JP7111648B2 - 釣竿 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化樹脂で一体形成されたリアグリップを有する釣竿に関する。
従来、繊維強化樹脂製のリアグリップを備えた釣竿が知られている。リアグリップは、軽量化、操作性、握持性を考慮して、釣竿後端に向けて、小径部から拡径部(テーパ部)を介して大径部に移行するように構成されている。このような繊維強化樹脂製のリアグリップは、外観が同形状のマンドレル(芯金)に対して、複数枚の繊維強化樹脂製のシート部材(以下、プリプレグとも称する)を巻回し、これを熱硬化、脱芯することで形成することが可能である。
上記した繊維強化樹脂製のリアグリップでは、握持性を向上するために、表面形状を工夫することが行われている。例えば、特許文献1には、小径部から大径部に移行する拡径部に凹状湾曲面と凸状湾曲面を形成することが開示されている。すなわち、拡径部を単にストレート状に形成するのではなく、前側を凹状湾曲面、後側を凸状湾曲面に形成することで、凹状湾曲面で指の引っ掛かりを良くすると共に、凸状湾曲面で前腕を当接させた際の感触を良くすることが開示されている。
特開2018-7576号
上記したように、拡径部分に、単に凹状湾曲面と凸状湾曲面を形成しただけでは、滑り止め効果が十分ではなく、前腕を当て付けた際の安定性も十分ではない。上記した凹状湾曲面と凸状湾曲面は、マンドレルの表面形状によって形成するため、脱芯工程を考慮すると、表面形状を大きく変化させるような形状を得ることは難しい。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、小径部、拡径部、大径部を繊維強化樹脂で形成したリアグリップを有する釣竿において、指の引っ掛かりが良く、前腕がフィットする形状のリアグリップを備えた釣竿を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る釣竿は、小径部、拡径部、大径部を具備し、前記小径部、拡径部、大径部をプリプレグによって形成した中空のリアグリップを装着しており、前記拡径部に、前記大径部よりも外径が小さく、前後方向に延出する膨出部を一体形成したことを特徴とする。
上記した小径部、拡径部、大径部を有する中空のリアグリップは、繊維強化樹脂製のプリプレグによって形成され、リアグリップの拡径部には、大径部よりも外径が小さい前後方向に延出する膨出部が一体形成されている。前記釣竿をリールと共に握持保持した状態で腕を伸ばすと、肘から前付近の前腕領域は、拡径部に前後方向に延出するように形成された膨出部に当て付けることができる。膨出部は、大径部よりも外径が小さく形成されているため、他物に当たり難く、また、伸ばした状態の前腕に沿うように前後方向に延出しているため、前腕にフィットし易くなり、操作性の向上が図れるようになる。
本発明によれば、小径部、拡径部、大径部を繊維強化樹脂で形成したリアグリップを有する釣竿において、指の引っ掛かりが良く、前腕がフィットするリアグリップを備えた釣竿が得られる。
本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図。 図1に示す釣竿のリアグリップ部分を構成するプリプレグの配列パターンの一例を示す図。 図2のA-A線に沿った断面図(小径部の断面図)。 図2のB-B線に沿った断面図(拡径部の先端側の断面図)。 図2のC-C線に沿った断面図(拡径部の基端側の断面図)。 図2のD-D線に沿った断面図(大径部の断面図)。 リアグリップを拡大して示す側面図。 (a)は、リアグリップを拡大して示す平面図、(b)は、図(a)のE-E線に沿った断面図。 (a)は、リアグリップを拡大して示す裏面図、(b)は、図(a)のF-F線に沿った断面図。 リアグリップの変形例を示す図。
図1は、本発明に係る釣竿の全体構成を示す図である。
本実施形態の釣竿1は、ルアー釣りに適した構成とされており、元竿管1Aと、複数の中竿管(2本の中竿管)1B,1Cと、穂先竿管1Dとが継ぎ構造によって継ぎ合わされた構成となっている。この場合、継ぎ構造については、振出式、並継式、インロー継ぎ式等、限定されることはない。また、継本数についても限定されることはなく、1本竿であっても良い。
