JP2008235771A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ESRの低減が可能であるだけでなく製造時間の短縮が可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】固体電解コンデンサの陽極酸化処理工程において、リン酸、硝酸、酢酸などの水溶液にカーボンナノチューブを混入した電解液にて陽極酸化し、酸化皮膜形成と陰極層形成を同一液中にて行うことで、酸化皮膜2およびカーボンナノチューブ層4を形成する。このとき、交流電圧にて優先的にカーボンナノチューブ層を電着形成させた後、直流電圧にて優先的に弁作用金属の酸化皮膜を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】固体電解コンデンサの陽極酸化処理工程において、リン酸、硝酸、酢酸などの水溶液にカーボンナノチューブを混入した電解液にて陽極酸化し、酸化皮膜形成と陰極層形成を同一液中にて行うことで、酸化皮膜2およびカーボンナノチューブ層4を形成する。このとき、交流電圧にて優先的にカーボンナノチューブ層を電着形成させた後、直流電圧にて優先的に弁作用金属の酸化皮膜を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、陽極側に弁作用金属を用い、この弁作用金属の表面には酸化皮膜を誘電体層として形成し、陰極側にカーボンナノチューブを用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
タンタルを用いた固体電解コンデンサにおいてはタンタル粉末を成型・焼結した多孔質の陽極体を使用している。この陽極体の表面には、陽極酸化法(化成法)によりタンタルの酸化皮膜が形成され、この酸化皮膜が電解コンデンサの誘電体層となる。従来、タンタルの酸化皮膜を形成する際には、電解液としてリン酸や硝酸、硫酸などの水溶液が広く用いられている。
一般の固体電解コンデンサにおいては、酸化皮膜を形成した後、固体電解質として二酸化マンガンまたは導電性高分子からなる層を形成する。さらにその後、陰極引き出し層としてグラファイトペースト層、銀ペースト層を形成する。固体電解質として導電性高分子を使用した場合には、電気伝導度が二酸化マンガンに比較して約100倍高いため、コンデンサの等価直列抵抗(ESR)が低減される。
図面に基づいてさらに説明する。図2は一般的な固体電解コンデンサを示し、図2(a)は固体電解コンデンサの模式的な全体断面図であり、図2(b)は従来型のコンデンサ素子の積層構造を示す模式的な断面図である。 図2(a)を参照し、コンデンサ素子9の陽極側のリードは溶接によって陽極端子11と接続され、コンデンサ素子9の陰極側は導電性接着剤10によって陰極端子12と接続され、全体が外装樹脂13によって外装される。また、図2(b)のようにコンデンサ素子の陽極体1の上に、誘電体層としての酸化皮膜2、二酸化マンガンまたは導電性高分子からなる固体電解質層3、グラファイトペースト層7および銀ペースト層8が形成されている。
近年ではCPUがさらに高性能化・高速化しており、よりESRの低いコンデンサが要求されている。この要求に対して、特許文献1〜3では、ESRを低減させる手段として、固体電解質層およびグラファイトペースト層について各種材料の適用が提案されている。特に特許文献3では、誘電体層の上に各種炭素材料を積層させる方法が提案され、電着による積層形成が具体的に示されている。
上記のように、陰極に導電性高分子を使用した場合よりも、さらに低いESRを持つ固体電解コンデンサが要求されている。また固体電解コンデンサの製造工程では、陽極酸化および陰極形成に要する時間がコンデンサ製造に要する全時間の大部分を占めており、これを低減することが重要である。
すなわち、第一の問題点は要求されるESR特性に対して十分に小さい値が得られないことであり、第二の問題点は固体電解コンデンサの製造に要する時間の削減が困難なことである。このような状況に対処するのに、特許文献1〜3に示された方法では各種炭素材料を適用することにより、第一の問題点が解決されるが、第二の問題点である製造時間の短縮は困難であった。
従って、本発明の目的は、ESRの低減が可能であるだけでなく製造時間の短縮が可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
