JP4197309B2 - エンジン - Google Patents

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Description

この発明は、シリンダヘッド側にデコンプ装置が配設されたエンジンに関するものである。
従来からエンジンには、シリンダヘッド側に吸気バルブ及び排気バルブを開閉するカムシャフトが設けられ、このカムシャフトの軸上に、燃焼室内を圧縮するときに、吸気バルブ側又は排気バルブ側を開けて燃焼室内の圧力を逃がすことにより、圧縮するときの抵抗にならないようにするデコンプ装置が設けられている(特許文献1参照)。
このデコンプ装置は、エンジンが停止している場合には、リターンスプリングによってレリースレバーが引っ張られるため、このレリースレバーと共にピンレバーが力を受け、デコンプピンの一部がカムのベース円部から突出する。
すると、ロッカアームがデコンプピンに押され、排気弁が下方に移動し、排気ポートとシリンダボア内が連通するようになる。従って、ベース円部がロッカアームに接触している状態(圧縮行程)においても排気弁が開かれ、シリンダボア内の圧力を逃がすことができ、クランクシャフトを回転させるために必要な力を低減させることが可能となる。
一方、エンジンが起動し、スプロケットが回転して回転数が上昇すると、レリースレバーには遠心力が働く。このため、レリースレバーはスプロケットの外周方向に振られ、リターンスプリングの付勢力に抗してアンカーピンを中心に回転する。また、ピンレバーもレリースレバーと共に回転し、このとき、デコンプピンは、そのDカット面がベース円部側に向き、デコンプピンがベース円部内に収容された状態となる。従って、ロッカアームには、カムがそのまま当接することになり、通常の弁開閉動作が行われることとなる。
特開平11−200819号公報。
しかしながら、このような従来のものにあっては、デコンプピンと連動ピンとが形成されたピンレバーにより、スプロケットを貫通して一方の面側から他方の面側まで駆動力を伝達するようにしているが、ピンレバーの鉛直部が、スプロケットとレリースレバーとの間に介在し、三者がカムシャフト方向に並んでいるため、カム軸方向の幅が長くなってしまう。従って、シリンダヘッド側にスペース的に制約があるものにあっては、デコンプ機構を配設し難いものであった。
そこで、この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、デコンプ装置を配置したものにおいて、カム軸方向の幅を極力短くできるエンジンを提供することを課題としている。
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、カムシャフトにクランク軸からの駆動力を受けるスプロケットが設けられ、該スプロケットの配設部位にデコンプ装置が配設され、該デコンプ装置は、前記スプロケットの回転に伴って回動し、前記スプロケットの一方の面側に設けられた回動部材と、該回動部材の回動力を前記スプロケットの他方の面側に位置する前記カムシャフトのカム部側まで伝達するデコンプカムとを有し、該デコンプカムは、前記スプロケットに配置される中間揺動部と、該中間揺動部に設けられて前記回動部材に係止することにより、該回動部材からの駆動力を受ける係止部と、該中間揺動部から前記スプロケットの前記他方の面側に突出する回動軸部とを有し、該回動軸部は、デコンプ動作部を有し、前記カムシャフト軸方向に沿って配設され、前記中間揺動部は、前記スプロケットに形成された両側に貫通する収容窓部に配置されて、基端部側が前記回動軸部に連結されて、該回動軸部を中心として前記カムシャフトに対して回動自在に設けられ、前記スプロケットの回転に伴って、前記回動部材が回動することにより、該回動部材にて前記デコンプカムの係止部が駆動力を受け、前記中間揺動部が前記収容窓部内を移動し、前記回動軸部は、前記カムシャフトに対して回動するように構成されたエンジンとしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記係止部は、前記中間揺動部から前記スプロケットの一方の面側に突出して設けられたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記回動軸部は、前記カムシャフトの中心軸とオフセットされた位置に配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記中間揺動部から、前記スプロケットの他方の面側にストッパ部が突設され、デコンプオン状態とデコンプオフ状態とにおいて前記ストッパ部が前記カムシャフトの周面部に当接することにより、前記デコンプカムの回動が停止されるように構成されたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記係止部は、前記中間揺動部から前記スプロケットの一方の面側に突出して設けられると共に、前記ストッパ部は、前記係止部が前記中間揺動部を貫通し、前記他方の面側に延長された部分により形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記スプロケットの一方の面側には、ブリーザ装置の回転部分であるブリーザ回転体が配設され、該ブリーザ回転体の内部に、前記デコンプ装置の回動部材が配置されたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記スプロケットが前記カムシャフトの端面にボルトにより固定されると共に、該ボルトにより、前記デコンプカムの回動軸部の抜け止めを行うようにしたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加え、前記カムシャフトの前記ブリーザ装置側の端部に、ウオータポンプ装置のインペラ軸が着脱自在に嵌合され、該ウオータポンプ装置が前記ブリーザ装置の外側に配置されたことを特徴とする。
以上説明してきたように、請求項1に記載された発明によれkば、スプロケットに、両側に貫通する収容窓部が形成され、この収容窓部に、デコンプカムの中間揺動部が配置されているため、カムシャフト方向の幅を極力短くできると共に、その収容窓部を形成することにより、スプロケットの重量を軽量化することができる。
請求項2に記載された発明によれば、係止部が中間揺動部からスプロケットの一方の面側に突出して設けられたため、収容窓部内にある場合に比べ、回動部材との係止・組付け性が良好となる。
請求項3に記載された発明によれば、回動軸部は、カムシャフトの中心軸に対してオフセットされた位置に配置されているため、回動軸部のデコンプ動作部をカムシャフトのカム部の表面近傍に配置できることから、その回動軸部が直接弁を開閉させることが可能となり、このデコンプ動作部と動弁機構との間に別途別部材を配設する必要がない。
請求項4に記載された発明によれば、中間揺動部から、スプロケットの他方の面側にストッパ部が突設され、デコンプオン状態とデコンプオフ状態とにおいてストッパ部がカムシャフトの周面部に当接することにより、デコンプカムの回動が停止されるように構成されたため、回動部材を停止させるストッパを別途、スプロケットに形成する必要なく、構造を簡単にできる。
請求項5に記載された発明によれば、係止部は、中間揺動部からスプロケットの一方の面側に突出して設けられると共に、ストッパ部は、係止部が中間揺動部を貫通し、他方の面側に延長された部分により形成されているため、ストッパ部を形成するために別部材が必要なく、部品点数を削減することができる。
請求項6に記載された発明によれば、スプロケットの一方の面側には、ブリーザ装置の回転部分であるブリーザ回転体が配設され、該ブリーザ回転体の内部に、前記デコンプ装置の回動部材が配置されたため、デコンプ装置やブリーザ装置の配設スペースをカムシャフト方向においてコンパクトにできる。
請求項7に記載された発明によれば、スプロケットがカムシャフトの端面にボルトにより固定されると共に、このボルトにより、デコンプカムの回動軸部の抜け止めを行うようにしたため、このボルトで、スプロケットの取付けと、回動軸部の抜け止めとを兼用することができ、部品点数及び取付工数を削減できる。
請求項8に記載された発明によれば、カムシャフトのブリーザ装置側の端部に、ウオータポンプ装置のインペラ軸が着脱自在に嵌合され、ウオータポンプ装置がブリーザ装置の外側に配置されることにより、カムシャフト方向に大型になりがちなシリンダヘッドのカムシャフト方向の外形寸法を極力短くできる。
