JP2008277500A - Iii族窒化物化合物半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】III族窒化物化合物半導体とは屈折率が異なる基板上に、III族窒化物化合物半導体からなる、第一の層および光学的機能層がこの順序で設けられており、該光学的機能層上に、III族窒化物化合物半導体からなる、n型層、発光層およびp型層が、発光層をn型層とp型層が挟むように設けられており、該第一の層の厚さが1000nm以下であるIII族窒化物化合物半導体発光素子。
【選択図】図4
Description
(1)III族窒化物化合物半導体とは屈折率が異なる基板上に、III族窒化物化合物半導体からなる、第一の層および光学的機能層がこの順序で設けられており、該光学的機能層上に、III族窒化物化合物半導体からなる、n型層、発光層およびp型層が、発光層をn型層とp型層が挟むように設けられており、該第一の層の厚さが1000nm以下であるIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(3)光学的機能層が屈折率の異なる少なくとも2種類の層の積層体から構成される上記1または2項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(4)屈折率の異なる少なくとも2種類の層が3〜50層積層されている上記2または3項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(5)光学的機能層を構成する積層体の各層の厚さが200nm以下である上記3または4項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(8)第一の層が柱状結晶からなっている上記1〜7項のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(10)柱状結晶の幅が1nm〜70nmである上記9項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(12)第一の層の厚さが10nm〜500nmである上記1〜11項のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(13)第一の層の厚さが20nm〜100nmである上記12項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(15)第一の層がAlNからなる上記14項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(17)スパッタ法が窒素源をリアクタ内に流通させながら行なうリアクティブスパッタ法である上記16項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(19)スパッタ法がRFスパッタ法である上記16〜18項のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(22)第二の層がGaNである上記20項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(24)第二の層表面の転位密度が109以下である上記20〜23項のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
(26)上記25項に記載のランプが組み込まれている電子機器。
(27)上記26項に記載の電子機器が組み込まれている機械装置。
光学的機能層の構造としては、屈折率の異なる少なくとも2種類の材料を少なくとも2層以上積層させた構造を有する。
また、光学的機能層の結晶性を良く保つためには、格子定数が近いものを積層することが望ましく、その効果を求めて、混晶を繰り返し積層してもよい。
さらに、常に同じ組成の材料の繰り返しである必要はない。結晶成長の順番に従って組成を変化させることで、結晶性を良好に保ちつつ、設計どおりの光透過率を得ることが可能である。
各層の膜厚は同じ膜厚である必要はない。膜厚の異なる層をいくつか組み合わせることで、透過する波長を単一の狭い波長範囲ではなく、ある程度の波長範囲とすることが可能である。
屈折率の異なる材料を3種類以上用いる場合は、屈折率の増減が交互に繰り返されるように積層することが好ましい。
従って、本発明のIII族窒化物化合物半導体発光素子は、基板上にバッファ層として、初期の平坦化が小さな膜厚で達成される以下に述べるような第一の層を備えている。
また、薄い膜厚で平坦化を実現するためには柱状結晶からなる層とすることが好ましいが、単結晶層であってもよい。III族窒化物化合物半導体の結晶は、六方晶系の結晶構造を持ち、六角柱を基本とした集合組織を形成しやすい。特に、プラズマ化した金属材料を用いた成膜方法によって形成した膜は柱状結晶となりやすい。
このような柱状結晶からなるバッファ層を基板上に形成して成膜した場合に、その上に成膜したIII族窒化物化合物半導体は良好な結晶性を持つ結晶膜となる。
このため、第一の層は、基板表面の少なくとも60%を覆っている必要がある。更に望ましくは80%以上であり、90%以上を覆っていることが最も望ましい。
