JP2008239883A - 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体ならびに熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体ならびに熱可塑性樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷が少なく、長期の使用にも十分耐え得る諸特性を備えた、熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体および熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂1〜98重量部と、脂肪族ポリエステル樹脂1〜80重量部と、ビニル系重合体1〜80重量部(但し、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とする)とを含む熱可塑性樹脂組成物、当該熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融した後、成形して得られた熱可塑性樹脂成形体、ならびに、当該熱可塑性樹脂組成物または熱可塑性樹脂成形体を加熱溶融して成形する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体ならびに熱可塑性樹脂成形体に関し、より詳しくは、スチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体とを含む熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体および前記熱可塑性樹脂成形体の製造方法に関する。
循環型社会構築のためには、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄パラダイムから、循環を考慮した全く新しい生産パラダイムへの転換が求められている。大量生産・大量消費・大量廃棄パラダイムから脱却すべく始まった、大量生産・大量リサイクルを目指した生産パラダイムは、リサイクル原料の需要・供給のバランスやリサイクル材の品質・コストの面ですでに限界を迎えつつあり、リサイクルだけでない持続可能な生産パラダイムへの転換が求められている。すなわち、リサイクルというライフサイクルシナリオのみを考慮するだけでなく、製品の特性に応じて、材料の選択、製品設計、使用方法、廃棄後のシナリオなどを適切に選択する必要がある。特に、循環を考慮した新しい生産パラダイムでは、微生物由来、植物由来をはじめとするバイオマス由来の持続可能な資源を利用することや、繰返しリユース、リサイクルが可能な資源を利用することが強く求められている。
持続可能な資源という観点から、環境にやさしいバイオマス由来の資源が注目されている。バイオマス由来の資源の中でも特に植物由来の資源は、再生可能であり、焼却されても、植物の成長過程で吸収した二酸化炭素を放出するだけなので、植物由来の資源のライフサイクルにおいて二酸化炭素濃度を増加しないとされており、環境にやさしい材料である。環境にやさしい材料である植物由来の資源の利用を拡大し、適切に循環させるよう、近年、様々な分野で植物由来の資源が開発されつつあり、その利用技術のさらなる拡大が重要な課題となっている。
植物由来の資源においては、溶融成形可能であること、燃焼時の燃焼熱量の低さや大量生産された場合のコストなどの点からポリ乳酸が注目されている。しかしながら、ポリ乳酸は、一般的に硬くて脆い材料であり、耐熱性、成形性は優れず、また、生分解性を有しているため、長期間の使用には不向きである。このような問題を解決するため、個々のポリマーの欠点を改良する方法として広く知られているポリマーブレンドまたはポリマーアロイとして、2種またはそれ以上のポリマー同士を混合することが、ポリ乳酸樹脂に対しても検討されている。
たとえば特開2006−199883号公報(特許文献1)には、ポリ乳酸の耐衝撃性を改善するために、変性オレフィン系化合物を添加する方法が記載されている。前記方法では、衝撃性の改善効果や成形性改善効果は見られるものの、特に衝撃性改善効果は十分でなく、また、生分解性という特性を発揮させるために、長期間の使用は考慮されておらず、耐久消費財への採用は困難である。
またたとえば特開2006−28299号公報(特許文献2)には、成形性・耐熱性・外観特性向上のために、ポリカーボネート樹脂とポリ乳酸とを含む熱可塑性樹脂組成物が記載されている。前記熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、成形性に優れるものの、ポリ乳酸樹脂樹脂だけでなくポリカーボネート樹脂もエステル結合を含むため加水分解性があり、長期間使用される部材への採用は困難である。また、特許文献2に記載されたポリカーボネート樹脂とポリ乳酸とを含む熱可塑性樹脂組成物は、長期間使用されることや高温多湿下で使用されることは想定されていない。
一方、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(以下、ABS樹脂とも記載する)は、成形加工性、耐衝撃特性、剛性や強度などの特性のバランスに優れ、さまざまな分野に利用されている。ABS樹脂に関しても、ポリ乳酸とのポリマーブレンドが試みられている。たとえば特開2006−161024号公報(特許文献3)には、ポリ乳酸とABS樹脂と硬質重合体からなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。前記熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性、剛性、強度などの機械特性バランスに優れるものの、長期間使用されると初期の優れた機械特性のバランスが保持できない虞がある。また、用途は高温多湿下で使用されず、また、長期使用されない部材が想定されているため、家電製品、OA機器、電気電子部品などの長期使用される部材には不向きである。
特開2006−199883号公報 特開2006−28299号公報 特開2006−161024号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、環境負荷が少なく、長期の使用にも十分耐え得る諸特性を備えた、熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体および熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、従来技術の検証・改良に鋭意検討を重ねた結果、それぞれ特定の比率で配合されたスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体とを含む熱可塑性樹脂組成物であれば、環境負荷の少ない熱可塑性樹脂組成物が長期間の使用に耐え、優れた特性のバランスを確保できることを見出した。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系樹脂1〜98重量部と、脂肪族ポリエステル樹脂1〜80重量部と、ビニル系重合体1〜80重量部(但し、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とする)とを含むことを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記スチレン系樹脂はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記脂肪酸ポリエステル樹脂は、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とするポリ乳酸重合体であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記ビニル系重合体が2種以上配合されてなることが好ましい。また本発明における前記ビニル系重合体は、アクリル酸エステルの重合体および/またはメタクリル酸エステルの重合体を主成分とすることが好ましい。