録商標)4(Digital Instruments (Santa Barbara, CA) Model Nanoscope(登録商標) 4)を含む。本明細書において説明する技術を使用して、RAFM値及び同様に平均粗さ値(Ra)を、約0.5ナノメートル(nm)以下の範囲内、及び他の具体例においては約0.1nm〜約0.3nmの範囲内で得ることができる。干渉分析法を使用して、表面粗さ測定をより大きな面積、例えば480ミクロン×736ミクロン上で得ることができる。干渉分析法プロファイラーは、表面粗さをサブナノメートルからミリメートルのスケールで測定できる光学的非接触技術である。デジタル信号処理を使用して表面プロファイル測定を得る適切な干渉分析法プロファイラーは、ビーコインスツルメンツInc.(ウッドベリ、NY)(Veeco Instruments Inc. (Woodbury, NY))からのワイコシリーズプロファイラー(Wyko series profiler)である。光反応性緻密堆積を使用して、480ミクロン×736ミクロン上で根二乗平均表面粗さ(Rrms)値及び同様に平均表面粗さ(Ra)を、約10nm以下の範囲内及びさらなる具体例においては約1nm〜約5nmで得ることができる。当業者であれば、明白な範囲内の表面粗さの追加の範囲は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。
緻密コーティング材料の追加の処理
緻密コーティングを、意図された用途のために選択された形態で本質的に堆積できるが、幾つかの追加のプロセスが必要になり得るかまたは望ましくなり得る。例えば、幾つかの処理は、コーティングの品質を、例えば結晶化度または純度に関してさらに改良することができる。他の処理は、材料の組成物を修正できかまたは追加の組成物をコーティングに加えることができる。幾つかの追加の処理は、熱の適用を含むことができるが、処理温度は一般に、粉末コーティングを緻密コーティングに圧密化するために使用される温度よりもかなり低い。別の組成物を緻密コーティングに加えるために、このようなプロセスは、熱の適用を含んでも含まなくてもよい。
コーティングは緻密に形成されるので、コーティングの焼結または他の主要な圧縮は一般に必要ない。従って、緻密コーティングを一般に、流れ温度、例えば融点またはガラス転移温度まで加熱しない。しかしながら、材料を加熱して、材料をアニールして均一性を改良することができる。この加熱は、密度の対応する増大を有して材料の若干の圧縮をもたらし得る。アニーリング温度は一般に、摂氏単位で流れ温度の約60%以下、及び他の具体例においては流れ温度の約50%以下である。このような加熱は、加熱を酸化雰囲気中で実行する場合、幾つかの不純物、例えば炭素不純物を除去できる。一般に、緻密コーティングをこうした条件下で加熱することは、材料の構造、すなわち、アモルファス、多結晶性または結晶性を変更しない。適切な処理温度及び時間は一般に、緻密コーティングの組成物に依存する。
緻密層の堆積に続いて、前駆体を遮断することができ、その結果、反応物流れは、凝縮性材料無しでガス状/蒸気生成物を形成するために反応する燃料及び酸素源を含むのみである。燃料及び酸素源の反応から生じる火炎を使用して、基板表面に任意の追加の材料を堆積することなくコーティング済み基板を加熱することができる。火炎加熱工程を、コーティング工程同士の間または幾つかの層の堆積の後に実行することができ、ここで、各コーティング層は、他の層と同じ組成物を有しても有しなくてもよい。以下において説明するように、追加の加熱工程も、基板を反応器から除去した後に実行することができる。
熱処理を適切なオーブン中で実行することができる。ガスの圧力及び/または組成に関してオーブン中の雰囲気を制御することが望ましいかもしれない。適切なオーブンは、例えば、誘導電気炉、ボックス炉または管炉を含み、単数または複数のガスはコーティング済み基板を含む空間を通って流れる。熱処理を、コーティングチャンバからのコーティング済み基板の除去に続いて実行することができる。他の具体例においては、熱処理をコーティングプロセス中に組み込み、その結果、処理工程を装置中で自動様式で逐次実行することができる。
