JP2005036164A - 水性黒色インク組成物及び着色体 - Google Patents

水性黒色インク組成物及び着色体 Download PDF

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Yoshiaki Kawaida
芳明 川井田
Yasuo Shirasaki
康夫 白崎
Takahiko Matsui
貴彦 松井
Takashi Yoneda
孝 米田
Hiroaki Ono
博昭 大野
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Abstract

【課題】インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、色相がニュートラルで且つ印字濃度の高い黒色であり、さらに耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性及び演色性に優れており、記録液としての保存安定性も良好な水性黒色インク組成物の提供。
【解決手段】染料成分として、水中で300nmから800nmの範囲で吸収極大の吸光度1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に吸収極大を有し、且つ、1分子内にスルホ基を6つ以上とアゾ基を4つ以上有する水溶性ブラック染料の少なくとも1種類以上と、C.I.ダイレクトレッド89とを含むことを特徴とする水性インク組成物。

Description

本発明は、インクジェットプリンタ用の水性黒色インク組成物およびそれによる着色体に関する。
各種のカラー記録法の中でも代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水溶性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。この為、これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求され、また、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。更に、形成される画像には耐水性、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
耐オゾンガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスが記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスの他にも、この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、NOx,SOx等が挙げられるが、これらの酸化性ガスよりもオゾンガスの方がインクジェット記録画像の変退色現象をより促進させる原因物質とされている。耐オゾンガス性とは、通常耐オゾン性又は耐ガス性等とも呼ばれるが、これは空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスが記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。この耐オゾンガス性の程度を知る為の加速試験にはオゾンガスが用いられている。このような酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はより重要な課題となっている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はより重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、白色無機顔料等による多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られている。
また、耐湿性とは、着色された被記録材料を高湿度の雰囲気下に保存した際に、被記録材料中の染料色素が滲んでくるという現象に対する耐性のことである。染料色素の滲みがあると、特に写真調のような高精細な画質を求められる画像においては著しく画像品位が低下するため、できるだけこの様な滲みを少なくすることが重要である。従って、耐湿性も、前述の耐オゾンガス耐性と同様にインクジェット用の色素として求められる重要な課題である。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐水性、耐光性、耐湿性、耐オゾンガス性の更なる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の染料から調製されているが、それらのうち黒色インクは、文字情報をプリントする用途のみならず、カラー画像においても用いられる重要なインクである。しかし、色相がニュートラルで且つ濃度の高い黒色を呈する色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているがまだ十分な性能を有するものが少ない。その為、一般には複数の多様な色素を混合して黒色インクを形成することが行われている。複数の色素を混合してインクを作製すると、単一色素でインクを作製した場合に比べて、メディアによって色相が異なる、光やオゾンガスによる色素の分解によって特に変色が大きくなる等の問題がある。
黒色染料に赤色染料を配合した黒色インクとしては例えば特許文献1〜3のものが提案されているが、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至っていない。
特開昭58−208355号公報 特開昭63−227675号公報 特開2000−327965号公報 特開平8−73791号公報
本発明は、長期間保存した場合でも安定であり、色味のないニュートラルな黒色を呈し、印字された画像の濃度が高く、メディア毎の色相に変化が無く、しかも耐湿性、耐光性、耐オゾンガス性に優れた黒色の記録画像を与える黒色インク組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったものである。即ち本発明は、
(1)染料成分として、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度が1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に最大吸収波長を有し、且つ、1分子内にスルホ基を6つ以上とアゾ基を4つ以上有する水溶性ブラック染料の少なくとも1種類以上と、C.I.ダイレクトレッド89とを含むことを特徴とする水性インク組成物、
(2)下記一般式(1)
Figure 2005036164
(式(1)中、A及びDはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基を表し、B及びCはそれぞれ独立に置換されていても良いナフチル基を表す。またA、B、C及びDの各々の成分にはそれぞれ少なくとも1つ以上のスルホ基を含み、X、Yの一方はヒドロキシル基を、他方はアミノ基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、有機アミンのカチオン又はアンモニウムイオンを表す。)
で表されるブラック染料のうち、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度が1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性ブラック染料のうちの少なくとも1種類と、C.I.ダイレクトレッド89とを含むことを特徴とする水性インク組成物、
