JP2008233291A - 反射フィルム及び反射板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤及び金属石鹸系滑剤を含有してなる樹脂組成物層を有する反射フィルムであって、前記微粉状充填剤は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物からなり、微粉状充填剤全体質量の0.5〜5質量%を占める不活性無機酸化物層を備えた微粉状充填剤であり、前記金属石鹸系滑剤は、ステアリン酸系化合物又はパルミチン酸系化合物、又はこれら両方の化合物であることを特徴とする反射フィルムを提案する。金属石鹸系滑剤を配合することにより、製造過程でメヤニが発生したり、フィルム表面にブツが生じることがないから、製品外観が良好で、延伸製膜時に破断を起こすことなく安定して生産することもできる。
【選択図】なし
Description
また、ポリオレフィン系樹脂に微粉状充填剤を添加して形成された白色シートなども知られている(例えば特許文献2、3参照)。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きく、Yより小さい」の意を包含するものである。
よって、本発明の反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に積層してなる反射板は、高い光反射性を実現することができ、しかも製品外観が良好で、安定して生産することができるから、特に液晶表示装置、照明器具、照明看板などに使用される反射板として好適である。
なお、本明細書において「主成分」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるのが通常である。
樹脂組成物層Aのベース樹脂(樹脂組成物層Aの主成分をなす樹脂)としてのポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のモノオレフィン重合体、或いはこれらの共重合体などを挙げることができる。具体例としては、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂には、チーグラー触媒のようなマルチサイト触媒を用いて製造されたものも、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒を用いて製造されたものも含まれる。
ポリプロピレン系樹脂を得るための重合法としては、例えば、溶媒重合法、バルク重合法、気相重合法等の公知の方法を採用することができる。また、重合触媒としては、例えば、三塩化チタン型触媒、塩化マグネシウム担持型触媒、メタロセン系触媒等の公知の触媒を採用することができる。
なお、本発明において、MFRは、ASTM D−1238に規定される方法に基づいて測定したものである。ただし、測定は、かっこ内に示した各条件で測定することを意味している。
ポリオレフィン系樹脂のMFRが小さ過ぎると、溶融成形時に押出温度を高くする必要が生じ、その結果、ポリオレフィン系樹脂自体の酸化による黄変や微粉状充填剤、特に酸化チタンの熱劣化によって反射率が低下する可能性がある。一方、ポリオレフィン系樹脂のMFRが大き過ぎると、溶融成形によるシート作製が不安定になる可能性がある。
微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。
得られる反射フィルムの光反射性を勘案すれば、ベース樹脂との屈折率差が大きいものが好ましい。すなわち、無機質微粉体としては屈折率が大きいもの、基準としては1.6以上のものが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを用いることが好ましく、中でも屈折率が高い酸化チタンが特に好ましい。但し、長期耐久性を勘案すると、酸やアルカリに対して安定な硫酸バリウムも特に好ましい。
なお、微粉状充填剤として、前記の如く例示した無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて使用してもよい。また、異なる微粉状充填剤同士を併用することもでき、例えば、酸化チタンと他の微粉状充填剤とを併用してもよい。
従って、少なくとも酸化チタンを含む微粉状充填剤を用いるのが好ましく、この場合、酸化チタンの量は、該微粉状充填剤の合計質量の30質量%以上とするのが好ましい。
塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、先ず四塩化チタンを生成させ、次いでこの四塩化チタンを酸素で燃焼させることにより、高純度酸化チタンを得ることができる。
酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
不活性無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましい。これらの不活性無機酸化物を用いれば、酸化チタンを用いた場合に発揮する高い光反射性を損なうことなくフィルムの耐光性を高めることができる。また、2種類以上の不活性無機酸化物を併用することがさらに好ましく、中でもシリカを必須とする組み合わせが特に好ましい。
なお、不活性無機酸化物層が酸化チタン全体質量に占める割合は、表面処理後の酸化チタンの全質量中に占める、表面処理に使用した不活性無機酸化物の全質量の割合(百分率で示す)で求められる。
