JP2005340714A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弁作用金属粉末を加圧成形後、焼結してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子に陽極酸化皮膜を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
陽極酸化皮膜を形成する化成工程が少なくとも2つの化成工程からなり、第1の化成工程でのコンデンサ素子と陰極板との距離より第2の化成工程でのコンデンサ素子と陰極板との距離を小さくしたことを特徴とし、
第2化成工程で、コンデンサ素子と陰極板との距離が0.1〜10.0mmであり、
化成液の電気伝導度が3.0〜2000μS/cmであり、陰極板が1枚以上であることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
よって、コンデンサの静電容量の低下を抑え、かつ、陰極形成工程や外装工程での応力や機械的ストレスによる、焼結体表面の酸化皮膜の損傷、漏れ電流の増加を防止することができる手段が求められていた。
陽極酸化皮膜を形成する化成工程が少なくとも2つの化成工程からなり、第1の化成工程でのコンデンサ素子と陰極板との距離より第2の化成工程でのコンデンサ素子と陰極板との距離を小さくしたことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
よって、静電容量の低下がなく、漏れ電流レベルが低く、かつ信頼性試験において特性の安定したタンタルまたはニオブ固体電解コンデンサを得ることができる。
図1(b)は、固体電解コンデンサ素子1を詳細に説明する拡大断面図である。図面を簡略化するため焼結体1aの外周に酸化皮膜2、固体電解質3が形成された構造としているが、コンデンサ素子内部にも酸化皮膜、固体電解質が形成されている。そして、その外周にグラファイト層4が形成されている。
また、グラファイト層4と陰極リードフレーム6bとの間には接着銀層5aが形成される。
第1化成槽8aには酸性の化成液10aが満たされている。第1化成槽8a内の底面付近に陰極板9aが設けられており、コンデンサ素子と陰極板9aとの距離を大きくすることで、素子に印加される電流密度を均一にすることができる。
第2化成槽8bには酸性の化成液10bが満たされている。この酸性の化成液10bには、電導度3.0〜2000μS/cmの液が使用される。
第2化成槽8b内には陰極板9b、9cが各々、コンデンサ素子1の底面、側面に対向する位置に、第1の化成工程より近くに設けられ、好ましくは、0.1〜10mmの間隔で設置される。陰極板9bは可変直流電源11の陰極に接続されている。
上記陰極板はコンデンサ素子1の対向する位置に1枚以上設置される。
図3(a)は底面に対向する場合、図3(b)は底面および側面の一部に対向する場合である。
まず、タンタル粉末の焼結体1aを作製し、0.1wt%リン酸水溶液(電導度8400μS/cm、化性液10a)中で第1の陽極酸化(化成)を行った。
図2の第1化成槽8a内の底面付近には陰極板9aが設けられており、コンデンサ素子と陰極板との距離を20mmとして化成した。陰極板9aは可変直流電源11の陰極に接続されており、電流値を一定にし、電圧が20Vに達するまで、直流電圧を印加し、化成した。
20Vに到達後、そのままの状態で3時間保持、洗浄、乾燥した後、均一な陽極酸化皮膜が形成されたコンデンサ素子を、図3(a)に示す第2化成槽8bで、コンデンサ素子の底面側に陰極板を配置し、電導度2.0〜2500μSのリン酸水溶液(化成液10b)中で第2の化成を行った。。電流値を一定にし電圧が60Vに到達後5分間、直流電圧を印加してコンデンサ素子の底面側の陽極酸化皮膜を選択的に厚く形成した(図4(a))。
なお、この時、化成液10b中のコンデンサ素子1と陰極板9bとの距離は2.0mmとした。
上記実施例1〜5と同様に、焼結、第1の化成、洗浄、乾燥処理を行ってコンデンサ素子を作製した後、図3(b)に示す第2化成槽8bで、コンデンサ素子の底面側および側面側2面(部分)に陰極板を配置し、電導度50μS/cmのリン酸水溶液(化成液10b)中で第2の化成を行った。電流値を一定にし電圧が60Vに到達後5分間、直流電圧を印加してコンデンサ素子の底面側および側面側2面(部分)の陽極酸化皮膜を選択的に厚く形成した(図4(b))。
なお、この時、化成液10b中のコンデンサ素子と陰極板9との距離は2.0mmとした。
次に、上記実施例1〜5と同様に、焼結、第1の化成、洗浄、乾燥処理を行ってコンデンサ素子を作製した後、図3(b)に示す第2化成槽8bで、コンデンサ素子の底面側および側面側4面(部分)に陰極板を配置し、電導度50μS/cmのリン酸水溶液(化成液10b)中で第2の化成を行った。電流値を一定にし電圧が60Vに到達後5分間、直流電圧を印加してコンデンサ素子の底面側および側面側4面(部分)の陽極酸化皮膜を選択的に厚く形成した(図4(b))。
なお、この時、化成液10b中のコンデンサ素子と陰極板9との距離は2.0mmとした。
次に、上記実施例1〜5と同様に、焼結、第1の化成、洗浄、乾燥処理を行ってコンデンサ素子を作製した後、図3(a)に示す第2化成槽8bで、コンデンサ素子の底面側に陰極板を配置し、電導度50μS/cmのリン酸水溶液(化成液10b)中で第2の化成を行った。電流値を一定にし電圧が60Vに到達後5分間、直流電圧を印加してコンデンサ素子の底面側の陽極酸化皮膜を選択的に厚く形成した(図4(a))。
なお、この時、化成液10b中のコンデンサ素子と陰極板9との距離は0.05〜15.0mmとした。