(3)一般式(1)において、A、B、C及びDにおける置換基が、ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;アルコキシ基;アシル基;フェニル基;ウレイド基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルキル基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良いフェニル基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基である(2)に記載のの水性インク組成物、
(4)下記一般式(2)
Figure 2005036164
(式(2)中、A及びDはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基を表し、且つ、A又はDの各々の成分にはそれぞれ少なくとも1つ以上のスルホ基を含む。結合aの結合位置は2位又は3位であり、結合bの結合位置は6位又は7位である。X、Yの一方はヒドロキシル基を、他方はアミノ基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、有機アミンのカチオン又はアンモニウムイオンを表す。)
で表されるブラック染料のうち、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度が1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性ブラック染料のうちの少なくとも1種類と、C.I.ダイレクトレッド89とを含有することを特徴とする水性インク組成物、
(5)一般式(2)において、A及びDの置換基が、ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;アルコキシ基;アシル基;フェニル基;ウレイド基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルキル基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良いフェニル基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基である(4)に記載の水性インク組成物、
(6)染料成分として、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて350nmから450nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性アゾ系染料を含有することを特徴とする(1)から(5)のいずれか一項に記載の水性インク組成物、
(7)C.I.ダイレクトイエロー86を含有することを特徴とする(6)に記載の水性インク組成物、
(8)(1)から(7)のいずれか一項に記載の水性インク組成物を装填したインクジェットプリンタ、
(9)(8)に記載のインクジェットプリンタによって着色された着色体、
本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の色相がニュートラルで且つ印字濃度が高く、さらに耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性及び演色性に優れている。マゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで耐光性及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)においてA及びDはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基を表し、B及びCはそれぞれ独立に置換されていても良いナフチル基を表す。且つ、各々の成分には少なくとも1つ以上のスルホ基を含む。また、これらはそれぞれさらに置換されていても、無置換であってもよい。A、B、C及びDを置換する置換基の例において、(C1〜C4)アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
(C1〜C4)アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
アシル基の例としては、アセチル、ベンゾイル等が挙げられる。
ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されている(C1〜C4)アルキル基の例としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、2−エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、n−プロポキシプロピル、イソプロポキシブチル、n−プロポキシブチル、スルホメチル、スルホエチル、2−スルホプロピル、3−スルホプロピル、スルホ−n−ブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシ−n−ブチル等が挙げられる。
ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されている(C1〜C4)アルコキシ基の例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ、スルホメトキシ、スルホエトキシ、2−スルホプロポキシ、3−スルホプロポキシ、スルホ−n−ブトキシ、カルボキシメトキシ、カルボキシエトキシ、カルボキシプロポキシ、カルボキシ−n−ブトキシ等が挙げられる。
カルボキシ基又はスルホ基で更に置換されていても良い、フェニル基、(C1〜C4)アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基の例としては、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシルヘニルアミノ、スルホフェニルアミノ、ジスルホフェニルアミノ、カルボキシエトキシアミノ、カルボキシプロポキシアミノ、カルボキシ−n−ブトキシアミノ、スルホエトキシアミノ、2−スルホプロポキシアミノ、3−スルホプロポキシアミノ、スルホ−n−ブトキシアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。
一般式(1)のA及びDの好ましい置換基は、スルホン酸、カルボキシル、アセチルアミノ、ヒドロキシル、ニトロ、塩素、メチル、メトキシ、3−スルホプロポキシ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノである。さらに好ましくはスルホン酸、カルボキシル、メチル、メトキシ、3−スルホプロポキシ、ヒドロキシル、アセチルアミノである。
B及びCの好ましい置換基は、スルホン酸、カルボキシル、ヒドロキシル、ニトロ、塩素、メチル、メトキシ、3−スルホプロポキシである。さらに好ましくはスルホン酸、ヒドロキシル、メチル、メトキシである。
一般式(1)の化合物のより好ましい形態は、一般式(2)で示される化合物である。