また、前記ビニル系重合体は、水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有することが好ましく、この官能基がエポキシ基であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質含有共重合体0.5重量部〜50重量部をさらに含むことが好ましい。この場合、このゴム質含有共重合体はアクリル系成分を含むことが好ましく、このアクリル系成分はシリコーン・アクリル系成分および/またはコア・シェル型アクリル系成分であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物はまた、酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤をさらに含むことが好ましい。この場合、前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤および/またはリン系の酸化防止剤であり、熱可塑性樹脂組成物100重量部中、フェノール系酸化防止剤0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤0.01〜5重量部を含むことが好ましい。また、前記耐加水分解安定剤がカルボジイミド化合物であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、当該カルボジイミド化合物を0.01〜10重量部含むことも好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融した後、成形して得られた熱可塑性樹脂成形体についても提供する。本発明の熱可塑性樹脂成形体は、ペレット状であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、好ましくは、以下の(1)〜(3)の少なくともいずれかの性質を有する。
(1)面衝撃強度が10cm以上である、
(2)ノッチ付アイゾット衝撃強度が4kJ/m2以上である、
(3)ノッチ付アイゾット衝撃強度が初期のノッチ付アイゾット衝撃強度の75%を保持する時間が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で300時間以上である。
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、家電製品、OA機器、電気電子部品なる群から選ばれる製品に用いられるものであることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形体はまた、マテリアルリサイクルされる製品に用いられるものであることが好ましい。この場合、マテリアルリサイクルされる製品は家電製品であることが好ましい。
また本発明の熱可塑性樹脂成形体は、酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤が配合されてマテリアルリサイクルされるものであることが好ましい。この場合、耐加水分解安定剤がカルボジイミド化合物であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部のカルボジイミド化合物が配合されることが、より好ましい。
本発明はさらに、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融して成形する熱可塑性樹脂成形体の製造方法についても提供する。本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、脂肪族ポリエステル樹脂とビニル系重合体とを混合して加熱溶融して成形する工程と、上記成形して得られた成形物にさらにスチレン系樹脂を混合して加熱溶融して成形する工程とを含むことが好ましい。
本発明はさらに、上述した本発明の熱可塑性樹脂成形体を加熱溶融して成形する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法についても提供する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性、剛性、強度などの初期の機械特性バランスに優れ、長期間にわたり初期の優れた特性のバランスを保持し、家電製品、OA機器、電気電子部品などの長期間にわたり使用される要求特性の高い部材、製品に好適に採用できる熱可塑性樹脂成形体を実現することができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス由来の成分を好ましくは含有し得、この場合には、環境負荷の低い部材、製品を提供できる。さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた熱可塑性樹脂成形体は、長期間使用されても物性低下が少なく、初期の優れた特性バランスを保持するため、マテリアルリサイクルも可能であるという利点を有する。また、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法によれば、通常使用されている設備を用いることができるため、特殊な専用設備を作製することなく、新たな設備投資の低減に貢献できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、それぞれ特定の比率で配合されたスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体とを含むことを特徴とする。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、後述するように耐衝撃性、剛性、強度などの初期の機械特性バランスに優れ、長期間にわたり初期の優れた特性のバランスを保持し、家電製品、OA機器、電気電子部品などの長期間にわたり使用される要求特性の高い部材、製品に好適に採用できる熱可塑性樹脂成形体を実現することができるものである。またこのような本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた熱可塑性樹脂成形体は、長期間使用されても物性低下が少なく、初期の優れた特性バランスを保持するため、マテリアルリサイクルも可能であるという利点を有する。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される各成分について詳細に説明する。
<スチレン系樹脂>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられるスチレン系樹脂は、スチレン成分を含むものであればよく、特に制限されるものではない。本発明に用いられるスチレン系樹脂としては、たとえばスチレン重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられ、また、ブタジエンゴムなどのエラストマーを共重合させたものであってもよく、スチレン成分を含むならば、たとえば変性ポリフェニレンエーテルなどの他の樹脂とのポリマーアロイであってもよい。本発明におけるスチレン系樹脂は、上述した1種または複数種を好ましく用いることができるが、中でも、脂肪族ポリエステル樹脂と親和性の高いアクリル成分を有するスチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、耐衝撃性、強度、剛性、成形性などの特性のバランスに優れることから、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したスチレン系樹脂を、当該スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とした場合に1〜98重量部、好ましくは10〜80重量部含む。スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とした場合にスチレン系樹脂の配合量が1重量部未満である場合には、優れた特性バランスが崩れ、また、98重量部を超える場合には、熱可塑性樹脂組成物がほとんどスチレン系樹脂で構成されるため、環境負荷の低い部材、成形体は提供できなくなるためである。
