JP2010005948A - バイオマス系プラスチック成形体の製造方法およびバイオマス系プラスチック成形体 - Google Patents

バイオマス系プラスチック成形体の製造方法およびバイオマス系プラスチック成形体 Download PDF

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憲武 隅田
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Abstract

【課題】バイオマス系プラスチック廃材を、環境負荷が少なく、諸特性を備えるように再資源化して、バイオマス系プラスチック成形体を製造し得る方法、ならびに当該方法で得られるバイオマス系プラスチック成形体を提供する。
【解決手段】アクリル系樹脂を主成分とし、かつ、L−乳酸およびD−乳酸から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするポリ乳酸重合体を有するバイオマス系プラスチック廃材に、スチレン系樹脂を含むプラスチックを混合して加熱溶融して、バイオマス系プラスチック廃材からバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程と、再資源化されたバイオマス系プラスチック原料を用いて、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体を製造する工程とを含む、バイオマス系プラスチック成形体の製造方法、ならびにバイオマス系プラスチック成形体。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマス系プラスチック成形体の製造方法およびバイオマス系プラスチック成形体に関する。
近年、わが国では所得水準の向上に伴い、エアコンディショナ(本明細書において、エアコンとも呼称する)、テレビジョン受信機(本明細書において、テレビとも呼称する)、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサなどの情報機器、プリンタ、ファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具、文具、玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性は飛躍的に向上しつつある。
一方、その結果、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄量も年々増加する傾向にある。ここで、従来は、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄物の再資源化は、鉄くずの回収ルートを通じて行われる場合が多かった。
しかし、近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少してプラスチックからなる部材の割合が増加する傾向にある。プラスチックは、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を付与することができ、軽量であり耐久性が高いことなどの多くの利点を有するためである。
そして、近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃棄物は、各種構成部材の材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なく、有価性が低く、かつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチックからなる部材の割合が多くなっており、従来の鉄くずの回収ルートではこのような廃棄物を再資源化しても採算がとれないため、対応が難しい状況になりつつある。
これらのプラスチックからなる部材は、原油などの埋蔵化石燃料を基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらのプラスチックからなる部材を備えた製品の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。
また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化、酸性雨といった環境破壊や、塩素化合物を含むプラスチックの焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチックを含む廃棄物の増大によるゴミ埋立処理場の不足といった問題を抑制するという観点からも、これらのプラスチックからなる部材を備えた製品の廃棄物の再資源化が重要かつ緊急の課題となってきつつある。
なお、本明細書においては、プラスチックからなる部材を「プラスチック部材」とも呼称する。また、本明細書においては、プラスチック部材を備えた製品を「プラスチック製品」とも呼称する。さらに、本明細書においては、プラスチック製品の廃棄物を「プラスチック廃材」とも呼称する。
ここで、上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法が施行された。ここで、家電リサイクル法においては、2002年1月現在においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目のリサイクルが義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
そこで、こうして回収されたプラスチック廃材から、たとえば手解体などの方法により、プラスチックの系統ごとにプラスチック部材を分離して、それらのプラスチック部材を再度、製品の部材またはその原料に加工して使用するプラスチック廃材の再資源化方法が提案されている。このような再資源化方法は、サーマルリサイクルと対比して、マテリアルリサイクルと呼ばれる。上述のようにプラスチックの系統ごとに分離されたプラスチック部材は、加熱溶融して再度成形することにより比較的容易にマテリアルリサイクルすることが可能となる。
そのため、現在、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルの比率を高めるために、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルによる再資源化方法の研究開発が、各方面で多大な努力を払って行われている。
しかしながら、プラスチック廃材、特に家電製品や事務用機器などに使用されているプラスチック廃材は、厳しい環境で長期間使用されることが多いため、廃材となった時点で既に特性が低下しており、変色または退色などの外観上の特性の低下だけでなく、強度、柔軟性などの物性も低下した耐久性に乏しい材料になっていることが多い。
そのため、プラスチック廃材は、要求特性の高いプラスチック部材に用いられるプラスチックのバージン材の代替用途ではなく、要求特性の高いプラスチック部材の原料として用いられることが多い。
そして、現在のところ、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルとしては、このようなカスケードリサイクルが主流となっている。そのため、プラスチック廃材から再生されるプラスチック廃材が大量にあるということが問題となっている。
ここで、本明細書において、バージン材とは、未使用のプラスチックのことを意味するものとする。また、本明細書において、特性の低下したプラスチック廃材を、要求特性の高いプラスチック部材に用いられるプラスチックのバージン材の代替用途ではなく、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いることを、カスケードリサイクルと呼称する。
このような問題を克服するため、上記プラスチック廃材からのマテリアルリサイクルにより得られるプラスチック成形体の特性を向上させ、要求特性の高いプラスチック部材としても使用可能な水準に到達させるべく、多くの研究開発努力がなされている。
特に、マテリアルリサイクルを考慮した新しい方法では、微生物由来、植物由来をはじめとするバイオマス由来の持続可能な資源を利用することや、繰り返しユース、リサイクルが可能な資源を利用することが強く求められている。
持続可能な資源という観点から、環境にやさしいバイオマス由来の資源が注目されている。バイオマス由来の資源の中でも特に植物由来の資源は、再生可能であり、焼却されても、植物の成長過程で吸収した二酸化炭素を放出するだけなので、植物由来の資源のライフサイクルにおいて二酸化炭素濃度が増加しないとされており、環境にやさしい材料である。環境にやさしい材料である植物由来の資源の由来を拡大し、適切に循環させるよう、近年、様々な分野で植物由来の資源が開発されつつあり、その利用技術のさらなる拡大が重要な課題となっている。
