JP2008263220A - 複合多層基板およびそれを用いたモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板の補強材にガラスクロスを用いた場合、マイグレーションの発生に伴う電気的特性の悪化を招き、また、キャビティ形成時にガラスクロスの切断加工が必要で製造コストのアップを招く。
【解決手段】 複合多層基板20は、金属製材料からなる平板状のコア部材21と、前記コア部材21の少なくとも表面と裏面を覆う表面側樹脂層22および裏面側樹脂層23と、前記コア部材21の表裏を貫通して前記コア部材21に形成された無底穴24または有底穴とを備え、前記無底穴24または有底穴に電子部品25を実装して用いられる。コア部材21の剛性によって複合多層基板20の強度を確保することができ、ガラスクロスを不要にできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品の高密度実装を可能とする複合多層基板およびそれを用いたモジュールに関する。
従来より、電子部品の高密度実装への取り組みとして、パッケージの小型化が精力的に行われてきた。たとえば、最近では、チップサイズパッケージ(CSP)や、パッケージそのものを不要にした究極のベアチップ実装も実現しつつある。しかし、これらはいずれも複数の電子部品を二次元的(平面的)に並べて実装(平面実装方式)することを前提とするものであり、単純計算で、それぞれの電子部品の面積を足し合わせたサイズ以下に実装面積を削減できないという原理上の限界を抱えている。
そこで、電子部品の基板内への埋め込み実装、すなわち、基板の表面のみならず、基板の内部も利用した実装方法が注目されている。
以下、埋め込み実装の公知技術と、その欠点について概説する。
<第1の公知例〜第4の公知例>
有機系基板を用いた電子部品埋め込み構造としては、コアとなる有機系基板(以下「コア基板」)の表面に電子部品を実装し、それを多層化するときにプリプレグの樹脂により電子部品を封止する構造が知られている(以下「第1の公知例」)。また、有機系基板に溝を形成し、そこに電子部品を埋め込む構造が知られている(以下「第2の公知例」)。
さらに、コア基板の表面に電子部品を実装するとともに、プリプレグに電子部品の大きさに対応した穴を開け、多層化するときにプリプレグの穴に電子部品をはめ込み埋め込む構造(以下「第3の公知例」)や、焼結部品を転写により有機樹脂内に埋め込んだ構造(以下「第4の公知例」)なども知られている。
しかし、第1の公知例や第4の公知例は、基板の薄型化に不利であるという欠点があり、また、第2の公知例や第3の公知例は、溝や穴の加工コストが必要であると言う欠点がある。さらに、いずれの公知例(第1〜第4公知例)も、電子部品の放熱対策が考慮されていないため、とりわけ、発熱の大きい半導体チップなどの電子部品実装に不都合を来すという欠点がある。
<第5の公知例>
特許文献1には、小型、薄型で堅固な電子時計の回路を提供するため、プリント基板の片面にパターンを形成するとともに、裏面に金属板を固着し、パターンまたは金属板のいずれか一方もしくは両方に「孔」を設け、その孔に半導体チップを実装することにより、プリント基板と半導体チップとをほぼ同等の厚さとしたものが記載されている。しかし、この公知例では、半導体チップを樹脂封止しており、多層化する場合に、盛り上がった樹脂を研削するなどの作業が必要で、製造コストをアップさせるという欠点がある。さらに、五面電極などの多面電極を有する電子部品の孔内実装については、まったく考慮されていない構造のため、実装可能な電子部品の種類に制限があるという欠点がある。
<第6の公知例>
特許文献2には、電子部品の放熱性を向上させた電子素子用チップキャリアを提供するため、メタルコアベースのプリント配線基板のメタルコア表面に絶縁樹脂を積層し、その絶縁樹脂にメタルコアに到達する「凹部」を形成するとともに、電子部品の裏面をメタルコアに接触させるようにして凹部内に実装することにより、メタルコアを放熱板として使用するようにしたものが記載されている。さらに、この公知例では、メタルコア裏面(電子部品の搭載面の反対面)に積層された絶縁樹脂にもメタルコアに到達するように凹部を形成して放熱性を向上させている。しかし、この公知例では、電子部品の厚さを吸収するような配慮が足りなく、基板の薄型化には不利になるものと思われる。
<第7の公知例>
特許文献3には、より近接した位置から半導体チップの放熱を可能にすることと、放熱用の金属板等との接着不良の発生のない半導体チップ搭載用多層基板を提供するため、金属箔あるいは金属シートに半導体チップ搭載用の「孔」を形成し、プリプレグおよび銅箔を重ねてなる片面あるいは両面銅貼金属基材積層板に、上記の孔を含む配線網を形成したプリント配線板を用いることが記載されている。しかし、この公知例では、半導体チップ搭載用の孔の側壁における金属箔あるいは金属シートの高さと半導体チップの厚さとの関係が明確になっておらず、しかも、半導体チップの放熱を考慮した構成が明確になっていない。そして、半導体チップの厚さと半導体チップ搭載用の孔との深さ関係が明確でないことから、薄型化への考慮が足りないものと考えられ、また、プリント配線板に半導体チップ搭載用の孔を形成する際に、ガラスクロス(後述)も除去しなければならないことから、製造コストのアップが容易に予想される。
<第8の公知例>