<脂肪族ポリエステル樹脂>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる脂肪族ポリエステル樹脂としては、特に制限されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、具体的には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシカルボン酪酸、ポリ4−ポリヒドロキシ酪酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられる。また脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、たとえばポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂として、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体の中でも、環境負荷の低減という点からは、バイオマス由来の資源であるポリ乳酸がより好ましい。ポリ乳酸の中でも、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とするポリ乳酸重合体が特に好ましく用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した脂肪族ポリエステル樹脂を、スチレン系樹脂、当該脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とした場合に1〜80重量部、好ましくは10〜70重量部含む。スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とした場合に脂肪族ポリエステル樹脂の配合量が1重量部未満である場合には、環境負荷の低い部材、製品を提供できず、80重量部を超える場合には、優れた特性のバランスを保持できなくなるためである。
<ビニル系重合体>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられるビニル系重合体としては、下記式で表されるようなビニル基を含み、C、H以外の原子または芳香族環を有するものであれば、特に制限されるものではない。
C=C−R1
上記式中、R1は、C、H以外の原子および/または芳香族環を示す。たとえば、R1がHC65(芳香族環)である場合、上記式で表されるビニル基はスチレン基となる。この場合、上述したアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂は、ビニル系重合体に属することになるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したスチレン系樹脂を2種以上と、脂肪族ポリエステル樹脂とを特定比率にて配合して実現されてもよい(この場合、スチレン系樹脂のうちの少なくともいずれかがビニル系重合体の比率となるように配合されていればよい)。本発明におけるビニル系重合体としては、上述したスチレン系樹脂のほか、たとえば塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニレデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂などから選ばれる少なくとも1種以上を用いることができるが、中でも、上述したように脂肪族ポリエステル樹脂として好ましく用いられ得るポリ乳酸と親和性を示すことから、アクリル酸エステルの重合体および/またはメタクリル酸エステルの重合体であるアクリル系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた熱可塑性樹脂成形体(後述)の物性保持時間、ノッチ付アイゾット衝撃強度、面衝撃強度などの物性を改善し得る観点からは、ビニル系重合体は2種以上配合されてなることが好ましい。
本発明に用いられるビニル系重合体がアクリル系樹脂を主成分とする場合、たとえばポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられる。ポリアクリロニトリルは、主成分として、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル類を含み、スチレン、アクリル酸エステル類との共重合体、もしくはその共重合体を連続相とし、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン、ポリイソプレンなどの弾性体相が化学結合または混合した形で分散されたものであればよい。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)はメタクリル酸メチルを主成分とした樹脂である。上述したように脂肪族ポリエステル樹脂として好ましく用いられ得るポリ乳酸と親和性の観点からは、ボニル系重合体として、PMMA樹脂を主成分とするものを用いることが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられるビニル系重合体は、たとえば、ポリ乳酸重合体は末端基として水酸基およびカルボキシル基を有することから、成形性調整、鎖長延長による溶融状態の粘度の調整および末端基封鎖による耐加水分解性改善の観点から、水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有することが好ましい。水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基としては、たとえば、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられ、中でも反応性の観点からは、エポキシ基が特に好ましい。なお、エポキシ基は、グリシジル基などのように他の官能基の一部として存在していてもよい。グリシジル基を有するものとしては、たとえば、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルなどが挙げられ、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどが例示される。このようなグリシジル基を有するビニル系重合体としては、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−グリシジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体が好ましく、中でも脂肪族ポリエステルとの親和性の点からスチレン成分を含まないメタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体が特に好ましい。
本発明におけるビニル系重合体が上述した水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する場合、このような官能基を導入する方法は特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の方法を用いることができる。たとえば、共重合体の合成の段階で、上述した官能基を有する単量体を共重合することにより導入することができるし、また、共重合体に上述した官能基を有する単量体をグラフト共重合することで導入することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したビニル系重合体を、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂および当該ビニル系重合体の合計を100重量部とした場合に1〜80重量部、好ましくは5〜70重量部含む。スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とした場合にビニル系重合体の配合量が1重量部未満である場合には、初期の優れた特性バランスを保持できず、また、80重量部を超える場合には、優れた特性バランスを崩してしまうためである。