植物由来の資源においては、溶融成形可能であること、燃焼時の燃焼熱量の低さや大量生産された場合のコストなどの点からポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸の生分解性を有する特性を生かし、ポリ乳酸の使用後、土壌埋設やコンポスト化などの処理を行うことでプラスチック廃棄処理問題において有用な解決法であると有望視されている。しかしその分解速度は、樹脂種、成形体の大きさ、また形状によってまちまちであり、分解速度の遅い生分解性樹脂は土壌中やコンポスト装置内に長期間残存することがあり、一般に広く普及することの妨げとなっており環境にやさしいとは言い難い。
また、ポリ乳酸は、一般的に硬くて脆い材料であり、耐熱性、成形性は優れず、生分解性を有しているため、長期間の使用には不向きである。このような問題を解決するため、個々のポリマーの欠点を改良する方法として広く知られているポリマーブレンドまたはポリマーアロイとして、2種またはそれ以上のポリマー同士を混合することが、ポリ乳酸に対しても検討されている。
たとえば特開2008−13639号公報(特許文献1)には、ポリ乳酸の耐衝撃性を改善するために、アクリル系樹脂およびグリシジル基含有ビニル系単位を含む重合体を添加する方法が記載されている。特許文献1には、耐熱性、透明性、耐衝撃性および耐加水分解性に優れる樹脂成形物が得られることが記載され、リサイクルの際、使用済みの資源を、化学反応により組成変換し、単離した樹脂をそれぞれ単独でリサイクルするケミカルリサイクルが提示されている。しかしながら、実際にケミカルリサイクルする際は、種々の成分が含まれることから、ケミカルリサイクルにおいて得られる原料の回収率を低下させたり、純度を低下させるなど、効率よく回収することは難しい。
特開2008−13639号公報
上記のように、バイオマス系プラスチックは、今後耐久消費財などの部材として使用されることが予想され、将来的にはこれらの部材も再資源化が要求される。さらに、耐久消費財にバイオマス系プラスチックが混在するケースがある。市場から回収されたバイオマス系プラスチック廃材からマテリアルリサイクルにより、再利用が可能であり、用途が広く、プラスチック部材またはその原料としても使用可能な特性を有する、バイオマス系プラスチック成形体を得ることができる、効率的かつ低コストのプラスチック廃材の再資源化方法の開発が強く望まれているにもかかわらず、そのような再資源化方法は未だ公知となっていないのが現状である。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、バイオマス系プラスチック廃材を、環境負荷が少なく、諸特性を備えるように再資源化して、バイオマス系プラスチック成形体を製造し得る方法、ならびに当該方法で得られるバイオマス系プラスチック成形体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、バイオマス系プラスチック廃材に複数種類のプラスチックを混合し、加熱溶融することで、バイオマス系プラスチック成形体を得ればよいとの着想を得、そのようなバイオマス系プラスチック廃材から得られる原料ペレット状のプラスチック成形体を調製し、物性についての実験を行い、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法は、アクリル系樹脂を主成分とし、かつ、L−乳酸およびD−乳酸から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするポリ乳酸重合体を有するバイオマス系プラスチック廃材に、スチレン系樹脂を含むプラスチックを混合して加熱溶融して、バイオマス系プラスチック廃材からバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程と、再資源化されたバイオマス系プラスチック原料を用いて、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体を製造する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法におけるバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含むことが、好ましい。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法において、スチレン系樹脂はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体であることが好ましい。
また本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法において、ビニル系重合体がアクリル酸エステルの重合体およびメタクリル酸エステルの重合体から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするものであることが好ましい。また、当該ビニル系重合体が水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基を有することが好ましく、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基がエポキシ基であることがより好ましい。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法におけるバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、0.1〜50重量部のゴム含有共重合体をさらに含むことが好ましい。この場合、ゴム含有共重合体がアクリル系成分を含むことが好ましく、また、ゴム含有共重合体がシリコーン・アクリル系およびコア−シェル型アクリル系から選ばれる少なくともいずれかであることがより好ましい。
また、本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法におけるバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、酸化防止剤および耐加水分解安定剤から選ばれる少なくともいずれかをさらに含むことが好ましい。この場合、酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤およびリン系の酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかであって、バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチック100重量部中に、0.01〜5重量部のフェノール系酸化防止剤および0.01〜5重量部のリン系酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかが含まれることが好ましい。また、前記耐加水分解安定剤はカルボジイミド化合物であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜10重量部含まれることが、より好ましい。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法において、バイオマス系プラスチック廃材が、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群から選ばれる少なくとも1種の廃棄物であることが、好ましい。
本発明はまた、上述した本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法によって製造された、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体についても提供する。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体はペレット状であることが好ましい。
また本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、マテリアルリサイクルされる製品に用いられるものであることが好ましい。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、面衝撃強度が10cm以上であることが好ましい。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、ノッチ付きアイゾット衝撃強度が2KJ/m2以上であることが好ましい。
また本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、ノッチ付きアイゾット衝撃強度が初期のノッチ付きアイゾット衝撃強度の75%保持する時間が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で、200時間以上であることが好ましい。