多くの用途にとって、様々な組成物を有する多数の緻密コーティングを適用することが望ましい。一般に、こうした多数の緻密コーティングを、コーティングされる基板のx−y平面にわたって互いに隣接させて(例えば、生成物流れに対する基板の運動の方向と直交する)、またはコーティングされる基板のz平面にわたって1つを他のものの上に積み重ねて、または隣接する領域及び積み重ねた層の任意の適切な組合せで配置することができ。各コーティングを所望の厚さに適用できる。
幾つかの具体例の場合、層内部及び/または隣接する層中に異なる組成物を互いに隣接させて堆積できる。同様に、異なる組成物の別個の層を交互の層で堆積できる。特に、異なる組成物を有する2つの層を、1つを他のものの上に、及びまたは加えてまたは他に、1つを他のものの隣に堆積でき、例えば層A及び層BはABとして形成される。他の具体例においては、各々異なる組成物を有する2つを超える層を堆積でき、例えば層A、層B及び層Cを、3つの逐次的な(例えば、1つを他のものの上に積み重ねるか、または他のものに隣接させるか、または隣接させ、積み重ねる)層ABCとして堆積する。同様に、異なる組成物を有する層の交互の連続を形成することができ、例えばABABAB...またはABCABCABC...である。特定の組成物及び/または光学的性質を有する層の他の組合せを、希望に応じて形成することができる。
多数の粒子コーティングを有する材料を、各層の堆積の後にまたは多数の層の堆積若しくは2つのアプローチの幾つかの組合せに続いて熱処理できる。一般に、しかしながら、複数の層を同時に熱処理することが望ましいかもしれない。特に、多数の層を同時に熱処理することは、製造プロセスの時間及び複雑さを低減し、従って、製造コストを低減することができる。加熱温度を妥当な値で選ぶ場合、コーティング材料のいずれも流れ温度近くの点まで加熱されず、その結果、層または層内部の境界は界面で溶け合わない。パターン形成された構造を堆積に続いて形成するために、パターン形成アプローチ、例えばリソグラフィ及びフォトリソグラフィを、エッチング、例えば化学エッチング、ドライエッチングまたは照射に基づくエッチングと共に使用して、1つ以上の層中に所望のパターンを形成できる。このパターン形成を一般に、追加の材料の堆積の前に構造に関して実行する。
緻密コーティング生成のために反応物流れ中に元素を適切に導入することによって組成物を堆積の最中に選択できるが、他にまたは加えて、粉末コーティング組成物を、緻密コーティングの形成に続いて、全体としてまたはその選択された区域で修正できる。組成物のこの修正は、多孔質緻密コーティングのために特に有効となることができるが、十分薄いコーティングの場合、こうしたアプローチを、十分に緻密なコーティングのために実行することができる。緻密コーティングの組成物修正は、ほぼ化学量論的な量の単数または複数の元素及び/または単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤の導入を含んでよい。アニーリング温度、例えば上記に検討した穏和な加熱温度での穏やかな加熱によって、1つ以上の追加の元素を緻密コーティング中に取り入れることができる。追加の単数または複数の元素を、反応チャンバ内部でまたは反応/コーティングチャンバからの除去に続いて緻密コーティングに適用できる。反応チャンバからのコーティング済み基板の除去に続いて、単数または複数の元素を緻密コーティングに適用する場合、追加の単数または複数の元素を、直接にまたはエレクトロマイグレーション堆積を使用して緻密コーティングに適用できる。
一般に、1つ以上の修正元素を、所望の元素を含む組成物として適用する。組成物中のいかなる残りの元素も一般に加熱プロセスの最中に揮発すると思われるが、組成物からの酸素または他の非金属/メタロイド元素も緻密コーティング中に取り入れてよいことが可能である。例えば、金属/メタロイド硝酸塩は、熱処理の最中に、ホスト材料中への金属/メタロイド元素の取り入れ及び組成物の対イオンを除去するための窒素酸化物の除去を含むことができる。組成物を、溶液、エアロゾルとして、及び/または粉末として緻密コーティングに適用できる。一般に、溶液の使用は、緻密コーティング上での及びこの中への溶液の流れによって、緻密コーティングに沿った組成物の均一な広がりを促進することができる。適切に粉末コーティングを湿らせる液体の体積の使用によって、修正元素の所望の量での組成物のより均一な分布に寄与するように溶液の濃度を選択することができる。界面活性剤及び/または溶媒の選択を使用して、表面張力を低減することができ、溶液の実質的に均一な広がりを促進することができる。修正元素を緻密コーティング中に取り入れるための緻密コーティングの熱処理の前に及び/または最中に、溶媒を蒸発させることができる。任意の界面活性剤を選択して、例えば、加熱工程の最中の分解によって揮発させることができる。
