JP2008263819A - 釣り竿用の竿体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 元上10の後端側端部の外周面と元竿11の先端側端部の内周面とに亘って形成した合わせ部Bによって、元上10と元竿11とを伸長状態に保持すべく構成する。元上10の後端側端面の外周面に、相手側周面に圧接する複数個の突起9を形成し、複数個の突起9の元上10の後端側端面の外周面からの突出高さを異なる高さに設定してある。
【選択図】 図1
Description
請求項1に係る発明の特徴構成は、小径竿体の外周面と大径竿体の内周面とに亘って形成した合わせ部によって、小径竿体と大径竿体とを伸長状態に保持する振出竿であって、
前記外周面又は前記内周面の少なくとも一方の周面に、相手側周面に圧接する複数個の突起を形成して前記合わせ部を構成するとともに、前記複数個の突起の前記一方の周面からの突出高さを異なる高さに設定してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、複数個の突起のうち突出高さの高いものが、初期段階では、相手側周面に圧接する。突出高さの低いものは圧接しない。長期使用によって突出高さの高い突起が摩滅してくると、嵌合力が弱くなるので、嵌合力を一定に維持しようとして、小径竿体を大径竿体に対してより引き出した状態に切り換える。
このように、嵌合力が弱くなる場合に、小径竿体を大径竿体に対してより引き出した状態に切り換える理由は、大径竿体の内周面が製作時のマンドレルの外周面に対応した緩傾斜面に形成されているので、大径竿体の内周面の竿先側程小径となっており、突起が摩滅した分だけ、大径竿体の内周面の竿先側で嵌合させようとするからである。
これによって、小径竿体の竿尻側端部の外周面が大径竿体の竿先側端部の内周面に対して竿先側にやや移動した位置で嵌合する。そうすると、次ぎに高い突起が相手側周面に圧接を開始しその接触圧力が高くなり、摩滅によって圧接力を低下させた分を、新たに接触した突起が補うこととなる。
このように、順番に突出高さの高い突起が新たに相手側周面に対して圧接を開始するので、摩滅によって圧接力を低下させた分を補い、圧接力を一定に維持できる。
突起の磨耗があっても、圧接力が急激に低下することはなく、一定した圧接を維持しながら安定した合わせ部を構成できる。しかも、突起として、突出高さを異なるものに構成してあるので、全ての突起が接触する場合に比べて、圧接力を弱くできる。これによって、小径竿体を大径竿体より引き出して伸長状態に切り換える場合に、小径竿体の竿尻側端部の外周面が大径竿体の竿先側端部の内周面に急激に圧接することはなく、一定の適度な圧接力が持続する状態で嵌合する。
したがって、操作する釣り人には衝撃の少ない伸長操作が可能になり、操作感が良好である。しかも、前記したように、圧接力が長記に亘って安定して維持されるので、操作が容易である。
請求項1に係る発明に対する作用効果を奏するとともに、次ぎのような作用効果を奏する。
つまり、突起を支持する部分が、強化繊維を竿軸線に対して対称となる状態に配置した上下側プリプレグを重ねて構成したものであるので、竿軸線に沿った荷重、竿軸線に直交する荷重、及び、竿軸線に対して傾斜する荷重にもそれらの強化繊維が対抗力を発揮する。これによって、互いに嵌合した外周面と内周面との間に働く引張力、圧縮力、だけでなく、剪断力に対する対抗力を高めることができ、突起の圧接状態を強固に維持する。
つまり、相手側周面に圧接するものとして突起領域の突起とともに補助シート領域の柔軟性繊維を導入したので、突起のみで合わせ部を構成する場合に比べて、全体として柔らかな圧接力を得ることができる。
しかも、補助シート領域を竿先側に配置してあるので、まず、突起に比べて軟らかい柔軟性繊維が圧接し、次いで、突起が圧接することになるので、徐々に、圧接力が高まり、小径竿体を引き出して伸長状態に固定するまでの操作感が良好なものとなる。