上述した本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法において、バイオマス系プラスチック廃材が、上述した本発明のバイオマス系プラスチック成形体をマテリアルリサイクルした製品の廃棄物であり、比重分離液を用いて、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック廃材を比重分離し、回収する工程をさらに含むことが好ましい。この場合、バイオマス系プラスチック成形体をマテリアルリサイクルした製品の廃棄物は、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群から選ばれる少なくとも1種の廃棄物であることが好ましい。
本発明によれば、物性保持をしているにも関わらず失透してしまうなどの理由からマテリアルリサイクルせずサーマルリサイクルしていたアクリル系樹脂を含むバイオマス系プラスチック廃材を効率よくマテリアルリサイクルして再資源化でき、多様な用途に適した特性を有するバイオマス系プラスチック成形体を製造する方法を提供することができる。また、このような本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法は、通常使用されている設備を用いることができるため、特殊な専用設備を作製することなく、新たな設備投資の低減に貢献できるという利点もある。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、耐衝撃性、剛性、強度などの初期の機械特性バランスに優れ、長期間にわたり初期の優れた特性のバランスを保持するため、家電製品、OA機器、電気電子部品などの長期間にわたり使用される要求特性の高い部材、製品に採用できる。また、本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、バイオマス由来のプラスチックを含むため、環境負荷の低い部材、製品にリサイクルできる。また、本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、長期間使用されても物性低下が少なく、初期の優れた特性バランスを保持するため、マテリアルリサイクルも可能である。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法は、バイオマス系プラスチック廃材からバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程と、再資源化されたバイオマス系プラスチック原料を用いて、特定範囲内の比重で構成されるバイオマス系プラスチック成形体を製造する工程とを含むことを特徴とする。このような本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法によれば、通常使用されている設備を用いて、後述するように優れた特性を有するバイオマス系プラスチック成形体を製造することができ、特殊な専用設備を作製することなく、新たな設備投資の低減に貢献できる。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法において、再資源化の対象となるバイオマス系プラスチック廃材は、特に制限されないが、耐衝撃性、剛性、強度などの初期の機械特性バランスに優れ、長期間にわたり初期の優れた特性のバランスを保持する家電製品と、OA機器(パーソナルコンピュータなどの情報機器やプリンターやコピー機などの事務機器を含む)と、電気電子部品とからなる群から選ばれる少なくとも1種の廃棄物であることが好ましい。また後述するように、本発明におけるバイオマス系プラスチック廃材は、本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法で得られたバイオマス系プラスチック成形体をマテリアルリサイクルした製品の廃棄物であることが好ましい。
このようなバイオマス系プラスチック廃材としては、アクリル系樹脂を主成分とし、かつ、L−乳酸およびD−乳酸から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするポリ乳酸重合体を含むものが用いられる。好ましくは、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)を主成分として含み、さらに、ポリ乳酸重合体単独、ABS樹脂とポリ乳酸重合体とのアロイ樹脂、または、ポリ乳酸重合体とポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)とのアロイ樹脂を含むものが用いられる。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法では、まず、このようなバイオマス系プラスチック廃材に、スチレン系樹脂を含むプラスチックを混合し、加熱溶融して、バイオマス系プラスチック廃材からバイオマス系プラスチック原料を再資源化する。これによって、バイオマス系プラスチック廃材を効率よくマテリアルリサイクルして再資源化することが可能となる。
本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックに含まれ得るスチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、スチレン成分を含むものであればよい。具体的には、スチレン重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などが挙げられる。また、スチレン系樹脂は、ブタジエンゴムなどのエラストマーを共重合させたものであってもよく、スチレン成分を含むならば、たとえば、変性ポリフェニレンエーテルなどの他の樹脂とのポリマーアロイであってもよい。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂樹脂と親和性の高いアクリル成分を有する、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂などが好ましく、ABS樹脂が特に好ましい。これらのスチレン系樹脂は1種または複数種を用いることができる。また、これらのスチレン系樹脂の比重は1.00以上1.10未満の範囲内であることが好ましい。
また本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックに含まれ得るビニル系重合体としては、下記式で表されるようなビニル基を含み、C、H以外の原子または芳香族環を有するものであれば、特に制限されるものではない。
C=C−R1
上記式中、R1は、C、H以外の原子および芳香族環から選ばれる少なくともいずれかを示す。たとえば、R1がHC65(芳香族環)である場合、上記式で表されるビニル基はスチレン基となる。この場合、上述したABS樹脂などのスチレン系樹脂はビニル系重合体にも該当することになるが、このようなスチレン系樹脂をバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが含む場合、当該プラスチックはスチレン系樹脂およびビニル系重合体の両方を含むことを意味する。本発明におけるビニル系重合体としては、上述したスチレン系樹脂のほか、たとえば塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニレデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂などから選ばれる少なくとも1種以上を用いることができるが、中でも、上述したように脂肪族ポリエステル樹脂として好ましく用いられ得るポリ乳酸と親和性を示すことから、アクリル酸エステルの重合体およびメタクリル酸エステルの重合体から選ばれる少なくともいずれかであるアクリル系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。
アクリル系樹脂としては、特に制限されるものではなく、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる少なくともいずれかを用いたものであればよい。具体的には、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)などが挙げられる。ポリアクリロニトリルは、主成分として、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル類を含み、スチレン、アクリル酸エステル類との共重合体、もしくはその共重合体を連続相とし、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン、ポリイソプレンなどの弾性体相が化学結合または混合した形で分散されたものであればよい。中でも、ポリ乳酸樹脂に対する相溶性の観点から、メタクリル酸メチルを主成分とした樹脂であるPMMA樹脂が好ましい。
