JP2008290365A - 複合フィルム - Google Patents

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【課題】1枚当りの容量が1GBを超えるような高密度大容量磁気記録フレキシブルディスクのベースフィルムとして好適に使用でき、二軸配向ポリエステルフィルムの両面に欠点のない塗膜層が設けられた複合フィルムの提供。
【解決手段】二軸配向ポリエステルフィルムとその両面に積層された塗膜層とを含む、(a)塗膜層は、平均粒径が10〜120nmの粒子(C)およびバインダー樹脂とを含み、その厚みが5〜100nmの範囲にあること;(b)二軸配向ポリエステルフィルムは、その厚みが30〜80μmの範囲にあること;そして(c)複合フィルムの両表面は、塗膜層の目玉状欠点の数が、いずれも10個/cm以下で、かつスクラッチ傷が5個/m以下であることを具備する複合フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜層が形成された複合フィルムに関し、さらに詳しくは塗布欠点の少ない高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして好適な複合フィルムに関する。
二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸配向ポリエチレンナフタレートフィルムに代表される二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた物理的、化学的特性の故に、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして広く用いられている。
特に、モバイル型パーソナルコンピューターや高画質デジタル録画装置が急速に普及するとともに、記憶装置も大容量化、転送速度の高速化、さらには手軽さや小型化が求められている。そのなかで、フレキシブルディスクはその手軽さから広く普及し、さらには高容量化、すなわち記録密度の高密度化が進められている。
このような要望に応えるために、国際公開00/21731号パンフレット(特許文献1)では、二軸配向ポリエステルフィルムの両表面の物性を等しくすることで、ベースフィルムのカールを抑えることが、また特開平10−198944号公報(特許文献2)、特開2006−305870号公報(特許文献3)、特開2006−305871号公報(特許文献4)、特開2006−342198号公報(特許文献5)では、内部応力を緩和することで磁気ディスクのカールを抑えることが提案されている。しかしながら、近年の高密度化の要求は一段と厳しくなってきており、このような両表面の物性を等しくした二軸配向フィルムでも、十分に対応できなくなってきていた。
また、高密度化していく過程で、従来は問題として認識されていなかった塗膜層表面の目玉状の欠点というものが、問題となってきた。
国際公開00/21731号パンフレット 特開平10−198944号公報 特開2006−305870号公報 特開2006−305871号公報 特開2006−342198号公報
本発明の目的は、1枚当りの容量が1GBを超えるような高密度大容量磁気記録フレキシブルディスクのベースフィルムとして、好適に使用でき、二軸配向ポリエステルフィルムの両面に欠点のない塗膜層が設けられた複合フィルムの提供にある。
本発明者らは上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、フレキシブルディスク用のような二軸配向ポリエステルフィルムでは、両表面に磁性層を設けるため、二軸配向ポリエステルフィルムの表面には磁性層との接着性を向上させるために塗膜層が塗布される。この塗膜層としては、表面に設けられる磁性層の表面の平坦性を損なわないために、非常に薄くかつ均一であることが要求され、そのような観点からリバースコーターが用いられている。ところが、フレキシブルディスク用のような二軸配向ポリエステルフィルムでは、厚みが30μm以上と厚いことから、ポリエステルの吐出量が多く、また延伸応力も大きくかかることなどから、製膜速度を遅くする必要があった。しかし、製膜速度を遅くすると、リバースコーターの塗布量を多く出来なくなり、フィルムに塗液を塗布した後のリバースコーターロールの表面が乾き、その表面に凝集物が出来て、それがフィルム表面に転写して目玉状欠点を形成することを見出した。
そこで、この問題を解決しようとさらに研究したところ、塗液の濃度を薄くしてリバースコーターの速度を上げる方法では、リバースコーターの表面は乾かないものの、リバースコーターとフィルムとの速度差が大きくなりすぎてフィルム表面にスクラッチといわれる傷が発生することが判明した。そこで、さらに鋭意研究した結果、リバースコーターの前に、一旦ダイコーターで塗膜層を形成してからリバースコーターで塗膜層を形成するとき、目玉状欠点とスクラッチ傷の両方をともに低減できることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明によれば、二軸配向ポリエステルフィルムとその両面に積層された塗膜層とを含む、(a)塗膜層は、平均粒径が10〜120nmの粒子(C)およびバインダー樹脂とを含み、その厚みが5〜100nmの範囲にあること;(b)二軸配向ポリエステルフィルムは、その厚みが30〜80μmの範囲にあること;そして(c)複合フィルムの両表面は、塗膜層の目玉状欠点の数が、いずれも10個/cm以下で、かつスクラッチ傷が5個/m以下であることを具備する複合フィルムが提供される。
