JP2008506791A - インクセットおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインク及び少なくとも2種類の染料を含むブラックインクを最小の構成要素とするインクセットであって、該イエロー染料、マゼンタ染料およびシアン染料の酸化電位がそれぞれ0.8V(vs SCE)よりも貴であり、及び/又はインクの各々が1分子中に少なくとも1つのヘテロ環を含む、アゾ色素又はフタロシアニン色素であり、且つブラックインクは水溶性長波染料Lおよび1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性短波染料Sを含むことを特徴とするインクセット及び、該インクセットを用いたインクジェット記録方法。

Description

本発明は、画像堅牢性に優れたインクセット、及び、該インクセットを使用したインクジェット記録方法に関する。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。
これらのカラー画像記録材料では、フルカラー画像を再現あるいは記録する為に、いわゆる減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。特に、良好な3原色の色相を有し、光、湿度、熱に対して堅牢であること、中でも多孔質の白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に印字する際に環境中のオゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢であることが着色剤に強く望まれている。
従来よりマゼンタ染料としては、カップリング成分としてフェノール、ナフトール、アニリン等を用いたアゾ染料が広く使用されてきている。色相の良好なアゾ染料として、例えば、特開平11−209673号、特登第3020660号等に開示された染料が知られているが、光堅牢性が劣るという問題点を有する。これを改良するものとして最近良好な色相を有し光堅牢性を向上させた染料が特開2001−335714公報に開示されている。しかしこれらの特許で知られている染料は、何れもオゾンなどの酸化性ガスに対する堅牢性は極めて不十分である。
更に、シアン染料としては、フタロシアニン染料やトリフェニルメタン染料が代表的である。
最も広範囲に利用されているフタロシアニン系染料は、C.I.Direct Blue86、同87、同199に代表され、これらはマゼンタやイエロー染料に比べ耐光性に優れるという特徴があるものの、昨今環境問題として取りあげられることの多い酸化窒素ガスやオゾン等の酸化性ガスによる変色や褪色が著しい。
これまで、耐オゾンガス性を付与したフタロシアニン系染料としては、特開平3−103484号、特開平4−39365号、特開2000−303009等が開示されているが、いずれも酸化性ガス堅牢性の改良効果は甚だ不十分であり、更なる改良が望まれていた。
一方、Acid Blue9に代表されるトリフェニルメタン系染料は、色相は良好であるが、耐光性、耐オゾンガス性が著しく劣る。
イエロー染料としては、 Direct Yellow86、同120に代表されるようなアゾベンゼン系染料、あるいはAcid Yellow17のようなピラゾロンアゾ染料、ピリドンアゾ染料などの複素環アゾ染料が用いられてきた。更に、キノフタロン系染料もしばしば提案されている。しかしながら、これらの従来より知られている染料では、キノフタロン染料のように色相、特に吸収スペクトルの長波側の裾切れが良好であるものはオゾンや光に対して堅牢でないことが多く、アゾベンゼン系は堅牢ではあるが、長波側のすそ切れが悪いなど、色相と堅牢性を兼備した染料がないというのが現状であった。
またブラック染料としてジスアゾ染料またはトリスアゾ染料が使用されてきているが、これらの染料だけでは青色乃至緑色光に対する吸収が不足して良好な黒色調が得られない事が多い為、これらの青色乃至緑色光を吸収する色補正用の染料が併用されるのが一般的である。このような補正用染料としては、例えば特開平9−255906号公報や特許第3178200号明細書に記載されているような染料が提案され、黒色調調整能、発色性、堅牢性、インク保存安定性、耐水性、ノズルの目詰まり等の改良が図られてきた。
しかしながら、従来提案されてきた色補正用染料では、吸収が短波過ぎる為に多量添加する必要があったり、更に別の色補正用の染料が必要になるなどの黒色調調整能に欠ける問題を抱えていた。
更に、青色乃至緑色光を吸収できる染料も一般に知られてはいるが、堅牢性が劣るために光,熱,環境中の活性ガスへの暴露で色相が大きく変化したり、定着性が不十分であった為に高湿下条件で輪郭部が黄色く滲み出すなどの現象が起きるものが殆どで、更なる改良が必要である。
これらの欠点を鑑み、特開2002−332426号公報には、色補正染料として水溶媒における可視域吸収スペクトルの吸収極大が435nmのトリアジン染料を、ブラック染料に配合することからなるブラックインク組成物が記載されている。
ところが、一般的な黒染料は570〜620nmに極大吸収を有しており、該色補正染料を用いたとしても、黒色調の調整に重要な補色関係を考慮すると好適な黒色調が得られないことは明らかである(「色彩科学ハンドブック(第2版)」,東京大学出版会,1998,p560-562)。
特開平8−302255号公報には、CI Direct Red 84の記載があるが、これを短波染料として用い長波染料と組み合わせた黒インク組成物については開示がない。
特開2000−265099号公報には、CI Direct Red 84の記載がカラム8にあるが、マゼンタであって、上記と同様にこれを短波染料として用い長波染料と組み合わせた黒インク組成物については開示がない。
色再現性に優れ且つ堅牢なフルカラー画像を得るためには、画像を構成する染料に以下の要件が求められる。
(1)3原色及びブラックの各染料が優れた吸収特性をもつこと
(2)広い色再現域を実現する3原色及びブラックの染料の最適な組み合わせ
(3)3原色及びブラックの各染料が高い堅牢性を有すること
(4)染料の相互作用による堅牢性の悪化が生じないこと
(5)3原色及びブラックの染料の堅牢性のバランスが取れていること
しかしながら、堅牢性、特に昨今インクジェット印刷で大きな問題となっているオゾンなどの酸化性ガスに対する堅牢性については、どのような構造或いは物性がオゾン堅牢性に対して有効に働くのかといった染料の性質に関する報告例はまったく無いため、染料の選択の為の指針が得られないのが現状である。さらには、光に対する堅牢性も兼ね備えているものを選択するとなると、さらに困難を極める。
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、種々の染料に共通のガス褪色を抜本的に解決できる改良指針を示し、該指針に基づいたインク組成物を用いることで、ガス(特にオゾンガス)堅牢性及び光堅牢性に優れた画像を形成することができるインクジェット記録用インクセットを提供し、さらにそれを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット記録画像の褪色防止方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、良好な色相と光堅牢性及びガス堅牢性(特に、オゾンガス)の高い染料を詳細に検討したところ、従来知られていない特定の酸化電位を有する染料の組み合わせにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、3原色の染料がこのような電位特性を満たしているとき、各染料のオゾンに対する反応性が大きく抑制されるばかりか光堅牢性も向上し、その結果、異なる色の染料同志の相互作用も無く混色した部分の褪色にも問題が生じないことが判った。これとは逆に、特にマゼンタ染料、あるいはシアン染料としてこれらの電位の条件を満たしていないものを用いると、画像全体のバランスが大きく崩れ、フルカラー画像としての品質が大きく劣化することが判った。また、色再現性を高める為に昨今用いられている濃度の異なるインクを用いた場合でも、淡色インクの光堅牢性にも問題が生じないことがわかった。さらには、染料自体の安定性が向上したことで、インクの酸化安定性も向上し、商品としての保証期間を延長できることもわかった。
本発明のイエローインク、マゼンタインク、シアンインクは各々、酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴である染料を含むか、または複素環を分子中に少なくとも1個有する染料を含有し、染料としては、好ましくは前記規定の酸化電位及び前記構造規定の両方を満足するものである。
すなわち、前記課題を解決するための好ましい態様はとして、以下のものが挙げられる。
(1)イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクを含み、該インクの少なくとも一つが少なくとも一つの染料を水性媒体中に含有してなるインクであるインクセットであって、該構成インクのうちイエロ−インク、マゼンタインク、およびシアンインクにおいては酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴である染料を少なくとも一つ含有する、インクであり、かつ前記構成インクのうちブラックインクは 1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性短波染料S及び水溶性長波染料Lを含むことを特徴とするインクセット。
(2)イエロ−インク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクを含み、該インクの少なくとも一つが少なくとも一つの染料を水性媒体中に含有してなるインクであるインクセットおいて、該構成インクのうちイエロ−インク、マゼンタインクおよびシアンインクの各々は複素環を分子中に少なくとも1個有する、アゾ染料またはフタロシアニン染料であって、かつ前記ブラックインクは水溶性長波染料Lおよび1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性短波染料Sを含むことを特徴とするインクセット。
(3)水溶性長波染料Lは、水溶媒における吸収スペクトルの極大が550〜700nm、かつ半値幅が100nm以上であり、そして、水溶性短波染料Sは、水溶媒における吸収スペクトルの極大が440〜540nm、かつ半値幅が90〜200nmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のインクセット。
(4)前記水溶性短波染料Sは、1分子中に3〜6個のアゾ基を有し、且つフェノール性水酸基を有しないことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクセット。
