JP2008303839A - 内燃機関のデコンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カムシャフト21の外周面に開口し嵌挿孔26に少なくとも一部が交差するピン挿入孔28に挿入された脱落防止ピン51が、嵌挿孔26に嵌挿されたデコンプシャフト42を回動可能な状態でデコンプシャフト42に係合することにより、デコンプシャフト42の軸方向の移動が禁止され、カムシャフト21の脱落防止ピン51が挿入されたピン挿入孔28の開口を軸受19が塞ぎ、デコンプシャフト42の揺動部は軸受側に向け突出して形成された軸受規制部45により軸受19の軸方向の移動を規制する内燃機関のデコンプ装置。
【選択図】図5
Description
デコンプシャフトの他端に設けられた遠心ウエイトの揺動によりデコンプシャフトが回動し、一体に旋回する偏心突部がデコンプピンを軸径方向に移動し、カムシャフトのカム面から出没する。
本実施の形態に係るデコンプ装置40を備える内燃機関Eは、車両としての自動2輪車に搭載される単気筒4ストローク内燃機関である。
そして、シリンダヘッド2とヘッドカバー3とにより、内燃機関Eに備えられる頭上カム軸型の動弁装置20が収容される動弁室5が形成される。
自動2輪車にカムシャフトを横置きに搭載される内燃機関Eにおいて、排気口8aが前側に、吸気口7aが後側に位置する。
機関弁としての吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド2に圧入された弁ガイド14にそれぞれ摺動自在に嵌挿され、弁ばね15の弾発力により閉弁方向に常時付勢される。
シリンダヘッドカバー3を外してシリンダヘッド2の内部構造を示したシリンダヘッド2の上面図である図3を併せて参照して、動弁装置20を収容する動弁室5において、左右一対の吸気弁11を挟んで左右にシリンダヘッド2から延出した軸受壁17,17が対向して形成され、左側軸受壁17のさらに左側に前後に長尺のチェーン室16が上下に貫通して形成されている。
各ロッカアーム34は、後方に延出した端部に排気カムロブ23に接するローラ34aを有し、前方に延出した端部34bが排気弁12のバルブステムの上端に接している。
したがって、カムシャフト21の排気カムロブ23の回転によりロッカアーム34を介して排気弁12が所定の開閉時期およびリフト量で開閉駆動される。
燃焼ガスは、ピストン4が上昇する排気行程において開弁した排気弁12を経て、排気ガスとして燃焼室6から排気ポート8を通った後、排気ポート8の出口が開口するシリンダヘッド2の側部2eに取り付けられる排気管を有する排気装置を通って内燃機関Eの外部に排出される。
なお、小径円孔21cだけは、回転中心軸より偏心して形成されている。
この円柱底部24の端面には、回転中心軸を中心に約90度開いた扇形状をして右方に突出したストッパ部25が形成されており、ストッパ部25を除く約270度部分について平坦な端面24aが形成されている(図9,図10参照)。
扇形状に突出したストッパ部25の一対の両側面がストッパ面25a,25bとなる。
この嵌挿孔26に、後記するデコンプシャフト42が回動自在に嵌挿される。
したがって、図4および図5に示すように、カムシャフト21の回転中心軸Xから偏心した位置にデコンプシャフト42の回動中心軸Yがある。
このプランジャ収納孔27には、後記するデコンププランジャ50が出没自在に嵌挿される。
このピン挿入孔28は、その中心より一方に延びる孔部分が若干径が縮小されており、縮径されていない他方の孔部分が前記嵌挿孔26に一部交差しており(図10参照)、図8のカムシャフト21の断面図には嵌挿孔26の内側にピン挿入孔28に連通する開口28aが表れている。
なお、脱落防止ピン51は、その外径がピン挿入孔28の縮径された孔部分の内径より大きいので、縮径された孔部分には挿入されず、この縮径された孔部分は縮径されていない孔部分に挿入された脱落防止ピン51を抜くときに利用される。
デコンプ装置40の主要部材であるデコンプ作動部材41は、図11ないし図14に示すような形状をしている。
すなわち、デコンプ作動部材41は、前記嵌挿孔26に嵌挿されるデコンプシャフト42と、その一端に径方向に延出したデコンプウエイト43を備えた揺動部分44と、他端に偏心して円柱状に突出したデコンプカム46とからなる。
図14を参照して、デコンプシャフト42の回動中心軸Yに偏心してデコンプカム46の中心軸Zがある。
揺動部分44は、径方向に大きく延出した部分にデコンプウエイト43が形成され、デコンプウエイト43と反対径方向に若干延出した延出部44aの先端からは軸方向デコンプシャフト42側に向けて突出した軸受規制部45が形成されている。
なお、デコンプシャフト42の揺動部分44との付け根部分には、トーションスプリング52が巻装される。
プランジャ収納孔27にデコンププランジャ50が嵌挿され、嵌挿孔26に嵌挿されるデコンプシャフト42の端部のデコンプカム46をデコンププランジャ50の凹溝50aに係合させる。
なお、脱落防止ピン51はデコンプシャフト42の環状の溝条42aの接線方向に係合するので、デコンプシャフト42の回動は可能である。