第1の発明の固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属を陽極体とし、その表面に酸化皮膜およびカーボンナノチューブ層を形成し、前記酸化皮膜を誘電体層として静電容量を発生させるように陰極層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、焼結した弁作用金属粉末または拡面化した弁作用金属箔の陽極体を電解液中にて陽極酸化する際に、カーボンナノチューブを前記電解液中に分散させることにより、前記酸化皮膜およびカーボンナノチューブ層の形成を同一液中にて行うことを特徴とする。
第2の発明の固体電解コンデンサの製造方法は、前記弁作用金属の表面に交流電圧にて優先的にカーボンナノチューブ層を電着形成させた後、直流電圧にて優先的に前記弁作用金属の酸化皮膜を前記カーボンナノチューブ層の下側に形成することを特徴とする。
第3の発明の固体電解コンデンサの製造方法は、前記酸化皮膜およびカーボンナノチューブ層を形成し、さらに、カーボンナノチューブ、導電性高分子またはこれらの複合体よりなる陰極層を後処理として積層形成することを特徴とする。
本発明によれば、陽極酸化に用いる電解液中にカーボンナノチューブを分散させることにより、陰極材料としてカーボンナノチューブ層が形成される。カーボンナノチューブは、従来の固体電解コンデンサに使用される導電性高分子の10〜100倍程度の電気伝導度を持つため、カーボンナノチューブを陰極の固体電解質層に使用すると固体電解コンデンサのESRが低減される。さらに陽極酸化と陰極形成を同一液中にて行うことにより、コンデンサ製造時間を短縮することが可能となる。
カーボンナノチューブ層と酸化皮膜形成の後、カーボンナノチューブ、導電性高分子およびこれらの複合体よりなる陰極層を追加形成した場合には、より緻密な層が形成される。
本発明の実施の形態での固体電解コンデンサの製造方法では、カーボンナノチューブを混入した電解液を使用して陽極酸化を行うことで、酸化皮膜とカーボンナノチューブ層とを同一液中で形成したコンデンサ素子を用いて固体電解コンデンサを作製する。図1は本発明の実施の形態での固体電解コンデンサ素子の模式的断面図であり、図1(a)は酸化皮膜と陰極引き出し層の間にカーボンナノチューブ層のみを使用した例、図1(b)は酸化皮膜上のカーボンナノチューブ層の上にカーボンナノチューブと導電性高分子の複合体層を使用した例、図1(c)は酸化皮膜上のカーボンナノチューブ層の上に導電性高分子層とカーボンナノチューブ層の積層体を使用した例である。
まず、陽極リードが導出された弁作用金属からなる陽極体に、カーボンナノチューブを混入した電解液(たとえば、リン酸、硝酸、酢酸などの水溶液)にて陽極酸化処理を行い、酸化皮膜の形成とカーボンナノチューブからなる陰極層の電着形成を同一液中にて行う。このとき、はじめに交流電圧を印加してカーボンナノチューブ層を優先的に形成し、その後に直流電圧を印加して酸化皮膜を優先的に形成するとよい。なお、ここでカーボンナノチューブ層を優先的に形成する際、わずかではあるが、同時に酸化皮膜の形成も行われる。
すなわち、弁作用金属の表面に酸化皮膜が形成された状態では、酸化皮膜表面にカーボンナノチューブが電着しにくい状態にある。これに対して、上記のようにはじめに交流電圧を印加した場合には、表面が金属状態であるためにカーボンナノチューブがより電着しやすい状態であり、カーボンナノチューブ層の形成が容易になる。その後に直流電圧を印加すると、中空状のカーボンナノチューブを経由して水溶液から酸素が供給されるため、弁作用金属の表面に酸化皮膜が形成される。この状態を模式的に示すと、図1(a)のようであり、陽極体1の上に、酸化皮膜2とカーボンナノチューブ層4が形成されている。その後、グラファイトペースト層7と銀ペースト層8を形成し、コンデンサ素子を作製する。
また、さらに抵抗を削減するためには、電着により形成したカーボンナノチューブ層の上に導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電層を、後処理として、形成することがより好ましい。このとき、図1(b)の例では、電着により形成したカーボンナノチューブ層4の上に、カーボンナノチューブと導電性高分子を混合してなる複合体層6を形成する。また、図1(c)の例では、電着により形成したカーボンナノチューブ層4の上に、導電性高分子層5、カーボンナノチューブ層4、導電性高分子層5からなる積層体を形成する。
その後、陰極引き出し層としてのグラファイトペースト層7を形成し、さらに銀ペースト層8を形成し、コンデンサ素子を作製する。この素子の陽極リード線に陽極端子を、陰極に陰極端子を接合し、外装樹脂で封止する。さらに陽極端子および陰極端子をリードフレームから分離後、成形して本発明の実施の形態の固体電解コンデンサを得る。