特許文献4には、厚みが0.1〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.5mmで、熱膨張率が9×10-6cm/cm/℃以下の金属シートを用い、適宣に表面処理をして接着性を改良させることが記載されているが、これも第7の公知例と同様の不具合(薄型化への考慮が足りない、製造コストのアップ)が考えられる。
<第9の公知例>
特許文献5には、大電流を流すことができ、しかも小型高密度実装を可能とする混成集積回路を提供するため、熱可塑性樹脂板に、半導体チップ実装用の「開口部」を形成し、さらに半導体チップと略同一厚さの金属板からなる配線パターンを半導体チップの両サイドに配置するものが記載されている。そして、熱可塑性樹脂板には、配線層が多層に形成されている熱可塑性樹脂板が熱圧着により一体化されており、半導体チップのリード端子は配線層が多層に形成されている可塑性樹脂板に設けられた開口部に挿入され、配線層と電気的に接続するようになっている。しかし、この公知例では、半導体チップの放熱対策が明確になっていないことと、開口部を形成した熱可塑性樹脂板と、配線層が多層に形成されている熱可塑性樹脂板との熱圧着により、半導体チップ周りの樹脂封止が困難であり、熱可塑性樹脂板を溶融する状態で熱圧着した場合に、配線層が多層に形成されている部分の層間厚の変動が予想され、電気的な仕様制御が困難になるものと推定できる。
<第10の公知例>
特許文献6には、以下に詳述する「複合多層基板およびそれを用いたモジュール」が記載されている。
図12(a)は、公報記載の複合多層基板の断面図である。この複合多層基板1は、複数の層を積み重ねた多層構造を有しており、図示の例の場合は、樹脂材料からなる四つの層(以下「樹脂層」)2〜5を有している。これらの樹脂層2〜5は、いずれもその材料にエポキシ等の樹脂素材を用いる点で共通し、一の層(図では最上層)の樹脂層2だけは、図12(b)に示すように、ガラス繊維6をネット状に編み込んだもの(いわゆるガラスクロス7)を内部に含む点で相違する。ガラスクロス7は、複合多層基板1の物理的強度を高めるための補強材であり、以下、便宜的に、ガラスクロス7を“有する”樹脂層2のことを「ガラスクロス層2」と言うとともに、ガラスクロス7を“有さない”樹脂層3〜5のことを「ガラスクロスレス層3〜5」と言うこととする。
また、この複合多層基板1は、実装面としての最下面(ガラスクロスレス層5の下面)に銅箔を貼り付け、その銅箔をエッチング等によりパターニングして所要形状の導体パターン8を形成しており、さらに、ガラスクロス層2の一部を削除して凹部(一般に開口を閉鎖した状態でキャビティと呼ばれる)9を形成し、その凹部9に電子部品(たとえば半導体チップ)10を実装している。
電子部品10は、複合多層基板1の内部を利用して“埋め込まれた”ものである。したがって、複合多層基板1の表面への他の部品実装と相まって、より密度の高い部品実装を行うことができる。
特開昭54−8871号公報 特開昭61−287194号公報 特開昭64−11400号公報 特開昭64−12598号公報 特開平2−122534号公報 特開2002−111226号公報
しかしながら、上記の公報に記載のもの(第10の公知例)は、複合多層基板1の物理的強度を高めるための補強材としてガラスクロス7を用いているため、
(1)ガラス繊維6の表面と樹脂(ガラスクロス層2の主材料)との界面に沿ってイオンマイグレーションが発生することがあり、電解の強度によっては、絶縁を破壊して電気的特性を悪化させるという問題点がある。
(2)また、キャビティのための凹部9を形成するには、樹脂層2の一部を物理的に取り除く必要があるが、その際に、樹脂層2の内部のガラス繊維6を切断しなければならず、かかる切断作業は一般にレーザなどの精密加工機を用いるものの、切断誤差を否めないし、相当の作業時間も必要であり、しかも、凹部9が複数必要な場合は、その数だけ作業時間が倍加し、製造コストのアップを招くという問題点がある。
したがって、本発明は、ガラスクロスに代わる他の補強材を用いることにより、マイグレーションの発生に伴う電気的特性の悪化を回避し、且つ、製造コストの削減を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、金属製材料からなる平板状のコア部材と、前記コア部材の少なくとも表面と裏面を覆う表面側樹脂層および裏面側樹脂層と、前記コア部材の表裏を貫通して前記コア部材に形成された無底穴または有底穴と、前記無底穴または有底穴に実装された電子部品と、前記電子部品の真上または真下に位置すると共に前記コア部材の表裏面の垂直方向に延在して前記表面側樹脂層と前記裏面側樹脂層のいずれか一方または双方に形成された小穴と、前記小穴の内部に形成された電極とを備え、前記電子部品に対する電気的接続を前記電極を介して行うようにしたことを特徴とする複合多層基板である。
請求項2記載の発明は、前記表面側樹脂層および裏面側樹脂層に垂直電極を形成し、該電極を前記電子部品の上面及び下面に配置して、該電極を介して該電子部品に対する電気的接続を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板である。
請求項3記載の発明は、前記電極は、前記コア部材に前記無底穴を形成する際に同時に形成される柱状部材であることを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板である。
請求項4記載の発明は、前記コア部材の少なくも側面を除く上下面を樹脂で覆うことを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板である。
