JP2008502564A - セメント状組成物への耐凍結融解性の装備 - Google Patents

セメント状組成物への耐凍結融解性の装備 Download PDF

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Abstract

混合物中に直接に配合されるガス発生添加剤および場合によってはポリマー微小球によるガスの原位置での形成に使用される、改善された耐凍結融解性を有する湿潤注型セメント状組成物が提供される。ガス発生添加剤およびポリマー微小球は、材料マトリックス中に空隙空間を提供し、このような空隙空間は、材料の耐凍結融解性を増大させる作用を有する。

Description

関連出願に対するクロス・リファレンス
本願は、2004年6月15日付けで出願された特許出願番号60/579,975の米国での暫定的な出願の出願日の恩典を受けて特許保護が請求されたものであり、2004年6月15日付けで出願された特許出願番号60/579,691の米国での暫定的な出願である。
背景
凍結融解サイクルが水により飽和され硬化されたセメント状組成物、例えばコンクリートに極めて損傷を与えうることは、よく知られている。損傷を阻止するかまたは減少させるための最善の公知の技術は、顕微鏡的に微細な細孔または間隙に前記組成物を練り込むことである。細孔または間隙は、内部の膨張チャンバーとして機能し、それ故に、凍結前面がコンクリート中に前進することによって引き起こされる液圧を軽減させることにより前面損傷からコンクリートを保護することができる。このような空隙をコンクリート中に人工的に形成させるための従来技術で使用される方法は、混合中にコンクリート内に連行される小さな気泡を安定化する空気連行剤を用いる方法であった。
この空気連行剤は、典型的には、湿潤注型コンクリートの混合処理中に界面活性剤を使用することによって安定化される。不運なことに、気泡をコンクリート内に連行する前記方法は、数多くの生産および配置の問題によって悩まされており、その幾つかは、次の通りである:
空気含量−セメント状混合物の空気含量の変化は、空気含量が経時的に減少する場合に凍結融解の疲労に対する乏しい耐性を有するコンクリートを生じさせる可能性があるかまたは空気含量が経時的に増加する場合にコンクリートの圧縮強度を減少させる可能性がある。例は、ポンピングコンクリート(圧縮による空気含量の減少)、超可塑剤の職務現場での添加(しばしば、空気含量を上昇させるかまたは気泡系を不安定化する)、特殊な混和剤と空気連行界面活性剤との相互作用(空気含量を増加させうるかまたは減少させうる)である。
気泡の安定化−気泡の安定化の不可能性は、安定化界面活性剤を吸着する材料、即ち高い表面積の炭素を有するアッシュまたは適度な作業、即ち低いスランプの適度なコンクリート作業のための界面活性剤にとって不十分な水の存在によるものと思われる。
気泡特性−耐凍結融解性を備えさせるのに大きすぎる気泡の形成は、結果として低い品質または低い等級の骨材を生じる可能性があり、また、気泡を不安定化する他の混和剤を使用する可能性等がある。このような気泡は、しばしば不安定であり、新しいコンクリートの表面に浮遊する傾向を有する。
過剰仕上げ−過剰仕上げによる空気の除去は、コンクリート表面から空気を除去し、典型的には、過剰仕上げされた表面に隣接するセメントペーストの吐出しゾーンをスケーリングすることによって凹所が生じる。
前記セメントペーストを混合および保証する時間での空気の発生および安定化は、コンクリートの硬化が北米での調合ミクスコンクリート製造業者にとって日毎の最も重要な課題になるまで適当な量および気泡寸法のままであった。
適度に空気が連行されたコンクリートは、製造するのが最も困難なタイプのコンクリートの1つのままである。空気含量およびコンクリート中に連行される気泡系の特性は、直接的な定量手段によって制御することができないが、しかし、間接的にのみ混合物に添加される空気連行剤の量/タイプによって制御することができる。ファクター、例えば骨材の組成および粒子の形状、混合物中のセメントのタイプおよび量、コンクリートの稠度、使用される混合装置のタイプ、混合時間および温度は全てが空気連行剤の性能に影響を及ぼす。普通の空気が連行されたコンクリート中での気泡分布は、10〜3000マイクロメートル(μm)またはそれ以上で極めて広範囲の変動を示しうる。このようなコンクリートにおいて、周期的な耐凍結融解性にとって本質的な小さな気泡の代わりに、コンクリートの耐久性に対して殆んど貢献しない、コンクリートの強度を減少させうる大きな気泡の存在は、避けることのできない特徴として受け入れられなければならない。
硬化されたコンクリート中での気泡系の特性は、ASTM C457の硬化されたコンクリート中での気泡系のパラメーターの顕微鏡的な測定のための標準試験法により測定される。前記特性は、平均気泡寸法(比表面積)、体積存在度(空気含量)および気泡間の平均間隔(空間ファクター)で示される一連のパラメーターとして表現される。前記値は、水飽和された周期的な凍結環境内でのコンクリートの予想される性能および耐久性を測定するためにコンクリート工業において使用された。ACIガイドラインは、耐凍結融解サイクルを保証するために、比表面積が600in-1より大きく、空間ファクターが0.008inに等しいかまたはそれ未満であることを推奨している。
当業者は、空気が連行されたコンクリートを製造するための適当な規則を適用することにより前記の影響を制御することを学習してきた。しかし、当業者には、このようなコンクリートの製造および空気含量の連続的な検査における特殊な手入れを実行することが必要とされる。それというのも、この空気含量が低すぎると、コンクリートの耐凍結性は不適当になるし、他面、この空気含量が高すぎると、この空気含量は圧縮強度に不利な影響を及ぼすことになる。
公知技術水準での気泡の制御方法は、しばしば首尾一貫していない性能を生じる。受け入れることができる寸法および空間の気泡が混合作用によって連行されない場合には、化学的系を安定化する量の気泡は、硬化されたコンクリート中に受け入れることができる気泡構造を形成しえない。
それ故に、混合中に適度な寸法の気泡の形成のために剪断条件を必要とすることなく、湿潤注型セメント状混合物中で直接に耐凍結融解性の間隙構造を形成する混和剤を提供することが望まれている。間隙構造は、湿潤注型混合物に最適な大きさの間隙を有することができ、この湿潤注型混合物は、改善された耐凍結融解性を有するセメント状組成物を提供する。前記混和剤は、空気を連行する化学的混和剤を含有する湿潤注型混合物から製造された製品のための圧縮強度の減少を少なくするかまたは排除するはずである。
要約
耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型組成物が提供され、この湿潤注型組成物は、水硬性セメント、ガス発生添加剤および場合によってはポリマー微小球を含有することによって特徴付けられる。
耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型セメント状組成物の製造法が提供され、この方法は、水と水硬性セメントとガス発生添加剤と場合によってはポリマー微小球との混合物を形成することによって特徴付けられる。
詳細な説明
改善された耐凍結融解性を有する湿潤注型セメント状組成物が提供される。前記組成物は、セメント状混合物中に分散される場合にガスを発生する添加された化学薬品または該化学薬品の配合物および場合によっては前記混合物中に直接に配合される膨張されたかまたは膨張されていないポリマー微小球を使用する。このポリマー微小球は、種々の表品名で製造されかつ販売されており、粒子の壁面を形成するために種々のポリマー材料が使用される。
ガス発生添加剤および場合によるポリマー微小球の使用は、実質的に現在の技術における大部分の問題を排除する。また、幾つかの材料、即ち現在、後処理なしには空気が連行されたコンクリート中に使用不可能であるとして埋め立てられている、低い等級の高炭素フライアッシュを使用することもできる。これは、セメントの節約、ひいては経済的な節約を生じる。この問題解決の取り組み方によって"形成される"間隙が常用の空気連行剤(AEAs)によって得られる間隙よりも著しく小さい場合に、望ましい耐久性を達成させるのに必要とされる間隙の体積は、常用の空気が連行されたコンクリート中での間隙の体積よりも著しく小さくともよい(約4体積%未満対典型的に5〜6体積%)。それ故に、よりいっそう高い圧縮強度は、耐凍結融解性の同レベルで新規方法によって達成させることができる。その結果として、強度を達成するのに使用される最も高価な構成成分、即ちセメントは、節約されることができる。