一般式(1)の化合物は、若干青味を帯びた黒色である。印刷濃度が高い場合は良好な黒色を呈すが、印刷濃度が低い場合は青味が目立つようになる。このやや青味を帯びた色相をニュートラルなグレー色〜黒色にする為、赤色染料を配合する。色相を調製でき、かつ一般式(1)の化合物がもつ耐水性、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性等の画像堅牢性などを損なわない赤色染料としてC.I.ダイレクトレッド89を選択することができた。
本発明に用いるC.I.ダイレクトレッド89は、例えばKayarus Supra Scarlet BNL 200(日本化薬社製)、Sumilite Supra Scarlet BNS(住友化学社製)などとして市場から入手することができる。
さらに色相をニュートラルな黒色にする為に必要に応じて黄色染料を配合することができる。黄色染料としては、水中で300nmから800nmの範囲における最大吸収波長での吸光度1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて350nmから450nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性アゾ系染料が好ましい。その具体例としては、カラーインデックスから、C.I.ダイレクトイエロー27、C.I.ダイレクトイエロー28、C.I.ダイレクトイエロー33、C.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー39、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー100、C.I.ダイレクトイエロー120、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー19、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー25、C.I.アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー38、C.I.アシッドイエロー49、C.I.アシッドイエロー59、C.I.アシッドイエロー61、C.I.アシッドイエロー72などが挙げられる。
これらのうち上記と同じ理由から好ましいのはC.I.ダイレクトイエロー28、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー23であり、より好ましいのはC.I.ダイレクトイエロー86である。
C.I.ダイレクトイエロー86は、例えばKayarus Supra Yellow RL(日本化薬社製)として市場から入手することができる。
本発明の一般式(1)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、具体的に下記の構造が挙げられる。
Figure 2005036164
Figure 2005036164
Figure 2005036164
Figure 2005036164
一般式(1)で示されるテトラアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。(ここで、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととし、カルボキシル基、スルホ基、その他前記した置換基は省略して記載する。)すなわち、骨格構造として、一般式(3)
Figure 2005036164
で表される化合物を常法によりジアゾ化し一般式(4)
Figure 2005036164
とカップリング反応し、一般式(5)で表される化合物を得る。また、これとは別に、一般式(6)又は(7)で表される化合物
Figure 2005036164
Figure 2005036164
Figure 2005036164
をジアゾ化し、これを一般式(8)
Figure 2005036164
で表される化合物とカップリング反応させることによって、一般式(9)、(10)
Figure 2005036164
Figure 2005036164
で表される化合物を得る。この化合物をさらにジアゾ化し、一般式(5)で表される化合物とカップリング反応させ、生成した一般式(11)、(12)
Figure 2005036164
Figure 2005036164
をアルカリ処理し、生成した一般式(13)、(14)
Figure 2005036164
Figure 2005036164
で表される化合物に、一般式(6)又は(7)で表される化合物をジアゾ化し、カップリングされることにより、本発明のインク組成物中に用いられるテトラアゾ化合物である一般式(15)、(16)、(17)又は(18)
Figure 2005036164
Figure 2005036164
Figure 2005036164
Figure 2005036164
が得られる。また、一般式(9)または(10)で表される化合物をジアゾ化し、一般式(4)とカップリング反応させることによって、一般式(19)、(20)
Figure 2005036164
Figure 2005036164
を得て、これに、一般式(9)、(10)で表される化合物をジアゾ化したものをカップリングさせることによっても、本発明のインク組成物中に含まれるテトラアゾ化合物である一般式(15)、(16)、(17)又は(18)を得ることができる。
一般式(3)化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜10℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。一般式(3)の化合物のジアゾ化物と一般式(4)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性から弱アルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から中性のpH値、たとえばpH2〜7で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、アンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(3)と(4)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
一般式(6)、(7)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜20℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。一般式(6)、(7)の化合物のジアゾ化物と一般式(5)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは中性からアルカリ性のpH値、たとえばpH7〜11で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、アンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(5)と(6)、(7)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
一般式(8)または(9)の化合物の加水分解による一般式(10)または(11)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、たとえば一般式(8)または(9)の化合物を含有する反応溶液に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。