(5)前記水溶性短波染料SがC.I.Direct Red 84を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクセット。
(6)前記水溶性短波染料Sを、0.1〜4質量%含有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクセット。
(7)前記水溶性長波染料Lは、1分子中に2〜4個の互いに共役するアゾ基を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のインクセット。
(8)前記水溶性長波染料Lは、アゾ基の共役位に水酸基を有することを特徴とする特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクセット。
(9)前記水溶性長波染料Lは、発色団中に1個以下の複素環を有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクセット。
(10)前記水溶性長波染料Lは、会合性を有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のインクセット。
(11)前記水性媒体の蒸気圧が2000Pa以下であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のインクセット。
(12)前記水性媒体は、アルコール化合物、ヘテロ環含有有機溶剤、及び多価アルコールのアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のインクセット。
(13)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1、5−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオール、イソプロパノール、トリエタノールアミン、2−ピロリドンの中から選ばれる1種以上の水性媒体を含有することを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載のインクセット。
(14)前記インクの少なくとも一つが界面活性剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれかに記載のインクセット。
(15)前記インクの少なくとも一つが防腐剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれかに記載のインクセット。
(16)前記インクの少なくとも一つが粘度が、1〜20mPa・secであることを特徴とする上記(1)〜(15)のいずれかに記載のインクセット。
(17)前記インクの少なくとも一つが表面張力が、20〜50mN/mであることを特徴とする上記(1)〜(16)のいずれかに記載のインクセット。
(18)前記インクの少なくとも一つがpHが7〜9であることを特徴とする上記(1)〜(17)のいずれかに記載のインクセット。
(19)上記(1)〜(18)のいずれかに記載のインクセットを、支持体上に白色顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
(20)前記マゼンタ染料が下記一般式(M−I)で表される染料であることを特徴とする上記(1)〜(18)のいずれかに記載のインクセット。
Figure 2008506791
式中、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。
1およびB2は各々−CR1=および−CR2=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が−CR1=もしくは−CR2=を表す。
5およびR6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。
G、R1およびR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
1とR5、またはR5とR6が結合して5または6員環を形成しても良い。
(21)前記シアン染料が下記一般式(C−II)で表される染料であることを特徴とする上記(1)〜(18)及び(20)のいずれかに記載のインクセット。
Figure 2008506791
式において、X11、X12、X13およびX14はそれぞれ独立にσpが0.40以上の電子吸引性基を表す。
11、Y12、Y13およびY14はそれぞれ独立に一価の置換基を表す。
Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。 a11〜a14、b11〜b14は、それぞれX11〜X14、およびY11〜Y14の置換基数を表す。
11〜a14はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b11〜b14はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。そしてa11〜a14の総和は2以上である。
染料が水溶性染料である場合には、X11、X12、X13、X14、Y11、Y12、Y13、Y14上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有する。
(22)マゼンタ染料の酸化電位がシアン染料のそれよりも貴であることを特徴とする上記(1)〜(18)、(20)、(21)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
(23)少なくともマゼンタインクとシアンインクが濃度の異なる2種類以上のインクから構成されることを特徴とする上記(1)〜(18)、(20)〜(22)のいずれかにインクジェット記録用インクセット。
(24)上記(1)〜(18)、(20)〜(23)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを収納した容器。
(25)上記(1)〜(18)、(20)〜(23)に記載のインクセットを用いてインクジェット記録を行うことを特徴とするインクジェット記録画像の褪色防止方法。
以下に本発明について詳細に説明する。
[イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料]
本発明では酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴であるイエロー染料、マゼンタ染料およびシアン染料が用いられる。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であるものがより好ましく、1.1V(vs SCE)よりも貴であるものがさらに好ましく、1.15V(vs SCE)より貴であるものがさらに好ましく、1.2V(vs SCE)より貴であるものが最も好ましい。
酸化電位の値は、試料から電極への電子の移りやすさを表わし、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表わす。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。
酸化電位の値は、下記に詳述するが、化合物がボルタンメトリーにおいて陽極で、化合物の電子が引き抜かれる電位を意味し、その化合物の基底状態におけるHOMOのエネルギーレベルと近似的に一致すると考えられている。
発明者らは着色画像のオゾン堅牢性について研究したところ、着色画像に用いる化合物の酸化電位とオゾン堅牢性との間に相関があり、酸化電位の値が飽和カロメル電極(SCE)に対してより貴である化合物を用いることにより、オゾン堅牢性が改良されることがわかった。
着色画像のオゾン堅牢性が改良される理由としては、化合物とオゾンガスのHOMO(最高被占軌道)およびLUMO(最低空軌道)の関係によって説明できる。すなわち、着色剤のHOMOとオゾンガスのLUMOとの反応により着色剤が酸化されて、その結果着色画像のオゾン堅牢性が低下していると考えられるため、オゾン堅牢性を向上させるには、着色剤のHOMOを下げてオゾンガスとの反応性を低下させればよい。
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers)やA.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年 John Wiley & Sons)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社)に記載されている。
酸化電位の測定について具体的に説明する。酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-2〜1×10-6mol・dm-3溶解して、サイクリックボルタンメトリーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。
また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用いて校正することにより、測定された電位の値の再現性を保証することができる。
本発明における酸化電位は、0.1mol・dm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むN,N−ジメチルホルムアミド中(化合物の濃度は1×10-3mol・dm-3)で、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラファイト電極、対極として白金電極を使用し、直流ポーラログラフィーにより測定した値を使用する。
本発明に使用する染料は、上記の酸化電位を満足するものであればどのような構造のものでも使用できる。特にイエロー染料はもともと酸化電位が貴(HOMOが低い)ため、構造上の制約が少ない。以下に上記酸化電位を満足するために必要な染料の構造について詳述する。
本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、染料骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。従って、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いて説明すると、ニトロ基、シアノ基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより貴とすることができると言える。
ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
上記置換基の他、一般に電子陰性度の高い原子を発色団の構成原子として多く含むほど酸化電位を貴とすることが出来る。したがって、例えば発色団の構成要素として、アリール基よりも不飽和ヘテロ環を用いたほうが酸化電位を貴とすることができる。電子陰性度の高いヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を挙げる事ができ、特に窒素原子が好ましい。