湿潤注型セメント状組成物およびその製造法は、最終的な凝固前にセメント状材料マトリックス中に間隙空間を提供するためにポリマー微小球の場合による添加と結合された原位置でのガス発生を使用し、このような間隙空間は、セメント状材料の耐凍結融解性を増大させるために作用する。ポリマー微小球および原位置でのガス発生は、間隙を湿潤注型セメント状組成物中に導入し、凍結融解サイクルによって形成される崩壊に耐えかつ湿潤注型セメント状組成物の混合中に気泡の安定化に依存しないコンクリート中に十分に形成された間隙構造を生じる。原位置でのガス発生およびポリマー微小球によって形成される耐凍結融解性の増大は、水がセメント状材料中で凍結する際に生じた応力を軽減するための物理的機構に基づく。常用の実地において、適度に寸法決定され空間を有する間隙は、化学的混和剤を使用することによって硬化された材料中で発生され、混合中にコンクリート混合物に連行された空気間隙を安定化する。常用のコンクリート混合物において、1つの等級としての前記の化学的混和剤は、空気連行剤と呼称される。現在、セメント状組成物および方法、最終的な凝固以前のある時に湿潤注型セメント状混合物中で発生されるガスおよびポリマー微小球の場合による添加は、硬化された材料中で間隙を形成させる。この方法は、原位置でのガス発生および間隙構造を形成させるためのポリマー微小球の場合による付加を使用し、混合処理中に連行される空気の形成および/または安定化を必要としない。
1つの実施態様において、ヒドラジドとの組合せでのポリマー微小球の使用は、向上された品質の制御を提供する。現在の技術は、加圧法を用いての連行された空気の体積測定に依存する。ヒドラジドが最初にガスを放出しないと仮定して、ヒドラジドが実際にコンクリートに添加されたかどうかを測定することは、困難である。ポリマー微小球は、ロラメーター(rollameter)によりプラスチックコンクリート中で比較的に識別されうる。ヒドラジドがポリマー微小球と混和されてよい場合には、ヒドラジドの存在を推測することができた。
一般に提供される湿潤注型セメント状組成物は、水硬性セメント、ガス発生添加剤および場合によるポリマー微小球を含有する。セメント状混合物からペーストを形成させるために、水が添加される。湿潤注型セメント状組成物は、注型されたセメント状組成物およびセメント状組成物から形成された製品を含む。
水硬性セメントは、ポルトランドセメント、カルシウムアルミネートセメント、燐酸マグネシウムセメント、マグネシウムカリウムホスフェートセメント、カルシウムスルホアルミネートセメントまたは任意の他の適当な水硬性結合剤であることができる。骨材は、湿潤注型セメント状混合物を含むことができる。骨材は、シリカ、石英、砂、破砕された大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、漂砂、任意の他の耐性骨材およびその混合物であることができる。
アルミニウム粉末の使用は、歴史的にセメント状系中で気泡を形成させる手段の1つであった。アルミニウム粉末と比較して、ヒドラジドを使用することの数多くの利点が存在する。第1に、殆んど危険でない、(アルカリ性のpHでアルミニウム粉末と水とを反応させることによって形成された)水素ガスの代わりの窒素ガスの形成がある。第2に、アルミニウム粉末粒子は、一般にヒドラジド粉末よりも大きく、構造体中に通路を掘る傾向にある、よりいっそう大きい気泡を発生させる。結果として、アルミニウム粉末は、耐凍結融解性の目的のために硬化されたコンクリート系中で必ずしも良好な気泡構造を形成しない。第3の利点は、ヒドラジドの加水分解反応とは異なり、アルミニウム粉末の反応が高温依存性であることにある。
ガス発生添加剤は、無水セメントの質量に対して固体約0.005%〜約2%の量でセメント状組成物に添加されてよい。ガス発生添加剤は、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニアまたはメタンガスを発生させる任意の化合物であり、広い範囲の化学薬品、例えば窒素ガス発生化合物、例えばヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アゾ化合物、アゾジカルボンアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、トルエンスルホニルセミカルバジド、フェニルテトラゾール、ジニトロソペンタメチレンテトラミン;水素ガス発生化合物、例えば硼水素化ナトリウム;酸素ガス発生化合物、例えば有機ペルオキシドおよび無機ペルオキシド;二酸化炭素発生化合物、例えば重炭酸ナトリウムまたは他のアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩;および空気発生化合物、例えば活性炭に由来する。ヒドラジドの1例は、4,4′′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジドである。4,4′′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジドの幾つかの特質は、この4,4′′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジドがセメント状組成物の配置後に分解し、水中で比較的不溶性であることにあり;その結果、この4,4′′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジドは、輸送中に機械的作用によって余り影響を及ぼされない。この材料は、モルタルおよびグラウト中での化学的収縮に対する或る程度の膨張的補償を提供するために使用されたが、しかし、凍結融解サイクルに晒されるセメント状組成物に形成される損傷を減少させる方法には、使用されなかった。ガス発生添加剤と場合によるポリマー微小球との組合せは、気泡の耐凍結融解損傷性ならびに耐表面スケーリングを提供する。
ポリマー微小球は、約100マイクロメートルまたはそれ未満の平均直径を有し、一定の実施態様において、約25マイクロメートル未満の平均直径、中空コアおよび圧縮壁を有する。発泡ポリマー微小球(自己含有された液体を膨張させてガス相に形成させた)または非発泡ポリマー微小球(非発泡の液体相を含む)が使用されてよい。ポリマー微小球の内側部分は、発泡ポリマー微小球におけるようにガスを含有していてよい(ガス充填された)空隙の巣を有するかまたは非発泡ポリマー微小球におけるように液体を含有していてよい(液体充填された)空隙の巣を有する。
ポリマー微小球は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレンの少なくとも1つであるポリマー、またはそのコポリマー、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン−ポリアクリロニトリルコポリマーまたは塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマーおよび類似物から構成されていてよい。ポリマー微小球がポリマーから構成されている場合には、壁は、圧力に応じて可動する程度に可撓性である。これは、圧力に晒された際に破損する硬質構造を有する微小球を形成するガラス、セラミック材料または他の不撓性材料と比較される。それ故に、ポリマー微小球を形成することができる材料は、可撓性ではあるが、セメント状組成物のアルカリ性の環境に対して耐性を有する。
一定の実施態様において、前記微小球の寸法は、平均直径で約10μmより小さい寸法である。ポリマー微小球の直径がよりいっそう小さくなれば、望ましい空間ファクター(これは、耐凍結融解性の予測変数である)を達成させるのに必要とされる直径は、ますます小さくなる。これは、前記のポリマー微小球の添加によって圧縮強度の減少が殆んど起こらないという性能の見通し、ならびに球体のよりいっそう小さい質量が必要とされるので経済的な見通しから有利である。同様に、ポリマー微小球の壁厚は、材料費を最小にするためにはできるだけ薄手でなければならないが、しかし、セメント状組成物の混合処理、配置処理、圧密処理および仕上げ処理中の十分な耐損傷/破損のためにはできるだけ厚手でなければならない。
セメント状組成物に添加されるポリマー微小球の量は、全体積の約0.05%〜4%または無水セメントの約0.01質量%〜無水セメントの約4質量%である。
ガス発生添加剤およびポリマー微小球は、数多くの形でセメント状組成物に添加されてよい。第1は、無水粉末としてであり、この場合には、極めて低い嵩密度で使用するための無水粉末取り扱い装置が使用されうる。ポリマー微小球は、水85質量%である湿潤粉末として有効である。一定の実施態様において、液状混和剤、例えばペーストまたはスラリーの使用は、実質的に混合装置への装入中に材料の損失を減少させる。第3の形は、Degussa ADmixtures, the Cleaveland, Ohioによって販売されているDELVO(登録商標)ESC混和剤と同様に、圧縮団塊、例えばブロックまたはパックとしてである。ポリマー微小球およびガス発生添加剤粉末は、水中で破壊される添加剤と一緒に個々の単位に前形成される。