また、本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックに含まれ得るビニル系重合体は、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基を有することが好ましい。上述した脂肪族ポリエステル樹脂として好ましいポリ乳酸重合体は、末端基として水酸基およびカルボキシル基を有するため、成形性調整、鎖長延長による溶融状態の粘度の調整および末端基封鎖による耐加水分解性改善の観点から、ビニル系重合体が水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基を有することが好ましい。
水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基としては、たとえば、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられ、中でも反応性の観点からは、エポキシ基が特に好ましい。なお、エポキシ基は、グリシジル基などのように他の官能基の一部として存在していてもよい。グリシジル基を有するものとしては、たとえば、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルなどが挙げられ、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどが例示される。
このようなグリシジル基を有するビニル系重合体としては、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−グリシジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体が好ましく、中でも脂肪族ポリエステルとの親和性の点からスチレン成分を含まないメタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体が特に好ましい。これらのビニル系重合体も1種または複数種を用いることができる。
本発明におけるビニル系重合体が上述した水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する場合、このような官能基を導入する方法は特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の方法を用いることができる。たとえば、共重合体の合成の段階で、上述した官能基を有する単量体を共重合することにより導入することができるし、また、共重合体に上述した官能基を有する単量体をグラフト共重合することで導入することもできる。
また、本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックに含まれ得る脂肪族ポリエステル樹脂としては、特に制限されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、具体的には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシカルボン酪酸、ポリ4−ポリヒドロキシ酪酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられる。また脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、たとえばポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂として、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体の中でも、環境負荷の低減という点からは、バイオマス由来の資源であるポリ乳酸がより好ましい。ポリ乳酸の中でも、L−乳酸およびD−乳酸から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするポリ乳酸重合体が特に好ましく用いられる。これらの脂肪族ポリエステル樹脂も1種または複数種を用いることができる。
本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、上述したスチレン系樹脂を含み、好ましくはビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいればよいが、スチレン系樹脂、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂のいずれもを含んでいることが特に好ましい。
本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックの各成分の含有量は特に制限されないが、バイオマス系プラスチック廃材6〜70重量部に対し、当該プラスチックが30〜94重量部(この場合、バイオマス系プラスチック廃材とプラスチックとの合計量を100重量部とする。また、プラスチックが複数種の成分を含む場合には、その合計量が上記範囲内になるものとする。)となるように混合させた場合に、スチレン系樹脂が44〜92重量部となるよう含有されていることが、好ましい。このようなプラスチックをバイオマス系プラスチック廃材に混合し、加熱溶融することで、耐衝撃性、強度、剛性、成形性などの特性のバランスに優れたバイオマス系プラスチック成形体を製造することができるようになるという利点がある。
本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、0.1〜50重量部のゴム含有共重合体をさらに含むことが好ましい。ゴム質含有共重合体は、ゴム質成分を含有しているならば特に制限されるものではなく、ゴム質成分としては、たとえば、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサンなどのシリコン系ゴム、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブチレン−ブタジエン共重合体などのブタジエン系ゴムが挙げられる。本発明におけるゴム質含有共重合体は、ゴム質成分を含んでいるならば、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ABS樹脂、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン共重合体やアクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体などであってもよい。本発明におけるゴム質含有共重合体は、1種または2種以上を用いることができる。
ゴム質含有共重合体を含むプラスチックをバイオマス系プラスチック廃材に混合し、加熱溶融し、バイオマス系プラスチック廃材から再資源化したバイオマス系プラスチック原料を用いて得られたバイオマス系プラスチック成形体は、ノッチ付きアイゾット衝撃強度、面衝撃強度、物性保持時間などの物性を良好に改善することができるため、ゴム質含有共重合体はアクリル系成分を含むことが好ましい。耐熱性、耐久性の観点からは、このアクリル系成分は、ポリオルガノシロキサンなどのシリコーン系ゴムと、アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸エチル共重合体などのアクリル系ゴムとの複合ゴムであるシリコーン・アクリル系成分であることが好ましい。また、耐衝撃性の観点からは、本発明におけるゴム質含有共重合体はゴム質成分としてブタジエン系のゴムを含有することが好ましいため、アクリル系成分は、このブタジエン系のゴムをコアとし、アクリル酸エステルをシェルとするコア・シェル型アクリル系成分であってもよい。このように、本発明におけるゴム質含有共重合体は、アクリル成分として上述したシリコーン・アクリル系成分およびコア・シェル型アクリル成分から選ばれる少なくともいずれかを含有してなることが好ましい。
なお、アクリル系成分を含有する場合、その含有率は、ゴム質含有共重合体中、5〜95%の範囲内であることが好ましく、10〜80%の範囲内であることがより好ましい。アクリル系成分の含有率がゴム質含有共重合体中5%未満である場合には、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体から選ばれる少なくともいずれかとの親和性に欠け、得られたバイオマス系プラスチック成形体における耐熱性、耐久性ならびに耐衝撃性を十分に改善できない傾向にあり、また、95%を超える場合には、ゴム質成分が少ないため、得られたバイオマス系プラスチック成形体における耐衝撃性を十分に改善できない傾向にあるためである。