従って、本発明で用いる染料は発色団がヘテロ原子で構成されているもの、不飽和ヘテロ環を含むもの、電子吸引性基を含むものが好ましい。
ヘテロ原子で構成されている好ましい発色団としては、アゾ染料、アゾメチン染料、フタロシアニン染料等を挙げる事が出来るが、特にアゾ染料が好ましい。
不飽和ヘテロ環としては、5または6員の不飽和ヘテロ環が好ましく、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などを例として挙げられる。不飽和ヘテロ環は、炭化水素環またはヘテロ環との縮合環を形成しても良い。含窒素ヘテロ環の場合には、窒素原子は4級化されていてもよい。また、互変異性となり得るヘテロ環については、互変異性体の1つのみを記載している場合でも、他の互変異性体も合わせて含まれる。上記のうち好ましいものはチアゾール環、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環である。最も好ましくは、イソチアゾール環、ピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環である。
好ましい電子吸引性の置換基としては、ハメットのσp値が0.40以上の置換基が好ましく、さらに0.45以上の置換基が好ましく、0.50以上の置換基が最も好ましい。また、発色団上の置換基として複数の電子吸引性基が存在する場合には、置換基のσp値の総和が0.50以上のものが好ましく、0.60以上が更に好ましく、0.70以上が最も好ましい。σpが0.40以上の電子吸引性基の具体例については、前述の、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)のものを挙げる事が出来る。
本発明の好ましい染料は、下記一般式(I)で表されるものの組み合わせである。
(Ch)−(EWG)n 一般式(I)
一般式(I)において、Chは不飽和ヘテロ環を含む発色団を表し、EWGはσp値が0.40以上の電子吸引性の置換基をあらわす。nは1から8までの整数である。
Chとしては不飽和ヘテロ環を発色団に有するアゾ染料、フタロシアニン染料、アゾメチン染料、キノン系染料(アントラキノン染料、アントラピリドン染料等)、カルボニウム染料(トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料等)、及びアジン系染料(オキサジン、チアジン等)の各発色団が挙げられる。好ましいものは不飽和ヘテロ環を発色団に有するアゾ染料、フタロシアニン染料、アゾメチン染料、及びアントラピリドン染料であり、最も好ましいものは、不飽和ヘテロ環を発色団に有するアゾ染料、フタロシアニン染料である。
マゼンタおよびイエロー染料として用いることのできる好ましいアゾ染料は下記一般式(II)で表されるものである。
Het(A)−N=N−Het(B) 一般式(II)
一般式(II)において、Het(A)およびHet(B)は5または6員不飽和ヘテロ環を表わす。Het(A)およびHet(B)で表わされる不飽和ヘテロ環の例としては、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などが挙げられる。これらの不飽和ヘテロ環はさらに置換基を有している。不飽和ヘテロ環上の置換基同士が結合することで、炭化水素環または不飽和ヘテロ環との縮合環を形成しても良く、さらに縮合環上に置換基を有しても良い。含窒素不飽和ヘテロ環の場合には、窒素原子は4級化されていてもよい。また、互変異性となり得る不飽和ヘテロ環については、互変異性体の1つのみを記載している場合でも、他の互変異性体も合わせて含まれる。
染料が水溶性染料である場合には、置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。
Het(A)およびHet(B)で表わされるヘテロ環として好ましくは、チアゾール環、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環である。さらに好ましくは、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環である。最も好ましくはピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、ピリジン環である。
Het(A)およびHet(B)は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスホノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。中でもハロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホリル基、ホスホノ基、ホスフィノイル基、ホスホニル基、ホスフィノイルオキシ基、ホスフィノイルアミノ基のような置換基を上げることができるが、なかでも電子吸引性基が好ましく、特にσpが0.40以上の置換基が好ましい。σpが0.40以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホノ基、ホスホリル基他、電子吸引性基で置換されたアルキル基(トリハロメチル基、パーフルオロアルキル基、ジシアノメチル基、イミノメチル基等)、電子吸引性基で置換されたアルケニル基(トリシアノビニル基など)、4級塩置換基(スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基)も挙げる事ができる。上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールス
ルホニルアミノカルボニル基などが挙げられる。
またヘテロ環上の置換基同士が結合することで、ヘテロ環と縮合環を形成しても良く、さらに縮合環上に置換基を有しても良い。
好ましいマゼンタ染料としては、一般式(M−I)で表されるものである。一般式(M−I)中、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1およびB2は各々−CR1=および−CR2=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が−CR1=もしくは−CR2=を表す。R5およびR6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。
G、R1およびR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていても良い。R1とR5、またはR5とR6が結合して5または6員環を形成しても良い。
一般式(M−I)において、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。複素環のヘテロ原子の例には、N、O、及びSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げる事ができる。各複素環基は更に置換基を有していても良い。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
Figure 2008506791
上記一般式(a)から(f)において、R7からR20はG、R1、R2で説明した置換基と同じ置換基を表す。一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
一般式(M−I)において、B1およびB2は各々−CR1=および−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=又は−CR2=を表すが、各々−CR1=、−CR2=を表すものがより好ましい。
5、R6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル又はアリールスルホニル基、スルファモイル基を表わし、各基は更に置換基を有していても良い。R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基を挙げる事ができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。ただしR5、R6が同時に水素原子であることはない。
G、R1、およびR2は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
Gで表される置換基としては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、又は複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)又はアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していても良い。
1、R2で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げる事ができる。各基は更に置換基を有していても良い。R1とR5、またはR5とR6が結合して5または6員環を形成しても良い。
A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げる事ができる。
本発明の染料が水溶性染料である場合には、A、R1、R2、R5、R6、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
本願明細書において、アルキル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい)あるいはこれらを組合せて得られる1価飽和炭化水素基を意味し、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基等を包含する概念であり、更に置換基により置換されていてもよい場合は、置換アルキル基を包含する。
本願明細書において、アルケニル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい)あるいはこれらを組合せて得られる芳香族を除く炭素−炭素二重結合を1以上含む1価不飽和炭化水素基を意味する概念であり、更に置換基により置換されていてもよい場合は、置換アルケニル基を包含する。
本願明細書において、例えば、置換アルキル基とは、アルキル基の水素原子が他の置換基で置換されているアルキル基を意味し、該置換基は1種以上を各々1個以上置換し得る。他の置換アリール基等も上記と同様である。
本明細書において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基をあげる事ができる。