さらに、上記実施例1〜5と同様に焼結した後、図2の第1化成槽8aを使用し、0.1wt%リン酸水溶液(電導度8400μS/cm、化成液10a)中で化成を行い、コンデンサ素子を隔てた距離から化成した。電流値を一定にし、電圧が60Vに達するまで、直流電圧を印加し、化成した。
次に、上記実施例1〜5と同様に焼結した後、図2の第1化成槽8aを使用し、0.1wt%ホウ酸アンモニウム水溶液(電導度400μS/cm、塩基性)中で、コンデンサ素子を隔てた距離から化成した。電流値を一定にし、電圧が60Vに到達後5分間、直流電圧を印加し、化成した。
その後、同じ第1化成槽8aを使用し、0.1wt%リン酸水溶液(電導度8400μS/cm、化成液10a)中で電流値を一定にし、電圧が20Vに到達後3時間、直流電圧を印加し、化成した。
陽極導出線1bに陽極リードフレーム6a、接着銀層5aに陰極リードフレーム6bを接続し、外装樹脂7でモールドして、チップ形固体電解コンデンサを作製した。
また、実施例3について高温負荷試験(85℃、6.3V印加、1分後)における漏れ電流値の変化を、従来例1、2と比較して、図5に示す。
化成液の電導度50μS/cm、コンデンサ素子と陰極板間の距離を2.0mmとし、陰極板配置を変えた実施例3、6、7と、従来例1、2とで比較する。
表1より明らかなように、コンデンサ素子底面側に陰極板を配し、第2化成処理により、コンデンサ素子底面側の陽極酸化皮膜を厚く形成した実施例3、コンデンサ素子の底面側と側面2面を厚く形成した実施例6、底面側と側面4面を厚く形成した実施例7は、第2の化成処理を行わない従来例1、2より漏れ電流レベルが低くなった。
これは、コンデンサ素子表面の一部の陽極酸化皮膜を他の部分より厚くしてストレスに強い構造としたことによると考えられる。
また、第2の化成処理部分の陽極酸化皮膜厚さについても、静電容量に対応した関係が見られる。
化成液の電導度50μS/cmとし、コンデンサ素子底面側に陰極板を配し、コンデンサ素子と陰極板間の距離を0.05〜15.0mmとし、陰極板配置を変えた実施例3、8〜13で比較する。
表1より明らかなように、実施例13で、コンデンサ素子底面側と陰極板間の距離を15.0mmと広げすぎると化成反応が進行しにくく、選択面(陰極板配置面)の陽極酸化皮膜を厚くすることができず、漏れ電流の抑制効果が低下するという問題がある。逆に接近させて実施例8のように、0.05mmとすると、電圧印加中にコンデンサ素子と陰極が接触しショートする危険性がある。上記のことから、コンデンサ素子と陰極板との距離は0.1〜10.0mmとするのが望ましい(実施例9〜12)。
コンデンサ素子底面側に陰極板を配し、コンデンサ素子と陰極板間の距離を2.0mmとし、化成液の電導度を2.0〜2500μS/cmの範囲で変えた実施例1〜5で比較する。
表1より明らかなように、化成液の電導度が低すぎると化成反応が進行しにくく、選択面(陰極板配置図)の陽極酸化皮膜を厚くすることができず、漏れ電流の抑制効果が低下するという問題がある(実施例1)。逆に、電導度が高すぎると内部まで化成が進行し、容量減少が生じる(実施例5)。よって、化成液の電導度は3.0〜2000μS/cmの範囲が望ましい(実施例2〜4)。
また、実施例3の高温負荷試験(85℃、6.3V印加、1分後)における漏れ電流値の変化を、従来例1、2と比較する。
図5より明らかなように、底面側に陰極板を配し、第2の化成処理により、コンデンサ素子底面側の陽極酸化皮膜を厚く形成した実施例3は、第2の化成処理を行わない従来例1、2より漏れ電流レベルが低く、500時間後も安定した値となっている。
これは上記したように、コンデンサ素子底面側を覆う酸化皮膜が所定の厚さを有するため、長時間にわたるストレスに対する効果が従来例1、2と同等レベルで推移したためと考えられる。
静電容量の低下を抑え、漏れ電流レベルが低く、かつ信頼性試験において特性の安定した固体電解コンデンサを得ることができる。
1a 焼結体
1b 陽極導出線
2 陽極酸化皮膜
3 固体電解質
4 グラファイト層
5a 接着銀層
5b 陰極銀層
6a 陽極リードフレーム
6b 陰極リードフレーム
7 外装樹脂
8a 第1化成槽
8b 第2化成槽
9a 陰極板
9b 陰極板
9c 陰極板
10a 化成液(第1化成槽)
10b 化成液(第2化成槽)
11 可変直流電源
Claims (4)
- 弁作用金属粉末を加圧成形後、焼結してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子に陽極酸化皮膜を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
陽極酸化皮膜を形成する化成工程が少なくとも2つの化成工程からなり、第1の化成工程でのコンデンサ素子と陰極板との距離より第2の化成工程でのコンデンサ素子と陰極板との距離を小さくしたことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 請求項1記載の第2の化成工程で、コンデンサ素子と陰極板との距離が0.1〜10.0mmであることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項1記載の第2の化成工程で使用する化成液の電導度が、3.0〜2000μS/cmであることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項1記載の第2の化成工程で使用する陰極板が1枚以上であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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