本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが上述したゴム質含有共重合体をさらに含有する場合、その含有量は、上述したスチレン系樹脂、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。ゴム質含有共重合体の含有量が0.1重量未満である場合には、上述したようにして得られたバイオマス系プラスチック成形体においてノッチ付きアイゾット衝撃強度や面衝撃強度などの耐衝撃性が十分に改良できない傾向にあるためであり、また、ゴム質含有共重合体の含有量が50重量部を超える場合には、バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックがスチレン系樹脂を含み、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいることにより奏される優れた特性バランスが崩れる虞があるためである。
本発明においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックは、上述したスチレン系樹脂、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種(場合によってはさらにゴム質含有共重合体を含有)に加え、酸化防止剤および耐加水分解安定剤から選ばれる少なくともいずれかをさらに含有してなることが好ましい。酸化防止剤をさらに含有する場合には、上述したようにして得られたバイオマス系プラスチック成形体の酸化による劣化を防止することができるという利点がある。また耐加水分解安定剤をさらに含有する場合には、上述したようにして得られたバイオマス系プラスチック成形体の加水分解による劣化を防止または抑制して、当該バイオマス系プラスチック成形体を長期にわたる使用に耐え得るように実現できるという利点がある。
酸化防止剤としては、たとえばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などから選ばれる少なくとも1種の従来公知の適宜の酸化防止剤を特に制限されることなく用いることができる。中でも、熱安定性、色調の安定性の観点からは、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかを用いることが好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、n−オクデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロオキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロオキシフェニル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニル]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが例示され、また、リン系酸化防止剤としては、具体的には、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4’−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル)トリデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル−ジ−トリデシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2’メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが酸化防止剤をさらに含有する場合、その含有率は特に制限されるものではないが、上述したように酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかを含有する場合には、得られたバイオマス系プラスチック成形体における長期間の使用中における酸化による劣化を防ぐことから、バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチック(上述したスチレン系樹脂、ビニル系重合体脂肪族およびポリエステル樹脂の合計)100重量部に対し、0.01〜5重量部(より好適には0.05〜1重量部)のフェノール系酸化防止剤および0.01〜5重量部(より好適には0.05〜1重量部)のリン系酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかを含有してなることが好ましい。
耐加水分解安定剤としては、加水分解を防止または抑制する機能を有するものであれば、特に制限されることなく、たとえばカルボジイミド化合物、エポキシ化合物などから選ばれる少なくとも1種の従来公知の適宜の耐加水分解安定剤を用いることができる。ここで、カルボジイミド化合物とは、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物を意味する。本発明における耐加水分解安定剤としては、上述した脂肪族ポリエステル樹脂(好ましくはL−乳酸およびD−乳酸から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするポリ乳酸重合体)の一部を構成する水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基を有するものであることが好ましく、このような官能基としては、たとえばエポキシ基、カルボジイミド基、アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、無水カルボン酸基、無水フタル酸などが挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂の一部を構成する水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかとの反応性の高さからは、カルボジイミド基が好ましく、このカルボジイミド基を分子中に1個以上有する化合物であるカルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として用いることが好ましい。
上述したカルボジイミド化合物としては、具体的には、分子内に1個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としてイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミドなどが例示され、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としては、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアナート、1−メチル―2、6−シクロヘキサンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどが例示される。良好な耐加水分解安定性を示す観点からは、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として用いることが好ましい。
バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが耐加水分解安定剤をさらに含有する場合、その含有率については特に制限されるものではないが、上述したように耐加水分解安定剤としてカルボジイミド化合物を用いる場合には、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜5重量部の範囲内であることがより好ましい。カルボジイミド化合物の含有率が脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.01重量部未満である場合には、得られたバイオマス系プラスチック成形体が耐加水分解性に劣り、長時間にわたる使用に耐えきれない虞があるためであり、また、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し10重量部を超える場合には、得られたバイオマス系プラスチック成形体の物性のバランスが崩れてしまう虞があるためである。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法では、次に、バイオマス系プラスチック廃材に上述したプラスチックを混合し、加熱溶融させて再資源化されたバイオマス系プラスチック原料を用いて、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体を製造する。