次に、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の実施例について説明する。実施例として陽極リードとなるタンタル線のまわりに、タンタル粉末をプレス成型し、高真空・高温度で焼結した陽極体を用いる。次に陽極酸化により陽極体表面に酸化皮膜を形成する際、リン酸水溶液中にカーボンナノチューブを超音波にて分散させる。このとき、直径1nm以下、長さ100nm以下の単層カーボンナノチューブを使用する。ただし、カーボンナノチューブならば単層、多層や直径、長さは問わないで使用することも可能である。この電解液中でまず陽極体に交流電圧を印加すると、電着によりカーボンナノチューブ層が優先的に形成される。その後、陽極体に直流電圧を印加すると、陽極体の表面に緻密な酸化皮膜が形成される。模式的には、図1(a)のようである。
このような工程を経て作製した本実施例の固体電解コンデンサでは、100kHzでのESRが導電性高分子を固体電解質として用いた場合の約60%に低減された。また、従来技術にて酸化皮膜とカーボンナノチューブ層形成に要する時間に対して、本実施例での固体電解コンデンサでの酸化皮膜とカーボンナノチューブ層形成に要する時間は、約80%に削減された。
ところで、陰極層をカーボンナノチューブの電着のみで形成する場合、形成される陰極層が薄く、物理的な負荷や陰極引き出し層の酸化皮膜への接触が懸念される際には、電着によるカーボンナノチューブ層の形成の後に、膜厚確保のために後処理としてカーボンナノチューブおよび導電性高分子よりなる導電層を形成することも可能である。
このとき、低抵抗で、かつ容易に膜厚を確保できる導電層としては、図1(b)に示すような、カーボンナノチューブと導電性高分子の複合体よりなる複合体層6が最も有効であるが、図1(c)に示すような、カーボンナノチューブ層4と導電性高分子層5の積層体を利用することも可能である。
以上、本発明の実施の形態および実施例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれる。すなわち当業者であれば、なしえる各種変形、修正を含むことはもちろんである。たとえば、焼結した弁作用金属粉末の陽極体に代えて拡面化した弁作用金属箔を用いることも可能である。
1 陽極体
2 酸化皮膜
3 固体電解質層
4 カーボンナノチューブ層
5 導電性高分子層
6 複合体層
7 グラファイトペースト層
8 銀ペースト層
9 コンデンサ素子
10 導電性接着剤
11 陽極端子
12 陰極端子
13 外装樹脂
2 酸化皮膜
3 固体電解質層
4 カーボンナノチューブ層
5 導電性高分子層
6 複合体層
7 グラファイトペースト層
8 銀ペースト層
9 コンデンサ素子
10 導電性接着剤
11 陽極端子
12 陰極端子
13 外装樹脂
Claims (3)
- 弁作用金属を陽極体とし、その表面に酸化皮膜およびカーボンナノチューブ層を形成し、前記酸化皮膜を誘電体層として静電容量を発生させるように陰極層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、焼結した弁作用金属粉末または拡面化した弁作用金属箔の陽極体を電解液中にて陽極酸化する際に、カーボンナノチューブを前記電解液中に分散させることにより、前記酸化皮膜およびカーボンナノチューブ層の形成を同一液中にて行うことを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記弁作用金属の表面に交流電圧にて優先的にカーボンナノチューブ層を電着形成させた後、直流電圧にて優先的に前記弁作用金属の酸化皮膜を前記カーボンナノチューブ層の下側に形成することを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記酸化皮膜およびカーボンナノチューブ層を形成し、さらに、カーボンナノチューブ、導電性高分子またはこれらの複合体よりなる陰極層を後処理として積層形成することを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
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---|---|---|---|---|
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2007
- 2007-03-23 JP JP2007076536A patent/JP2008235771A/ja active Pending
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