上記のように、順番に配置することによって、部分的に相手側周面に対して圧接し圧接力を調整し易い突起領域と補助シート領域とを、先行して圧接するように構成し、急激に圧接する状態を回避して、穏かな嵌合を開始することができる。そして、全面的に圧接するバイアス領域を竿尻側に配置して、そのバイアス領域が伸長操作時の最終段階で圧接する構成によって、突起領域や補助シート領域に比べて大きな圧接力を作用させることができ、嵌合状態を確定できる。
このような構成によって、嵌合操作を操作感よく行えながら、しっかりした伸長状態を得ることができる。
ここでは、図1に示すように、合わせ部Bとして、嵌合用の突起9を形成したものを示す。まず、小径竿体としての元上10と大径竿体としての元竿11等の竿体Aの製造から説明する。図2に示すように、マンドレル4に対してプリプレグシートを巻回して竿体Aを構成する。周方向に炭素繊維等の強化繊維を引き揃え、その引き揃えた強化繊維に対してマトリックス樹脂としてエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグシートを構成し、プリプレグシートを所定形状に裁断して第1メインパターン15Aとしてマンドレル4に巻回し、第1層Aaを構成する。
尚、元上10の表面塗装も同じ樹脂塗料を使用する場合には、元上10の全長に亘って、一連の動作で吹き付け塗装を行うことができる。
ここでは、突起9を形成する対象となる元上10の竿尻側端部に、バイアス式のプリプレグを配置してある形態について説明するが、第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図3及び図4に示すように、マンドレル4に対して口巻補強パターン5を施してある。口巻補強パターン5は、竿軸線Xに対して第4傾斜角θ4だけ傾斜させて引き揃えた炭素繊維等の強化繊維cに対して、マトリックス樹脂としてのエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成した上側プリプレグと、強化繊維cの引き揃え向きを、上側プリプレグの強化繊維cと竿軸線Xを挟んで対称に配置して形成した下側プリプレグとを重ね合わせたバイアス式の重合体である。
図3(ハ)に示すように、第1プリプレグテープ1の上から二枚のメインパターンを施す。第1メインパターン2Aは強化繊維cを竿軸線Xに沿って引き揃えたプリプレグで、第2メインパターン2Bも同一のプリプレグである。
これら二枚のプリプレグを重ねた状態でマンドレル4に巻回するか、または、順番に巻回することによって、第2層Abを構成する。
第2プリプレグテープ3を巻回した後に、外側竿尻補強パターン6を巻回する。つまり、竿尻補強パターン6は、竿軸線Xに対して第3傾斜角θ3だけ傾斜させて引き揃えた炭素繊維等の強化繊維cに対してエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成した上側プリプレグ6Aと、強化繊維cの引き揃え向きを、上側プリプレグ6Aの強化繊維cと竿軸線Xを挟んで対称に配置して形成した下側プリプレグ6Aとを重ね合わせたバイアス式重合体である。
元上10の竿尻側端部の外周面に、突起9を形成する以外に異なる種類のプリプレグを施す形態について説明する。第2実施形態と異なる部分について主として説明する。
図5(イ)(ロ)に示すように、口巻き補強パターン5と内側竿尻補強パターン7とをマンドレル4に巻回するとともに、マンドレル4に巻回した口巻き補強パターン5及び内側竿尻補強パターン7の上から第1層Aaとしての第1プリプレグテープ1を巻回する。
これら二枚のプリプレグを重ねた状態でマンドレル4に巻回するか、または、順番に巻回することによって、第2層Abを構成する。第2メインパターン2Bの上から中間竿尻補強パターン8を巻回する。
第2実施形態においては、外側竿尻補強パターン6としては、強化繊維cを竿軸線Xに対して傾斜させて形成したプリプレグをその強化繊維cが互いに交差する状態となるように重ね合わせた重合体6Aを使用していた。
ここでは、重合体6Aとともに、次ぎのような補助シート6Bを重ね合わせて使用するようにする。
図6(ハ)に示すように、補助シート6Bの軸線方向に沿った長さは重合体6Aよりは短く、重合体6Aの竿先側に位置するように補助シート6Bを巻回する。