バイオマス系プラスチック成形体の比重が1.00未満である場合には、オレフィン系樹脂などの比重の軽い異樹脂が混入する傾向にあり、また、1.10を超える場合には、ポリカーボネートなどの比重の重い異樹脂が混入する傾向にあり、異樹脂が混入することによる物性低下の要因になるためである。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法は、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体を製造する観点から、たとえば、バイオマス系プラスチック廃材を比重分離し、回収する工程をさらに含むことが、好ましい。この場合、比重分離液としては、たとえば比重1.00の水と、比重1.10に調製したNaCl水溶液の2種類を好適に用いることができる。このような工程を経て回収された比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック廃材からバイオマス系プラスチック原料が再資源化され、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体が、スチレン系樹脂としてマテリアルリサイクルされ得る製品に用いられる。このため、本発明において再資源化の対象となるバイオマス系プラスチック廃材は、本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法で製造されたバイオマス系プラスチック成形体(詳細は後述)をマテリアルリサイクルした製品の廃棄物であることが好ましい。また、当該製品の廃棄物は、上述したように、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群から選ばれる少なくとも1種の廃棄物であることが好ましい。
なお、上述した比重分離を行う場合、効率的な比重分離を行い得る観点から、バイオマス系プラスチック廃材は、比重分離工程の前に予め破砕されていることが好ましい。バイオマス系プラスチック廃材の破砕は、特に制限されないが、たとえば衝撃式破砕装置やせん断式破砕装置などの破砕機を用いて、破砕物の粒径が10〜80mmの範囲内となるように破砕することが好ましい。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法において、バイオマス系プラスチック廃材とプラスチックとの混合物の加熱溶融、ならびに、再資源化により得られたバイオマス系プラスチック原料を用いたバイオマス系プラスチック成形体の成形には、たとえば単軸式押出機成形機、多軸式押出成形機などの押出成形機を好適に用いることができる。後述するようなペレット状のバイオマス系プラスチック成形体を得る場合には、シートカット、ストランドカット、ホットエアカット、アンダーウォーターカットなどの方法を好適に用いることができる。これらの方法の中でも、後に、射出成形により特定の形状に成形する場合には、樹脂原料の供給が円滑に行え、大量処理にも対応できるアンダーウォーターカットが特に好ましい。
また本発明は、このようなバイオマス系プラスチック成形体の製造方法によって製造されたバイオマス系プラスチック成形体についても提供する。本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、その形状は特に制限されるものではなく、マテリアルリサイクルされる各種製品に用いられる部材に応じた形状に成形されていてもよいし、各種製品の部材に応じた形状に成形する工程に用いるための前駆体としてペレット状、シート状、フィルム状、パイプ状などの形状であってもよい。中でもペレット状とすることが好ましく、この場合、その粒径は特に制限されるものではないが、粒径1mm未満である場合は、浮遊するため作業性が低下するという傾向があることから、粒径は1mm以上であることが好ましく、特に2mm以上であることが好ましい。また、本発明のバイオマス系プラスチック成形体をペレット状とする場合、粒径が8mmを超える場合には、成形機のシリンダ内で十分に溶融しないため均一に混練されないという傾向があるため、その粒径は8mm以下であることが好ましく、特に5mm以下であることが好ましい。なお、上述した前駆体から各種製品の部材に応じた形状に成形する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえばスクリュインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機などの射出成形機を用いることができる。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、上述した組成を有することにより、以下の(1)〜(3)の少なくともいずれかの優れた特性のバランスを有するように実現され得るものである。
(1)面衝撃強度が10cm以上である、
(2)ノッチ付きアイゾット衝撃強度が2kJ/m2以上である、
(3)ノッチ付きアイゾット衝撃強度が初期のノッチ付きアイゾット衝撃強度の75%を保持する時間(物性保持時間)が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で300時間以上である。
(1)面衝撃強度
本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、たとえばJIS K7211の規定に準拠して測定された面衝撃強度が好ましくは10cm以上であり、より好ましくは30cm以上であるように実現され得る。ここで、「面衝撃強度」とは、一定の高さから錘を落下させ、どの高さで材料が割れるかを示すものであり、異種材料が混合しているような材料は、互いの材料が界面で剥離している(相溶していない)ため、面衝撃強度が小さくなり、相溶しているかどうかの指標になるものである。好ましくは10cm以上、より好ましくは30cm以上の面衝撃強度を有するように実現された本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、重量のあるものを落としたり、ぶつけたりしても割れたり、クラックが入る虞がないため、たとえば家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)などの強度の必要な外装部材に好適に用いることができる。
(2)ノッチ付きアイゾット衝撃強度
また本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、たとえばJIS K7110の規定に準拠して測定されたノッチ付きアイゾット衝撃強度が好ましくは2kJ/m2以上であり、より好ましくは4kJ/m2以上、特に好ましくは5kJ/m2以上である。ここで、「アイゾット衝撃強度」とは、材料に高速で負荷を与えた際、その破壊に対する抵抗力を表現するものである。一般に強度が大きいと硬くて強い材料、小さいと脆くて弱い材料といえるが、ゴムのように弾性が大きいために破壊しにくい材料もある。より好ましくは4kJ/m2以上、特に好ましくは5kJ/m2以上のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有するように実現された本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、たとえばツメを有する成形品などに用いても、この成形品の組立時にツメが折れてしまう可能性が低いため、このようなツメを有する成形品に好適に用いることができる。
(3)物性保持時間
また、本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、たとえばJIS K7110の規定に準拠して測定されたノッチ付きアイゾット衝撃強度が初期のノッチ付きアイゾット衝撃強度の75%を保持する時間が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で300時間以上であることがより好ましく、400時間以上であることが特に好ましい。このようなノッチ付きアイゾット衝撃強度の保持時間を有するように実現された本発明のプラスチック成形体は、長期に使用してもツメ、リブなどが折れて成形品が破損してしまうなどの支障をきたす虞がない。