前記元竿管1A及び中竿管1B,1Cは、公知のように繊維強化樹脂製の管状体として構成されており、例えば、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂のプリプレグシートを芯金(マンドレル)に巻回し加熱工程を経た後、脱芯するなど、定法に従って形成されている。なお、穂先竿管1Dについては、管状体として構成されていても良いが、中実ソリッド、或いは、ソリッド体と管状体の組み合わせで構成されていても良い。
前記元竿管1Aには、リールシート3が設けられるとともに、各竿管には、リールシート3に装着したリールRから放出される釣糸を案内する釣糸ガイド5A及びトップガイド5Bが所定間隔をおいて設けられている(ガイドの一部は遊動式であっても良い)。
また、リールシート3の前方側には、前握持部7Aが設けられ、後方側には後握持部7Bが設けられている。各握持部7A,7Bは、EVA、コルク、発泡性樹脂等によって形成されており、元竿管1A、或いは、筒状に形成されたリールシート3の外面に取着されている。また、後握持部7Bよりも後方側は、リアグリップ10が設けられており、このリアグリップ10は、略ストレート状に延出する小径部10A,小径部10Aから後方に向けて拡径する拡径部(テーパ部)10B及び拡径部から後方に略ストレート状に延出する大径部10Cを備えた構造となっている。この場合、大径部10Cの後端開口は、尻栓に50よって閉塞されている。
上記した形状のリアグリップ10は、釣竿を構成する竿管と同様、中空形状で、繊維強化樹脂によって一体形成されており、外観が同形状のマンドレルに対して、複数枚の繊維強化樹脂製のシート部材(プリプレグ)を巻回し、これを熱硬化、脱芯することで形成されている。リアグリップ10は、軸方向に所定の長さを有しており、前記元竿管1Aと、例えば、リールシート3の内部で連結されて一体化される。この場合、元竿管1Aとの連結構造、連結位置については限定されることはなく、例えば、繊維強化樹脂製の元竿管1Aの後端側が、そのままリアグリップ10を構成するものであっても良い。また、前記後握持部7Bについては、リアグリップ10の小径部10Aに取着されていても良い。
上記したリアグリップ10は、繊維強化樹脂製のプリプレグによって一体形成されている。以下、本実施形態のリアグリップ10の構成について、図2から図9を参照して説明する。
図2に示すように、リアグリップ10は、小径部100A、拡径部100B、大径部100Cを有するマンドレル100に、複数枚のプリプレグを巻回し、これを熱硬化して脱芯することで形成される。すなわち、マンドレルに巻回されて形成されるリアグリップ10は、長さ方向の全長を形成する本体プリプレグ(本体シートと称する)と、それ以外の補助プリプレグ(長さ方向が短く、マンドレルに対して補助的に巻回される補助シートと称する)で構成される。
前記本体プリプレグ及び補助プリプレグは、公知のように、強化繊維(例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維)にエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等のマトリックス樹脂を含浸して形成されたシート状の部材である。
前記本体シートは、複数枚のシート(分割シートと称する)で構成されており、これをマンドレル100に対して、周方向にずれた位置を巻き始め位置にして巻回する。具体的に、本実施形態では、本体シートを、大きさが等しい4枚の分割シート12,13,14,15で構成しており、各分割シートは、先側と元側で同じ幅にした長方形状(厳密な長方形以外にも、多少の台形状を含む概念である)に裁断して構成されている。この複数の分割シート(本体シート)12~15によって、リアグリップの全長を形成する基本となる層(本体層と称する)が形成される。
前記補助シートは、その機能によって、マンドレル100に対する配設位置、軸長方向長さ、巻回量、巻き始め位置等が異なる。本実施形態では、内層側から順に補助シート21,22,23,24,25,26が巻回され、リアグリップの範囲内で、前記本体層と共に積層構造を構成する補助層を形成する。本発明は、拡径部10Bに膨出部(凸部)を一体形成することに特徴があり、この膨出部は、マンドレルの形状によって形成するのではなく、マンドレルに巻回されるプリプレグによって形成するようにしている。具体的に、本実施形態では、上記した補助シートの内、補助シート25に膨出部を一体形成するようにしている(補助シート25の構成については後述する)。なお、図3から図6の断面図では、各補助シートが分かりやすいように、白抜きで示すこととする。