請求項5記載の発明は、さらに、前記コア部材の側面を覆う側面側樹脂部材を備え、該側面側樹脂部材と前記表面側樹脂層および裏面側樹脂層とにより、前記コア部材の全体を覆うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板である。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5いずれかに記載の複合多層基板を用いて構成されたことを特徴とするモジュールである。
本発明によれば、金属製材料からなるコア部材を備えるため、補強材としてガラスクロスを用いる必要がなく、したがって、ガラスクロスに付随する各種の不都合(マイグレーションの発生に伴う電気的特性の悪化やガラスクロスの切断加工に伴う製造コストのアップ)を回避できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第一の実施の形態)
図1(a)は、実施の形態における複合多層基板の要部断面図および要部斜視図である。この図において、複合多層基板20は、その断面が“多層構造”を有している。図示の例では、良好な電気伝導性、良好な熱伝導性および高い剛性を兼ね備えた材料からなる平板状のコア部材21と、そのコア部材21の表面(図面に向かって上側の面)を覆う樹脂層(以下「表面側樹脂層」)22と、そのコア部材21の裏面(図面に向かって下側の面)を覆う樹脂層(以下「裏面側樹脂層」)23とからなる三層構造を有している。
コア部材21に必要な物理的特性は、上記のとおり、良好な電気伝導性、良好な熱伝導性および高い剛性の三つである。“良好な電気伝導性”とは電気を通しやすい性質のこと(つまり、電気抵抗が低いこと)、“良好な熱伝導性”とは熱を伝えやすいこと(つまり、熱伝導率が高いこと)、“高い剛性”とは曲げや圧縮に対する応力変形が少ないことである。材質は限定されない。上記の物理的特性を兼ね備えたものであればよい。代表的には、メタル(金属)が好ましく、中でも、Cu(銅)、42アロイ、インバーなどのメタル(金属)が前記3つの物理的特性を同時に満足する上でより好ましい。
また、コア部材21の表裏を覆う樹脂層(表面側樹脂層22と裏面側樹脂層23)の材料としては、電気絶縁性と耐環境性(耐水性や耐酸性など)を有し、さらに必要であれば所要の誘電率を有する材料、たとえば、エポキシ系、ポリイミド系、シアネートエステル系またはテフロン(登録商標)系などの樹脂材料若しくはプリント配線基板に用いられる絶縁材料を使用することができる。
コア部材21には、その表裏を貫通する所定開口形状の貫通穴(以下「無底穴」)24が形成されている(図1(a)および図1(b)参照)。この無底穴24は、電子部品25の実装穴として用いられるようになっており、これにより、電子部品25を複合多層基板20の内部に“埋め込み”実装して、実装密度の向上を達成できるようになっている。
このような構造を有する複合多層基板20によれば、複合多層基板20の物理的強度(曲げ剛性など)をコア部材21の剛性で担保することができる。したがって、従来から用いられていた補強材(ガラスクロス7;図12参照)を不要にすることができ、ガラスクロスの使用に伴う様々な不都合を回避することができる。
すなわち、ガラスクロスに代わる他の補強材として、少なくとも「高い剛性」を有するコア部材21を用いるようにしたから、冒頭で説明したイオンマイグレーション問題『ガラス繊維6の表面と樹脂との界面に沿ってイオンマイグレーションが発生し、絶縁を破壊して電気的特性を悪化させる』と、製造コストのアップ問題『キャビティのための有底穴9を形成するには、樹脂層2の一部を物理的に取り除く必要があり、その際に、樹脂層2の内部のガラス繊維6を切断しなければならず、かかる切断作業は一般にレーザなどの精密加工機を用いるが、切断誤差を否めないし、相当の作業時間も必要で、しかも、有底穴9が複数必要な場合は、その数だけ作業時間が倍加し、製造コストのアップを招く』とを共に解決することができ、本発明の究極の目的(マイグレーションの発生に伴う電気的特性の悪化を回避し、且つ、製造コストの削減を図る)を達成することができるのである。
なお、以上の説明では、コア部材21に形成した無底穴24に電子部品25を実装する例を示したが、電子部品25の実装穴は、必ずしも“表裏を貫通”した穴(すなわち、無底穴)でなくてもよい。たとえば、図1(c)に示すように、コア部材21に凹部(以下「有底穴」)26を形成し、この有底穴26に電子部品25を実装してもよい。このようにすると、有底穴26の底面27などと電子部品25との間を直接または熱伝導接着剤等を介して接触させることにより、電子部品25で発生した熱をコア部材21に効率よく逃がすことができ、コア部材21を電子部品25の放熱経路として使用することができる。
また、コア部材21の表面側と裏面側の樹脂層構造(材料の選択や層厚など)を略同一としておくことが望ましい。複合多層基板20を表裏対称構造とし、コア部材21の表面側と裏面側の樹脂層(表面側樹脂層22と裏面側樹脂層23)熱膨張差を少なくして、複合多層基板20の“反り”を抑制できるからである。
既述のとおり、コア部材21の表面と裏面は、それぞれ表面側樹脂層22と裏面側樹脂層23で覆われているが、さらに、コア部材21の側面も樹脂等で覆うようにすると好ましい。つまり、コア部材21の“すべての面”を樹脂またはそれに相当する耐環境性素材で完全に包囲(封止もしくは被膜)することが望ましい。コア部材21の表面と裏面は、それぞれ表面側樹脂層22と裏面側樹脂層23で覆われており、空気に触れないため酸化の心配はないが、もし、コア部材21の側面が露出していた場合は、その面が徐々に酸化するおそれがあり、また、該露出面と隣接する実装部品との間で電気的にショート等が発生して、動作不良の原因になるからである。