反応チャンバの反応物送達系を使用して、反応チャンバ内部で組成物を緻密コーティングに適用できる。特に、組成物を基板の全てまたはその選択された部分に適用するように組成物の溶液を反応物入口を通して噴霧することによって、修正元素を含む組成物をコーティング装置内部で適用できる。修正元素を含む組成物を、例えば、エアロゾルとしてエアロゾル送達系を使用して適用できる。照射ビームを、組成物の噴霧の最中に停止させるか、または、非常に低出力にして、組成物を反応させること無く溶媒の一部分を蒸発させることができる。上記に説明した反応物送達系を、未反応の組成物の送達のために適合させることができる。例えば、基板を、修正元素を有する溶液の送達流れを通して一定の速度で迅速に通過させることによって、コーティングプロセスを使用して、ほぼ均一なコーティングを緻密コーティングの上に適用できる。
他に、反応チャンバからの構造の除去に続いて、修正元素を緻密コーティングに適用できる。修正元素を、一般に、組成物の形態で、液体、エアロゾル及び/または粉末として、例えば、噴霧するか、はけ塗りするか、浸漬するかまたはその他同様なものによって緻密コーティングに適用できる。反応チャンバ内部で適用する溶液と同様に、溶液の濃度及び他の特性を選択して、緻密コーティング及び/または圧密化された材料に沿って修正元素の均一な分布を得ることができる。緻密コーティングの浸漬コーティングは、緻密コーティング上で組成物の均一な分布を得るための便利なアプローチとなることができる。
修正元素を有する組成物が緻密コーティング上で及びこれを通って自然移動することを許すのではなく、電場を使用して、ホストマトリックス中への単数または複数の修正元素のイオンを駆動することができる。特に、電気泳動またはエレクトロマイグレーション堆積を使用して、単数または複数の修正元素を材料中に導入することができる。このアプローチにおいて、電場を使用して、イオンを緻密コーティングのホストマトリックス中に駆動する。ホストイオンを含む溶液を、緻密コーティングと接触させる。一般に、電極を基板コーティングの後ろに置き、一方、対電極を溶液内部に置き、その結果、基板の後ろの電極に向かって駆動されたイオンは、緻密コーティング中に駆動される。希望するなら、各タイプの1を超える電極を使用できる。加えて、多数の修正元素をエレクトロマイグレーション堆積によって同時にまたは逐次に緻密コーティング中に導入することができる。コーティング中へのエレクトロマイグレーション堆積は、本明細書において参考のために引用する"Nanoparticle Production And Corresponding Structures"と称する同時係属であり共通に譲渡された米国特許出願第10/195,851号においてさらに説明されている。
溶液バリアを使用して溶液を緻密コーティングの一部分のみと選択的に接触させることによって、修正元素、例えば、単数または複数のドーパント/単数または複数の添加剤、を、緻密コーティングの選択された部分中に導入することができる。他にまたは加えて、緻密コーティングの一部分を、マスク、例えば電子処理において使用される従来のレジストを用いて被覆して、マスクされた領域中への修正元素の移動を妨げることができる。様々な修正元素のエレクトロマイグレーション堆積間のマスキングを変更することによって、多数の修正元素を逐次、コーティング済み基板の同じ及び/または異なる、しかし所望により重なり合う部分に適用できる。
緻密コーティングの使用
本明細書において説明する緻密コーティング技術を、広範囲の用途において有効に使用できる。様々なタイプの幾つかの特定の例を与えるために、太陽電池、光触媒保護硬質コーティング、透明電極、遮熱コーティング、誘電体膜、超伝導体層、金属コーティング、燃料電池のための用途、光学的用途及び電気的用途を検討し、並びに複雑な構造の一般的な説明を検討する。こうした用途の幾つかにおいて、緻密コーティングを基板表面にわたって適用できる。例えば、単一の緻密コーティング層またはこの一部分は、所望の機能を、多分コーティングとして他の材料上でまたはさもなければこれと組み合わせて提供できる。しかしながら、幾つかの用途の場合、1つ以上の層をパターン形成して、装置として機能できる局在化した構造を形成する。選択されたパターン形成は、簡単なものから複雑なものの範囲にわたることができ、装置のサイズを特定の用途のために適切に選択できる。