本明細書において、芳香族基はアリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。前記複素環基は5員又は6員環の複素環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。前記複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基及び2−フリル基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニル基、無置換のアルキル及びアリールスルホニル基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基及びフェニルスルホニル基をあげる事ができる。
アルキル及びアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルフィニル基、無置換のアルキル及びアリールスルフィニル基が含まれる。アルキル及びアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基をあげる事ができる。
アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
アミノ基には、アルキル基、アリール基又は複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基及び複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。前記アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基及び2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基及び無置換の複素環アミノ基が含まれる。前記複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基及び無置換の複素環オキシ基が含まれる。前記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基及び無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基及び無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N-フェニルアセチルアミノ及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。
前記置換基の例には、アルキル基及びアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基及び3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、及び無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記スルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N-フェニル-メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル,アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル,アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル,アリール及び複素環チオ基が含まれる。前記アルキル,アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキル,アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2-ピリジルチオ基が含まれる。
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基及び無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基及び無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基及び無置換の複素環スルホニル基が含まれる。前記複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基及び無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。前記複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
本発明において、一般式(M−I)で表される染料は、好ましくは下記一般式(M−II)で表される染料である。
Figure 2008506791
一般式(M−II)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
1、R2、R5、R6は一般式(M−I)と同義である。R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表わす。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子又は炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が挙げらる。
一般式(M−II)で説明した各基は更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1、R2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、及びヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。 σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
前記一般式(M−I)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R5及びR6として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5及びR6が共に水素原子であることは無い。
Gとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、及びアシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
Aのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、及びベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、及びイソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
1およびB2がそれぞれ−CR1=、−CR2=あり、R1,R2は各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはアルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、またはカルバモイル基である。
好ましいシアン染料としては、下記一般式(C−I)で表される染料を挙げる事ができる。
Figure 2008506791
一般式(C−I)において、X1、X2、X3およびX4はそれぞれ独立にσpが0.40以上の電子吸引性基を表す。Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a1〜a4、b1〜b4は、それぞれX1〜X4、およびY1〜Y4の置換基数を表す。a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。ただしa1〜a4の総和は2以上であり、3以上が好ましく、特にa1=a2=a3=a4=1である場合が最も好まし
い。染料が水溶性染料である場合には、X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3、Y4上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン染料の中でも、一般式(C−II)で表される構造のフタロシアニン染料が更に好ましい。以下に本発明の一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料について詳しく述べる。
前記一般式(C−II)において、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12、又は−CO21を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。Mは水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。a11〜a14はそれぞれそれぞれX11〜X14の置換基数を表し、独立に1又は2の整数を表す。
Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。
一般式(C−II)中、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
11、X12、X13およびX14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは例えばX11、X12、X13およびX14が全て−SO2−Zであるが各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは例えば−SO2−Zと−SO2NR12が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
11〜X14としては、各々独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、または−CONR12が好ましく、特に−SO2−Z、または−SO2NR12が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。
Zはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、及び置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、またはスルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換複素環基が最も好ましい。ただしR,Rが共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、またはスルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