(第二の実施の形態)
図2(a)は、コア部材21の無底穴24に電子部品25を実装したときの状態図である。この図において、コア部材21の上面高さ位置をLaとし、電子部品25の上面高さ位置をLbとしたとき、その高さの差d(d=La−Lb)は0または0以上の値(すなわちLa=LbまたはLa>Lbのいずれかの関係)にすることが望ましい。このようにすると、コア部材21の上面高さ位置Laが電子部品25の上面高さ位置Lbよりも常に高い位置になるから、複合多層基板20の製造時における電子部品25への荷重(表面側樹脂層22などを積層する際に加えられる荷重)をコア部材21で受け止めることができ、電子部品25の破損を回避することができる。
また、図2(b)もコア部材21の無底穴24に電子部品25を実装したときの状態図である。図2(a)との相違は、電子部品25と裏面側樹脂層23との間に熱伝導性樹脂28を介在させると共に、この熱伝導性樹脂28の側端をコア部材21の無底穴の内壁面に接触させた点にある。このようにすると、電子部品25で発生した熱を熱伝導性樹脂28を介して無底穴の内壁面のコア部材21に効率よく逃がすことができる。
また、図3(a)もコア部材21の無底穴24に電子部品25を実装したときの状態図である。図2(a)との相違は、裏面側樹脂層23にも無底穴29を開け、二つの無底穴24、29に熱伝導性のよい材料(たとえば、銅など)からなる高さ寸法調整部材30を装填した点にある。電子部品25はこの高さ寸法調整部材30の上に載置して実装する。
ここで、コア部材の厚み寸法をHa、裏面側樹脂層23の厚み寸法をHb、電子部品25の高さ寸法をHc、高さ寸法調整部材30の高さ寸法をHdとするとき、コア部材21の上面高さ位置Laと電子部品25の上面高さ位置Lbとの高さの差dを所望値にするためには、
Ha+Hb=Hc+Hd+d ・・・・(1)
の関係を満たせばよく、Ha、HbおよびHbは固定値であるから、たとえば、d=0にするためには、
Ha+Hb=Hc+Hd ・・・・(2)
したがって、高さ寸法調整部材30の高さHdを、
Hd=Ha+Hb−Hc ・・・・(3)
とすればよい。
これによれば、コア部材21の厚み寸法Haに比べて、電子部品25の高さ寸法Hcが極端に小さい場合であっても、上記の寸法差dを所望の値に容易に設定することができ、高さ寸法の異なる様々な電子部品を支障なく複合多層基板20に埋め込むことができる。また、高さ寸法調整部材30の材料に熱伝導性のよいものを使用すると、電子部品25で発生した熱を高さ寸法調整部材30から無底穴の内壁面を介してコア部材21へと逃がすことができる上、さらに、高さ寸法調整部材30の下面から外部にも逃がすことができ、より一層、電子部品25の放熱効果を高めることができる。
また、図3(b)もコア部材21の無底穴24に電子部品25を実装したときの状態図である。図3(a)との相違は、高さ寸法の大きい電子部品25に適用できるようにした点にある。図において、電子部品25の高さ寸法Hcは、コア部材21の厚み寸法Haを越えて(Ha<Hc)いる。この電子部品25は、コア部材21に形成された無底穴24と裏面側樹脂層23に形成された無底穴31との双方にわたって実装されており、電子部品25の下面と側面の一部は、熱伝導性樹脂32を介して二つの穴(無底穴24と無底穴31)に保持されている。
このようにすることにより、高さ寸法の大きい電子部品25であっても、上記の寸法差dを所望の値に容易に設定することができる上、電子部品25で発生した熱を熱伝導性樹脂32から無底穴の内壁面を介してコア部材21へと逃がすことができ、さらに、熱伝導性樹脂32の下面から外部へも逃がすことができ、より一層、電子部品25の放熱効果を高めることができる。
(第三の実施の形態)
図4は、コア部材21の他の部分における要部断面図および当該部分の外観斜視図である。これらの図において、コア部材21の任意位置(図では無底穴24に隣接しているが、これに限定されない)に、柱状部33が設けられている。
この柱状部33は、元々、コア部材21の一部である。詳しくは、コア部材21の任意位置に円筒状の分割溝34を形成したことによって生じたコア部材21の“残存部分”である。この柱状部33は、次のようにして利用することができる。すなわち、柱状部33の一端側と他端側の双方において、表面側樹脂層22と裏面側樹脂層23の各々にバイアホール35、36を形成し、そのバイアホール35、36に電極37、38を形成すると、電極37、38は、柱状部33を介して電気的に接続し、しかも、各々の電極37、38の端面は複合多層基板20の表面と裏面に露出するから、これらの電極37、38および柱状部33を複合多層基板20の両面貫通配線として利用することができ、電気信号や電源電圧の伝達経路を確保することができる。
(第四の実施の形態)
図5は、以上の実施の形態(第一〜第三の実施の形態)の技術思想を適用して作られたモジュールの断面図である。