以下、この発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図15には、この発明の実施の形態を示す。
まず構成を説明すると、図1中符号11は、鞍乗り型車両としての自動二輪車に配設された単気筒4サイクル、4バルブのエンジンで、このエンジン11には、シリンダヘッド16が図示省略のシリンダブロックの上側に固定され、このシリンダヘッド16にブリーザ装置18、デコンプ装置19及びウオータポンプ装置20が配置されている。
詳しくは、そのシリンダヘッド16には、カムシャフト22が回転自在に配設され、このカムシャフト22と図示省略のクランク軸とがカムチェーン23を介して連結され、クランク軸が回転されることにより、カムチェーン23を介してカムシャフト22が回転されるようになっている。
このカムシャフト22が回転されることにより、図4に示す排気用バルブ25、図示省略の吸気用バルブが所定のタイミングで開閉されるように構成されている。このカムシャフト22には、図1に示すように、吸気用カム部22a及び排気用カム部22bが形成され、これらカム部22a,22bにロッカーアーム30,31が摺接されることにより、これらロッカーアーム30,31を介して前記吸気用バルブ及び排気用バルブ25が開閉されるように構成されている。
また、そのカムシャフト22の図1中左側端部には、前記カムチェーン23が掛け渡されるスプロケット32がボルト28を介して固定されると共に、このスプロケット32とカムシャフト22との間には、回止め部材29が配設されてスプロケット32が回り止めされている。
さらに、このスプロケット32の外側(一方の面側)には、前記ブリーザ装置18の回転部分であるブリーザ回転体33が固定され、そのスプロケット32の回転と共にブリーザ回転体33が回転するように構成されている。
このブリーザ回転体33には、略筒状の環状部33aが突出して形成され、更に、このブリーザ回転体33の外側には、固定部分であるブリーザ固定体34が配設され、そのブリーザ回転体33の環状部33aの先端部の内側に、ブリーザ固定体34の環状部34aの先端部が挿入されるように配置され、環状部33aと環状部34aとの間には、隙間Cが形成されている。
そのブリーザ固定体34は、ブリーザ装置18側とウオータポンプ装置20側とを仕切る隔壁36に固定され、このブリーザ固定体34にインペラ軸50の嵌合溝50cが嵌合されて抜け止めされている。また、この隔壁36には、複数ヶ所に開口36aが形成され、ブリーザ装置18で分離された気体が、これら開口36aを介してウオータポンプ装置20側に抜けて行くように構成されている。
エンジン11の燃焼室48内が高圧となると、この燃焼室48内から気体と液体(オイル)との気液混合気が漏れ、この気液混合気がピストンリングの隙間からケース内側(圧力の低い方)へ逃げて行く。
一方、エンジン11の駆動状態で、スプロケット32と共にブリーザ回転体33が回転しているため、その気液混合気が、回転しているブリーザ回転体33と、固定状態のブリーザ固定体34との隙間Cを矢印aに示すように通り、ブリーザ装置18内に流入する。
その気液混合気がその間隙Cを通過することにより、その間隙Cからブリーザ装置18内に流入する際に膨張し、気液混合気の液体が気体から分離されて、この液体が、ブリーザ回転体33が回転しているため、この遠心力により、そのブリーザ回転体33の内壁面に付着する。この付着した液体は、その間隙Cを介して外側に流れ落ち、更に、チェーン室38の内壁39を伝わって下方に流れ、図示省略のオイルパンまで戻ることとなる。
この際には、ブリーザ回転体33内に、デコンプ装置19が配設されているため、この凹凸形状のデコンプ装置19により一層気液分作用が向上することとなる。
そして、ブリーザ装置18内で分離された気体は、更に、矢印bに示すように、隔壁36の開口36aを介して、ウオータポンプ装置20側の気体室37内に抜けて行く。その気体が、その気体室37内で更に膨張されるため、ここでも、気液分離が行われ、液体が底壁に溜まり、排出孔53を介して、チェーン室38の内壁39を伝わって下方に流れ、図示省略のオイルパンまで戻ることとなる。
