JP2008302085A - 座席用クッション構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベースとなる第一クッション体10と、第一クッション体10の上面に積層して配置され、第一クッション体10よりも弾力性の小さい第二クッション体20とを備える。そして、第一クッション体10の上面に、着座した人の坐骨が位置する部分において、下方に向かって緩やかに湾曲して窪む窪み部11を形成する。
【選択図】図1
Description
つまり、座席は、快適な座り心地の確保のために柔軟性も必要であるが、安定した着座姿勢を保持するためや、また、着座者の体重を支持するために、比較的高い弾性力も有している必要がある。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、座席に着座した人の座圧を分散し、疲労を軽減することができるようにした、座席用クッション構造を提供することを目的とする。
請求項3記載の本発明の座席用クッション構造は、請求項1記載の座席用クッション構造において、該窪み部に嵌合して該第一クッション体の上面と該第二クッション体の下面とに挟まれ、該第二クッション体よりも弾力性の小さいクッション片を備えたことを特徴としている。
請求項5記載の本発明の座席用クッション構造は、請求項4記載の座席用クッション構造において、該表皮は、スエード生地を模擬したジャージーであることを特徴としている。
したがって、坐骨が位置する部分の座席の弾力性が比較的小さくなり、着座者の座圧を分散し、疲労を良好に軽減することができる。
したがって、坐骨が位置する部分の座席の弾力性が比較的小さくなり、着座者の座圧を分散し、疲労を良好に軽減することができる。
また、クッション片の弾力性を変更することで、座圧の分散を容易に調整することができる。
請求項5記載の本発明の座席用クッション構造によれば、表皮がスエード生地を模擬したジャージーであるので、人の着座時の第二クッション体の沈み込みに追従して伸びる伸び率に加え、着座者が前方に滑らない滑り角度を確保することができる。そして、表皮が第二クッション体の沈み込みに追従して伸び、第一クッション体及び第二クッション体の弾力性を座圧に良好に反映させることができると同時に、着座者の前ずれを防止し、安定して着座させ、疲労をより軽減することができる。
これは、特に、自動車等の車両の運転席に本発明の座席用クッション構造を適用した場合、車両走行にかかる振動が足から全身に伝わるが、柔らかな前縁部が振動を吸収し、全身への振動の伝達を抑制して、運転者の疲労を軽減することができる。また、大腿部が座席によって圧迫され難いので、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み操作に係る疲労軽減にも効果的である。
[第1実施形態]
図1〜図8は、本発明の第1実施形態の座席用クッション構造を示す図であって、図1はその幅方向断面図(図3のA−A断面図)、図2はその前後方向断面図(図3のB−B断面図)、図3はその斜視図、図4はその表皮の伸び率と滑り角度(グリップ率)とを示すグラフ、図5〜図8はその成型方法の各工程を説明する図である。
ここでは、自動車等の車両の座席に、本発明の座席用クッション構造を適用した場合について説明する。
第1実施形態の座席用クッション構造は、図3に示すように、乗員が着座する座席1の座面部(以下、単に座席という)に適用されている。ここで、座席1は、幅方向の両端部にそれぞれ形成された隆起部2と、隆起部2の間に、略フラットな面形状に形成されたフラット部3とを有している。そして、この隆起部2によって、着座者の臀部を包み込み、幅方向への揺れ(動き)を抑制するようになっている。ただし、座席1の形状はこれに限らず、例えば隆起部2のない単純なフラット形状のものであっても良い。
このうち、第一クッション体10は、ポリウレタンフォーム(発泡樹脂)からなる発泡体で構成されている。そして、第一クッション体10は、座席1の外形を規定するように形成されており、座席1の隆起部2を形成するために、図1に示すように、その幅方向両端部(側部)10sが隆起している。
また、第一クッション体10は、図2に示すように、前後方向で前縁部10fと本体部10mとに2分割して構成され、前縁部10fは、本体部10mよりも弾力性が小さく形成されている。ここで、第一クッション体10の本体部10m,前縁部10f及び第二クッション体20の弾力性は、この順で大きく形成されている。以下、本体部10m,前縁部10f及び第二クッション体20の弾力性をそれぞれ、高弾性(高硬度),中弾性(中硬度),低弾性(低反発,低硬度)という。なお、窪み部11は、本体部10mに形成されている。