本明細書中に記載されたセメント状組成物は、他の添加剤または成分を含有することができ、記載された配合に限定されるものではない。添加されうるセメント添加剤は、次のものを含むことができるが、しかし、これに限定されない:空気連行剤、骨材、ポゾラン、分散剤、凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤、凝固遅延剤、水希釈剤(water reducer)、耐蝕剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー変性剤、撥水剤、繊維、防湿混和剤、透過性減力剤、ポンピング補助剤、抗真菌混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、微粒状無機混和剤、アルカリ反応減力剤(alkali-reactivity reducer)、結合混和剤、収縮減少混和剤および任意の他の混和剤またはセメント状組成物の性質に不利な影響を及ぼさない添加剤。
骨材は、モルタルを調製するためのセメント状配合物中に含まれていてよく、この場合このモルタルは、微細な骨材と粗大な骨材をも含むコンクリートとを含む。この微細な骨材は、No.4の篩(ASTM C 125およびASTM C 33)を殆んど完全に通過する材料、例えばシリカ砂である。粗大な骨材は、No.4の篩(ASTM C 125およびASTM C 33)上に大部分が保留される材料、例えばシリカ、石英、破砕された大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、漂砂、砂または任意の他の耐性骨材およびその混合物である。
ポゾランは、セメント質の価値を殆んど有しないかまたは全く有しない珪酸質材料またはアルミノ珪酸質材料であるが、しかし、水の存在で微粒状の形でポルトランドセメントの水和中に形成される水酸化カルシウムと化学的に反応し、セメント質の性質を有する材料を形成する。珪藻土、オパリン質チャート、クレー、頁岩、フライアッシュ、スラグ、シリカフューム、凝灰岩および軽石は、公知のポゾランの幾つかである。一定の粉砕され造粒された高炉スラグおよび高カルシウムフライアッシュ(high calcium fly ashes)は、ポゾランの性質とセメント質の性質との双方を有する。天然のポゾランは、天然で発生するポゾラン、例えば凝灰岩、軽石、トラッス、珪藻土、オパリン質チャートおよび幾つかの頁岩を定義するために使用される1つの用語である。名目上、不活性材料は、微粒状の未処理の石英、ドロマイト、石灰石、大理石、花崗岩等を含むこともできる。フライアッシュは、ASTM C 618に定義されている。
使用される場合、シリカフュームは、圧縮されていなくともよいし、部分的に圧縮されていてもよいし、スラリーとして添加されてもよい。シリカフュームは、付加的にセメント結合剤の水和副生成物と反応し、この場合このセメント結合剤は、完成製品の増大された強度を提供し、完成製品の透過性を減少させる。シリカフュームまたは他のポゾラン、例えばフライアッシュまたは焼成クレー、例えばメタカオリン(metakaolin)は、セメント状材料の質量に対して約5%〜約70%の量で湿潤注型セメント状混合物に添加されてよい。
セメント状組成物中に使用される場合の分散剤は、任意の適当な分散剤、例えばリグノスルホネート、β−ナフタリンスルホネート、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合物、ポリアスパラギン酸塩、ポリエーテル単位を有するかまたは有しないポリカルボキシレート、ナフタリンスルホネートホルムアルデヒド縮合物樹脂、例えばLOMAR D(登録商標)(Cognis Inc., Cincinnati, Ohio)またはオリゴマー分散剤であることができる。
ペンダント側鎖を有する炭素骨核を有する分散剤を意味するポリカルボキシレート分散剤を使用することができ、この場合側鎖の少なくとも一部分は、カルボキシル基またはエーテル基によって骨核に結合されている。分散剤の用語は、セメント状組成物のための可塑剤、広範囲の水減力剤、流動化剤、抗凝集剤または超可塑剤としても機能する化学薬品を含むことも意味する。ポリカルボキシレート分散剤の例は、米国特許第2002/0019459号明細書A1、米国特許第6267814号明細書、米国特許第6290770号明細書、米国特許第6310143号明細書、米国特許第6187841号明細書、米国特許第5158996号明細書、米国特許第6008275号明細書、米国特許第6136950号明細書、米国特許第6284867号明細書、米国特許第5609681号明細書、米国特許第5494516号明細書、米国特許第5674929号明細書、米国特許第5660626号明細書、米国特許第5668195号明細書、米国特許第5661206号明細書、米国特許第5358566号明細書、米国特許第5162402号明細書、米国特許第5798425号明細書、米国特許第5612396号明細書、米国特許第6063184号明細書および米国特許第5912284号明細書、米国特許第5840114号明細書、米国特許第5753744号明細書、米国特許第6728207号明細書、米国特許第5725657号明細書、米国特許第5703174号明細書、米国特許第5665158号明細書、米国特許第5643978号明細書、米国特許第5633298号明細書、米国特許第5583183号明細書および米国特許第5393343号明細書中に見出すことができ、この場合これらの刊行物は、全て参考のために本明細書中に記載されている。
前記系中で使用されるポリカルボキシレート分散剤は、分散剤の式a)〜j)の少なくとも1つであることができる:
a)式(I):
Figure 2008502564
〔式(I)中で、
Xは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミンの少なくとも1つであり;
Rは、C1〜C6アルキル(アルキレン)エーテルまたはその混合物、またはC1〜C6アルキル(アルキレン)イミンまたはその混合物の少なくとも1つであり;
Qは、酸素、NHまたは硫黄の少なくとも1つであり;
pは、線状側鎖または分枝鎖状側鎖の少なくとも1つを生じる1〜約300の数の1つであり;
1は、水素、C1〜C20炭化水素、または−OH、−COOH、−COOHのエステル誘導体またはアミド誘導体の少なくとも1つを含有する官能化された炭化水素、スルホン酸、スルホン酸のエステル誘導体またはアミド誘導体、アミンまたはエポキシの少なくとも1つであり;
Yは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミン、疎水性炭化水素または消泡剤として機能するポリアルキレンオキシド部分の少なくとも1つであり;
m、m′、m′′、n、n′およびn′′は、それぞれ独立に0または1〜約20の整数であり;
Zは、i)少なくとも1つのアミンおよび少なくとも1つの酸基、ii)二無水物、ジアルデヒドおよび二酸クロリドから構成されている群から選択された骨核中に組み込むことができる2個の官能基、またはiii)イミド残基の少なくとも1つを含有する部分であり;
この場合、a、b、cおよびdは、それぞれ零より大きい値または零に等しく、1未満であり、a、b、cおよびdの少なくとも2つは、零より大きい〕で示される分散剤;
b)式(II)で示される分散剤:
Figure 2008502564
〔式(II)中で、
Aは、COOMであるかまたは場合によっては"y"構造中で、酸無水物基(−CO−O−CO−)は、A基が結合されて無水物を形成するような炭素原子間のA基の代わりに形成されており;
Bは、COOMであり;
Mは、水素、遷移金属陽イオン、疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、(アルカノール)アンモニウムイオンまたは(アルキル)アンモニウムイオンであり;Rは、C2〜C6アルキレン基であり;
1は、C1〜C20アルキル、C6〜C9シクロアルキルまたはフェニル基であり;
x、yおよびzは、0.01〜100の数であり;
mは、1〜100であり;
nは、10〜100の数であり〕で示される分散剤;
c)i)RがC1〜C20アルキルであり、AがC2〜C4アルキレンであり、かつmが2〜16の整数であるような式RO(AO)mHの化合物との無水マレイン酸半エステルと
ii)nが1〜90でありかつRがC1〜C20アルキルであるような式CH2=CHCH2−(OA)nORを有するモノマーとのコポリマーの形を有する少なくとも1つのポリマーまたはその塩からなる分散剤;
d)次の一般式(I):
Figure 2008502564