前記各分割シート12~15は、それぞれ、マンドレル100の小径部100Aに対して、0.5プライ(180°巻回)され、大径部100Cに対して、0.25プライ(90°巻回)されるような幅を有している。このため、拡径部100Bに対しては、後方に向けて次第に巻回数が減少する(0.5プライから0.25プライに減少する)。なお、実際には、各分割シート12~15は、マンドレル100の小径部100A領域において、端部に重ね代(隣接する分割シートと端部同士が重なる重合部)を確保するため、若干、幅広に形成されている。
また、各分割シート12~15は、マンドレル100に対する巻き始め位置が異なるように巻回される。具体的には、図3から図6の断面図に示すように、マンドレル100を穂先側から見て巻回方向(反時計回り方向)を考慮した際、12時の位置を0°、9時の位置を90°、6時の位置を180°、3時の位置を270°、1周した12時の位置を360°として定義すると、各分割シート12~15の各端縁12a,13a,14a,15aの巻き始め位置は、以下のように設定されている。
図3に示すように、分割シート12は、その端縁12aが0°に位置合わせされて巻き始め位置とされ、分割シート13は、その端縁13aが180°位置で巻き始め位置とされる。この場合、分割シート12の対向する端縁12bは、多少の重ね代が確保されているため、巻き終わり位置が180°+αとなっており、この重ね代に重合して、分割シート13の端縁13aが重ねられる。同様に、分割シート13の対向する端縁13bは、多少の重ね代が確保されているため、巻き終わり位置が360°+αとなっており、前記分割シート12の端縁12aに重合して、端縁13bが重ねられる。
また、分割シート14は、その端縁14aが90°に位置合わせされて巻き始め位置とされ、分割シート15は、その端縁15aが270°位置で巻き始め位置とされる。この場合、分割シート14の対向する端縁14bは、多少の重ね代が確保されているため、巻き終わり位置が270°+αとなっており、この重ね代に重合して、分割シート15の端縁15aが重ねられる。同様に、分割シート15の対向する端縁15bは、多少の重ね代が確保されているため、巻き終わり位置が90°+αとなっており、前記分割シート14の端縁14aに重合して、端縁15bが重ねられる。
マンドレル100の小径部100Aの領域では、各分割シートの端部は、重ね代で重なった状態で巻回された状態となっており、拡径部100Bの領域では、後方に移行するに従い、各分割シートの端縁は離間する(図4及び図5参照)。そして、大径部100Cの領域では、分割シート12と分割シート13の組(分割シート組12,13)は、それぞれ略45°巻回されて(0.25プライ)、対向する位置に離間して配設され、同様に、分割シート14と分割シート15の組(分割シート組14,15)は、それぞれ略45°巻回されて(0.25プライ)、対向する位置に離間して配設される(図6参照)。
前記本体層を構成する分割シート12~15と共に巻回される補助シートは、内層側から順に補助シート21,22,23,24,25,26を有する。この場合、補助シート22,23は、前記本体層を構成する分割シート12~15に関連して、リアグリップを真円に近い形状にして強度が低下することのない積層構造にする機能を発揮する。また、補助シート25は、上記したように、拡径部10Bに膨出部を形成する機能を有する。
以下、これらの補助シートについて説明する。
補助シート21は、大径部10Cでの肉厚を確保するために巻回されるシートである。前記分割シート12の内層側に巻回され、マンドレルの大径部100Cの領域に巻回される長さを有する。巻回数は、大径部において、周方向で偏肉が生じないように、整数とすることが好ましく、本実施形態では、図6で示すように、1巻回される。補助シート21の端縁21aの巻き始め位置は、0°位置であり、360°巻回して、対向する端縁21bは、多少の重ね代が確保されて、巻き始め位置(端縁21a)で重合される。
補助シート22,23は、前記分割シート組(12,13)と、分割シート組(14,15)との間に巻回されるシートであり、補助シート22は、マンドレルの拡径部100Bの先端位置から大径部100Cの後端位置に亘って巻回される。また、補助シート(先側補助シート)23は、マンドレルの小径部100Aの先端位置から拡径部100Bの後端位置に亘って巻回される。
これらの補助シート22,23は、それぞれ大径部100Cの領域、及び、小径部100Aの領域で1周以上巻回されていれば良く、整数倍で巻回されることが好ましい。本実施形態では、1巻回(360°+α;重ね代)に亘って巻回されている。