また、本発明の好ましい態様として、二軸配向ポリエステルフィルムは、冷却ドラムと接した側の表面における製膜方向の屈折率から幅方向の屈折率を差し引いた値が−0.004〜−0.011の範囲にあり、冷却ドラムと接しなかった側の表面における製膜方向の屈折率から幅方向の屈折率を差し引いた値が−0.008〜−0.015の範囲にあり、冷却ドラムと接した側の表面における平均屈折率より冷却ドラムと接しなかった側の表面における平均屈折率を差し引いた値が−0.001〜−0.03の範囲にあること、複合フィルムの面内方向における、105℃での熱収縮率が0〜0.3%の範囲で、150℃での熱収縮率が0〜1.3%の範囲にあること、二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度が、0.4〜0.6dl/gの範囲にあること、二軸配向ポリエステルフィルムが二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムであること、およびフレキシブルディスクのベースフィルムとして用いることの少なくともいずれかを具備する複合フィルムも提供される。
本発明の複合フィルムは、塗膜層が欠点なく形成されていることからフレキシブルディスクのベースフィルムとして用いたときに、安定的な出力特性が発現される。特に1枚当りの容量が1GBを超えるような高密度大容量磁気記録のベースフィルムとして用いたとき、得られる磁気記録媒体に安定した出力特性を具備させることができ、その工業的価値はきわめて高い。
本発明の複合フィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムとその両表面にある塗膜層とからなる。以下、本発明を詳述する。
<二軸配向ポリエステルフィルム>
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムは、芳香族カルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルからなり、中でも、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレンナフタレンジカルボキシレート(アルキレンナフタレートと云うことがある)を主たる繰り返し構成成分とするポリエステルが好ましく、中でも全ジカルボン酸成分の80モル%以上、更には90モル%以上がテレフタル酸または2,6―ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モル%以上、更には90モル%以上がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン―2,6―ナフタレートが好ましく、これらは単一重合体であっても共重合体であってもよい。特に、エチレン―2,6―ナフタレート成分が、繰返し単位の95モル%以上を占めるポリエステルは、得られる二軸配向ポリエステルフィルムに加工時の張力や使用時の温度上昇に対する優れた寸法安定性を具備させやすいことから好ましい。
ポリエステルが共重合体の場合、全酸成分の20モル%未満、さらには10モル%未満は、例えばテレフタル酸または2,6―ナフタレンジカルボン酸以外の上記ジカルボン酸であることができ、また、例えばアジビン酸、ゼバチン酸などの如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸であることができる。また、全グリコール成分の20用モル%未満、さらには10モル%未満がエチレングリコール以外の上記グリコールであることができる。
上記のポリエステルはそれ自体公知であり、公知の溶融重合法で製造することができる。そして、得られるポリエステルの重合度は、o―クロロフェノール溶液中、35℃で測定して求めた固有粘度が0.4〜0.6程度、更には0.45〜0.54のものが好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満では、フィルムとしたときに所望の物性が得られにくく、他方固有粘度が0.6dl/gを超えると、成形が困難となったり、フィルムにしてからフレキシブルディスクなどの円盤状に打ち抜くときの打ち抜き性が不十分になりやすかったりする。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリマーを重合して得た後、フィルムへの製膜などに供していないバージンポリマー(バージンチップと称することもある。)だけで製造しても良いが、生産性などの観点から、一旦製膜工程に供したポリマーを回収し、それを粉砕・再溶融した回収ポリマー(リクレームチップと称することもある。)を使用することもできる。このとき、フィルムにしたときの固有粘度は、上述の範囲に入るようにバージンチップとリクレームチップの固有粘度およびそれらの使用比率を調整するのが好ましい。