したがって、このプリプレグ6bが合わせ部Bの表面に位置して、相手側の合わせ部Bを構成するプリプレグと圧接する状態となっても、亀の子状の凹部の存在によって、水分が介在しても水分は亀の子状の凹部に溜まるだけで圧接状態を強化する方向には作用せず、合わせ部Bの固着状態が緩和される。
この補助シート6Bは、繊維体にマトリックス樹脂を含浸させてプリプレグとして完成させた後に、重合体6Aの上から巻回し、その状態で焼成して一体化する。
以上のような補助シート6Bを設けた後に、補助シート6Bより更に竿尻側に、前記した突起9を形成する。突起9の形成方法については、既に、詳述したので、ここでは省略する。
しかも、重合体6Aを合わせ部Bの竿先側の肩部分に設けてあるので、この部分の強度を向上させることができ、元上10の合わせ部Bにおける竿先側端近傍に発生する「際折れ」と言われている竿の折損を回避できる。
ここでは、第3実施形態で記載した第3補強パターン6とは異なる構成となるものについて説明する。ただし、第4実施形態では、第3補強パターン6を施すまでの構成は、第1実施形態で示したものから第3実施形態で示したものまでのものだけに止まらず、他の構成のものについても適用できる。
第3実施形態においては、外側竿尻補強パターン6としては、強化繊維cを竿軸線Xに対して傾斜させて形成したプリプレグをその強化繊維cが互いに交差する状態となるように重ね合わせた重合体6Aを使用していた。
ここでは、重合体6Aとともに、次ぎのような補助シート6Bを重ね合わせて使用するようにする。
図7(ロ)に示すように、補助シート6Bの軸線方向に沿った長さは重合体6Aよりは短く、重合体6Aの中間位置に位置するように補助シート6Bを巻回する。
(1) 合わせ部Bを構成する対象は、元上10、元竿11以外の中竿等に適用してもよい。
(2) 突起9を形成する位置は、大径竿体の内周面に設けてもよい。
(3) 突起9を形成するには、吹き付け方法以外に型を使用した成形方法を使用してもよい。
(4) 本発明の構成は、振出竿式の渓流竿、鮎竿等に適用可能である。
9 突起
10 元上(小径竿体)
9 元竿(大径竿体)
B 合わせ部
θ3 傾斜角
c 強化繊維(柔軟性繊維)
X 竿軸線
L 突起領域
M 補助シート領域
N バイアス領域
Claims (4)
- 小径竿体の外周面と大径竿体の内周面とに亘って形成した合わせ部によって、小径竿体と大径竿体とを伸長状態に保持する振出竿であって、
前記外周面又は前記内周面の少なくとも一方の周面に、相手側周面に圧接する複数個の突起を形成して前記合わせ部を構成するとともに、前記複数個の突起の前記一方の周面からの突出高さを異なる高さに設定してある振出竿。 - 前記小径竿体の最外層の外側に竿尻補強パターンを配置し、前記竿尻補強パターンを、強化繊維群を竿軸線に対して傾斜する傾斜角に沿って引き揃え配置した下側プリプレグと、前記強化繊維群を前記下側プリプレグの強化繊維群と前記竿軸線に対して対称となる状態に引き揃え配置した上側プリプレグとを重ね合わせて構成し、前記上側プリプレグの更に外側に前記複数個の突起を設けてある請求項1記載の振出竿。
- 柔軟性繊維をクロスに組み合わせて構成したシート状のものに、マトリックス樹脂を含浸させて形成し前記柔軟性繊維を表出させた補助シート領域と、相手側周面に圧接する複数個の突起を突出高さが異なる状態に形成した突起領域とで合わせ部を構成し、前記突起領域を前記補助シート領域より竿尻側に配置してある請求項1又は2記載の振出竿。
- 前記小径竿体の最外層の外側に竿尻補強パターンを配置し、前記竿尻補強パターンを、前記上側プリプレグと下側プリプレグとを重ねたバイアス領域と、前記複数個の高さの異なる突起を形成した突起領域と、前記柔軟性繊維を組み合わせた前記補助シート領域とで構成し、前記小径竿体の最外層に前記突起領域を配置するとともに、前記突起領域の竿元側に前記補助シート領域と前記バイアス領域とをその順番に配置してある請求項1又は2記載の振出竿。
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