一般式(10)、(11)の化合物のジアゾ化物と一般式(12)、(13)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜10℃の温度ならびに弱酸性から弱アルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から中性のpH値、たとえばpH3〜7で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、あるいはアンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(10)、(11)と(12)、(13)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
本発明の水性インク組成物中に使用される染料化合物は、それぞれ遊離酸の形で、あるいはその塩の形で存在しうる。塩としては、アルカリ金属塩、有機アミンのカチオン、又はアンモニウムイオンである。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。有機アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。水素原子、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンイオンなどが挙げられる。
本発明の水性インク組成物中に使用される染料化合物(以下断りの無い限り化合物又はその塩を単に化合物と記す。)は例えば、ナトリウム塩の場合、反応液に食塩を加えて、塩析、濾過することによりナトリウム塩が得られる。更にナトリウム塩を水に溶解し、酸を加えて酸性で結晶を析出させた後、濾過し、遊離酸の形で色素化合物のケーキを得る。次いで、その遊離酸の形の色素化合物を水に溶解又は懸濁し、目的の塩に対応する塩基、例えばアミン類、ナトリウム以外のアルカリ金属化合物を添加、溶解することにより各々の塩の溶液が得られる。この溶液から、それぞれの塩を、常法により、析出、濾過、乾燥することにより、ナトリウム塩以外の塩を得ることができる。
本発明の水性インク組成物において、一般式(1)の染料1質量部に対してC.I.ダイレクトレッド89の化合物量(質量)の比は1.0〜0.1であることが好ましく、0.6〜0.2であることがより好ましい。また、水中で300nmから800nmの範囲で吸収極大の吸光度1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて350nmから450nmの範囲に吸収極大を有するアゾ系染料の化合物量(質量)の一般式(1)の染料1質量部に対する比は0.6〜0.05であることが好ましく、0.4〜0.1であることがより好ましい。更に、この水性インク組成物には、色相の微調整の為にその他の色素を混合して用いても良い。
本発明の水性インク組成物は、これら染料化合物の総量が、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する水を主要な媒体とする組成物である。本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜5質量%含有していても良い。なお、インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる点で、pH6〜10が好ましく、pH7〜10がより好ましい。また、着色組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。さらに、着色組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
本発明の水性インク組成物は、一般式(1)の化合物を水または水溶性有機溶媒(有機溶剤又は水と混和可能な有機溶剤含有水)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。本発明の水性インク組成物のpHは5〜11程度が好ましい。この水性インク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、インク組成物としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば0.1質量%以下(対色素原体)程度である。無機物の少ない染料化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は染料化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。
本発明のインク組成物の調製において用いられる前記水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物の調製において用いられるインク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤などがあげられる。
前記防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
防腐剤としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等があげられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア)、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えばε−カプロラクタム、エチレンカ−ボネ−ト、尿素などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類、等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTGなど)、などが挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。
本発明の水性インク組成物は前記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で濾過を行ってもよい。
本発明のインク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、該インク組成物を含有してなるインクジェット用インクとして用いることが、特に好ましい。従って、本発明のインクジェット用インクは、本発明のインク組成物を含有することを特徴とし、本発明のインクジェット用インクは、後述する本発明のインクジェット記録方法において好適に使用される。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、前記インク組成物を含有してなるインクジェット用インクを用いて記録を行うことを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法においては、前記インク組成物を含有してなるインクジェット用インクを用いて受像材料に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記受像材料としては、特に制限はなく、公知の被記録材、例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。
また、本発明のインクジェット記録方法においては、前記受像材料の中でも、例えばインクジェット専用紙、インクジェット専用光沢紙、インクジェット専用フィルム等と呼ばれる以下の記録紙及び記録フィルムが特に好ましい。