一方、気体室37内で更に分離された気体は、この気体室37内側から図1中矢印cに示すように、エアクリーナ側に流れて行く。
そして、かかる気液を分離するブリーザ装置18内に、前記デコンプ装置19が配置されている。
このデコンプ装置19は、圧縮行程時に排気バルブ25を少し開いて圧力を逃がすものであり、主に、スプロケット32の回転に伴って回動し、スプロケット32の一方の面側(図1中左側)に設けられた回動部材42と、この回動部材42の回動力をスプロケット32の他方の側(図1中右側)に位置する排気用カム部22b側まで伝達するデコンプカム47とを有している。
その回動部材42は、図1乃至図3に示すように、ブリーザ装置18のブリーザ回転体33の環状部33aの内側に位置し、回動部材本体43と、この回動部材本体43に取り付けられた重量部材44とを有している。
その回動部材本体43は、図7及び図8に示すように、湾曲形状を呈し、一端部43aがスプロケット32に回動ピン45を介して回動自在に取り付けられ、他端部にデコンプカム47が係止される切欠き形状の被係止部43bが形成されている。
また、重量部材44は、図7及び図9に示すように、湾曲形状を呈し、回動部材本体43に取り付けられると共に、スプリング46が引っ掛けられる引っ掛け部44aが形成されている。このスプリング46により、回動部材42が図2及び図3中時計回りに付勢されている。
さらに、デコンプカム47は、図10に示すように、略クランク形状を呈し、前記スプロケット32の収容窓部32a内に配置される中間揺動部47aと、この中間揺動部47aからスプロケット32の一方の面側に突出する係止部47bと、この中間揺動部47aからスプロケット32の他方の面側に突出する回動軸部47cとを有している。
その回動軸部47cは、棒状を呈し、カムシャフト22に形成された挿通孔22cに挿通されて回動自在にカムシャフト軸方向に沿って配設され、この回動軸部47cの端部には、図10(c)に示すように、円形の一部が切断された略D字状の「デコンプ動作部」としてのカム部47dが形成されている。この回動軸部47cが前記ボルト28の頭部により押さえられることにより抜け止めされている。
また、中間揺動部47aは、板状を呈し、スプロケット32に形成された両側に貫通する収容窓部32aに配置されて、基端部47d側が回動軸部47cに連結されて、回動軸部47cを中心として所定角度回動するように設けられている。その収容窓部32aは、図9乃至図11に示すように略扇形形状を呈し、中間揺動部47aが所定角度回動されるように配置されている。
さらに、係止部47bは、回動軸部47cより小径の棒状を呈し、中間揺動部47aの先端部に連結されて、前記回動部材42の被係止部43bに挿入されて係止されている。
さらにまた、中間揺動部47aから、スプロケット32の他方の面側にストッパ部47eが突設され、このストッパ部47eがカムシャフト22の周面部22dに当接することにより、デコンプカム47の回動が停止されるように構成されている。このストッパ部47eと係止部47bとは棒状で一体成形されている。
また、スプロケット32は、図11乃至図13に示すように、前記収容窓部32aが略扇形を呈すると共に、複数の肉抜き孔32bが形成されている。
このスプロケット32の回転に伴って、回動部材42が回動することにより、回動部材42にてデコンプカム47の係止部47bが押されて、中間揺動部47aが収容窓部32a内を移動し、回動軸部47cは、カムシャフト22に形成された挿通孔22cに挿通されて回動するように構成されている。また、この回動軸部47cの回動により、断面が半円形状のカム部47c(他端部)が排気用カム部22bの表面から突出し、又、表面より没入するように構成されている。
図4及び図14に示すように、このカム部47cの、排気用カム部22bの表面からの突出状態で、排気用ロッカーアーム31のロッカーアームローラ31aがそのカム部47cに乗り上げた状態では、この排気用ロッカーアーム31の押圧部31bにより、排気バルブ25が押圧されて、このバルブ25が僅かに開かれた状態にある。この排気バルブ25が僅かに開くタイミングは、圧縮行程であり、燃焼室48内のガスを外部に抜くことにより、燃焼室48内の圧力上昇を抑えるようにしている。