〔R1は、水素原子またはメチル基を表わし、R2Oは、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基の1つ種類または2つ以上の種類の混合物を表わし、この場合2つ以上の種類の混合物は、ブロックの形で添加されてもよいし、ランダムな形で添加されてもよく、R3は、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表わし、mは、1〜100の範囲内の整数であるオキシアルキレン基の付加的な平均モル数を示す〕によって表わされる(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a)5〜98質量%とR4およびR5がそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、M1が水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基または無機アミン基であるような上記一般式(2)によって表わされる(メタ)アクリル酸モノマー(b)95〜2質量%と前記モノマーと共重合可能な他のモノマー(c)0〜50質量%と共重合させることによって得られた分散剤、この場合(a)、(b)および(c)の全体量は、100質量%であり;
e)オリゴアルキレングリコール、ポリアルコール、ポリオキシアルキレンアミンおよびポリアルキレングリコールから構成されている群から選択された少なくとも1つの種類に由来する側鎖を有する、ポリカルボン酸またはその塩であるグラフトポリマー;
f)式(III):
Figure 2008502564
〔式(III)中で、
Dは、構造d1、構造d2およびその混合物から構成されている群から選択された1つの構成成分であり;
Xは、H、CH3、C2〜C6アルキル、フェニル、p−メチルフェニルまたはスルホン化フェニルであり;
Yは、HまたはCOOMであり;
Rは、HまたはCH3であり;
Zは、H、−SO3M、−PO3M、−COOM、−O(CH2nOR3、但し、この場合nは、2〜6であり、−COOR3またはー(CH2nOR3、但し、この場合nは、0〜6であり、−CONHR3、−CONHC(CH32CH2SO3M、−COO(CHR4nOH、但し、この場合nは、2〜6であり、または−O(CH2nOR4、但し、この場合nは、2〜6であり;
1、R2、R3、R5は、それぞれ独立にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との−(CHRCH2O)m4ランダムコポリマーであり、この場合mは、10〜500であり、ランダムコポリマー中のオキシエチレンの量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレンの量は、0%〜約40%であり;
4は、H、メチル、C2〜約C6アルキルまたは約C6〜約C10アリールであり;
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン、トリエタノールアミン、メチルまたはC2〜約C6アルキルであり;
aは、0〜約0.8であり;
bは、約0.2〜約1.0であり;
cは、0〜約0.5であり;
dは、0〜約0.5であり;
a、b、cおよびdは、それぞれの単位のモル画分を表わし、a、b、cおよびdの総和は、1.0であり;
aは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる構成成分を表わすことができ;
bは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる構成成分を表わすことができ;
cは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる構成成分を表わすことができ;
dは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる構成成分を表わすことができる〕で示される分散剤;
g)式(IV):
Figure 2008502564
〔式(IV)中で、
"b"構造は、カルボン酸モノマー、エチレン系不飽和モノマーまたは無水マレイン酸の1つであり、酸無水物基(−CO−O−CO−)は、YおよびZがそれぞれ結合している炭素原子間の基YおよびZの代わりに形成されており、"b"構造は、ペンダント状エステル結合を有する少なくとも1つの部分およびペンダント状アミド結合を有する少なくとも1つの部分を含まなければならず;
Xは、H、CH3、C2〜C6アルキル、フェニル、p−メチルフェニル、p−エチルフェニル、カルボキシル化フェニルまたはスルホン化メチルであり;
Yは、H、−COOM、−COOHまたはWであり;
Wは、式R5O−(CH2CH2O)s−(CH2C(CH3)HO)t(CH2CH2O)uによって表わされる疎水性消泡剤であり、上記式中、s、tおよびuは、0〜200の整数であり、但し、この場合tは、(s+u)より大きく、疎水性消泡剤の全体量は、ポリカルボキシレート分散剤の約10質量%未満の量で存在し;
Zは、H、−COOM、−O(CH2nOR3、但し、nは、2〜6であり、−COOR3、−(CH2nOR3、但し、nは、0〜6であり、または−CONHR3であり;
1は、HまたはCH3であり;
2、R3は、それぞれ独立にmが10〜500であるような一般式(CH(R1)CH2O)m4のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とのランダムコポリマーであり、ランダムコポリマー中のオキシエチレン量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレン量は、0%〜約40%であり;
4は、H、メチルまたはC2〜C8アルキルであり;
5は、C1〜C18アルキルまたはC6〜C18アルキルアリールであり;
Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、イミダゾールであり;
aは、0.01〜0.8であり;
bは、0.2〜0.99であり;
cは、0〜0.5であり;
a、b、cは、それぞれの単位のモル画分を表わし、a、bおよびcの総和は、1であり、
aは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる構成成分を表わすことができ、cは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる構成成分を表わすことができる〕で示される分散剤;
h)下記のモノマー単位およびモノマー単位の数を有する遊離酸の形または塩の形での次の式(V):
Figure 2008502564
〔式中、Aは、部分(i)または(ii)から選択され、
(i)−CR1R2−CR3R4− (ii)
Figure 2008502564
上記式中、R1およびR3は、置換されたベンゼン、C1〜C8アルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルキルカルボニル、C1〜C8アルコキシ、カルボキシル、水素および環から選択されており、R2およびR4は、水素およびC1〜C4アルキルから構成されている群から選択されており、R1およびR3は、R2および/またはR4がC1〜C4アルキルである場合にR2および/またはR4と一緒になって環を形成することができ;
R7、R8、R9およびR10は、個別的に水素、C1〜C6アルキルおよびC2〜C8炭化水素鎖から構成されている群から選択されており、R1およびR3は、R7および/またはR8、R9およびR10と一緒になってこれらR7および/またはR8、R9およびR10が結合される炭素原子に隣接しているC2〜C8炭化水素鎖を形成し、この場合この炭化水素鎖は、場合によっては少なくとも1つの陰イオン基を有し、少なくとも1つの陰イオン基は、場合によってはスルホン酸であり;
Mは、水素、疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基から構成されている群から選択されており、この場合Aは、(ii)であり、Mは、疎水性ポリアルキレングリコールの残基であり、Mは、基−(R5O)mR6と相違していなければならず;
R5は、C2〜C8アルキレン基であり;
R6は、C1〜C20アルキル、C6〜C9シクロアルキルおよびフェニルから構成されている群から選択されており;
n、xおよびzは、1〜100の数であり;
yは、0〜100であり;
mは、2〜1000であり;
x対(y+z)の比は、1:10〜10:1であり、y:zの比は、5:1〜1:100である〕に相応するランダムコポリマー;
i)次のもの:
i)式3aまたは3b:
Figure 2008502564