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムは、冷却ドラムと接した側の表面における製膜方向の屈折率から幅方向の屈折率を差し引いた値が−0.004〜−0.011の範囲にあり、冷却ドラムと接しなかった側の表面における製膜方向の屈折率から幅方向の屈折率を差し引いた値が−0.008〜−0.015の範囲にあり、冷却ドラムと接した側の表面における平均屈折率より冷却ドラムと接しなかった側の表面における平均屈折率を差し引いた値が−0.001〜−0.03の範囲にあることが、さらにカールを抑制できる点から好ましい。このような屈折率差は、フィルムを延伸する際の上下のヒーターの温度や予熱ヒーターの条件などによって調整できる。なお、本発明における平均屈折率とは、フィルムの製膜方向における屈折率とフィルムの幅方向における屈折率との平均値である。また、冷却ドラムと接した面とは、フィルムを溶融状態で押出したときに冷却ドラムと接する側に位置する表面で以下D面と称することがあり、冷却ドラムと接しなかった面とは、フィルムを溶融状態で押出したときに冷却ドラムと接しない側に位置する表面でA面と称することがある。さらにまた、本発明においては、フィルムの製膜方向を縦方向またはMD方向と、またフィルムの製膜方向と厚み方向とに直交する方向を幅方向、横方向またはTD方向と称することがある。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム中に平均粒径0.01μm以上0.2μm以下の不活性粒子(A)を0.1〜0.5重量%含有させるのが好ましく、さらには該不活性粒子(A)との併用で平均粒径0.25μm以上0.8μm以下の不活性粒子(B)を0.001〜0.1重量%含有させるのが好ましい。かかる不活性粒子としては、内部析出粒子は粒径のコントロールが難しいため、外部添加粒子が好ましい。外部添加粒子としては、例えば炭酸カルシウム、球状シリカ、凝集シリカ、アルミナ、有機粒子(例えば、架橋ジビニルベンゼン粒子、架橋シリコーン粒子など)などを好ましく挙げることができる。これら微粒子は単一粒子(非凝集粒子)か凝集粒子からなるが、表面粗さの再現性、粗大な突起を減少させる等の観点から、単一粒子、特に球状シリカ、有機粒子を主な粒子として含有させる場合が好ましい。かかる単一粒子は、更に、球状粒子であることが好ましい。また、粒径の異なる単一粒子を組合せて(例えば、球状シリカと炭酸カルシウムを組合せて、または球状シリカと球状シリカを組合せて)添加してもよく、粒径の異なる単一粒子と凝集粒子を組合せて(例えば、コロイダルシリカ、炭酸カルシウムまたは有機粒子とアルミナを組合せて)添加してもよいが、前者の方が好ましい。
不活性粒子(A)の平均粒径は0.01μm以上0.2μm以下、好ましくは0.01μm以上0.18μm未満、更に好ましくは、0.05μm以上0.15μm未満である。この平均粒径が下限未満ではフィルムの易滑性が十分ではなく、一方上限を超えると記録出力が低下するため好ましくない。該不活性粒子の含有量は所定の表面粗さを得るために0.1〜0.5重量%の範囲で適宜選択される。好ましくは0.1〜0.4重量%である。また、不活性粒子(B)の平均粒径は、0.25μm以上0.8μm以下、好ましくは0.25m以上0.7μm未満、更に好ましくは0.25μm以上0.6μm未満である。この平均粒径が0.25μm未満ではフィルムの易滑性が不十分となり易く、一方0.8μm超では記録出力が低下するため好ましくない。該微粒子の含有量は所定の摩擦係数を得るため0.001〜0.1重量%範囲で適宜選択される。好ましくは0.005〜0.05重量%である。さらにまた、不活性微粒子(A)、(B)を併用する場合、不活性微粒子(A)が小粒子、不活性微粒子(B)が大粒子となり、これらの平均粒径の差は少なくとも0.15μmであることが好ましい。さらに、不活性微粒子(A)、(B)は、それぞれ、球状シリカ粒子であることが好ましい。
<塗膜層>
本発明における塗膜層は、平均粒径が10〜120nmの粒子(C)とバインダー樹脂を含み、二軸配向ポリエステルフィルムの両表面に磁性層などとの密着性を付与するために設けられる。また、該塗膜層によりフィルム同士の摩擦を下げることができ、製膜および磁性層塗布加工時での巻取り時のハンドリング性が向上し、例えばシワや擦り傷等の発生を防ぐこともできる。そのような観点から、塗膜層を設けたフィルム同士の静摩擦係数(μs)は0.55以下であることが好ましく、動摩擦係数(μd)は、0.2〜0.55であることが好ましい。動摩擦係数(μd)が0.55を超えると、製膜工程中および磁性層塗布加工中でのハンドリング性が悪くなり、例えば工程内のロール上での走行中またはロール状に巻取る際にしわやスクラッチといった欠点を生じる。このような静摩擦係数および動摩擦係数は、塗膜層や二軸配向ポリエステルフィルムに含有させる粒子のサイズや量によって調整できる。
まず、塗膜層中の粒子(C)について、説明する。
粒子(C)は、平均粒径が10〜120nm、好ましくは20〜100nm、さらに好ましくは25〜50nmである。この平均粒径が下限未満では、粒子が小さすぎて、耐ブロッキング性や磁性層の耐削れ性に対する効果が充分に発揮されず、また粒子同士が凝集して粗大粒子を形成しやすく、一方平均粒径が上限を超えると、わずかに凝集しただけでも大きな粒子ととなって、やはり粗大粒子を形成しやすくなる。
前記粒子(C)の配合量は、前記バインダー樹脂100重量部に対して、5〜80重量部、好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である、この配合量が5重量部未満では、耐ブロッキング性に対する効果が充分発揮されず、一方80重量部を超えると、粒子が凝集し易くなり、ベースの耐削れ性が悪くなる。
前記粒子(C)としては、耐熱性有機高分子粒子が好ましく例示できる。かかる耐熱性有機高分子粒子としては、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、テフロン(登録商標)粒子、ポリイミド粒子等を挙げることができる。なかでも架橋シリコーン樹脂粒子あるいは架橋アクリル樹脂粒子が好ましい。