すなわち、エンジン11の低回転時には、回動部材42の遠心力がそれ程大きくないため、スプリング46の付勢力により、回動部材42が図2に示す位置まで回動されている。この状態で、図4及び図14に示すように、カム部47cが回動して半円形状が起立した状態となっており、デコンプ作動状態となっている。
一方、エンジン11の高回転時には、回動部材42の遠心力が大きくなるため、スプリング46の付勢力に抗して回動部材42が図2に示す位置から図3に示す位置まで反時計回りに回動する。これで、回動部材42の被係止部43bに係止されているデコンプカム47の係止部47bが可動されて、デコンプカム47の回動軸部47cが回動され、カム部47cが排気用カム部22bの表面から没入した状態となる(図14中二点鎖線参照)。これにより、デコンプ解除状態となるように構成されている。
さらに、前記ウオータポンプ装置20は、インペラ軸50の一端部50aが前記ボルト28に接続され、このインペラ軸50の他端部50bには、ポンプ室51内に収容されたインペラ52が配設されている。そして、このポンプ室51から延長されたポンプ側冷却水通路がシリンダヘッド16に形成されたヘッド側冷却水通路に直接接続されている。
そのインペラ52が回転されることにより、ラジエター側から冷却水がポンプ室51内に吸い込まれ、このポンプ室51からポンプ側冷却水通路を介して、シリンダヘッド16のヘッド側冷却水通路に供給されるように構成されている。
上記のようなものにあっては、デコンプ装置19のデコンプカム47がスプロケット32の一方の側から他方の側まで貫通して配設されるものにおいて、そのスプロケット32に貫通する収容窓部32aが形成され、この収容窓部32a内に、デコンプカム47の中間揺動部47aが揺動自在に配設されているため、従来と異なり、カムシャフト22方向の幅を極力短くできる。
しかも、このスプロケット32には、そのような収容窓部32aが形成されることにより、重量を軽減することができる。
また、デコンプカム47の回動軸部47cは、カムシャフト22の中心軸とオフセットされた位置に配置されているため、回動軸部47cのカム部47dをカムシャフト22の排気用カム部22bの表面近傍に配置できることから、回動軸部47cが直接弁を開閉させることが可能となり、この排気用カム部22bとロッカーアーム31との間に別途別部材を配設する必要がない。
さらに、デコンプカム47の係止部47bは、中間揺動部47aを貫通し、他方の面側に延長された部分によりストッパ部47eが形成されているため、ストッパ部47eを形成するために別部材が必要なく、部品点数を削減することができる。
さらにまた、そのデコンプカム47には、ストッパ部47eが形成されており、図15に示すように、デコンプカム47が図中実線に示すデコンプON状態、図中二点鎖線に示すデコンプOFF状態において、ストッパ部47eがカムシャフト22の周面部22dに当接することにより、回動部材42の回動が停止されることとなる。従って、回動部材42を停止させるストッパを別途、スプロケット32やブリーザ回転体33に形成する必要なく、構造を簡単にできる。
しかも、そのストッパ部47eは、係止部47bが中間揺動部47aを貫通し、他方の面側に延長された部分により形成されているため、ストッパ部47eを形成するために別部材が必要なく、部品点数を削減することができる。
さらにまた、そのデコンプ装置19の回動部材42等が、ブリーザ装置18のブリーザ回転体33の環状部33aの内側に配置されることにより、この点においても、カムシャフト22の軸方向の幅を極力短くできる。
しかも、ブリーザ装置18内で油が分離されて、この油が環状部33aの内壁に付着するため、この環状部33a内のデコンプ装置19に付着することから、デコンプ装置19の潤滑性を向上させることができる。
さらに、デコンプ装置19がブリーザ装置18内で回転することから、気液の分離機能を向上させることができる。
さらにまた、デコンプ装置19がブリーザ回転体33の環状部33a内に配置されているため、デコンプカム47の配設前の状態では、回動部材42が、その環状部33aに当接することにより、この環状部33aが回動部材42のストッパとしての機能を発揮する。