当該有機化合物層は、例えば、シロキサン化合物、シランカップリング剤、多価アルコール、チタンカップリング剤、アルカノールアミンまたはその誘導体、及び高級脂肪酸又はその金属塩等の有機化合物などで、酸化チタンの表面或いは上記不活性無機酸化物層の表面を被覆処理するようにして形成することができる。特にシロキサン化合物、多価アルコール、およびシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で被覆処理表するのが好ましく、中でも特に、多価アルコール及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で被覆処理するのが好ましい。これら2種類以上の化合物を組合せて使用してもよい。
これらの有機化合物は、酸化チタン表面の水酸基と物理的吸着または化学的に反応することにより、酸化チタンの疎水性、分散性および樹脂との親和性を向上させることができる。
上記のシランカップリング剤としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アミノ基、アリール基、エポキシ基等を有するアルコキシシラン類、クロロシラン類、ポリアルコキシアルキルシロキサン類が好ましく、さらに好ましくはアミノシランカップリング剤である。具体的には、例えばn−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−フェニルーγ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジエトキシシラン等のアルキルシランカップリング剤を挙げることができ、これらを単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記の多価アルコールとしては、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリプロパノールエタン、ペンタエリスリトール、およびペンタエリトリット等を挙げることができ、中でもトリメチロールエタン、トリメチロールプロパンがさらに好ましい。これら多価アルコール化合物は、これらを単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
有機化合物層が酸化チタン全体の0.01質量%以上を占めれば、酸化チタンの水分吸着を防いで酸化チタン粒子の凝集を妨げることができるので、酸化チタンの分散性を向上させることができる。酸化チタンの分散性が向上すれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面の面積が充分に確保されるので、フィルムに高い光反射性を付与することができる。一方、有機化合物層が酸化チタン全体の5質量%以下であれば、酸化チタン粒子の滑性が適切になり、安定した押出し及び製膜が可能になる。
有機化合物層が酸化チタン全体質量に占める割合は、表面処理後の酸化チタンの全質量中に占める、表面処理に使用した有機化合物の全質量の割合(百分率で示す)で求められる。
微粉状充填剤として酸化チタンを用いる場合には、その粒径は0.1μm〜1.0μmであるのが好ましく、0.2μm〜0.5μmであるのがさらに好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1.0μm以下であれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されて、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
ポリオレフィン系樹脂に、酸化チタンなどの微粉状充填剤を含有させる場合、多量に微粉状充填剤を含有させると、反射フィルム製造時にプレートアウト現象やメヤニが発生するようになる。このプレートアウト現象による堆積物やメヤニは、フィルム製品表面のブツとなって製品外観を損ねたり、延伸製膜時にフィルム破断の起点となって破断トラブルを発生することがある。そこで、本発明は、樹脂組成物層Aに滑剤を配合することにより、プレートアウト現象やメヤニの発生を防いで安定したフィルム生産を可能としている。
樹脂組成物層Aは、ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤及び滑剤の効果を損なわない範囲内で、上記のようなポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。また、ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤及び滑剤の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、及びその他の添加剤を含有してもよい。
樹脂組成物層Aは、フィルムから形成された層であっても、また、溶融した樹脂組成物を他の層に押出或いは塗布するなどして、(フィルムを形成することなく)薄膜形成された層であってもよい。
樹脂組成物層Aがフィルムから形成される場合、そのフィルムは未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
本反射フィルム、特に樹脂組成物層Aは、内部に空隙を有するのが好ましい。空隙を有していれば、ポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱の他、ポリオレフィン系樹脂と空隙(空気)、微粉状充填剤と空隙(空気)との屈折率差による屈折散乱からも反射性を得ることができる。
また、本反射フィルム、特に樹脂組成物層Aに発泡剤を添加して、発泡によって樹脂組成物層A中に空隙を形成することもできる。
また、反射率向上の点を加味すると、空隙率は上記範囲内で3%以上、特に5%以上、さらに7%以上であるのがさらに好ましい。
なお、フィルムを延伸した場合の空隙率は、下記式に代入してフィルムの空隙率を求めることができる(以下同様)。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度−延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