前記補助シート22の巻き始め端縁22aは、マンドレル100に対して90°の位置となっており、大径部100Cの領域では、1巻回される。すなわち、大径部100Cの領域では、360°巻回されて、対向する端縁22bは、多少の重ね代が確保されて、巻き始め位置(端縁22a)で重合される(図6参照)。また、拡径部100Bの領域では、その巻き始め位置となる端縁22aと、巻き終わり端縁22b´が周方向で離間するように裁断されており、拡径部100Bでは、巻き始め位置と巻き終わり位置が重合しないようにしている(図4,図5参照)。このため、図2に示すように、拡径部100Bの領域では、補助シート22は、軸長方向に対して傾斜するように裁断されている(傾斜部が、拡径部100Bの領域で巻き終わり端縁22b´となる)。
前記補助シート23の巻き始め端縁23aは、マンドレル100に対して180°の位置となっており、小径部100Aの領域では、1巻回される(図3参照)。すなわち、小径部100Aの領域では、360°巻回して、対向する端縁23bは、多少の重ね代が確保されて、巻き始め位置(端縁23a)で重合される。また、拡径部100Bの領域では、その巻き始め端縁23aと、巻き終わり端縁23b´が周方向で離間するように裁断されており、拡径部100Bでは、巻き始め位置と巻き終わり位置が重合しないようにしている(図4参照)。このため、拡径部100Bの領域では、補助シート23は、軸長方向に対して傾斜するように裁断されている(傾斜部が、拡径部の領域で巻き終わり端縁23b´となる)。
したがって、本実施形態では、補助シート22は、大径部100Cの領域において、分割シートが対向配置された分割シート組(12,13)及び(14,15)の間で周方向に亘って介在した状態で巻回されている(図6参照)。また、補助シート23は、小径部100Aにおいて、1周以上巻回される内側の分割シート(12,13)と、その外側で1周以上巻回される外側の分割シート(14,15)との間に介在した状態で巻回されている(図1参照)。
さらに、補助シート22,23は、拡径部100Bの領域では、分割シート組(12,13)及び(14,15)の間で、積層方向に重なった状態で巻回されている(図4、図5参照)。この場合、補助シート22は、拡径部100Bの先端位置から拡径部100Bの後端位置まで次第に巻回量が増加し、かつ、補助シート23は、拡径部100Bの先端位置から拡径部100Bの後端位置まで次第に巻回量が減少するため、拡径部100Bの領域では、補助シート22,23による軸長方向の肉厚変化はなく、安定した巻回状態が得られるように構成している。
補助シート24は、前記分割シート組(14,15)の外層側に巻回されるシートである。補助シート24は、マンドレルの拡径部100Bの先端位置から大径部100Cの後端位置に亘って巻回され、前記補助シート22と略同じ形状に裁断されており、本体層である分割シート組(14,15)を覆って押さえ付けて安定化させる機能を有する(図6参照)。補助シート24の巻き始め端縁24aは、マンドレル100に対して270°の位置となっており、大径部100Cの領域で1周以上巻回されていれば良く、整数倍で巻回されることが好ましい。本実施形態では、1巻回(360°+α)に亘って巻回されており、巻き終わり端縁24bが巻き始め端縁24aで重合されている。
補助シート25は、前記補助シート24の外層側に巻回されるシートである。補助シート25は、マンドレルの拡径部100Bの先端位置から大径部100Cの後端位置に亘って巻回され、前記補助シート22,24と略同じ形状に裁断されており、形成されたリアグリップの表面から膨出する膨出部(凹凸を形成するための凹凸形成シート)としての機能を備えている。
補助シート25の巻き始め端縁25aは、マンドレル100に対して0°の位置となっており、大径部100Cの領域で1周以上巻回されていれば良く、整数倍で巻回されることが好ましい。本実施形態では、1巻回(360°+α)に亘って巻回されており、巻き終わり端縁25bが巻き始め端縁25aで重合されている。
上記した構成の補助シート25には、形成されるリアグリップの拡径部10Bの領域の表面に凹凸が生じるように(膨出部が形成されるように)、予め所定の位置に矩形のプリプレグ片(凸部形成用のプリプレグ片)が取着されている。具体的には、端縁25aの近傍に、軸方向に沿う2枚のプリプレグ片31,32が周方向に間隔を隔てて取着されており、更に、巻回したときに、2枚のプリプレグ片31,32と対向する位置(略180°の位置)に、周方向に沿う2枚のプリプレグ片34,35が軸方向に間隔を隔てて取着されている。