また、デコンプ装置19の回動部材42はブリーザ回転体33の環状部33aのカムシャフト22軸方向の先端よりスプロケット32側に位置しているため、スプロケット32に取り付ける前の状態において、そのブリーザ回転体33によりデコンプ装置19を保護することができる。
さらに、その回動部材42は、平板状の回動部材本体43と重量部材44とから構成することにより、これら部材43,44をそれ程厚くする必要がないことから、打ち抜きにより、容易に安価に成形することができる。
しかも、スプロケット32がカムシャフト22の端面にボルト28により固定されると共に、このボルト28により、デコンプカム47の回動軸部47cの抜け止めを行うようにしたため、このボルト28で、スプロケット32の取付けと、回動軸部47cの抜け止めとを兼用することができ、部品点数及び取付工数を削減できる。
さらに、カムシャフト22のブリーザ装置18側の端部に、ウオータポンプ装置20のインペラ軸50が着脱自在に嵌合され、ウオータポンプ装置20がブリーザ装置18の外側に配置されることにより、カムシャフト方向に大型になりがちなシリンダヘッド16のカムシャフト方向の外形寸法を極力短くできる。
さらにまた、ブリーザ装置18のブリーザ回転体33には、大きな開口33bが形成され、この開口33bにスプロケット32の壁面が露出し、この壁面がブリーザ室35の側壁を兼ねるようにしているため、ブリーザ回転体33で広範囲の壁面を形成する必要がないことから、ブリーザ回転体33の重量を軽減できる。
しかも、デコンプ装置19は、回動部材42にデコンプカム47の一端部(係止部47b)が連結され、このデコンプカム47の他端部(カム部47d)が排気用カム部22b側まで延長されたため、ブリーザ装置18内に配設されたデコンプ装置19の回動部材42からの駆動力をデコンプカム47を介して確実に排気用カム部22b側に伝達することができる。
なお、この実施の形態1では、カムシャフト22の端面に固定されたスプロケット32自体に収容窓部32aが形成されているが、この発明は、それに限定されるものではない。すなわち、図16に示すように、カムシャフト22にフランジ形状の基部22fを形成し、この基部22fの周囲に、リング状のスプロケット32を固定し、基部22fに収容窓部22gを形成することもできる。
また、図17に示すように、デコンプカム47の回動軸部47cは、カムシャフト22に中心軸に一致させることもできる。この場合には、ボルト28が設けられておらず、従って、ボルト28に連結されているウオータポンプ装置20も設けられていない。
さらにまた、上記実施の形態では、「デコンプ動作部」として、直接ロッカーアーム31を駆動するカム部47dを用いているが、これに限らず、中間部材を介して駆動するものでもよい。その際には、カム部47dに代わって、中間部材を駆動可能なものであれば十分で、ギヤでも良い。
この発明の実施の形態に係るエンジンのシリンダヘッドの断面概略図である。 同実施の形態に係るエンジンのデコンプ装置等を示すデコンプON状態の正面図である。 同実施の形態に係るエンジンのデコンプ装置等を示すデコンプOFF状態の正面図である。 同実施の形態に係るロッカーアーム及び排気バルブ等の動きを示す断面図である。 同実施の形態に係るデコンプカムが配設されていない状態の回動部材やブリーザ回転体を示す正面図である。 同実施の形態に係る図5のA−A線に沿う断面図である。 同実施の形態に係る回動部材を示す正面図である。 同実施の形態に係る回転部材本体を示す正面図である。 同実施の形態に係る重量部材を示す正面図である。 同実施の形態に係るデコンプカムを示す図で、(a)は同デコンプカムの正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の回動軸部の右側面図である。 同実施の形態に係るスプロケットにブリーザ回転体が配設された状態を示す正面図である。 同実施の形態に係る図11のB−B線に沿う断面図である。 同実施の形態に係るスプロケットを示す正面図である。 同実施の形態に係るデコンプカムの回動軸部と排気用カム部等を示す説明図である。 同実施の形態に係るデコンプカムのストッパ部とカムシャフト部等を示す説明図である。 この発明の実施の形態に係る変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態に係る他の変形例を示す断面図である。