本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、上述したように優れた初期の特性バランスを保持するものであるため、その用途は特に制限されるものではないが、マテリアルリサイクルされる製品に好適に用いることができる。このようなマテリアルリサイクルされる製品としては、特に制限されるものではなく、たとえば、上述した家電4品目を含む家電製品、OA機器(パーソナルコンピュータなどの情報機器やプリンターやコピー機などの事務機器を含む)、電気電子部品などの各種製品が挙げられる。本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、これら家電製品、OA機器、電気電子部品などの各種製品の部材として好適に用いることができ、初期の優れた特性バランスと、初期の優れた特性バランスを長期間にわたり保持するという本発明のバイオマス系プラスチック成形体が有する特徴を十分に活用し得る観点からは、中でも、家電4品目であるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の部材として特に好適に用いることができる。
なお、本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、バイオマス系プラスチック廃材と混合させるプラスチックが上述したように酸化防止剤および耐加水分解安定剤から選ばれる少なくともいずれかをさらに含有する場合には、長期にわたり初期の優れた特性バランスを保持することができる。なお、マテリアルリサイクルされた後にも、長期間の使用に耐え得るためには、マテリアルリサイクルする際に酸化防止剤および耐加水分解安定剤から選ばれる少なくともいずれかを添加するようにしてもよい。酸化防止剤を添加する場合には、上述したようにスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂およびビニル系重合体の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部のフェノール系酸化防止剤、および、0.01〜5重量部のリン系酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかを添加することが好ましい。また、耐加水分解安定剤を添加する場合には、バイオマス系プラスチック廃材の脂肪族ポリエステル含有量と脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部のカルボジイミド化合物を添加することが好ましい。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(サンプルの調整)
バイオマス系プラスチック廃材、ならびに、当該バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックのサンプルの各成分として、以下のものを用いた。
・スチレン系樹脂:ABS樹脂(テルランGP−35、BASF製)
・脂肪族ポリエステル樹脂:ポリ乳酸樹脂(レイシアH−100J、三井化学製)
・ビニル系重合体(1):PMMA樹脂(アクリペットMD001、三菱レイヨン製)
・ビニル系重合体(2):ポリメタクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレートグラフト共重合体(レゼダGP−301、東亞合成製)
・ゴム質含有共重合体:シリコーン−アクリル系ゴム(メタブレンS−2001、三菱レイヨン製)
・酸化防止剤(1):フェノール系酸化防止剤(アデカスタブAO−51、旭電化製)
・酸化防止剤(2):リン系酸化防止剤(アデカスタブHP10、旭電化製)
・耐加水分解安定剤:カルボジイミド化合物(カルボジライトLA−1、日清紡製)
また、上記脂肪族ポリエステル樹脂を71重量部、ビニル系重合体(1)を29重量部、通常使用されるタンブラー混合機で混合し、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径:25mm、L/D:26)で設定温度220℃で加熱溶融し、1回押出加工したものをバイオマス系プラスチック廃材のサンプルとした。
<実験例1>
28重量部のバイオマス系プラスチック廃材のサンプルと、72重量部のスチレン系樹脂とを、通常使用されるタンブラー混合機で混合し、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径:25mm、L/D:26)で設定温度220℃で加熱溶融混練するとともに、押出成形し、通常使用されるペレタイザーを用いてカットし、ペレット状のバイオマス系プラスチック成形体を得た。次に、得られたペレット状のバイオマス系プラスチック成形体を、10トン射出成形機(日精樹脂株式会社製)ホッパーに投入し、設定温度220℃、金型温度40℃、冷却時間30秒の射出成形条件で、後述する引張強度、伸び、曲げ強度、曲げ弾性率およびノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定するためのASTM準拠の物性測定用試験片を作製した。また、面衝撃強度測定のために、厚さ3mmの物性測定用試験片も作製した。
<実験例2>
28重量部のバイオマス系プラスチック廃材のサンプルと、72重量部のスチレン系樹脂と、1.5重量部のビニル系重合体(2)と、10重量部のゴム質含有共重合体とを、混合したこと以外は実験例1と同様にして、各試験片を作製した。
<実験例3>
28重量部のバイオマス系プラスチック廃材のサンプルと、72重量部のスチレン系樹脂と、1.4重量部のビニル系重合体(2)と9.1重量部のゴム質含有共重合体と、0.3重量部の酸化防止剤(1)と0.3重量部の酸化防止剤(2)と、0.9重量部の耐加水分解安定剤とを、混合したこと以外は実験例1と同様にして、各試験片を作製した。
<参考実験例1>
スチレン系樹脂のみを100重量部用いたこと以外は実験例1と同様にして、各試験片を作製した。
<参考実験例2>
バイオマス系プラスチック廃材のサンプルのみを100重量部用いたこと以外は実験例1と同様にして、各試験片を作製した。
<参考実験例3>
25重量部の脂肪族ポリエステル樹脂と、75重量部のスチレン系樹脂を、混合したこと以外は実験例1と同様にして、各試験片を作製した。
<評価試験>
実験例1〜3、参考実験例1〜3で作製した各試験片を用いて、以下の各種物性の評価試験を行なった。ここで、図1は、実験例1〜3、参考実験例1〜3の試験片についての各試験結果を示すグラフである。
・引張強度(MPa)および伸び(%)
JIS K7113の規定に準拠して、引張破断点降伏強さ、引張破断点伸びとしてそれぞれ測定した。なお、「引張強度」、「伸び」とは、材料を一定の速度で引張、応力と歪の関係を求めるもので、伸長された材料は、はじめに弾性変形をし、その後塑性変形をはじめ、極大強度に達し、さらに降伏点を越えるとネッキングを生じ、破断に至る。応力の一番大きいところ(最大点応力)を「引張強度」、破断したときの歪(破断点伸び)を「伸び」としている。
・曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(GPa)
JIS K7203の規定に準拠してそれぞれ測定した。なお、「曲げ強度」、「曲げ弾性率」とは、2点で支えた試験片の中心に応力をかけることにより、応力と歪の関係を求めるものである。応力の一番大きいところを「曲げ強度」、応力−歪曲線の傾きを「曲げ弾性率」としている。
・ノッチ付きアイゾット衝撃強度(KJ/m2
JIS K7110の規定に準拠して測定した。
・面衝撃強度(cm)
JIS K7211の規定に準拠して測定した。なお、図1中の参考実験例1において、面衝撃強度が200cm以上であるが、200cmを物性保持率100%として測定した。
・物性保持時間(hr)
JIS K7110の規定に準拠して測定されるノッチ付きアイゾット衝撃強度が、65℃90%RHの条件下で初期のノッチ付きアイゾット衝撃強度の75%以上を保持する時間を評価した。なお、図1の参考実験例1は物性保持時間が1000hr以上であるが1000hrを物性保持率100%として測定した。
図1から、バイオマス系プラスチック廃材のサンプルを単独で用いた参考実験例2では、剛性が高く、衝撃性も弱く、耐久性にも優れないため、参考実験例1のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の代替材料としては適していないことが分かる。
同様に図1から、実験例1のようにバイオマス系プラスチック廃材のサンプルにスチレン系樹脂を加えることにより、参考実験例3では十分でなかった剛性、衝撃性が改善されていることが理解できる。しかしながら、参考実験例1のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の代替材料としては、アイゾット衝撃強度は十分ではない。
さらに図1から、実験例2のようにバイオマス系プラスチック廃材のサンプルに、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ビニル系重合体(2)、ゴム質含有共重合体を加えることにより、実験例1では十分ではなかったアイゾット衝撃強度、面衝撃強度、物性保持時間が改善されていることが理解できる。