<ゴム質含有共重合体>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体に加え、ゴム質含有共重合体をさらに含むことが好ましい。ゴム質含有共重合体は、ゴム質成分を含有しているならば特に制限されるものではなく、ゴム質成分としては、たとえば、エチレン/プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサンなどのシリコン系ゴム、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブチレン/ブタジエン共重合体などのブタジエン系ゴムが挙げられる。本発明におけるゴム質含有共重合体は、ゴム質成分を含んでいるならば、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン共重合体やアクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体などであってもよい。本発明におけるゴム質含有共重合体は、1種または2種以上を用いることができる。
本発明におけるゴム質含有共重合体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた熱可塑性樹脂成形体(後述)において、ノッチ付アイゾット衝撃強度、面衝撃強度、物性保持時間などの物性を良好に改善することができるため、アクリル系成分を含むことが好ましい。耐熱性、耐久性の観点からは、このアクリル系成分は、ポリオルガノシロキサンなどのシリコーン系ゴムと、アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸エチル共重合体などのアクリル系ゴムとの複合ゴムであるシリコーン・アクリル系成分であることが好ましい。また、耐衝撃性の観点からは、本発明におけるゴム質含有共重合体はゴム質成分としてブタジエン系のゴムを含有することが好ましいため、アクリル系成分は、このブタジエン系のゴムをコアとし、アクリル酸エステルをシェルとするコア・シェル型アクリル系成分であってもよい。このように、本発明におけるゴム質含有共重合体は、アクリル成分として上述したシリコーン・アクリル系成分および/またはコア・シェル型アクリル成分を含有してなることが好ましい。
なお、アクリル系成分を含有する場合、その含有率は、ゴム質含有共重合体中、5〜95%の範囲内であることが好ましく、10〜80%の範囲内であることがより好ましい。アクリル系成分の含有率がゴム質含有共重合体中5%未満である場合には、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂および/またはビニル系重合体との親和性に欠け、耐熱性、耐久性ならびに耐衝撃性を十分に改善できない傾向にあり、また、95%を超える場合には、ゴム質成分が少ないため、耐衝撃性を十分に改善できない傾向にあるためである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したゴム質含有共重合体を含有する場合、その含有率は特に制限されるものではないが、上述したスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計100重量部に対し、0.5〜50重量部の範囲内であることが好ましく、1〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。ゴム質含有共重合体の含有率が0.5重量部未満である場合には、ノッチ付アイゾット衝撃強度や面衝撃強度などの耐衝撃性が十分に改良できない傾向にあるためであり、また50重量部を超える場合には、優れた特性バランスを崩す虞があるためである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ビニル系重合体(場合によってはさらにゴム質含有共重合体)に加え、酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤をさらに含有してなることが好ましい。酸化防止剤をさらに含有する場合には、本発明の熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂成形体(後述)の酸化による劣化を防止することができるという利点がある。また耐加水分解安定剤をさらに含有する場合には、熱可塑性樹脂成形体(後述)の加水分解による劣化を防止または抑制して、熱可塑性樹脂成形体を長期にわたる使用に耐え得るように実現できるという利点がある。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、たとえばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などから選ばれる少なくとも1種の従来公知の適宜の酸化防止剤を特に制限されることなく用いることができる。中でも、熱安定性、色調の安定性の観点からは、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤を用いることが好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、n−オクデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロオキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロオキシフェニル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニル]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが例示され、また、リン系酸化防止剤としては、具体的には、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4’−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル)トリデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル−ジ−トリデシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2’メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が酸化防止剤をさらに含有する場合、その含有率は特に制限されるものではない。上述したように酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤を含有する場合には、長期間の使用中における酸化による劣化を防ぐことから、熱可塑性樹脂組成物(上述したスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計)100重量部に対し、0.01〜5重量部(より好適には0.05〜1重量部)のフェノール系酸化防止剤、および/または、0.01〜5重量部(より好適には0.05〜1重量部)のリン系酸化防止剤を含有してなることが好ましい。
<耐加水分解安定剤>
耐加水分解安定剤としては、加水分解を防止または抑制する機能を有するものであれば、特に制限されることなく、たとえばカルボジイミド化合物、エポキシ化合物などから選ばれる少なくとも1種の従来公知の適宜の耐加水分解安定剤を用いることができる。ここで、カルボジイミド化合物とは、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物を意味する。本発明における耐加水分解安定剤としては、上述した脂肪族ポリエステル樹脂(好ましくはL−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とするポリ乳酸重合体)の一部を構成する水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するものであることが好ましく、このような官能基としては、たとえばエポキシ基、カルボジイミド基、アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、無水カルボン酸基、無水フタル酸などが挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂の一部を構成する水酸基および/またはカルボキシル基との反応性の高さからは、カルボジイミド基が好ましく、このカルボジイミド基を分子中に1個以上有する化合物であるカルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として用いることが好ましい。