各柱状結晶の幅は、上記断面TEM写真により容易に測定することが可能である。即ち、図4において、各柱状結晶の境界の間隔が各柱状結晶の幅である。図3を見ても判るように、各柱状結晶の幅は精密に規定できるものではなく、ある程度の分布を持つ。従って、各柱状結晶の幅が上記範囲から外れる結晶が数%程度あったとしても、本発明の効果に影響を及ぼすものだはない。90%以上が上記範囲に入っていることが好ましい。
一方、反応器の中に導入後に、スパッタなどの方法を用いて前処理を行うことができる。具体的には、ArやN2のプラズマ中にさらす事によって表面を整えることができる。例えば、ArガスやN2ガスなどのプラズマを基板表面に作用させることで、表面に付着した有機物や酸化物を除去することが可能である。この場合は基板とチャンバー間に電圧をかけることにより、プラズマ粒子が効率的に基板に作用する。
本発明者等の実験の結果では、第二の層の材料としてはGaを含むIII族窒化物化合物半導体が望ましかった。柱状結晶の集合体である第一の層の結晶性をそのまま引き継がないように、マイグレーションによって転位をループ化させる必要があるが、転位のループ化を生じやすい材料とは、Gaを含む窒化物である。特に、AlGaNが望ましく、GaNも好適であった。このようなループ化により、第二の層の表面の転位密度は109cm-2以下という優れた値が達成され、その上に形成される光学的機能層の結晶性は非常に良好なものとなる。
ただし、第二の成膜をMOCVD、MBEおよびVPEなどの気相化学成膜方法で実施する場合には、一般に、成膜を伴わない昇温過程と温度の安定化過程を経る。これらの過程において、V族の原料ガスを流通することが多いので、結果としてアニールの効果を生じている可能性はある。しかし、これは特段にアニールの効果を利用するものではなく、一般的な公知の技術である。
また、スパッタ法を用いて第二の層を成膜することもできる。スパッタ法の場合は、MOCVD法やMBE法に比較して装置を簡便に作ることができる。
成膜は結晶の分解する温度よりも低温である必要があることは言うまでもなく、1200℃以上の温度は、第二の層の成長温度としては適合しない。
p型層は、通常、正極を設けるp型コンタクト層およびバンドギャップエネルギーが大きく発光層に接しているp型クラッド層から構成されるが、p型コンタクト層がp型クラッド層を兼ねることもできる。
発光層は、一般に、井戸層とバンドギャップエネルギーの大きい障壁層とが交互に多数積層された多重量子井戸構造の発光層が用いられる場合が多い。
本参考例では、c面サファイア基板上に、第一の層としてRFスパッタ法を用いてAlNからなる層を形成し、その上に第二の層としてMOCVD法を用いてGaNの層を形成した後、さらにその上にMOCVD法により光学的機能層を形成して、III族窒化物化合物半導体発光素子用のIII族窒化物化合物半導体積層構造体を作製した。
ターゲット内のマグネットは、基板洗浄の際も成膜の際も、揺動させておいた。
40nmのAlNを成膜後、プラズマを立てるのを止め、基板温度を低下させた。
導入後、第二の層および光学的機能層の形成は、MOCVD法を用いて以下の手順で行った。まず、サファイア基板を反応炉の中に導入した。サファイア基板は、窒素ガス置換されたグローブボックスの中で、加熱用のカーボン製のサセプタ上に載置した。
本実施例では、参考例で作製したIII族窒化物化合物半導体積層構造体を用いたIII族窒化物化合物半導体発光素子について説明する。本実施例では、参考例と同じ条件で光学的機能層まで形成した後、その上にアンドープGaNからなる下地層、Siをドーパントとしたn型コンタクト層などを成膜するなどして、III族窒化物化合物半導体発光素子を作製した。図4はその模式的断面図であり、図5はその模式的平面図である。つまり、c面を有するサファイア基板1上に、参考例に記載したのと同じ成長方法によって厚さ40nmのAlNからなる第一の層2を形成したのち、基板側から順に、厚さ300nmのアンドープGaNからなる第二の層3、AlNとGaNを交互に積層した7層構造の光学的機能層4、厚さ6μmのアンドープGaNからなる下地層5a、4×1018cm-3の電子濃度を持つ厚さ2μmのSiドープGaNからなるn型コンタクト層5bおよび1×1018cm-3の電子濃度を持つ厚さ20nmのIn0.1Ga0.9Nからなるn型クラッド層5cからなるn型層5、GaN障壁層に始まりGaN障壁層に終わる、層厚を16nmとする6層のGaN障壁層と層厚を3nmとする5層のアンドープのIn0.2Ga0.8Nからなる井戸層とが交互に積層された多重量子井戸構造の発光層6および厚さ5nmのMgをドープしたAl0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層7cと膜厚0.2μmのMgドープAl0.02Ga0.98Nからなるp型コンタクト層7bとからなるp型層7、を積層した構造を有する。8は負極であり、9は正極である。正極9は透光性正極9aと正極ボンディングパッド9bから構成される。
サファイア基板上に光学的機能層4を形成するまでは、参考例と同一の手順を用いた。その後の各半導体層の積層も、参考例で用いたのと同じMOCVD装置を用いて、参考例における第二の層および光学的機能層の成膜と同様にして行った。
光学的機能層を設けなかったことを除いて、実施例と同様にIII族窒化物化合物半導体発光素子を作製し、得られた発光素子を実施例と同様に評価した。電流20mAにおける順方向電圧は3.0Vであり、発光波長は470nmであり、発光出力は13.5mWであった。
2 第一の層
3 第二の層
4 光学的機能層