〔式中、Mは、水素原子、一価の金属陽イオンまたは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であるかまたはMが二価の金属陽イオンである場合には、aは、1/2であり、
Xは、−OMa、
−O−(Cm2mO)n−R1、但し、この場合R1は、水素原子、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または場合によってはヒドロキシル、カルボキシル、C1〜C14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含有するスルホン酸により置換されたアリール基であり、mは、2〜4であり、nは、0〜100であり、
2がR1または−CO−NH2であるような−NHR2、−N(R22またはその混合物であり;
Yは、酸素原子または−NR2である〕の少なくとも1つの構成成分0〜90モル%;
ii)一般式4:
Figure 2008502564
〔式中、R3は、水素原子または1〜5個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基であり、pは、0〜3であり、R1は、水素、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または場合によってはヒドロキシル、カルボキシル、C1〜C14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含有するスルホン酸により置換されたアリール基であり、mは、個別的に2〜4であり、nは、0〜100である〕の構成成分1〜89モル%および
iii)式5aまたは5b:
Figure 2008502564
〔式中、Sは、水素原子または−COOMaまたは−COOR5であり、Tは、COOR5、−W−R7、−CO−[−NH−(CH23]s−W−R7、−CO−O−(CH22−W−R7、一般式:
Figure 2008502564
で示される基または−(CH2z−V−(CH2z−CH=CH−R1であるかまたはSがCOOR5またはCOOMである場合には、U1は、−CO−NHM−、−O−または−CH2Oであり、U2は、−NH−CO−、−O−またはOCH2であり、Vは、−O−CO−C64−CO−O−または−W−であり、Wは、
Figure 2008502564
であり、
4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、3〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または6〜14個の炭素原子を含有するアリール基であり、R6は、R1または
Figure 2008502564
であり、
7は、R1であるかまたは
Figure 2008502564
であり、
rは2〜100であり、sは、1または2であり、xは、1〜150であり、yは、0〜15であり、zは、0〜4である〕の少なくとも1つの構成成分0〜10モル%;
iv)式6a、6bまたは6c:
Figure 2008502564
〔式中、Mは、水素原子、一価の金属陽イオンまたは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であるかまたはMが二価の金属陽イオンである場合には、aは、1/2であり、
Xは、−OMa
−O−(Cm2mO)n−R1、但し、この場合R1は、水素原子、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または場合によってはヒドロキシル、カルボキシル、C1〜C14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含有するスルホン酸により置換されたアリール基であり、mは、2〜4であり、nは、0〜100であり、
2がR1または−CO−NH2であるような−NH−(Cm2mO)n−R1、NHR2、−N(R22またはその混合物であり;
Yは、酸素原子または−NR2である〕の少なくとも1つの構成成分0〜90モル%を有するオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテルと不飽和のモノカルボン酸および/またはジカルボン酸とのコポリマー;
j)次のもの:
i)式7aおよび式7b:
Figure 2008502564
〔式中、Mは、H、一価の金属陽イオン、二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり、
aは、Mが二価の金属陽イオンである場合には、1/2であり、Mが一価の金属陽イオンである場合には、aは、1であり;
1は、−OMaまたは
−O−(Cm2mO)n−R2であり、但し、この場合R2は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素基、C5〜C8脂環式炭化水素基または場合によっては−COOMa、−(SO3)Maおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基であり、
mは、2〜4であり、
nは、1〜200である〕の構造単位から構成されている群から選択された少なくとも1つの成分1〜90モル%;
ii)式8:
Figure 2008502564
〔式中、R3は、HまたはC1〜C5脂肪族炭化水素であり;
pは、0〜3であり;
2は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素、C5〜C8脂環式炭化水素、または場合によっては−COOMa、−(SO3)Maおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基であり、
mは、2〜4であり、
nは、1〜200である〕の構造単位0.5〜80モル%;
iii)式9aおよび式9b:
Figure 2008502564
〔式中、R4は、H、場合によっては少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたC1〜C20脂肪族炭化水素、−(Cm2mO)n−R2、−CO−NH−R2、C5〜C8脂環式炭化水素、または場合によっては−COOMa、−(SO3)Maおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基であり;
Mは、H、一価の金属陽イオン、二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり、
aは、Mが二価の金属陽イオンである場合には、1/2であり、Mが一価の金属陽イオンである場合には、aは、1であり、
2は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素、C5〜C8脂環式炭化水素または場合によっては−COOMa、−(SO3)Maおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリールであり、
mは、2〜4であり、
nは、1〜200である〕から構成されている群から選択された構造単位0.5〜80モル%;
iv)一般式10:
Figure 2008502564
〔式中、R5は、メチル基またはメチレン基であり、R5は、R7と一緒になって1個以上の5〜8員環を形成し;
6は、H、メチルまたはエチルであり;
7は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素、場合によっては−COOMa、−(SO3)Maおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基、C5〜C8脂環式炭化水素、−OCOR4、−OR4および−COOR4であり;R4は、H、場合によっては少なくとも1つの−OHで置換されたC1〜C20脂肪族炭化水素、−(Cm2mO)n−R2、−CO−NH−R2、C5〜C8脂環式炭化水素、または場合によっては−COOMa、−(SO3)Maおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール残基である〕の構造単位1〜90モル%を有する、ジカルボン酸誘導体とオキシアルキレングリコール−アルキレンエーテルとのコポリマー。
式(e)において、"由来する"の用語は、一般的な誘導体に言及されるのではなく、むしろ分散剤の性質と比較可能でありかつグラフトポリマーを破壊しないオリゴアルキレングリコール、ポリアルコールおよびポリアルキレングリコールの任意のポリカルボン酸/ポリカルボン酸塩側鎖誘導体に言及される。
6〜14個の炭素原子を含有する式(i)の場合によっては置換されたアリール基中の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1〜C14アルキル基またはスルホネート基であってよい。