つぎに、前記バインダー樹脂について、説明する。
バインダー樹脂は、ガラス転移温度(DSC法)が90〜120℃、さらに100〜110℃の範囲にあることが好ましい。このガラス転移温度が下限未満では、易接着層の耐削れ性や耐ブロッキング性が低下しやすく、一方上限を超えると、接着性や塗工性が低下しやすい。
前記バインダー樹脂としては、酸成分がスルホン酸塩の基を有する芳香族ジカルボン酸及び他の芳香族ジカルボン酸からなり、グリコール成分がエチレングリコール及びビスフェノールAの低級アルキレンオキサイド付加物を含む他のグリコール成分からなる水分散性共重合ポリエステル樹脂を好ましく上げられる。また、前記粒子(C)およびバインダー樹脂のほかに、さらにポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなどの界面活性剤を含むことは、塗工性などの観点から好ましい。
水分散性ポリエステル樹脂の分子内にスルホン酸塩基を導入するには、スルホン酸塩基を有する二官能性化合物、例えば5―Naスルホイソフタル酸、5―アンモニウムスルホイソフタル酸、4―Naスルホイソフタル酸、4―メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2―Naスルホイソフタル酸、5―Kスルホイソフタル酸、4―Kスルホイソフタル酸、2―Kスルホテレフタル酸などを用いることが好ましい。これらは、単独に限られず、2種以上を併用してもよい。
前記水分散性ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等を例示することができる。これらの成分は2種以上を用いることができる。更に、これら成分と共にマレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の如き不飽和多塩基酸やp―ヒドロキシ安息香酸、p―(β―ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を小割合用いることができる。なお、不飽和多塩基酸成分やヒドロキシカルボン酸成分の割合は高々10mol%、好ましくは5mol%以下であることが好ましい。また、ジヒドロキシ化合物成分としては、エチレングリコール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピ二軸配向ポリエチレンナフタレートフイルムレングリコール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等を例示することができ、これらも単独に限られず、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂は、それ自体公知の方法で製造することができる。その際、バインダー樹脂が分散性ポリエステル樹脂である場合、ジカルボン酸成分及びジヒドロキシ化合物成分の種類、割合を上述したポリマー特性から適宜選択するとよい。また、バインダー樹脂が水分散性ポリエステル樹脂である場合、その数平均分子量は、本発明の効果の点から、5000〜28000が好ましい。
さらに、塗膜層を形成するための塗液は、必要に応じて、他の樹脂、帯電防止剤、滑剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤を添加してもよく、また易接剤の耐熱性、耐ブロッキング性を向上させる為にメラミン、エポキシ、アジリジン化合物等の架橋剤等を添加することができる。
また乾燥後の塗布厚みは5〜100nm、更に10〜50nmが好ましい。
<複合フィルム>
本発明の複合フィルムは、少なくとも前述の二軸配向フィルムとその両面に積層された塗膜層とからなる。
ところで、本発明の複合フィルムは、無荷重下で30分間、105℃に加熱された状態に保持したときの熱収縮率が、複合フィルムの面内方向において、全ての方向で0〜0.3%の範囲にあることが好ましい。さらに好ましい105℃での熱収縮率は0〜0.2%、更に好ましくは0〜0.1%である。この105℃での熱収縮率が大きいと、磁性層を塗布した後のフレキシブルディスクの熱収縮率も大きくなり、トラックズレなどの問題が生じやすく、またカールなども発生しやすくなる。
また、本発明の複合フィルムは、無荷重下で30分間、150℃に加熱された状態に保持したときの熱収縮率が、複合フィルムの面内方向において、全ての方向で0〜1.3%の範囲にあることが好ましい。さらに好ましい150℃での熱収縮率は0〜1.2%、特に0〜1.1%である。このような範囲にすることで、フィルムの製膜工程、特に熱固定処理の時にフィルムの表裏で熱収縮率差ができたとしても、その差が非常に小さなものとなり、例えば複合フィルムを円盤状に打抜いてフレキシブルディスクとする時に生じるカールを実用上問題ないレベルまで小さくしやすい。
ちなみに、本発明におけるカールの評価について、図1を用いて説明する。図1は、本発明におけるカールを測定するための装置を側面から見た図である。図1中の符号1は複合フィルム短冊サンプル、符号2は架台、符号3はカール読み取り目盛りある。