なお、“モジュール(英:module)”とは、一般に「規格化された構成単位」のことを意味する。モジュールはユニットや部品の一種とも解されるが、ユニットは通常、交換可能な構成要素として位置づけられ、また、部品はそれ自体が最小の構成単位として位置づけられるのに対して、モジュールは、交換を想定しないことが多く、さらに、特定の機能を持つものとして設計・製作されることが多い。しかしながら、厳密な区分が定められていないことも事実であるから、本明細書においては、この用語(“モジュール”)を以下のように定義して用いることとする。すなわち、モジュールとは、その内部に、半導体チップ、抵抗素子、容量素子またはその他の電子部品(これらを総称して「電子部品」という)を一つまたは複数(異なる種類の電子部品の組み合わせを含む)実装して所要の電子回路機能を実現したものであり、且つ、市場において単独で流通可能なもののことをいう。任意の電子機器に組み込んだ(実装した)後の交換容易性は特に考慮しない。コネクタ等によって着脱可能な実装形態であってもよいし、半田付け等によってほぼ固定状態で実装される形態であってもよい。
図5に示すモジュール40は、たとえば、携帯電話機や無線通信機能付き携帯情報端末におけるRF(高周波)部の構成要素であるパワーアンプモジュール、アンテナスイッチモジュール、または、それらを一体化したRFモジュールなどとして機能することができるものであり、それ自体を製品として市場に流通させることができるものである。
モジュール40は、前記の実施の形態(第一〜第三の実施の形態)の技術思想を適用した構造を有する複合多層基板の表面と内部に所要の電子部品を実装することによって、所望の回路機能(パワーアンプモジュール、アンテナスイッチモジュール、または、それらを一体化したRFモジュールなど)を実現したものである。
図示のモジュール40は、その構造を、「中間層A」と、中間層Aの上面に積層された「上位層B」と、中間層Aの下面に積層された「下位層C」とに大きく分けることができる。
中間層Aは、コア部材41の両面にそれぞれ表面側樹脂層42と裏面側樹脂層43を積層し、コア部材41に複数個(断面図では4個)の無底穴44〜47を形成すると共に、それぞれの無底穴44〜47に適当な電子部品48〜51を埋め込んだ構造を有している。
今、説明の便宜上、左端の電子部品48を高さ寸法の小さい半導体チップとし、左から二番目の電子部品49をコンデンサ(高さ寸法はコア部材41の厚み寸法程度)とし、左から三番目の電子部品50を抵抗(高さ寸法はコア部材41の厚み寸法程度)、右端の電子部品51を高さ寸法の大きい半導体チップと仮定する。
コア部材41の厚み寸法程度の高さ寸法を持つ電子部品49、50は、それらに対応した無底穴45、46に埋め込み実装される。上記のとおり、電子部品49、50はそれぞれコンデンサと抵抗であり、比較的発熱の少ない部品であるから、特段の熱対策を要求されない限りにおいては、それらの電子部品49、50の固着は、裏面側樹脂層43との間に充填された接着剤52、53によって行ってもよいが、当該部品の発熱が大きい場合は、それに対応した接着剤52、53に熱伝導性のよいものを使用する。
また、高さ寸法の小さい電子部品48にあっては、適切な高さの高さ寸法調整部材54を入れて高さ寸法を調整し、且つ、その電子部品48の発熱が大きい場合には、高さ寸法調整部材54の材料に熱伝導性のよいものを使用する。さらに、高さ寸法の大きい電子部品51にあっては、裏面側樹脂層43に達するように埋め込むことにより、高さ寸法の調整を行い、且つ、その電子部品51の発熱が大きい場合には、電子部品51の側面と下面を覆って熱伝導性樹脂55を被着する。いずれの場合も、高さ寸法調整部材54と熱伝導性樹脂55は、その一部分がコア部材41に接すると共に、その底面部分が中間層Aの下面から露出する。
また、コア部材41の任意位置には柱状部56、57が設けられており、柱状部56、57は、その両端面に接するようにして設けられた電極58、59、60、61により、中間層Aの表裏を貫通する信号伝達経路または電源伝達経路を構成している。なお、中間層Aにおいて、62〜75は電極である。
下位層Cは、樹脂層76の両面に所要形状の電極パターン(詳細は後述)を形成し、また、上位層Bも、樹脂層77の両面に所要形状の電極パターン(詳細は後述)を形成すると共に、所定の電極パターンの上に電子部品78〜82を表面実装し、さらに、それらの電子部品78〜82を覆うカバー40a(EMI対策のために電磁遮蔽を兼ねるものであることが望ましい)を取り付けている。なお、特に限定しないが、電子部品78、79、81はコンデンサ、電子部品80、82は抵抗である。
このように、モジュール40は、良好な電気伝導性、良好な熱伝導性および高い剛性を兼ね備えた材料(Cu、42アロイ、インバー等)からなる平板状のコア部材41をベースとし、そのコア部材41の表面側と裏面側とを樹脂層76、77によりビルドアップされた構造となっている。ここで、二つの樹脂層76、77は、いずれも、たとえば、エポキシ系、ポリイミド系、シアネートエステル系またはテフロン(登録商標)系などの樹脂を主材料(所望により誘電体粉末や磁性体粉末などの機能粉末の混合してもよい)としたもの、若しくは、プリント配線基板に用いられる絶縁材料を主材料としたものであり、冒頭で説明したガラスクロス7(図12参照)を有さない点(すなわち、ガラスクロスレス層である点)に特徴がある。モジュール40の曲げ剛性は、もっぱら中間層Aのベースであるコア部材41によって確保されるからであり、補強材としてのガラスクロス7を敢えて必要としないからである。