また、第二クッション体20は、第一クッション体10と同様に、ポリウレタンフォームからなる発泡体で構成されている。そして、第二クッション体20の上面は略フラットな面形状で形成されている。一方、第二クッション体20の下面は、窪み部11の形状に沿うように形成され、窪み部11と密着するような凸部21を有している。つまり、第二クッション体20の下面は、第一クッション体10の窪み部11を埋めるように、第一クッション体10の上面の形状に沿って形成されている。
以下、このような座席用クッション構造の成型方法について説明する。
まず最初に、図5に示すように、上型41と下型42とからなる一対の金型を用意する。この上型41と下型42とは、第一クッション体10の本体部10mを成型するための金型であって、上型41と下型42とを閉じて形成される空間43の形状は、本体部10mの立体形状に相当するようになっている。詳述すると、上型41の内面41aは本体部10mの底面形状に相当する形状を形作られている。また、下型42の内面42aは、その表面上で本体部10mの上面が成型されるため、窪み部11を成型するための突出部42bを有して形成されている。
そして、図8に示すように、液状発泡性混合物52のガス発泡は終了しているが、粘弾性流動状態にある反応過程で、液状発泡性混合物52の上面及び第一クッション体10の側面を覆うように表皮30を配置し、第一クッション体10の上方から加圧型44を下降させて、表皮30及び液状発泡性混合物52を、加圧型44と第一クッション体10とで加圧圧縮する(第3工程)。
しかし、反応過程においては非常に不安定な状態であり、ガス反応が終了した後一定時間内では、まだ流動性が残り、外力を作用させることで容易に変形させることができる状態(粘弾性流動状態)にある。そのため、この流動性のあるときに、別の発泡体,繊維などの素材と一体に加圧すると、別の発泡体の中や繊維の組織の一部に入り込み、その別の発泡体や繊維が液状発泡性混合物から形成された発泡体上に固着し、一体的となる。また、液状発泡性混合物の加圧圧縮率を変化させると、圧縮率の高いところでは硬く、低いところでは柔らかな発泡体となる。
<作用・効果>
本発明の第1実施形態にかかる座席用クッション構造は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
そして、比較的柔らかな第二クッション体の凸部21が、窪み部11に嵌合し窪み部11を埋めるので、坐骨が位置する部分の第二クッション体20の厚みを厚くすることができる。
この座圧分散の効果の実証について、図9(a),(b)及び図10(a),(b)を用いて説明する。
図9(a),(b)及び図10(a),(b)は、6軸振動加振機を用いて、東名高速道路を2時間走行した状況設定において、被験者7名で平均した座圧分布の測定結果を示している。
なお、ここでいう従来座席とは、図17に示す、窪み部を有していない2層クッション構造で形成された座席を指している。また、表皮として、図4に黒い四角で示すシンフォニットを使用している。
また、疲労の効果の実証について、図11及び図12を用いて説明する。
疲労評価は、上記の走行試験の被験者7名に対する聞き取り調査によって行なった。
つまり、被験者7名に、試験開始から5〜10分毎(具体的には、5,10,15,25,30,40,45,55,60,65,70,75,85,90,100,105,115,120,125分後)に計19回、図11に示すように、被験者が感じた臀部及び腰の疲労度を、「1;全く疲れてない、2;ほんの少し疲れた、3;やや疲れた、4;疲れた、5;かなり疲れた、6;たいへん疲れた、7;極度に疲れた」の7段階で評価してもらった。そして、被験者毎に、各回の数値を全19回分積算して、疲労度とした。
つまり、疲労度は、7〜133の範囲の値をとり、標準的に疲れを感じた場合では、76の値(標準疲労値)をとることになるが、表皮30としてスエード調ジャージーを使用した本座席1に着座した被験者の疲労度の値は、標準疲労値よりも減少した。
ここで、表皮30に係る効果をみるために、本座席用クッション構造の表皮30にバーチニットを使用した場合を、図12に点P2で示す。バーチニットを使用した本座席用クッション構造の場合でも、従来座席に比べて、疲労度は軽減した。しかしながら、表皮30をスエード調ジャージーで構成した方が、人の着座時の第二クッション体20の沈み込みに追従して伸び、第一クッション体10及び第二クッション体20の弾力性を座圧に良好に反映することができる。また、着座した人が前方により滑らない滑り角度を有し、着座した人の前ずれを防止し、安定して着座させ、疲労をより軽減することができる。