上述したカルボジイミド化合物としては、具体的には、分子内に1個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としてイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミドなどが例示され、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としては、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアナート、1−メチル―2、6−シクロヘキサンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどが例示される。良好な耐加水分解安定性を示す観点からは、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として用いることが好ましい。
耐加水分解安定剤を含有する場合、その含有率については特に制限されるものではないが、上述したように耐加水分解安定剤としてカルボジイミド化合物を用いる場合には、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜5重量部の範囲内であることがより好ましい。カルボジイミド化合物の含有率が脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.01重量部未満である場合には、耐加水分解性に劣り、長時間にわたる使用に耐えきれない虞があるためであり、また、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し10重量部を超える場合には、これを用いた熱可塑性樹脂成形体(後述)の物性のバランスが崩れてしまう虞があるためである。
<熱可塑性樹脂成形体>
本発明はまた、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融した後、成形して得られた熱可塑性樹脂成形体についても提供するものである。本発明の熱可塑性樹脂成形体は、その形状は特に制限されるものではなく、たとえば各種製品の部材に応じた形状に成形されていてもよいし、各種製品の部材に応じた形状に成形する工程に用いるための前駆体としてペレット状、シート状、フィルム状、パイプ状などの形状であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂成形体を上述した前駆体として用いる場合には、ペレット状の形状であることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂成形体をペレット状とする場合、その粒径は特に制限されるものではないが、粒径1mm未満である場合は、浮遊するため作業性が低下するという傾向があることから、粒径は1mm以上であることが好ましく、特に2mm以上であることが好ましい。また、本発明の熱可塑性樹脂成形体をペレット状とする場合、粒径が8mmを超える場合には、成形機のシリンダ内で十分に溶融しないため均一に混練されないという傾向があるため、その粒径は8mm以下であることが好ましく、特に5mm以下であることが好ましい。上述した前駆体から各種製品の部材に応じた形状に成形する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえばスクリュインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機などの射出成形機を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、上述した組成を有することにより、以下の(1)〜(3)の少なくともいずれかの優れた特性のバランスを有するように実現され得るものである。
(1)面衝撃強度が10cm以上である、
(2)ノッチ付アイゾット衝撃強度が4kJ/m2以上である、
(3)ノッチ付アイゾット衝撃強度が初期のノッチ付アイゾット衝撃強度の75%を保持する時間(物性保持時間)が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で300時間以上である。
(1)面衝撃強度
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、たとえばJIS K7211の規定に準拠して測定された面衝撃強度が好ましくは10cm以上であり、より好ましくは30cm以上であるように実現され得る。ここで、「面衝撃強度」とは、一定の高さから錘を落下させ、どの高さで材料が割れるかを示すものであり、異種材料が混合しているような材料は、互いの材料が界面で剥離している(相容していない)ため、面衝撃強度が小さくなり、相容しているかどうかの指標になるものである。好ましくは10cm以上、より好ましくは30cm以上の面衝撃強度を有するように実現された本発明の熱可塑性樹脂成形体は、重量のあるものを落としたり、ぶつけたりしても割れたり、クラックが入る虞がないため、たとえば家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)などの強度の必要な外装部材に好適に用いることができる。
(2)ノッチ付アイゾット衝撃強度
また本発明の熱可塑性樹脂成形体は、たとえばJIS K7110の規定に準拠して測定されたノッチ付アイゾット衝撃強度が好ましくは4kJ/m2以上であり、より好ましくは5kJ/m2以上である。ここで、「アイゾット衝撃強度」とは、材料に高速で負荷を与えた際、その破壊に対する抵抗力を表現するものである。一般に強度が大きいと硬くて強い材料、小さいと脆くて弱い材料といえるが、ゴムのように弾性が大きいために破壊しにくい材料もある。好ましくは4kJ/m2以上、より好ましくは5kJ/m2以上のノッチ付アイゾット衝撃強度を有するように実現された本発明の熱可塑性樹脂成形体は、たとえばツメを有する成形品などに用いても、この成形品の組立時にツメが折れてしまう可能性が低いため、このようなツメを有する成形品に好適に用いることができる。
(3)物性保持時間
また、本発明の熱可塑性樹脂成形体は、たとえばJIS K7110の規定に準拠して測定されたノッチ付アイゾット衝撃強度が初期のノッチ付アイゾット衝撃強度の75%を保持する時間が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で300時間以上であることが好ましく、400時間以上であることがより好ましい。このようなノッチ付アイゾット衝撃強度の保持時間を有するように実現された本発明の熱可塑性樹脂成形体は、長期に使用してもツメ、リブなどが折れて成形品が破損してしまうなどの支障をきたす虞がない。
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、上述したように優れた初期の特性バランスを保持するものであるため、その用途は特に制限されるものではないが、マテリアルリサイクルされる製品に好適に用いることができる。このようなマテリアルリサイクルされる製品としては、特に制限されるものではなく、たとえば、上述した家電4品目を含む家電製品、OA機器(パーソナルコンピュータなどの情報機器やプリンターやコピー機などの事務機器を含む)、電気電子部品などの各種製品が挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂成形体は、これら家電製品、OA機器、電気電子部品などの各種製品の部材として好適に用いることができ、初期の優れた特性バランスと、初期の優れた特性バランスを長期間にわたり保持するという本発明の熱可塑性樹脂成形体が有する特徴を十分に活用し得る観点からは、中でも、家電4品目であるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の部材として特に好適に用いることができる。