幾つかの用途においては、コーティングは本質的に基板表面を被覆して、所望の特性を提供する。幾つかの簡単なパターン形成は、表面の一部分を未コーティングのままにするために、またはコーティングの外から基板に近付けるようにするために、望ましいとすることができる。しかしながら、他の用途においては、より複雑なパターン形成は、より高度な集積された構造を形成するために望ましい。
材料のより複雑なパターン形成に関して、例えば、基板表面の電気的回路、光回路または他の構造の一部分となり得るパターン形成された層を、図21及び22に概略で示す。図21に示すように、回路600は、基板608表面の装置602、604、606を含む。装置602を含む断面図を図22に示す。装置602は、下層材料612、コア材料614及び上層材料616を含む。幾つかの具体例においては、下層及び/または上層を使用しなくてよい。一般に、コア材料614は、例えば、組成の相違、密度の相違、または結晶構造の相違の結果としてよい重要な特性において下層材料612及び上層材料616と異なり得る。下層材料612は、組成及び/または特性において上層材料616と異なっても異ならなくてもよい。幾つかの具体例においては、基板608を、例えば、ケイ素、アルミナまたは他の便利な平坦な材料から形成することができる。一般的な基板は円形のウェーハであるが、正方形または他の形状である基板を使用できる。また、非平坦な基板にコーティングでき、これは、特定の燃料電池具体例のために特に望ましくなり得る。
別の例においては、2つ以上の層の形成の場合、制御された堆積またはエッチング工程を実行して、図23に概略で示す構造を生じることができる。層を光反応性緻密堆積を使用して堆積できる。輪郭をもつ構造630は、構造の残りの部分に隣接する1つ以上の支持層632、及び支持層632表面の1つ以上の輪郭をもつ層634を含む。輪郭をもつ層634は、差し入れられた間隔保持材料638を有する機能構造636を含む。図24に示すように、追加の上層材料640を、所望により、一般に、輪郭をもつ層634上に置くことができる。パターン形成の前及び/または後を含む適切な時点で、熱処理を実行することができる。また、1つ以上の層の形成の後に、追加の平坦化、例えば化学機械研磨を実行することができる。
パターン形成された構造は、図25に示すように、幾つかの垂直に集積された層を含む積み重ねた構造とすることができる。図25を参照すると、集積された超構造または超格子650は、3つの層652、654、656を含む。各層は一般に、複数の集積された装置658を含む。加えて、層同士の間に相互接続を形成するために、パターン形成された構造を使用できる。図26を参照すると、光反応性緻密堆積を用いて形成した層間相互接続660は、3つの層662、664、666を結び付け、装置668、670に接続する。層間相互接続660は、導電体、光学的材料とすることができ、または、これは他の機能特性を有することができる。
酸化チタンの薄層は、紫外光に応答して光触媒活性を有することを示した。光触媒材料、例えば結晶性酸化チタンの適切に薄い層は、可視光に対して透明な光触媒層を提供でき、一方、紫外光にさらされた時に光触媒活性を提供する。このような光触媒活性を、自己清浄型表面の形成のために利用できる。こうした自己清浄型表面は既に、例えば自己清浄型窓ガラスのための、かなりの工業的用途に供されている。光触媒表面の形成のための埋込み型粒子の使用は、本明細書において参考のために引用する"Ultraviolet Light Block and Photocatalytic Materials"と称するKambe et al.に付与された米国特許第6,099,798号においてさらに説明されている。板ガラスの上の光触媒コーティングの形成のためのアプローチは、例えば、"Method for Depositing Titanium Oxide Coatings on Flat Glass"と称するMcCurdyに付与された米国特許第6,238,738号、及び"Photocatalytically-Activated Self-Cleaning Article and Method of Making Same"と称するGreenberg et al.に付与された米国特許第6,413,581号においてさらに説明されており、この両方を参考のために引用する。光反応性緻密堆積は、窓ガラス及び他の基板表面に光触媒自己清浄型表面を形成するための効果的な他のアプローチである。