これは、特に、自動車等の車両の運転席に本発明の座席用クッション構造を適用した場合、車両走行にかかる振動が足から全身に伝わるが、柔らかな前縁部10fが振動を吸収し、全身への振動の伝達を抑制して、ドライバーの疲労を軽減することができる。また、大腿部が座席1によって圧迫され難いので、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み操作に係る疲労軽減にも効果的である。
[第2実施形態]
次に、図14を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
<構成>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、第二クッション体の凸部に係る構造が異なるものである。
座席用クッション構造は、図14に示すように、窪み部11を有する第一クッション体10と、第一クッション体10の上面に積層して配置され、第一クッション体10よりも弾力性の小さい第二クッション体60と、第二クッション体60の上面及び第一クッション体10の側面を密着して覆う表皮30とを備えている。
<作用・効果>
本発明の第2実施形態にかかる座席用クッション構造は上述のように構成されているので、第1実施形態で奏した上述の効果に加え、以下のような作用・効果がある。
また、クッション片70の弾力性を変更することで、座圧の分散を容易に調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上記実施形態において、第一クッション体10及び第二クッション体20は、ポリウレタンフォームからなる発泡体で構成されているが、ポリウレアフォーム等の他の発泡樹脂からなる発泡体に代えても良い。
また、上記第1実施形態において、クッション構造の成型方法について説明したが、クッション構造の成型方法はこれに限定されない。
また、上記各実施形態では、本発明の座席用クッション構造を自動車等の車両の座席に適用した場合について説明したが、本発明の座席用クッション構造は、種々の家具用座席等にも適用することが可能である。
2 隆起部
3 フラット部
10 第一クッション体
10f 前縁部
10m 本体部
10s 側部
11 窪み部
20 第二クッション体
21 凸部
30 表皮
41 上型
42 下型
43 空間
51,52 液状発泡性混合物
60 第二クッション体
70 クッション片
100 クッション体
101 第一クッション体
102 第二クッション体
110 表皮材
Claims (6)
- 人が着座する座席用のクッション構造であって、
ベースとなる第一クッション体と、
該第一クッション体の上面に積層して配置され、該第一クッション体よりも弾力性の小さい第二クッション体とを備え、
該第一クッション体の上面は、着座した人の坐骨が位置する部分において、下方に向かって緩やかに湾曲して窪む窪み部を有している
ことを特徴とする、座席用クッション構造。 - 該第二クッション体の下面は、該窪み部の形状に沿うように形成されるとともに該窪み部と密着するような凸部を有している
ことを特徴とする、請求項1記載の座席用クッション構造。 - 該窪み部に嵌合して該第一クッション体の上面と該第二クッション体の下面とに挟まれ、該第二クッション体よりも弾力性の小さいクッション片を備えた
ことを特徴とする、請求項1記載の座席用クッション構造。 - 該第二クッション体の上面を密着して被覆する表皮を備え、
該表皮は、伸び率30%以上を有する生地で構成される
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の座席用クッション構造。 - 該表皮は、スエード生地を模擬したジャージーである
ことを特徴とする、請求項4記載の座席用クッション構造。 - 該第一クッション体は、前後方向で前縁部と本体部とに2分割して構成され、
該前縁部は、該本体部よりも弾力性が小さく形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の座席用クッション構造。
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