なお、本発明の熱可塑性樹脂成形体は、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体をそれぞれ特定の比率で含有するものであるが、上述したように酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤をさらに含有する場合には、長期にわたり初期の優れた特性バランスを保持することができる。マテリアルリサイクルされた後にも、長期間の使用に耐え得るためには、マテリアルリサイクルする際に酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤が添加されることが好ましい。なお、マテリアルリサイクル方法は、特に制限はないが、加熱溶融して特定の形状に成形されること好ましい。酸化防止剤を添加する場合には、上述したようにスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部のフェノール系酸化防止剤、および/または、0.01〜5重量部のリン系酸化防止剤を添加することが好ましい。また、耐加水分解安定剤を添加する場合には、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部のカルボジイミド化合物を添加することが好ましい。
<熱可塑性樹脂成形体の製造方法>
上述した本発明の熱可塑性樹脂成形体を製造する方法については、特に制限されるものではないが、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融して成形する方法によって製造されることが好ましい。本発明は、このような熱可塑性樹脂成形体の製造方法についても提供するものである。本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法によれば、通常使用されている設備を用いることができるため、特殊な専用設備を作製することなく、新たな設備投資の低減に貢献できる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法において、熱可塑性樹脂組成物の加熱溶融および成形には、たとえば単軸押出機成形機、多軸式押出成形機などの押出成形機を好適に用いることができる。本発明の熱可塑性樹脂成形体を上述のようにペレット状に成形する場合には、シートカット、ストランドカット、ホットエアカット、アンダーウォーターカットなどの方法を好適に用いることができる。これらの方法の中でも、後に、射出成形により特定の形状に成形する場合には、樹脂原料の供給が円滑に行なえ、大量処理にも対応できるアンダーウォーターカットが特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法では、脂肪族ポリエステル樹脂とビニル系重合体とを混合して加熱溶融して成形する工程と、上記成形して得られた成形物にさらにスチレン系樹脂を混合して加熱溶融して成形する工程とを含むことが好ましい。このように、予め脂肪族ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物を加熱溶融して一旦特定の形状(たとえばペレット状)に成形した後に、この成形物にさらにスチレン系樹脂を混合して加熱溶融して特定の形状に成形するようにすることで、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体を一度に混合後、加熱溶融して成形する場合と比較して、同じ組成であるにもかかわらず面衝撃強度、ノッチ付アイゾット衝撃強度などの物性を改善できる。
本発明はさらに、マテリアルリサイクルされる際の熱可塑性樹脂成形体の製造方法についても提供する。本発明のマテリアルリサイクルされる際の熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂成形体と酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤を混合して加熱溶融して成形する工程を含むことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(サンプルの調整)
実施例および比較例には、下記材料を用いた。
・スチレン系樹脂:ABS樹脂(テルランGP−35、BASF製)
・脂肪族ポリエステル樹脂:ポリ乳酸樹脂(レイシアH−100J、三井化学製)
・ビニル系重合体(1):PMMA樹脂(アクリペットMD001、三菱レイヨン製)
・ビニル系重合体(2):メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体(メタブレンP−551、三菱レイヨン製)
・ビニル系重合体(3):ポリメタクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレートグラフト共重合体(レゼダGP−301、東亞合成製)
・ゴム質含有共重合体(1):シリコーン−アクリル系ゴム(メタブレンS−2001、三菱レイヨン製)
・ゴム質含有共重合体(2):コア・シェル型ブタジエン−アクリル系ゴム(メタブレンC−223A、三菱レイヨン製)
・ゴム質含有共重合体(3):スチレン−ブタジエン系ゴム(タフプレン126、旭化成製)
・酸化防止剤(1):フェノール系酸化防止剤(アデカスタブAO−51、旭電化製)
・酸化防止剤(2):リン系酸化防止剤(アデカスタブHP10、旭電化製)
・耐加水分解安定剤:カルボジイミド化合物(カルボジライトLA−1、日清紡製)
<実施例1>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(1)とを、75:25:10の比率(重量比)で、タンブラー混合機を用いて混合し、熱可塑性樹脂組成物を調製した。次に、熱可塑性樹脂組成物をスクリュー径25mm、L/D=26の二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製)を用いて、設定温度220℃で加熱溶融混練するとともに、押出成形し、ペレタイザーを用いてカットし、ペレット状の熱可塑性樹脂成形体を得た。得られた熱可塑性樹脂成形体を、10トン射出成形機(日精樹脂株式会社製)ホッパーに投入し、設定温度220℃、金型温度40℃、冷却時間30秒の射出成形条件で、後述する引張強度、伸び、曲げ強度、曲げ弾性率およびアイゾット衝撃強度を測定するためのASTM準拠の物性測定用試験片を作製した。また、面衝撃強度測定のために、厚さ3mmの物性測定用試験片も作製した。
<実施例2>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(3)とを、75:25:3の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例3>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(1)とを、75:25:3:10の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例4>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(1)とを、75:25:1.5:10の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例5>
脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系共重合体(3)とを予め加熱溶融してペレット状とした後、これにスチレン系樹脂およびゴム質含有共重合体(1)を混合して加熱溶融して成形したこと以外は実施例4と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例6>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(2)とを、75:25:3:10の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例7>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(3)とを、75:25:3:10の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例8>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(1)と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(1)とを、75:25:10:1.5:10の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例9>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(2)と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(1)とを、75:25:10:1.5:10の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例10>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(1)と、ビニル系重合体(3)と、ゴム質含有共重合体(1)と、酸化防止剤(1)と、酸化防止剤(2)と、耐加水分解安定剤とを、75:25:10:1.5:10:0.3:0.3:1の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実施例11>
実施例10と同様の組成で配合した熱可塑性樹脂組成物を、射出成形した後に、温度65℃、湿度90%RH条件下に300時間放置した後、さらに酸化防止剤(1),(2)を0.15(重量比)と、耐加水分解安定剤を1(重量比)添加して押出成形したこと以外は、実施例10と同様にして、各試験片を作製した。
<比較例1>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂とを、75:25の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<比較例2>
上述したスチレン系樹脂と、脂肪族ポリエステル樹脂と、ビニル系重合体(3)とを、75:25:1の比率(重量比)で用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<比較例3>
スチレン系樹脂のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、各試験片を作製した。
<評価試験>
実施例1〜9、比較例1〜3で作製した各試験片を用いて、以下の各種物性の評価試験を行なった。
・引張強度(MPa)および伸び(%)
JIS K7113の規定に準拠して、引張破断点降伏強さ、引張破断点伸びとしてそれぞれ測定した。なお、「引張強度」、「伸び」とは、材料を一定の速度で引張、応力と歪の関係を求めるもので、伸長された材料は、はじめに弾性変形をし、その後塑性変形をはじめ、極大強度に達し、さらに降伏点を越えるとネッキングを生じ、破断に至る。応力の一番大きいところ(最大点応力)を「引張強度」、破断したときの歪(破断点伸び)を「伸び」としている。
・曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(GPa)
JIS K7203の規定に準拠してそれぞれ測定した。なお、「曲げ強度」、「曲げ弾性率」とは、2点で支えた試験片の中心に応力をかけることにより、応力と歪の関係を求めるものである。応力の一番大きいところを「曲げ強度」、応力−歪曲線の傾きを「曲げ弾性率」としている。
・ノッチ付アイゾット衝撃強度(KJ/m2
JIS K7110の規定に準拠して測定した。
・面衝撃強度(cm)
JIS K7211の規定に準拠して測定した。なお、表1中の「>200」は、面衝撃強度が200cm以上、「<2.5」は2.5cm以下であることを示す。
・物性保持時間(hr)
JIS K7110の規定に準拠して測定されるノッチ付アイゾット衝撃強度が、65℃90%RHの条件下で初期のノッチ付アイゾット衝撃強度の75%以上を保持する時間を評価した。なお、表1中、「>1000」は物性保持時間が1000hr以上であることを示している。
結果を表1に示す。
Figure 2008239883
表1から、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体(1)が配合された実施例1と、ビニル系重合体(1)が配合されていない比較例1とを比較すると、ノッチ付アイゾット衝撃強度、面衝撃強度及び物性保持時間が改善されていることが理解できる。しかしながら、実施例1では、曲げ弾性率が2.52(GPa)であるため、比較例3から理解されるようアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の代替材料としては、若干、曲げ弾性率が大きい。
またスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体(3)が配合された実施例2では、ビニル系重合体(3)が配合されていることで、ノッチ付アイゾット衝撃強度、面衝撃強度および物性保持時間が改善されていることが理解できる。しかしながら、実施例2では、比較例3から理解されるように、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の代替材料としては、ノッチ付アイゾット衝撃強度および面衝撃強度が弱い。
また、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体(3)に加え、さらにゴム質含有共重合体(1)を配合した実施例3では、実施例2と比較してノッチ付アイゾット衝撃強度および面衝撃強度が改善されていることが理解できる。
実施例4では、他の実施例および比較例と同様に、熱可塑性樹脂組成物の各成分を混合して一括して加熱溶融して成形しているのに対し、実施例5では、脂肪族ポリエステル樹脂とビニル系重合体とをまず予め加熱溶融してペレット状に成形しておき、この成形物にさらにスチレン系樹脂およびゴム質含有共重合体(1)を添加して加熱溶融し、成形するようにしている。実施例4と実施例5は同じ組成であるにも関わらず、製造方法の違いにより、実施例5の方がノッチ付アイゾット衝撃強度および面衝撃強度が改善されていることが分かる。
実施例6では、実施例3のゴム質含有共重合体(1)に代えてゴム質含有共重合体(2)が配合された例であるが、これによって実施例3と比較してノッチ付アイゾット衝撃強度および面衝撃強度が改善されていることが理解できる。これに対し、実施例7は、実施例6のゴム質含有共重合体(2)に代えてゴム質含有共重合体(3)が配合された例であるが、この場合は、ノッチ付アイゾット衝撃強度、面衝撃強度および物性保持時間は実施例3、6と比較して低くなっている。このことから、ゴム質含有共重合体としては、アクリル系成分を含むものを用いることが好ましいことが理解される。
実施例8では、ビニル系重合体を複数種(具体的には、ビニル系重合体(1)、(3)の組み合わせ)用いていることで、たとえば実施例3と比較して物性保持時間が改善されていることが理解される。また、実施例9では、ビニル系重合体を複数種用いた例として、ビニル系重合体(2)、(3)を組み合わせたことで、たとえば実施例3と比較して物性保持時間に加えてノッチ付アイゾット衝撃強度、面衝撃強度も改善されていることが理解できる。