置換されたベンゼン中の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1〜C14アルキル基またはスルホネート基であってよい。
オリゴマー分散剤の用語は、次の成分からの反応生成物であるオリゴマーに帰因する:
(k)成分A、場合によっては成分Bおよび成分C;
それぞれ成分Aは、個別的にセメント状粒子上で吸着しかつホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、次亜リン酸塩、スルフェート、スルホネート、スルフィネート、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルトリアシルオキシシラン、アルキルトリアリールオキシシラン、ボラート、ボロネート(boronates)、ボロキシン(boroxines)、ホスホルアミド、アミン、アミド、第四級アンモニウム基、カルボン酸、カルボン酸エステル、アルコール、炭水化物、糖の燐酸エステル、糖の硼酸エステル、糖の硫酸エステル、前記の成分の一部分の任意の塩およびその混合物から構成されている群から選択された第1の成分に由来する少なくとも1つの残基を含有する非ポリマーの官能性部分であり;
成分Bは、場合による成分の一部分であり、存在する場合には、それぞれ成分Bは、個別的に成分A部分と成分C部分との間に配置されかつ線状飽和炭化水素、線状不飽和炭化水素、飽和分枝鎖状炭化水素、不飽和分枝鎖状炭化水素、脂環式炭化水素、ヘテロ環式炭化水素、アリール、ホスホエステル、窒素含有化合物およびその混合物から構成されている群から選択された第2の成分に由来する非ポリマー成分の一部分であり;および
成分Cは、実質的にセメント状粒子に対して非吸着性である線状または分枝鎖状の水溶性の非イオン性ポリマーでありかつ米国特許第6133347号明細書、米国特許第6492461号明細書および米国特許第6451881号明細書中に開示されているポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(オキシアルキレンアミン)、ポリ(オキシアルキレンジアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアリールオキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレングリコール)、モノアリールオキシポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリオキサゾロンまたはその混合物から構成されている群から選択された少なくとも1つの成分の一部分であり、この場合前記刊行物は、参考のために本明細書中に記載されている。
使用することができる凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの亜硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのチオシアネート;アルカノールアミン;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのチオスルフェート;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの水酸化物;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのカルボン酸塩(好ましくは蟻酸カルシウム);ポリヒドロキシルアルキルアミン;アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハライド塩(好ましくはブロミド)を含むが、これに限定されるものではない。使用することができる促進剤の例は、双方ともDegussa Admixtures Inc. ,Cleaveland, Ohioによって次の商品名で販売されているPOZZOLITH(登録商標)NC534、非クロリド型の促進剤および/またはRHEOCRETE(登録商標)CNI 亜硝酸カルシウムをベースとする耐蝕剤を含むが、これに限定されるものではない。
前記硝酸塩は、一般式M(NO3aを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、aは、1がアルカリ金属塩を表わし、2がアルカリ土類金属塩を表わし、3がアルミニウム塩を表わす。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlの亜硝酸塩である。
亜硝酸塩は、一般式M(NO2aを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、aは、1がアルカリ金属塩を表わし、2がアルカリ土類金属塩を表わし、3がアルミニウム塩を表わす。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlの硝酸塩である。
前記チオシアン酸の塩は、一般式M(SCN)bを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、bは、1がアルカリ金属塩を表わし、2がアルカリ土類金属塩を表わし、3がアルミニウム塩を表わす。前記塩は、スルホシアネート、スルホシアニド、チオシアン酸塩またはチオシアン化物として種々に公知である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのチオシアン酸塩である。
アルカノールアミンは、三価窒素がアルキルアルコールの炭素原子に直接結合している化合物の群の一般的な用語である。代表的な式は、N[H]c[(CH2dCHRCH2R]eであり、この場合Rは、個別的にHまたはOHであり、cは、3−eであり、dは、0〜約4であり、eは、1〜約3である。例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンを含むが、これに限定されるものではない。
チオスルフェート塩は、一般式Mf(S23gを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、Mの金属元素の原子価に依存して、fは、1または2であり、gは、1、2または3である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのチオスルフェート塩である。
カルボン酸塩は、一般式RCOOMを有し、この場合Rは、HまたはC1〜約C10アルキルであり、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムである。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのカルボン酸塩である。カルボン酸の例は、蟻酸カルシウムである。
ポリヒドロキシルアルキルアミンは、一般式
Figure 2008502564
〔式中、hは、1〜3であり、iは、1〜3であり、jは、1〜3であり、kは、0〜3である〕を有することができる。好ましいポリヒドロキシルアルキルアミンは、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンである。
凝固遅延剤、即ち遅延凝固混和剤または水和制御混和剤としても知られている凝固遅延混和剤は、セメント状組成物の凝固を遅らせるか、遅延させるか、または緩徐にさせるために使用される。前記の凝固遅延剤は、バッチの開始時または時々水和処理が開始された後にセメント状組成物に添加されてよい。凝固遅延剤は、セメント状組成物の凝固時に暑い天候の促進効果を相殺させるために使用されるか、または困難な配置条件が起きた場合または仕事の現場への搬送問題が起きた場合にセメント状組成物の初期凝固を遅延させるために使用されるか、または特殊な仕上げ処理の時間を許容させるために使用される。大部分の凝固遅延剤は、低いレベルの水希釈剤としても作用し、或る程度の空気をセメント状組成物中に連行させるために使用されてもよい。リグノスルホネート、ヒドロキシル化カルボン酸、ボラックス、グルコン酸、酒石酸および他の有機酸およびその相応する塩、ホスホネート、一定の炭水化物、例えば糖、多糖類および糖酸およびその混合物は、遅延混和物として使用されてよい。
セメント状組成物中の耐蝕剤は、埋設された強化鋼を腐食から保護するのに役立つ。セメント状組成物の高度なアルカリ性の性質は、不動で耐蝕性の保護酸化物被膜を鋼上に形成させる。しかし、炭酸化または除氷装置からのクロリドイオンまたは海水の存在は、酸素と一緒になって被膜を破壊しうるかまたは被膜に浸透し、腐蝕を生じる。耐蝕混和剤は、化学的に前記の腐蝕反応を遅延させる。