またさらに、実験例3のようにバイオマス系プラスチック廃材のサンプルに、スチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ビニル系重合体(2)、ゴム質含有共重合体、酸化防止剤(1)、(2)、耐加水分解安定剤を加えることにより、実験例2と比較して物性保持時間がさらに改善されていることが理解できる。よって実験例3は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の代替材料としても採用できる可能性があることが示唆された。
・比重評価
比重1.00の水と比重1.10に調製したNaCl水溶液を用いて、実験例1〜3で作製したバイオマス系プラスチック成形体の比重を評価した。結果、実験例1〜3で得られたバイオマス系プラスチック成形体は、いずれも、比重は1.00以上1.10未満の範囲内であり、スチレン系樹脂として回収可能なものであることが分かった。
今回開示された実施の形態および実験例は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明のバイオマス系プラスチック廃材の再資源化方法は、バイオマス系プラスチック廃材をマテリアルリサイクルすることができ、それによって得られた本発明のバイオマス系プラスチック成形体は、耐衝撃性、剛性、強度などの特性バランスに優れ、長期間の使用にも耐えうることから、長期間使用されるような要求特性の高い家電製品、OA機器、電気電子部品などの部材、製品に採用することができる。また、サーマルリサイクルされるバイオマス系プラスチック廃材を低減し、効率的なバイオマス系プラスチック廃材の再資源化方法が提供される。
実験例1〜3、参考実験例1〜3の試験片についての各試験結果を示すグラフである。

Claims (21)

  1. アクリル系樹脂を主成分とし、かつ、L−乳酸およびD−乳酸から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするポリ乳酸重合体を有するバイオマス系プラスチック廃材に、スチレン系樹脂を含むプラスチックを混合して加熱溶融して、バイオマス系プラスチック廃材からバイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程と、
    再資源化されたバイオマス系プラスチック原料を用いて、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体を製造する工程とを含む、バイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  2. バイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが、ビニル系重合体および脂肪族ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  3. スチレン系樹脂がアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体である、請求項1または2に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  4. ビニル系重合体がアクリル酸エステルの重合体およびメタクリル酸エステルの重合体から選ばれる少なくともいずれかを主成分とするものである、請求項2または3に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  5. ビニル系重合体が水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基を有する、請求項2〜4のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  6. 水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくともいずれかと反応性を有する官能基がエポキシ基である、請求項5に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  7. バイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが、0.1〜50重量部のゴム含有共重合体をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  8. ゴム含有共重合体がアクリル系成分を含む、請求項7に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  9. ゴム含有共重合体がシリコーン・アクリル系およびコア−シェル型アクリル系から選ばれる少なくともいずれかである、請求項8に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  10. バイオマス系プラスチック原料を再資源化する工程においてバイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチックが、酸化防止剤および耐加水分解安定剤から選ばれる少なくともいずれかをさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  11. 酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤およびリン系の酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかであって、バイオマス系プラスチック廃材に混合するプラスチック100重量部中に、0.01〜5重量部のフェノール系酸化防止剤および0.01〜5重量部のリン系酸化防止剤から選ばれる少なくともいずれかが含まれる、請求項10に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  12. 前記耐加水分解安定剤はカルボジイミド化合物であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜10重量部含まれる、請求項10または11に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  13. バイオマス系プラスチック廃材が、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群から選ばれる少なくとも1種の廃棄物である、請求項1〜12のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法によって製造された、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック成形体。
  15. ペレット状である、請求項14に記載のバイオマス系プラスチック成形体。
  16. マテリアルリサイクルされる製品に用いられるものである、請求項14または15に記載のバイオマス系プラスチック成形体。
  17. 面衝撃強度が10cm以上である、請求項14〜16のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体。
  18. ノッチ付きアイゾット衝撃強度が2KJ/m2以上である、請求項14〜17のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体。
  19. ノッチ付きアイゾット衝撃強度が初期のノッチ付きアイゾット衝撃強度の75%保持する時間が、温度65℃かつ湿度90%RHの条件下で、200時間以上である、請求項14〜18のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体。
  20. バイオマス系プラスチック廃材が、請求項14〜19のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体をマテリアルリサイクルした製品の廃棄物であり、
    比重分離液を用いて、比重が1.00以上1.10未満で構成されるバイオマス系プラスチック廃材を比重分離し、回収する工程をさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
  21. バイオマス系プラスチック成形体をマテリアルリサイクルした製品の廃棄物が、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群から選ばれる少なくとも1種の廃棄物である、請求項20に記載のバイオマス系プラスチック成形体の製造方法。
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