さらに、実施例10では、さらに酸化防止剤(1)、(2)および耐加水分解安定剤を配合した例を示しているは、酸化防止剤および耐加水分解安定剤をさらに添加することで、物性保持時間が改善されていることが理解できる。なお、比較例3と比較すると、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、耐衝撃強度は同等の値であり、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の代替材料としても採用できる可能性があることを示している。
また実施例11は、実施例10と同じく酸化防止剤(1)、(2)および耐加水分解安定剤をさらに配合して調製した熱可塑性樹脂組成物を、射出成形した後に、温度65℃、湿度90%RH条件下に300時間放置した後に、さらに酸化防止剤(1)、(2)および耐加水分解安定剤を添加した例である。ここで、温度65℃および湿度90%RHは、長期の使用を考慮し、長期間の使用状況を忠実に模写した劣化加速条件であり、実施例11は、マテリアルリサイクルされた状況を示している。表1に示される実施例11の結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた熱可塑性樹脂成形体は、マテリアルリサイクルされた後も、その後、十分に優れた特性バランスを保持していることが理解できる。
今回開示された実施の形態及び実施例は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明の熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂組成物成形体は、耐衝撃性、剛性、強度などの特性バランスに優れ、長期間の使用にも耐えうることから、長期間使用されるような要求特性の高い家電製品、OA機器、電気電子部品等の部材、製品に採用することができる。

Claims (26)

  1. スチレン系樹脂1〜98重量部と、脂肪族ポリエステル樹脂1〜80重量部と、ビニル系重合体1〜80重量部(但し、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計を100重量部とする)とを含む、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記スチレン系樹脂が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸ポリエステル樹脂が、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とするポリ乳酸重合体である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ビニル系重合体が2種以上配合されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ビニル系重合体が、アクリル酸エステルの重合体および/またはメタクリル酸エステルの重合体を主成分とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記ビニル系重合体が、水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基がエポキシ基である、請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. ゴム質含有共重合体0.5重量部〜50重量部をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記ゴム質含有共重合体がアクリル系成分を含む、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記アクリル系成分がシリコーン・アクリル系成分および/またはコア・シェル型アクリル系成分である、請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤および/またはリン系の酸化防止剤であり、熱可塑性樹脂組成物100重量部中、フェノール系酸化防止剤0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤0.01〜5重量部を含む、請求項11に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 前記耐加水分解安定剤がカルボジイミド化合物であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、当該カルボジイミド化合物を0.01〜10重量部含む、請求項11または12に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融した後、成形して得られた、熱可塑性樹脂成形体。
  15. ペレット状である、請求項14に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  16. 面衝撃強度が10cm以上である、請求項14または15に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  17. ノッチ付アイゾット衝撃強度が4kJ/m2以上である、請求項14〜16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体。
  18. ノッチ付アイゾット衝撃強度が初期のノッチ付アイゾット衝撃強度の75%を保持する時間が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で300時間以上である、請求項14〜17のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体。
  19. 家電製品、OA機器、電気電子部品なる群から選ばれる製品に用いられるものである、請求項14〜18のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体。
  20. マテリアルリサイクルされる製品に用いられる、請求項14〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体。
  21. マテリアルリサイクルされる製品が家電製品である、請求項20に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  22. 酸化防止剤および/または耐加水分解安定剤が配合されてマテリアルリサイクルされる、請求項20または21に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  23. 耐加水分解安定剤がカルボジイミド化合物であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部のカルボジイミド化合物が配合される、請求項22に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  24. 請求項1〜13のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融して成形する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  25. 脂肪族ポリエステル樹脂とビニル系重合体とを混合して加熱溶融して成形する工程と、上記成形して得られた成形物にさらにスチレン系樹脂を混合して加熱溶融して成形する工程とを含む、請求項24に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  26. 請求項20〜23のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体を加熱溶融して成形する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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