太陽電池は、電気の生成のための重要な代替物を提供する。太陽電池は、基板電極、電子供与層、電子受容層及び透明電極という基本的な構造を有する。幾つかの太陽電池構造においては、電子供与及び電子受容材料を、適切にドープした半導体材料から形成する。光反応性緻密堆積は、ドープしたケイ素の層の堆積のための適切なアプローチである。他の材料、例えば炭素材料を電子受容体として使用できる。表面積を増大させるために、波形表面の形成は、本明細書において参考のために引用する"Solar Cell"と称するKambe et al.に付与された米国特許第5,986,206号において説明されている。’206特許は、光伝導ポリマーと組み合わせて使用する微粒子電子受容材料の使用を説明している。光反応性緻密堆積を用いて、連続的な層を可撓性基板の上に形成することができる。可撓性基板をそれに続いて波形にして、波形太陽電池表面を形成する。他に、緻密堆積が波形基板表面の上に直接に存在する堆積プロセスの前に、可撓性基板を波形にすることができる。電子受容層、電子供与層、下にある電極層及び/または透明電極の堆積のために、光反応性緻密堆積を使用できる。
透明電極は、様々な用途、例えば上記の太陽電池用途及び様々なディスプレイ用途において重要である。透明電極を使用するディスプレイ用途は、例えば、液晶ディスプレイを含む。例えば、本明細書において参考のために引用する"Liquid Crystal Displays Having Multiple Domains and a Manufacturing Method Thereof"と称するSong et al.に付与された米国特許第6,710,837号を参照されたい。透明電極は、電極を通って装置中へのまたは装置からの可視光の透過を提供する一方、電気的伝導に対処したものである。一般に、透明電極は、装置内部の別の電極に対する対電極である。透明電極を、例えば、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、銀、金またはその他同様なものの薄層から形成することができる。こうした薄い電極コーティングを、上記に説明したように光反応性緻密堆積を使用して、形成することができる。
緻密コーティングはまた、保護コーティング、例えば硬質コーティングを形成するために使用できる。例えば、酸化アルミニウムは、様々な用途、例えば半導体用途において保護層として役立つ有用な硬質コーティングとなり得る。電気的回路のための硬質コーティングとしての酸化アルミニウム層の使用は、例えば、本明細書において参考のために引用する"Substrate for an Electrical Circuit System and a Circuit Using That Substrate"と称するSukonnik et al.に付与された米国特許第5,055,967号においてさらに説明されている。
緻密コーティングはまた、遮熱層として使用できる。遮熱コーティングは、材料を高い熱から保護する一連の用途において有用となり得る。熱からの保護のための適切な構造は、例えば、タービンブレード及び燃焼器構成要素を含む。遮熱コーティングは、例えば、イットリア安定化済みジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化ランタン、ランタンクロメート、酸化クロム、ランタンクロメートまたはこれらの組合せから形成することができる。遮熱コーティングは、本明細書において参考のために引用する"Article Protected by Thermal Barrier Coating Having a Sintering Inhibitor, and its Fabrication"と称するBruce et al.に付与された米国特許第6,821,641号においてさらに説明されている。