したがって、ベアリング19により脱落防止ピン51が抜け落ちるのを防止され、抜け落ちが防止された脱落防止ピン51によりデコンプシャフト42との係合が維持されて、デコンプシャフト42が嵌挿孔26から抜けて脱落するのを防止している(図5参照)。
デコンプシャフト42に巻装されたトーションスプリング52は、一端52aがカムシャフト21のストッパ部25の外周に係止され、他端52bがデコンプ作動部材41の揺動部分44に係止されて、揺動部分44を図5において時計回りに付勢している。
この揺動部分44の揺動状態でデコンプシャフト42の回動位置は、偏心したデコンプカム46をカムシャフト21の外方側に位置させており、これと係合するデコンププランジャ50を排気カムロブ23のカム面から突出させてデコンプ位置に位置させている(図5参照)。
すると、図7に示すように、カムシャフト21の偏心したデコンプカム46が内方側に変位して、これと係合するデコンププランジャ50を排気カムロブ23のカム面から没してデコンプ解除位置に位置させている。
特に右側のベアリング19がカムシャフト21に対して右方に移動して円柱底部24から外れるようなことがあると、ピン挿入孔28の円柱底部24の外周面の開口が開放されて脱落防止ピン51が抜け落ち、デコンプシャフト42との係合がなくなってデコンプシャフト42が脱落することになる。
すなわち、この状態で、図5に示すように、円柱底部24の所定位置に配置されたベアリング19からデコンプ作動部材41の延出部44a先端で左方に突出した軸受規制部45までの距離dが、所定位置に配置されたベアリング19を軸方向右方に移動して塞いでいたピン挿入孔28を完全に開口させる移動距離Dより小さく設定している。
デコンプシャフト42の脱落が防止されるので、メンテナンス等の作業性を良好に維持することができる。
なお、デコンプシャフト42が抜き取られれば、デコンププランジャ50との係合も解除されて、デコンププランジャ50も取り外すことができる。
デコンプ装置40のカムシャフト21への組付けは、上記と逆の作業を行えばよい。
すなわち、デコンプシャフト72の回動中心軸Yに対するデコンプカム76の円形状端面76bの加工精度を向上させることができ、デコンププランジャ50の突出量精度を向上させることができる。
20…動弁装置、21…カムシャフト、22…吸気カムロブ、23…排気カムロブ、24…円柱底部、25…ストッパ部、26…嵌挿孔、27…プランジャ収納孔、28…ピン挿入孔、
40…デコンプ装置、41…デコンプ作動部材、42…デコンプシャフト、42a…溝条、43…デコンプウエイト、44…揺動部分、45…軸受規制部、46…デコンプカム、50…デコンププランジャ、50a…凹溝、51…脱落防止ピン、52…トーションスプリング。
Claims (4)
- 軸受により回転自在に軸支され外周面に形成された動弁カムにより機関弁を駆動するカムシャフトに対して回動自在に軸支されたデコンプシャフトを相対回動させてデコンプ出没部を前記動弁カム面に出没させることでデコンプまたはデコンプ解除を行う内燃機関のデコンプ装置において、
前記デコンプシャフトが前記カムシャフトの一端面に開口し該カムシャフトの回転中心軸より偏位して軸方向に穿孔された嵌挿孔に相対回動可能に嵌挿され、
前記デコンプシャフトの一端には前記カムシャフト一端面に沿って該デコンプシャフトの径方向に延出された揺動部を備え、
前記カムシャフトの外周面に開口し前記嵌挿孔に少なくとも一部が交差するピン挿入孔に挿入された脱落防止ピンが、前記嵌挿孔に嵌挿された前記デコンプシャフトを回動可能な状態で該デコンプシャフトに係合することにより、前記デコンプシャフトの軸方向の移動が禁止され、
前記カムシャフトのピン挿入孔の開口を前記軸受が塞ぎ、
前記揺動部は前記軸受側に向け突出して形成された軸受規制部により前記軸受の軸方向の移動を規制することを特徴とする内燃機関のデコンプ装置。 - 一端を前記カムシャフトに他端を前記揺動部に係止されたスプリングにより前記デコンプシャフトが、一回動方向に付勢され、
前記カムシャフトの端面に突出したストッパ部に前記スプリングに付勢されて前記揺動部が当接した状態で、所定位置に配置された前記軸受から前記軸受規制部までの距離が、所定位置に配置された前記軸受を軸方向に移動して前記カムシャフトのピン挿入孔を完全に開口させる移動距離より小さいことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のデコンプ装置。 - 前記デコンプシャフトを前記スプリングの付勢力に抗して回動すると、前記軸受規制部による前記軸受の軸方向の移動規制が解除されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関のデコンプ装置。
- 前記デコンプ出没部が、前記カムシャフトの前記嵌挿孔の奥部に連通し前記動弁カム面に開口したプランジャ収納孔に挿入されたデコンププランジャであり、
前記デコンプシャフトの端部に前記デコンプカムが形成され、
前記プランジャ収納孔に収納された前記デコンププランジャの凹部に前記デコンプシャフトの前記デコンプカムが係合することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の内燃機関のデコンプ装置。
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