符号の説明
11 エンジン
16 シリンダヘッド
18 ブリーザ装置
19 デコンプ装置
20 ウオータポンプ装置
22 カムシャフト
22b 排気用カム部
22c 挿通孔
22d 周面部
22f 基部
22g 収容窓部
23 カムチェーン
24 吸気バルブ
25 排気バルブ
31 ロッカーアーム
32 スプロケット
33 ブリーザ回転体
42 回動部材
43 回動部材本体
44 重量部材
47 デコンプカム
47a 中間揺動部
47b 係止部
47c 回動軸部
47d カム部(デコンプ動作部)
47e ストッパ部

Claims (8)

  1. カムシャフトにチェーンを介してクランク軸からの駆動力を受けるスプロケットが設けられ、該スプロケットの配設部位にデコンプ装置が配設され、
    該デコンプ装置は、前記スプロケットの回転に伴って回動し、前記スプロケットの一方の面側に設けられた回動部材と、該回動部材の回動力を前記スプロケットの他方の面側に位置する前記カムシャフトのカム部側まで伝達するデコンプカムとを有し、
    該デコンプカムは、前記スプロケットに配置される中間揺動部と、該中間揺動部に設けられて前記回動部材に係止することにより、該回動部材からの駆動力を受ける係止部と、該中間揺動部から前記スプロケットの前記他方の面側に突出する回動軸部とを有し、
    該回動軸部は、デコンプ動作部を有し、前記カムシャフト軸方向に沿って配設され、
    前記中間揺動部は、前記スプロケットに形成された両側に貫通する収容窓部に配置されて、基端部側が前記回動軸部に連結されて、該回動軸部を中心として前記カムシャフトに対して回動自在に設けられ、
    前記スプロケットの回転に伴って、前記回動部材が回動することにより、該回動部材にて前記デコンプカムの係止部が駆動力を受け、前記中間揺動部が前記収容窓部内を移動し、前記回動軸部は、前記カムシャフトに対して回動するように構成されたことを特徴とするエンジン。
  2. 前記係止部は、前記中間揺動部から前記スプロケットの一方の面側に突出して設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  3. 前記回動軸部は、前記カムシャフトの中心軸に対してオフセットされた位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
  4. 前記中間揺動部から、前記スプロケットの他方の面側にストッパ部が突設され、デコンプオン状態とデコンプオフ状態とにおいて前記ストッパ部が前記カムシャフトの周面部に当接することにより、前記デコンプカムの回動が停止されるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
  5. 前記係止部は、前記中間揺動部から前記スプロケットの一方の面側に突出して設けられると共に、前記ストッパ部は、前記係止部が前記中間揺動部を貫通し、前記他方の面側に延長された部分により形成されていることを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  6. 前記スプロケットの一方の面側には、ブリーザ装置の回転部分であるブリーザ回転体が配設され、該ブリーザ回転体の内部に、前記デコンプ装置の回動部材が配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
  7. 前記スプロケットが前記カムシャフトの端面にボルトにより固定されると共に、該ボルトにより、前記デコンプカムの回動軸部の抜け止めを行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
  8. 前記カムシャフトの前記ブリーザ装置側の端部に、ウオータポンプ装置のインペラ軸が着脱自在に嵌合され、該ウオータポンプ装置が前記ブリーザ装置の外側に配置されたことを特徴とする請求項6に記載のエンジン。
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