考察の対象となっている光学的装置は、例えば、光導波路装置、例えば光学的カップラー、スプリッター、アレイ状導波路格子(AWG)及びその他同様なものを含む。基板表面に製作された導波路を、プレーナ導波路と呼ぶ。プレーナ導波路は、光通信及び他のオプトエレクトロニクス用途のための集積された光回路の製造において有用である。考察の対象となっている他の光学的装置は、例えば、三次元光メモリ装置、ブラッグ格子、光学的減衰器、光学的スプリッター/カップラー、光フィルター、光スイッチ、レーザー、変調器、相互接続、光アイソレータ、光学的アド−ドロップマルチプレクサ(OADM)、光学的増幅器、光学的偏光子、光学的サーキュレータ、移相器、光学的鏡/反射体、光学的相リターダー、及び光学的検出器を含む。
特に考察の対象となっている他の装置は、フォトニック結晶(photonic crystal)を含む。フォトニック結晶は、約四分の一〜約1光学的波長の範囲にわたるフォトニック結晶の単位胞サイズを有する結晶性領域の配列したアレイである。例えば、可視光は、波長約380nm〜約780nmを有する。一般に、考察の対象となっているフォトニック結晶は、サイズ約100nm〜約1000nmを有する。適切な領域を、本明細書において説明するアプローチを使用してパターン形成できる。フォトニック結晶は、他の光学的装置と共に回路中に集積することができる。フォトニック結晶は、例えば、シリカ、チタニア、酸化亜鉛及びこれらのドープ版の結晶性領域の配列したアレイから形成することができる。配列したアレイのサイズが理由となって、フォトニック結晶は、任意の方向への光の伝播を防ぐフォトニックバンドギャップを有することができる。従って、フォトニック結晶を、自然放射の制御のために及び光の非常に鋭い曲げのために使用できる。
様々な機能材料を、電気的回路またはその他同様なものの中に取り入れることができる。適切な機能材料は、例えば、相互接続のための導電性材料、超伝導性材料、例えばイットリウムバリウム銅オキサイド(YBCO)、隣接する機能構成要素同士を絶縁するための低誘電体材料、高誘電体材料、半導性材料及び他の適切な材料を含む。上記に説明したように、適切な材料を緻密コーティングとして堆積でき、パターン形成できる。
特に考察の対象となっている別の用途は、電気化学的積み重ねまたはこの構成要素の形成に関連する。適切な電気化学的電池は、電池、燃料電池、電解槽またはその他同様なものとすることができるが、燃料電池を具体的な例としてさらに説明する。電池の場合、光反応性堆積を使用して、電流コレクター、電気活性電極、セパレーター、またはこれらの組合せを堆積することができる。燃料電池は一般に、直列の個々のセルを有する積み重ねを含む。各個々のセルは、アノード、カソード並びにアノード及びカソードを分離する電解質を含む。電気的相互接続または二極性プレートは、隣接するセルに直列で接続し、反応物のための流れチャネルをそれぞれの電極に提供することができる。積み重ねは一般に、燃料、酸素/酸化剤、熱及び廃棄物、例えば水及び二酸化炭素の流れを仲介する適切な容器中にある。積み重ねの端部の電流コレクターは、積み重ねを、出力送達のために外部回路に接続する。適切な制御系を使用して、反応物流れ及び燃料電池系の他の特徴を制御することができる。
図27を参照すると、積み重ね700は、相互接続/二極性プレート708、710によって分離された3つの個々のセル702、704、706を有する。電流コレクター712、714は、外部回路716に接続する。セル702、704、706は各々、アノード718、カソード720及び電解質722を含む。相互接続/二極性プレート708、710は、燃料を隣接するアノードへ及び酸素/酸化剤を隣接するカソードへ別個に送達するために前及び背面の別個の流れチャネルを有する。幾つかの具体例においては、相互接続/二極性プレートの向かい合う側面の表面の流れチャネルは互いに直交して(直交流)、燃料電池容器内部でのマニホルドへの接続を促進するが、他の構造を採用できる。共流れ構成においては、2つの反応物流れをセルを通して同じ方向に指向し、向流構成においては、反応物はセルを通して反対方向に流れて、ホットスポットを低減する。同様に、電流コレクター712、714は各々、隣接する電極への反応物の送達に対処したものである。アノードへの燃料の送達を、フローライン724を用いて概略で示し、カソードへの酸素の送達をフローライン726を用いて概略で示す。