5 n型層
6 発光層
7 p型層
8 負極
9 正極
Claims (27)
- III族窒化物化合物半導体とは屈折率が異なる基板上に、III族窒化物化合物半導体からなる、第一の層および光学的機能層がこの順序で設けられており、該光学的機能層上に、III族窒化物化合物半導体からなる、n型層、発光層およびp型層が、発光層をn型層とp型層が挟むように設けられており、該第一の層の厚さが1000nm以下であるIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 光学的機能層が基板の光透過率を高めている請求項1に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 光学的機能層が屈折率の異なる少なくとも2種類の層の積層体から構成される請求項1または2に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 屈折率の異なる少なくとも2種類の層が3〜50層積層されている請求項3に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 光学的機能層を構成する積層体の各層の厚さが200nm以下である請求項3または4に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 屈折率の異なる少なくとも2種類の層の一方がGaNであり、他方がAlN、InNおよびAlInNからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項3〜5のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層が基板表面の少なくとも90%を覆っている請求項1〜6のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層が柱状結晶からなっている請求項1〜7のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 柱状結晶の幅が0.1nm〜100nmである請求項8に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 柱状結晶の幅が1nm〜70nmである請求項9に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層が単結晶からなっている請求項1〜7のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層の厚さが10nm〜500nmである請求項1〜11のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層の厚さが20nm〜100nmである請求項12に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層がAlを含むIII族窒化物化合物半導体である請求項1〜13のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層がAlNからなる請求項14に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層の成膜法がスパッタ法である請求項1〜15のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- スパッタ法が窒素源をリアクタ内に流通させながら行なうリアクティブスパッタ法である請求項16に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 窒素源として窒素ガスを利用したスパッタ法である請求項16または17に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- スパッタ法がRFスパッタ法である請求項16〜18のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第一の層と光学的機能層との間にIII族窒化物化合物半導体からなる第二の層がさらに設けられている請求項1〜19のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第二の層がAlGaNである請求項20に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第二の層がGaNである請求項20に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第二の層の成膜法がMOCVD法である請求項20〜22のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 第二の層表面の転位密度が109cm-2以下である請求項20〜23のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子。
- 請求項1〜24のいずれか一項に記載のIII族窒化物化合物半導体発光素子からなるランプ。
- 請求項25に記載のランプが組み込まれている電子機器。
- 請求項26に記載の電子機器が組み込まれている機械装置。
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