本反射フィルムは、ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤及び滑剤を含有してなる樹脂組成物層Aを備えていれば、樹脂組成物層Aからなる単層フィルムであっても、樹脂組成物層A以外の層を備えたフィルムであってもよい。
例えば、樹脂組成物層Aの裏面側、すなわち反射使用面とは反対側の面に、金属薄膜層及び保護層をこの順に積層する構成例を挙げることができる。
蒸着金属材料としては、反射率が高い材料であれば特に制限されることなく使用することができるが、一般的には銀、アルミニウム等が好ましく、これらの中で銀が特に好ましい。
金属薄膜層の厚みは、層を形成する材料や層形成法等によっても異なるが、通常は10nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、20nm〜200nmの範囲内であることがさらに好ましい。金属薄膜層の厚みが10nm以上であれば、充分な反射率が得られる。一方、金属薄膜層の厚みが300nm以下であれば、生産効率がよく好ましい。
この際の積層の方法としては、例えば、金属薄膜積層フィルムの金属薄膜層と樹脂組成物層Aとを重ね合わせるようにしても、金属薄膜積層フィルムの中間層と樹脂組成物層Aとを重ね合わせるようにしてもよいし、その際、単に重ね合わせてもよいし、また、重ね合わせて部分的もしくは全面的に接着させるようにしてもよい。
接着方法としては、各種接着剤を用いて公知の方法により接着する方法、公知の熱接着法等を使用することができる。
本反射フィルムにおいては、熱のかからない接着方法、又は、210℃以下の温度で熱接着する方法等を採用することが、樹脂組成物層A内の空隙が保持され、高い反射率が維持されるので好ましい。
但し、樹脂組成物層Aを反射使用面側(光が照射される側)に配置したり、各層間に、さらに他の層を有していてもよい。また、樹脂組成物層Aや金属薄膜層等のそれぞれの層が独立して複数の層から形成されていてもよい。
本反射フィルムの厚みは、特に限定するものではないが、通常は30μm〜500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜300μm程度の範囲内であるのが好ましい。
かかる厚みの反射フィルムを用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
本反射フィルムの反射率は、反射使用面側から測定した、波長550nmの光に対するフィルム表面の反射率が96%以上であることが好ましく、97%以上であることがさらに好ましい。かかる反射率が96%以上であれば、反射フィルムは良好な反射特性を示し、この反射フィルムを組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が黄色味を帯びることなく、精彩性が良好になる。
以下に、本反射フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、本反射フィルムの製造方法が下記製造法に何等限定されるものではない。
具体的には、ポリオレフィン樹脂に微粉状充填剤と滑剤を加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサーや一軸又は二軸押出機等を用いて、ベース樹脂の融点以上の温度で混練することにより樹脂組成物を得る。
例えば、樹脂組成物を乾燥させ、押出機に供給し、ベース樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。この際、樹脂組成物を乾燥させずに押出機に供給してもよいが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。
押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定するのが好ましく、例えば押出し温度は170℃〜230℃の範囲が好ましい。
延伸することにより、フィルム内部に微粉状充填剤を核とした空隙が形成され、ベース樹脂と空隙との界面、及び空隙と微粉状充填剤との界面が形成され、これらの各界面で生じる屈折散乱の効果が増えることから、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。
二軸延伸することによって、空隙率がさらに高くなり、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。また、フィルムを一軸延伸したのみでは、形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、二軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされた円盤状形態になる。すなわち、二軸延伸することによって、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、フィルムの光反射性を高めることができる。さらに、二軸延伸すると、フィルムの収縮方向に異方性がなくなるので、フィルムの耐熱性を向上させることができ、フィルムの機械的強度を増加させることもできる。
また、延伸方法も特に制限されるものではない。例えば、溶融製膜した後、ロール延伸によってMD(フィルムの引取り方向)に延伸した後、テンター延伸によってTD(前記MDに直角な方向)に延伸してもよいし、また、チューブラー延伸等によって二軸延伸を行ってもよい。但し、延伸後に熱処理する場合には、テンター延伸によるのが好ましい。
熱処理温度は90〜160℃であるのが好ましく、110〜140℃であることがさらに好ましい。
また、熱処理に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。