膜電極組立体を分離する二極性プレートは、ステンレス鋼または黒鉛から形成することができる。しかしながら、ステンレス鋼は、時間と共に腐食し得、燃料電池性能の損失を生じる。加えて、黒鉛は、流れチャネルに関して機械加工しにくくなり得、比較的に高価になり得る。従って、ステンレス鋼または他の廉価な金属導体を耐食性コーティングでコーティングすることが望ましくなり得る。適切なコーティングは、例えば、銀、金、白金、パラジウム、銅、並びに導電性金属化合物、例えばTiNを含む。別の適切なコーティング材料は、例えば、ドープしたランタンクロメートであり、ここで、ドーパントは、例えば、Sr、Ca、Mg、Yまたはこれらの組合せとすることができる。原料は金属窒化物を含むことができる。次第に変化する組成物を有する多数の層を堆積して、電子伝導率、熱膨張率、接着、Cr蒸気不浸透性及び卑金属との化学的適合性のような特性並びにアノード及びカソード層に関して、望ましい熱的、化学的、機械的及び電気的性能のためにコーティングを適応させることができる。噴霧燃焼火炎熱分解(spray combustion flame pyrolysis)によるランタン金属酸化物の配向膜の堆積は、本明細書において参考のために引用する"Deposition of LaMO3 (M-Ni, Co, Cr, Al)-Oriented Films by Spray Combustion Flame Technique"と称するIchinose et al., Jpn. J. App. Phys. Vol. 33, pp 5907-5910 (1994)において説明されている。
その上、上記に言及したように、二極性プレートを、適切な導電性材料の光反応性緻密堆積によって堆積できる。導電性材料を、二極性プレート内部で流れチャネルを露出するように溶解する可溶の材料を用いてパターン形成できる。希望するなら、セル全体またはセルの積み重ねでさえも、光反応性緻密堆積によって堆積できる。
溶融炭酸塩型燃料電池においては、酸素は二酸化炭素と共に送達され、燃料は水素及び/または一酸化炭素とすることができる。半反応は:
アノード:H2+CO3 −2→H2O+CO2+2e−
CO+CO3 −2→2CO2+2e−
カソード:1/2O2+CO2+2e−→CO3 −2。
電解質は、溶融炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸カリウム、またはこれらの混合物である。電解質は、電気的に絶縁され化学的に不活性のセラミックマトリックス中に懸濁できる。電解質及びセラミックマトリックスは、光反応性緻密堆積によって共堆積できる。より高い稼働温度が理由となって、触媒材料は、アノードの場合ニッケルまたはニッケル−アルミニウム合金及びカソードの場合酸化ニッケルまたはリチウムをドープした他の遷移金属酸化物とすることができる。多孔質アノード及びカソード材料を、多孔質緻密コーティングとして光反応性緻密堆積を使用して堆積できる。溶融炭酸塩型燃料電池は、例えば、本明細書において参考のために引用する"Molten Carbonate Fuel Cell"と称するLee et al.に付与された公開された米国特許出願第2003/0072989A号においてさらに説明されている。
固体電解質型燃料電池は、特定の機会及び問題を提出する。こうした燃料電池は、腐食の問題を低減し、液体電解質の使用に関連した電解質管理問題を無くすセラミック固体電解質を使用する。一般に、酸素は、以下の反応に基づいてカソードで還元される。アノードで、水素、一酸化炭素またはメタンは、以下の反応に従って酸化されることができる:
アノード:H2+O−2→H2O+2e−、
CO+O− 2→CO2+2e−、
CH4+4O−2→2H2O+CO2+8e−。
カソード:1/2O2+2H++2e−→H2O。
固体電解質型燃料電池は、イオン輸送のために酸化物イオンO−2を輸送する電解質を使用する。電解質は、酸化物イオンを有効に輸送できる酸化物材料を含む。適切な電解質材料は、例えば、イットリアは立方相を室温で安定化するイットリア安定化済みジルコニア(一般に少なくとも約3モル%のイットリアを有する)、及び、安定化した正方相を有するより少ない量のイットリアを有する部分的イットリア安定化済みジルコニアを含む。他の適切な酸化物材料は上記に説明した。相互接続を、セル稼働温度で伝導性であり安定な適切な材料から形成することができる。固体電解質型燃料電池は一般に、本明細書において参考のために引用する"Solid Oxide Fuel Cell"と称するDoshi et al.に付与された米国特許第6,558,831号においてさらに説明されている。