腐蝕を抑制するために通常使用される材料は、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、一定のホスフェートまたはフルオロシリケート、フルオロアルミネート、アミン、有機撥水剤および関連した化学薬品である。
建築分野において、セメント状組成物を引張応力およびその後の亀裂から保護する多数の方法は、数年間に亘って開発されてきた。1つの現代的な方法は、新しいセメント状混合物中に繊維を分布させることを含む。硬化時に、このセメント状組成物は、繊維強化セメントと呼称されている。繊維は、ジルコニウム材料、炭素、鋼、ガラス繊維、または合成材料、例えばポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミドまたはその混合物から形成されていてよい。
防湿混和剤は、低いセメント含量、高い水セメント比または骨材部分中の微細粒の欠如を有するコンクリートの透過性を減少させる。この混和物は、湿潤コンクリート中への湿分の侵入を遅延させ、一定の石鹸、ステアレートおよび石油製品を含む。
透過性減力剤は、圧力下の水がコンクリートを透過する速度を減少させるために使用される。シリカフューム、フライアッシュ、粉砕スラグ、メタカオリン、天然のポゾラン、水希釈剤およびラテックスは、セメント状組成物の透過性を減少させるために使用されてよい。
ポンピング補助剤は、ポンプ効果を改善するためにセメント状混合物の添加された。前記の混和剤は、液状のセメント状組成物を増粘させ、即ちこのセメント状組成物の粘度を増加させ、ポンプにより圧力下でペーストの脱水を減少させる。セメント状組成物中でポンピング補助剤として使用される材料の中には、有機ポリマーおよび合成ポリマー、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)または分散剤と配合されたHEC、多糖類、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、ポリアクリレート、ベントナイトおよび熱分解法シリカ、ナノシリカ、天然ポゾラン、フライアッシュおよび消石灰がある。
硬化したセメント状組成物上または硬化したセメント状組成物中での細菌の成長および真菌類の成長は、部分的に抗真菌混和剤、殺菌性混和剤および殺虫性混和剤の使用によって制御されることができる。この目的のために最も効果的な材料は、ポリハロゲン化フェノール、ジアルドリンエマルジョン(dialdrin emulsions)および銅化合物である。
着色混和剤は、通常、顔料、有機顔料、例えばフタロシアニンまたは無機顔料、例えばこれに限定されるものではないが金属酸化物等を有する金属含有顔料から構成されており、鉄酸化物含有顔料、例えばCHROMIX(登録商標)L(Degussa Admixtures, Cleveland, Ohio)、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛白、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、鉄マンガン黒、コバルト緑、マンガン青、マンガンバイオレット、カドミウムスルホセレン化物、クロムオレンジ、ニッケルチタン黄、クロムチタン黄、硫化カドミウム、亜鉛黄、ウルトラマリーンブルーおよびコバルトブルーを含むが、これに限定されるものではない。
アルカリ反応減力剤は、アルカリ骨材の反応を減少させることができ、この反応が硬化されたセメント状組成物中で形成しうる破壊的な膨張力を制限する。ポゾラン(フライアッシュ、シリカフューム)、高炉スラグ、リチウム塩およびバリウム塩は、殊に効果的である。
使用することができる収縮減少剤は、RがC1〜C5アルキル基またはC5〜C6シクロアルキル基でありかつAがアルキレン基、アルカリ金属スルフェート、アルカリ土類金属スルフェート、アルカリ土類金属酸化物、好ましくは硫酸ナトリウムおよび酸化カルシウムであるようなRO(AO)1〜10Hを有するが、しかし、これに限定されるものではない。TETRAGUARD(登録商標)混和剤は、使用することができる収縮減少剤(Degussa Admixtures, Cleveland, Ohio)の1例である。
前記された実施態様の数例は、耐凍結融解性(F/T)に対する効果について試験されたものである。コンクリート試料は、水を回転ドラムミキサーに添加し、引続き粗製骨材およびセメントを添加することによって製造された。次に、ガス発生添加剤は、前記材料の上面上に添加され、引続き砂が添加され、ドラムミキサーのスイッチを入れた。この混合物が常用の空気連行剤(AEA)を含有する場合には、この混合物は、砂の上面上に添加された。次に、付加的な水が混合中に添加され、望ましいスランプレベルを達成した。ミキサーは、20rpmの測度で5分間回転された。5分後、ミキサーは停止され、スランプおよび空気は、測定され、試験体が注型された。場合によっては、ミキサーは、再び逆回転されてよく(20rpmまたは3〜4rpmで)、付加的な時間で混合されてよく、ミキサー車中での運搬時間をシミュレートした。ミキサーは、予め定められた時間間隔で停止され、スランプおよび空気が再び試験された。次に、付加的な試験体が必要に応じて注型された。
関連するASTM試験法は、次の通りであった:岩石学的試験(ASTM C 457);凍結融解試験(ASTM C 666 - 方法A) - [60超が受入れ可能と考えられる];塩水スケーリング試験(Salt scaling testing)(ASTM C 672) - [O=最高、S=最悪];圧縮強度の測定(ASTM C 39);圧力法による空気含量(ASTM C 231);単位質量(ASTM C 138)。
第1表中の試料は、ヒドラジドガス発生剤からの窒素の形成時に異なる温度の効果を測定し、低いrpmで拡大された混合時間の効果を研究するために製造された。
Figure 2008502564
試料は、プラスチック空気含量または単位質量の著しい変化がないことによって証明されたように、ガス発生時の温度効果または拡大された混合時間の明らかな効果を示さなかった。
第2表中の試料は、硬化された状態で間隙系の特性を研究するために製造された。試料は、過酷な環境中で良好な耐凍結融解サイクルの付与に一般に受け入れられる、特殊な表面積および空間ファクターのパラメーターを示した。
Figure 2008502564
第3表中の試料は、窒素ガス発生剤の能力を測定するために製造され、コンクリートに対する凍結融解からの保護を提供した。試料は、常用の界面活性剤を用いて連行された空気を含有する試料に対して試験された。
Figure 2008502564
第3表は、セメントの質量に対してヒドラジド0.2%(試料8および9)と少ない添加で、凍結融解による損傷からのセメント状組成物の十分な保護が提供され、常用の空気連行剤を含有する混合物と同様の耐表面スケーリング性を有するかまたは常用の空気連行剤を含有する混合物より僅かに良好な耐表面スケーリング性を有することを証明する。
第4表中の試料は、第1〜3表中の試料の記載と同様に製造されたが、付加的に、ポリマー微小球およびガス発生添加剤は、水、粗製骨材およびセメントの上面上に添加され、引続き砂が添加された。
第4表中の試料は、平均直径20〜40μmの膨張されたポリマー微小球の能力について試験され、コンクリートに対する凍結融解からの保護を提供し、ガス発生剤と一緒のポリマー微小球の使用の相乗作用によって本明細書中での経済性および性能を改善する。
Figure 2008502564
試料は、凍結融解試験の300回のサイクル後に凍結融解による損傷からターゲットを保護するために、コンクリート配合物中に20μmの膨張された微小球が必要とされる最少の量が1.0体積%にすぎないことを証明した(試料13〜15)。しかし、20μmの膨張された微小球と一緒の少量(セメント0.05%−試料7)のガス発生剤の組合せは、ポリマー微小球0.5体積%だけと比較して良好な保護を生じた。改善された耐性は、ポリマー微小球0.5体積%およびガス発生剤0.1%で観察された。
1つの実施態様において、耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型セメント状組成物は、水硬性セメント、水、ガス発生添加剤および場合によってはポリマー微小球を含有する。一定の実施態様において、ガス発生添加剤は、ヒドラジドであってよく、1つの実施態様において、ガス発生添加剤は、4,4′−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドであってよい。ポリマー微小球は、ガス充填されていてもよいし(膨張された)、液体充填されていてもよい(膨張されていない)。更に、ポリマー微小球は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、またはそのコポリマーまたは混合物、例えばこれに限定されるものではないが、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリルコポリマー、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリルコポリマーまたは塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマーの少なくとも1つから構成されていてよい。