まず、本発明の複合フィルムを、測定方向に20cm、直角方向に3cmに切断し、短冊サンプル1とする。この短冊サンプル1を、55℃、湿度25%の雰囲気下で24時間放置したのち、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で1時間放置して、ベースフィルムに内在されていたカールを発現させる。そして、カールが発現された短冊サンプル1を、図1のとおり、架台上部に懸垂し、短冊サンプル1の下部の位置をカール読み取り目盛りで読み取る。そして、この測定を3回行い、それらを平均した値をカールとする。そして、この測定を複合フィルムの製膜方向とその直交方向についてそれぞれ行う。
このカールが、両方向共に±1.5mm以下のとき、安定した出力特性が得られる。このカールが上限を超えると、特に1枚当たりの記憶容量が1GB以上のようなフレキシブルディスクのベースフィルムとして用いたとき、ベースフィルムのカールによって出力特性が不安定化する。好ましいカールの値は、±1.0mm以下、さらに±0.8mm以下である。カールの下限は特に制限されないが、通常±0.1mm程度である。
本発明の複合フィルムは、フレキシブルディスクとした時に高密度記録ができるように、平坦であることが好ましい。そのような観点から、本発明の複合フィルムの表面性としては、複合フィルムの両表面の中心線平均粗さ(Ra)が1〜7nm、さらに2〜6nmの範囲にあることが好ましい。この表面粗さ(Ra)が1nm未満ではフィルム製造時に極端に傷が発生しやすく、一方7nmを超えると、再生出力が低下するため好ましくない。
本発明の複合フィルムは、前述のとおり、複合フィルムの両表面は、塗膜層の目玉状欠点の数が、いずれも10個/cm以下で、かつスクラッチ傷が5個/m以下であることがフレキシブルディスクとしたときに優れた電磁変換特性などを発現するために必要である。また、前述のようにカールなども非常に小さくすれば、優れた高密度磁気記録フレキシブルディスクとすることができる。そして、フレキシブルディスクのベースフィルムとして用いる場合、複合フィルムの厚みは30〜80μm、さらには40〜70μmであることが好ましい。複合フィルムの厚さが下限未満ではディスクとしての剛性度が不十分となりやすく、また前述の塗布欠点に関する本発明の効果も発現されがたく、他方上限を超えるとフィルムの柔軟性が不足し、磁気ヘッドとのヘッドタッチが悪化しやすく、また小型化の観点からも好ましくない。
<複合フィルムの製造方法>
本発明の複合フィルムの製造方法について、詳述する。
本発明の複合フィルムは、公知の逐次二軸延伸法に準じて製造されるのが好ましいが、同時二軸延伸法によって製造されたものや、簡易な試験装置で製造されたものであってよい。例えば、十分に乾燥されたポリエステルを(ポリエステルの融点+10)〜(ポリエステルの融点+70)℃の温度で溶融押出し、キャスティングドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを逐次又は同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。ポリマー中の粗大粒子の個数を減らすには、溶融押出しに先立ち、溶融物のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜30μm、好ましくは15〜25μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過することが好ましい。この濾過により、大きさ10μm以上、高さ0.27μm以上の突起数を、100cm2当たり20個以下にすることが実現できる。なお、回収ポリマーを使用する場合は、例えば溶融押出し工程でバージンポリマーと混錬すればよい。
二軸延伸は逐次二軸延伸が好ましく、その際未延伸フィルムを縦方向に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜5.0倍延伸する。この時、2軸配向フィルムの屈折率が前述の関係になるように、延伸温度を調整、または延伸前に補助加熱を実施するのが好ましい。
塗布方法としては、前述のとおり、一旦ダイコーターで塗布した後、リバースコーターで再度塗布するのが前述の目玉上欠点を抑制する点で好ましい。ダイコーターとリバースコーターでの塗布量の比率としては、目玉上欠点を抑制する観点から、重量比で1:15〜1:5の範囲が好ましい。塗液の固形分濃度は、1〜15wt%、さらに1〜12wt%、特に1〜10wt%の範囲であることが好ましい。塗液の塗布量は、走行するフィルム(一軸延伸後のフィルム)1m2当り0.5〜20gが好ましく、さらには1〜10gが好ましい。塗布量が過度に少ないと塗布斑が発生しやすく、他方塗布量が過度に多いと、続く第2の延伸において、延伸前に補助加熱を施しても十分にフィルムの温度が上がらず、そこでの結晶化が進みにくかったり、両表面の屈折率差を小さくすることが難しくなる。
次いで、前述のとおり、第2の延伸前に補助加熱を施すが、この温度は(Tg)〜(Tg+20)(℃)に設定してこの部分でフィルムを一部結晶化させることが、カールを少なくする上で有効である。この後、上記延伸方向と直交方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)に補助加熱温度〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜5.0倍の倍率で延伸することにより製造できる。この場合、面積延伸倍率は9〜30倍、さらには10〜22倍にするのが好ましい。