一般に、燃料電池電極は、特定の固体電解質型燃料電池を除いて一般に平坦だった。しかしながら、構成要素を、湾曲したプラテン、例えば波形プラテンに沿って堆積することによって、表面積を増大させることができる。波形プラテンは、単位長さ当りの表面積を増大させる。プラテンは、セル中に取り入れられるかまたは後で除去される金属または他の基板材料とすることができる。シールが電解質/セパレーターと接触できるように、電解質/セパレーター材料はより大きな広がりを有することができる。このへりを、シーラント材料、例えばガラスまたは後に続いて融合する多数の金属酸化物セラミックろう付け材料でコーティングすることができる。シールするへりを用いるこの具体例及び他の具体例においては、シール材料を、特にへりに沿って堆積するようにある寸法に作られ、位置決めされたマスクまたはノズルを用いて堆積できる。同様に、へり内部の面表面に堆積する材料を、マスクを用いてまたは適切にある寸法に作られ、成形されたノズルを用いて堆積できる。
固体電解質型燃料電池を、円形または長円形断面を有するロッド形状の電極を用いて形成することができる。こうしたセルのための構成要素は、非平坦な形状を有し得る。こうした構成要素は、アノード、カソード、例えば多孔質のドープしたランタンマンガナイトのカソード、またはアノード若しくはカソードを上に置く不活性材料とすることができる。円形電極の場合、電解質を電極の周りに置くことができ、より複雑な相互接続構成を使用して、セルを直列で接続することができる。構成要素の形成のために考慮すべき事柄は、コスト、強度、耐久性及び伝導率である。長円形電極の場合、相互接続を、長円形の1つの側面に沿って置くことができ、電解質及び対電極を長円形の向かい合う側面に沿って置くことができ、その結果、セルを、平坦な電極を有する構造と同様に直列で積み重ねることができる。固体電解質型燃料電池のための管状電極は、例えば、本明細書において参考のために引用する"Method of Making Closed End Ceramic Fuel Cell Tubes"と称するBorglumに付与された米国特許第6,379,485号においてさらに説明されている。
幾つかの具体例においては、電解質層は、約0.1ミクロン〜約200ミクロンとすることができ、電極は、約0.5ミクロン〜約750ミクロンとすることができる。より薄い値は、超小型燃料電池の形成に特に適していることができる。電極は一般に、気体多孔質である。この多孔性を実現するために、電極は、十分に緻密化した材料の約65〜約85%及び他の具体例においては十分に緻密化した材料の約70〜約80%の平均密度を有することができる。電解質及び相互接続/二極性プレートを一般に十分に緻密化して、これらを通るガスの流れを防ぐ。従って、ガス状反応物は混合しない。当業者であれば、厚さ及び密度の追加の範囲は予測されており、本開示の範囲内にあることは認識できよう。コーティングプロセスを使用した電気化学的電池構成要素の形成は、本明細書において参考のために引用する"Reactive Deposition for Electrochemical Cell Production"と称するHorne et al.に付与された同時係属の米国特許出願第10/854,931号においてさらに説明されている。
本明細書において利用する“単数または複数の範囲内の”または“の間に”という用語は、“単数または複数の範囲内の”または“の間に”という用語の後に列記する値によって定義される範囲、並びにこのような範囲内に含まれる任意の及び全ての下位範囲を含み、ここで、各下位範囲は、第1の終点としてこのような範囲中の任意の値、及び第2の終点として第1の終点を超え、このような範囲中にあるこのような範囲中の任意の値を有すると定義される。
上記に説明した具体例は、例示となることを意図されており、限定するものではない。追加の具体例は、請求の範囲内にある。本発明を特定の具体例に関して説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を行うことができることは認識できよう。加えて、本明細書において使用する、含む(including)、含む(comprising)及び有する(having)という用語は、広い非限定範囲を有することを意図されている。