コア部材41の四つのキャビティ(無底穴44〜47によって形成されるもの)には、それぞれ、半導体チップ(電子部品48、51)やコンデンサ(電子部品49)および抵抗(電子部品50)が埋め込まれている。そして、それらの電子部品のうち発熱が大きいもの(電子部品48、51)については、各部品の底面と(要すれば)側面との一部をそれぞれ熱伝導性のよい材料(高さ寸法調整部材54、熱伝導性樹脂55)を介してコア部材41に接続すると共に、下位層Cの上面電極パターン82、83にも接続する。下位層Cの上面電極パターン82、83は、下位層Cの内部電極84、85を介して、下位層Cの下面電極パターン86に接続されており、結局、電子部品48、51で発生した熱は、無底穴の内壁面を介してコア部材41に逃がされると共に、さらに、下位層Cの下面電極パターン86を介して、当該モジュール40を実装する電子機器の基板にも逃がされることとなり、充分な放熱効果を得ることができる。
また、高さ寸法の小さい半導体チップ(電子部品48)については、下位層Cに作られたキャビティ(コア部41の無底穴44と同一位置の貫通穴によって形成されるもの)に入れられた高さ寸法調整部材54(独立した部材であってもよいし、あるいは、メッキを成長させたものであってもよい。良好な熱伝導性を持ち、且つ、電子部品48の高さ寸法調整をできるものであればよい。)により、実装高を所望の位置に嵩上げして、電子部品48の上面高さ位置とコア部材41の上面高さ位置との関係(図2のLaとLbの関係を参照)を適正に保つことができるようになっている。
また、高さ寸法の大きい半導体チップ(電子部品51)については、下位層Cに作られたキャビティ(コア部41の無底穴47と同一位置の貫通穴によって形成されるもの)に入れることによって、電子部品51の上面高さ位置とコア部材41の上面高さ位置との関係(図2のLaとLbの関係を参照)を適正に保つことができるようになっている。
中間層Aのコア部材41のパターニング(無底穴44〜47や柱状部56、57の形成)は、コア部材41の下面に裏面側樹脂層43を張り合わせた状態で行うべきである。この状態でコア部材41をパターニングすると、特に、海島構造部における“島”の部分が脱落しないため、当該部分を柱状部56、57として利用できるからである。したがって、中間層Aの表裏を接続するための柱状構造(いわゆる「ポスト」:柱状部56、57とその両端に接続された電極58、59、60、61とにより形成されるもの)をコア部材41の物理的加工(たとえば、エッチング)によって容易に形成することができる。コア部材41を塩化第二鉄などの通常のエッチャントでエッチングする場合、コア部材41の素材は、樹脂物性との関係から、Cu、42アロイ、インバーなどとすることができる。ただし、42アロイやインバーを選択した場合は、イオンマイグレーションなどの防止の観点から、42アロイやインバーの表面にCuめっきを施しておくことが好ましい。
次に、上記モジュール40の製造工程について説明する。
(第一の工程:図6(a))
まず、良好な電気伝導性、良好な熱伝導性および高い剛性を兼ね備えた平板状のコア部材41、たとえば、Cu、42アロイまたはインバーなどのコア部材41の下面(上下は図面に正対したときの方向を指す)に樹脂層(裏面側樹脂層43)を張り合わせ、さらに、その裏面側樹脂層43の下面に、良好な導電性と良好な熱伝導性を有する薄膜90を張り合わせる。
ここで、裏面側樹脂層43の材料としては、たとえば、エポキシ系、ポリイミド系、シアネートエステル系またはテフロン(登録商標)系などの樹脂材料若しくはプリント配線基板に用いられる絶縁材料を使用することができる。また、薄膜90としては、上記の特性を有するもの、典型的には、銅箔を使用することができる。
なお、裏面側樹脂層43と薄膜90とを一体化したものを使用してもよい。たとえば、樹脂付銅箔を使用してもよく、あるいは、ドライフィルムに銅箔を張り合わせたものを使用してもよい。
(第二の工程:図6(b))
次に、コア部材41をパターニングし、無底穴44〜47と柱状部56、57を形成する。無底穴44〜47は、それぞれ、電子部品48〜51を埋め込むためのキャビティとなる。コア部材41のパターニングは、たとえば、サブトラクティブ法によって行うことができる。この場合、塩化第二鉄系や塩化第二銅系エッチャントなどの通常のプリント配線基板で使用しているエッチャントを使用することができる。
(第三の工程:図6(c))
次に、発熱が大きい電子部品(電子部品48、51)に対応した無底穴44、47については、その下の裏面側樹脂層43を、無底穴44、47と同一の開口形状で除去(波線部分参照)して薄膜90を露出させる。裏面側樹脂層43の除去は、たとえば、レーザーアブレーションやプラズマエッチングなどによって行うことができる。
図7は、第三の工程後の外観図であり、(a)は上面側斜視図、(b)は下面側斜視図である。なお、図7と上記の工程図(図6)とは厳密に対応していない。図7で理解すべき点は、コア部材41に形成された“キャビティ”や“ポスト”である。すなわち、図7においては、コア部材41の下面に樹脂層91(図6の裏面側樹脂層43に相当)と銅箔92(図6の薄膜90に相当)が張り合わされており、コア部材41をパターニングしていくつかのキャビティ93〜95(図6の無底穴44〜47に相当)と、いくつかのポスト96〜103(図6の柱状部56、57に相当)が形成されている。
(第四の工程:図8(a))