このようなプリプレグ片31,32及び34,35を取着した状態で、マンドレルに巻回し、熱硬化すると、図5、及び図7~図9に示すように、拡径部10Bの表面に、プリプレグ片31,32によって、軸方向に延出する一対の凸部31A,32Aが形成されると共に、それと対向する位置の表面に、プリプレグ片34,35によって、周方向に延出する一対の凸部34A,35Aが形成される。この場合、プリプレグ片31,32及び34,35は、補助シート25の内面に取着しても良いし、外面に取着しても良い。
上記した構成において、各凸部31A,32A及び34A,35Aの高さは、図7に示すように、大径部10Cの径Dから、径方向外方に突出しない程度に形成することが好ましい。すなわち、補助シート25に取着されるプリプレグ片31,32及び34,35は、大径部10Cの径D以上にならないような肉厚で構成されており、これにより、一体形成される各凸部31A,32A及び34A,35Aは、大径部10Cよりも径方向内側に位置するため、他物に衝突し難くすることができる。
そして、上記した一対の凸部31A,32Aを形成することで、図8に示すように、その間に周方向に沿って湾曲する(周方向に凹状となっている)凹状部33が形成されるようになる。このような凹凸形状によれば、実釣時において、釣竿のリールシート部分をリールRと共に握持した際、伸ばした手の肘から前方の前腕部分を安定して載置することが可能となり、軽量化されたリアグリップに、前腕がフィットし易い膨出部を容易に一体形成することが可能となる。特に、釣竿をリールと共に握持保持した状態で腕を伸ばすと、肘から前付近の前腕領域は、拡径部10Bに前後方向に延出するように形成された凸部31A,31Bに当て付けて幅方向のブレを抑制することができ、かつ、両凸部の間に形成される凹状部33が腕載置面となって安定化できるため、前腕がフィットし易くなり、操作性の向上が図れるようになる。
また、上記した凸部34A,35Aを、腕載置面(凹状部33)の対向する裏面に形成することで、図9に示すように、軸方向に沿った凹凸形状が形成され、上記したように前腕領域が安定した状態で、拡径部10Bから大径部10C付近を握持した際、指の引っ掛かりが良くなり、操作性の向上に加え、握持性を向上することが可能となる。
以上のように、補助シート25に、予めプリプレグ片31,32及び34,35を取着しておき、この補助シート25をマンドレル100に巻回することで、リアグリップ10に、軽量化した状態で操作性を向上する凹凸部を容易かつ効果的に形成することが可能となる。また、凹凸部は、マンドレルの表面形状に関係なく形成することができるため、脱芯に影響されることなく、軸方向に沿った凹凸部を形成することが可能となる。
なお、補助シート25に取着するプリプレグ片(凹凸形成用のプリプレグ片)の取着位置、形状、肉厚、取着個数等を適宜変形することで、リアグリップに形成される凹凸形状は、様々な形態にすることが可能である。例えば、図10に示すように、拡径部10Bに、360°に亘ってリング状に突出する凸部34A´,35A´を軸方向に間隔をおいて形成する等、様々な形態で凹凸を形成することが可能である。
補助シート26は、前記補助シート25の外層側に巻回されるシートである。補助シート26は、マンドレルの拡径部100Bの先端位置から大径部100Cの後端位置に亘って巻回され、前記補助シート22,24,25と略同じ形状に裁断されており、表面の外観を向上するために巻回されるシートとしての機能を備えている。補助シート26の巻き始め端縁26aは、マンドレル100に対して180°の位置となっており、大径部100Cの領域で1周以上巻回されていれば良く、整数倍で巻回されることが好ましい。本実施形態では、1巻回(360°+α)に亘って巻回されており、巻き終わり端縁26bが巻き始め端縁26aで重合されている。
前記補助シート26は、強化繊維を織布状に編成したものであり、このような補助シート26を最外層とすることで、強化繊維によって格子模様を視認させることができ、外観を向上することができると共に、強度を向上することが可能となる。