11〜Y18は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。a11〜a14はそれぞれ独立に1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、及びAlが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
前記(C−I)もしくは(C−II)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中少なくとも2個以上有するものが好ましく、特にスルホ基及び/又はカルボキシル基を少なくとも2個以上有するものが特に好ましい。
前記一般式(C−II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明で好ましく使用されるフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン誘導体は、その合成法によって不可避的に置換基Xn(n=1〜4)及びYm(m=1〜4)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、従って一般式はこれら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明では、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。すなわち前記一般式(C−I)及び(C−II)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
(1)β-位置換型:2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
(2)α-位置換型:1及び又は4位、5及び又は8位、9及び又は12位、13及び又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
(3)α,β-位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置が異なる)フタロシアニン染料の誘導体を説明する場合、上記β-位置換型、α-位置換型、α,β-位混合置換型を使用する。
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
本発明の一般式(C−I)で表されるフタロシアニン化合物は、国際公開第00/17275号、同00/08103号、同00/08101号、同98/41853号、特開平10−36471号などに記載されているように、例えば無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として本発明の化合物を合成する時には、複素環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、本発明の化合物としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β-位混合置換型混合物として得られる。
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を数多くフタロシアニン核に導入すると酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
それに対して、本発明の一般式(C−II)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(C−III)で表される金属誘導体と反応させて得られる。あるいは下記式で表される4-スルホフタル酸誘導体(化合物R)と一般式(C−III)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
Figure 2008506791
上記各式中、Xpは上記一般式(C−II)におけるX1、X2、X3、又はX4に相当する。また、Yq,Yq’はそれぞれ上記一般式(C−II)におけるY11,Y12,Y13,Y14,Y15,Y16,Y17、又はY18に相当する。化合物Rにおいて、M’はカチオンを表す。
一般式(C−III):M−(Y)d
一般式(C−III)中、Mは前記一般式(C−II)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
即ち、上記の合成法に従えば望みの置換基を特定の数だけ導入することができるのである。特に本発明のように酸化電位を貴とするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記の合成法は一般式(C−I)の合成法と比較して極めて優れたものである。
かくして得られる前記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
Figure 2008506791
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13およびX14が全く同じ置換基であるβ位置置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(C−II)の染料の中でも互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる為、特に好ましい。
本発明では、いずれの置換型においても酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴であることが堅牢性の向上に非常に重要であることが見出され、その効果の大きさは前記先行技術から全く予想することができないものであった。また、原因は詳細には不明であるが、中でもα,β−位混合置換型よりはβ−位置換型の方が色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において明らかに優れている傾向にあった。
前記一般式(C−I)及び(C−II)で表されるフタロシアニン染料は、前述した特許に従えば合成することが可能であり、特願2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−1936
38号に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
本発明で用いるイエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料は酸化電位が0.8Vよりも貴であることを特徴とするが、シアン染料として広く用いられているフタロシアニンは、会合体を形成している為に酸化電位が多少低くとも堅牢性を補償できるのに対し、マゼンタ染料は会合を形成するものではない為、堅牢性を高める為には酸化電位をシアン染料以上に貴に設定することが好ましい。
以下に本発明で用いることのできる染料の好ましい例を示すが、これらは本発明を詳しく説明するためのものであって、これらにより本発明は限定されない。
尚、括弧内に染料の酸化電位を示す。
まず、本発明に用いることのできる、イエロー染料の具体例〔Y−1〜Y−35〕を挙げる。
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
次に、本発明に用いることのできる、マゼンタ染料の具体例〔M−1〜M−26〕を挙げる。
Figure 2008506791
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Figure 2008506791
Figure 2008506791
次に、本発明に用いることのできる、シアン染料の具体例〔C−1〜C−50〕を挙げる。
Figure 2008506791
Figure 2008506791
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[ブラック染料]
(水溶性短波染料S)
本発明で用いられる水溶性短波染料は、水溶媒における吸収スペクトルの吸収極大を440〜540nm、且つ半値幅を90nm〜200nmに有し、ブロードな吸収を達成する染料である。ここで、水溶媒とは水を主溶媒とし、水混和性有機溶剤を適度に含んでもよい染料を溶解又は分散させる媒体を意味する。また、吸収スペクトルは、通常使用する1cmのセルを用いた分光光度計で測定されるものを意味する。これらは、後述の水溶性長波染料Lについても同様である。
上記水溶性短波染料Sの吸収スペクトルは、単一化合物を用いて測定されたものである。即ち、本発明の水溶性短波染料は、水溶媒における吸収スペクトルを測定する場合、複数の化合物を組み合わせることにより所望の吸収極大および半値幅といった物性を示すものではなく、1つの化合物によりかかる物性を示すことを意味する。なお、本発明において、上記水溶性短波染料S(以下、「短波染料S」とも記す。
)として上記吸収スペクトルを満たすものであれば、互いに構造の異なる化合物を併用しても差し支えないことは明らかである。更に、本発明は、上記吸収スペクトル特性を示す短波染料S以外の短波染料を併用してもかまわない。
短波染料Sは、かかる吸収特性を有している為、ジスアゾ染料またはトリスアゾ染料などの水溶性長波染料Lの吸収スペクトルで不足となりがちな、青色から緑色にかけて広い範囲の光を吸収することができ、補色染料として好ましい吸収特性を有する。
短波染料Sの吸収極大としては、450〜520nmの間であることが好ましく、460〜500nmにあることが特に好ましい。
短波染料Sの吸収極大における半値幅としては、100nm〜180nmの間にあることが好ましく、110nm〜160nmの間にあることが特に好ましい。
また、本発明の短波染料Sは、一般的な色素に存在する解離性のフェノール性水酸基を有しないことが好ましく、かかる構造により、使用する受像材料に依存した色調変化が少ない、空気中のオゾン等の酸化性ガスに対する反応性が低く耐ガス性に優れる、といった好ましい性能を有する。
解離性のフェノール性水酸基とは、アリール基に置換されている解離性の水酸基を意味する。このアリール基は、他の置換基で置換されていてもよい。
さらに、本発明の短波染料Sは、1分子中に2〜6個のアゾ基を有することが好ましく、かかる構造により、発色性を増強させ、また、色素平面が大きく広がっているために定着性の良い画像を与えることができる。
また、該アゾ基の数は、発色性及び定着性の観点から、1分子中4〜6個であることがより好ましい。
かかる短波染料Sとしては、本明細書で定義される物性を有し、上記課題を解決するものであれば特に限定されないが、下記一般式で表されたポリアゾ染料を挙げることができる。
(D)n−Y