次に、左端の無底穴44に高さ寸法調整部材54を入れ込み、その高さ寸法調整部材54の上に熱導電性樹脂104を塗布する。また、左から2番目と3番目の無底穴45、46に接着剤52、53を塗布し、さらに、右端の無底穴47に熱伝導性樹脂55を塗布する。高さ寸法調整部材54は、独立した部材であってもよいし、あるいは、Cuなどのメッキを成長させたものであってもよい。良好な熱伝導性を持ち、且つ、電子部品48の高さ寸法を調整をできるものであればよい。熱導電性樹脂104、55は、その名のとおり、放熱作用の機能を有するとともに、埋め込まれた電子部品48、51を仮固定する機能も有する。接着剤52、53は、もっぱら埋め込まれた電子部品49、50を固定する機能を有していればよい。
なお、ここでは、特段の放熱対策を必要としない電子部品49、50を接着剤52、53で固定しているが、これに限定されない。たとえば、第一の工程(図6(a))において、コア部材41と樹脂層(裏面側樹脂層43)を積層・接着する際に、その樹脂層をフルキュアせずに未硬化部を残した状態で積層を完了させておき、第四の工程(図8(a))で電子部品49、50を実装する際に高温にして樹脂層の粘着力を若干回復させることにより、当該電子部品49、50を固定するようにしてもよい。このようにすると、接着剤52、53の塗布作業を不要にできる。
(第五の工程:図8(b))
次に、各々の無底穴44〜47にそれぞれ対応する電子部品48〜51を実装する。放熱が必要な一の電子部品48については、熱伝導性樹脂104と高さ寸法調整部材54を介してコア部材41と薄膜90にその熱を逃がすことができ、また、放熱が必要な二の電子部品51については、熱伝導性樹脂55を介してコア部材41と薄膜90にその熱を逃がすことができる。
(第六の工程:図8(c))
次に、電子部品48〜51を実装した後のコア部材41を樹脂で封止する。この封止により、前記第一〜第三の実施の形態における表面側樹脂層42が形成され、この表面側樹脂層42によって、コア部材41の表面、キャビティ(無底穴44〜47)およびビアポスト(柱状部56、57)の周りの隙間が完全にふさがれる。ここに、コア部材41の側端面(図8(c)の波線包囲部A、B参照)も完全に樹脂で封止することが望ましい。側端面を封止する樹脂としては、表面側樹脂層の一部で兼ねてもよいが、表面側樹脂層とは別体に側面側樹脂層を設けてもよい。そのようにすると、コア部材41のすべての面を環境雰囲気(大気)から遮断し、大気中の酸素や水分などによるコア部材41の酸化を防止でき、また、隣接する実装部品との間の電気的なショート等を防止して、動作不良を回避できるからである。
ここで、表面側樹脂層42の材料としては、たとえば、エポキシ系、ポリイミド系、シアネートエステル系またはテフロン(登録商標)系などの樹脂材料若しくはプリント配線基板に用いられる絶縁材料を使用することができる。
図9は、第五の工程後の外観図(a)および第六の工程後の外観図(b)である。なお、図9と上記の工程図(図8)とは厳密に対応していない。図9で理解すべき点は、コア部材41に形成された“キャビティ”への電子部品の実装状態と、樹脂(表面側樹脂層42)による封止状態である。すなわち、図9においては、コア部材41に形成されたキャビティ93〜95にはそれぞれ対応する電子部品105〜107(図8の電子部品48〜51に相当)が実装されており、電子部品105〜107を実装した状態のコア部材41を樹脂108(図8の表面側樹脂層42に相当)で完全に封止している。なお、図9(b)では、樹脂108で封止した後のコア部材41の側面が露出しているが、これは図示の都合である。実際には側面も樹脂108で完全に覆われている。
(第七の工程:図10(a))
次に、薄膜90をパターニングする。このパターニングにより、放熱対策を必要とする電子部品48、51のうち熱導電性樹脂55を介して薄膜90に直接熱を逃がすための放熱パターン83を形成する。すなわち、当該放熱パターン83だけを残すように薄膜90をエッチアウトする。
(第八の工程:図10(b))
次に、表面側樹脂層42と裏面側樹脂層43のそれぞれに小穴109〜125をあける。たとえば、各層の樹脂をCO2ガスレーザー、UVレーザーまたはエキシマレーザーなどで部分的に除去した後、樹脂の残渣を過マンガン酸やプラズマアッシングなどで除去することにより、小穴109〜125を形成する。
(第九の工程:図10(c))
次に、小穴109〜125に銅めっきやエッチングを施し、電子部品48〜49の端子との電気的な層間接続を行うための電極63、64、65、66、67、68、69、73や、コア部材41を介した層間接続を行うための電極58、59、60、61、62、70、71、72、74などを形成する。なお、樹脂とめっき銅との密着性を確保するために、必要に応じて、過マンガン酸等による樹脂表面の粗化を行い、表面積の増大処理を施してもよい。なお、126〜154は、表面側樹脂層42と裏面側樹脂層43の各露出面に形成された電極または配線パターンである。この第十の工程により、図5における中間層Aが作られる。
(第十の工程:図10(d))
次に、表面側樹脂層42と裏面側樹脂層43にそれぞれ樹脂を貼り合せ、それらの樹脂の表裏に必要なソルダーレジストパターンを形成することにより、図5における上位層Bと下位層Cが作られる。
図11は、第十の工程後の外観図であり、(a)は上面側斜視図、(b)は下面側斜視図である。なお、図11と上記の工程図(図10)とは厳密に対応していない。図11で理解すべき点は、中間層Aの上に上位層Bが積層されると共に、中間層Aの下に下位層Cが積層され、且つ、上位層Bや下位層Cの露出面に所要の導電パターン155〜170が形成されていることにある。これらの導電パターン155〜170のうち、たとえば、下位層Cの露出面に位置し、且つ、最大の面積を有するもの(導電パターン166)は、電子部品48、51の熱を逃がすための放熱パターンとして用いられる。