前記記録紙及び記録フィルムは、支持体と受像層とを積層してなり、必要に応じて、バックコート層等のその他の層をも積層して成る。なお、受像層をはじめとする各層は、それぞれ1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
前記支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等を添加混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能であり、また、これらの他、合成紙、プラスチックフィルムシート等であってもよい。
前記支持体の厚みとしては、10〜250μm程度であり、坪量は10〜250g/m2が好ましい。
前記支持体には、前記受像層を設けてもよいし、前記バックコート層をさらに設けてもよく、また、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後に、前記受像層及び前記バックコート層を設けてもよい。また、前記支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
前記支持体の中でも、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー等)でラミネートした紙、及びプラスチックフイルムが好ましく用いられる。
前記受像層には、顔料、水性バインダー、媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤が含有されていてもよい。
前記顔料としては、白色顔料が好ましく、該白色顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂、等の有機顔料等が好適に挙げられる。これらの白色顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましい。
前記水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体、等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記媒染剤としてはポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
前記耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、カチオン樹脂が好適に挙げられる。前記カチオン樹脂としては、例えば、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられる。
前記耐光性向上剤としては、例えば、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
前記界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油等)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂等)が含まれる。
前記その他の添加剤としては、例えば、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。
前記バックコート層には、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が含有されていてもよい。
前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
前記水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
前記その他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
なお、前記記録紙及び記録フィルムにおける構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。前記ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスを前記バックコート層に添加するとカールを防止することができる。
本発明のインクジェット記録方式には、特に制限はなく、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下に本発明を更に実施例により具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載の無い限り質量基準である。
実施例1
水1800部中に式(21)の化合物107.5部を水酸化ナトリウムでpH5.5〜8.0に調整し、40%亜硝酸ナトリウム水溶液60.3部添加した後、水1200部、35%塩酸52.2部中に5〜10℃で滴下し、ジアゾ化した。
Figure 2005036164
このジアゾ懸濁液中に8−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3、6−ジスルホン酸を110部添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて2.0〜3.0に保持しながら終夜攪拌し、式(22)の化合物を含む反応液を得た。
Figure 2005036164
次いで、式(23)の化合物135.9部を水酸化ナトリウムでpH5.5〜8.0に調整しながら溶解した後、35%塩酸128.9部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液56.92部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を式(22)の化合物を含む反応液に15〜30℃で滴下した。滴下中は溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、更に15〜30℃で3時間、pH8.5〜9.5で攪拌しカップリング反応を完結させ、式(24)の化合物を含む反応液得た。添加後、pH値を炭酸ナトリウムにて2.0〜3.0に保持しながら終夜攪拌し、式(24)の化合物を含む反応液を得た。
Figure 2005036164
Figure 2005036164
次いで、この反応液に水酸化ナトリウムでpH7.0〜11.0、温度を60℃で3時間攪拌し、加水分解し、式(25)の化合物を得た。この反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過して単離した。
Figure 2005036164
式(25)の化合物を水3000部中、水酸化ナトリウムでpH8.5〜9.5にして完溶させた。1−アミノ−2−ベンゼンスルホン酸51.2部を常法によりジアゾ化し、この懸濁液を滴下した。このジアゾ懸濁液に先に溶解した式(25)の化合物のアルカリ性水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中は溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、更に15〜30℃で3時間、pH8.5〜9.5で攪拌しカップリング反応を完結させ、式(26)の化合物を含む反応液得た。35%塩酸にてpH値を2.0〜5.0とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水1000部に溶解し、メタノール1000部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(26)の化合物100.4部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は649nmであり、また水への溶解度は100g/l以上であった。