延伸されたフィルムは、さらに、(Tg+70)℃〜Tm(℃)の温度で熱固定することのが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムについては、180〜235℃で熱固定することが好ましい。ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィルムについては185〜240℃で熱固定することが好ましい。熱固定は数ゾーンに分けて実施することが望ましく、好ましくは3ゾーン以上として、第1ゾーンを180〜210℃、第2ゾーンを第1ゾーンよりも高く最大の温度となるように設定する。第3ゾーンは第2ゾーンよりも低く180〜200℃に設定することが、フィルムの平面性を良好に保つために好ましい。3ゾーン以上設ける場合も、前述のように真ん中のゾーンを最高温度として前後を低く温度に傾斜をつけることが好ましい。
ところで、複合フィルムの熱収縮を小さくするために熱固定領域の最後のゾーンでレール幅を、すなわちフィルムの幅を1〜10%、さらに2〜5%縮めることが好ましい。このレール幅を縮めることで、極めて熱収縮率を小さくでき、カールを少なくすることができる。また、熱固定ゾーンの後に冷却ゾーンを設けることもフィルムの平面性を良好に保つために好ましい。この温度は、(Tg−30)℃〜(Tg+20)℃で実施することが好ましく、熱固定ゾーン同様に数ゾーンに分けることが好ましく出口に近いゾーンほど温度を低く設定することが好ましい。ここでも弛緩処理を施すことによりさらに熱収縮率を小さくすることが可能となる。
なお、熱固定温度が上記範囲より低いと、150℃での熱収縮率を1.3%以下にすることが困難になりやすく、他方、熱固定温度が上記範囲より高いと、製膜中のフィルムの中央付近は製膜方向とそれに直行する方向に分子配向が進むものの、製膜中のフィルムの幅方向における端の部分では、製膜方向とそれに直行する方向よりもやや斜めの方向に分子配向が進む、いわゆるボーイング現象の影響が大きくなり、製膜中のフィルムの中央部と幅方向における端部で同様な物性を有するフィルムを得ることが難しくなる。
以上のような観点から、本発明の複合フィルムは磁気ディスクのベースに使用する場合、得られる複合フィルムの面内方向における物性差はより小さいことが望まれ、そのような観点から、熱固定温度は可及的に低温にして中央部と端部の物性差を抑制し、一方熱固定温度を低温化することによる熱収縮率の増長は弛緩処理によって下げるのが一つの望ましい方法である。また、複合フィルムの縦方向及び横方向の延伸条件は得られる二軸配向ポリエステルフィルムの物性が両方向にほぼ等しくなり、面内方向のヤング率が5500MPa以上で、最大値と最小値の差が900MPa以下になる様な条件を選択するのが好ましい。
以上は逐次二軸延伸に沿って説明したが、同時二軸延伸の場合においても、上記延伸温度、延伸倍率、熱固定温度等を適用することで製造することができる。また、必要に応じて二軸延伸ポリエステルフィルムを、さらに縦方向及び/又は横方向に再延伸する、いわゆる3段延伸法、4段延伸法も採用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準であり、本発明における物性値および特性は、それぞれ以下の方法で測定したものである。
(1)フィルム表裏面における屈折率
フィルムの屈折率はレーザー屈折率計(Metricon社製 Model2010プリズムカプラー)を使用して測定する。標準サンプルとしてICS−14(石英板、屈折率1.4570)を200−P−1のプリズム、633nmの波長のレーザーを使用して校正する。サンプルは473nmの波長で測定し、各表面について、フィルムの面内方向における製膜方向と幅方向の屈折率を測定した。なお、測定は、それぞれの方向で5回測定し、この5回の平均値をそれぞれの表面の各方向における屈折率として表1に記載した。
(2)熱収縮率
温度105℃および150℃に設定されたオーブン中に予め正確な長さを測定した長さ約30cm四方のフィルムを懸垂し、無荷重下に30分間保持処理した後取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読み取る。熱収縮率は下記式で定義される。
熱収縮率(%)=(△L/L0)×100
ここで、ΔL=|L0−L|、L0:熱処理前のフィルムの長さ、L:熱処理後のフィルムの同方向の長さである。
上記測定を、フィルムの面内方向において、製膜方向を0℃と製膜方向に直行する方向(幅方向)を90度とし、15℃間隔でそれぞれの方向について5回測定し、この5回の平均値の中で、最大値と最小値を取る方向の熱収縮率を、表1に熱収縮率として記載した。
(3)カール量
フィルムサンプルを、測定方向に20cm、直角方向に3cmに切断し、55℃、湿度25%の雰囲気下で24時間放置したのち、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で1時間放置する。次に短冊サンプルを、架台上部に懸垂し、短冊サンプルの下部の位置をカール読み取り目盛りで読み取る。そして、この測定を3回行い、それらを平均した値をカールとする。
そして、この測定を複合フィルムの製膜方向とその直交方向について行う。
(4)フィルムの全体の厚み
ゴミの入らないようにしてフィルムを10枚重ね、打点式電子マイクロメータにて厚みを測定し、1枚当たりのフィルム厚みを計算する。
(5)塗膜層厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向に平行に切断する)を作成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、樹脂種の違いによる層の境界線を100箇所測定し、それらの値より皮膜層の厚みを求めた。