以上の工程を実行後、所要の表面実装部品(図5の電子部品78〜82)を取り付け、必要であればカバー40aを取り付けることにより、図5に示すモジュール40が完成する。
このような構造を有するモジュール40は、以下の効果を有する。
(1)良好な電気伝導性、良好な熱伝導性および高い剛性を兼ね備えた材料(Cu、42アロイ、インバー等)からなる平板状のコア部材41をベースとして構成されているので、基板の曲げ応力をコア部材41の剛性で受け止めることができ、好ましくない基板変形を回避し、または抑制することができる。したがって、従来の補強材(ガラスクロス)を敢えて必要としないため、ガラスクロスにまつわる諸々の問題(イオンマイグレーションの問題や、キャビティ形成時のガラスクロス切断加工に伴う製造コストアップの問題)を生じないという格別の効果が得られる。
(2)コア部材41の片面(実施の形態では裏面)に樹脂(裏面側樹脂層43)を貼り付けた状態で、所要部に“海島”を形成した場合、“島”の部分が脱落しないため、その部分を柱状部56、57として使用することができる。そして、その柱状部56、57を介して層間の電気信号伝達経路や電源伝達経路を簡単に構成することができ、モジュール設計の容易化を図ることができる。
(3)コア部材41にキャビティ(無底穴44〜47)を形成し、そのキャビティ内に電子部品48〜51を容易に埋め込むことができ、表面実装と相まって基板の実装密度を向上することができる。
(4)さらに、高さ寸法の大きいまたは高さ寸法の小さい電子部品を埋め込む場合は、高さ寸法調整部材54を入れたり、または、裏面側樹脂層43の穴を利用したりして、電子部品の高さ寸法を容易に調節することができ、コア部材41の上面高さ位置を電子部品の上面高さ位置が超えないように適正に設定することができる。このため、多層基板製造時における荷重をコア部材41で受け止めることができ、電子部品の破損を防止することができる。
(5)また、電子部品の熱を逃がす場合は、コア部材41を放熱経路に利用したり、または、下位層Cの露出面に形成した放熱パターン(図11(b)の電極パターン166)を放熱経路に利用したりでき、とりわけ発熱の大きい電子部品48、51を埋め込んで構成されるモジュール40に用いて好適なものとすることができる。
(6)また、中間層Aに対して、上位層Bと下位層Cをほぼ対称的な構造とすることにより、基板の反りを回避し、または抑制することができる。
実施の形態における複合多層基板の要部断面図および要部斜視図である。 コア部材21の無底穴24に電子部品25を実装したときの状態図である。 コア部材21の無底穴24に電子部品25を実装したときの状態図である。 コア部材21の他の部分における要部断面図および当該部分の外観斜視図である。 本発明を適用したモジュール40の断面図である。 モジュール40の製造工程図(第一の工程〜第三の工程)である。 第三の工程後の外観図である。 モジュール40の製造工程図(第四の工程〜第六の工程)である。 第五の工程後の外観図である。 モジュール40の製造工程図(第七の工程〜第十の工程)である。 第十の工程後の外観図である。 従来の複合多層基板の断面図およびガラスクロスの拡大平面図である。
符号の説明
20 複合多層基板
21 コア部材
22 表面側樹脂層
23 裏面側樹脂層
24 無底穴
25 電子部品
26 有底穴
40 モジュール
41 コア部材
42 表面側樹脂層
43 裏面側樹脂層
44〜47 無底穴
48〜51 電子部品

Claims (6)

  1. 金属製材料からなる平板状のコア部材と、
    前記コア部材の少なくとも表面と裏面を覆う表面側樹脂層および裏面側樹脂層と、
    前記コア部材の表裏を貫通して前記コア部材に形成された無底穴または有底穴と、
    前記無底穴または有底穴に実装された電子部品と、
    前記電子部品の真上または真下に位置すると共に前記コア部材の表裏面の垂直方向に延在して前記表面側樹脂層と前記裏面側樹脂層のいずれか一方または双方に形成された小穴と、
    前記小穴の内部に形成された電極とを備え、
    前記電子部品に対する電気的接続を前記電極を介して行うようにしたことを特徴とする複合多層基板。
  2. 前記表面側樹脂層および裏面側樹脂層に垂直電極を形成し、該電極を前記電子部品の上面及び下面に配置して、該電極を介して該電子部品に対する電気的接続を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板。
  3. 前記電極は、前記コア部材に前記無底穴を形成する際に同時に形成される柱状部材であることを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板。
  4. 前記コア部材の少なくも側面を除く上下面を樹脂で覆うことを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板。
  5. さらに、前記コア部材の側面を覆う側面側樹脂部材を備え、
    該側面側樹脂部材と前記表面側樹脂層および裏面側樹脂層とにより、前記コア部材の全体を覆うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の複合多層基板。
  6. 請求項1乃至請求項5いずれかに記載の複合多層基板を用いて構成されたことを特徴とするモジュール。
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