Figure 2005036164
実施例2
実施例1の式(21)の化合物107.5部の代わりに式(27)の化合物を142.1部を、式(23)の化合物135.9部の代わりに式(28)の化合物113.7部を、1−アミノー2−ベンゼンスルホン酸の代わりに1−アミノ―4−メトキシ―2−ベンゼンスルホン酸66.9部を用いるとする以外は実施例1と同様の方法で式(29)のテトラキスアゾ化合物90.2部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は657nmであり、また水への溶解度は100g/l以上であった。
Figure 2005036164
Figure 2005036164
Figure 2005036164
(A)インクの調製
以下、色素化合物は全て脱塩処理されたものを用いた。
実施例2
下記表5の成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性インク組成物を得た。
表5
合成例1で得られた化合物 3.8部
C.I.ダイレクトレッド89 0.7部
C.I.ダイレクトイエロー86 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
実施例4
下記表6の成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性インク組成物を得た。
表6
合成例2で得られた化合物 3.7部
C.I.ダイレクトレッド89 1.0部
C.I.ダイレクトイエロー86 0.3部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
(B)インクジェットプリント
上記で得られたそれぞれのインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名 Canon社 BJ−S630 )により、普通紙(Canon TLB5A4)、専用光沢紙A(キャノン社 プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)及び専用光沢紙B(EPSON社 PM写真用紙(光沢) KA420PSK)の3種の紙にインクジェット記録を行った。印刷の際は、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの黒色印字物を得た。印刷時はグレースケールモードを用いているため、この淡色部分においては黒色記録液以外のイエロー、シアン、マゼンタの各記録液が併用されていない。以下に記する試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である色相評価(数値データ)の測定では、印刷物のa*値、b*値を測色する際に、この印刷物の反射濃度D値が最も高い部分を用いた。同様に測色機を用いる耐光性試験、耐オゾンガス性試験の測定の際には、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。色相評価(目視)、耐湿性試験の評価、演色性試験の評価については、印刷物全体を目視にて評価した。
(C)記録画像の評価
本発明の水性インク組成物による記録画像につき、色相(目視)、色相(数値データ)、耐光性試験後の色相変化、耐オゾンガス性試験後の色相変化、耐湿性試験による滲みの程度、演色性の6点について評価を行った。尚、耐オゾンガス性試験、耐湿性試験は、専用光沢紙A,Bについてのみ行った。その結果を表11に示した。試験方法は下記に示した。
(1)色相評価(目視)
以下に判定基準を示す。
○ 色味のない高濃度の黒色である
△ やや色味があるが黒色である
× 色味があり黒色には見えない
(2)色相評価(数値データ)
記録画像の色相評価(数値データ)はGretag Macbeth SpectroEye(GRETAG社製)を用いてa*値とb*値を測色し、C*値を算出した。C*値の算出式はC*={(a*2+(b*21/2である。判定基準を以下に示す。
○ C*<5.0
△ 5.0≦C*≦10
× 10<C*
(3)耐光性試験
キセノンウェザオメーターCi4000(ATLAS社製)を用い、印刷サンプルに0.36W/平方メートルの照度で50時間照射した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)及び色相濃度の減少率を測定した。判定は以下を目安に行った。
○ ΔE:10未満、残存率:80%以上
△ ΔEと残存率のどちらか一方だけが○の条件を満たせない
× ΔE:10以上、残存率:80%未満
(4)耐オゾンガス性試験
オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いてオゾン濃度を12ppm、湿度60%RH、温度24℃で印刷サンプルを1時間放置した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)及び色相濃度の減少率を測定した。判定は以下を目安に行った。
○ ΔE:15未満、残存率:80%以上
△ ΔEと残存率のどちらか一方だけが○の条件を満たせない
× ΔE:15以上、残存率:80%未満
(5)耐湿性試験
印刷サンプルを恒温恒湿器(応用技研産業(株)製)を用いて50℃、90%RHで3日間放置し、試験前後の染料の滲みを目視により判定した。
○ 染料の滲みがほとんど見られない
△ 染料の滲みがやや見られる
× 染料の滲みがかなり見られる。
(6)演色性試験
標準光源下での色相を基準にタングステン光下で見た場合の変色の程度を目視により判定した。
○ 色相変化小さい。
△ 色相変化やや大きい。
× 色相変化大。
比較例1
比較対象として水溶性インクジェット用黒色色素として用いられているアゾ系色素のC.I.フードブラック2(下記式(30))を下記表7の組成でインク組成物を調製した。得られた記録画像の色相評価、色相濃度評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価、耐湿性評価及び演色性評価の結果を表11に示した。
表7
C.I.フードブラック2 5.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
Figure 2005036164
比較例2
比較対象としてC.I.ダイレクトレッド89の代わりに特許文献4の化合物例No.(1)に示される色素(下記式(31))を用い、下記表8のインク組成でインク組成物を調製した。得られた記録画像の色相評価、色相濃度評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価、耐湿性評価及び演色性評価の結果を表11に示した。
表8
合成例1で得られた化合物 3.5部
特許文献4のNo.(1)化合物 1.0部
C.I.ダイレクトイエロー86 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
Figure 2005036164
比較例3