(6)ガラス転移温度
DSC測定器(セイコーインスツルメンツ社製DSC220、SCC/5200)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、ポリエステルのガラス転移温度を求める。
(7)目玉状欠点
測定するフィルムの表面にアルミ蒸着を施し、1cm×1cmの碁盤目に線を引き、実倍率100倍の微分干渉顕微鏡にてマス目内を漏れのないよう観察し、目玉状の欠点の数をカウントする。そして、この測定を10回行い、すなわち10cmの範囲について測定し、それらを平均した値を目玉状欠点数として1cm当たりの個数として算出する。なお、この測定は両面について行う。
(8)スクラッチ傷
測定するフィルムを1m×1mに裁断し、反射率が20%よりも低い壁の前に掛け、斜め後部より照明を当て、フィルムの全幅を製膜方向に向かって注意深く観察し、スクラッチ傷の長さが1mm以上の数をカウントする。そして、この測定を5回行い、それらを平均した値をスクラッチ傷数とする。
(9)固有粘度
オルソクロロフェノールにて35℃の雰囲気下で行った。
(10)ヤング率
引張試験機に、チャック間長さ100mmとなるように幅10mmのサンプルフィルムをセットし、23℃、65%RHの条件下で引張速度200mm/分で引張試験測定をする。
[実施例1]
<共重合ポリエステル樹脂の製造>
2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチル90部、イソフタル酸ジメチル6部、5―ナトリウムスルホイソフタル酸4部、エチレングリコール70部及び下記構造式で示されるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物30部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。
Figure 2008290365
(但し、m+n=4(平均値))次いで、この反応系に、イルガノックス1010(チバガイギー社製)を0.6部添加した後、温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度0.64の共重合ポリエステル樹脂を得た。
<ポリエステル水分散体の調製>
得られた共重合ポリエステル樹脂20部をテトラヒドロフラン80部に溶解し、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水180部を滴下して青みがかった乳白色の分散体を得た。次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。かくして固形分濃度10wt%のポリエステル水分散体を得た。
かくして得られたポリエステル水分散体100部に対し平均粒径50nmの架橋アクリル粒子10部および界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル14部からなる組成の水系塗液(固形分濃度2wt%)を作成した。
<ポリエステルフィルムの製造>
ジメチル―2,6―ナフタレートとエチレングリコールとをエステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を、更に滑剤として平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.3wt%、平均粒径0.5μmの球状シリカ粒子を0.005wt%添加して常法により重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.61のポリエチレン―2,6―ナフタレート(PEN)を得た。
次に該ポリエチレン―2,6―ナフタレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、ダイを用いて表面仕上げ0.3S程度、表面温度60℃の回転冷却ドラム上に押出し、厚み750μmの未延伸フィルムを得た。
このようにして得られた未延伸フィルムを、セラミックロール上で120℃に予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上方および下方より890℃の表面温度のIRヒーターにて加熱し、3.5倍に延伸し、冷却した後、前記で調整した塗布液を一軸延伸フィルムの両面に、まずダイコーターで塗液を塗布し、その塗液が塗布されたままの濡れた状態の上に、さらにリバースコーターで塗液を塗布した。なお、塗布量は乾燥後の塗膜層の厚みが24nmとなるようにし、かつダイコーターとリバースコーターでの塗布量の重量比は、1:6となるように調整した。
その後、ステンターに供給し、140℃にて横方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを230℃の熱風で10秒間熱固定し、熱固定領域の最後のゾーンでレール幅を3%縮めて、厚み53μmの複合ポリエステルフィルムを得た。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。カールは高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして実用上問題がなく、目玉上欠点もスクラッチ傷も非常に少ないものであった。
[実施例2]