別の実施態様において、湿潤注型セメント状組成物は、次の特性の少なくとも1つを有する:ガス発生添加剤は、無水セメントの約0.005質量%〜約5質量%の範囲内で存在し;ポリマー微小球は、無水セメントの約0.01質量%〜約4質量%の範囲内で存在し;ポリマー微小球は、約100μm未満の平均直径を有するか;ポリマー微小球は、約25μm未満の平均直径を有するか;またはポリマー微小球は、約20μm未満の平均直径を有する。
更に、別の実施態様において、上記の湿潤注型セメント状組成物は、分散剤、空気連行剤、凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤、凝固遅延剤、水希釈剤(water reducer)、骨材、耐蝕剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー変性剤、撥水剤、繊維、防湿混和剤、透過性減力剤、ポンピング補助剤、抗真菌混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、微粒状無機混和剤、着色混和剤、アルカリ反応減力剤(alkali-reactivity reducer)、結合混和剤、収縮減少混和剤またはその混合物の少なくとも1つを有する。
別の実施態様において、耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型セメント状組成物の製造法が提供され、この方法は、水硬性セメントと水とガス発生添加剤と場合によってはポリマー微小球との混合物を形成することによって特徴付けられる。一定の実施態様において、ガス発生添加剤およびポリマー微小球は、それぞれ独立に圧縮された団塊、粉末または液状混和剤、例えばスラリーまたはペーストの少なくとも1つとして添加される。
本明細書中に記載された実施態様は、単に例示的なものであり、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく変法および変更を行ないうることが理解されるであろう。このような全ての変法および変更は、上記されたような本発明の範囲内に意図的に含まれるものである。更に、本発明の種々の実施態様が組み合わされて望ましい結果を提供する場合には、開示された全ての実施態様の代替は、不要である。

Claims (21)

  1. 水硬セメント、ガス発生添加剤および場合によってはポリマー微小球を含有する、耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型セメント状組成物。
  2. ガス発生添加剤が凝固前の湿潤注型セメント状組成物中に窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニアまたはメタンガスを発生する化合物を含有する、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  3. ガス発生添加剤がヒドラジド、ヒドラジン、アジドまたはアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  4. ガス発生添加剤がアゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム、有機ペルオキシド、無機ペルオキシド、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、トルエンスルホニルセミカルバジド、フェニルテトラゾール、硼水素化ナトリウム、活性炭またはジニトロソペンタメチレンテトラミンの少なくとも1つである、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  5. ガス発生添加剤が4,4′−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドである、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  6. ガス発生添加剤がセメントの約0.005質量%〜約2質量%の量で存在する、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  7. 間隙の体積が約4体積%またはそれ未満である、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  8. 湿潤注型セメント状組成物がポリマー微小球を含有する、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  9. ポリマー微小球がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレンまたはそのコポリマーまたは混合物の少なくとも1つであるポリマーを含有する、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  10. ポリマー微小球が塩化ビニリデン−アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデンまたはその混合物の少なくとも1つのコポリマーを含有する、請求項8記載の湿潤注型セメント状組成物。
  11. ポリマー微小球が全体積の約0.05%〜約4%の範囲内で存在する、請求項8記載の湿潤注型セメント状組成物。
  12. ポリマー微小球が約1000μmまたはそれ未満の平均直径を有する、請求項8記載の湿潤注型セメント状組成物。
  13. ポリマー微小球が約10μmまたはそれ未満の平均直径を有する、請求項8記載の湿潤注型セメント状組成物。
  14. ポリマー微小球がガス充填されたポリマー微小球または液体充填されたポリマー微小球の少なくとも1つである、請求項8記載の湿潤注型セメント状組成物。
  15. さらに、空気連行剤、骨材、ポゾラン、分散剤、凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤、凝固遅延剤、水希釈剤、耐蝕剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー変性剤、撥水剤、繊維、防湿混和剤、透過性減力剤、ポンピング補助剤、抗真菌混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、微粒状無機混和剤、着色混和剤、アルカリ反応減力剤、結合混和剤、収縮減少混和剤またはその混合物の少なくとも1つを有する、請求項1記載の湿潤注型セメント状組成物。
  16. 分散剤がリグノスルホネート、βーナフタレンスルホネート、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合物、ポリアスパルテート、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物樹脂、オリゴマー、ポリカルボキシレートまたはその混合物の少なくとも1つである、請求項15記載の湿潤注型セメント状組成物。
  17. 耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型セメント状組成物の製造法において、水と水硬性セメントとガス発生添加剤と場合によってはポリマー微小球との混合物を形成することを特徴とする、耐凍結融解損傷性を有する湿潤注型セメント状組成物の製造法。
  18. ポリマー微小球またはガス発生添加剤を次の形:a.圧縮された団塊;b.粉末;またはc.液状混和剤の少なくとも1つで添加する、請求項17記載の方法。
  19. ガス発生添加剤が凝固前の湿潤注型セメント状組成物中に窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニアまたはメタンガスを発生する化合物を含有する、請求項17記載の方法。
  20. ポリマー微小球を混合物に添加することを含む、請求項17記載の方法。
  21. ガス発生添加剤がヒドラジド、ヒドラジン、アジドまたはアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項17記載の方法。
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