上記一般式において、Dは互いに共役した1〜3個のアゾ基と、合計で20個以上のπ電子を有する3〜4個の芳香族環より構成される発色団からなる色素残基を表し、nは1もしくは2であり、nが1の時、Yは水素原子を表し、nが2の時、Yは2価の連結基を表す。発色団を構成する芳香族環は複素環であっても炭化水素環であっても良いが、好ましくは炭化水素環である。芳香族環上のπ電子の数は、発色団を構成する芳香族環が縮合環である場合には縮合環全体としてのπ電子の数を数えるものとし、例えばナフタレン環は10個のπ電子である。Yで表される2価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SOn−(nは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、およびこれらの連結基を組み合わせた二価の基であり、さらにそれらはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基等の置換基を有していても良い。中でも好ましい連結基の例としては、−NH-CO-NH−、−NH−CS−NH−、及び下記一般式の基を挙げることができる。
Figure 2008506791
上記一般式において、Xは水酸基、スルホ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む)、またはアルキルもしくはアリールスルフェニル基を表し、各基はさらに置換基を有していても良い。
例えば、かかる短波染料Sとしては、市販のC.I.Direct Red84、同Brown106、同Brown202が有用であり、中でも多くの黒染料の色調調整に使用でき発色性,堅牢性,定着性にも優れるC.I.Direct Red84が特に有用である。
さらに、以下に本発明で好ましく用いられる短波染料Sの例を遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
中でも、C.I.Direct Red84(上記化合物例2のNa塩)、同Brown 106(上記化合物例14のNa塩)は、市販染料として入手可能であるため好適であり、中でも多くの黒染料の色調調整に使用でき、発色性,堅牢性,定着性にも優れるC.I.Direct Red84が特に有用である。
尚、市販の染料以外の上記短波染料Sについても、カラーインデックス第4巻(The Society of Dyers and Colourists 発行)に記載されているC.I.Direct Red84、もしくは同Brown 106の合成ルートに従って、市販の原料から容易に合成できる。
本発明の黒インク組成物は、上記短波染料Sを0.1〜4質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%(この明細書では“質量%”は“重量%”に等しい)、特に好ましくは1.0〜2.5質量%含有することが好ましいが、所望により、適宜変更することも可能である。
(水溶性長波染料L)
本発明の黒インク組成物は、水溶媒における吸収スペクトルの極大(吸収極大)が550〜700nm、かつ半値幅が100nm以上(好ましくは120〜500nm、更に好ましくは120〜350nm)である水溶性長波染料Lを含有する。また、かかる水溶性長波染料を、上記短波染料Sと併用することで、良好な黒色調を得ることができる。
上記水溶性長波染料Lの吸収スペクトルは、単一化合物を用いて測定されたものである。即ち、本発明の水溶性長波染料は、水溶媒における吸収スペクトルを測定する場合、複数の化合物を組み合わせることにより所望の吸収極大および半値幅といった物性を示すものではなく、1つの化合物によりかかる物性を示すことを意味する。本発明において、上記水溶性長波染料L(以下、「長波染料L」とも記す。)として上記吸収スペクトルを満たすものであれば、互いに構造の異なる化合物を併用しても差し支えないことは明らかである。更に、本発明は、上記吸収スペクトル特性を示す長波染料L以外の長波染料を併用してもかまわない。
長波染料としては、1分子中に2〜4個の互いに共役するアゾ基を有することが好ましい。
さらに、長波染料Lは、前記アゾ基の共役位に水酸基を有することや、あるいは発色団中の複素環の数が1個以下であることが、理由は定かではないが高い発色性、黒色調に相応しい半値幅の広い吸収特性、及びインク安定性を確保する上で好ましい。共役位とは、アゾ基と共役関係にある置換位置を意味し、該水酸基は、アゾ基の置換位置に対してオルト位又はパラ位に置換されていることが好ましい。
一般に、アゾ基の共役位に水酸基を有する染料は、受像材料の種類や印字物の保存条件によっては、光や空気中の活性ガスに対する堅牢性が劣る場合があるので、長波染料としては、会合性を有し、物理的に反応を抑制できる性質を有するものが更に好ましい。
染料が会合状態であるかどうかについては、染料濃度を振って可視吸収スペクトルを測定し、その吸収極大波長、モル吸光係数および波形の変化を調べることで染料が会合性を有するかどうかを判断し、それらの溶液物性と受像材料上での染料の吸収スペクトルとの比較から容易に判断できる。
具体的には、特願2004-65569号で定義されている、0.1mmol/l染料水溶液を光路長1cmのセルを使用して測定した可視域吸収の極大波長におけるモル吸光係数(ε1)と、0.2mol/l水溶液を光路長5μmの液晶セルを使用して測定した時のモル吸光係数(ε2)の間で、ε1/ε2>1.2の関係が成り立つ染料が好ましい。
本発明で好ましく用いられる、長波染料Lの中でも、以下の一般式に該当するものが特に好ましい。
下記一般式では染料を遊離の酸の構造で示すが、実際の使用にあたっては塩の形で用いても良いことは言うまでもない。
Figure 2008506791
上記一般式1〜3において、同一分子中に同じ記号で表される置換基が複数個存在する場合には、それらは互いに同じであっても異なっていても良い。Xはアミノ基、水酸基または水素原子を表す。Yは水素原子もしくはアミノ基を表す。Rは、水素原子、置換基を有していても良い、アルキル基(アラルキル基を含む)、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、またはスルホニル基を表す。有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、イオン性親水性基(スルホ基、カルボキシル基など)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基などを代表的なものとして挙げることができる。n及びmは各々0〜3までの整数を表し、スルホ基はベンゼン環もしくはナフタレン環の任意の位置で置換してよい。A1、A2はそれぞれ一価の芳香族基、または複素環基を表す。Bは2価の芳香族基、または複素環基を表す。A1、A2は更にアゾ基で置換されていても良い。A1、A2、Bは更に置換基を有していても良い。染料の発色団中に含まれる複素環の数は1以下であることが好ましい。また、これらの一般式で表される染料の一部が解離して、遷移金属が配位したキレート染料を形成していてもよい。
上記一般式の中でも、一般式1もしくは一般式2で表される染料が好ましく、中でも一般式1の染料が特に好ましい。一般式1の染料の中でもXがアミノ基もしくは水酸基である染料が好ましく、水酸基であるものが特に好ましい。また、堅牢性の観点から、染料に電子吸引性基が置換しているか、もしくはA1、A2、Bのいずれかが複素環であるものが好ましい。更にnが1〜3である場合が好ましく、nが2である場合が特に好ましく、そしてmが1〜3である場合が好ましく、mが2である場合が特に好ましい。
好ましい電子吸引性基としては、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルファモイル基、カルバモイル基、エステル基を挙げることができる。
好ましい複素環の例としては、縮合環を有してよい、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジンを挙げることができる。
一般式1の中でも特に好ましいものは、下記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 2008506791
一般式4において、A3、A4は、夫々互いに独立して、複素環基または一般式5で表されるアリール基を示す。nは、0〜3までの整数を表す。
Figure 2008506791
一般式5において、EWG(Electron Withdrawing Group)は、ニトロ基、シアノ基、アゾ基、スルファモイル基、カルバモイル基、エステル基からなる群から選択される電子吸引性基であり、好ましくは、ニトロ基またはアゾ基を表す。Zはアルキル基、アルコキシ基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、アシルアミノ基より選ばれる置換基を表す。EWG、Zで表される置換基は更に置換基を有していても良い。pは0から4までの整数を表す。qは0から3までの整数、好ましくは1または2を表す。
以下に好ましい長波染料Lの例を遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
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上記式で表される染料以外に、特開平10−130557号、同9-255906号、同7−97541号,同6−234944号、欧州特許出願公開第982371A1号、特開2002−302619号、同2002−327131号、同2002−265809号、国際公開第2000−43450号、同2000−43451号、同2000−43452号、同2000−43453号、同2003−106572号、同2003−104332号、特開2003−238862号、特開2004−83609号、各公報に記載の染料も、長波染料Lとして好ましく用いることができる。
本発明の黒インク組成物は、上記長波染料Lをインク中に好ましくは0.2〜30質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%、最も好ましくは1〜10質量%含有することが好ましい。
本発明の短波染料Sと長波染料Lとの比率は、長波染料Lに対して、短波染料Sが1〜50質量%となることが好ましく、5〜40質量%となることが更に好ましく、10〜30質量%となることが最も好ましい。
[黒インク組成物]
本発明の黒インク組成物は、少なくとも短波染料及び長波染料Lを含有するインク組成物を意味する。本発明の黒インク組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明の黒インク組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。
水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例は特開2003−306623号公報に記載のものが使用できる。
前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。本発明の黒インク組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