実施例1において、ポリエチレン―2,6―ナフタレートのペレットに、回収チップを50重量%混ぜ合わた以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。カールは高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして実用上問題がなく、目玉上欠点もスクラッチ傷も非常に少ないものであった。
[実施例3]
実施例2において未延伸フィルムを、セラミックロール上で120℃に予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上方より900℃の表面温度のIRヒーターにて加熱し、同時に、15mm下方より880℃の表面温度のIRヒーターにて加熱する以外は同じにして複合ポリエステルフィルムを得た。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。カールは高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして優れた出力特性が出せるほどに小さく、目玉上欠点もスクラッチ傷も非常に少ないものであった。
[実施例4]
実施例3において、熱固定領域の最後のゾーンでレール幅を10%縮めた以外は同じにして複合ポリエステルフィルムを得た。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。カールがやや大きいが、高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして好適である。
[実施例5]
実施例3において、塗膜層の厚さをそれぞれ48nmになる様に塗布した以外は同様な操作を繰り返して複合ポリエステルフィルムを得た。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。カールは高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして優れた出力特性が出せるほどに小さく、目玉上欠点もスクラッチ傷も非常に少ないものであった。
[比較例1]
実施例3において、ダイコーターを用いずリバースコーターだけで塗布した以外は同様な操作を繰り返した。
得られた複合フィルムの特性を表1に記す。目玉状欠点が多く、高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして不適である。
[比較例2]
比較例1において、水系塗液の固形分濃度を0.5wt%に変更し、かつ乾燥後の塗膜層の厚みがそれぞれ22nmになるようにリバースコーターの回転速度を早めたのと、さらに熱固定領域の最後のゾーンでのレール幅を変えない以外は同様な操作を繰り返した。
得られた複合フィルムの特性を表1に示す。目玉上欠点は少ないもののスクラッチ傷が多く、カールも大きいため、高密度記録のフレキシブルディスクのベースフィルムとして不適である。
Figure 2008290365
表1中の、D面とは製膜する際の冷却ドラムと接する側に位置したフィルムの表面、A面とは製膜する際の冷却ドラムと接しない側に位置したフィルムの表面、縦とはフィルムの製膜方向、横とはフィルムの幅方向、ダイとはダイコーター、リバースとはリバースコーターを意味する。
本発明の複合フィルムは、塗膜層の欠点が少なくフレキシブルディスクのベースフィルムとして好適に使用でき、特に1枚当りの容量が1GBを超えるような高密度大容量磁気記録のベースフィルムとして好適に使用できる。
本発明におけるカールを測定するための装置を側面から見た図である。
符号の説明
1 複合フィルムの短冊サンプル
2 架台
3 カール読み取り目盛り

Claims (6)

  1. 二軸配向ポリエステルフィルムとその両面に積層された塗膜層とを含む、以下の(a)〜(c)を具備することを特徴とする複合フィルム。
    (a)塗膜層は、平均粒径が10〜120nmの粒子(C)およびバインダー樹脂とを含み、その厚みが5〜100nmの範囲にあること;
    (b)二軸配向ポリエステルフィルムは、その厚みが30〜80μmの範囲にあること;そして
    (c)複合フィルムの両表面は、塗膜層の目玉状欠点の数が、いずれも10個/cm以下で、かつスクラッチ傷が5個/m以下であること
  2. 二軸配向ポリエステルフィルムは、冷却ドラムと接した側の表面における製膜方向の屈折率から幅方向の屈折率を差し引いた値が−0.004〜−0.011の範囲にあり、冷却ドラムと接しなかった側の表面における製膜方向の屈折率から幅方向の屈折率を差し引いた値が−0.008〜−0.015の範囲にあり、冷却ドラムと接した側の表面における平均屈折率より冷却ドラムと接しなかった側の表面における平均屈折率を差し引いた値が−0.001〜−0.03の範囲にある請求項1記載の複合フィルム。
  3. 複合フィルムの面内方向における、105℃での熱収縮率が0〜0.3%の範囲で、150℃での熱収縮率が0〜1.3%の範囲にある請求項1記載の複合フィルム。
  4. 二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度が、0.4〜0.6dl/gの範囲にある請求項1記載の複合フィルム。
  5. 二軸配向ポリエステルフィルムが二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムである請求項1記載の複合フィルム。
  6. フレキシブルディスクのベースフィルムとして用いる請求項1記載の複合フィルム。
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