比較対象として、色素としては合成例1で得られた化合物のみを用いて下表9のインク組成でインク組成物を作製した。得られた記録画像の色相評価、色相濃度評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価、耐湿性評価及び演色性評価の結果を表11に示した。
表9
合成例1で得られた化合物 5.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
比較例4
比較対象として、色素としては合成例2で得られた化合物のみを用いて下表10のインク組成でインク組成物を作製した。得られた記録画像の色相評価、色相濃度評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価、耐湿性評価及び演色性評価の結果を表11に示した。
表10
合成例2で得られた化合物 5.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
表11
色相(目視) 色相(数値) 耐光性 耐オゾンガス性 耐湿性 演色性
実施例1
普通紙 ○ ○ ○ − − ○
専用光沢紙 ○ ○ ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○ ○ ○
実施例2
普通紙 ○ ○ ○ − − ○
専用光沢紙A ○ ○ ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○ ○ ○
比較例1
普通紙 ○ ○ ○ − − ×
専用光沢紙A △ × ○ × × ×
専用光沢紙B △ △ × × ×
比較例2
普通紙 × △ △ − − ○
専用光沢紙A ○ ○ △ △ △ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ △ △ ○
比較例3
普通紙 ○ ○ ○ − − ○
専用光沢紙A ○ △ ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ △ ○ ○ ○ ○
比較例4
普通紙 ○ △ ○ − − ○
専用光沢紙A ○ △ ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ △ ○ ○ ○ ○
表11より、本発明のインク組成物はメディア毎の色相に差が無く、C*が0に近いニュートラルな黒色印刷物を与え、またその印刷物は、耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性、演色性において優れている。

Claims (9)

  1. 染料成分として、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度が1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に最大吸収波長を有し、且つ、1分子内にスルホ基を6つ以上とアゾ基を4つ以上有する水溶性ブラック染料の少なくとも1種類以上と、C.I.ダイレクトレッド89とを含むことを特徴とする水性インク組成物。
  2. 下記一般式(1)
    Figure 2005036164
    (式(1)中、A及びDはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基を表し、B及びCはそれぞれ独立に置換されていても良いナフチル基を表す。またA、B、C及びDの各々の成分にはそれぞれ少なくとも1つ以上のスルホ基を含み、X、Yの一方はヒドロキシル基を、他方はアミノ基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、有機アミンのカチオン又はアンモニウムイオンを表す。)
    で表されるブラック染料のうち、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度が1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性ブラック染料のうちの少なくとも1種類と、C.I.ダイレクトレッド89とを含むことを特徴とする水性インク組成物。
  3. 一般式(1)において、A、B、C及びDにおける置換基が、ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;アルコキシ基;アシル基;フェニル基;ウレイド基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルキル基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良いフェニル基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基である請求項2に記載の水性インク組成物。
  4. 下記一般式(2)
    Figure 2005036164
    (式(2)中、A及びDはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基を表し、且つ、A又はDの各々の成分にはそれぞれ少なくとも1つ以上のスルホ基を含む。結合aの結合位置は2位又は3位であり、結合bの結合位置は6位又は7位である。X、Yの一方はヒドロキシル基を、他方はアミノ基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、有機アミンのカチオン又はアンモニウムイオンを表す。)
    で表されるブラック染料のうち、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度が1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて550nmから700nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性ブラック染料のうちの少なくとも1種類と、C.I.ダイレクトレッド89とを含有することを特徴とする水性インク組成物。
  5. 一般式(2)において、A及びDの置換基が、ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;アルコキシ基;アシル基;フェニル基;ウレイド基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルキル基;ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良いフェニル基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基である請求項4に記載の水性インク組成物。
  6. 染料成分として、水中で300nmから800nmの範囲で最大吸収波長での吸光度1から2Absの範囲になるように濃度調整した時の分光光度計の吸収スペクトルにおいて350nmから450nmの範囲に最大吸収波長を有する水溶性アゾ系染料を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  7. C.I.ダイレクトイエロー86を含有することを特徴とする請求項6に記載の水性インク組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の水性インク組成物を装填したインクジェットプリンタ。
  9. 請求項8に記載のインクジェットプリンタによって着色された着色体。
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