以下、本発明の黒インク組成物の組成成分について詳述するが、その組成に関する情報は本発明の黒インク組成物を含むインクセットとした場合の他の色のインク組成物についてもそれに準じて用いることができる。
本発明に適用しうる化合物例は、このほか特願2001−96610号、同2001−24352号、同2001−47013号、同2001−57063号、同2001−76689号、同2001−193638号、同2001−15614号、同2001−110457号、同2001−110335号にも記載されているが、これらに限定されるものではない。また、前記の各化合物は、ここに挙げた特許に記載された方法で容易に合成できる。
[インクジェット記録用インク]
本発明のインクジェット記録用インクセットは少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインク、及び少なくとも1種のブラック染料を含有するブラックインクを最小の構成要素とする。各インクに含まれる染料としては、前述の各種染料が用いられる。
通常、各インクは、親油性媒体や水性媒体中に染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。
必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において添加しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
前記乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
前記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ポリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50重量%含有することが好ましい。
前記浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。前記浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム等のノニオン性界面活性剤及びオレイン酸ナトリウムを用いることができる。これらはインク中に5〜30重量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜けを起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
前記紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
前記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
前記防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00重量%使用するのが好ましい。
前記pH調整剤としては前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
前記表面張力調整剤としてはカチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、本発明に係るインクジェット用インクの表面張力は25〜70mPa・sが好ましい。さらに25〜60mN/mが好ましい。また本発明に係るインクジェット用インクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、及びオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーのノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157、636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
前記消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明に係る染料が油溶性の場合に水性媒体に分散させる方法としては、特開平11−286637号、特開2001−240763、特開2001−262039、特開2001−247788のように染料と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特開2001−262018、特開2001−240763、特開2001−335734、特願2000−203857のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明における染料を水性媒体中に分散することが好ましい。本発明における染料を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、染料を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特願2000−87539号の各公報に詳細が記載されていて、本発明に係るインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
前記水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、及びベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、及びチオジグリコール)、多価アルコールのアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘテロ環含有有機溶剤(例えば、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明のインクセットに用いるインクは、インク100重量部に対して、染料を0.1重量部以上20重量部以下が好ましく、0.5重量部以上12重量部以下がより好ましく、1.0重量部以上7重量部以下が更に好ましい。また、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクは、酸化電位が0.8Vより貴であれば2種類以上の染料を併用してもよい。2種類以上の染料を併用する場合は、染料の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
近年高画質化を目的に、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクがしばしば染料濃度の異なる2種類以上のインクから構成されるが、本発明においては、濃淡各インクで用いられる染料は、いずれも酸化電位が0.8Vより貴であることが望ましい。
本発明において、同色相のインクとして2種以上の異なるインクを用いる場合、1種のインク濃度に対して、他種のインク濃度が0.05〜0.5倍であることが好ましい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、前記本発明のインクジェット記録用インクセットにおける各インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。
具体的には、特願2000−363090、同2000−315231、同2000−354380、同2000−343944、及び同2000−268952に記載された方法を好ましく用いることができる。
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、及び炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
前記耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミド、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15重量%が好ましく、特に3〜10重量%であることが好ましい。
前記耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
前記界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
[インクジェット記録画像の褪色防止方法]
本発明に係るインクジェット記録画像の褪色防止方法は、前記本発明のインクセットを用いて、インクジェット記録することで行われる。
上述のように本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエロー染料、マゼンタ染料およびシアン染料の酸化電位がそれぞれ0.8V(vs SCE)よりも貴であることから、光堅牢性、ガス(特にオゾンガス)堅牢性が高い画像が得られ、画像の褪色を防止することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(水性インクの調製)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調整し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターを用いて減圧濾過してライトマゼンタ用インク液を調製した。
・下記構造式で示されるマゼンタ染料(T−1) 7.5g/L
・ジエチレングリコール 150g/L
・尿素 37g/L
・グリセリン 130g/L
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/L
・トリエタノールアミン 6.9g/L
・ベンゾトリアゾール 0.08g/L
・サーフィノール465
(界面活性剤 エアープロダクスジャパン製) 10.5g/L
・PROXEL XL−2(殺菌剤:ICIジャパン製) 3.5g/L
さらに染料種、添加剤を変えることにより、マゼンタインク、ライトシアンインク、シアンインク、イエローインク、ブラックインクを調整し、表1に示す濃度のインクセット101を作製した。
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
次にインクセット101のライトマゼンタ、マゼンタ、ライトシアン、シアン、イエロー、ブラックの各インクについて染料種を表2に従うように変更し、インクセット102〜113を作製した。染料を変更する場合、等モルずつ置き換えて使用することを基準とし、各インク液の透過濃度がインクセット101と同等となるように染料濃度を調整した。また、染料を併用する場合には等モルずつ使用した。本発明におけるブラックインクは、少なくとも水溶性短波染料Sと水溶性長波染料Lを用いるため、それぞれの染料の使用量(g/l)を、かっこ内に数値で表記した。
Figure 2008506791
長波染料Lの補色染料として用いた短波染料S−1,S−2の化合物の水中における吸収スペクトル:λmax=472nm、半値幅=130nm
長波染料Lの水中における吸収スペクトル:λmax=578nm、半値幅=130nm
Figure 2008506791