本反射フィルムを金属板(例えばアルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板など)若しくは樹脂板に積層して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。
以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
例えば、金属板若しくは樹脂板(まとめて「金属板等」という)の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、金属板等の表面に、乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆させ冷却すればよい。
この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持することができる。但し、金属板等の表面温度は160℃以上に保持するのが好ましい。
なお、実施例に示す測定値及び評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
樹脂の屈折率は、JIS K−7142のA法に基づいて測定した。
JIS M−8321「チタン鉱石−ニオブ定量方法」に基づいてニオブ含有量を測定した。すなわち、試料を0.5g秤取り、この試料を、融解合剤[水酸化ナトリウム:過酸化ナトリウム=1:2(質量比)]5gが入れられたニッケル製るつぼに移し入れ、かき混ぜた後、その試料の表面を2gの無水炭酸ナトリウムで覆い、るつぼ内で試料を加熱融解して融成物を形成した。この融成物を、るつぼ内に入れたままの状態で放冷した後、融成物に温水100mL及び塩酸50mLを少量ずつ加えて溶解させて、さらに水を加えて250mLにメスアップした。この溶液を、ICP発光分光装置で測定し、ニオブ含有量を求めた。ただし、測定波長は309.42nmとした。
酸化チタンの試料を容器に0.6g秤取り、硝酸10mlを加えてマイクロウェーブ試料分解装置内で分解し、得られた溶液を25mlにメスアップして、ICP発光分光装置を用いて定量分析を行った。マイクロウェーブ試料分解装置は、アステック社製のMDS−2000型を用いて、分解操作は表1のステップに従って行った。また測定波長は311.07nmとした。
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm2、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過の時間より算出した。
延伸前のフィルムの密度(「未延伸フィルム密度」と表記する)と、延伸後のフィルムの密度(「延伸フィルム密度」と表記する)を測定し、下記式に代入してフィルムの空隙率を求めた。
空隙率(%)={(未延伸フィルム密度−延伸フィルム密度)/未延伸フィルム密度}×100
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長550nmの光に対する反射率を測定した。
なお測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
実施例及び比較例において反射フィルムを製造した際、口金リップ部のメヤニ付着状態とフィルム表面のブツ発生状態とを観察した。そして、下記評価基準に基づいてメヤニ、ブツ防止性の評価を行った。
ただし、記号「○」、および「△」は実用レベル以上である。
「○」:製造開始から8時間経過した後でも、口金リップ部にメヤニの付着は認められず、フィルム表面にブツも認められなかった。
「△」:製造開始5時間後でも口金リップ部にメヤニの付着は認められず、フィルム表面にブツも認められなかった。
「×」:製造開始3時間後で、口金リップ部全幅にわたってメヤニが認められ、フィルム表面に滴状のブツが認められた。
ハロゲン化チタンを気相酸化するいわゆる塩素法プロセスにより得られたルチル型酸化チタン(平均粒径:0.28μm、ニオブ含有量:370ppm、バナジウム含有量:4ppm)の表面に、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる不活性無機酸化物層を形成した後、トリメチロールエタンからなる有機化合物層を形成した。
この際、不活性無機酸化物層のアルミナ、シリカ及びジルコニアの量は、酸化チタンに対してそれぞれ1質量%、0.5質量%、0.5質量%であった。
また、有機化合物層のトリメチロールエタンの量は、酸化チタンに対して0.3質量%であった。
このマスターバッチとエチレン−プロピレンランダム共重合体(MFR:7g/10分、屈折率:1.50)とを、80:20の質量割合で混合し、樹脂組成物を得た。その後、この樹脂組成物を、200℃に加熱された押出機に供給し、この押出機を用いて200℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化してフィルムを形成した。
得られたフィルムを、温度140℃でMDに5倍、TDに5倍に同時二軸延伸して、厚さ75μmの反射フィルムを得た。なお、このようにして得られたフィルム全体質量に対して酸化チタン及び滑剤の含有割合は、それぞれ56質量%、2.4質量%であった。
得られた反射フィルムについて、空隙率、反射率の評価を行い、その結果を表2に示す。
ハロゲン化チタンを気相酸化するいわゆる塩素法プロセスにより得られたルチル型酸化チタン(平均粒径:0.28μm、ニオブ含有量:370ppm、バナジウム含有量:4ppm)の表面に、アルミナ及びシリカからなる不活性無機酸化物層を形成した後、トリメチロールエタンからなる有機化合物層を形成した。
この際、不活性無機酸化物層のアルミナ及びシリカの量は、酸化チタンに対してそれぞれ2質量%、1質量%であった。