また、上記したように、繊維強化樹脂で形成されるリアグリップ10を構成する本体シート、補助シート、凸部形成用のプリプレグは、それを構成する強化繊維の配向方向については限定されることはないが、マンドレル100に対して巻回作業し易いように、軸長方向に引き揃えられたものであることが好ましい。この場合、拡径部10Bから大径部10Cに至る領域は、織布状の補助シート26が巻回されて周方向の強度向上が図れることから、小径部10Aから拡径部10Bに至る領域においても、周方向の強度向上が図れるように、前記補助シート23については、強化繊維が軸方向に指向されたシートに、強化繊維が周方向に指向されたシートを重ねておくことが好ましい。
以上説明したように、繊維強化樹脂で形成されるリアグリップ10は、その本体層が、プリプレグを先側と元側で同じ幅(略同じ幅)にした複数枚の分割シート12~15にして巻回することで構成されており、小径部10Aから拡径部10Bを介して大径部10Cに至る領域では、1枚のシートで本体層を構成するのではなく、複数枚の分割シートで構成するため、皺が発生することなく、外観を綺麗に仕上げることが可能となる。そして、大径部10Cには、分割して巻回される分割シート12~15とは別に、1周以上巻回される補助シート22が積層された状態になるため、各分割シートがねじれることが防止され、強度が安定する。すなわち、360°以上周方向に連続した補助シート層によって、分割シートによる本体層がねじれることはなく、真円状態に近付けることが可能となり、外観が低下することがない。
また、本実施形態の拡径部10Bでは、巻回される補助シート22,23に重ね代(オーバーラップ)が生じないため、蛇行等することがなく、拡径部での形状が安定し、強度低下が生じることが防止される。また、補助シート22は、大径部10Cにおいて、分割シートが対向配置された分割シート組(12,13)及び(14,15)の間で周方向に亘って介在した状態で巻回されているため、分割シート12~14の周方向のバランスが良くなり、強度が安定する。
さらに、上記した実施形態では、小径部10Aにおいても、巻回される各分割シート12~15に対して、1周以上巻回される補助シート23が積層されているため、小径部においても、分割シートの重ね代が多少位置ずれする等、ねじれ易くなっていても、大径部10Cと同様、真円状態に近付けることができ、強度を向上することが可能となる。この場合、補助シート23は、1周以上巻回される内側の分割シート12,13と、その外側で1周以上巻回される外側の分割シート14,15の間に介在した状態で巻回されているため、径方向での強度バランスも向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である、例えば、上記した実施形態における分割シート、補助シート、凸部形成用のプリプレグ片の構成(例えば、強化繊維の引き揃え方向、合成樹脂の含浸量、肉厚等)については、適宜変形して用いることが可能である。
また、膨出部を形成する補助シート25は、内層側に巻回しても良く、その巻回位置については限定されることはない。また、上記したような凹凸部は、大径部の位置に形成されていても良い。
1 釣竿
10 リアグリップ
10A 小径部
10B 拡径部
10C 大径部
12~15 分割シート
21~26 補助シート
31A,32A,34A,35A 凸部(膨出部)
100 マンドレル
100A 小径部
100B 拡径部
100C 大径部

Claims (5)

  1. 小径部、拡径部、大径部を具備し、前記小径部、拡径部、大径部をプリプレグによって形成した中空のリアグリップを装着した釣竿において、
    前記拡径部に、前記大径部よりも外径が小さく、前後方向に延出する膨出部を一体形成したことを特徴とする釣竿。
  2. 前記膨出部は、前後方向に延出する一対の凸部を有し、
    前記凸部間に、周方向に凹状となっている腕載置面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
  3. 前記膨出部は、前記腕載置面の対向する裏面に、左右方向に延出する凸部を有することを特徴とする請求項2に記載の釣竿。
  4. 前記左右方向に延出する凸部は、リング状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の釣竿。
  5. 前記膨出部は、前記リアグリップの大径部を形成するプリプレグに取着され、肉厚を有する凸部形成用のプリプレグ片で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の釣竿。
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