Figure 2008506791
Figure 2008506791
(画像記録及び評価)
インクセット101〜112をインクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに詰め、同機にてセイコーエプソン(株)製インクジェットペーパー写真用紙(光沢)に画像を印刷し、以下の評価を行った。
<印刷性能>
(1)カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4 50枚出力し、印字の乱れを評価した。
A:印字開始から終了まで印字の乱れ無し。
B:印字の乱れがある出力が発生する。
C:印字開始から終了まで印字の乱れがある
<印刷性能>
(2)カートリッジを60℃にて10日放置した後、印刷性能と同様の方法にて印字の乱れを評価した。
<乾燥性>印刷直後に指で触った時の汚れを目視にて評価した。
<細線の滲み>
(1)イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの細線パターンを印字し目視にて評価を行った。
(2)ブラックについてはマゼンタインクをベタに印字した後、ブラックの細線を印字し、2色の接触による滲みの評価も行った。
<耐水性>得られた画像を5秒間脱イオン水に浸せきした後、画像の滲みを目視にて評価した。
<画像堅牢性>画像堅牢性についてはグレーの印字サンプルとして、3原色によるグレーA,ブラックインクのみによるグレーB,3原色+ブラックインクからなるグレーCを作製し、以下の評価を行った。
(1.光堅牢性:以下の表には「耐光性」と記載)印字直後の色度(a*1、b*1)および明度(L1)をグレタグ社製SPM100−IIにて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用いてキセノン光(85000ルックス)を7日間照射したのち、再び色度(a*2、b*2)、明度(L2)を測定し、光照射前後の色差(ΔE)を以下の数式(I)に従い求め評価した。
ΔE={(a*1−a*2)2
(b*1−b*2)2+(L1−L2)21/2 数式(I)
色差について反射濃度が1.0、1.3、1.6の3点にて評価し、いずれの濃度でも色差が5未満の場合をA、濃度によって5未満および5以上の両方の評価を含む場合をB、すべての濃度で5以上の場合をCとした。
(2.熱堅牢性:以下の表には「耐熱性」と記載)80℃条件下に6日間試料を保存する前後での色差を、光堅牢性と同様の方法により評価した。染料残存率について反射濃度が1.0、1.3、1.6の3点にて評価し、いずれの濃度でも色差が3未満の場合をA、濃度によって3未満および3以上の両方の評価を含む場合をB、すべての濃度で3以上の場合をCとした。
(3.耐オゾン性)オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間試料を保存する前後での色差を、光堅牢性と同様の方法により評価した。染料残存率について反射濃度が1.0、1.3、1.6の3点にて評価し、いずれの濃度でも色差が10未満の場合をA、濃度によって10未満および10以上の両方の評価を含む場合をB、すべての濃度で10以上の場合をCとした。尚、ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。以上、実施例1における、すべての評価結果を下記表3に示す。
Figure 2008506791
本発明に係るインク組成物を使用した場合、画像堅牢性について特に優れた性能を示すことがわかる。また、本発明に係るインク組成物は目詰まりすることなく優れた吐出安定性が得られ、細線を出力する際の性能も滲みがなく優れ、耐水性も優れている。尚、本発明において使用する受像紙を富士写真フイルム社製インクジェットペーパー画彩 写真仕上げ、キャノン社製PR101に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られる。
〔実施例2〕
実施例1で作製した同じインクを、インクジェットプリンターPIXUS 990i(キャノン社製)に詰め、同機にて画像を富士写真フイルム製インクジェットペーパー画彩 写真仕上げにプリントし、実施例と同様な評価を行なったところ、実施例1と同様な結果が得られた。また受像紙がエプソン社製写真用紙(光沢)、キャノン社製PR101の場合でも同様の効果が見られた。
実施例で実証した如く、本発明によるインクジェット記録液は、インクジェット記録用インクとして、堅牢性、特に耐光性、耐オゾン性が良好で、吐出安定性、耐水性、滲みも優れている。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、ガス(特にオゾンガス)褪色が抑制され、光堅牢性が優れ、更に吐出安定性も優れている。このインクセットを用いたインクジェット記録方法によれば、ガス堅牢性に優れ、耐水性及び滲みにも優れ、光堅牢性が高い画像を形成することができる。さらに、本発明のインクジェット記録方法によれば、該インクセットを用いることで、画像の褪色を効果的に防止することができる。
本明細書で外国の優先権が主張している、各々及び全ての外国特許明細書の全開示が、あたかも十分に説明しているように、ここに参照として取り込まれる。

Claims (19)

  1. イエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクを含み、該インクの少なくとも一つが少なくとも一つの染料を水性媒体中に含有してなるインクであるインクセットであって、該構成インクのうちイエロ−インク、マゼンタインク、およびシアンインクにおいては酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴である染料を少なくとも一つ含有する、インクであり、かつ前記構成インクのうちブラックインクは1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性短波染料S及び水溶性長波染料Lを含むことを特徴とするインクセット。
  2. イエロ−インク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクを含み、該インクの少なくとも一つが少なくとも一つの染料を水性媒体中に含有してなるインクであるインクセットおいて、該構成インクのうちイエロ−インク、マゼンタインクおよびシアンインクの各々は複素環を分子中に少なくとも1個有する、アゾ染料またはフタロシアニン染料であって、かつ前記ブラックインクは水溶性長波染料Lおよび1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性短波染料Sを含むことを特徴とするインクセット。
  3. 水溶性長波染料Lは、水溶媒における吸収スペクトルの極大が550〜700nm、かつ半値幅が100nm以上であり、そして、水溶性短波染料Sは、水溶媒における吸収スペクトルの極大が440〜540nm、かつ半値幅が90〜200nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクセット。
  4. 前記水溶性短波染料Sは、1分子中に3〜6個のアゾ基を有し、且つフェノール性水酸基を有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクセット。
  5. 前記水溶性短波染料SがC.I.Direct Red 84を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクセット。
  6. 前記水溶性短波染料Sを、0.1〜4質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクセット。
  7. 前記水溶性長波染料Lは、1分子中に2〜4個の互いに共役するアゾ基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクセット。
  8. 前記水溶性長波染料Lは、アゾ基の共役位に水酸基を有することを特徴とする特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクセット。
  9. 前記水溶性長波染料Lは、発色団中に1個以下の複素環を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクセット。
  10. 前記水溶性長波染料Lは、会合性を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクセット。
  11. 前記水性媒体の蒸気圧が2000Pa以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインクセット。
  12. 前記水性媒体は、アルコール化合物、ヘテロ環含有有機溶剤、及び多価アルコールのアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のインクセット。
  13. ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1、5−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオール、イソプロパノール、トリエタノールアミン、2−ピロリドンの中から選ばれる1種以上の水性媒体を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のインクセット。
  14. 前記インクの少なくとも一つが界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のインクセット。
  15. 前記インクの少なくとも一つが防腐剤を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のインクセット。
  16. 前記インクの少なくとも一つが粘度が、1〜20mPa・secであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のインクセット。
  17. 前記インクの少なくとも一つが表面張力が、20〜50mN/mであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のインクセット。
  18. 前記インクの少なくとも一つがpHが7〜9であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のインクセット。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載のインクセットを、支持体上に白色顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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