また、有機化合物層のトリメチロールエタンの量は、酸化チタンに対して0.3質量%であった。
このマスターバッチと前記ポリプロピレン(MFR:10g/10分、屈折率:1.49)とを、80:20の質量割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を、200℃に加熱された押出機に供給し、この押出機を用いて200℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、フィルムを形成した。
得られたフィルムを、温度155℃でMDに5倍、TDに5倍に同時二軸延伸して、厚さ75μmの反射フィルムを得た。なお、このようにして得られたフィルム全体質量に対して酸化チタン及び滑剤の含有割合は、それぞれ56質量%、2.0質量%であった。
得られた反射フィルムについて、空隙率、反射率の評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例1の樹脂組成物の作製において、金属石鹸系滑剤としてステアリン酸カルシウムを3質量部配合する代わりに、ステアリン酸カルシウムとパルミチン酸亜鉛をそれぞれ2質量部、1質量部の質量割合で混合して混合物を得た点を除いて、実施例1と同様に反射フィルムを作製した。なお、このようにして得られたフィルム全体質量に対して酸化チタン及び滑剤の含有割合は、それぞれ56質量%、2.4質量%であった。
得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1の樹脂組成物の作製において、金属石鹸系滑剤を配合することなく、エチレン−プロピレンランダム共重合体(MFR:7g/10分、屈折率:1.50)のペレットと、酸化チタンとを30:70の質量割合で混合して混合物を形成した点を除いて、実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1の樹脂組成物の作製において、エチレン−プロピレンランダム共重合体(MFR:7g/10分、屈折率:1.50)のペレットと、酸化チタンと、ポリエチレンワックスとを、29:70:1の質量割合で混合して混合物を形成した点を除いて、実施例1と同様にして反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
一方、比較例1及び比較例2の反射フィルムは、反射率が96%以上で、高い光反射性を有している反面、メヤニ・ブツ防止性が低く、外観および生産安定性の点においては、実施例1〜3の反射フィルムに劣ることが分った。
Claims (11)
- ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤及び金属石鹸系滑剤を含有してなる樹脂組成物層を有する反射フィルムであって、
微粉状充填剤は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物からなり、微粉状充填剤全体質量の0.5〜5質量%を占める不活性無機酸化物層を備えた微粉状充填剤であり、
金属石鹸系滑剤は、ステアリン酸系化合物又はパルミチン酸系化合物、又はこれら両方の化合物であることを特徴とする反射フィルム。 - 微粉状充填剤は、ニオブ含有量が500ppm以下であり、且つバナジウム含有量が5ppm以下である高純度酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載の反射フィルム。
- 微粉状充填剤は、シロキサン化合物、多価アルコール及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機化合物からなり、酸化チタン全体質量の0.01〜5質量%を占める有機化合物層を備えた酸化チタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射フィルム。
- 微粉状充填剤は、平均粒径が0.1μm〜1μmの酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射フィルム。
- 微粉状充填剤を、反射フィルムの全体質量に対して10〜80質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射フィルム。
- 金属石鹸系滑剤を、反射フィルムの全体質量に対して0.05〜5質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射フィルム。
- ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン又はエチレン−プロピレン共重合体、又はこれらの混合樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射フィルム。
- ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤及び金属石鹸系滑剤を含有してなる樹脂組成物を、溶融し製膜して得られたフィルムを、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られた延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射フィルム。
- 樹脂組成物層の空隙率が35%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射フィルム。
- 波長550nmの光に対する、反射使用面側のフィルム表面の反射率が96%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の反射フィルムを備えた反射板。
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